特許第6481098号(P6481098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481098
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A63F7/02 325Z
   A63F7/02 315A
【請求項の数】1
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-200940(P2014-200940)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-91306(P2015-91306A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2017年9月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-208106(P2013-208106)
(32)【優先日】2013年10月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】100067596
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 求馬
(72)【発明者】
【氏名】西井 誓資
(72)【発明者】
【氏名】本間 靖直
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−192612(JP,A)
【文献】 特開2011−229720(JP,A)
【文献】 特開2012−147891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口と、
該始動口への入球に応じて大当りか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
該当否判定手段の結果を図柄により表示する図柄表示装置と、
該図柄表示装置に大当りである表示がされることで、大入賞口が予め定められた回数連続開放する大当り遊技を発生させる大当り遊技発生手段と、
前記大入賞口として、第1の大入賞口と、内部に特定領域を有する第2の大入賞口と、を備え、
前記大当り遊技では、前記第1の大入賞口を予め定められた複数ラウンド開放せしめる開放動作と、前記第2の大入賞口を少なくとも1ラウンド開放せしめる開放動作とを実行せしめ、
かつ大当り遊技には、前記第2の大入賞口の開放時間が長く前記特定領域への入球が容易な長開放大当り遊技と、開放時間が短く前記特定領域への入球困難な短開放大当り遊技といずれかの大当り遊技を実行するようになし、
前記大当り遊技中に遊技球が前記特定領域を通過することで該大当り遊技の終了後の当否判定手段による当り判定の確率が通常状態時より高い確率変動状態に設定せしめる確率変動移行手段を設けた遊技機において、
前記第2の大入賞口内には該第2の大入賞口への入球を検出して検出信号を発する大入賞口検出手段と、
該大入賞口検出手段を通過した遊技球を、前記特定領域へ向けて案内する第1の通路と、
前記特定領域へ案内しない第2の通路と、
前記大入賞口検出手段を通過した遊技球を、前記第1の通路又は前記第2の通路のいずれか一方へ振り分け案内する振り分け手段と、
前記第1の通路に設けられて前記特定領域を通過する遊技球を検出して検出信号を発する特定領域検出手段と、
前記特定領域を通過して前記第1の通路から排出される遊技球を検出して検出信号を発する排出検出手段と、
前記第2の通路にはこれを通過する遊技球を検出して検出信号を発するハズレ検出手段と、
前記大入賞口検出手段、特定領域検出手段、排出検出手段およびハズレ検出手段の各検出信号に応じてカウント値を加減算するカウント手段と、を備え、
該カウント手段は、予めカウント開始時の基準値が設定され、前記大入賞口検出手段の検出信号に応じて加算値を加算する一方、前記特定領域検出手段の検出信号に応じて前記加算値よりも小さい数値からなる第1の減算値を、前記排出検出手段の検出信号に応じて前記第1の減算値との和が前記加算値と同一値となる第2の減算値を、前記ハズレ検出手段の検出信号に応じて前記加算値と同一値からなる第3の減算値を、減算するようになし、
前記カウント手段のカウント値が前記基準値よりも小さい値になったときにエラーと判定するとともに、前記第2の大入賞口の1ラウンド終了時に前記カウント値が前記基準値と同一値でない場合にエラーと判定するエラー判定手段を設けたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾球遊技機、特に大当り遊技において遊技球が特定領域へ入球することで、大当り遊技後に遊技者に有利な特典遊技を付与する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機たるパチンコ機には、遊技球の始動口への入球に起因して乱数値が抽出され、乱数値に基づいて大当りとなるか否かの当否判定を行なうとともに、判定の結果が大当りであれば大入賞口を開閉する大当り遊技を実施するものがある。
また従来、この種のパチンコ機には、大当り遊技中に遊技球が大入賞口の内部に設けられた特定領域に入球することにより、大当り終了後に当否判定の当選確率を高確率とする確変遊技などの特典遊技に移行するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
特定領域に入球することにより特典遊技に移行するパチンコ機では、大入賞口内に開閉扉等を設けて開放時にのみ特定領域への入球が可能な構成や、大入賞口として第1の大入賞口と特定領域を備えた第2の大入賞口との2種類を設けた構成があり、いずれも大当り遊技中の所定のラウンド時にのみ特定領域への入球を可能とするように構成されている。そして、前記開閉扉や第2の大入賞口は、大当りとなった特別図柄に基づき、開放時間が長く特定領域への入球が容易な開放パターンと、開放時間が短く入球が困難な開放パターンとのいずれかのパターンで開閉される。これにより遊技者は、どの開放パターンであるか、自らの遊技技術(発射技術)により特典遊技を獲得できるか否かといった期待感やスリル感を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−103091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来構造の特定領域への入球により特典遊技に移行するパチンコ機では、不正な電波で特定領域の通過を検出するセンサを作動させたり、糸付きの遊技球で特定領域を通過させるといった不正行為により容易に特典遊技へ移行されるおそれがある。
これに対して前記特許文献1のパチンコ機では、短時間の開放パターンでは特定領域へ
の入球を検出しても特典遊技に移行しないようにしている。しかしながら、例え、短時間の開放パターンといえども、不正でなくても極稀に特定領域に入球する可能性がある。このように稀に起こった事象で不正ではなく正当に入球したにも関わらず、確変に移行しないというのでは遊技者に不信感を抱かれかねないし、遊技の趣向性を著しく落としてしまうおそれがある。
【0006】
そこで従来では、正当な入球と不正行為とを確実に見分けるため、大入賞口内に遊技球を検出する複数のセンサが設けられ、制御プログラム上で、これらセンサにより検出された検出信号を様々にカウントする多数のカウンタが必要であり、かつプログラム処理上で多数の判断処理を実行する必要がある。このため、プログラム容量が膨大となり、プログラム処理が複雑となる問題があった。例えば、特定領域への異常な通過をエラーとする処理、特定領域以外の異常な通過をエラーとする処理、大入賞口への入出球の不一致をエラーとする処理、大入賞口から排出される遊技球を検出するセンサの異常な通過をエラーとする処理、特定領域の通過と大入賞口からの排出との不一致をエラーとする処理等が必要で複雑である。
そこで本願発明は前記事情に鑑み、プログラム処理が簡素で、プログラム容量を軽減することができ、かつ正当な特定領域への入球と不正行為とを確実に見分けることができる遊技機を実現することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
始動口と、
該始動口への入球に応じて大当りか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
該当否判定手段の結果を図柄により表示する図柄表示装置と、
該図柄表示装置に大当りである表示がされることで、大入賞口が予め定められた回数連続開放する大当り遊技を発生させる大当り遊技発生手段と、
前記大入賞口として、第1の大入賞口と、内部に特定領域を有する第2の大入賞口と、を備え、
前記大当り遊技では、前記第1の大入賞口を予め定められた複数ラウンド開放せしめる開放動作と、前記第2の大入賞口を少なくとも1ラウンド開放せしめる開放動作とを実行せしめ、
かつ大当り遊技には、前記第2の大入賞口の開放時間が長く前記特定領域への入球が容易な長開放大当り遊技と、開放時間が短く前記特定領域への入球困難な短開放大当り遊技といずれかの大当り遊技を実行するようになし、
前記大当り遊技中に遊技球が前記特定領域を通過することで該大当り遊技の終了後の当否判定手段による当り判定の確率が通常状態時より高い確率変動状態に設定せしめる確率変動移行手段を設けた遊技機において、
前記第2の大入賞口内には該第2の大入賞口への入球を検出して検出信号を発する大入賞口検出手段と、
該大入賞口検出手段を通過した遊技球を、前記特定領域へ向けて案内する第1の通路と、
前記特定領域へ案内しない第2の通路と、
前記大入賞口検出手段を通過した遊技球を、前記第1の通路又は前記第2の通路のいずれか一方へ振り分け案内する振り分け手段と、
前記第1の通路に設けられて前記特定領域を通過する遊技球を検出して検出信号を発する特定領域検出手段と、
前記特定領域を通過して前記第1の通路から排出される遊技球を検出して検出信号を発する排出検出手段と、
前記第2の通路にはこれを通過する遊技球を検出して検出信号を発するハズレ検出手段と、
前記大入賞口検出手段、特定領域検出手段、排出検出手段およびハズレ検出手段の各検出信号に応じてカウント値を加減算するカウント手段と、を備え、
該カウント手段は、予めカウント開始時の基準値が設定され、前記大入賞口検出手段の検出信号に応じて加算値を加算する一方、前記特定領域検出手段の検出信号に応じて前記加算値よりも小さい数値からなる第1の減算値を、前記排出検出手段の検出信号に応じて前記第1の減算値との和が前記加算値と同一値となる第2の減算値を、前記ハズレ検出手段の検出信号に応じて前記加算値と同一値からなる第3の減算値を、減算するようになし、
前記カウント手段のカウント値が前記基準値よりも小さい値になったときにエラーと判定するとともに、前記第2の大入賞口の1ラウンド終了時に前記カウント値が前記基準値と同一値でない場合にエラーと判定するエラー判定手段を設けた。
尚、本遊技機は、遊技球が特定領域を通過することなく大当り遊技が終了した場合には、大当り遊技の終了後の当否判定手段による当り判定の確率を通常状態に設定せしめる。
【0008】
請求項1の発明によれば、第2の大入賞口への入球時、大入賞口検出手段により入球が検出され、カウント手段のカウントが開始される。遊技球が振り分け手段により第1の通路へ振り分けられると、特定領域検出手段により特定領域の通過が検出され、続いて排出検出手段により第1の通路からの排出が検出されることとなる。このときカウント手段のカウント値はカウント開始時の基準値と同一値となり、この一連の遊技球の流れを正常と判断する。
また、遊技球が振り分け手段により第2の通路へ振り分けられると、ハズレ検出手段によりハズレ検出されることとなり、この場合も、カウント手段のカウント値はカウント開始時の基準値と同一値となり、遊技球の流れを正常と判断する。
一方、不正行為により各検出手段による検出順序が変化すると、例えば大入賞口検出手段の検出なしに、糸付き球や不正電波等により特定領域検出手段が作動すると、カウント手段のカウント値が基準値よりも小さくなり、遊技球の流れが正常ないと見做してエラー手段によりエラーが発生したと判断することができる。また第2の大入賞口が開閉するラウンドの終了時にカウント手段のカウント値が基準値と同一でない場合も遊技球の流れが正常ないと見做してエラーと判断することができる。
従って、正当な特定領域への入球と不正行為とを確実に見分けることができ、遊技者の不信感を払拭することができる。また、正当な特定領域への入球と不正行為とを見極めるために、従来構造のよう多数のエラーを判定する必要なく、カウント手段のカウント値が基準値よりも小さい場合と、ラウンド終了時のカウント値が基準値と同一でない場合といった2種類のエラーを判断するのみで済み、プログラム処理が簡素で、プログラム容量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を適用した第1の実施形態の遊技機の正面図である。
図2】前記遊技機の遊技盤の正面図である。
図3】前記遊技盤に設けられ、特定領域を有する第2の大入賞口を示す要部拡大図である。
図4】前記遊技機の背面図である。
図5】前記遊技機の電気ブロック図である。
図6】前記遊技機の主制御装置で実行されるメインルーチンの制御内容を示すフローチャートである。
図7】前記主制御装置で実行される始動入賞処理の制御内容を示すフローチャートである。
図8】前記主制御装置で実行される特図当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図9】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図10】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図11】前記特図当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図12】前記遊技機で用いられる大当り図柄に関する説明図である。
図13】前記遊技機で実行される大当り遊技の内容に関する説明図である。
図14】前記主制御装置で実行される特別遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図15】前記特別遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図16】前記特別遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図17】前記特別遊技処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図18】前記第2の大入賞口へ入球した遊技球のカウントに関する説明図である。
図19】前記主制御装置で実行されるカウント処理の制御内容を示すフローチャートである。
図20】本発明を適用した第2の実施形態の遊技機の遊技盤に設けられた第2の大入賞口へ入球した遊技球のカウントに関する説明図である。
図21】前記遊技機の主制御装置で実行されるカウントA処理の制御内容を示すフローチャートである。
図22】前記遊技機の主制御装置で実行されるカウントB処理の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を適用した実施形態の遊技機たるパチンコ機を説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠10にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠10には、左側の上下の位置に設けたヒンジ101を介して、板ガラス110が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)11および図略の内枠が開閉可能に設けてある。なお、これら前枠11および前記内枠はシリンダ錠18により外枠10に閉鎖ロックされ、シリンダ錠18に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠11を開放する。
前枠11の板ガラス110の奥には前記内枠に保持された遊技盤2(図2)が設けてある。
【0011】
前枠11の上部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ112が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また前枠11には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ113のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
【0012】
前枠11の下半部には上皿12と下皿13とが一体に形成してある。下皿13の右側には発射ハンドル14が設けてあり、該発射ハンドル14を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿12から供給された遊技球が遊技盤2に向けて発射される。また上皿12には賞球が払い出される。
下皿13は上皿12から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿13に溜まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。
【0013】
本パチンコ機1は所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)60が隣接してある。パチンコ機1には上皿12の右側に貸出ボタン171、精算ボタン172および残高表示器173が設けてある。また上皿12の中央位置には遊技者が操作可能な遊技ボタン15と、その外周を囲むようにジョグダイヤル16が設置されている。
【0014】
図2に示すように、遊技盤2には外レール201と内レール202とによって囲まれた略円形の遊技領域20が形成されている。遊技領域20には図示しない多数の遊技釘が植設されている。
遊技領域20の中央部にはセンターケース200が装着されている。センターケース200は中央に演出図柄表示装置21(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。またセンターケース200には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
【0015】
遊技領域20のセンターケース200左横位置には、遊技球が通過可能であり、通過時に普通図柄(以下、単に普図という)の抽選が実行される作動ゲート(作動口)22が設けられている。
センターケース200の中央直下位置には、常時、遊技球の入球が可能で、入球により第1の特別図柄(以下、単に第1特図という)の抽選を実行する第1特図始動口23Aが設けてあり、更にその直下位置にはチューリップ式普通電動役物からなり、入球時に第2の特別図柄(以下、単に第2特図という)の抽選が実行される特図の第2特図始動口23Bが設置されている。
該第2特図始動口23Bは普通電動役物(以下、単に普電役物という)の開放時にのみ入球(入賞)可能である。普電役物は、普図の抽選で当りとなると所定時間開放する構成である。
【0016】
第2特図始動口23Bの直下位置には、開閉板にて開閉可能に設けられ、大当り時に開放される第1大入賞口(第1の大入賞口)24が設置されている。
【0017】
またセンターケース200の右側位置には、開閉板にて開閉可能に設けられ、大当り時に開放される第2大入賞口(第2の大入賞口)25が設置されている。尚、第2大入賞口25の内部には、遊技球が通過可能な当りゲート(特許請求の範囲の「特定領域」に相当)26、および当りゲート26への入球を規制する振分部材(特許請求の範囲の「振り分け手段」に相当する)255が設けられている。
【0018】
センターケース200の左側斜め下方位置で第1特図始動口23Aないし第1大入賞口24の左側位置には複数(4つ)の普通入賞口27が配されている。また、第1大入賞口24の直下の盤面最下部にはアウト口203が設けられている。
【0019】
また遊技盤2の右下端部には、レール201の外部に、第1特図表示装置28A、第2特図表示装置28B、第1特図保留数表示装置281、第2特図保留数表示装置282、普通図柄表示装置29および普図保留数表示装置291が設けられている。
【0020】
図3は前記第2大入賞口25の作動の説明図である。第2大入賞口25は、開閉扉250の開放時に入球した遊技球を装置内へ取り入れる取入口251を備え、これより内部へ取り込まれる。
前記取入口251の直下位置には第2大入賞カウントSW507が設置され、これにより取り込んだ遊技球を検出する。
【0021】
第2大入賞口25内には下半部の左右両側に、大当りの当り確率を高確率とする「確変」や大当りの当選に有利な「時短」といった特典を機能させるための特定領域である当りゲート26と、特典が機能されない外れゲートとが設置されている。そして、当りゲート26へ向けて遊技球を案内する第1の通路252と、外れゲートへ向けて遊技球を案内する第2の通路253とがそれぞれ左右に設けられ、更に左右方向に揺動可能に設けられた振分部材255により遊技球を第1又は第2の通路252,253へ振り分けるように構成されている。即ち図3(a)に示すように、振分部材255をその先端が右斜め上方へ向く傾斜姿勢とすることで、遊技球を第1の通路252から当りゲート26へ案内する。一方、図3(b)に示すように、振分部材255を左斜め上方へ向く傾斜姿勢とすることで、遊技球を第2の通路252から外れゲートへ案内する。
【0022】
当りゲート26および外れゲートはそれぞれ遊技球が通過可能な構成である。当りゲート26内には、ゲートを通過する遊技球を検出する特定領域SW508(特定領域検出手段)と、ゲートからの排出を検出する排出SW509(排出検出手段)とが設けられている。
外れゲート内には、特定領域を通過せずにハズレとなった遊技球を検出するハズレSW510(ハズレ検出手段)が設けられている。尚、必ずしも外れゲートは必要なものではなく、第2の通路253を流下するハズレ球をハズレSW510により検出できる構成であればよい。
当りゲート26又は外れゲートを通過した遊技球は装置ない下端部の開口254から遊技盤内へ取り込まれる。
【0023】
尚、本実施形態では、振分部材255は、第2大入賞口25の開閉扉250が開いて遊技球の入球が可能な状態になると第1の通路252を開放して当りゲート26への遊技球の入球が可能な位置(前記右斜め上方へ向く傾斜姿勢)をなす。そして当りゲート26に遊技球が入球すると、第1の通路252を閉じて(前記左斜め上方へ向く傾斜姿勢)、当りゲート26への入球が不可能な位置に変位する。
【0024】
図4は本パチンコ機1の裏面を示すもので、パチンコ機1の裏側は、前記遊技盤2を脱着可能に取付ける内枠30が収納されている。内枠30は、前記前枠11と同様に、一方の側縁(図4の右側)の上下位置が前記外枠10にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠30には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク31、タンクレール32、払出ユニット33が設けられ、払出ユニット33の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤20の入賞口に遊技球が入賞すれば球タンク31からタンクレール32を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出ユニット33により払出球流下通路を通り前記上皿12に払い出される。また、前記賞球を払い出す払出ユニット33により前記貸出ボタン171の操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。
【0025】
パチンコ機1の裏側には、主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43、発射制御装置44、電源基板45が設けられている。
主制御装置40、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43は遊技盤2に設けられ、払出制御装置41、発射制御装置44、電源基板45は内枠30に設けられている。図8では発射制御装置44が描かれていないが、払出制御装置41の下に設けてある。
【0026】
また、球タンク31の右側には、外部接続端子板38が設けてあり、外部接続端子板38により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。尚、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠側(外枠10、前枠11、内枠30)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板38を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0027】
図5は本パチンコ機の電気的構成を示すもので、遊技の制御を司る主制御装置40を中心に、サブ制御装置として払出制御装置41、サブ統合制御装置42および演出図柄制御装置43を具備する構成である。主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42および演出図柄制御装置43においては、何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え、これら制御装置は何れもCPUにより、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号に起因してROMに搭載しているメインルーチンおよびサブルーチンからなるプログラムが開始され、各種の制御が実行される。
発射制御装置44にはCPU、ROM、RAM等が設けられていない。しかしこれに限るわけではなく、発射制御装置44にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0028】
主制御装置40は、裏配線中継端子板530および外部接続端子板38を介して遊技施設のホールコンピュータ500と電気的に接続される。また主制御装置40には、裏配線中継端子板530や遊技盤中継端子板531を介して、前枠(ガラス枠)および内枠が閉鎖しているか否か検出する前面枠閉鎖SW(スイッチ)501、意匠枠閉鎖SW502、第1特図始動口23Aへの入球を検出する第1特図始動SW503、第2特図始動口23Bへの入球を検出する第2特図始動SW504、普図始動ゲート22への入球を検出する普通図柄作動SW505、第1大入賞口24への入球を検出する第1大入賞カウントSW506、第2大入賞口25への入球を検出する第2大入賞カウントSW507、当りゲート26への入球を検出する特定領域SW508、当りゲート26からの排出を検出する排出SW509、外れゲートへの入球を検出するハズレSW510、および普通入賞口27への入球を検出する一般入賞口SW511等の検出信号が入力される。
【0029】
また主制御装置40は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置41や、演出中継端子板532を介してサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ向けてのコマンドの出力や、図柄表示装置中継端子板533を介して第1特図表示装置28A、第2特図表示装置28B、第1特図保留数表示装置281、第2特図保留数表示装置282、普図表示装置29および普図保留数表示装置291等の表示制御を行なう。
【0030】
更に主制御装置40は、遊技盤版中継端子板531を介して、第1大入賞口ソレノイド512、第2大入賞口ソレノイド513、シャッターソレノイド514および普通電役ソレノイド515が接続されている。そして第1大入賞口ソレノイド512又は第2大入賞口ソレノイド513を制御して第1大入賞口24又は第2大入賞口25を開放作動せしめる。またシャッターソレノイド514を制御して振分部材255により当りゲート26への第1の通路252を開閉作動せしめ、更に普電役物ソレノイド515を制御して第2特図始動口23Bの普電役物の開閉作動せしめる。
主制御装置40からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板38を経てホールコンピュータ500に送られる。
主制御装置40と払出制御装置41とは双方向通信が可能である。
【0031】
払出制御装置41は、裏配線中継端子板530や払出中継端子板534を介して球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW520、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW522、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW523等の検出信号が入力される。また主制御装置40から送られてくるコマンドに応じて払出モータ521を稼働させて遊技球を払い出させる。更に、CRユニット端子板535を介してCRユニット60と電気的に接続され、精算表示装置173を介して球貸および精算SW171,172による貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、CRユニット60とデータを送受し、貸出要求信号に応じて払出モータ521を稼働させて貸球を払い出させ、CRユニット60に挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。
【0032】
発射制御装置44は、発射ハンドルの回転操作を検出するスイッチ524、発射停止SW525、発射ハンドル14に遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW526等の検出信号が入力される。払出制御装置41を介して主制御装置40から送られてくるコマンド(タッチSW526の信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドル14(524)の回動信号および発射停止SW525の信号に基づいて発射モータ527を制御して遊技球を発射および停止させる。
【0033】
サブ統合制御装置42には、音量調節SW、遊技ボタンやジョグダイヤルの操作を検出する遊技SW15などの操作信号が入力される。
そしてサブ統合制御装置42は、スピーカ112を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ113の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置43へキャラクタなどを表示する擬似演出や特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0034】
演出図柄制御装置43は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置21を構成している。演出図柄制御装置43は、サブ統合制御装置42から送られてくるコマンドに応じて演出図柄表示装置21のLCDパネルの表示を制御する。
【0035】
次にパチンコ機の作動を説明する。
パチンコ機は、始動ゲート22への入球に起因して普図の当否抽選を行い、普図表示装置29の図柄変動を開始する。前記抽選結果が当りであれば、普図表示装置29に当選結果を確定表示して前記普電役物を開放する。これにより第2特図始動口23Bへの入賞が可能となる。
尚、普電役物が常時入賞可能な構成の場合には、普電役物の開放により第2特図始動口23Bへの入賞が容易となる。
第1又は第2特図始動口23A,23Bへの入賞があると、これらに起因して乱数値が抽出され、該乱数値に基づいて第1特図又は第2特図の当否判定を行い、第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bと演出図柄表示装置21の図柄変動を開始する。第1特図又は第2特図の何れのときも判定結果が大当りであれば、大当り図柄を決めて各表示装置21,28A,28Bに大当り図柄を確定表示して大当り遊技(特別遊技)を実行する構成である。尚、演出図柄表示装置21には特図に対応する擬似演出図柄が表示される。
【0036】
大当り遊技は、第1大入賞口24を開放し所定の時間または入球数が所定数に達して閉じるまでの動作を1ラウンドとして、所定数のラウンドを継続することを基本遊技としている。そして、大当り遊技の最終ラウンドにおいて第2大入賞口25を開放して、該最終ラウンドにおいて第2大入賞口25の当りゲート26への入球があれば、大当り遊技後の遊技状態を大当りの当選確率が高確率となる確率変動(確変)遊技および普図の当選が高確率となり普電役物の平均開放時間が長くなり特図の変動時間が短縮される時間短縮(時短)遊技へと移行する基本構成である。
【0037】
以下、作動の詳細を主制御装置40で実行されるプログラム処理に基づいて説明する。
図6は主制御装置40で実行される「メインルーチン」のフローチャートを示し、「メインルーチン」は本処理(S100〜S110,S115)と残余処理(S111)とで構成され、2ms又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(S100:no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0038】
正常割り込みなら(S100:yes)、初期値乱数更新処理(S101)、第1および第2特図の当否判定用の乱数値である大当り決定用乱数の更新処理(S102)、第1および第2特図の大当り図柄決定用乱数の更新処理(S103)、普図の当り決定用乱数の更新処理(S104)、第1および第2特図のリーチに関するリーチ判定用乱数の更新処理(S105)、第1および第2特図の変動パターンに関する変動パターン決定用乱数の更新処理(S106)、入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)、各出力処理(S109)、不正監視処理(S110)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S111)をループ処理する。
【0039】
次に、本発明に関わりの深い入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)および各出力処理(S109)の一部のサブルーチンについて説明する。
図7に示す「始動入賞処理」は、第1特図始動口23A、第2特図始動口23Bに遊技球が入球したとき、又は普図の作動ゲート22を遊技球が通過したときに抽出される当否乱数等の種々の乱数を、保留記憶として主制御装置40に格納(記憶)する。そして記憶した乱数が予め設定された値か否かについて、当否判定を実施する以前に確認する処理を行い、各特図始動口23A,23Bへの入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置42に送信する処理となる。以後、第1特図始動口23Aに遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2特図始動口23Bに遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、作動ゲート22を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶とする。尚、本実施形態における記憶可能な保留記憶数は第1保留記憶、第2保留記憶、普図保留記憶、各4個ずつである。
【0040】
当該「始動入賞処理」は、先ず、第1特図始動SW503により第1特図始動口23Aへの入球を検出したか否か判定する(S200)。入球が無ければ(S200:no)、S206の処理に移行する。入球が有れば(S200:yes)、主制御装置40に格納されている第1保留記憶の数が上限値(=4個)未満か否か確認する(S201)。上限値であれば(S201:no)、S206に進み、上限値未満であれば(S201:yes)、抽出した大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数を第1保留記憶として記憶し第1保留記憶数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S202)。
【0041】
続いて、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S203)。具体的には、大当り決定用乱数の値が大当りを生起する値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、リーチ判定用乱数がスーパーリーチとなる値か否かを確認する。スーパーリーチでなければ、リーチとなる値か否かを確認し、変動パターン決定用乱数の値から変動時間を確認する。これらの判定を行うことによって、記憶した乱数値は遊技者が期待のもてる特定の値か否かを判定する。
S204の処理では、前記先読判定結果から第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置42に送信し、続くS205の処理で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置42に送信する。
【0042】
次に、S206の処理では、第2特図始動SW504により第2特図始動口23Bへの入球を検出したか否か判定する。入球が無ければ(S206:no)S212の処理に移行する。入球が有れば(S206:yes)、主制御装置40に格納されている第2保留記憶の数が上限値(=4個)未満か否か確認する(S207)。上限値であれば(S207:no)、S212に進み、上限値未満であれば(S207:yes)、抽出した大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数を第2保留記憶として記憶し第2保留記憶数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算する(S208)。
【0043】
続いて、記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S209)。第1保留記憶と同様に、大当り決定用乱数の値が大当りを生起する値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、リーチ判定用乱数がスーパーリーチとなる値か否かを確認する。スーパーリーチでなければ、リーチとなる値か否かを確認し、変動パターン決定用乱数の値から変動時間を確認する。これらの判定を行うことによって、記憶した乱数値は遊技者が期待のもてる特定の値か否かを判定する。
S210の処理では、前記先読判定結果から第2先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置42に送信し、続くS211の処理で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置42に送信する。
【0044】
次にS212の処理では、普通図柄作動SW505により通過ゲート22の通過があったか否か確認する。ゲート通過が無ければ(S212:no)リターンする。ゲート通過が有れば(S212:yes)、主制御装置40に格納されている普図保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か確認する(S213)。上限値であれば(S213:no)、リターンする。上限値未満であれば(S213:yes)、抽出した当り決定用乱数と当り図柄決定用乱数とを普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S214)。加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置42に送信し(S215)、リターンする。
【0045】
サブ統合制御装置53は第1および第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置21上で表示する各保留記憶数を変化させる制御を行う。また、本パチンコ機では、演出図柄表示装置21では普図の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置42に送信する構成も考えられる。これにより、普通電動役物のロング開放を期待させる先読予告の実施が可能となる。
【0046】
次に図8,9,10,11に基づいて主制御装置40で実行される「特図当否判定処理」について説明する。
この処理は、主制御装置40が第1又は第2始動口23A,23Bへの入球時に取得した大当り決定用乱数と抽選時(判定時)の遊技状態(通常遊技状態か確変状態か)とに応じて大当りを生起させるか否か判定し、判定結果が大当りなら、大当り図柄決定用乱数に基づいて複数の大当り図柄の中から確定表示を行う大当り図柄を決定し、決定した大当り図柄に応じて大当り遊技の遊技内容や大当り遊技後の遊技状態の種別が決定される。
【0047】
図8に示すように特図当否判定処理では先ず、条件装置が未作動か否かを確認する(S300)。これは大当りフラグに基づいて行われる。大当りフラグとは、特図の抽選で当選した場合(取得した大当り決定用乱数の値が予め定められた所定の値と一致していた場合)に立つフラグである。条件装置が未作動であれば(S300:yes)、特図が変動停止中であるか否かの確認(S301)、確定図柄の非表示期間であるかであるか否かの確認(S302)が行われる。
【0048】
前記S301、S302の両処理が肯定判定なら(S301:yes、S302:yes)、図9に示すように、S310の処理において第2保留記憶があるか否かを確認する。第2保留記憶が有れば(S310:yes)、S312に移行する。第2保留記憶が無ければ(S310:no)、第1保留記憶があるか否かを確認する(S311)。第1保留記憶が無ければ(S311:no)特別遊技処理に移行する。第1保留記憶が有れば(S311:yes)、S312の処理に移行する。このようにS310とS311の処理により、第2保留記憶の当否判定を第1保留記憶よりも優先して実施する構成となっている。
【0049】
続くS312の処理では、当否判定する第1保留記憶又は第2保留記憶のシフト処理を行い、これにより最も古い第1保留記憶又は第2保留記憶を当否判定の対象とするとともに、対象となった第1又は第2保留記憶数を示す保留記憶カウンタから1を減算する。次に、このように減算した保留記憶カウンタの値を示す保留数指示コマンドをサブ統合制御装置42に送信する(S313)。
【0050】
S314の大当り決定用乱数比較処理では、特図当否判定の対象とした保留記憶の大当り決定用乱数と予め設定された特図当否判定テーブルとを比較して、大当り決定用乱数の値が特図当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する。特図当否判定テーブルは通常確率(低確率1/358.1148)用と高確率用(1/37.6855)の2種類のテーブルが設定してあり、当否判定時の遊技状態が通常確率状態であれば通常確率用の当否判定テーブルを用いて比較し、高確率の確変状態であれば高確率用の当否判定テーブルを用いて比較する。
【0051】
続くS315の処理では、前記S314の比較処理に基づいて当否判定が大当りか否かの確認を行う。
大当りであれば(S315:yes)、S316の処理において、前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する。
続くS317の処理では大当り設定処理を行う。この処理では、前記決定された大当り図柄に基づいて、例えば、演出図柄表示装置21で実行される大当り遊技のオープニング演出の時間の設定、エンディング演出の時間の設定、大当り遊技の開放パターン(ラウンドの総数、第1大入賞口24又は第2大入賞口25の開放態様)等の設定がなされる。尚、前記S315の処理は特許請求の範囲に記載の「当否判定手段」に相当する。
【0052】
前記大当り図柄は、図12(a)に示すように、第1特図(特図1)では「EL,EP,FE,FH・・・・PL,LH」などの10種類の図柄から一つの図柄が決定される。第2特図(特図2)では、図12(b)に示すように、「EL,FE,HF,LF,PL」などの5種類の図柄から一つの図柄が決定される。
【0053】
第1特図の大当り図柄のうち「EP,FH,HP,PE,LH」は「入球困難図柄」とされ、これらに応じた大当り遊技の大入賞口の開放パターンは、図13に示すように、大当り遊技の第1ラウンドから第12ラウンドまでの各ラウンドで第1大入賞口24が28秒間又は9個の遊技球が入賞するまで開放され、大当り遊技の最終ラウンドである第13ラウンドにおいて第2大入賞口25が0.9秒間又は9個の遊技球が入賞するまで開放される。即ち、第2大入賞口25への入球が困難となる開放パターンであり、換言すれば当りゲート26への入球が困難な開放パターンである。
【0054】
一方、第1又は第2特図の大当り図柄「EL,FE,HF,LF,PL」は「入球容易図柄」とされ、これらに応じた大当り遊技の大入賞口の開放パターンは、大当り遊技の第1ラウンドから第12ラウンドまでの各ラウンドで第1大入賞口24が28秒間又は9個の遊技球が入賞するまで開放され、大当り遊技の最終ラウンドの第13ラウンドにおいて第2大入賞口25が28秒間又は9個の遊技球が入賞するまで開放される。即ち、第2大入賞口25への入球が容易な開放パターンであり、換言すれば当りゲート26への入球が容易な開放パターンである。
【0055】
図9に戻って大当りの設定後、S318で前記当否判定の対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて、演出図柄表示装置21に表示される特図の大当り用の変動時間などといった変動パターンを決定する。
【0056】
前記S315の処理において、大当りでなくハズレであれば(S315:no)、S319の処理において、演出図柄表示装置21に表示される特図のハズレ図柄の選択を行う。次にS318の処理に移行して、特図のハズレ用の変動時間などといった変動パターンを決定する。
【0057】
大当りであってもハズレであっても前記S318の処理に続いて、S320の処理において、前記当否判定の結果を示すデータ(大当り図柄の種類、ハズレの種類(リーチの有無)、変動時間等)を含んだ変動指示コマンドをサブ統合制御装置42に出力するとともに、第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bにおいて特別図柄を変動表示させる処理を行い、特別遊技処理に移行する。従って、サブ統合制御装置42は前記変動指示コマンドを受信することにより、大当り図柄の種類、ハズレ図柄、リーチの有無、変動時間を把握することが出来る。
【0058】
図8の前記S301の処理において特図が変動中であれば(S301:no)、図10に示すようにS330の処理において、特図の変動時間(S318で選択した変動パターンに基づく)が経過したか否かを確認し、変動時間の経過が確認できれば(S330:yes)、図柄停止コマンドをサブ統合制御装置42に出力するとともに、第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bを制御してS316又はS319で決定した図柄を確定表示させる(S331)。
図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置42は演出図柄制御装置43に予め決めておいた特図に対応する擬似(演出)図柄を確定表示させる指示信号を出力し、演出図柄制御装置43は、その信号により演出図柄表示装置21を制御して擬似(演出)図柄を確定表示させる。これにより、特別図柄と擬似(演出)図柄の変動の開始と終了が同じタイミングになる(同期する)。
【0059】
続くS332の処理において、確定表示した特図が大当りを示すか大当り図柄であるか否かを確認する。大当り図柄であれば(S332:yes)、S333の確定図柄表示設定処理において確定図柄を表示させておく時間の設定を行い、S334の処理において前記大当りフラグを立てる条件装置作動開始処理を実行する。
続くS335の処理において、遊技状態が確変状態であることを示す「確変フラグ」、および遊技状態が時短状態であることを示す「時短フラグ」をともに「0」にリセットするとともに、確変の継続期間を計る「確変カウンタ」、および時短の継続期間を計る「時短カウンタ」のカウントを「0」にリセットする。これらの処理により大当り遊技(特別遊技)中での遊技状態を通常状態にリセットする。その後、特別遊技処理へ移行する。
【0060】
前記S332の処理で、大当り図柄でなければ(S332:no)、S337の処理で確定図柄を表示する表示時間の設定を行う。続くS338の処理において、確変フラグが「1」であるか否かを確認し、確変フラグが「1」であれば(S338:yes)、確変カウンタを減算し(S339)、減算した確変カウンタの値が「0」あるか否かを確認する(S340)。確変カウンタの値が「0」であれば(S340:yes)、確変フラグを「0」にセットする(S341)。
【0061】
続くS342の処理において、時短フラグが「1」であるか否かを確認し、時短フラグが「1」であれば(S342:yes)、時短カウンタを減算し(S343)、減算した時短カウンタの値が「0」あるか否かを確認する(S344)。時短カウンタの値が「0」であれば(S344:yes)、時短フラグを「0」にセットする(S345)。その後、「特別遊技処理」に移行する。
【0062】
図8に戻って前記S302の処理において確定図柄が表示中であれば(S302:no)、図11に示すS350の処理において前記S318の処理で設定された確定図柄表示時間が終了したか否かを確認する。表示時間が終了であれば(S350:yes)、第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bを制御して特図の確定表示を終了させ、サブ統合制御装置42に指示信号を送信して疑似(演出)図柄の確定表示を終了させる確定図柄表示終了処理を行う(S351)。その後、特別遊技処理に移行する。
【0063】
次に主制御装置40が実行する「特別遊技処理」を、図14ないし図17に基づいて説明する。「特別遊技処理」は大当り遊技の進行を制御する処理である。
図14に示すように、先ず、大当りフラグに基づいて条件装置が作動しているか否かを確認する(S400)。条件装置が作動していれば(S400:yes)、第1大入賞口24および第2大入賞口25が閉鎖中か否かを確認する(S401)。閉鎖中であれば(S401:yes)、大当り遊技の開始演出中か否かを確認する(S402)。大当り遊技の開始演出中であれば(S402:yes)、大当り遊技の開始演出が終了する時間か否かを確認し(S403)、演出が終了する時間であれば(S403:yes)、第1大入賞口24を開放する大入賞口開放処理(S404)を行い、リターンする。尚、前記S404の処理は特許請求の範囲に記載の「大当り遊技発生手段」に相当する。
【0064】
前記S402の処理で大当り遊技の開始演出中でなければ(S402:no)、S405の処理においてインターバル中か否か判定する。このインターバルとは、第1大入賞口24が閉じている状態から再度、第1大入賞口24又は第2大入賞口25が開放されるまでの時間のことである。インターバル中であれば(S405:yes)、次にS406の処理においてインターバルが終了する時間か否かを判定する(S406)。終了する時間であれば(S406:yes)、次回の大当り遊技の動作が第1ラウンド目から第12ラウンド目までの範囲であるか否かを確認する(S407)。そうであれば(S407:yes)、第1大入賞口24を開放する第1大入賞口開放処理を行い(S408)、リターンする。
【0065】
S407の処理において次回の大当り遊技の動作が第13ラウンド目であれば(S407:no)、第2大入賞口25を開放する第2大入賞口開放処理を行い(S409)、続くS410の処理においてシャッターソレノイド514を駆動せしめて振分部材255を前記右斜め上向き姿勢に変位させて第1の通路252を開放する開放処理を行い(S410)、リターンする。
勿論、第2大入賞口25および振分部材255の開放態様は、第1特図または第2特図の大当り図柄に応じて開放される。即ち、前記「入球容易図柄」では開放時間が長く、前記「入球困難図柄」では開放時間が短い。
【0066】
前記S405の処理においてインターバル中でなければ(S405:no)、非大当り遊技の終了演出中であるか否かを確認し(S411)、前記終了演出中であれば(S411:yes)、サブ統合制御装置42に大当り開始演出を指示するコマンドを送信する大当り開始演出処理を行い(S412)、リターンする。
【0067】
該大当り開始演出処理(S412)では、主制御装置40はサブ統合制御装置42に大当り開始演出指示コマンドを送信し、大当り開始演出指示コマンドを受信したサブ統合制御装置42は、パチンコ機に設けられた各種LED、ランプ113を大当り遊技演出用に激しく発光させたり、大当り遊技用の音声をスピーカ112から出力させる。また、サブ統合制御装置42は、演出図柄制御装置43に信号を送信し、演出図柄表示装置21において大当り開始演出を表示させる。
【0068】
前記S401において第1大入賞口24又は第2大入賞口25が開放中であれば(S401:no)、図15に示すように、S420の処理において開放中の大当り遊技が最終の第13ラウンドであるか否か、即ち第2大入賞口25が開放中であるか否かを確認する。第13ラウンドであれば(S420:yes)、S421の処理において、当りゲート26へ遊技球の入球があったことを示す「特典フラグ」が「0」であるか否かを確認する。「特典フラグ」は主制御装置40が記憶する値であり、値が「1」なら既に当りゲート26に遊技球が入球したことを示し、「0」なら当りゲート26に入球していないことを示す。
【0069】
前記特典フラグが「0」であれば(S421:yes)、当りゲート26への入球があり特定領域SW508が遊技球を検出したか否か確認し(S422)、そうであれば(S422:yes)、前記特典フラグに「1」を設定し(S423)、シャッターソレノイド514の駆動を終了して振分部材255を前記左斜め上向き姿勢に戻して第1の通路252を閉じる開放終了処理を行う(S424)。
尚、本処理では振分部材255は、第2大入賞口25の開放時に右斜め上向き姿勢となって第1の通路252を開放し、当りゲート26の通過又は第2大入賞口25の閉鎖により左斜め上向き姿勢となって第1の通路252を閉鎖するようにしたが、これに限らず、振分部材255は、常に1秒ないし2秒間隔で定期的に右斜め上向き姿勢と左斜め上向き姿勢とに切換わる一定動作をする構成でもよい。
【0070】
S424の処理、又はS420、S421、S422の否定判定(S420:no、S421:no、S422:no)に続いて、図16に示すように、S430の処理において、作動(開放)中の大入賞口(第1大入賞口24又は第2大入賞口25)への遊技球の入球数が規定数(9個)未満か否かを確認し、規定数(9個)未満であれば(S430:yes)、第1大入賞口24又は第2大入賞口25の最大開放時間が経過したか否かを判定し(S431)、開放時間終了でなければ(S431:no)リターンする。
【0071】
前記S430の処理で入球数が規定数(9個)(S430:no)又は、前記S431の処理で大入賞口の開放時間終了(S431:yes)であれば、続くS432の処理において開放中の大入賞口(第1大入賞口24又は第2大入賞口25)を閉鎖する大入賞口閉鎖処理を行う。S432の処理後は、該処理で終了したラウンドが最終の第13ラウンド目であったか否か確認し(S433)、第13ラウンド目であれば(S433:yes)、振分部材255が当りゲート26へ遊技球を誘導する開放位置にあるか否かを確認し(S434)、開放中であれば(S434:yes)、振分部材255の閉鎖処理を行う(S435)。
【0072】
該S435の処理後、又は前記S434の処理で振分部材255が閉じていれば(S434:no)、S436の処理においてサブ統合制御装置42に大当り終了演出を指示するコマンドを送信する。該大当り終了演出処理は、前記図13のS412の大当り開始演出処理と同様に、主制御装置40からサブ統合制御装置42に大当り終了演出指示コマンドを送信することによって、パチンコ機に設けられた各種LED、ランプ113や演出図柄表示装置21において大当りの終了演出を行うための処理である。
続くS437の処理において条件装置の停止処理を行う。
前記S433の処理で開放を終了したラウンドが第13ラウンド目でなければ(S433:no)、インターバル処理を開始し(S438)、リターンする。
【0073】
前記S437の処理の後、図17に示すようにS440の処理において、特典フラグが「1」であるか否かを確認する。特典フラグが「1」であれば(S440:yes)、当りゲート26へ遊技球が入球したことが確認され、続くS441の処理において大当り遊技終了後に遊技状態を確変状態とする確変フラグに「1」をセットするとともに、確変状態の継続期間を計る確変カウンタに「160」をセットする(S442)。これにより大当り遊技終了後、第1又は第2特図の図柄変動が160回に達すまで確変遊技状態となる。
また続くS443の処理において大当り遊技終了後に遊技状態を時短状態とする時短フラグに「1」をセットするとともに、時短状態の継続期間を計る時短カウンタに「160」をセットする(S444)。これにより大当り遊技終了後、第1又は第2特図の図柄変動が160回に達すまで時短遊技状態となる。
【0074】
一方、前記S440の処理で特典フラグが「1」でなければ(S440:no)、当りゲート26への入球が無いため、続くS445の処理において特典フラグをそれぞれ「0」にリセットし、続くS446の処理において、前記S441ないしS445の処理で設定された前記大当り遊技後の遊技状態を、演出図柄表示装置21上で報知するための指示信号を、演出図柄制御装置21に送信する。次にS447の処理において、前記決定された大当り遊技後の遊技状態を指定する状態指定コマンドを、サブ統合制御装置42に送信する処理を実行する。その後、リターンする。
【0075】
尚、サブ統合制御装置42では、受信した状態指定コマンドに基づいて、各種演出制御を実行する。
また前記状態指定コマンドを送信する処理は、当該大当り遊技終了のタイミングに限らず、特図の変動開始時、更に変動終了時にも行うようにしてもよい。このようにすることで、遊技状態の切り替わるタイミングに先立って、変更する状態指定コマンドを送信することができ、サブ統合制御装置42が実行する演出上の不具合を防止することができる。
尚、図17の前記S441、S442の処理は特許請求の範囲に記載の「確率変動移行手段」に相当する。
本処理では、大当り遊技で当りゲート26への入球がなければ、確変状態および時短状態にならないが、これに限らず、大当り遊技で当りゲート26への入球がなくても、大当り遊技終了後に時短のみを付与するようにしてもよい。
【0076】
本パチンコ機は、第2大入賞カウントSW507、特定領域SW508、排出SW509およびハズレSW510の検出信号に基づいて、当りゲート26への入球が正規のものであるか、不正電波や糸付き球等の不正行為によるものであるかを見極めることが行われる。
【0077】
該見極め処理は、主制御装置40によりプログラム上に設けられたカウンタ(カウント手段)の演算処理によりなされる。
図18(a)に示すように、前記カウンタのカウント開始時の基準値は「0であり、」これよりカウントが開始される。第2大入賞口25に遊技球が入球して第2大入賞カウントSW507が入球を検出すると、カウンタのカウント値に「3」(第1の加算値)が加算される。入球した遊技球が振分部材255により第1の通路252へ案内され、当りゲート26に入球して特定領域SW508が入球を検出すると、カウント値から「2」(第1の減算値)が減算される。続いて遊技球が当りゲート26から排出され、排出SW510により排出が検出されると、更にカウント値から「1」(第2の減算値)が減算される。
そして第2大入賞口25が開放されるラウンド(本実施形態では13R)が終了時点で、前記カウント値が「0」であれば、正常であり、当りゲート26への入球が正規のものであると見做す。
【0078】
又は、第2大入賞口25に入球した遊技球が第2大入賞カウントSW507に検出された後に、振分部材255により第2の通路253へ案内され、外れゲートに入球してハズレSW509が入球を検出すると、カウント値から「3」(第3の減算値)が減算される。この場合もラウンド終了時のカウント値が「0」であれば正常とみなす。
【0079】
一方、図18(b)に示すように、カウンタのカウント値が「マイナス」(基準値よりも小さい)になった時点では、第2大入賞カウントSW507の検出なしに糸付き球等を用いて逆ルートからの通過により特定領域SW508等を作動させた疑いや、不正電波を用いて第2大入賞カウントSW507以外の特定領域SW508等を複数回作動させた疑いがあるのでエラーを発生させる。
又は、第2大入賞口25が開放されるラウンド(13R)が終了時点でカウント値が「0」でなければ、第2大入賞口25内に排出されない遊技球が存在する疑いや、単体での不正な特定領域SW508等の作動の疑いがあるのでエラーを発生させる。
【0080】
図19は前記主制御装置40のカウンタによる「カウント処理」を示す。この処理では、先ず第2大入賞カウントSW507が作動したか否か、即ち第2大入賞カウントSW507からの検出信号を受信したか否かを確認する(S500)。そうであれば(S500:yes)、カウンタのカウント値に「3」を加算する(S501)。
【0081】
前記S500の処理が否定判定(S500:no)のとき、又は前記S501に続くS502の処理では、特定領域SW508が作動したか否か、即ち特定領域SW508からの検出信号を受信したか否かを確認する。そうであれば(S502:yes)、カウンタのカウント値から「2」を減算する(S503)。
前記S502の処理が否定判定(S502:no)のとき、又は前記S503に続くS504の処理では、カウント値が「0」(基準値)より小さいか否か(マイナスになっていないか否か)を確認する。
【0082】
前記S504の処理でカウント値が「0」(基準値)以上であれば(S504:no)、続くS505の処理において、排出SW509が作動したか否か、即ち排出SW509からの検出信号を受信したか否かを確認する。そうであれば(S505:yes)、カウンタのカウント値から「1」を減算する(S506)。
前記S505の処理が否定判定(S505:no)のとき、又は前記S506に続くS507の処理では、カウント値が「0」(基準値)より小さいか否か(マイナスになっていないか否か)を確認する。
【0083】
前記S507の処理でカウント値が「0」(基準値)以上であれば(S507:no)、続くS508の処理において、ハズレSW510が作動したか否か、即ちハズレSW510からの検出信号を受信したか否かを確認する。そうであれば(S508:yes)、カウンタのカウント値から「3」を減算する(S509)。
前記S508の処理が否定判定(S508:no)のとき、又は前記S509に続くS510の処理では、カウント値が「0」(基準値)より小さいか否か(マイナスになっていないか否か)を確認する。
【0084】
前記S510の処理でカウント値が「0」(基準値)以上であれば(S510:no)、続くS511の処理において、第2大入賞口25が開放されるラウンド(13R)が終了したか否かを確認する。終了であれば(S511:yes)、続くS512の処理において、カウント値が「0」(基準値)であるか否かを確認する。
カウント値が「0」(基準値)でなければ(S512:yes)、S513の処理において第2大入賞口25への入球に関して不正行為があったと見做してエラーを発生させる。またS513の処理では前記S504,S507,S510の処理においてカウント値が「0」(基準値)より小さいときにもエラーを発生させる。その後、リターンする。
また前記S511の処理でラウンドが終了していないとき(S511:no)、前記S512の処理でカウント値が「0」(基準値)のとき(S512:no)でもリターンする。
尚、前記S512の処理により第2大入賞口25への入球に関して正常と判断され場合、又は前記S513の処理によりエラーと判断された場合のいずれもリターン前に前記カウンタのカウント値を「0」(基準値)に戻す処理を行う。
前記S504、S507、S510、S512の処理は特許請求の範囲に記載の「エラー判定手段」に相当する。
前記S513のエラー発生処理では、カウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合と、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合とをまとめてエラーとしているが、各々のエラーを別の態様で発生させる構成でもよい。例えば、カウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合を「不正エラー」とする。一方、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合を「残存球エラー」とすることが望ましい。このようにエラーの態様を分けるのは、第2大入賞口25の残存球は不正ではない可能性もあるので、エラーを分けることにより不正をしていない遊技者を不正者扱いせずに済む。
【0085】
本実施形態のパチンコ機によれば、正当な当りゲート26(特定領域)への入球と不正行為によるものとを確実に見分けることができ、従来のように短時間の開放パターンで特定領域に入球したにも関わらず確変に移行しないことによる遊技者の不信感を払拭することができる。
また、正当な当りゲート26(特定領域)への入球と不正行為とを見極めるために、従来構造のよう多数のエラーを判定する必要なく、主制御装置40に設けたカウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合と、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合といった2種類のエラーを判断するのみで済み、プログラム処理が簡素で、プログラム容量を軽減することができる。
【0086】
次に本発明を適用した他の実施形態のパチンコ機について説明する。本実施形態のパチンコ機の基本構成は、前記実施形態のパチンコ機のそれとほぼ同一で、相違点を中心に説明する。
本パチンコ機は、前記パチンコ機と同様に、第2大入賞カウントSW507、特定領域SW508、排出SW509およびハズレSW510の検出信号に基づいて、当りゲート26への入球が正規のものであるか、不正電波や糸付き球等の不正行為によるものであるかを見極めることが行われる。
【0087】
この場合は、主制御装置40にはプログラム上に2種類の第1カウンタと第2カウンタとが設けられ、これら第1及び第2カウンタの演算処理によりなされる。
図20(a)に示すように、前記第1及び第2のカウンタのカウント開始時のそれぞれの基準値は「0」であり、これらよりカウントが開始される。第2大入賞口25に遊技球が入球して振分部材255により第1の通路252へ案内され、当りゲート26に入球して特定領域SW508が入球を検出すると、第1のカウンタのカウント値に「1」(第1の加算値)が加算される。そして遊技球が当りゲート26から排出され、排出SW510により排出が検出されると、第1のカウンタのカウント値から「1」(第1の減算値)が減算される。
このように第1のカウンタは、特定領域SW508と排出SW509との検出信号の組合わせにより演算処理がなされ、第2大入賞口25が開放されるラウンド(本実施形態では13R)が終了時点で、前記第1のカウンタのカウント値が「0」であれば、正常であり、当りゲート26への入球が正規のものであると見做す。
【0088】
また、第2のカウンタは、第2大入賞口25に遊技球が入球して第2大入賞カウントSW507が入球を検出すると、第2のカウンタのカウント値に「1」(第2の加算値)が加算される。その後、振分部材255により第1の通路252へ案内され、当りゲート26に入球、排出され、排出SW510により排出が検出されると、第2のカウンタのカウント値から「1」(第2の減算値)が減算される。
一方、振分部材255により第2の通路253へ案内され、外れゲート26に入球して、ハズレSW511により検出されると、第2のカウンタのカウント値から「1」(第3の減算値)が減算される。
このように第2のカウンタは、第2大入賞カウントSW507と、排出SW509又はハズレSW511との検出信号の組合わせにより演算処理がなされ、第2大入賞口25に入球した遊技球が第2大入賞口25内に残っていないか否かを判断し、ラウンド終了時の第2のカウンタのカウント値が「0」であれば正常とみなす。
【0089】
一方、図20(b)に示すように、第1のカウンタのカウント値が「マイナス」(基準値よりも小さい)になった時点では、特定領域SW508の検出なしに糸付き球等を用いて逆ルートからの通過により排出SW509等を作動させた疑いや、不正電波を用いて不正に排出SW508等を複数回作動させた疑いがあるのでエラーを発生させる。
また第2のカウンタのカウント値が「マイナス」(基準値よりも小さい)になった時点では、第2大入賞カウントSW507の検出なしに糸付き球等を用いて逆ルートからの通過により排出SW509又はハズレSW510を作動させた疑いや、不正電波を用いて第2大入賞カウントSW507以外の排出SW509又はハズレSW510を複数回作動させた疑いがあるのでエラーを発生させる。
更に、第2大入賞口25が開放されるラウンド(13R)が終了時点で第1および第2のカウント値が「0」でなければ、第2大入賞口25内に排出されない遊技球が存在する疑いや、単体での不正な特定領域SW508等の作動の疑いがあるのでエラーを発生させる。
【0090】
図21は前記主制御装置40の第1のカウンタによる「カウントA処理」を示す。この処理では、先ず特定領域SW508が作動したか否か、即ち特定領域SW508からの検出信号を受信したか否かを確認する(S600)。そうであれば(S600:yes)、第1のカウンタのカウント値に「1」を加算する(S601)。
【0091】
前記S600の処理が否定判定(S600:no)のとき、又は前記S601に続くS602の処理では、排出SW509が作動したか否か、即ち排出SW509からの検出信号を受信したか否かを確認する。そうであれば(S602:yes)、第1のカウンタのカウント値から「1」を減算する(S603)。
前記S602の処理が否定判定(S602:no)のとき、又は前記S603に続くS604の処理では、第1のカウンタのカウント値が「0」(基準値)より小さいか否か(マイナスになっていないか否か)を確認する。
【0092】
前記S604の処理でカウント値が「0」(基準値)以上であれば(S604:no)、続くS605の処理において、第2大入賞口25が開放されるラウンド(13R)が終了したか否かを確認する。終了であれば(S605:yes)、続くS606の処理において、第1のカウンタのカウント値が「0」(基準値)であるか否かを確認する。
カウント値が「0」(基準値)でなければ(S606:yes)、S607の処理において第2大入賞口25への入球に関して不正行為があったと見做してエラーを発生させる。また該S607の処理では前記S604の処理においてカウント値が「0」(基準値)より小さいときにもエラーを発生させる。その後、リターンする。
また前記S605の処理でラウンドが終了していないとき(S605:no)、前記S606の処理でカウント値が「0」(基準値)のとき(S606:no)でもリターンする。
尚、前記S606の処理により第2大入賞口25への入球に関して正常と判断され場合、又は前記S607の処理によりエラーと判断された場合のいずれもリターン前に前記第1のカウンタのカウント値を「0」(基準値)に戻す処理を行う。尚、前記S604、S606の処理は特許請求の範囲に記載の「エラー判定手段」に相当する。
前記S607のエラー発生処理では、第1のカウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合と、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合とをまとめてエラーとしているが、前記実施形態と同様な理由から、各々のエラーを別の態様で発生させる構成とし、第1のカウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合を「不正エラー」とする一方、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合を「残存球エラー」とすることが望ましい。
【0093】
図22は前記主制御装置40の第2のカウンタによる「カウントB処理」を示す。この処理では、先ず第2大入賞カウントSW507が作動したか否か、即ち第2大入賞カウントSW507からの検出信号を受信したか否かを確認する(S610)。そうであれば(S610:yes)、第1のカウンタのカウント値に「1」を加算する(S611)。
【0094】
前記S610の処理が否定判定(S610:no)のとき、又は前記S611に続くS612の処理では、排出SW509が作動したか否か、即ち排出SW509からの検出信号を受信したか否かを確認する。そうであれば(S612:yes)、第1のカウンタのカウント値から「1」を減算する(S613)。
前記S612の処理が否定判定(S612:no)のとき、又は前記S613に続くS614の処理では、第1のカウンタのカウント値が「0」(基準値)より小さいか否か(マイナスになっていないか否か)を確認する。
【0095】
前記S614の処理でカウント値が「0」(基準値)以上であれば(S614:no)、続くS615の処理では、ハズレSW510が作動したか否か、即ちハズレSW510からの検出信号を受信したか否かを確認する。そうであれば(S615:yes)、第2のカウンタのカウント値から「1」を減算する(S616)。
前記S615の処理が否定判定(S615:no)のとき、又は前記S616に続くS617の処理では、第2のカウンタのカウント値が「0」(基準値)より小さいか否か(マイナスになっていないか否か)を確認する。
【0096】
前記S617の処理でカウント値が「0」(基準値)以上であれば(S617:no)、続くS618の処理において、第2大入賞口25が開放されるラウンド(13R)が終了したか否かを確認する。終了であれば(S618:yes)、続くS619の処理において、第2のカウンタのカウント値が「0」(基準値)であるか否かを確認する。
カウント値が「0」(基準値)でなければ(S619:yes)、S620の処理において第2大入賞口25への入球に関して不正行為があったと見做してエラーを発生させる。また該S620の処理では前記S614、S617の処理においてカウント値が「0」(基準値)より小さいときにもエラーを発生させる。その後、リターンする。
また前記S618の処理でラウンドが終了していないとき(S618:no)、前記S619の処理でカウント値が「0」(基準値)のとき(S619:no)でもリターンする。
尚、前記S619の処理により第2大入賞口25への入球に関して正常と判断され場合、又は前記S620の処理によりエラーと判断された場合のいずれもリターン前に前記第2のカウンタのカウント値を「0」(基準値)に戻す処理を行う。尚、前記S614、S617、S619の処理は特許請求の範囲に記載の「エラー判定手段」に相当する。
前記S620のエラー発生処理では、第2のカウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合と、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合とをまとめてエラーとしているが、前記実施形態と同様な理由から、各々のエラーを別の態様で発生させる構成とし、第2のカウンタのカウント値が「0」(基準値)よりも小さいくなった場合を「不正エラー」とする一方、ラウンド終了時のカウント値が「0」(基準値)と同一でない場合を「残存球エラー」とすることが望ましい。
【0097】
本実施形態のパチンコ機によれば、先の実施形態と同様に、正当な当りゲート26(特定領域)への入球と不正行為によるものとを確実に見分けることができ、従来のように短時間の開放パターンで特定領域に入球したにも関わらず確変に移行しないことによる遊技者の不信感を払拭することができる。
また、正当な当りゲート26(特定領域)への入球と不正行為とを見極めるために、従来構造のよう多数のエラーを判定する必要なく、主制御装置40に設けた第1のカウント手段のカウント値が基準値よりも小さい場合と、第2のカウント手段のカウント値が基準値よりも小さい場合と、ラウンド終了時の第1および第2のカウント値が基準値と同一でない場合にエラーを判断するので、プログラム処理が簡素で、プログラム容量を軽減することができる。
【0098】
尚、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、前記パチンコ機は大当り図柄に応じて第2大入賞口25の開放時間を変えて当りゲート26への入球容易な状態と困難な状態とを切り換える構成であり、当りゲート26への振り分けを行なう振分部材255を設けず、第2大入賞口25へ入球した遊技球は当りゲート26を通過するように構成して、第2大入賞口25の開閉扉250に振分部材255の役割を担わせてもよい。
また、振分部材255を備えた構成では、第2大入賞口25の開閉動作でなく、振分部材255の切換動作により当りゲート26への入球容易な状態と困難な状態とを切り換える構成としてもよい。即ち、大当り図柄が「入球困難図柄」であっても「入球容易図柄」であっても第2大入賞口25は28秒(長く)開放する。一方、大当り図柄が「入球困難図柄」であれば、振分部材255の当り側への振り分け時間を0.9秒として当りゲート26への入球が困難な状態とし、大当り図柄が「入球容易図柄」であれば、振分部材255の当り側への振り分け時間を28秒(以上とすることが望ましい)として当りゲート26への入球が容易な状態とする。これによれば、大当り遊技の第13ラウンドにおける第2大入賞口25の開放時間が長い分、賞球数を増やすことが可能である。
また、前記のように振分部材255の開閉動作により当りゲート26への入球容易な状態と困難な状態とを切り換える構成であれば、大入賞口を複数設ける必要はなく、大入賞口が一つの構成でもよい。
更に、本発明は、パチンコ機台内に所定数の遊技球が封入され、封入された遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射するとともに、発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を再度発射することで内部の所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行う封入式パチンコ機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0099】
2 遊技盤
21 演出図柄表示装置(図柄表示装置)
23A 第1始動口(始動口)
23B 第2始動口(始動口)
24 第1大入賞口
25 第2大入賞口
250 開閉扉
252 第1の通路
253 第2の通路
255 振分部材(振り分け手段)
507 第2大入賞カウントSW(大入賞口検出手段)
508 特定領域SW(特定領域検出手段)
509 排出SW(排出検出手段)
510 ハズレSW(ハズレ検出手段)
26 当りゲート(特定領域)
28A 第1特図表示装置(図柄表示装置)
28B 第2特図表示装置(図柄表示装置)
40 主制御装置(当否判定手段、大当り発声手段、確率変動移行手段、カウント手段、第1のカウント手段、第2のカウント手段、エラー判定手段)
42 サブ統合制御装置
43 演出図柄制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22