特許第6481242号(P6481242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新シコー科技株式会社の特許一覧

特許6481242レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器
<>
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000002
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000003
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000004
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000005
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000006
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000007
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000008
  • 特許6481242-レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481242
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20060101AFI20190304BHJP
   G03B 17/17 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G02B7/08 B
   G03B17/17
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-220667(P2014-220667)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-90616(P2016-90616A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】513049790
【氏名又は名称】新シコー科技株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】多田 純一
(72)【発明者】
【氏名】成島 裕貴
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−243985(JP,A)
【文献】 特開平07−043779(JP,A)
【文献】 特開平11−084474(JP,A)
【文献】 特開平06−250263(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0063743(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G03B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを支持するレンズ支持体と、
前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、
前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、を有し、
前記筐体は、第一の側面、前記レンズ支持体に支持されるレンズの光軸の方向から見たときに、前記第一の側面と直角をなして前記第一の側面に続く第二の側面、及び前記光軸の方向から見たときに、前記第二の側面と直角をなして前記第一の側面と対向するように前記第二の側面に続く第三の側面を有し、
前記駆動軸は、前記光軸の方向から見たときに、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、
前記筐体は、前記第一の側面及び第二の側面から構成された角部並びに前記第二の側面及び前記第三の側面から構成された角部にそれぞれ案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたレンズ駆動装置。
【請求項2】
レンズを支持するレンズ支持体と、
前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、
前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、を有し、
前記筐体は、第一の側面、前記レンズ支持体に支持されるレンズの光軸の方向から見たときに、前記第一の側面と直角をなして前記第一の側面に続く第二の側面、及び前記光軸の方向から見たときに、前記第二の側面と直角をなして前記第一の側面と対向するように前記第二の側面に続く第三の側面を有し、
前記駆動軸は、前記光軸の方向から見たときに、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、
前記筐体は、前記第一の側面及び前記第三の側面に互いに対向する案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、この当接する点間を結ぶ線が前記レンズ支持体に支持されるレンズと交わらないように前記駆動軸とは反対側の前記第二の側面の側に前記案内部と前記被案内部とが形成され、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記案内部及び前記被案内部の少なくとも一方には他方に突出する突起が形成されている請求項1又は2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記駆動軸は、振動部材に固定され、前記駆動軸及び前記振動部材により圧電アクチュエータが構成されている請求項1又は2記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記レンズ支持体は支持機構を介して前記駆動軸に支持され、
前記支持機構は、前記レンズ支持体に固定された押圧部材と、前記駆動軸と摩擦接触するように前記駆動軸を挟持する挟持部材と、を有し、前記押圧部材に設けられた付勢部が前記挟持部材を前記駆動軸に向けて付勢するようにした請求項4記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記筐体の前記第一の側面及び第三の側面には、内部に向けて突出する支持用突部が一体に形成され、前記駆動軸は、弾性部材を介して前記支持用突部に挟まれて振動自在に支持されている請求項4又は請求項5記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
レンズと、
前記レンズを支持するレンズ支持体と、
前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、
前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、
前記レンズの光軸上に設けられた画像センサと、を有し、
前記筐体は、第一の側面、前記レンズ支持体に支持されるレンズの光軸の方向から見たときに、前記第一の側面と直角をなして前記第一の側面に続く第二の側面、及び前記光軸の方向から見たときに、前記第二の側面と直角をなして前記第一の側面と対向するように前記第二の側面に続く第三の側面を有し、
前記駆動軸は、前記光軸から見たときに、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、
前記筐体は、前記第一の側面及び第二の側面から構成された角部並びに前記第二の側面及び前記第三の側面から構成された角部にそれぞれ案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたカメラ装置。
【請求項8】
レンズと、
前記レンズを支持するレンズ支持体と、
前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、
前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、
前記レンズの光軸上に設けられた画像センサと、を有し、
前記筐体は、第一の側面、前記第一の側面に続く第二の側面及び前記第二の側面に続く第三の側面を有し、
前記筐体は、前記第一の側面及び前記第三の側面に互いに対向する案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、この当接する点間を結ぶ線が前記レンズ支持体に支持されるレンズと交わらないように前記駆動軸とは反対側の前記第二の側面の側に前記案内部と前記被案内部とが形成され、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたカメラ装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載したカメラ装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートフォン等の電子機器には、小型カメラが搭載されている。この種の小型カメラには、自動焦点タイプのものがある。自動焦点タイプの小型カメラには、レンズを駆動するレンズ駆動装置が設けられている。
【0003】
この種のレンズ駆動装置に関連する従来例として特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。
特許文献1は、レンズ駆動ユニットを開口部より筐体ユニットの収納部に収納し、駆動軸を支持部に支持させる工程と、蓋部材を筐体ユニットに装着して開口部を被覆し、圧接部を駆動軸に圧接させる工程と、を有することを特徴とするレンズ駆動装置の製造方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、撮像素子に取り付けられるベース部材と,前記ベース部材に取り付けられたカバー部材とを有し,ベース部材とカバー部材との間にレンズを軸方向に移動可能に保持するレンズユニットにおいて,レンズまたはレンズホルダを保持するとともに,カバー部材に軸方向に移動可能に取り付けられたスライダを有するレンズ駆動装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−243985号公報
【特許文献2】特開2006−235583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例においては、いずれも圧電アクチュエータが用いられ、この圧電アクチュエータによりレンズ枠又はスライダを駆動するようになっている。レンズ枠又はスライダは圧電アクチュエータの駆動軸と摩擦接触して支持されている。
しかしながら、上記従来例のいずれも、レンズ中心を挟んだ駆動軸の反対側へレンズ枠又はスライダから腕を延ばし、この腕に案内軸を設け、この案内軸にレンズ枠又はスライダを係合することにより、レンズ枠又はスライダの反駆動軸側を支持していた。
このため、上記従来例においては、レンズ中心と駆動軸を結ぶ方向が大きくなり、レンズ駆動装置を小型化することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、レンズ中心と駆動軸とを結ぶ方向の幅を小さくすることができるレンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様は、レンズを支持するレンズ支持体と、前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、を有し、前記筐体は、第一の側面、前記第一の側面に続く第二の側面及び前記第二の側面に続く第三の側面を有し、前記駆動軸は、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、前記筐体は、前記第一の側面及び第二の側面並びに前記第二の側面及び前記第三の側面との間の角部にそれぞれ案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたレンズ駆動装置である。
【0009】
本発明の他の態様は、レンズを支持するレンズ支持体と、前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、を有し、前記筐体は、第一の側面、前記第一の側面に続く第二の側面及び前記第二の側面に続く第三の側面を有し、前記駆動軸は、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、 前記筐体は、前記第一の側面及び前記第三の側面に互いに対向する案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたレンズ駆動装置である。
【0010】
好適には、前記案内部及び前記被案内部の少なくとも一方には他方に突出する突起が形成されている。
【0011】
好適には、前記駆動軸は、振動部材に固定され、前記駆動軸及び前記振動部材により圧電アクチュエータが構成されている。
【0012】
好適には、レンズ支持体は支持機構を介して前記駆動軸に支持され、前記支持機構は、前記レンズ支持体に固定された押圧部材と、前記駆動軸と摩擦接触するように前記駆動軸を挟持する挟持部材と、を有し、前記押圧部材に設けられた付勢部が前記挟持部材を前記駆動軸に向けて付勢するようにする。
【0013】
好適には、前記筐体の前記第一の側面及び第三の側面には、内部に向けて突出する支持用突部が一体に形成され、前記駆動軸は、弾性部材を介して前記支持用突部に挟まれて振動自在に支持されている。
【0014】
本発明の他の態様は、レンズと、前記レンズを支持するレンズ支持体と、前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、前記レンズの光軸上に設けられた画像センサと、を有し、前記筐体は、第一の側面、前記第一の側面に続く第二の側面及び前記第二の側面に続く第三の側面を有し、前記駆動軸は、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、前記筐体は、前記第一の側面及び第二の側面並びに前記第二の側面及び前記第三の側面との間の角部にそれぞれ案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたカメラ装置である。
【0015】
本発明の他の態様は、レンズと、前記レンズを支持するレンズ支持体と、前記レンズ支持体を駆動するように前記レンズ支持体に連結された駆動軸と、前記レンズ支持体及び前記駆動軸を収納する筐体と、前記レンズの光軸上に設けられた画像センサと、を有し、前記筐体は、第一の側面、前記第一の側面に続く第二の側面及び前記第二の側面に続く第三の側面を有し、前記駆動軸は、前記レンズ支持体を挟んで前記第二の側面とは反対側に配置され、前記筐体は、前記第一の側面及び前記第三の側面に互いに対向する案内部が形成され、前記レンズ支持体に前記案内部に対応してそれぞれ形成された被案内部が前記案内部にそれぞれ当接し、前記レンズ支持体を案内部間で挟んで案内するようにしたカメラ装置である。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、上記のカメラ装置を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、筐体の角部に形成された案内部によりレンズ支持体を支持するようにしたので、レンズ中心と駆動軸とを結ぶ方向の幅を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るカメラ装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るカメラ装置を示し、図1のA−A線断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカメラ装置を示し、図1のB−B線断面図である。
図4】本発明の一実施形態に用いたアクチュエータの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に用いたアクチュエータの断面と駆動回路とを示す図である。
図6】本発明の一実地形態における支持機構及びその周辺を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態において、図3のC−C線断面図である。
図8】本発明の一実施形態におけるアクチュエータの振動部材及びその周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3において、本発明の一実施形態に係るカメラ装置10が示されている。カメラ装置10は、例えば携帯電話やスマートフォン等の電子機器に用いられる自動焦点式の小型カメラ装置として使用される。
【0020】
カメラ装置10は、一方向に長く形成された直方体状の筐体12を有する。
この筐体12内には、後述するズームレンズ14とフォーカスレンズ16、並びにこれらズームレンズ14及びフォーカスレンズ16をそれぞれ駆動するレンズ駆動装置18,18がそれぞれ設けられている。
なお、図1においては、わかりやすくするために筐体12は二点鎖線で示されている。
【0021】
筐体12は、基部となる第一の部材20と、第一の側面22及び第二の側面24を構成する第二の部材32と、第三の側面26を構成する第三の部材33と、第四の側面28を構成する第四の部材34と、第五の側面30を構成する第五の部材36とを有する。
【0022】
第一の部材20は、カメラ装置10の長手方向一端に設けられている。この第一の部材20の上面には、受光窓38が形成されている。この受光窓38の下方にはプリズムレンズ40が配置されている。プリズムレンズ40は、周知のように、例えば45°に形成された反射面42を有し、上方から受光窓38を介して受け入れられた光を反射面42により反射させ、カメラ装置10の長手方向に導くようになっている。また、この第一の部材20には、プリズムレンズ40に続いて第一の中間レンズ44が配置されている。この第一の部材20には、第二の部材32、第三の部材33及び第四の部材34の一端が固定されている。また、第五の部材36は、第二の部材32、第三の部材33及び第四の部材34の他端に固定されている。
【0023】
第二の部材32、第三の部材33及び第四の部材34から構成された第一の側面22、第二の側面24、第三の側面26及び第四の側面28は、図2及び図3に示すように、断面方形状の枠を構成している。即ち、第一の側面22は、例えば底面であり、この第一の側面22から第二の側面24が90°となるように一体として立ち上がっている。また、第三の側面24は、例えば上面であり、第二の側面から90°となるように続いている。第四の側面26は、第三の側面24から90°となるように下方に向けられており、該第四の側面24の下端で底面である第一の側面22に固定されている。
【0024】
図1に示すように、第一の側面22乃至第四の側面28に囲まれた空間内には、第一の中間レンズ44から長手方向に向けてズームレンズ14、第二の中間レンズ46及びフォーカスレンズ16が配置されている。さらにフォーカスレンズ16の先には画像センサ48が配置されている。この画像センサ48は、第五の部材36に形成された画像センサ取付け孔50(図3に示す)に嵌め込まれて固定されている。
第一の中間レンズ44、ズームレンズ14、第二の中間レンズ46及びフォーカスレンズ16は、一つの光軸に沿って配置され、プリズムレンズ40を介して取り入れた光を画像センサ48に結像するようになっている。
【0025】
レンズ駆動装置18,18は、ズームレンズ支持体52とフォーカスレンズ支持体54とを有する。ズームレンズ支持体52とフォーカスレンズ支持体54は、それぞれ方形状の枠として形成され、ズームレンズ14とフォーカスレンズ16とを支持している。ズームレンズ支持体52とフォーカスレンズ支持体54は、第一の側面22乃至第四の側面28に囲まれた空間内でカメラ装置10の長手方向に移動自在であるよう支持されている。
なお、第二の中間レンズ46は、第二の中間レンズ支持体56に支持されているが、ズームレンズ14,フォーカスレンズ16とは異なり、筐体12に固定されている。
【0026】
また、レンズ駆動装置18,18は、アクチュエータ58,58を有する。アクチュエータ58,58は、図4に示すように、例えばバイモルフ型の圧電式のもので、振動部材60と、この振動部材60に固定された駆動軸62とを有する。振動部材60は、それぞれ2つの平板状の圧電素子64,66を有する。この圧電素子64,66の間には、同じく平板状の電極板68が介在されている。すなわち、圧電素子64,66と電極板68とは互いの板面を合わせて固着されている。圧電素子64,66の表裏面には、図5に示すように、電極層70,72が形成されている。駆動軸62は、一方の圧電素子64の電極層70に接着剤74を介して固着されている。電極板68は、弾性を有する例えば金属板から構成されている。この電極板68からは通電用接続部76が1つの辺の略中央から突出して形成されている。
【0027】
図5に示すように、振動部材60の表面に露出する電極層70,72は、例えば電源制御部78のプラス側に接続され、電極板68は、通電用接続部76を介して電源制御部78のマイナス側に接続されている。一方の電極層70と電極板68との間にパルス電圧を繰り返し印加すると、一方の圧電素子64に通電されてこの一方の圧電素子64が伸び縮みし、振動部材60は一方向に向けてお椀状に変形するのと電極板68の弾性で急速に元の平板状に戻ろうとするのを繰り返す。それに伴い駆動軸62も軸方向に微小な往復移動を繰り返す。他方の電極層72と電極板68との間にパルス電圧を繰り返し印加すると、他方の圧電素子66が伸び縮みし、振動部材60は他方向に向けてお椀状に変形するのと電極板68の弾性で急速に元の平板状に戻ろうとするのを繰り返す。それに伴い駆動軸62も軸方向に微小な往復移動を繰り返す。
なお、この実施形態においては、アクチュエータ58,58としてバイモルフ型の圧電アクチュエータを用いたが、これに限定されるものではなく、他の形式の圧電アクチュエータや静電式のアクチュエータを用いてもよい。
【0028】
図1乃至図3に示すように、アクチュエータ58,58は、筐体12内にあって、駆動軸62,62が長手方向で互いに向きが異なるように、ズームレンズ支持体52及びフォーカスレンズ支持体54と第四の側面28との間に形成された空間に配置されている。ズームレンズ支持体52とフォーカスレンズ支持体54は、後述する支持機構80,80を介して駆動軸62,62に摺動自在に支持されている。
【0029】
ズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54を挟んで支持機構80,80の反対側においては、第一の側面22と第二の側面24との間の角部と第二の側面24と第三の側面26との間の角部には、案内部82,84が形成されている。この実施形態においては、案内部82は、上方及び右側(第四の側面28方向)に突出している。また、案内部84は、下方及び右側(第四の側面28方向)に突出している。案内部82,84は、筐体12の長手方向に沿って形成されている。
ただし、本実施形態においては、案内部82は、第二の中間レンズ支持体56の部分には形成されておらず、第二の中間レンズ支持体56の前後部分が案内部82に挟まれるようになっており、第二の中間レンズ支持体56の筐体12に対する位置決めがなされている。
【0030】
一方、ズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54には、案内部82,84に対応して被案内部86,88が第二の側面24側の上下角部に形成されている。この実施形態においては、被案内部86,88は、案内部82,84の突出に対応した凹溝90,92が長手方向に形成され、案内部82,84と被案内部86,88とによりレールが構成されている。また、凹溝90,92の上下面には、突起94,96が案内部82,84に向けて突出するように形成されている。突起94,96は、例えば半球状であり、ズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54に複数個所(この実施形態においては案内部86、88に沿った二箇所)に形成されている。
【0031】
前述した案内部82,84の上下面には、被案内部86,88の突起94,96の先端が当接する。ズームレンズ支持体52とフォーカスレンズ支持体54とは、第二の側面24の上下角部に形成された案内部82,84で挟まれるようにして筐体12の長手方向に沿って摺動自在に支持される。したがって、ズームレンズ支持体52とフォーカスレンズ支持体54は、それぞれ駆動軸62、62を中心とする回転の動き(被案内部86、88における上下方向の動き)が規制される。また、第二の側面24とズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54とは、平行でほとんど隙間がなく、レンズ中心と駆動軸62,62とを結ぶ方向(図2図3では左右水平方向)の幅を小さくすることができる。また、被案内部86,88は突起94,96の先端のみが当接するので、ズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54の筐体12との接触面積が小さく、ズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54と筐体12との間に生じる摩擦を少なくしてズームレンズ支持体52,フォーカスレンズ支持体54を筐体12に長手方向に案内することができる。
【0032】
突起94、96と案内部84、86とは、ズームレンズ支持体52またはフォーカスレンズ支持体54が前述の回転の動きをしようとするときに当接するように、わずかに隙間を空けて設ける方が常時当接するように設けるよりも好ましい。突起94、96の摩耗防止と不要な駆動抵抗を抑制できる。もちろん、常時当接させても構わない。また、レンズ支持体52,54を挟んで支持機構80,80の反対側の筐体12の角部に案内部82,84を形成しているため、レンズ支持体52,54に規制の範囲内で前述の回転の動きがあっても、レンズ14、16の中心の動く量はそれよりも小さい。
【0033】
また、第一の側面22及び第三の側面26に互いに対向する案内部82、84が形成されたとしても良い。その際、レンズ支持体52、54に案内部82、84に対応してそれぞれ形成された被案内部86、88(突起94、96)が案内部82、84にそれぞれ当接し、レンズ支持体52、54を案内部82、84間で挟んで案内することが望ましい。即ち、案内部82、84として上下面を形成し、被案内部86、88をその上下面に当接させるようにしても良い。この場合、案内部82、84は、それぞれ第一の側面22及び第二の側面24並びに第二の側面24及び第三の側面26との間の角部に設ける必要は無く、第一の側面22及び第三の側面26に互いに対向して設ければ良い。
いずれにしても、案内構造として、レンズ中心を挟んだ駆動軸62の反対側へレンズ支持体52、54から腕を延ばす構造としていないので、レンズ中心と駆動軸62を結ぶ方向の寸法を小さくでき、レンズ駆動装置18を小型化できる。
【0034】
支持機構80は、ズームレンズ側及びフォーカスレンズ側ともに同様の構造を有する。例えばフォーカスレンズ側について説明すると、図2及び図6に示すように、支持機構80は、フォーカスレンズ支持体54から第四の側面28側へブロック状に突出した支持部98がフォーカスレンズ支持体54と一体に形成されている。この支持部98には、駆動軸62側へV字状に開かれた支持溝100が駆動軸62と平行に形成されている。また、支持部98には、支持溝100から続いて第四の側面28側へ突出した嵌合部102,102が上下に形成されている。この嵌合部102,102にはそれぞれ嵌合溝104,104が形成されている。
【0035】
挟持部材106,106は、それぞれ嵌合部102,102の嵌合溝104,104に嵌合する嵌合片部108,108と、上下の嵌合片部108,108の間に設けられた挟持部110,110とを有する。挟持部110,110は、駆動軸62側が凹んだ略半円形状に形成されている。この挟持部110,110の間に駆動軸62が挟まれている。挟持部110,110は、駆動軸62とは、断面方向それぞれ上下2点(合計4点)で接触している。また、第四の側面28側の挟持部110は、押圧部材112の付勢部120により駆動軸62側に押し付けられている。そのため、上側の嵌合片部108または下側の嵌合片部108の少なくとも一方は互いに離れている。
【0036】
押圧部材112は、上方から見てC字状に形成された係止部114が設けられている。一方、支持部98の上面には、上方に突出した突出部118が形成され、この突出部118に係止部114が突出部118の両側から挟み込むようにして突出部118の周囲に係止され、押圧部材112を支持部98に固定している。このように、支持部98の突出部118に押圧部材112の係止部114が嵌り込んで固定するようにしたので、支持部98の上方への突出を少なくし、カメラ装置10の上下方向の幅を小さくすることができる。また、押圧部材112は、係止部114から下方に延びる平板状の付勢部120が形成され、この付勢部120の弾性により挟持部110が駆動軸62を挟み込んでいる。このような支持機構80の構成により、フォーカスレンズ支持体54が駆動軸62に適正な摩擦を持って支持されるようになっている。
【0037】
また、それぞれの駆動軸62,62は、例えば根元部分と先端部分の2箇所でそれぞれ筐体12に振動自在であるように弾性体からなるブッシュ(弾性部材)122を介して筐体12に支持されている。
【0038】
即ち、図7にも示すように、ブッシュ122は、左右両側に配置されたフランジ部124,124と、該フランジ部124,124間に配置された噛み合わせ部126とを有する。噛み合わせ部126は、例えば周方向が円である凹部として形成されている。このブッシュ122の中心には、挿入孔128が形成され、この挿入孔128に駆動軸62が挿入孔128を押し広げるようにして挿入されている。そして、振動部材60から遠い方のブッシュ122と駆動軸62とは接着固定されるが、近い方のブッシュ122と駆動軸62とは接着されない。
【0039】
筐体12の第一の側面22(底面)の内側には、第一の支持用突部130がブッシュ122の噛み合わせ部126に対向して形成されている。また、筐体12の第三の側面24(上面)の内側には、第二の支持用突部132がブッシュ122の噛み合わせ部126に対向して形成されている。第一の支持用突部130には、下方に凹む半円形の第一の噛み合わせ溝134が形成され、一方、第二の支持用突部132には、上方に凹む半円形の第二の噛み合わせ溝136が形成されている。そして、第一の支持用突部130と第二の支持用突部132の先端同士が当接すると共に、ブッシュ122の円形の噛み合わせ部126が半円形の第一の噛み合わせ溝134と第二の挟込部136とに挟み込まれて、駆動軸62が筐体12に振動自在(特に駆動軸62の軸方向に対して)に支持されている。
【0040】
また、筐体12内には、ズームレンズ位置検出器138とフォーカスレンズ位置検出器140とが設けられている。それぞれの位置検出器138,140は、同じ構造であり、カメラ装置10の長手方向に沿って異なる磁極(S極とN極)を交互に配置した磁極部材142,144と、磁界強度を検知するMRセンサ146,148(図6にMRセンサ148のみを示す)とから構成されている。MRセンサ146,148は、それぞれズームレンズ支持体52及びフォーカスレンズ支持体54の支持部98の下方でズームレンズ支持体52又はフォーカスレンズ支持体54と一体で第四の側面28側に突出したMRセンサ保持部150に固定されている。磁極部材142,144は、MRセンサ146,148に対向して、筐体12の第一の側面22(底面)に固定されている。各レンズ支持体52,54が移動すると、MRセンサ146,148により各レンズ支持体52,54の移動量及び移動方向が磁界強度の変化として検出され、検出された磁界強度の変化を示す信号がMRセンサ146,148から出力される。
【0041】
一方のMRセンサ146は、第一のMRセンサ用フレキシブル配線基板(以下、第一のMR用FPCという。)152に接続されている。第一のMR用FPC152は、MRセンサ146に接続された第一の接続部154から折り曲げられてズームレンズ側上方に延び、第一の側面22が切り欠かれて筐体12の長手方向略中央に形成された空間部156を通って下方に延び、さらに第一の側面22の下方から第五の側面30側へ引き出されている。また、他方のMRセンサ148は、第二のMRセンサ用フレキシブル配線基板(以下、第二のMR用FPCという。)158に接続されている。第二のMR用FPC158は、MRセンサ148に接続された第二の接続部160から折り曲げられてフォーカスレンズ側上方に延び、前述した空間部156で第一のMR用FPC152と一体となって第五の側面30側へ引き出されている。
【0042】
前述したアクチュエータ58,58の振動部材60,60も同様にフレキシブル配線基板が接続されている。即ち、図8に示すように、それぞれの振動部材60,60は、前述した空間部156に露出し、一方の振動部材60に接続された第一の振動部材用フレキシブル配線基板(以下、第一の振動部材用FPCという。)162は、一方の振動部材60から下方に延び、第一の側面22の下方から第五の側面30側へ引き出される。また、他方の振動部材60に接続された第二の振動部材用フレキシブル配線基板(以下、第二の振動部材用FPCという。)164は、他方の振動部材60から下方に延び、第一の振動部材用FPC162と一体となって第一の側面22の下方から第五の側面30側へ引き出される。それぞれの振動部材用FPC162,164は3つに分かれ、振動部材60の駆動軸側の電極層70には第一の端子部166により、裏面側の電極層72には第二の端子部168により、電極板68の通電用接続部76には第三の端子部170によりそれぞれ半田等を用いて接続されている。第一の端子部166は、駆動軸62を固定する接着剤74に触れないように、駆動軸62から離れた振動部材60の角部近傍で三日月状に形成され、その円弧の中心が角部となるように配置されている。第二の端子部168は、振動部材60の中心部分で円環形状に形成されている。第三の端子部170は、通電用接続部76に対応して振動部材60から突出し、通電用接続部76を取り囲むように四角環形状に形成されている。
【0043】
次にアクチュエータ58によりフォーカスレンズ支持体54を移動させる場合について説明する。前述したように、アクチュエータ58にパルス電圧を繰り返し印加すると、振動部材60が一方向に向けてお椀状に変形するのと急速に元の平板状に戻ろうとするのを繰り返す。それに伴い駆動軸62も軸方向に微小な往復移動を繰り返す。一方側に向けてお椀状に変形したときは、フォーカスレンズ支持体54は支持機構80を介してアクチュエータ58の駆動軸62と摩擦接触するように支持されているので、フォーカスレンズ支持体54は、駆動軸62と共に移動する。一方、振動部材60が急速に元の平板状に戻ろうとするときは、駆動軸62も逆方向に高速に移動し、フォーカスレンズ支持体54は高速ゆえに駆動軸62の動きに追随できず、元の位置には戻らずその位置に留まる。したがって、フォーカスレンズ支持体54は、1つの動作で振動部材60の変形の振幅の大きさ程度移動する。パルス電圧を繰り返し印加することによりこのような移動を繰り返して行い、フォーカスレンズ支持体54を所望位置まで移動させることができる。
【0044】
この場合、フォーカスレンズ支持体54は、一方側の上下方向略中央に設けられた駆動軸62と、反対側の上下に設けられた筐体12の案内部82,84により支持されつつ、カメラ装置10の長手方向に案内されるので、フォーカスレンズ支持体54を安定して移動させることができる。
なお、ズームレンズ支持体52の動作もフォーカスレンズ支持体54と同様である。
【0045】
なお、突起94、96は半球状としたが、サイコロ状等の他の形状にしても構わない。また、突起94、96は二箇所に設けたが、一箇所でも三箇所以上でも構わない。また、突起94、96は金属等の別部材で形成してレンズ支持体52、54に固着しても良い。また、突起94、96または案内部82、84の少なくとも一方に潤滑手段を用いても良い。
また、案内部82、84は、それぞれ角部から突出する形状に形成されているが、突出させずに例えば第一の側面22及び第三の側面26そのものを案内部82、84として被案内部86、88を直接当接させるものであっても良い。
【0046】
また、アクチュエータ58,58は、駆動軸62,62が長手方向で互いに向きが異なるように配置したが、同じ向きになるように配置しても良い。
また、筐体12は、第1の部材20から第5の部材36までの5分割にしたが、他の分割区分でも構わない。
【符号の説明】
【0047】
10 カメラ装置
12 筐体
14 ズームレンズ
16 フォーカスレンズ
22 第一の側面
24 第二の側面
26 第三の側面
28 第四の側面
30 第五の側面
52 ズームレンズ支持体
54 フォーカスレンズ支持体
58 アクチュエータ
60 振動部材
62 駆動軸
80 支持機構
82,84 案内部
86,88 被案内部
94,96 突起
106 挟持部材
112 押圧部材
120 付勢部
122 ブッシュ(弾性部材)
130 第一の支持用突部
132 第二の支持用突部
138 ズームレンズ位置検出器
140 フォーカスレンズ位置検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8