【実施例】
【0092】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例4、6、9、及び14は参考例として記載するものである。なお、「MeI」はヨウ化メチル、「MA」は酢酸メチルを示す。液相部の組成分析において、水濃度はカールフィッシャー水分測定法、ギ酸濃度は液体クロマトグラフィー、ロジウム濃度はICP分析(又は原子吸光分析)、ヨウ化リチウム濃度については、LiをICP分析、ヨウ素を電気滴定分析、その他の成分の濃度はガスクロマトグラフィーにより測定した。気相部の各ガス成分の分圧は、全圧とガスクロマトグラフィーにより測定した各ガス成分濃度より算出した。「%」、「ppm」はそれぞれ「質量%」、「質量ppm」を意味する。
【0093】
比較例1
ジルコニウム製オートクレーブ1000mlに、初期張り込みMeI 10%、MA 4%、水2.5%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)
2I
2]
-)500ppm(金属換算)、その他酢酸の組成となるように原料を仕込み、N
2置換後(N
2大気圧ホールド)に、H
2分圧510kPa(絶対圧)、CO
2分圧70kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込み、オイルバスにて180℃に維持して30分保持した。冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は88ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中8分後、実験終了時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0094】
比較例2
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 5%、水2.5%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)
2I
2]
-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧510kPa(絶対圧)、CO
2分圧70kPa(絶対圧)、CO分圧1.5MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込み、温度170℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は102ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中9分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0095】
比較例3
初期張り込み組成を、MeI 40%、MA 5%、水2%、ギ酸52ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧5kPa(絶対圧)、CO
2分圧10kPa(絶対圧)、CO分圧20kPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込み、温度100℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は49ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時、実験終了時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0096】
比較例4
初期張り込み組成を、水50%、MeI 5%、MA 5%、ギ酸50ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧5kPa(絶対圧)、CO
2分圧2kPa(絶対圧)、CO分圧10kPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込み、温度100℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は48ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0097】
比較例5
初期張り込み組成を、水0.2%、ギ酸51ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧1kPa(絶対圧)、CO
2分圧1kPa(絶対圧)、CO分圧10kPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込み、温度100℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は50ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0098】
比較例6
初期張り込み組成を、MeI 1.0%、MA 1.1%、水2.3%、、LiI 19.5%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)
2I
2]
-)670ppm(金属換算)、ギ酸50ppm、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧5.3kPa(絶対圧)、CO
2分圧23kPa(絶対圧)、CO分圧0.004MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込み、温度145℃で5分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は49ppmであった。MA濃度は1.0%とほとんど変わらなかった。また、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0099】
実施例1
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 4%、水2.5%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)
2I
2]
-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧105kPa(絶対圧)、CO
2分圧69kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、比較例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は48ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中8分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0100】
実施例2
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 4%、水2%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)
2I
2]
-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧50kPa(絶対圧)、CO
2分圧65kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、実施例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は35ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中6分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0101】
実施例3
初期張り込み組成を、MeI 10%、MA 4%、水2%、LiI 15%、ロジウム錯体触媒([Rh(CO)
2I
2]
-)500ppm(金属換算)、酢酸残りとなるように仕込み、H
2分圧20kPa(絶対圧)、CO
2分圧60kPa(絶対圧)、CO分圧1.6MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、実施例1と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は28ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中5分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0102】
実施例4
温度188℃で30分保持したこと以外は、比較例1と同様の実験を行った。冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は21ppmであった。MA濃度は0.1%にまで低下したが、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時、実験途中8分後の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0103】
実施例5
温度110℃で30分保持したこと以外は、比較例3と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は45ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0104】
実施例6
温度110℃で30分保持したこと以外は、比較例4と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は43ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0105】
実施例7
温度110℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は44ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0106】
実施例8
温度120℃で30分保持したこと以外は、比較例3と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は38ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0107】
実施例9
温度120℃で30分保持したこと以外は、比較例4と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は32ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0108】
実施例10
温度120℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は36ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0109】
実施例11
初期張り込み組成において、水濃度を0.1%、ギ酸濃度を52ppmとしたこと、及び温度140℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は22ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0110】
実施例12
初期張り込み組成において、水濃度を0.1%、ギ酸濃度を52ppmとしたこと、及び温度150℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は13ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0111】
実施例13
初期張り込み組成において、水濃度を0.1%、ギ酸濃度を52ppmとしたこと、COを仕込まなかったこと、及び温度150℃で30分保持したこと以外は、比較例5と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は15ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0112】
実施例14
初期張り込み組成を、MeI 5%、MA 5%、水5%、ギ酸50ppm、酢酸残りとしたこと、及び温度150℃で30分保持したこと以外は、比較例4と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は17ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0113】
実施例15
H
2分圧0.5kPa(絶対圧)、CO
2分圧0.3kPa(絶対圧)、CO分圧4kPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、実施例8と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は31ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0114】
実施例16
滞留時間を5分にしたこと以外は実施例15と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は39ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0115】
実施例17
滞留時間を2分にしたこと以外は実施例15と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は44ppmであった。触媒を添加していないため、カルボニル化反応は起きず、ギ酸以外の基本的な組成の変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0116】
実施例18
H
2分圧1.2kPa(絶対圧)、CO
2分圧0.5kPa(絶対圧)、CO分圧0.004MPa(絶対圧)となるよう、H
2、CO
2、COをオートクレーブに仕込んだこと以外は、比較例6と同様の実験を行い、冷却後、液をサンプリングし、組成分析を行ったところ、ギ酸濃度は38ppmであった。MA濃度は1.0%とほとんど変わらなかった。また、その他の組成に大きな変化は無かった。なお、実験開始時の組成分析の結果、及び実験終了時のギ酸濃度を下記表に示す。
【0117】
比較例及び実施例の条件及び結果を表1及び2に示す。表1及び2において、「PH2」は水素分圧、「PCO2」は二酸化炭素分圧、「PCO」は一酸化炭素分圧を示す。表中、酢酸濃度について「残り」としているが、実際には、サンプリング液に、反応混合物についての説明箇所で述べた副生成物等の不純物がトータルで1ppm〜1%含まれている場合がある。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
[結果の考察]
・比較例1と実施例1〜3より、H
2、CO
2分圧が低いほど、ギ酸の生成量は少なく、ギ酸がH
2、CO
2分圧にほぼ比例して生成していることが分かる。
・比較例1,2と実施例4より、温度が高いほど、ギ酸の生成は抑えられることがわかる。
・比較例3と実施例5、8より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・比較例4と実施例6、9より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・比較例5と実施例7、10より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・実施例11、12より、組成が比較例1と違う条件においても、温度が高いほど、ギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・実施例12、13より、COが存在しなくても、ギ酸分解速度への影響はほとんどないことが分かる。
・実施例14と12は、組成が幾分違うが、高温条件では、同様にギ酸の分解が促進されていることが分かる。
・実施例8と15より、H
2,CO
2分圧を低下させるとギ酸の分解が促進されることが分かる。
・実施例15〜17より、滞留時間が長いほうがギ酸の分解が促進されることが分かる。
・比較例6と実施例18より、H
2,CO
2分圧を低下させるとギ酸の分解が促進されることが分かる。
【0121】
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記しておく。
[1]酢酸の製造プロセスにおいて、下記(i)の操作条件を満たす工程及び下記(ii)の操作条件を満たす工程から選択される少なくとも1つの工程を有することを特徴とする酢酸の製造方法。
(i)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が175℃を超える操作条件
(ii)水素分圧が5kPa(絶対圧)以下、二酸化炭素分圧が20kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件
[2]前記(i)において、水素分圧(絶対圧)が400kPa以下(好ましくは300kPa以下、より好ましくは200kPa以下、さらに好ましくは150kPa以下)である[1]記載の酢酸の製造方法。
[3]前記(i)において、水素分圧(絶対圧)が1kPa超(あるいは5kPa超)である[1]又は[2]記載の酢酸の製造方法。
[4]前記(i)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が60kPa以下(好ましくは50kPa以下、より好ましくは40kPa以下、さらに好ましくは30kPa以下)である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[5]前記(i)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が2kPa以上(あるいは20kPa以上)である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[6]前記(i)において、操作温度が178℃以上(好ましくは181℃以上、より好ましくは184℃以上)である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[7]前記(i)において、操作温度が250℃以下(好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下)である[1]〜[6]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[8]前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が4kPa以下(好ましくは3kPa以下、より好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下)である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[9]前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が18kPa以下(好ましくは16kPa以下、より好ましくは14kPa以下、さらに好ましくは12kPa以下)である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[10]前記(ii)において、操作温度が102℃以上(好ましくは104℃以上、より好ましくは106℃以上、さらに好ましくは112℃以上)である[1]〜[9]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[11]前記(ii)において、操作温度が250℃以下(好ましくは200℃以下、より好ましくは175℃以下)である[1]〜[10]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[12]前記(ii)において、水素分圧が1kPa(絶対圧)以下、且つ二酸化炭素分圧が2kPa(絶対圧)未満である[1]〜[11]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[13]前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が0.9kPa以下(好ましくは0.8kPa以下)である[12]記載の酢酸の製造方法。
[14]前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が1.8kPa以下(好ましくは1.5kPa以下、より好ましくは1.0kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)である[12]又は[13]記載の酢酸の製造方法。
[15]前記(i)の操作条件を満たす反応工程を有する[1]〜[14]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[16]前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜90質量%)、ギ酸濃度が102質量ppm以下(例えば0〜102質量ppm)である[15]記載の酢酸の製造方法。
[17]前記反応工程における反応混合液中の酢酸濃度が50〜90質量%(例えば60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm(例えば200〜5000質量ppm、好ましくは400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%(例えば5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%(例えば5〜20質量%)、水濃度が0.1〜15質量%(例えば0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%(例えば1〜10質量%)、ギ酸濃度が102質量ppm以下(例えば85質量ppm以下)である[15]又は[16]記載の酢酸の製造方法。
[18]前記反応工程における反応混合物中のギ酸濃度が0〜102質量ppm(好ましくは0〜85質量ppm、より好ましくは0〜50質量ppm)である[15]〜[17]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[19]前記(ii)の操作条件を満たす蒸発工程又は蒸留工程を有する[1]〜[18]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[20]前記蒸発工程において、蒸発槽への仕込液中の酢酸濃度が50〜90質量%(例えば60〜80質量%)、金属触媒濃度(金属換算)が200〜10000質量ppm(例えば200〜5000質量ppm、好ましくは400〜2000質量ppm)、ヨウ化メチル濃度が1〜20質量%(例えば5〜15質量%)、イオン性ヨウ化物濃度が1〜25質量%(例えば5〜20質量%)、水濃度が0.1〜15質量%(例えば0.8〜10質量%)、酢酸メチル濃度が0.1〜30質量%(例えば1〜10質量%)、ギ酸濃度が10000質量ppm以下(例えば0〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[21]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[22]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%(例えば50〜75質量%)、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%(例えば5〜30質量%)、水濃度が0.2〜20質量%(例えば1〜15質量%)、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%(例えば2〜30質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[23]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%(例えば90〜99.9質量%、好ましくは93〜99質量%)、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、水濃度が0.05〜18質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、好ましくは0.2〜5質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[24]前記蒸留工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、好ましくは10〜500質量ppm、さらに好ましくは15〜200質量ppm、特に好ましくは20〜100質量ppm)である[19]記載の酢酸の製造方法。
[25]酢酸の製造プロセスが、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程、及び前記蒸気流を蒸留に付して低沸成分に富むオーバーヘッド流と酢酸に富む第1酢酸流とに分離する脱低沸工程を有しているか、又は、これらの工程に加えて、さらに下記(a)〜(d)の少なくとも1つの工程を有している[1]〜[24]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
(a)前記第1酢酸流を蒸留して、水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とに分離する脱水工程
(b)前記第1若しくは第2酢酸流を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
(c)前記第1若しくは第2若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
(d)前記第1若しくは第2若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
[26]前記カルボニル化反応工程が、前記(i)の操作条件を満たす[25]記載の酢酸の製造方法。
[27]前記蒸発工程、脱低沸工程、脱水工程、脱高沸工程及び製品工程から選択された少なくとも1つの工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]又は[26]記載の酢酸の製造方法。
[28]前記蒸発工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[27]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[29]前記蒸発工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が4kPa以下(好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.8kPa以下)である[28]記載の酢酸の製造方法。
[30]前記蒸発工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が12kPa以下(好ましくは8kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下)である[28]又は[29]記載の酢酸の製造方法。
[31]前記蒸発工程が満たす前記(ii)において、操作温度が112℃以上(好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、上限は、例えば260℃、好ましくは200℃、より好ましくは180℃(あるいは170℃若しくは160℃))である[28]〜[30]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[32]前記脱低沸工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[31]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[33]前記脱低沸工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が4kPa以下(好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下)である[32]記載の酢酸の製造方法。
[34]前記脱低沸工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が12kPa以下(好ましくは8kPa以下、より好ましくは3kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下)である[32]又は[33]記載の酢酸の製造方法。
[35]前記脱低沸工程が満たす前記(ii)において、操作温度が112℃以上(好ましくは114℃以上、上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、より好ましくは150℃(あるいは140℃若しくは130℃))である[32]〜[34]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[36]前記脱低沸工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)である[32]〜[35]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[37]前記脱低沸工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が40〜85質量%(例えば50〜85質量%、好ましくは50〜75質量%、より好ましくは55〜75質量%)、ヨウ化メチル濃度が2〜50質量%(例えば5〜30質量%)、水濃度が0.2〜20質量%(例えば1〜15質量%)、酢酸メチル濃度が0.2〜50質量%(例えば2〜30質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である[32]〜[35]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[38]前記脱水工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[37]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[39]前記脱水工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が2kPa以下(好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下)である[38]記載の酢酸の製造方法。
[40]前記脱水工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が5kPa以下(好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)である[38]又は[39]記載の酢酸の製造方法。
[41]前記脱水工程が満たす前記(ii)において、操作温度が120℃以上(好ましくは130℃以上、上限は、例えば170℃、好ましくは165℃、より好ましくは160℃、さらに好ましくは155℃)である[38]〜[40]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[42]前記脱水工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が30質量%以上(例えば30〜99.999質量%)、ギ酸濃度が5質量ppm以上(例えば5〜10000質量ppm)である[38]〜[41]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[43]前記脱水工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が80〜99.9質量%(例えば90〜99.9質量%、特に93〜99質量%)、ヨウ化メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、水濃度が0.05〜18質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、酢酸メチル濃度が0.01〜16質量%(例えば0.1〜8質量%、特に0.2〜5質量%)、ギ酸濃度が5〜10000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である[38]〜[41]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[44]前記脱高沸工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[43]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[45]前記脱高沸工程が満たす前記(ii)において、水素分圧(絶対圧)が2kPa以下(好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下)である[44]記載の酢酸の製造方法。
[46]前記脱高沸工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が5kPa以下(好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)である[44]又は[45]記載の酢酸の製造方法。
[47]前記脱高沸工程が満たす前記(ii)において、操作温度が120℃以上(好ましくは130℃以上、上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、さらに好ましくは155℃)である[44]〜[46]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[48]前記脱高沸工程において、蒸留塔への仕込液中の酢酸濃度が99.1〜99.99質量%、ギ酸濃度が5〜9000質量ppm(例えば10〜1000質量ppm、より好ましくは10〜500質量ppm、特に15〜200質量ppm、とりわけ20〜100質量ppm)である[44]〜[47]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[49]前記製品工程が、前記(ii)の操作条件を満たす[25]〜[48]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[50]前記製品工程が満たす前記(ii)において、水素分圧が(絶対圧)が2kPa以下(好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.5kPa以下)である[49]記載の酢酸の製造方法。
[51]前記製品工程が満たす前記(ii)において、二酸化炭素分圧(絶対圧)が5kPa以下(好ましくは2kPa以下、より好ましくは1kPa以下、さらに好ましくは0.5kPa以下)であるである[49]又は[50]記載の酢酸の製造方法。
[52]前記製品工程が満たす前記(ii)において、操作温度が120℃以上(好ましくは130℃以上、上限は、例えば165℃、好ましくは160℃、より好ましくは155℃)である[49]〜[51]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[53]前記製品工程において、製品塔への仕込液中の酢酸濃度が99.8〜99.999質量%、ギ酸濃度が5〜2000質量ppm(例えば5〜1000質量ppm、特に5〜100質量ppm)である[49]〜[52]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[54]前記(i)の操作条件を満たす工程又は前記(ii)の操作条件を満たす工程における滞留時間が1分以上(例えば5分以上、特に10分以上)である[1]〜[53]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[55]前記(i)の操作条件を満たす工程又は前記(ii)の操作条件を満たす工程における滞留時間が2時間以下(好ましくは1時間以下)である[54]記載の酢酸の製造方法。
[56]ギ酸濃度が10質量ppm以上(例えば10〜10000質量ppm、好ましくは15〜1000質量ppm、さらに好ましくは20〜200質量ppm)のプロセス液を、(iii)水素分圧が500kPa(絶対圧)未満、二酸化炭素分圧が70kPa(絶対圧)未満、且つ操作温度が100℃を超える操作条件を満たす工程にリサイクルする[1]〜[55]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[57]酢酸の製造プロセスが少なくとも1つの蒸留工程を有しており、当該少なくとも1つの蒸留工程における蒸留塔の塔頂液を前記(i)の操作条件を満たす工程及び/又は前記(ii)の操作条件を満たす工程にリサイクルする[1]〜[56]のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[58]前記蒸留塔の塔頂液のリサイクル先が反応工程及び/又は当該蒸留塔に係る蒸留工程よりも上流に位置する蒸発工程若しくは蒸留工程である[57]記載の酢酸の製造方法。
[59]前記(iii)の操作条件を満たす工程が、前記反応工程、蒸発工程、脱低沸工程及び脱水工程から選択された少なくとも1つの工程である[57]又は[58]記載の酢酸の製造方法。