(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
色基準に関連して塗料の色調設定の品質を特徴付けるための特性番号を決定する方法であって、前記塗料及び前記色基準の比色座標は、多数の測定ジオメトリのための分光光度計及び少なくとも1つの光源を使用して決定され、それぞれの色差は、前記塗料及び、前記多数の測定ジオメトリの各々の測定ジオメトリ及び/又は使用する各々の光源に関する色基準の比色座標から計算及び標準化され、前記それぞれの標準化された色差から計算された特性値のグループは、予め提供される割り当て規則により特性番号を決定するためのスケール値が割り当てられることを特徴とし、
一様色塗料のための割り当て規則は、特定の測定ジオメトリのために各々が異なる光源の下で測定された、それぞれの一様色塗料と対応する色基準との間の色差及び/又はグレーステージ差の最大値としての特性値を、L*C*h°色空間を基礎とする色差式に基づいて、特性値が6以上の場合、特性値がスケール値1に割り当てられ、特性値が6未満の場合に、特性値がスケール値2に割り当てられ、特性値が4.5未満の場合に、特性値がスケール値3に割り当てられ、特性値が3未満の場合に、特性値がスケール値4に割り当てられ、特性値が2未満の場合に、特性値がスケール値5に割り当てられ、特性値が1.7未満の場合に、特性値が6に割り当てられ、特性値が1.4未満の場合に、特性値が7に割り当てられ、特性値が1.0未満の場合に、特性値がスケール値8に割り当てられることを指定する規則を有し、
効果塗料のための割り当て規則は、25°と75°の間の多数の測定ジオメトリに対する効果塗料と効果塗料基準との間の全ての色差の合計を基礎として形成された第1の効果特性値が、12以上であり、25°、45°、及び75°の前記測定ジオメトリに対して決定された前記効果塗料と前記効果塗料基準の間のそれぞれの効果色差が、それぞれ独自に検討されたときに6以上の場合、スケール値1への割り当てが行われ、前記第1の効果特性値が12未満であり、25°、45°、及び75°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果色差の各々が6未満である場合に、スケール値2への割り当てが行われ、前記第1の効果特性値が10未満であり、25°、45°、及び75°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果色差の各々が4.5未満である場合に、スケール値3への割り当てが行われ、前記第1の効果特性値が6未満であり、25°、45°、及び75°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果色差の各々が3未満である場合に、スケール値4への割り当てが行われ、前記第1の効果特性値が3.9未満であり、25°、45°、及び75°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果色差の各々が2未満である場合に、スケール値5への割り当てが行われ、15°と110°の間の多数の測定ジオメトリに対して形成された第2の効果特性値が6.5未満であり、15°、25°、45°、75°、及び110°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果色差の各々が2未満である場合に、スケール値6への割り当てが行われ、前記第2の効果特性値6.5未満であり、15°、25°、45°、75°、及び110°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果色差の各々が1.73未満であり、15°、45°、75°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果塗料と前記効果塗料基準との間の各々の輝きの相違が1.73未満であり、効果塗料と効果塗料基準との間の粒状性の相違が1.73未満の場合に、スケール値7への割り当てが行われ、前記第2の効果特性値6.5未満であり、−15°、15°、25°、45°、75°、及び110°の前記測定ジオメトリに対する形成された効果色差の各々が1.41未満であり、15°、45°、75°の前記測定ジオメトリに対する決定された前記効果塗料と前記効果塗料基準との間の各々の輝き相違が1.41未満であり、前記効果塗料と前記効果塗料基準との間の前記粒状性の相違が1.41未満の場合に、スケール値8への割り当てが行われることを指定する規則を有する、
方法。
ゴニオ分光光度計で測定した前記塗料と前記色基準との間のそれぞれの輝きの相違及び/又は粒状性の相違は、標準化され及び前記特性番号の前記計算に使用され、塗料と色基準との間の対応する輝きの相違及び/又は粒状性の相違に対応させるために割り当て規則が拡張される請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
多くの測定ジオメトリは、少なくとも1つの測定ジオメトリを含む。
【0011】
本発明の文脈における色差は、色空間における2つの色の間の差、より詳細には、L*a*b*色空間、又はL*C*h
○色空間における差である。
【0012】
本発明の方法の文脈における測定ジオメトリは、特定の塗料で処理された表面に対して定義された角度に配置された例えば分光光度計等の測定機器による測定設定である。
【0013】
本発明の文脈における比色座標は、特に、色又はグレーレベルを記述するための色空間、詳細には、L*a*b*色空間、又はL*C*h
○色空間における座標である。
【0014】
特性値のグループは、特定の塗料の色座標と特定の色基準の色座標との間の色差から計算され、対応する特性番号Qを塗料と基準色又は色基準との詳細な比較に割り当てるために使用される多数の特性値を意味する。もちろん、特性番号は、一様色塗料だけでなく、効果塗料のために、塗料と基準色の比較に適している。これは、本発明に従って提供された特性番号で、それぞれの色基準に対する効果塗料の比較、及び/又は各色基準に対する一様色塗料の比較を評価することができることを意味する。本明細書の特性値のグループは、一様色塗料のために本発明の方法を使用する場合に概して想定されるように、ただ1つの特性値から構成されても良い。
【0015】
L*C*h
○の色空間は、デカルト座標a*及びb*ではなく、色度の円柱座標C*と色相角のh
○が使用されることを除いて、L*a*b*の色空間に対応する。明度(L*)は変わらない。
【0016】
特定の塗料を他の塗料のような色基準と比較するために、例えば、特性番号Qを決定、又は計算するための準備が為される。特性番号Qは、それぞれの塗料、すなわち、例えば、効果塗料、又は一様色塗料の、例えば1から8のスクールグレードスケールのようなスケール内のそれぞれの色基準との対比又は品質を付与又は示す。
【0017】
特性番号Qを決定するために、決定すべきそれぞれの比色座標又は色座標の準備が為される。これらの座標は、例えば、いわゆるL*a*b*の色空間で、異なる測定ジオメトリの下でのそれぞれの塗料及びそれぞれの色基準の双方に関して、及び/又は異なる照明を使用して、例えば、分光光度計を使用して、示される。それぞれの塗料及びそれぞれの色基準について決定された色座標を基礎にして、各々の測定ジオメトリ、すなわち、各々の測定角度及び/又は各々の光源に対して、それぞれの塗料とそれぞれの色基準との間の対応する色差を計算することができる。無彩色の場合は式(1)を使用し、有彩色の場合は式(2)を使用する。
【0020】
有彩色と無彩色との区別は、例えば、DIN6175−2に従って確認することができる。更に、式(1)、(2)において標準化が為され、各測定された色座標のための準備が為される。それぞれの測定された色座標を標準化するために、例えば、式(3)を使用することが可能である。
【0022】
式(3)において、標準化された値<dX*>は、それぞれの値dX*、すなわち、各変数の値である色差を、それぞれの角度固有の公差Sx、式(4)に従って計算される角度固有の公差又は許容限界Sxで除することにより計算される。
【0023】
この場合、例えば、方程式システム(4)に従って、標準化が行われても良い。
【0025】
ここで、C*
Rは、L*a*b*色空間における色基準Rのカラフルネス、すなわち彩度又は色の鮮やかさの度合いであり、方程式C
R*=√((a
R*)
2+(b
R*)
2))を使用して計算される。添え字“R”は、色基準Rを示す。
【0026】
異なる測定ジオメトリ及び/又は異なる光源に関してそれぞれの塗料とそれぞれの色基準との間で決定された色差及び/又は決定され標準化された色差は共に、例えば、特性値のグループを形成する。付加的に色差の和又は色差の選択の和は、異なる測定ジオメトリ及び/又は異なる光源について、特性値のグループに属する特性値を表すこともできる。更に、特徴的な値として、例えば、1つの測定ジオメトリ及び2つの光源について、それぞれの塗料とそれぞれの色基準とのうちで決定され標準化された色差の間に最大値を提供することも可能である。
【0027】
本発明の方法の文脈で効果塗料のそれぞれの効果特性を考慮するために、ゴニオ分光光度計で測定された輝きの相違及び粒状性の相違が考慮される。この目的のために、ゴニオ分光光度計を用いて測定された輝きの相違及び粒状性の相違のそれぞれの値は、それぞれ例えば、式(3)を用いて標準化され、それぞれの計算された色差を特性番号Qのスケール値に割り当てること、すなわち、予め与えられるべきそれぞれの割り当て規則内で割り当てることが考慮される。
【0028】
異なる測定ジオメトリの下で測定されたそれぞれの色差及び/又は輝きの相違及び/又は粒状性の相違の、特性番号Qのそれぞれのスケール値への割り当てのために、例えば、合計することによって、互いに結合されるべきそれぞれの色ジオメトリに対する効果塗料についての色差が計算され及び標準化される。そして、そのような組み合わせの結果として色差が、特性番号Qの離散スケール値に割り当てられる。任意に、例えば、それぞれのスケール値間の間隔を調整する割り当て規則に基づいた更なる条件が使用される。
【0029】
それぞれの割り当て規則の場合には、互いに結合されたそれぞれの測定ジオメトリのそれぞれの色差と同様に、効果塗料の評価において、例えば特定の測定ジオメトリの色差、輝きの相違及び/又は粒状性の相違の最小差又は最大差等の更なる条件を使用することが可能である。
【0030】
互いにオフセットされる少なくとも2つの異なる光源の下で決定された1つの測定ジオメトリのみの色差について、いわゆる一様色塗料が対応する色基準と比較される場合には、例えば、決定された色差の平均の形成、又は決定された色差の中の最大値の決定によって更に準備が為される。一様色塗料と効果塗料の区別は、例えば、DIN 6175−1に従って決定することができる。組み合わせられた色差に基づいて、それぞれの一様色塗料は、本発明による特性番号Qを得るべき、対応する割り当て規則に従って、特性番号Qのそれぞれのスケール値に割り当てられる。
【0031】
本発明は更に、コンピュータプログラムが、コンピュータ又は対応するコンピューティングユニット上で実行されるときに、本発明による方法の全てのステップを実施するプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムに関する。
【0032】
本発明によるコンピュータプログラムは、特に、本発明の方法をコンピュータ又はコンピューティングユニット上で実行するために役立つ。
【0033】
本発明によるコンピュータプログラムの1つの可能な形態は、例えば、以下のステップを含むことができる。
【0034】
1.色空間における塗料及び色基準の利用可能な測定ジオメトリの全ての色座標の決定。
【0035】
2.全ての測定ジオメトリに対する塗料と色基準との間のそれぞれの色差の計算。
【0036】
3.比較される塗料が効果塗料である場合、各々の測定ジオメトリのそれぞれの輝きの相違及び/又は粒状性の相違の計算。
【0037】
4.比較される塗料が一様色塗料である場合、少なくとも2つの光源についてそれぞれの色差の計算。
【0038】
5.ステップ2及び/又は4で計算された色差の標準化、及び、ステップ3で任意に計算された輝きの相違及び/又は粒状性の相違の標準化。
【0039】
6.効果塗料の場合、それぞれの標準化された色差の合計。
【0040】
7.一様色塗料の場合、ステップ4での決定された色差の中の最大値の決定。
【0041】
8.塗料、効果塗料又は一様色塗料の種類に応じて、ステップ2及び6で決定された特性値、又はステップ7で決定された特性値の、割り当て規則に従った特性番号Qのそれぞれのスケール値への割り当て。
【0042】
したがって、本発明によれば、特定の特性番号Qが、正確に定義された規則によって塗料の色品質を決定するために提供される。品質段階は、図に関連して後述するように、明白な式によって定義される。これにより、色調のタイプ(一様色又は効果塗料)に応じて、指定された重み係数で割り当て規則が自動的に作成される。すべての基準が満たされている場合のみ、すなわち、特定の特性番号Qに対応する品質段階のすべての式には、何れの場合も、特性番号Qに対してこの特定のスケール値が割り当てられたそれぞれの塗料が存在する。品質段階の全ての基準がどちらも満たされない場合、次の低品質段階に割り当てが行われる。全ての品質基準が満たされていない場合は、次の低品質段階に順番に割り当てられる。品質基準の全てが2番目に低い品質段階で満たされていない場合、割り当ては最低品質段階で行われる。最低品質段階への割り当ては、それぞれの品質基準が何れの高品質段階でも満たされない場合に、常に行われる。
【0043】
本発明の更なる利点及び実施の形態は、明細書及び添付の図面から明らかである。
【0044】
上記の特徴及び以下に明らかになる特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、指定された特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせで、又はそれ自体で使用することができることが理解される。
【実施例】
【0045】
本発明は、実施例を参照して図面に概略的に表され、図面を参照して以下で包括的に説明される。
【0046】
図1は、3つの列13、15、及び17を有する表10を示す。第1の列13は、1から8までの評価尺度にまたがる特性番号Qのスケール値を示す。1は最低品質を示し、それぞれの塗料と対応する色基準との最悪の可能性のあるマッチングである。8は最良の品質を示し、それぞれの塗料と対応する色基準との最良の可能性のあるマッチングである。列15は、効果塗料及び対応する色基準の分光測定からの計算された色差の明確な具体的方程式の形の特性番号Qのそれぞれのスケール値に対する割り当て規則を示す。効果塗料の対応の質を特性番号Qのそれぞれの色基準に割り当てるためには、それぞれが特定の方程式によって定義される少なくとも4つの条件、最大10の条件が満たされなければならない。ここでの用語“方程式”は広義に解釈されるべきであり、2項の同一性に関する記述としての狭義の“方程式”として、及び2つの項の大きさを比較する狭義の“不等式”としても解釈されるべきである。
【0047】
例えば、列15の1行目には、25°と75°との間の測定ジオメトリの計算された色差の総和、すなわち、
【数5】
が12の値以上であり、単独で考えた場合、測定ジオメトリ25°、45°、及び75°のそれぞれが値6以上である場合、それぞれの塗料は、スケール値1の特性番号Qに割り当てられる。スケール値1の特性番号Qは、ここで最低品質段階を表し、例えば、25°と75°との間の測定ジオメトリのすべての測定された色差の合計、すなわち、
【数6】
が12以上であり、単独で考えた場合、測定ジオメトリ25°、45°、及び75°の一つの測定ジオメトリの色差が6より小さければ、特性番号Q=1への割り当てが行われる。
【0048】
一般に、合計
【数7】
は、個々の測定ジオメトリ25°、45°、及び75°の色差の合計に対応する。したがって、
【数8】
は、個々の測定ジオメトリ15°、25°、45°、75°及び110°の色差の合計に対応する。
【0049】
Q=2、3、4、5、6、7、及び8の全てのより高い品質段階では、対応する塗料をそれぞれの品質段階又は対応する特性番号Q=2、3、4、5、6、7、又は8に割り当てるために、それぞれの品質段階に割り当てられた全ての品質基準及び全ての式は、何れの場合も決定された色差によって、満たされなければならない。
【0050】
効果塗料の場合には、輝きの相違及び粒状性の相違も考慮に入れられるので、特に、高い特性番号の場合には、強化された条件、すなわち付加的な条件を適用するために、それぞれの効果塗料と対応する色差との間の一致の高品質に対応して、準備が為される。このことは、例えば、それぞれの効果塗料について、7の値を持つ特性番号Qへの割り当てのためのそれぞれの基準を満たすために、15°と110°の間の測定ジオメトリに基づいて計算される色差dEは、何れの場合も対応する色基準に関連して1.73より小さな値でなければならない。それに応じて、測定ジオメトリ15°、25°、45°、75°及び110°について計算された各色差dEは1.73より小さくなければならない。更に、それぞれの効果塗料と対応する色基準との間の輝きの相違dSは、15°、45°、及び75°の測定ジオメトリの何れに対して1.73の値以上であってはならない。更に、それぞれの効果塗料と対応する色基準との間の粒状性の相違dGは、1.73の値以上であってはならない。
【0051】
一様色塗料は、多くの場合、メタメリズム効果、すなわち、異なる光源を用いた照明で異なる色又はグレーレベルを示すので、一様色塗料については、列17に示すように独立した割り当て規則が想定される。
【0052】
それぞれの一様色塗料を、特性番号Qを有するそれぞれのスケール値に割り当てるために、それぞれの一様色塗料と対応する色基準との間で、色差又はグレーレベル差の最大値が計算される。それぞれは、例えば45°の測定ジオメトリが、L*C*h°色空間に基づく色差式CIE94に基づいて、異なる光源、例えば、光源D64及び光源TL84の下で何れの場合も測定される。これは、各一様色塗料が、光源D64及びT84の下での分光測定に基づく各一様色と対応する色基準との間の測定された色差の間で6以上の最大値を有する場合には、スケール値1を有する特性番号Qに割り当てられることを意味する。
【0053】
特性番号Qの他の値に割り当てるために、対応する基準が表10の列15(効果塗料用)及び17(一様色塗料用)に定義されている。
【0054】
図2は表20を表し、第1の列21は異なる効果塗料を示し、列23は15°、25°、45°、75°、及び110°の異なる測定ジオメトリに亘って色基準について計算された平均色差を示す。また、列25は特性番号Qの対応するスケール値を示す。特性番号Qは、特に、通常スケーリングされているので、特性番号Qの各スケール値は常に整数である。
【0055】
列21にリストされた全ての塗料が、単一色基準と最も良く一致する塗料を識別するために、個々の色基準と比較された。
【0056】
先行技術による検査のために、恐らく異なる光源に対して個別に、異なる測定ジオメトリで測定された色差を比較することのみが可能であり、列21からそれぞれの塗料の色基準との質的整合は、列25に示すような特性番号Qを基礎として、複数の質的基準、例えば異なる光源及び/又は異なる測定ジオメトリの下で決定された複数の色差を同時に考慮しながら、評価することができる。
【0057】
表20の第5行からの塗料“05”は、Qの最も高いスケール値、すなわち6を示しているので、塗料5は、表20に示されている全ての塗料のうち、色基準に最も良く一致している。
【0058】
列23は、算術平均によって計算された平均色差を示す。この文脈において、列23に明記されている平均色差のいずれも、それぞれの塗料と色基準との間の一致の質について決定的な評価を行うことができないことを強調すべきである。例えば、平均色差等の従来の測定値は、1つの条件、すなわち色空間内の1つの位置に基づいて比較のみを可能にするのに対し、特性番号Qを介して、例えば、色空間の色差、輝きの相違、及び異なる光源の下での挙動のような複数の基準を共同で評価し定量化することが可能である。
【0059】
列25に示されているように、特性番号Qのそれぞれのスケール値の増加は、異なる光源の下での測定値に基づいてそのような増加が決定され、列23に示すように、対応する平均色差MDEの減少を伴い得る。これに対応して、列23及び25の値は、概ね互いに反比例する。
【0060】
図3は、色差の比較に基づいて、
図2から色基準との最適な対応を有する塗料を発見するための実験的プロファイルを示す。
【0061】
それぞれの塗料1から5を示す横軸33と、15°、25°、45°、75°、及び110°の各測定ジオメトリに対してそれぞれの塗料と色差との間の算出された色差dEを示す縦軸35を含むダイアグラム31は、
図2に記載された塗料のグラフ表示であり、対応する色基準に対するそれぞれの色差のグラフである。
【0062】
図2の5つの異なる塗料を互いに比較し、色差と最も良く一致する塗料を特定するために、従来は、15°、25°、45°、75°、及び110°の測定ジオメトリについて、熟練者によって手動でダイアグラム31にプロットされた各塗料1から5の色差を比較することが必要である。この文脈では、特に塗料2と5を区別することは困難である。何故なら、両塗料とも、異なる測定ジオメトリに関して、他のそれぞれの塗料に対して、同等の色差を示し、良い方にも悪い方にも色基準とかなり一致しているからである。したがって、塗料2又は塗料5の間の選択について客観的な根拠を見出すことはほぼ困難である。一方、
図2に示すように、特性番号Qは、塗料5を確実に色基準と最も良く一致する塗料として識別し、塗料2を塗料4よりも劣っていると評価する。
【0063】
したがって、本発明の特性番号Qにより、色基準に最も良く適合するそれぞれの塗料は、塗料当たり1つの個々の特性番号Qの単なる比較によって、迅速かつ専門知識なしに特定することができる。
【0064】
図4は、
図2に類似して、列41に5つの異なる塗料を示し、列43に対応する特性番号Qを示す表40を示す。表40に記載された塗料は、一様色塗料であるため、測定ジオメトリは45°の場合のみ測定し、平均色差は計算されていない。これは、光源ごとに1つの塗料につきただ1つの色差が存在し、この場合は、光源D65が評価のために利用可能であることを意味する。
【0065】
図5は、
図4の表40に対応し、それぞれの塗料1から5を示す横軸53と、それぞれの塗料と色基準との間で計算された色差dEを示す縦軸55を含むダイアグラム51を示す。任意のメタメリズム効果に関して異なる一様色塗料を比較するために、異なる光源の下での異なる測定が必要であり、これは、それぞれの色基準に最も良く一致する塗料を識別するために、何れの場合も、独立したダイアグラム及び/又は異なる色差を介して評価されなければならない。
【0066】
本発明の特性番号Qは、異なる光源の下で決定される異なる測定値を結合するので、例えば、メタメリズム効果に関してでさえ、一様色塗料を、1つの塗料あたりただ1つの特性番号Qに基づいて、それぞれの色基準と迅速かつ容易に比較することが可能である。