特許第6481083号(P6481083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481083
(24)【登録日】2019年2月15日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】モータ駆動装置、方法及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/22 20160101AFI20190304BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20190304BHJP
   H02P 21/05 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   H02P21/22
   H02M7/48 E
   H02P21/05
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-513702(P2018-513702)
(86)(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公表番号】特表2018-517391(P2018-517391A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】CN2015080115
(87)【国際公開番号】WO2016187883
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】517413993
【氏名又は名称】広東威霊電机制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG WELLING MOTOR MANUFACTURING CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王超
(72)【発明者】
【氏名】趙小安
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼黎明
(72)【発明者】
【氏名】陳金涛
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−296788(JP,A)
【文献】 特開2010−063294(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0298405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 21/00− 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するCLARK変換器と、
前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するPARK変換器と、
モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する位置算出器と、
前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力する速度算出モジュールと、
前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する速度コントローラと、を含むモータ駆動装置であって、
前記モータ駆動装置は、
設定直軸電流を生成する直軸電流生成モジュールと、
前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する第1減算器と、
静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する逆起電力検出モジュールと、
前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成する逆起電力生成モジュールと、
前記現在の逆起電力と前記設定逆起電力との減算を行って、逆起電力差を取得する第2減算器と、
前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力する逆起電力コントローラと、
前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する第3減算器と、
前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて、直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する電流コントローラと、
前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する電圧リミッタと、
前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するPWMコントローラと、をさらに含む、
ことを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記逆起電力検出モジュールが前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する過程は、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することであり、
【数1】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するステップと、
前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するステップと、
モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力するステップと、
前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力するステップと、
設定直軸電流を生成し、前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得するステップと、
静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップと、
前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成し、前記現在の逆起電力と前記設定逆起電力との減算を行って、逆起電力差を取得し、前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力するステップと、
前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得するステップと、
前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力するステップと、
前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力するステップと、
前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するステップと、を含む、
ことを特徴とするモータ駆動方法。
【請求項4】
前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップは、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することであり、
【数2】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である、
ことを特徴とする請求項3に記載のモータ駆動方法。
【請求項5】
ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するCLARK変換器と、
前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するPARK変換器と、
モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する位置算出器と、
前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力する速度算出モジュールと、
前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する速度コントローラと、を含むモータ駆動装置であって、
前記モータ駆動装置は、
設定直軸電流を生成する直軸電流生成モジュールと、
前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する第1減算器と、
静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する逆起電力検出モジュールと、
前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成する逆起電力生成モジュールと、
逆起電力調節値を生成する抗速度飽和モジュールと、
前記現在の逆起電力と、前記設定逆起電力及び前記逆起電力調節値との減算を行って、逆起電力差を取得する第2減算器と、
前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力し、前記設定横軸電流値を前記抗速度飽和モジュールに出力して、前記逆起電力調節値を生成するように前記抗速度飽和モジュールを駆動する逆起電力コントローラと、
前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する第3減算器と、
前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する電流コントローラと、
前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する電圧リミッタと、
前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するPWMコントローラと、をさらに含む、
ことを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項6】
前記逆起電力検出モジュールが前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する過程は、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することであり、
【数3】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である、
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
インバータモジュールとモータモジュールとを含むモータであって、請求項1、2、5、6のいずれかに記載のモータ駆動装置をさらに含む、
ことを特徴とするモータ。
【請求項8】
モータのステータ電流を検出し、前記ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するステップと、
前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するステップと、
モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力するステップと、
前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力するステップと、
設定直軸電流を生成し、前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得するステップと、
静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップと、
前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成し、且つ逆起電力調節値を生成し、前記現在の逆起電力と、前記設定逆起電力及び前記逆起電力調節値との減算を行って、逆起電力差を取得し、前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力し、前記設定横軸電流値に基づいて前記逆起電力調節値を生成するステップと、
前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得するステップと、
前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力するステップと、
前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力するステップと、
前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するステップと、を含む、
ことを特徴とするモータ駆動方法。
【請求項9】
前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップは、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することであり、
【数4】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である、
ことを特徴とする請求項8に記載のモータ駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御技術分野に関し、特に、モータ駆動装置、方法及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ブラシレスモータは、主に、典型的なベクトル制御の形態を採用する。図1及び図2に示すように、モータ駆動装置は、上位コンピュータ制御モジュールと、下位コンピュータ制御モジュールと、を含み、ここで、上位コンピュータ制御モジュールは、回転速度の閉ループ制御を実現し、下位コンピュータ制御モジュールは、調速機能を実現する。図1に示すように、位置算出モジュール11が位置フィードバック信号を出力し、速度算出モジュール12が前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、速度コントローラ1がロータ電気角速度に基づいて調節指令を横軸電流算出モジュール3に出力し、直軸電流算出モジュール2が指定直軸電流を出力し、電流コントローラ4が直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力し、電圧リミッタ5が直軸電圧と横軸電圧とを出力し、PWMコントローラ6が座標変換を行って、三相交流電圧をインバータ駆動モジュール9に出力して電動機10を駆動する。
【0003】
図2図1との相違点は、速度指令モジュール14がモータ速度指令への変換を行い、速度コントローラが前記モータ速度指令と速度算出モジュール12からの速度フィードバック指令を受信してモータの横軸指令を生成し、次に電流コントローラ4が直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力することである。
【0004】
図1における技術案の利点は、ベクトル制御効率が高く、エネルギー消費が小さく、構造が簡単で、それに、実現し易いということである。しかし、下位コンピュータ制御モジュールは、無負荷調速を実現することができず、たとえ上位コンピュータ制御モジュールがついていたとしても、上位コンピュータ制御モジュールの調節精度がそれなりに不十分であるため、無負荷調速も比較的に困難である。
【0005】
図2における技術案は、図1における技術案の利点を有するとともに、その下位コンピュータ制御モジュールが、単独で調節指令を与える場合でも、調速を行うこともできるが、下位コンピュータ制御モジュールが回転速度指令を用いるため、ホールセンサを採用し位置センサが無く、回転速度が低速の場合、調速することが困難になる。
【0006】
図1及び図2における技術案の欠陥を解決するために、図3に示すように、従来技術において一つの解決策が提案され、すなわち、速度コントローラ1によって出力された調節指令が、電圧指令生成モジュール17により、電圧指令に生成され、PWMコントローラは、電圧指令に従って、インバータモジュール9を駆動することにより、モータを駆動する。該技術案は、無負荷調速を実現することができるが、電流の波形が比較的悪く、トルク脈動が大きく、モータに出力する電流が制御不可能である。
【0007】
以上により、従来技術におけるモータ駆動装置には、トルク脈動が大きく、モータに出力する電流が制御不可能であるという問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、モータ駆動装置及びモータを提供することを目的とし、従来技術におけるモータ駆動装置に、トルク脈動が大きく、モータに出力する電流が制御不可能であるという問題が存在することを解決することを旨とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の手段を通じて実現され、第1側面は、モータ駆動装置を提供し、前記モータ駆動装置は、ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するCLARK変換器と、前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するPARK変換器と、モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する位置算出器と、前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力する速度算出モジュールと、前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する速度コントローラと、を含むモータ駆動装置であって、前記モータ駆動装置は、設定直軸電流を生成する直軸電流生成モジュールと、前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する第1減算器と、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する逆起電力検出モジュールと、前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成する逆起電力生成モジュールと、前記現在の逆起電力と前記設定逆起電力との減算を行って、逆起電力差を取得する第2減算器と、前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力する逆起電力コントローラと、前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する第3減算器と、前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する電流コントローラと、前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する電圧リミッタと、前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するPWMコントローラと、をさらに含む。
【0010】
第1側面に関連し、第1側面の第1実施形態として、前記逆起電力検出モジュールが前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する過程は、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0011】
【数1】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0012】
本発明の第2側面は、モータ駆動方法を提供し、前記モータ駆動方法は、ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するステップと、前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するステップと、モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力するステップと、前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力するステップと、設定直軸電流を生成し、前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得するステップと、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップと、前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成し、前記現在の逆起電力と前記設定逆起電力との減算を行って、逆起電力差を取得し、前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力するステップと、前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得するステップと、前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力するステップと、前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力するステップと、前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するステップと、を含む。
【0013】
第2側面に関連し、第2側面の第1実施形態として、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップは、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0014】
【数2】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0015】
本発明の第3側面は、モータ駆動装置を提供し、前記モータ駆動装置は、前記ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するCLARK変換器と、前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するPARK変換器と、モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する位置算出器と、前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力する速度算出モジュールと、前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する速度コントローラと、を含むモータ駆動装置であって、前記モータ駆動装置は、設定直軸電流を生成する直軸電流生成モジュールと、前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する第1減算器と、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する逆起電力検出モジュールと、前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成する逆起電力生成モジュールと、逆起電力の調節値を生成する抗速度飽和モジュールと、前記現在の逆起電力と、前記設定逆起電力及び前記逆起電力の調節値との減算を行って、逆起電力差を取得する第2減算器と、前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力し、前記設定横軸電流値を前記抗速度飽和モジュールに出力して、前記逆起電力調節値を生成するように前記抗速度飽和モジュールを駆動する逆起電力コントローラと、前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する第3減算器と、前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する電流コントローラと、前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する電圧リミッタと、前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するPWMコントローラと、をさらに含む。
【0016】
第3側面に関連し、第3側面の第1実施形態として、前記逆起電力検出モジュールが前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する過程は、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0017】
【数3】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0018】
本発明の第4側面は、インバータモジュールとモータモジュールとを含むモータであって、上記第1側面及び上記第3側面に記載のモータ駆動装置をさらに含むことを特徴とするモータを提供する。
【0019】
本発明の第5側面は、モータ駆動方法を提供し、前記モータ駆動方法は、モータのステータ電流を検出し、前記ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するステップと、前記静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するステップと、モータロータの位置を検出し、前記モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力するステップと、前記位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、前記ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力するステップと、設定直軸電流を生成し、前記設定直軸電流と前記回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得するステップと、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップと、前記速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成し、且つ逆起電力の調節値を生成し、前記現在の逆起電力と、前記設定逆起電力及び前記逆起電力の調節値との減算を行って、逆起電力差を取得し、前記逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力し、前記設定横軸電流値に基づいて前記逆起電力の調節値を生成するステップと、前記設定横軸電流と前記回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得するステップと、前記直軸電流差と前記横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力するステップと、前記位置フィードバック信号に基づいて前記直軸電圧成分と前記横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力するステップと、前記直軸電圧と前記横軸電圧とを三相交流電圧に変換するステップと、を含む。
【0020】
第5側面に関連して、第5側面の第1実施形態として、前記静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップは、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0021】
【数4】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって提供されるモータ駆動装置、方法及びモータは、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて、現在の逆起電力を取得し、次に現在の逆起電力と設定逆起電力とを演算して、逆起電力コントローラに出力して、設定横軸電流を取得し、逆起電力をフィードバックすることにより、閉ループ制御回路を形成して、モータ電流を駆動制御して、モータの制御を実現し、単独なトルク制御による調速問題を解決したとともに、単独な回転速度制御において負荷の耐干渉能力が強弱する問題及び、単独な回転速度制御において起動トルクが小さく、起動速度の応答が遅いという問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において、使う必要のある図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明の図面が、単に本発明の一部の実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を払わない前提で、これらの図面に基づいてほかの図面を取得することができる。
図1図1は従来技術において提供されるモータ駆動装置の概略構造図である。
図2図2は従来技術において提供される別のモータ駆動装置の概略構造図である。
図3図3は従来技術において提供される別のモータ駆動装置の概略構造図である。
図4図4は本発明の一実施例によって提供されるモータ駆動装置の概略構造図である。
図5図5は本発明の別の一実施例によって提供されるモータ駆動方法のフローチャートである。
図6図6は本発明の一実施例によって提供されるモータ駆動装置の概略構造図である。
図7図7は本発明の別の一実施例によって提供されるモータ駆動方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例に合わせて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は、単に本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0025】
本発明の技術案を説明するために、以下、具体的な実施例で説明する。
【0026】
本発明の一実施例は、モータ駆動装置を提供し、図4に示すように、モータ駆動装置は、ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するCLARK変換器17と、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するPARK変換器18と、モータロータの位置を検出し、モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する位置算出器11と、位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力する速度算出モジュール12と、ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する速度コントローラ1と、を含み、モータ駆動装置は、設定直軸電流を生成する直軸電流生成モジュール2と、設定直軸電流と回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する第1減算器21と、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する逆起電力検出モジュール16と、速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成する逆起電力生成モジュール15と、現在の逆起電力と設定逆起電力との減算を行って、逆起電力差を取得する第2減算器22と、逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力する逆起電力コントローラ19と、設定横軸電流と回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する第3減算器23と、直軸電流差と横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する電流コントローラ4と、位置フィードバック信号に基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを座標換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する電圧リミッタ5と、直軸電圧と横軸電圧とを三相交流電圧に変換するPWMコントローラ6と、をさらに含む。
【0027】
具体的には、逆起電力検出モジュール16は、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得し、該現在の逆起電力と設定逆起電力との減算を行って、逆起電力コントローラにフィードバックして、横軸電流成分を取得して、閉ループ制御回路を形成して、モータ電流を駆動制御して、モータの制御を実現する。
【0028】
具体的には、速度コントローラ出力信号は、速度コントローラ1によって出力された調節指令であり、電圧値又は電圧範囲値の形で存在してもよいし、又は該速度コントローラ出力信号は、ソフトウェアにおいてデジタルの形で存在してもよい。設定逆起電力は、速度コントローラ出力信号に基づいて生成され、例えば、速度コントローラ出力信号が電圧信号である場合に、速度コントローラ出力信号の大きさに正比例する関係となり、正比例する関係に基づいて設定逆起電力を取得することができる。
【0029】
具体的には、逆起電力検出モジュールが静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する過程は、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0030】
【数5】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0031】
本発明の別の一実施例は、インバータモジュール9とモータモジュール10とを含むモータを提供し、該モータは、上記モータ駆動装置をさらに含む。
【0032】
本発明の別の一実施例は、モータ駆動方法を提供し、図5に示すように、モータ駆動方法は、以下のステップS101〜ステップS111を含む。
【0033】
ステップS101は、モータのステータ電流を検出し、ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力する。
【0034】
ステップS102は、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換する。
【0035】
ステップS103は、モータロータの位置を検出し、モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する。
【0036】
ステップS104は、位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する。
【0037】
ステップS105は、設定直軸電流を生成し、設定直軸電流と回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する。
【0038】
ステップS106は、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する。
【0039】
このステップにおいて、具体的には、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得し、該現在の逆起電力と設定逆起電力との減算を行って、逆起電力コントローラにフィードバックし、横軸電流成分を取得して、閉ループ制御回路を形成して、モータ電流を駆動制御して、モータの制御を実現する。
【0040】
ステップS107は、速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成し、現在の逆起電力と設定逆起電力との減算を行って、逆起電力差を取得し、逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力する。
【0041】
このステップにおいて、具体的には、設定逆起電力は、電圧調節信号に基づいて生成され、例えば、速度コントローラ出力信号の大きさに正比例する関係となり、正比例する関係に基づいて設定逆起電力を取得することができる。
【0042】
ステップS108は、設定横軸電流と回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する。
【0043】
ステップS109は、直軸電流差と横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する。
【0044】
ステップS110は、位置フィードバック信号に基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する。
【0045】
ステップS111は、直軸電圧と横軸電圧とを三相交流電圧に変換する。
【0046】
さらに、ステップS106において、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップは、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0047】
【数6】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0048】
本発明によって提供されるモータ駆動装置、方法及びモータは、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて、現在の逆起電力を取得する。次に、現在の逆起電力と設定逆起電力とを演算して、逆起電力コントローラに出力して、設定横軸電流を取得し、逆起電力をフィードバックすることにより、閉ループ制御回路を形成して、モータ電流を駆動制御して、モータの制御を実現し、単独なトルク制御による調速問題を解決した。
【0049】
本発明の一実施例は、モータ駆動装置を提供し、図6に示すように、モータ駆動装置は、ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力するCLARK変換器17と、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換するPARK変換器18と、モータロータの位置を検出し、モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する位置算出器11と、位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力する速度算出モジュール12と、ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する速度コントローラ1と、を含み、モータ駆動装置は、設定直軸電流を生成する直軸電流生成モジュール2と、設定直軸電流と回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する第1減算器21と、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する逆起電力検出モジュール16と、速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成する逆起電力生成モジュール15と、逆起電力調節値を生成する抗速度飽和モジュール24と、現在の逆起電力と、設定逆起電力及び逆起電力調節値との減算を行って、逆起電力差を取得する第2減算器22と、逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力し、設定横軸電流値を抗速度飽和モジュール24に出力して、逆起電力調節値を生成するように抗速度飽和モジュールを駆動する逆起電力コントローラ19と、設定横軸電流と回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する第3減算器23と、直軸電流差と横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する電流コントローラ4と、位置フィードバック信号に基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを座標変換し、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する電圧リミッタ5と、直軸電圧と横軸電圧とを三相交流電圧に変換するPWMコントローラ6と、をさらに含む。
【0050】
本実施例と前述の実施例との相違点は、抗速度飽和モジュール24にある。ここで、抗速度飽和モジュール4によって出力された逆起電力調節値がIq*Ksであり、ただし、Iqが設定横軸電流値であり、Ksが正の実数であり、典型値は、モータの相間抵抗Rsである。
【0051】
前述の実施例では、逆起電力コントローラに飽和が生じた場合に、モータは、高速時に、回転速度の調節が鈍くなり、速度調節への応答が遅くなるという問題が現れてしまう。
【0052】
本実施例は、前述の実施例をベースとし、抗速度飽和モジュール24を導入することにより、逆起電力コントローラが飽和するという問題を解決する。
【0053】
具体的には、逆起電力検出モジュールが静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する過程は、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力することである。
【0054】
【数7】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0055】
本発明の別の一実施例は、モータ駆動方法を提供し、図7に示すように、モータ駆動方法は、以下のステップS201〜ステップS211を含む。
【0056】
ステップS201は、モータのステータ電流を検出し、ステータ電流を座標変換して、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを出力する。
【0057】
ステップS202は、静止座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とを回転座標系における横軸電流成分と直軸電流成分とに変換する。
【0058】
ステップS203は、モータロータの位置を検出し、モータロータの位置に基づいて位置フィードバック信号を出力する。
【0059】
ステップS204は、位置フィードバック信号に基づいてロータ電気角速度を出力し、ロータ電気角速度に基づいて速度コントローラ出力信号を出力する。
【0060】
ステップS205は、設定直軸電流を生成し、設定直軸電流と回転座標系における直軸電流成分との減算を行って、直軸電流差を取得する。
【0061】
ステップS206は、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分を検出し、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得する。
【0062】
このステップにおいて、具体的には、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得し、該現在の逆起電力と設定逆起電力との減算を行って、逆起電力コントローラにフィードバックして、横軸電流成分を取得して、閉ループ制御回路を形成して、モータ電流を駆動して制御して、モータの制御を実現する。
【0063】
ステップS207は、速度コントローラ出力信号に基づいて設定逆起電力を生成し、且つ逆起電力調節値を生成し、現在の逆起電力と、設定逆起電力及び逆起電力調節値との減算を行って、逆起電力差を取得し、逆起電力差に基づいて設定横軸電流値を出力し、設定横軸電流値に基づいて逆起電力調節値を生成する。
【0064】
このステップにおいて、具体的には、設定逆起電力は、電圧調節信号に基づいて生成され、例えば、速度コントローラ出力信号の大きさに正比例する関係となり、正比例する関係に基づいて設定逆起電力を取得することができる。
【0065】
具体的には、逆起電力調節値がIq*Ksであり、ただし、Iqが設定横軸電流値であり、Ksが正の実数であり、典型値は、モータの相間抵抗Rsとする。
【0066】
前述の実施例では、逆起電力コントローラに飽和が生じた場合に、モータは、高速時に、回転速度の調節が鈍くなり、速度調節への応答が遅くなるという問題が現れてしまう。
【0067】
本実施例は、前述の実施例をベースとし、逆起電力調節値を導入することにより、逆起電力コントローラが飽和するという問題を解決する。
【0068】
ステップS208は、設定横軸電流と回転座標系における横軸電流成分との減算を行って、横軸電流差を取得する。
【0069】
ステップS209は、直軸電流差と横軸電流差とに基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分とを出力する。
【0070】
ステップS210は、位置フィードバック信号に基づいて直軸電圧成分と横軸電圧成分を座標変換して、静止座標系における直軸電圧と横軸電圧とを出力する。
【0071】
ステップS211は、直軸電圧と横軸電圧とを三相交流電圧に変換する。
【0072】
さらに、ステップS106において、静止座標系における横軸電流成分、直軸電流成分、横軸電圧成分及び直軸電圧成分に基づいて現在の逆起電力を取得するステップは、具体的に、以下の数式により計算した後、現在の逆起電力を出力する。
【0073】
【数8】
ただし、Uαが静止座標系における直軸電圧成分であり、Iαが静止座標系における直軸電流成分であり、eαが直軸逆起電力であり、Uβが静止座標系における横軸電圧成分であり、Iβが静止座標系における横軸電流成分であり、eβが横軸逆起電力であり、Rsがステータ抵抗であり、eが現在の逆起電力である。
【0074】
以上の内容は、好ましい具体的な実施形態に合わせた本発明についての更なる詳しい説明であり、本発明の具体的な実施が、これらの説明に限定されると考えてはならない。当業者であれば、本発明の思想を逸脱しない前提でなされたいくつかの均等な代替又は明らかな変形は、性能又は用途が同じであれば、何れも提出された特許請求の範囲によって確定される本発明の特許保護範囲に属するものと見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7