【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示に記載の全ての数値パラメータの範囲は、任意の及び全て部分範囲又は本明細書に包含される「中間的上位概念」を含むことを理解されたい。例えば、AC電力周波数の値に関して提示された1から20kHzの範囲は、最小値1kHz又はそれ以上から始まり、最大値20kHz又はそれ未満で終わる、例えば1.0から5、2.0から10.0、又は15−19kHzである、任意の及び全ての部分範囲を含むと見なすべきである。
【0017】
本開示は、分散型電力管理コントローラを含む宇宙飛翔体用の電力管理システムを使用することで、前述の問題点の少なくとも一部のための解決策を提供し、各コントローラは、ソーラーセルストリング、ソーラーセルモジュール、もしくはソーラーセルパネル、プラットフォーム又はアレイのいずれかに関連する。
【0018】
1つの態様において、本開示は宇宙飛翔体用の電力管理システムを提供し、システムは、複数のパネルを有する太陽電池アレイであって、各パネルは、1又は2以上のソーラーセルストリングを含み、各ソーラーセルストリングは、直列に接続されて直流(DC)電力を発生する複数の太陽電池セルを含む、太陽電池アレイと;1又は2以上のソーラーセルストリングの各々に配置され、パネル内の1又は2以上のソーラーセルストリングから発生したDC電力を調整し、この電力を少なくとも1つの電気接続ラインを介して電力ハーネスに供給して、この電力をルート電力管理ユニットに送るように構成された少なくとも1つの調節モジュールと;宇宙飛翔体に接続可能に構成された第1の端部と、太陽電池アレイに接続可能に構成された第2の端部とを有し、太陽電池で生成された電力をルート電力管理ユニットから飛翔体に伝送するように構成されたインタフェースとを備える。
【0019】
一部の実施形態において、ルート電力管理ユニットは、少なくとも1つの電力ハーネスによってインタフェースの第2の端部に接続され、ルート電力管理ユニットは、電力ハーネスからの太陽電池アレイで生成されたDC電力の形式のDC電力を高周波交流(AC)電力(例えば、1−20kHz)又は異なる電圧のDC電力に変換し、第2の端部を介して高周波AC電力又は異なる電圧のDC電力をインタフェースに伝送するように構成される。
【0020】
一部の実施形態において、少なくとも1つの電気接続ラインは、ルート電力管理なしで少なくとも1つの調節モジュールを直接、配向及び電力伝送デバイスに接続し、配向及び電力伝送デバイスは、回転式接合部を介してDC電力を送るスリップリングを含む。
【0021】
通常、太陽電池アレイの共通構成は、パネルの結合セットであり、各パネルは、各セクションに分割され、各セクションは、1又は2以上のソーラーセルストリングを含む。このストリングの各々は、直列に接続されたソーラーセルで構成され、所望のストリング電圧を得るようになっている。一部の実施形態において、各ソーラーモジュール又はパネルは、ソーラーセルを封入して外部環境に直接さらされるのを防ぐようになっている。
【0022】
一部の実施形態において、パネル上のソーラーセルは、その接点を接続することで相互接続することができ、パネルの経路上の端子パッドを適切に相互接続することで、ストリング又は電気的な直列接続及び/又は並列接続を形成するようになっている。
【0023】
本開示の意味では、飛翔体は、人間、ペイロード、又は積み荷を輸送することができ、少なくとも太陽電池アレイから発生したエネルギーによってそのシステム又はサブシステムに電力を供給することができる何らかの移動機械と理解されたい。これにより、太陽電池アレイは、飛翔体から離れて配置することができるがこれに接続され、この接続は、電気的及び/又は機械的とすることができる。太陽電池アレイと飛翔体との間の中間部分は、いわゆる両構成要素の間のインタフェースである。このインタフェースは、この構成要素の間の接続点であり、それ自体が接触面であるか又は追加の中間要素が両構成要素を接合し、上記の電気的及び/又は機械的接続をもたらすことを理解されたい。インタフェースは、飛翔体に対して接続可能な第1の端部と、太陽電池アレイに対して接続可能な第2の端部とを含む。
【0024】
インタフェースは飛翔体と太陽電池ソーラーアレイとの間に配置されるので、インタフェースは、太陽電池アレイで生成された電力を飛翔体に伝送することができる。従って、太陽電池ソーラーアレイは、エネルギー分配ラインによって電力を出力することができ、その後、電力は、電力バスラインによって飛翔体に注入されてそのシステム又はサブシステムに、すなわち、いわゆるバスサブシステム及びペイロードに供給するために、第2の端部から第1の端部へインタフェースを横切ることができる。電力を伝送する能力に加えて、インタフェースは、太陽電池ソーラーアレイと飛翔体との間の構造的及び機械的接続を可能にする。また、飛翔体の向きとは無関係に太陽電池アレイを太陽の方に向かせる必要がある場合、インタフェースは、インタフェースアレイを回転又は傾斜させる配向デバイスを含む。
【0025】
この飛翔体が宇宙で稼働するよう構成される場合、飛翔体は、何らかの目的で、例えば、宇宙飛翔体、宇宙探査機、又は衛星として意図的に軌道に投入される、何らかの移動機械である。従って、飛翔体が宇宙で動作する場合、太陽電池アレイで生成された電力は、エネルギー貯蔵バッテリを充電するために、センサに供給するために、暖房、冷房、テレメトリーを作動させるために、及び飛翔体推進手段に動力を供給するために利用することができる。
【0026】
本開示全体にわたって、各調節モジュールは、1つの電力分配ラインに供給される電力を調整するように構成され、この電力分配ラインは相互に分離されることを理解されたい。各パネルは、別個の構造的構成要素であり、相互に分離されており、調節モジュールは、その上に構成又は配置される。「収集した電力を調整する」とは、調節モジュールが、電力を個々の電力分配ラインに供給するために、1又は2以上のソーラーセルストリングに関する電力を監視、調整、収集、及び伝送するよう構成されることと理解されたい。
【0027】
各調節モジュールが1つの電力分配ラインに供給される電力を調整するので、各電力分配ラインは、自身の調節モジュールを含み、以下のことが可能になる。すなわち、電力分配ライン上での能動的電圧調整;太陽電池アレイパネル用の「最大電力点追従」(MPPT);広範囲の電圧調整;太陽電池アレイを折り畳む又はクルクルと巻くための緊密なオンアレイパッケージング用の薄型化;遮蔽材を組み込んだとしても、50g/kW(発電量)未満すなわち20,000ワット/kg以上の低質量、である。
【0028】
一部の実施形態において、調節モジュールは、クルクルと巻かれた又は折り畳まれた太陽電池アレイの中に緊密にパッケージングされること、及び構造的な太陽電池アレイ性能特性に影響を与えることなく配備することができる。
【0029】
加えて、調節モジュールは、ソーラーセルストリングから最大収集電力を抽出して、これを電力分配ラインに供給するように構成することができ、さらに電力分配ラインの作動に適した電圧及び電流を出力して「最大電力点追従」(MPPT)機能をもたらすように構成することができる。換言すると、MPPTは、インピーダンス又は抵抗マッチングを行い、ソーラーセルストリングからの電力を最も効率的に収集又は取り込み、この電力を電力分配ラインに適した形式で供給する。
【0030】
前述したように、ソーラーセルから電力分配ラインへの電力伝送の効率は、太陽電池アレイ上の太陽光入射量及びその電気特性(I−V)に左右される。従って、調節モジュールは、提示されるインピーダンス又は抵抗をセルに整合させて最も有効な電圧、電流、又は周波数に関する電力出力を得る。
【0031】
有利には、分散型調節モジュールを含み、一部の実施形態においてルート電力管理ユニットと組み合わされた電力管理システムの本構成は、相乗的に飛翔体内により単純な充電制御及び電力分配ユニットを与えることを可能にする。加えて、この構成は、ロバスト性、反応性、回復性、及び太陽電池アレイから取り込まれる電力を最大にすると同時にシステムの総質量を低減することができる。
【0032】
さらに、本明細書に開示される電力管理システムは、最適な電力システム構成を含み、この構成は、電力レベル及び負荷特性の複雑性を処理すると同時に最大の性能指数、すなわち低質量、低容量、低コスト、及び再構成可能性を達成する。
【0033】
また、複数の太陽電池セルで生成されたDC電力は、次に、飛翔体に収容された負荷に電力を供給するために最適な形式で送られる。
【0034】
一部の実施形態において、システムはルート電力管理ユニットをさらに含む。ルート電力管理ユニットは、特に以下の機能を含むことができる。すなわち、調節モジュールからの電力を、インタフェースを横切るのに最適な電気形式へ変換する機能、及びインタフェースを介して送るためにDC電力を高周波AC電力に変換する機能である。
【0035】
本開示との関連において、高周波ACは、1kHzから50kHzの間の周波数での電力伝送を意味すると理解される。
【0036】
また、ルート電力管理ユニットをインタフェースの近くに配置することで、電子機器をより好都合で有効に遮蔽して動作条件を持続することができる。
【0037】
1つの実施形態において、少なくとも1つの調節モジュールをルート電力管理ユニットに接続する少なくとも1つの電力分配ラインは、アレイハーネスにおいて全て接合される。
【0038】
本実施形態において、各調節モジュールは、アレイハーネスの動作を最適にするために収集したエネルギーを調整する。有利には、アレイハーネスは高電圧での動作に最適化される。アレイハーネスは、複数の電気的に独立した電力分配ライン、又は全ての電力分配ラインの共通の電気接続のどちらかとすることができる。接続点は、各電力分配ラインの調節モジュールとルート電力管理ユニットとの間に生じる。
【0039】
有利には、この構成は、共通ポイントにおいてインタフェースを横切る全ての電力分配ラインに提供される。
【0040】
一部の実施形態において、アレイハーネスは、収集した電力を効率的に伝送するために表皮効果を利用する軽量高周波ACハーネスである。
【0041】
1つの実施形態において、太陽電池アレイは、複数のアレイセクションを含み、各アレイセクションは、少なくとも1つのパネルを含み、各アレイセクションは、個別であり相互に分離される。
【0042】
1つの実施形態において、太陽電池アレイは、複数のアレイセクションを含み、各アレイセクションは、複数のパネルを含み、パネルは、アレイセクションの各々の内部で並列に分散配置された複数の電力分配ラインによって接続され、各電力分配ラインは、1つの調節モジュールに接続される。
【0043】
1つの実施形態において、各調節モジュールは、各電力分配ライン上の電力を調節して、300から1000ボルトの間のDCをアレイハーネス上に供給するように構成することができる。この実施形態において、アレイハーネスは、全ての電力分配ラインの共通電気接続部である。有利には、全ての電力分配ラインの共通電気接続部は、最悪条件での一般的な電気的要求を満たすことができる。
【0044】
一部の実施形態において、当該調節モジュールは、高効率(>95%)でもって30ボルトDCアレイピーク電力を300ボルトDCにアップコンバートする能力を有する。
【0045】
1つの実施形態において、ルート電力管理ユニットは、共鳴タンクを含むAC電力発生器であり、この共鳴タンクは、DC電力を高周波AC電力に変換するようになっている。有利には、この構成は、低質量及び高効率をもたらす。
【0046】
1つの実施形態において、インタフェースは、太陽電池アレイの向きを定めるための配向駆動デバイスを含む。
【0047】
配向駆動デバイスは、ソーラー追尾器と類似していることを理解されたい。有利には、配向駆動デバイスは、入射太陽光と太陽電池アレイとの間の入射角を最小にするのを可能にするので、太陽電池アレイで生成されたエネルギー量が増大する。本明細書で使用される場合、入射角を最小にすることは、放射太陽光が太陽電池アレイ表面に対して実質的に直交することを意味する。
【0048】
1つの実施形態において、調節モジュール及び/又はルート電力管理ユニットは、機能及び命令を制御又は切り替えるように構成された組込コンピュータを備える。有利には、組込コンピュータは、機能のスマート制御を備えることができ、さらに、適応発電のために又は電気的に故障したセクションを除去することによる現場修理のために、ストリング又は電力分配ラインの再構成を可能にする。さらに、組込コンピュータは、飛翔体の多様なミッション条件のために、生成電力の電圧、電流、及び/又は周波数の改善された適応を可能にする。
【0049】
1つの実施形態において、調節モジュール及び/又はルート電力管理ユニットは、過渡的サージ抑制器、ヒューズ、及び/又は回路遮断器等の保護回路をさらに含む。有利には、保護回路は、電気セクションの無効化によって故障の伝播を阻止又は少なくとも制限することができる。
【0050】
1つの実施形態において、調節モジュール及び/又はルート電力管理ユニットは、温度、電圧、及び/又は電流を検出するためのセンサと、機能及び命令を制御又は切り替えるように構成された組込コンピュータを備える。
【0051】
他の態様において、本開示は、本明細書に記載の電力管理システムを含む飛翔体を提供する。一部の実施形態において、この飛翔体は、宇宙で稼働するように構成される。
【0052】
1つの実施形態において、飛翔体は、複数の負荷を含み、飛翔体と太陽電池アレイとの間に配置されたインタフェースは、回転式変換器接合部をさらに含み、回転式変換器接合部は、アレイハーネスを飛翔体の内部に配置された電力バスに接続し、ソーラーアレイが飛翔体の向きとは無関係に太陽の方へ適切に向くように回転及び傾斜して、接合部を介して電力を伝送するのを可能にし、この電力バスは、複数の電力バスラインによって電力を飛翔体の複数の負荷に分配するように構成される。
【0053】
アレイハーネスと電力バスとの間の接続は、アレイハーネスの動作の飛翔体への拡張又は拡大として理解されたい。すなわち、アレイハーネスが複数の電気的に独立した電力分配ライン又は全電力分配ラインの共通電気接続部のいずれかである場合、電力バスは同じとすることができる。さらに、この接続によって太陽電池アレイ全体の回転が可能になる。
【0054】
1つの実施形態において、回転式電力伝送は、回転式変換器で達成される。有利には、回転式変換器接合部は、AC電力を適切な形式でインタフェースの第1の端部上の飛翔体電力バスに供給する。
【0055】
1つの実施形態において、飛翔体の複数の負荷のうちの1つの負荷は、エネルギーを蓄積するように構成されたエネルギー貯蔵システムである。このことは飛翔体の遠隔操作に又は飛翔体が地球軌道の食部分(eclipse portion)にある間にアレイからソーラー電力を利用できない場合に好都合となり得る。
【0056】
1つの実施形態において、電力を電力バスからエネルギー貯蔵システムへ分配する電力バスラインは、エネルギー貯蔵システムの充電レベルを監視して、このエネルギー貯蔵システムに供給されたエネルギーを合理的に説明するように構成された充電制御ユニットを含む。エネルギー貯蔵システムは、飛翔体の内部の異なる負荷の間での、収集電力の改善された分配を可能にすることができる。
【0057】
1つの実施形態において、エネルギーを負荷に分配する各電力バスラインは、各負荷に供給されるエネルギーを制御するための電力インタフェースユニットを含む。有利には、電力インタフェースユニットは、電力バスからAC電力を引き出して、これを飛翔体の各負荷に対して最も効率的な形式に変換することができる。
【0058】
1つの実施形態において、充電制御ユニット及び/又は電力インタフェースユニットは、電気セクションの無効化によって故障の伝播を阻止又は少なくとも制限するための、過渡的サージ抑制器、ヒューズ、又は回路遮断機などの保護回路をさらに備える。
【0059】
本明細書(特許請求の範囲、明細書、及び図面を含む)に記載の全ての特徴部、及び/又は記載された方法の全てのステップは、相互に排他的な特徴部及び/又はステップの組み合わせを除いて、何らかの組み合わせで結合することができる。
【0060】
本開示の上記及び他の特性及び利点は、添付図面を参照して、単なる実施例として与えられ限定的ではない本開示の好ましい実施形態から明白になる、本開示の詳細な説明を参酌するとより明確に理解することができる。