(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481034
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】デフォーカス検知方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20190304BHJP
G01B 11/26 20060101ALI20190304BHJP
G03F 9/00 20060101ALN20190304BHJP
H01L 21/027 20060101ALN20190304BHJP
【FI】
G01B11/00 A
G01B11/26 G
!G03F9/00 H
!H01L21/30 526A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-528539(P2017-528539)
(86)(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公表番号】特表2017-537319(P2017-537319A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2015095627
(87)【国際公開番号】WO2016082772
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年7月19日
(31)【優先権主張番号】201410697616.9
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ヤージェン
【審査官】
九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−302131(JP,A)
【文献】
特開2013−167777(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0203834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハーテーブルのデフォーカス量を検知するフォーカシング・レベリング装置を用いたデフォーカス検知方法であって、
前記フォーカシング・レベリング装置は、
光源、
照明ユニット、
投影スリット、
フロントレンズグループ、
リアレンズグループ、
振幅モニタシステム、
検知スリット、及び、
光検出器、
を備え、
前記振幅モニタシステムは、
スキャンミラーと、
前記スキャンミラーを単振動するように駆動する制御モジュールと、
を備え、
前記スキャンミラーは、リアルタイムで前記スキャンミラーの振動角度を測定するための格子スケールを備え、
前記振幅モニタシステムにおいて、前記スキャンミラーは、単振動で定期的に振動することによって光信号を変調するように、構成され、
前記デフォーカス検知方法において、
前記スキャンミラーで変調される前記光信号は、前記光検出器で受け取られて、信号プロセッサによって復調及び復調補正を受け、
前記デフォーカス検知方法は、以下のステップ
1)前記スキャンミラーの振幅を理論的な振幅値θ0に調整して、前記光検出器から出力される、相当する理論的な電圧値を記録すること;
2)複数の補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するために、複数回、前記スキャンミラーの前記振幅を調整して、前記スキャンミラーの複数のリアルタイム振幅値θiと前記光検出器から出力された複数のリアルタイム電圧値とをサンプリングし、段階的に前記ウェハーテーブルを変位させて、前記ウェハーテーブルの複数のリアルタイムデフォーカス量Hiを記録すること(ここで、iは、1からNの範囲の自然数である);
3)前記ウェハーテーブルを変位させた後に、前記複数の補正されたリアルタイム復調結果Si、及び、前記ウェハーテーブルの前記複数のリアルタイムデフォーカス量Hiに基づいて、データベースを構築すること;及び、
4)実際の測定において、補正されたリアルタイム復調結果Skを計算するために、前記スキャンミラーの実際の振幅値θkと前記光検出器から出力された実際の電圧値とをリアルタイムでサンプリングし、前記データベースを検索することによって、前記ウェハーテーブルの実際のデフォーカス量Hkを見つけること(kは1からNの範囲の自然数である)
を備える、デフォーカス検知方法。
【請求項2】
前記ステップ2)において、前記ウェハーテーブルを変位させる前に、前記ウェハーテーブルは、正のデフォーカス制限位置又は負のデフォーカス制限位置に移動される、請求項1に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項3】
前記ステップ3)において、線形関係を定める、前記複数の補正されたリアルタイム復調結果から選ばれる補正されたリアルタイム復調結果と、前記複数のリアルタイムデフォーカス量Hiから選ばれるリアルタイムデフォーカス量とに基づいて、前記データベースは構築される、請求項1又は2に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項4】
前記ステップ4)において、前記データベースは、線形補間方法(linear interpolation method)を用いて検索される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項5】
前記スキャンミラーの振幅値θは、θ=|α−β|/2に従って、前記スキャンミラーのサンプルされた振動角度α及びβから得られ、
ここで、前記振動角度α及びβは、それぞれ、前記スキャンミラーのフィードバック矩形波(feedback square wave)の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに相当し、前記光検出器から出力される電圧値は、それぞれ、前記スキャンミラーの前記フィードバック矩形波の前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジに相当する電圧値A及びBを含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項6】
前記ステップ2)において、前記複数の補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するために、複数回、前記スキャンミラーの前記振幅を調整して、前記スキャンミラーの複数のリアルタイム振幅値θiと、前記光検出器から出力される前記複数のリアルタイム電圧値Ai及びBiとをサンプリングすることは:
下限から上限に向かって(中央値は前記理論的な振幅値θ0である)単調に前記スキャンミラーの振幅を変えること、及び、それぞれの変化後において、前記スキャンミラーの現在のリアルタイム振幅値θiと、前記光検出器から出力される現在のリアルタイム電圧値Ai及びBiとをサンプリングすること;
Mi=θi/θ0とNi=(Ai+Bi)/(A0+B0)とを計算すること、及び、多項式Ni=f(Mi)を得るために、従属変数としてのNiに対して独立変数としてのMiをフィッティングすること、ここで、A0及びB0は、前記光検出器から出力される理論的な電圧値である;及び
θi、Ai、Bi、θ0、A0、B0と多項式の係数に基づいて、Si=(Ai−Bi)*f(θi/θ0)/(Ai+Bi)に従って、前記補正されたリアルタイム復調結果Siを計算すること、
を備える、請求項5に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項7】
前記格子スケールは、格子と、前記格子と共に用いられる格子読み取りヘッドを備える、請求項1に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項8】
前記格子は、前記スキャンミラーの振動シャフトに刻設される、請求項7に記載のデフォーカス検知方法。
【請求項9】
前記制御モジュールは、駆動ラインを介して一定の周波数で振動するように前記スキャンミラーを駆動し、
前記格子読み取りヘッドは、リアルタイムで前記スキャンミラーの前記振動角度を読み込み、フィードバックラインを介して前記振動角度を前記制御モジュールにフィードバックするように、構成される、請求項8に記載のデフォーカス検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検知技術分野に関し、特に、振幅モニタシステム、フォーカシング・レベリング装置、及び、デフォーカス検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
投影フォトリソグラフィー・ツールは、投影対物レンズによって、マスク・パターンのイメージをウェハーに投影する装置である。ウェハー上で比較的高い精度で投影イメージを作るために、正確に、オートフォーカシング・レベリング装置を用いる指定された露光位置に、ウェハーを持ってくることが必要である。
【0003】
米国特許第4558949号明細書は、
図1に示すように、フォーカシング及びレベリングのための検知装置を記載している。当該検知装置は:照明ユニット101、投影スリット102、第1の平面反射器103、第2の平面反射器105、スキャンミラー106、検知スリット107と光検出器108を備える。照明ユニット101から出射された光は、投影スリット102を通過して、それからウェハー面104上へ第1の平面反射器103により反射され、そして、その上に投影スポットを形成する。次に、ウェハー面104は、第2の平面反射器105上へ光を反射し、第2の平面反射器105は、スキャンミラー106へ当該光を反射する。スキャンミラー106は、光信号の信号対雑音比(SNR)を向上するため、定期的に単振動することによって、光信号を変調する。スキャンミラー106からの光は、検知スリット107を通過して、光検出器108に入射し、光検出器108は、受信した光の強さに相当する電圧信号を出力する。よって、スキャンミラー106による変調の影響によって、光検出器108から出力された信号出力は、定期的に変化する動的な電圧信号である。最後に、ウェハー面104のデフォーカスを検出するために、スキャンミラーからのフィードバック矩形波と結合された動的な電圧信号は分析及び処理される。
フォーカシング・レベリング・システムのための変調基準のため、スキャンミラーは長時間動作する必要があるが、熱、圧力、湿気及び他の要因に影響されやすいためにその操作安定性が損なわれ、これにより、検知装置のウェハー面のデフォーカス検知精度を低下させる可能性がある。
【0004】
図2は、理論的な振幅値及び実際の振幅値における復調結果、対、デフォーカスプロフィールを示す。
図2に示すプロフィールは、位相差検知方法から得られる。図から明らかであるように、スキャンミラーの振幅安定性は、デフォーカス検知に大きな影響を有する。したがって、この方法は、特定の限界を被っている。当業者は、そのような検知装置のため、ウェハー面デフォーカス測定の精度を増加する解決策を探していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4558949号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、振幅モニタシステム、フォーカシング・レベリング装置、及び、デフォーカス検知方法を提供することにより、従来の検知装置の使用において生じる、長時間オペレーションの後において走査ミラーの安定性が低下することによって、ウェハー面デフォーカス測定の精度が低くなるという問題を扱うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、スキャンミラーと、前記スキャンミラーを単振動するように駆動する制御モジュールと、を備える振幅モニタシステムを提供する。前記スキャンミラーは、リアルタイムでスキャンミラーの振動角度を測定するための格子スケールを備える。
【0008】
好ましくは、前記振幅モニタシステムでは、前記格子スケールは、格子と、前記格子と共に用いられる格子読み取りヘッドを備える。
【0009】
好ましくは、前記振幅モニタシステムでは、前記格子は、前記スキャンミラーの振動シャフトに刻設される。
【0010】
好ましくは、前記振幅モニタシステムでは、前記制御モジュールは、駆動ラインを介して一定の周波数で振動するように前記スキャンミラーを駆動し、格子読み取りヘッドは、リアルタイムで前記スキャンミラーの前記振動角度を読み込み、フィードバックラインを介して前記振動角度を前記制御モジュールにフィードバックするように、構成される。
【0011】
本発明は、また、光源、照明ユニット、投影スリット、フロントレンズグループ、リアレンズグループ、上記で定められる振幅モニタシステム、検知スリット、及び、光検出器、を備え、前記振幅モニタシステムにおいて、前記スキャンミラーは、単振動で定期的に振動することによって光信号を変調するように、構成される、ウェハーテーブルのデフォーカス量を検知するフォーカシング・レベリング装置を提供する。
【0012】
本発明は、また、以下のステップ:
1)スキャンミラーの振幅を理論的な振幅値θ0に調整して、光検出器から出力される、相当する理論的な電圧値を記録すること;
2)複数の補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するために、複数回、前記スキャンミラーの前記振幅を調整して、前記スキャンミラーの複数のリアルタイム振幅値θiと前記光検出器から出力された複数のリアルタイム電圧値とをサンプリングし、段階的に前記ウェハーテーブルを変位させて、前記ウェハーテーブルの複数のリアルタイムデフォーカス量Hiを記録すること(ここで、iは、1からNの範囲の自然数である);
3)前記ウェハーテーブルを変位させた後に、前記複数の補正されたリアルタイム復調結果Si、及び、前記ウェハーテーブルの前記複数のリアルタイムデフォーカス量Hiに基づいて、データベースを構築すること;及び、
4)実際の測定において、補正されたリアルタイム復調結果Skを計算するために、前記スキャンミラーの実際の振幅値θkと前記光検出器から出力された実際の電圧値とをリアルタイムでサンプリングし、前記データベースを検索することによって、ウェハーテーブルの実際のデフォーカス量Hkを見つけること(kは1からNの範囲の自然数である)
を備え、
前記スキャンミラーで変調される前記光信号は、前記光検出器で受け取られて、信号プロセッサによって復調及び復調補正を受ける、上記に定められるフォーカシング・レベリング装置を用いたデフォーカス検知方法を提供する。
【0013】
好ましくは、前記デフォーカス検知方法において、前記ステップ2)において、前記ウェハーテーブルを変位させる前に、前記ウェハーテーブルは、正のデフォーカス制限位置又は負のデフォーカス制限位置に移動される。
【0014】
好ましくは、前記デフォーカス検知方法において、前記ステップ3)において、線形関係を定める、前記複数の補正されたリアルタイム復調結果から選ばれる補正されたリアルタイム復調結果と、前記複数のリアルタイムデフォーカス量Hiから選ばれるリアルタイムデフォーカス量とに基づいて、データベースは構築される。
【0015】
好ましくは、前記デフォーカス検知方法において、前記ステップ4)において、データベースは、線形補間方法(linear interpolation method)を用いて検索される。
【0016】
好ましくは、前記デフォーカス検知方法において、前記スキャンミラーのそれぞれの振幅値θは、θ=|α−β|/2に従って、前記スキャンミラーのサンプルされた振動角度α及びβから得られる。ここで、前記振動角度α及びβは、それぞれ、前記スキャンミラーのフィードバック矩形波(feedback square wave)の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに相当し、前記光検出器から出力される電圧値は、それぞれ、前記スキャンミラーの前記フィードバック矩形波の前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジに相当する電圧値A及びBを含む。
【0017】
好ましくは、前記デフォーカス検知方法において、前記ステップ2)において、前記複数の補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するために、複数回、前記スキャンミラーの前記振幅を調整して、前記スキャンミラーの複数のリアルタイム振幅値θiと、前記光検出器から出力される前記複数のリアルタイム電圧値Ai及びBiとをサンプリングすることは:
下限から上限に向かって(中央値は前記理論的な振幅値θ0である)単調に前記スキャンミラーの振幅を変えること、及び、それぞれの変化後において、前記スキャンミラーの現在のリアルタイム振幅値θiと、前記光検出器から出力される現在のリアルタイム電圧値Ai及びBiとをサンプリングすること;
Mi=θi/θ0とNi=(Ai+Bi)/(A0+B0)とを計算すること、及び、多項式Ni=f(Mi)を得るために、従属変数としてのNiに対して独立変数としてのMiをフィッティングすること、ここで、A0及びB0は、前記光検出器から出力される理論的な電圧値である;及び
θi、Ai、Bi、θ0、A0、B0と多項式の係数に基づいて、Si=(Ai−Bi)*f(θi/θ0)/(Ai+Bi)に従って、前記補正されたリアルタイム復調結果Siを計算すること、
を備える。
【0018】
本発明に係る、振幅モニタシステム、フォーカシング・レベリング装置、デフォーカス検知方法において、スキャンミラーの振幅は調整され、スキャンミラーのリアルタイム振幅値と光検出器のリアルタイム出力電圧値はサンプリングされる。それから、補正されたリアルタイム復調結果Siは計算され、ウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiが記録される。それから、補正されたリアルタイム復調結果Siとウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiとに基づいて、データベースは構築される。実際の測定において、補正された実際の復調結果Skの計算のために、スキャンミラーの実際の振幅値と光検出器の実際の出力電圧値はリアルタイムでサンプリングされる。線形補間方法は、ウェハーテーブルの実際のデフォーカス量Hkを得るために、データベースを検索するのに用いられる。これにより、長時間オペレーションに起因するスキャンミラーの安定性の低下によって、フォーカシング・レベリング装置のウェハー面のデフォーカス測定精度が低下するのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、米国特許第4558949号明細書に記載された、フォーカシング及びレベリングのための検知装置を示す。
【
図2】
図2は、スキャンミラーの理論的及び実際の振幅値における、復調結果対デフォーカスプロファイルを示す。
【
図3】
図3は、振幅モニタシステムの構造概略図である。
【
図4】
図4は、スキャンミラーによって変調され、異なる時間間隔で形成される光スポットと検知スリットとの関係を示す図である。
【
図5】
図5は、スキャンミラーのフィードバック矩形波、光検出器のリアルタイム出力電圧値、及び、スキャンミラーのリアルタイム振幅値θiのシミュレーションされた関係を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るデフォーカス検知方法を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、フォーカシング・レベリング装置を用いた補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するプロセスを説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、データベースを構築するプロセスを説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、デフォーカス検知方法の適用前で得られるデフォーカス精度と適用後で得られるデフォーカス精度との比較結果を説明する図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係るフォーカシング・レベリング装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る、振幅モニタシステム、フォーカシング・レベリング装置、及び、デフォーカス検知方法は、添付の図面と特定の実施形態を参照して、より詳細に記述される。発明の特徴および効果は、以下の詳しい説明から、並びに、添付の特許請求の範囲からより明らかになるであろう。なお、図面は、実施形態の説明における簡便さ及び明確さのために、寸法を提示する必要のない非常に単純化された形式で提供されたものである。
【0021】
図3は、本発明に係る振幅モニタシステムの構造概略図である。この図に示されるように、単振動で動作するようにスキャンミラー201を駆動するため、振幅モニタシステムは、スキャンミラー201と制御モジュール200を備える。スキャンミラー201は、スキャンミラーのリアルタイム振動角度を測定するように構成される格子スケール204を、備えている。
【0022】
本実施形態において、格子スケール204は、格子203と、格子203と共に用いられる格子読み取りヘッド202を備える。格子203は、スキャンミラー201の振動シャフトに刻設される。制御モジュール200は、駆動ラインを介してスキャンミラー201を一定の周波数で振動するように駆動する。格子読み取りヘッド202は、スキャンミラー201のリアルタイム振動角度を読み込み、それから、フィードバックラインを介して当該リアルタイム振動角度を制御モジュール200にフィードバックするように、構成される。
【0023】
あるいは、半導体装置製造の分野に加えて、光学的検知装置がスキャンミラーを使う必要がある他の分野に、スキャンミラーは、適用されてもよい。
【0024】
本実施形態では、
図10に示すように、ウェハーテーブル305のデフォーカス量を検知するフォーカシング・レベリング装置も提供される。フォーカシング・レベリング装置は、基本的に、光源301、照明ユニット302、投影スリット303、フロントレンズグループ304、リアレンズグループ306、上記で定められる振幅モニタシステム307(当該図において、振幅モニタシステムのスキャンミラーだけ概略的に図示されている)、検知スリット308、及び、光検出器309を備える。
図3と共に参照して、振幅モニタシステム307のスキャンミラー201は、単振動で定期的に振動することによって、光信号を変調する。
【0025】
したがって、本実施形態において、上記のフォーカシング・レベリング装置を用いるデフォーカス検知方法も提供される。スキャンミラー201によって変調される光信号は、光検出器で受け取られて、それから、信号プロセッサで行われる復調と復調補正を受ける。ここで、
図6には、本発明の実施形態に係るデフォーカス検知方法を示すフローチャートが示されている。
図6に示すように、デフォーカス検知方法は、特に下記のようにステップを含む。
【0026】
まず、ステップS1において、スキャンミラーの振幅が理論的な値に調整され、そして、光検出器の相当する理論的な出力電圧値が記録される。
【0027】
次に、ステップS2において、スキャンミラーの振幅は修正され、そして、スキャンミラーのリアルタイム振幅値と光検出器のリアルタイム出力電圧値はサンプリングされ、補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するのに用いられる。次に、ウェハーテーブルは段階的に変位され、そして、ウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiが記録される。ここで、ウェハーテーブルの段階的に変位させる前に、ウェハーテーブルは、正のデフォーカス制限位置又は負のデフォーカス制限位置へ移動される。段階的に変位させることによって、ウェハーテーブルは、正のデフォーカス制限位置と負のデフォーカス制限位置との間の位置に移動される。
【0028】
本実施形態では、スキャンミラーのそれぞれの振幅値θは、θ=|α−β|/2(α及びβは、それぞれ、スキャンミラーのフィードバック矩形波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジと一致する)に従って、相当する、サンプリングされた振動角度α及びβから得られる。光検出器の出力電圧値は、フィードバック矩形波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとにそれぞれ相当する値AとBを含む。
【0029】
図5は、スキャンミラーのフィードバック矩形波、光検出器のリアルタイム出力電圧値、及び、スキャンミラーのリアルタイム振幅値θiのシミュレーションされた関係を示す図である。ここで、フィードバック矩形波は、同期矩形波(synchronous square wave)である。光検出器のリアルタイム出力電圧値は、Ai及びBiによって示され、スキャンミラーの振幅θiにおいて(ここで、θi=|αi−βi|/2である。)、フィードバック矩形波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジと一致する。
図5は、スキャンミラーのフィードバック矩形波の1サイクル分のみを示している。
【0030】
図5、さらに
図7を参照すると、
図7は、フォーカシング・レベリング装置を用いて、補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するプロセス(すなわち、
図6のステップS2)を示すフローチャートである。
図7に示すように、スキャンミラーの振幅を調整して、スキャンミラーの振幅のリアルタイム値と光検出器のリアルタイム出力電圧とをサンプリングし、補正されたリアルタイム復調結果Siを計算するプロセスは、下記のステップを含む。
【0031】
まず、ステップS100において、スキャンミラーの振幅を、理論的な振幅θ0を中央値として、下限から上限に段階的に変化させる。それぞれのステップにおいて、スキャンミラーの現在の振幅値θiと光検出器の現在の出力電圧値Ai及びBiは、リアルタイムでサンプリングされる。
【0032】
次に、ステップS101において、MiはMi=θi/θ0に従って計算され、NiはNi=(Ai+Bi)/(A0+B0)に従って計算され、そして、多項式Ni=f(Mi)を得るために、独立変数としてのMiは従属変数としてのNiに対してフィッティングされる。ここで、A0とB0は、θ0の振幅値におけるスキャンミラーのフィードバック矩形波の立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジにそれぞれ相当する、光検出器の理論的な出力電圧値である。
【0033】
次に、ステップS102において、Ai、Bi、θ0、A0、B0と多項式の係数に基づいて、補正されたリアルタイム復調結果Siは、(Ai−Bi)*f(θi/θ0)/(Ai+Bi)として計算される。
【0034】
次に、ステップS3において、ウェハーテーブルを段階的に変位させた後、データベースは、選ばれた補正されたリアルタイム復調結果Siとウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiとに基づいて、構築される。
【0035】
好ましくは、選ばれた補正されたリアルタイム復調結果Siとウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiとは(これらに基づいてデータベースが構築される)、線形関係を定める。
【0036】
ここで、
図8は、データベースを構築するプロセスを示すフローチャートである。まず、
図8に示すように、ステップS200において、ウェハーテーブルは、理想的なデフォーカス量H0に基づいて、正のデフォーカス制限位置又は負のデフォーカス制限位置に移動される。次に、ステップS201において、ウェハーテーブルは段階的に変位され、補正されたリアルタイム復調結果Siが計算される。次に、ステップS202において、ウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hi(すなわち、高さの値Hi)が読み込まれる。次に、ステップS203において、読み込んだリアルタイムデフォーカス量Hiが理想的な量H0に関連する測定範囲を超えるか否かが決定される。当該決定が否定的である場合、ステップS201は繰り返される。当該決定がポジティブである場合、当該方法はステップS204へ進み、線形関係を定める、補正されたリアルタイム復調結果Siとリアルタイムデフォーカス量とが、データベースを構築するために選ばれる。
【0037】
次に、ステップS4において、実際の補正されたリアルタイム復調結果Skを計算するために、実際の測定が実行され、スキャンミラーの実際の振幅値と光検出器の実際の出力電圧値がサンプリングされ、これらに基づいて、ウェハーテーブルの実際のデフォーカス量Hkは、線形補間方法を使用してデータベースから見つけられる。
【0038】
具体的には、実際のデフォーカス測定では、実際の補正されたリアルタイム復調結果SkはステップS100−S102の結果に基づいて計算され、実際のデフォーカス量Hkは、線形補間方法を使用して、構築されたデータベースから見つけられる。ステップS3で構築さたるデータベースに基づいてHkが得られるため、デフォーカス測定精度の改善が成し遂げられる。好ましくは、ここで
図9を参照すると、デフォーカス検知方法の適用前で得られるデフォーカス精度と適用後で得られるデフォーカス精度との比較結果を説明する図である。
図9から明らかなように、デフォーカス精度の変動は低減され、開示したデフォーカス検知方法の使用によって、デフォーカス検知精度に著しい改善が示された。
【0039】
測定精度に対するスキャンミラーの振幅の不安定性の影響を最小にするために、ここで、
図4を参照すると、当該図は、スキャンミラーによって変調され、異なる時間間隔で形成される光スポットと検知スリットとの関係を示す図である。
図4に示すように、検知スリットが幅d及び長さLを有し、ウェハーのデフォーカスが検知スリットと関連して投影スポットのオフセットΔdを引き起こすと仮定すると、スキャンミラーで変調される投影スポットは、±d/2の範囲内で幅dの方向に沿って、検知スリットに関して垂直に振動し、異なる時間間隔における検知スリットと光スポットとの位置関係が当該図に概略的に示される。一般に、スキャンミラーが高い周波数で振動するため、1つの振動サイクルにおいて、位置Aがフィードバック矩形波の立ち上がりエッジでサンプリングされる値に相当し、位置Bがフィードバック矩形波の立ち下がりエッジでサンプリングされる値に相当すると仮定すると、位置Aと位置Bにおけるスキャンミラーの振動角度は、符号が逆の同じ大きさを持つと考えることができる。このように、スキャンミラーの振幅θにおける変化は、(A−B)には影響を与えず、(A+B)にのみ影響を与える。さらに、スキャンミラーの理論的な振幅値θ0に対するスキャンミラーのリアルタイム振幅値θiの比率Miは、理論的な電圧値(A0+B0)に対する実際の電圧値(Ai+Bi)の比に一意的にマップされる。したがって、MiとNiとの間の関数を、すなわち、フィッティングされた多項式Ni=f(Mi)を、スキャンミラーのリアルタイム振幅θiのリアルタイム・モニタリングから前もって得ることができる。そのため、その後の自身較正測定において、スキャンミラーのモニタされたリアルタイム振幅値θiと実際にサンプリングされたリアルタイム電圧値(Ai+Bi)に基づいて、多項式Ni=f(Mi)から、理想的な電圧値(A+B)を得ることができる。これにより、測定精度に対するスキャンミラー振幅不安定性の影響を除去することができる。
【0040】
要約すると、本発明に係る振幅モニタシステム、フォーカシング・レベリング装置、及び、デフォーカス検知方法において、スキャンミラーの振幅が調整され、スキャンミラーのリアルタイム振幅値と光検出器のリアルタイム出力電圧値とがサンプリングされる。それから、補正されたリアルタイム復調結果Siが計算され、ウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiが記録される。それから、補正されたリアルタイム復調結果Siとウェハーテーブルのリアルタイムデフォーカス量Hiとに基づいてデータベースが構築される。実際の測定において、補正された実際の復調結果Skを計算するために、スキャンミラーの実際の振幅値と光検出器の実際の出力電圧値はリアルタイムでサンプリングされる。ウェハーテーブルの実際のデフォーカス量Hkを得るために、データベースを検索するのに線形補間方法が用いられる。これにより、長時間オペレーションに起因するスキャンミラーの安定性の低下によって、フォーカシング・レベリング装置のウェハー面のデフォーカス測定精度が低下するのを防止する。
【0041】
前述の説明は、単に本発明の2、3の好ましい実施形態を提示するものであり、いかなる意味においてもその範囲を制限しない。当業者によって上記記載を考慮してなされるすべての変更又は修正は、添付の特許請求の範囲に記載された保護範囲に入る。