特許第6481062号(P6481062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6481062宇宙太陽電池アレイのための電力管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6481062
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】宇宙太陽電池アレイのための電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/44 20060101AFI20190304BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20190304BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20190304BHJP
   H02J 1/12 20060101ALI20190304BHJP
   H02J 3/28 20060101ALI20190304BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20190304BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20190304BHJP
   H02S 40/34 20140101ALI20190304BHJP
【FI】
   B64G1/44 Z
   H02H7/20 A
   H02J1/00 304H
   H02J1/00 309H
   H02J1/00 309Q
   H02J1/12
   H02J3/28
   H02J3/38 130
   H02J7/35 J
   H02S40/34
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-31720(P2018-31720)
(22)【出願日】2018年2月26日
【審査請求日】2018年3月13日
(31)【優先権主張番号】15/707,036
(32)【優先日】2017年9月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515014484
【氏名又は名称】ソレアロ テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】セオドア ギャリー スターン
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−085696(JP,A)
【文献】 特開2005−167167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0158061(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0328403(US,A1)
【文献】 特表2015−528685(JP,A)
【文献】 特開2005−012958(JP,A)
【文献】 特開2000−013999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G
H01L
H02H
H02J
H02S
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙飛翔体(200)用の電力管理システム(100)であって、
複数のパネル(113)を含む太陽電池アレイ(110)であって、前記パネル(113)の各々がDC電力を収集するための複数の直列に接続された太陽電池セル(112)
を有する太陽電池アレイストリング(111)を含む、太陽電池アレイ(110)と、
前記宇宙飛翔体(200)に接続可能に構成された第1の端部(122)と、前記太陽電池アレイ(110)に接続可能に構成された第2の端部(121)とを有し、電力ハーネス(145)を介して前記太陽電池アレイ(110)が収集した電力を前記宇宙飛翔体(200)に伝送するように構成されたインタフェース(120)と、
を備え、
前記システムは、
1又は2以上の電気接続ライン(140)を介して、前記パネル(113)内の前記太陽電池アレイストリング及び前記電力ハーネス(145)に接続された、1又は2以上の調節モジュール(130)、(130)を備え、前記調節モジュール(130)は、前記パネル(113)内の前記太陽電池アレイストリングが収集したDC電力を調整して、前記電力ハーネス(145)へ供給するように構成されていることを特徴とするシステムであって、該システムが、
少なくとも1つの電力ハーネス(145)によって前記インタフェース(120)の前記第2の端部に接続されたルート電力管理ユニット(150)をさらに備え、前記ルート電力管理ユニット(150)は、DC電力の形式で前記太陽電池アレイによって収集され、前記電力ハーネス(145)に供給されたDC電力を変換し、次に、前記電力を高周波AC電力又は異なる電圧のDC電力に変換し、前記第2の端部(121)を介して前記高周波AC電力又は異なる電圧のDC電力を前記インタフェース(120)に伝送するように構成され、
前記調節モジュール(130)及び/又は前記ルート電力管理ユニット(150)は、
(i)温度、電圧、及び/又は電流を検出するためのセンサと、機能及び命令を制御及び切り替えるように構成された組込コンピュータとを備え、(ii)直列に接続されたソーラーセル(112)の1又は2以上のストリングの無効化によって、宇宙飛翔体ペイロード並びに電気バス及び電気サブシステムを含む前記宇宙飛翔体(200)に故障が伝播するのを阻止又は制限するために、電圧スパイク抑制する過渡的サージ抑制器、ヒューズ、又は回路遮断器などの保護回路をさらに備える、システム。
【請求項2】
前記1又は2以上の接続ライン(140)は、ルート電力管理なしで、前記少なくとも1つの調節モジュール(130)を、回転式接合部でDC電力を送るスリップリングを備える従来型の配向及び電力伝送デバイスに接続し、全ては前記電力ハーネス(145)で接合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記太陽電池アレイ(110)は、複数のアレイセクション(113)を備え、前記アレイセクション(113)の各々は、直列に接続されたソーラーセル(112)の少なくとも1つのストリングを備え、前記アレイセクション(113)の各々は、個別であり相互に分離されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記太陽電池アレイ(110)は、複数のパネル(113)を備え、前記パネル(113)の各々は、直列に接続されたソーラーセル(112)の複数のストリングを備え、前記直列に接続されたソーラーセル(112)のストリングは、前記パネル(113)の各々の内部に並列に分散配置された複数の電気接続ライン(140)によって接続され、前記電気接続ライン(140)の各々は、1つの調節モジュール(130)に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記調節モジュール(130)の各々は、前記電力ハーネス(145)上に300−1000ボルトDCを供給するために、ソーラーセル(112)の1又は2以上の直列に接続されたストリングからの電力を調節するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ルート電力管理ユニット(150)は、共鳴タンクを備えたAC電力発生器であり、前記共鳴タンクは、前記DC電力を1−20kHzの周波数の高周波AC電力に変換するようになっている、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記インタフェース(120)は、前記太陽電池アレイ(110)の向きを定めるための配向駆動デバイス(125)と、前記太陽電池アレイを太陽の方に向きを定めるための一体型回転機構に電力を伝送のための回転式変換器とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
飛翔体本体と請求項1からに記載の電力管理システム(100)とを備える宇宙飛翔体(200)であって、前記飛翔体(200)は、複数のペイロード(210)を備え、前記飛翔体(200)と前記太陽電池アレイ(110)との間に配置された前記インタフェース(120)は、回転式変換器接合部(126)をさらに備え、前記回転式変換器接合部(126)は、高周波AC電力を伝送している前記電力ハーネス(145)を前記飛翔体(200)の内部に配置された複数の電力バスライン(220)に接続し、前記複数の電力バスライン(220)は、前記複数の電力バスライン(220)によって高周波AC電力を前記飛翔体(200)の複数のペイロード(210)に分配するように構成される、宇宙飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力発生及び管理の分野、詳細には太陽電池の分野に属し、ここでは、太陽光を収集して電力に変換するために太陽電池アレイ(例えば、ソーラーセルアレイ)が使用される。本開示は、当該電力を管理及び調整するための電力管理システムを提供する。加えて、本開示は、電力管理システムを備える飛翔体を提供する。一部の実施形態において、飛翔体は、宇宙で稼働に適しており(例えば、衛星)、太陽光から電力を生成するために太陽電池アレイを利用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽電池アレイは、可撓性又は剛性のパネル又はシート上に配置することができる。一部の実施形態において、配置された太陽電池アレイは実質的に平坦である。個々のソーラーセルは、一般的に矩形又は略正方形であり、切り取られたコーナー部を有する場合もあり、電気的に直列に接続されてソーラーセルのストリングを形成するようになっており、このソーラーセルストリングに使用されるソーラーセルの数によって出力電圧が決まる。また、アレイの出力電流が高くなるように、個々のソーラーセル又はソーラーセルストリングは、並列に相互接続することができる。個々のソーラーセルは、アレイを形成するために、セルの直列又は並列接続を容易にする電気相互接続部を備える。ソーラーセルは、太陽放射のエネルギー又はパワーを収集して直流(DC)形式の電気エネルギーを出力するようになっている。受け取った太陽放射は、太陽から直接到来する入射光及び中間反射光に起因する散光の両方から提供される。
【0003】
太陽電池アレイの全体性能は、電気的要件(電流−電圧、すなわちI−V)に依存し、換言すると、総セル面積、入射太陽光の強度レベル、及び徐々に低下するパネルの光−電流変換特性で変化する電流、及び直列のセル数、作動温度、並びに徐々に低下するパネルの光−電流変換特性で変化する電圧である。
【0004】
宇宙での飛翔体の稼働に関して、許容できる性能は、寿命終期(EOL)でのより高い恩恵のために強化された遮蔽をもたらす設計であっても、寿命初期(BOL)に達成可能のように見受けられる場合が多い。しかし、ミッションは、通常の地球周回ミッションの間に見込まれる、並びに0.7、1.0、及び3.0AU(AUは、天文単位を意味する)すなわち104.8、149.6、及び448.8ミリオンキロメートルといった太陽からの様々な距離で運用される深宇宙ミッションに関して見込まれる、非常に様々な照度及び温度を含む、種々の複雑な環境を経験する。また、太陽電池アレイは、宇宙環境条件からの異常事態及び探査ミッション時の不測の環境相互作用に耐える必要がある。従って、放射線被ばく、宇宙のごみとの衝突、及び/又は太陽電池アレイ並びにシステムの通常の経年劣化が、全体的な電力システムの全体的性能を低下させる準最適動作条件を引き起こす可能性があり、さらに1又は2以上のソーラーセルアレイの故障をもたらす場合があり、この故障は、高電圧ソーラーセルストリングの制御されていないアレイにおいて、ソーラーセルの他のアレイに連鎖的に起こる場合がある。
【0005】
太陽電池アレイで生成された電力は入射光強度に依存し、この電力は、ソーラーセルアレイが安全に作動できる最大電圧と、効率的な伝送に望まれるより高い電圧との間の妥協点の所定の電圧で電力分配ラインによって送られる。
【0006】
飛翔体は、電力分配ライン又は電力ハーネスの質量を最小限にするための高出力発電システムを提供する目的で、及びSEP電力推進ユニットを直接駆動するための直接駆動式太陽電気推進システム(SEP)などの300V又はそれ以上を必要とする用途を目的として、高電圧出力を送り出すために太陽電池アレイを必要とする。
【0007】
ソーラーセルストリングは、以下の課題に直面する、すなわち、高電圧の達成(直列の多数のソーラーセルはセルレイアウトを複雑にする)、33Vを超えると生じる特に静電放電(ESD)に関する環境相互作用、及び高電圧が地球軌道での自然の宇宙空間プラズマ環境との厄介な相互作用を深刻にすることである。
【0008】
前述の低電圧伝送での低効率は、高電流の主たる欠点が抵抗損失であることが理由である。従って、電力損失及び結果としての効率損失は、電流と共に急速に増大するので(電流の二乗×抵抗)、電流を低下させて、材料の絶縁耐圧に達するまで可能な限り電圧を増大させることで効率は高くなる。
【0009】
従来技術の太陽電池アレイは、一般に受動的電子装置であり、アレイ上に単一パネルに関連する電力管理及び制御手段を有していない。太陽電池アレイ上に電圧変更機能をもたないので、ソーラーセルストリングは、電力を安全に動作できる電圧で送り出す必要があり、従って、これはソーラーアレイの電力収集ハーネス上の低電圧要件を強いる。ソーラーセルストリング電圧は、他の作動環境及びミッションの各段階における非常に高い電圧によってさらに制限される。宇宙での飛翔体の稼働のために、最悪の条件としては、各軌道又はミッションの段階の特定の部分に見られる最高温度、及び/又は厳しい宇宙環境に関する劣化条件を挙げることができる。電圧は同じミッション中に非常に高い可能性があり、最低温度では、ソーラーセルは好ましくない高い電圧を有する可能性があり、例えば、3AU(太陽から448.8ミリオンキロメートル)での低温環境を有するミッションの段階中又は食後(post−eclipse)の軌道の一部の間である。これらのソーラーセルストリングを高電圧で設計して作動させることで、ストリングのプラズマ環境に対する相互作用が大きくなる。
【0010】
従って、供給電力の電圧及び電流特性は、通常、飛翔体の内部において分散的方法でもって負荷が必要とするように調整及び調節され、これは電力バスラインによって負荷に接続された一意的及び共通ポイントとして飛翔体の機構の内部に配置された、又は負荷自体の中に配置された電力管理ユニットを使用して行われる。
【0011】
負荷に供給される電力を調整及び調節するための単一の一意的な共通ポイントを設けることで、システムの全体性能は一定になり変化しない。さらに、太陽電池アレイは、電流要件の狭い動作ウインド内に一致するように大きさを定めることができ、結果的に、動作環境に適合するようにシステムの性能を変更する以外に選択肢がない。また、電力は調節されることなくインタフェースを介して伝送され、このことは、インタフェース構成要素のための準最適デザイン及び動作条件につながる可能性がある。
【0012】
加えて、この集中型電力管理ユニットが突然故障した場合、その機能を引き受けるための中間ポイントが存在せず、その結果、発生電力の電圧が全ての負荷に直接伝送され、システムの故障につながる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本開示の目的は、宇宙太陽電池電力システム用の改善された電力管理システムを提供することである。
【0014】
本開示の別の目的は、発電された後に所定の電圧で宇宙飛翔体のペイロードに送られた電力が、負荷に電力を供給するために、例えばバッテリを充電するために又は機器を作動させるための電力を供給するために使用され、結果的に電力管理手段を必要として負荷に送り出す前に電力管理手段から恩恵を受けるシステムを提供することである。
【0015】
本開示の別の目的は、飛翔体内に配置されて、飛翔体の稼働年数にわたってアレイ電圧及び電流特性の幅広いバリエーションを管理するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示に記載の全ての数値パラメータの範囲は、任意の及び全て部分範囲又は本明細書に包含される「中間的上位概念」を含むことを理解されたい。例えば、AC電力周波数の値に関して提示された1から20kHzの範囲は、最小値1kHz又はそれ以上から始まり、最大値20kHz又はそれ未満で終わる、例えば1.0から5、2.0から10.0、又は15−19kHzである、任意の及び全ての部分範囲を含むと見なすべきである。
【0017】
本開示は、分散型電力管理コントローラを含む宇宙飛翔体用の電力管理システムを使用することで、前述の問題点の少なくとも一部のための解決策を提供し、各コントローラは、ソーラーセルストリング、ソーラーセルモジュール、もしくはソーラーセルパネル、プラットフォーム又はアレイのいずれかに関連する。
【0018】
1つの態様において、本開示は宇宙飛翔体用の電力管理システムを提供し、システムは、複数のパネルを有する太陽電池アレイであって、各パネルは、1又は2以上のソーラーセルストリングを含み、各ソーラーセルストリングは、直列に接続されて直流(DC)電力を発生する複数の太陽電池セルを含む、太陽電池アレイと;1又は2以上のソーラーセルストリングの各々に配置され、パネル内の1又は2以上のソーラーセルストリングから発生したDC電力を調整し、この電力を少なくとも1つの電気接続ラインを介して電力ハーネスに供給して、この電力をルート電力管理ユニットに送るように構成された少なくとも1つの調節モジュールと;宇宙飛翔体に接続可能に構成された第1の端部と、太陽電池アレイに接続可能に構成された第2の端部とを有し、太陽電池で生成された電力をルート電力管理ユニットから飛翔体に伝送するように構成されたインタフェースとを備える。
【0019】
一部の実施形態において、ルート電力管理ユニットは、少なくとも1つの電力ハーネスによってインタフェースの第2の端部に接続され、ルート電力管理ユニットは、電力ハーネスからの太陽電池アレイで生成されたDC電力の形式のDC電力を高周波交流(AC)電力(例えば、1−20kHz)又は異なる電圧のDC電力に変換し、第2の端部を介して高周波AC電力又は異なる電圧のDC電力をインタフェースに伝送するように構成される。
【0020】
一部の実施形態において、少なくとも1つの電気接続ラインは、ルート電力管理なしで少なくとも1つの調節モジュールを直接、配向及び電力伝送デバイスに接続し、配向及び電力伝送デバイスは、回転式接合部を介してDC電力を送るスリップリングを含む。
【0021】
通常、太陽電池アレイの共通構成は、パネルの結合セットであり、各パネルは、各セクションに分割され、各セクションは、1又は2以上のソーラーセルストリングを含む。このストリングの各々は、直列に接続されたソーラーセルで構成され、所望のストリング電圧を得るようになっている。一部の実施形態において、各ソーラーモジュール又はパネルは、ソーラーセルを封入して外部環境に直接さらされるのを防ぐようになっている。
【0022】
一部の実施形態において、パネル上のソーラーセルは、その接点を接続することで相互接続することができ、パネルの経路上の端子パッドを適切に相互接続することで、ストリング又は電気的な直列接続及び/又は並列接続を形成するようになっている。
【0023】
本開示の意味では、飛翔体は、人間、ペイロード、又は積み荷を輸送することができ、少なくとも太陽電池アレイから発生したエネルギーによってそのシステム又はサブシステムに電力を供給することができる何らかの移動機械と理解されたい。これにより、太陽電池アレイは、飛翔体から離れて配置することができるがこれに接続され、この接続は、電気的及び/又は機械的とすることができる。太陽電池アレイと飛翔体との間の中間部分は、いわゆる両構成要素の間のインタフェースである。このインタフェースは、この構成要素の間の接続点であり、それ自体が接触面であるか又は追加の中間要素が両構成要素を接合し、上記の電気的及び/又は機械的接続をもたらすことを理解されたい。インタフェースは、飛翔体に対して接続可能な第1の端部と、太陽電池アレイに対して接続可能な第2の端部とを含む。
【0024】
インタフェースは飛翔体と太陽電池ソーラーアレイとの間に配置されるので、インタフェースは、太陽電池アレイで生成された電力を飛翔体に伝送することができる。従って、太陽電池ソーラーアレイは、エネルギー分配ラインによって電力を出力することができ、その後、電力は、電力バスラインによって飛翔体に注入されてそのシステム又はサブシステムに、すなわち、いわゆるバスサブシステム及びペイロードに供給するために、第2の端部から第1の端部へインタフェースを横切ることができる。電力を伝送する能力に加えて、インタフェースは、太陽電池ソーラーアレイと飛翔体との間の構造的及び機械的接続を可能にする。また、飛翔体の向きとは無関係に太陽電池アレイを太陽の方に向かせる必要がある場合、インタフェースは、インタフェースアレイを回転又は傾斜させる配向デバイスを含む。
【0025】
この飛翔体が宇宙で稼働するよう構成される場合、飛翔体は、何らかの目的で、例えば、宇宙飛翔体、宇宙探査機、又は衛星として意図的に軌道に投入される、何らかの移動機械である。従って、飛翔体が宇宙で動作する場合、太陽電池アレイで生成された電力は、エネルギー貯蔵バッテリを充電するために、センサに供給するために、暖房、冷房、テレメトリーを作動させるために、及び飛翔体推進手段に動力を供給するために利用することができる。
【0026】
本開示全体にわたって、各調節モジュールは、1つの電力分配ラインに供給される電力を調整するように構成され、この電力分配ラインは相互に分離されることを理解されたい。各パネルは、別個の構造的構成要素であり、相互に分離されており、調節モジュールは、その上に構成又は配置される。「収集した電力を調整する」とは、調節モジュールが、電力を個々の電力分配ラインに供給するために、1又は2以上のソーラーセルストリングに関する電力を監視、調整、収集、及び伝送するよう構成されることと理解されたい。
【0027】
各調節モジュールが1つの電力分配ラインに供給される電力を調整するので、各電力分配ラインは、自身の調節モジュールを含み、以下のことが可能になる。すなわち、電力分配ライン上での能動的電圧調整;太陽電池アレイパネル用の「最大電力点追従」(MPPT);広範囲の電圧調整;太陽電池アレイを折り畳む又はクルクルと巻くための緊密なオンアレイパッケージング用の薄型化;遮蔽材を組み込んだとしても、50g/kW(発電量)未満すなわち20,000ワット/kg以上の低質量、である。
【0028】
一部の実施形態において、調節モジュールは、クルクルと巻かれた又は折り畳まれた太陽電池アレイの中に緊密にパッケージングされること、及び構造的な太陽電池アレイ性能特性に影響を与えることなく配備することができる。
【0029】
加えて、調節モジュールは、ソーラーセルストリングから最大収集電力を抽出して、これを電力分配ラインに供給するように構成することができ、さらに電力分配ラインの作動に適した電圧及び電流を出力して「最大電力点追従」(MPPT)機能をもたらすように構成することができる。換言すると、MPPTは、インピーダンス又は抵抗マッチングを行い、ソーラーセルストリングからの電力を最も効率的に収集又は取り込み、この電力を電力分配ラインに適した形式で供給する。
【0030】
前述したように、ソーラーセルから電力分配ラインへの電力伝送の効率は、太陽電池アレイ上の太陽光入射量及びその電気特性(I−V)に左右される。従って、調節モジュールは、提示されるインピーダンス又は抵抗をセルに整合させて最も有効な電圧、電流、又は周波数に関する電力出力を得る。
【0031】
有利には、分散型調節モジュールを含み、一部の実施形態においてルート電力管理ユニットと組み合わされた電力管理システムの本構成は、相乗的に飛翔体内により単純な充電制御及び電力分配ユニットを与えることを可能にする。加えて、この構成は、ロバスト性、反応性、回復性、及び太陽電池アレイから取り込まれる電力を最大にすると同時にシステムの総質量を低減することができる。
【0032】
さらに、本明細書に開示される電力管理システムは、最適な電力システム構成を含み、この構成は、電力レベル及び負荷特性の複雑性を処理すると同時に最大の性能指数、すなわち低質量、低容量、低コスト、及び再構成可能性を達成する。
【0033】
また、複数の太陽電池セルで生成されたDC電力は、次に、飛翔体に収容された負荷に電力を供給するために最適な形式で送られる。
【0034】
一部の実施形態において、システムはルート電力管理ユニットをさらに含む。ルート電力管理ユニットは、特に以下の機能を含むことができる。すなわち、調節モジュールからの電力を、インタフェースを横切るのに最適な電気形式へ変換する機能、及びインタフェースを介して送るためにDC電力を高周波AC電力に変換する機能である。
【0035】
本開示との関連において、高周波ACは、1kHzから50kHzの間の周波数での電力伝送を意味すると理解される。
【0036】
また、ルート電力管理ユニットをインタフェースの近くに配置することで、電子機器をより好都合で有効に遮蔽して動作条件を持続することができる。
【0037】
1つの実施形態において、少なくとも1つの調節モジュールをルート電力管理ユニットに接続する少なくとも1つの電力分配ラインは、アレイハーネスにおいて全て接合される。
【0038】
本実施形態において、各調節モジュールは、アレイハーネスの動作を最適にするために収集したエネルギーを調整する。有利には、アレイハーネスは高電圧での動作に最適化される。アレイハーネスは、複数の電気的に独立した電力分配ライン、又は全ての電力分配ラインの共通の電気接続のどちらかとすることができる。接続点は、各電力分配ラインの調節モジュールとルート電力管理ユニットとの間に生じる。
【0039】
有利には、この構成は、共通ポイントにおいてインタフェースを横切る全ての電力分配ラインに提供される。
【0040】
一部の実施形態において、アレイハーネスは、収集した電力を効率的に伝送するために表皮効果を利用する軽量高周波ACハーネスである。
【0041】
1つの実施形態において、太陽電池アレイは、複数のアレイセクションを含み、各アレイセクションは、少なくとも1つのパネルを含み、各アレイセクションは、個別であり相互に分離される。
【0042】
1つの実施形態において、太陽電池アレイは、複数のアレイセクションを含み、各アレイセクションは、複数のパネルを含み、パネルは、アレイセクションの各々の内部で並列に分散配置された複数の電力分配ラインによって接続され、各電力分配ラインは、1つの調節モジュールに接続される。
【0043】
1つの実施形態において、各調節モジュールは、各電力分配ライン上の電力を調節して、300から1000ボルトの間のDCをアレイハーネス上に供給するように構成することができる。この実施形態において、アレイハーネスは、全ての電力分配ラインの共通電気接続部である。有利には、全ての電力分配ラインの共通電気接続部は、最悪条件での一般的な電気的要求を満たすことができる。
【0044】
一部の実施形態において、当該調節モジュールは、高効率(>95%)でもって30ボルトDCアレイピーク電力を300ボルトDCにアップコンバートする能力を有する。
【0045】
1つの実施形態において、ルート電力管理ユニットは、共鳴タンクを含むAC電力発生器であり、この共鳴タンクは、DC電力を高周波AC電力に変換するようになっている。有利には、この構成は、低質量及び高効率をもたらす。
【0046】
1つの実施形態において、インタフェースは、太陽電池アレイの向きを定めるための配向駆動デバイスを含む。
【0047】
配向駆動デバイスは、ソーラー追尾器と類似していることを理解されたい。有利には、配向駆動デバイスは、入射太陽光と太陽電池アレイとの間の入射角を最小にするのを可能にするので、太陽電池アレイで生成されたエネルギー量が増大する。本明細書で使用される場合、入射角を最小にすることは、放射太陽光が太陽電池アレイ表面に対して実質的に直交することを意味する。
【0048】
1つの実施形態において、調節モジュール及び/又はルート電力管理ユニットは、機能及び命令を制御又は切り替えるように構成された組込コンピュータを備える。有利には、組込コンピュータは、機能のスマート制御を備えることができ、さらに、適応発電のために又は電気的に故障したセクションを除去することによる現場修理のために、ストリング又は電力分配ラインの再構成を可能にする。さらに、組込コンピュータは、飛翔体の多様なミッション条件のために、生成電力の電圧、電流、及び/又は周波数の改善された適応を可能にする。
【0049】
1つの実施形態において、調節モジュール及び/又はルート電力管理ユニットは、過渡的サージ抑制器、ヒューズ、及び/又は回路遮断器等の保護回路をさらに含む。有利には、保護回路は、電気セクションの無効化によって故障の伝播を阻止又は少なくとも制限することができる。
【0050】
1つの実施形態において、調節モジュール及び/又はルート電力管理ユニットは、温度、電圧、及び/又は電流を検出するためのセンサと、機能及び命令を制御又は切り替えるように構成された組込コンピュータを備える。
【0051】
他の態様において、本開示は、本明細書に記載の電力管理システムを含む飛翔体を提供する。一部の実施形態において、この飛翔体は、宇宙で稼働するように構成される。
【0052】
1つの実施形態において、飛翔体は、複数の負荷を含み、飛翔体と太陽電池アレイとの間に配置されたインタフェースは、回転式変換器接合部をさらに含み、回転式変換器接合部は、アレイハーネスを飛翔体の内部に配置された電力バスに接続し、ソーラーアレイが飛翔体の向きとは無関係に太陽の方へ適切に向くように回転及び傾斜して、接合部を介して電力を伝送するのを可能にし、この電力バスは、複数の電力バスラインによって電力を飛翔体の複数の負荷に分配するように構成される。
【0053】
アレイハーネスと電力バスとの間の接続は、アレイハーネスの動作の飛翔体への拡張又は拡大として理解されたい。すなわち、アレイハーネスが複数の電気的に独立した電力分配ライン又は全電力分配ラインの共通電気接続部のいずれかである場合、電力バスは同じとすることができる。さらに、この接続によって太陽電池アレイ全体の回転が可能になる。
【0054】
1つの実施形態において、回転式電力伝送は、回転式変換器で達成される。有利には、回転式変換器接合部は、AC電力を適切な形式でインタフェースの第1の端部上の飛翔体電力バスに供給する。
【0055】
1つの実施形態において、飛翔体の複数の負荷のうちの1つの負荷は、エネルギーを蓄積するように構成されたエネルギー貯蔵システムである。このことは飛翔体の遠隔操作に又は飛翔体が地球軌道の食部分(eclipse portion)にある間にアレイからソーラー電力を利用できない場合に好都合となり得る。
【0056】
1つの実施形態において、電力を電力バスからエネルギー貯蔵システムへ分配する電力バスラインは、エネルギー貯蔵システムの充電レベルを監視して、このエネルギー貯蔵システムに供給されたエネルギーを合理的に説明するように構成された充電制御ユニットを含む。エネルギー貯蔵システムは、飛翔体の内部の異なる負荷の間での、収集電力の改善された分配を可能にすることができる。
【0057】
1つの実施形態において、エネルギーを負荷に分配する各電力バスラインは、各負荷に供給されるエネルギーを制御するための電力インタフェースユニットを含む。有利には、電力インタフェースユニットは、電力バスからAC電力を引き出して、これを飛翔体の各負荷に対して最も効率的な形式に変換することができる。
【0058】
1つの実施形態において、充電制御ユニット及び/又は電力インタフェースユニットは、電気セクションの無効化によって故障の伝播を阻止又は少なくとも制限するための、過渡的サージ抑制器、ヒューズ、又は回路遮断機などの保護回路をさらに備える。
【0059】
本明細書(特許請求の範囲、明細書、及び図面を含む)に記載の全ての特徴部、及び/又は記載された方法の全てのステップは、相互に排他的な特徴部及び/又はステップの組み合わせを除いて、何らかの組み合わせで結合することができる。
【0060】
本開示の上記及び他の特性及び利点は、添付図面を参照して、単なる実施例として与えられ限定的ではない本開示の好ましい実施形態から明白になる、本開示の詳細な説明を参酌するとより明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】飛翔体に取り付けられた太陽電池アレイの従来の集中型電力管理システムを含む構成を示す。
図2】飛翔体に取り付けられた本明細書に開示される電力管理システムの実施形態を示す。
図3】電力分配ラインに接続された調節モジュールの基本的な接続形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、飛翔体(400)に取り付けられた太陽電池アレイの従来の構成を示し、この構成は、集中型電力管理システムを含む。詳細には、電力管理システムは、複数のアレイセクション(311)を備えた太陽電池アレイ(310)を含む。各アレイセクションは、電力分配ライン(340)を介してインタフェース(320)に接続されたソーラーセルストリングのセットを含む。
【0063】
従って、アレイセクション(311)で生成された電力は、ハーネス(340)又は電気バスを介してインタフェース(320)へ送られる。次に、この生成された電力はインタフェース(320)によって飛翔体(400)に伝送される。このバスは、電力供給、接地、及び制御又はデータ収集又はセンサ信号のための個別ライン又は導線を含むことができる。
【0064】
飛翔体(400)は、電力管理ユニット(401)、充電制御ユニット(435)、エネルギー貯蔵システム(430)、3つの電力インタフェースユニット(415)、3つの負荷(410)、及び電力バス(420)を含み、電力バス(420)は、インタフェース(320)を電力管理ユニット(401)に接続し、該電力管理ユニット(401)との間で充電制御ユニット(435)、エネルギー貯蔵システム(430)、3つの電力インタフェースユニット(415)、及び3つの負荷(410)を接続する。
【0065】
この構成において、従来の太陽電池アレイ(310)は、各電力分配ライン(340)の終端で収集された電力から所望の最大電源電圧(Vmp、例えば30ボルトDC)を得るために、直列に接続されたソーラーセルを使用する。次に、この収集された電力は、同じ電圧の電気ハーネス(340)によって飛翔体(400)に送られる。
【0066】
電力が電力バス(420)によって飛翔体(400)に注入されると、送り出された電力の電圧及び電流特性は、集中型電力管理ユニット(401)を使用して、飛翔体(400)の負荷(410)が必要とする特性に調整及び調節される。この電力管理ユニット(401)は、飛翔体(400)の内部に配置されてインタフェースの第1の端部と負荷(410)との間に電力バス(420)で接続されるか、又は負荷もしくは電力インタフェースユニット(415)自体の内部に配置される。
【0067】
上記の電力インタフェースユニット(415)は、要求される電力が集中型電力管理ユニット(401)によって調整された電圧とは実質的に異なっていた場合に、各負荷(410)に供給されるエネルギーを制御するために、飛翔体の内部で負荷(410)より前に電力バスレイアウト内に接続される。
【0068】
図1の特定の例において、負荷(410)はエネルギー貯蔵システム(430)であり、この場合、その電力インタフェースユニット(415)は、充電制御ユニット(435)をさらに含むことができる。
【0069】
図2は、飛翔体(200)に取り付けられた本明細書に開示される電力管理システム(100)を示す。電力管理システム(100)は、複数のアレイセクション(113)を備えた太陽電池アレイ(110)を含む。
【0070】
図2及び3に示すように、各アレイセクション(113)は、電気配線接続(140)を使用して電力調節ユニット(130)を経由してソーラーアレイ電力ハーネス(145)に接続された1又は2以上のソーラーセルストリング(111)を含む。各ソーラーセルストリング(111)は、電力を収集できる最小要素、すなわちソーラーセル(112)を含む。
【0071】
図2は、太陽電池アレイ(110)で生成された電力を飛翔体(200)に伝送する役割を担うインタフェース(120)をさらに示す。インタフェース(120)は第1の端部(122)及び第2の端部(121)を含み、第1の端部(122)は、飛翔体(200)に対して電気的及び機械的に接続可能であり、第2の端部(121)は、太陽電池アレイ(110)に対して電気的及び機械的に接続可能である。
【0072】
太陽放射で生成された電力は、ソーラーセルストリング(111)を通過して調節器(130)を通って電気接続(140)を介して直流(DC)形式の電力として出力され、共通の電気接続、いわゆるアレイハーネス(145)に接続される。
【0073】
図2の電力管理システムは、分散型電力管理モジュール、すなわちソーラーセルストリング接続ライン(140)上の調節モジュール(130)と、インタフェース(120)の第2の端部(121)の近くのルート電力管理部(150)とを有する。
【0074】
特に、当該電力管理モジュール(130、150)の主要機能としては、ソーラーセルストリングの太陽電池特性(I−Vカーブ)の最大ピーク電力追従と、ソーラーセルストリングの固有の電圧範囲と異なる出力DC電圧を選択するための降圧又は昇圧を含む電圧調節と、AC電力バス上へ伝送するための、並びに変換器と質量及び容量が最適化された無効電力コンポーネント(例えば、キャパシタ及びインダクタ)とを使用するための任意周波数でのDC−AC変換と、を挙げることができる。
【0075】
有利には、調節モジュール(130)の介入によってソーラーセルストリング(111)の電圧要求をアレイハーネス(145)の電圧要求から切り離すことで、ミッションライフサイクルにわたって太陽電池アレイから引き出される電力を最大にすること、及びハーネス電圧及びストリング電圧を独立して最適レベルに選択することが可能になる。
【0076】
この意味で、調節モジュール(130)は、変化又は異常状態に応じて電力分配ライン(140)のレベルを切り替えるための切替えモジュールとして機能し、宇宙で動作する太陽電池アレイが現在利用できない制御及び回復レベルを可能にする。
【0077】
調節モジュール(130)は、電気接続ライン(140)によって接続され、この電気接続ラインの終端ストリップでの電圧を上昇させることができ、ストリングの最大電源電圧(Vmp、例えば、30ボルトDC)で電力を収集することができる。従って、電圧を上昇させることで電力ハーネス(145)に供給される電流はそれに応じて低減される。
【0078】
生成された電力は、電気接続ライン(140)によって直流(DC)形式の電力として出力される。全ての電気接続ライン(140)は、高電圧動作に最適化されているアレイハーネス(145)内に接続される。従って、高電圧電気ハーネスは、ハーネス内のI2R電力損失を最小にするが、何らかの望ましくない高電圧環境相互作用を防ぐために外部環境から容易に絶縁できるように、電流が低減される。
【0079】
ルート電力管理ユニット(150)は、調節モジュール(130)で調整された電力を、インタフェース(120)を横切るのに適切な電気形式に変換する役割、及びインタフェース(120)を経由して飛翔体(200)に伝送又は注入するためにDC電力を高周波AC電力に変換する役割も担う。
【0080】
電力管理システムが飛翔体(200)に組み込まれる状況において、インタフェース(120)の第1の端部(122)は、飛翔体(200)に対して電気的及び機械的に接続され、インタフェース(120)の第2の端部(121)は、太陽電池アレイ(110)に対して電気的及び機械的に接続される。
【0081】
電気接続は、太陽電池アレイ(110)から来るアレイハーネス(145)と、収集した電力を飛翔体(200)内部に包含された複数の負荷(210)に分配するための飛翔体(200)へ入る電力バス(220)との間である。回転式変換器接合部(126)の電力伝送機能はこのような電気接続の役割を担うが、配向デバイス(125)の全360度の回転を可能にする。
【0082】
インタフェース(120)は、入射太陽光と太陽電池アレイ(110)平面との間の入射角を最小にするように構成された太陽電池アレイ(110)の向きを定めるための配向駆動デバイス(125)を含む。従って、配向駆動デバイス(125)構造は、ヨーク構造160による本実施形態の機械的接続の役割を担う。
【0083】
一部の実施形態において、アレイハーネス(145)及び/又は電力バス(220)は、効率的伝送のために表皮効果を利用する軽量な高周波ACハーネスである。
【0084】
図1の飛翔体(400)の内部に示す構成又はレイアウトとは対照的に、本明細書に開示するシステムにおいて、飛翔体の中には、収集した電力を集中させて調節するための電力管理ユニットが存在しないことが分かるはずである。対照的に、収集した電力は、インタフェース(120)を横切る前に既により最適な形式に調整されるので、負荷(210)全体にわたって直接分配される。
【0085】
また、飛翔体は、各負荷(210)に供給される電力を制御する電力インタフェースユニット(215)を含む。前述のように、当該負荷(210)の特定の例はエネルギー貯蔵システム(230)であり、この場合、その電力インタフェースユニット(215)は、充電制御ユニット(235)をさらに含むことができる。充電制御ユニット(235)は、電力バスから電力を引き出し、エネルギー貯蔵バッテリ又はシステム(230)に最も効率的な形式に変換する。
【0086】
一部の実施形態において、飛翔体(200)は、複数のペイロード(210)と、飛翔体(200)と太陽電池アレイ(110)との間に配置されたインタフェース(120)とを含み、アレイハーネス(145)を飛翔体(200)の内部に配置された電力バス(220)に接続する回転式変換器接合部(126)をさらに含む。当該電力バス(220)は、高周波AC電力を複数の電力バスライン(220)によって飛翔体(200)の複数のペイロード(210)に分配するように構成される。
【0087】
図3は、1つの実施形態による、電気接続ライン(140)を介してソーラーセルストリング及び電力ハーネスに接続された各調節モジュール(130)の概略的な接続形態を示す。図示のように、ソーラーセルストリング(111)は、複数の直列に接続されたソーラーセル(112)を含む。
【0088】
ソーラーセルストリング(111)の終端ストリップにおいて、すなわち電気接続ラインで接続された最後のソーラーセルの後に調節モジュール(130)が配置され、収集された電力を調整してこの電気接続ライン(140)によって送るようになっている。一部の実施形態において、終端ストリップでの電力は、最大電源電圧(Vmp、例えば30ボルトDC)で収集される。次に、電力分配ライン(140)は、調節モジュール(130)を経由してアレイハーネス(145)に接続される。
【0089】
加えて、本実施形態において、調節モジュール(130)は、電力分配ライン(140)と共に太陽電池アレイ(110)に統合され、それによって電子機器を保護するために遮蔽される。この意味で、調節モジュール(130)の変形形態は、集積回路としてセル構造の中に組み込むことができる。
【0090】
随意的に、別個の調節モジュール(130)は、例えばバイパスダイオードの代わりに各ソーラーセル(112)の一部として形成することができる。有利には、別個の調節モジュールによって、影、ソーラーセル短絡、及び/又はソーラーセル開路に耐えることができる。
【0091】
要約すると、本開示が提示する新規な構成の中で、調節モジュール(130)は、電力を検出して、最適なストリング電圧Vmp、例えば30ボルトで終端ストリップから電力を抽出すること;電力分配ライン(140)用に電圧を上昇させて、必要とされる高電圧、例えば300ボルトでアレイハーネス(145)に送り出すこと;及び送出した電力の調整を行って電圧リップル、電圧降下、又は電圧スパイクを除去すること;ができる。
【0092】
さらに、電気接続ライン(140)及びアレイハーネス(145)は、フレックス回路を含むことができる。この回路は、ストリング及びサブストリング終端ストラップ、ダイオード位置、及び個々のソーラーセルなどの、主要な電気タップ点に容易にアクセスするための手段をもたらす。
【0093】
最大ピーク電力追従の間に電圧を上昇させることに加えて、調節モジュール(130)は、短絡したストリングを交換する及び/又は様々な環境で作動するなどの様々な状況に対処するために、ソーラーセルストリング(111)構成の総電力を変えるための切替え機能を提供することもできる。電力分配システム(100)が宇宙で稼働するように構成された飛翔体(200)に取り付けられる場合、この様々な環境としては、太陽の近く、太陽の遠方、及び地球距離(earth distance)を含む。
【0094】
ソーラーモジュール又はパネル(113)は支持体に取り付けることができ、支持体は複数の導電路を含む。
【0095】
ソーラーセル(112)は、第1の導電路に接続された第1の極性(P)の第1の接触部分と、第2の導電路に接続された第2の極性(N)の第2の接触部分とを含み、第1及び第2の導電部は、反対の導電型の端子を形成する。
【0096】
太陽電池において、複数のソーラーセルグループを含むパネル(113)内の各ソーラーセルにバイパスダイオードが使用される場合が多い。有利には、ソーラーセル(112)又はソーラーセルのグループの1つが遮られるか又は損傷を受けた場合、他のソーラーセル、例えば遮られていない又は損傷を受けていないソーラーセル又はソーラーセルグループで生成された電流は、バイパスダイオードを通過することができるので、遮られた又は損傷を受けたソーラーセル又はソーラーセルグループの高抵抗性を避けることができる。
【0097】
バイパスダイオードに加えて、ストリング(111)は、例えば太陽が出ていない時のソーラーセルグループからの出力電圧が低い時に逆電流を阻止するように機能する、ブロッキングダイオードを組み込むこともできる。
【符号の説明】
【0098】
100 電力管理システム
110 太陽電池アレイ
113 パネル
120 インタフェース
121 第2の端部
122 第1の端部
125 配向駆動デバイス
126 回転式変換器接合部
130 調節モジュール
140 電気接続ライン
145 電力ハーネス
200 宇宙飛翔体
210 ペイロード
215 電力インタフェースユニット
220 電力バスライン
230 エネルギー貯蔵システム
235 充電制御ユニット
【要約】
【課題】宇宙太陽電池電力システム用の改善された電力管理システムを提供すること。
【解決手段】宇宙飛翔体用の電力管理システムは、複数のパネルを有する太陽電池アレイであって、各パネルは、1又は2以上のソーラーセルストリングを含み、各ソーラーセルストリングは、直列に接続されて直流(DC)電力を発生する複数の太陽電池セルを含む、太陽電池アレイと;1又は2以上のソーラーセルストリングの各々に配置され、パネル内の1又は2以上のソーラーセルストリングから発生したDC電力を調整し、この電力を少なくとも1つの電気接続ラインを介して電力ハーネスに供給して、この電力をルート電力管理ユニットに送るように構成された少なくとも1つの調節モジュールと;宇宙飛翔体に接続可能に構成された第1の端部と、太陽電池アレイに接続可能に構成された第2の端部とを有し、太陽電池で生成された電力をルート電力管理ユニットから飛翔体に伝送するように構成されたインタフェースとを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3