(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481244
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】超音波鍼治療ヘッドおよび超音波鍼治療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
A61B17/00 700
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-554044(P2015-554044)
(86)(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公表番号】特表2016-508385(P2016-508385A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】CN2014071570
(87)【国際公開番号】WO2014117714
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2015年7月28日
【審判番号】不服2017-8598(P2017-8598/J1)
【審判請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】201310034077.6
(32)【優先日】2013年1月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515206104
【氏名又は名称】チョンチン ハイフー メディカル テクノロジー カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(72)【発明者】
【氏名】フゥー ディーユァン
(72)【発明者】
【氏名】ズン タウ
(72)【発明者】
【氏名】ファン グァンファー
【合議体】
【審判長】
内藤 真徳
【審判官】
林 茂樹
【審判官】
関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−507641(JP,A)
【文献】
特表2008−545486(JP,A)
【文献】
特開2010−207607(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/064209(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと音響透過ウィンドウとを備え、前記ケーシング内に超音波送信部が配設され、前記音響透過ウィンドウによって閉じられる開口部が前記ケーシングの一端に配設され、前記超音波送信部は前記音響透過ウィンドウを通して超音波を外部に送信する超音波鍼治療ヘッドであって、
前記音響透過ウィンドウが音響透過軟質材料で製造されており、
前記超音波送信部を前記ケーシングに対して密封するように構成された密封部が、さらに前記ケーシングに含まれ、前記密封部は、前記ケーシングと前記超音波送信部の間に配設された密封リングと、前記密封リングの変形を起して前記超音波送信部を前記ケーシングに対して密封する押圧機構とを含み、
超音波伝導媒体がさらに前記ケーシング内に含まれ、前記超音波伝導媒体は、前記超音波送信部と前記音響透過ウィンドウの間に配置され、
前記音響透過ウィンドウと前記超音波送信部と前記ケーシングとに囲まれて密封室が形成され、前記超音波伝導媒体は前記密封室内に配置され、
穴が前記超音波送信部の中央部に形成されており、それを介して前記超音波伝導媒体が前記密封室に充填されうる
ことを特徴とする超音波鍼治療ヘッド。
【請求項2】
前記超音波伝導媒体は、軟質物質であることを特徴とする請求項1に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項3】
前記超音波伝導媒体はゲル状または液体であることを特徴とする請求項2に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項4】
前記密封部は、前記ケーシングと前記超音波送信部の間に配設された密封材をさらに含み、前記密封材はシリコーンゴムもしくはシリコーン密封材もしくはAB混合接着剤である、および/または、前記密封部は前記超音波送信部の中央部の穴を密封するための密封プラグをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項5】
前記超音波送信部を冷却するように構成された放熱ユニットがさらにケーシング内に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項6】
前記放熱ユニットは、両方とも前記ケーシングに形成された吸気口と排気口と、前記ケーシング内に配設されたファンを含み、前記吸気口と前記排気口は前記ケーシングのそれぞれ反対側に形成され、冷たい外の空気が前記吸気口から前記ケーシングに入り、動作中に前記超音波送信部によって生じる熱を取り去るために、前記ファンを通過して前記排気口から排出されることを特徴とする請求項5に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項7】
前記放熱ユニットは、前記超音波送信部の裏面に施された伝熱層をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項8】
前記伝熱層は前記超音波送信部の裏面に均一に施された吸湿性伝熱材料であり、また、前記超音波送信部の裏面に金属の裏打ち材が配設されることを特徴とする請求項7に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項9】
前記超音波伝導媒体は液体であり、前記放熱ユニットは超音波伝導媒体供給機構と、前記超音波伝導媒体供給機構と前記密封室の間に両方とも接続された液体導入管と液体戻り管を備え、前記超音波伝導媒体は、前記液体導入管と前記液体戻り管を通って、前記超音波伝導媒体供給機構と前記密封室の間を循環し、それにより動作中に前記超音波送信部によって生じる熱を取り去ることを特徴とする請求項5に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項10】
前記音響透過ウィンドウはポリウレタンエラストマーまたはポリテトラフルオロエチレンで製造され、前記音響透過ウィンドウの厚さは2mm未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項11】
前記超音波送信部によって送信される超音波の周波数は0.3MHzから3MHzの範囲であり、その電力は0.1Wから10Wの範囲であり、空間的ピーク時におけるその平均音響強度は0.1w/cm2から40w/cm2の範囲であり;超音波によって形成される焦域の幅は2mmから5mmの範囲であり、焦域の長さは焦域の幅の3倍から12倍であり、その焦平面距離は3mmから80mmの範囲であり;前記超音波送信部の高さは3mmから20mmの範囲であり、その厚さは0.5mmから10mmの範囲であり、その外径は10mmから100mmの範囲であり、その内側球の半径は10mmから100mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の超音波鍼治療ヘッド。
【請求項12】
超音波鍼治療ヘッドが請求項1〜11のいずれか一項に記載の前記超音波鍼治療ヘッドであることを特徴とする、超音波鍼治療ヘッドを備えた超音波鍼治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波治療の技術分野に属し、超音波治療ヘッドおよび、超音波治療ヘッドを備えた超音波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、頭頚部、腰部および肢部における軟部組織損傷痛の治療は主に、鍼治療、薬物治療および超音波治療を含む。超音波治療に関しては、現在例えば超音波鍼治療装置などの鍼治療の機能を模倣する超音波装置が使用されうる。超音波鍼治療装置は伝統的な鍼治療の鍼治療操作を模倣することができ、その動作原理は以下である:伝統的鍼治療の効果を達成するために、超音波が皮膚を貫通し、皮膚下で収束するようにし、収束によって生じた音響エネルギーを使用して鍼治療操作を模倣して人体のツボを刺激する。既存の超音波鍼治療装置において、人体に接触する部品は通常、ガラス、銅、アルミニウム等の硬質物質で形成されており、結果として、不安定なエネルギー出力、患者の皮膚がやけどし易くなってしまう等の安全上の危害を引き起こす急激すぎる表面温度上昇と、寒冷な気候で最初に使用されるときに患者を寒く不快に感じさせ、故に低い快適度レベルとなる硬い質感、等の欠点を生む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって解決される技術的課題は、上記の先行技術の欠点を考慮した、超音波治療ヘッドと、超音波治療ヘッドを備えた超音波治療装置を提供することである。本発明で提供される超音波治療ヘッドを使用することにより、治療中の患者の快適感は顕著に改良されうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的課題を解決するために使用される技術的解決策は、ケーシングと音響透過ウィンドウとを含む超音波治療ヘッドであり、ケーシング内に超音波送信部が配設され、音響透過ウィンドウによって閉じられる開口部がケーシングの一端に形成され、超音波送信部は音響透過ウィンドウを介して外部に超音波を送信し、音響透過ウィンドウは軟質音響透過材料で製造されている。
【0005】
好ましくは、音響透過ウィンドウは洗浄するときに死角がない凸面であり、そのため洗浄と消毒に便利である。
【0006】
好ましくは、超音波伝導媒体がケーシング内にさらに含まれ、その超音波伝導媒体は超音波送信部と音響透過ウィンドウの間に配置され、軟質物質である。
【0007】
好ましくは、超音波伝導媒体はゲル状または液体である。
【0008】
好ましくは、音響透過ウィンドウと超音波送信部とケーシングとに囲まれて密封室が形成され、超音波伝導媒体は密封室内に配置されている。
【0009】
さらに好ましくは、それを介して超音波伝導媒体が密封室に充填されうる穴が、超音波送信部の中央部に形成されている。
【0010】
より好ましくは、超音波送信部をケーシングに対して密封するように構成された密封部がさらにケーシングに含まれている。
【0011】
好ましくは、密封部は、ケーシングと超音波送信部の間に配設された密封リングと、密封リングの変形を起すことで超音波送信部をケーシングに対して密封する押圧機構とを含む、または、密封部はケーシングと超音波送信部の間に配設された密封材を含み、密封材はシリコーンゴムもしくはシリコーン密封材もしくはAB混合接着剤である、および/または、密封部は超音波送信部の中央部の穴を密封するための密封プラグを含む。
【0012】
超音波送信部を冷却するように構成された放熱ユニットがさらにケーシング内に含まれている。
【0013】
好ましくは、放熱ユニットは、両方ともケーシング内に形成された吸気口と排気口と、ケーシング内に配設されたファンを含み、吸気口と排気口はケーシングのそれぞれ反対側に形成され、外部からの冷たい空気が吸気口からケーシングに入り、ファンを通過して排気口から排出され、動作中に超音波送信部によって生じる熱を取り去る。
【0014】
さらに好ましくは、放熱ユニットは超音波送信部の裏面に施される伝熱層をさらに含む。
【0015】
好ましくは、伝熱層は超音波送信部の裏面に均一に施された吸湿性伝熱材料であり、また、超音波送信部の裏面に金属の裏打ち材が配設される。
【0016】
好ましくは、排気口は音響透過ウィンドウ付近に配置され、それにより治療中に操作者への高温排気ガスの影響を回避する。一方で、患者の治療領域周辺に拡がる暖かい空気は患者の快適感を向上させ、血液循環を促進し、結果として一定程度の補助療法の役割を果たす。
【0017】
別法として、好ましくは、超音波伝導媒体は液体であり、放熱ユニットは超音波伝導媒体供給機構を含み、超音波伝導媒体供給機構と密封室の間に両方とも接続された液体導入管と液体戻り管を含み、超音波伝導媒体は、液体導入管と液体戻り管を通って、超音波伝導媒体供給機構と密封室の間を循環し、それにより動作中に超音波送信部によって生じる熱を取り去る。
【0018】
好ましくは、音響透過ウィンドウはポリウレタンエラストマーまたはポリテトラフルオロエチレンで製造され、音響透過ウィンドウの厚さは2mm未満である。
【0019】
好ましくは、超音波送信部によって送信される超音波の周波数は0.3MHzから3MHzの範囲であり、その電力は0.1Wから10Wの範囲であり、空間的ピーク時におけるその平均音響強度は0.1w/cm
2から40w/cm
2の範囲であり;超音波によって形成される焦域の幅は2mmから5mmの範囲であり、焦域の長さは焦域の幅の3倍から12倍であり、焦平面距離は3mmから80mmの範囲であり;超音波ユニットの高さは3mmから20mmの範囲であり、その厚さは0.5mmから10mmの範囲であり、その外径は10mmから100mmの範囲であり、その内側球の半径は10mmから100mmの範囲である。
【0020】
本発明はさらに、上記に説明した超音波治療ヘッドである超音波治療ヘッドを含む超音波治療装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の超音波治療ヘッドにおける音響透過ウィンドウは音響透過軟質材料で製造され、超音波伝導媒体も軟質物質であるため、人体に接触する超音波治療ヘッドの部分は質感が軟らかくて触感が快適であり、さらに、治療ヘッドの表面温度が低すぎないため、治療中に暖かい感触が得られ、したがって、この超音波治療ヘッドは夏と冬両方への季節的な適合性と適用性が高く、患者の快適感を効率よく向上させ、さらに、治療中に患者の痛みを和らげる。それと同時に、治療の安全性が向上する。
【0022】
本発明の超音波治療ヘッドは、頭頚部、腰部、肢部および他の部分における軟部組織損傷痛を治療するために特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態による超音波治療ヘッドの構造的原理図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による超音波治療ヘッドの構造的模式図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による超音波治療ヘッドの構造的模式図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による押圧機構の構造的模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者に本発明の技術的解決策をより良く理解させるために、本発明を添付の図面と特定の実施形態を参照してさらに以下に詳細に説明する。
【0025】
第1の実施形態
この実施形態は、超音波治療ヘッドを含む超音波治療装置を提供する。
【0026】
図1に示すように、この実施形態における超音波治療ヘッドはケーシング40と音響透過ウィンドウ10を含み、ケーシング40内に超音波送信部30が配設され、音響透過ウィンドウ10によって閉じられる開口部がケーシング40の一端に形成され、超音波送信部30は音響透過ウィンドウ10を介して超音波を外部に送信し、音響透過ウィンドウ10は音響透過軟質材料で製造されている。
【0027】
第2の実施形態
この実施形態は、主要機械と、ケーブル50を介して主要機械に接続された超音波治療ヘッドとを含む超音波治療装置を提供する。ケーブル50は、主要機械によって超音波治療ヘッドに送信された超音波駆動信号と制御信号を両方とも送信するように構成されている。
【0028】
この実施形態において、超音波治療装置は特定的に、軟部組織損傷痛および筋肉痛を治療するために主に構成された超音波鍼治療装置である。
【0029】
図2に示すように、この実施形態における超音波治療ヘッドは、ケーシング40と音響透過ウィンドウ10を含む。音響透過ウィンドウ10によって閉じられる開口部がケーシング40の一端に形成され、超音波送信部30、治療ヘッド制御部70、密封部90および超音波伝導媒体20(すなわちカップリング媒体)がケーシング40内に配設されている。超音波送信部30は超音波を送信するように構成され、治療ヘッド制御部70は、超音波の出力と出力停止を制御するように構成されている。超音波送信部30は音響透過ウィンドウ10付近のケーシングの一端に配置され、超音波伝導媒体20は超音波送信部30と音響透過ウィンドウ10の間にあり、超音波送信部30は密封部90を介してケーシング40に対して密封されている。ケーシングの開放端が音響透過ウィンドウ10によって密封されると、音響透過ウィンドウ10と超音波送信部30とケーシング40とに囲まれて密封室が形成され、超音波伝導媒体20は密封室内にある。音響透過ウィンドウ10が患者の皮膚に接触し、超音波送信部30は超音波伝導媒体20および音響透過ウィンドウ10を介して患者の皮膚に超音波を送信する。加えて、超音波送信部30の中央部に穴31が形成されてもよく、超音波伝導媒体20は穴31を介して密封室に充填されうる。もちろん、穴31は超音波送信部30の他の位置に形成されてもよく、特に制限されない。
【0030】
音響透過ウィンドウ10は音響透過軟質材料で製造される。この実施形態において、音響透過ウィンドウ10は、ポリウレタンエラストマー(TPU)またはポリテトラフルオロエチレンで製造され、これらは両方とも優れた音響透過材料である。さらに、音響透過ウィンドウ10の厚さは2mm未満に設定される。
【0031】
好ましくは、超音波伝導媒体20は軟質物質である。具体的にこの実施形態において、超音波伝導媒体20はゲル状音響透過材料で製造され、ゲル状超音波透過材料は、良好な超音波透過性と小さいエネルギー損失という特性を有している。超音波伝導媒体20は密封室内にあり、それでゲル状音響透過材料の流出を防止して、超音波送信に影響が出ることを回避できる。音響透過ウィンドウが音響透過軟質材料で製造され、音響透過ウィンドウ10の厚さは2mm未満であり、他方では、超音波伝導媒体20はゲル状音響透過材料で製造され、人体に接触する超音波治療ヘッドの部分は質感が柔らかいため、それにより治療中の快適レベルが十分でないという問題を解決し、さらに、音響透過ウィンドウ10の表面温度は低すぎないため、治療中に暖かい感触が得られしたがって、この超音波治療ヘッドは夏と冬両方への季節的な適合性と適用性が高く、治療中の患者の快適感を効率よく向上させることが可能である。
【0032】
好ましくは、密封部はケーシング40と超音波送信部30の間に配置された密封リング92と、密封リング92の変形を引き起こすことができそれにより超音波送信部30をケーシング40に対して密封する押圧機構93を含む。
【0033】
この実施形態において具体的に、
図4に示すように、押圧機構93はスピンリング94と押圧スリーブ95を含む。スピンリング94はケーシング40内に配置され、押圧スリーブ95はスピンリング94と接続されて超音波送信部30の裏面に接触する。押圧スリーブ95は、スピンリング94を回転させることで音響透過ウィンドウ10のほうに駆動されることができ、それにより密封リング92を圧縮し、その結果密封リング92が変形し超音波送信部30をケーシング40に対して密封する。
【0034】
好ましくは、密封部は超音波送信部の中央部の穴31を密封するための密封プラグをさらに含み、密封プラグはシリコーンゴムまたはシリコーン密封材またはAB混合接着剤でありうる。
【0035】
別法として、密封部はケーシング40と超音波送信部30の間に配設された密封材を含んでもよく、両者間の隙間は密封材で充填されて密封を形成する。密封材はシリコーンゴムまたはシリコーン密封材またはAB混合接着剤であってよい。
【0036】
好ましくは、ケーシング40内にインピーダンス整合部60がさらに含まれる。ケーブル50がインピーダンス整合部60と超音波送信部30に順次接続されている。超音波送信部30と駆動信号源間の個々の整合差の整合の問題は、インピーダンス整合部60のインピーダンス整合によって解決されうる。
【0037】
好ましくは、超音波送信部30を冷却するように構成された放熱ユニットが、ケーシング内にさらに含まれる。
【0038】
この実施形態において、放熱ユニットは両方ともケーシング40上に配設された吸気口42および排気口41と、ケーシング40内に配設されたファン80を含む。ファン80は、超音波送信部の送信面の裏面に対して正に反対の位置に配置されている。外部の冷気が吸気口42からケーシング40に入り、ファン80を通過し、動作中に超音波送信部30によって生じる熱を取り去るために、排気口41から排出される。
【0039】
この実施形態において、排気口41は音響透過ウィンドウ10付近に配置され、それにより治療中に操作者への高温排気ガスの影響を回避する。一方で、患者の治療領域周辺に拡がる暖かい空気は患者の快適感を向上させ、血液循環を促進し、結果として一定程度の補助療法の役割を果たす。
【0040】
好ましくは、放熱ユニットはさらに、超音波送信部の裏面に施された伝熱層を含む。具体的には伝熱層は、超音波送信部の裏面に均一に施される吸湿性伝熱材料であってよい。
【0041】
好ましくは、放熱効果をさらに改良して超音波送信部30の安定した出力を保証することで治療の安全性をさらに改良するために、超音波送信部の裏面に金属の裏打ち材がさらに配設されてもよい。
【0042】
この実施形態において、使用されている超音波送信部30の高さHは3mmから20mmの範囲であり、その厚さtは0.5mmから10mmの範囲であり、その外径Dは10mmから100mmの範囲であり、その内側球の半径SRは10mmから100mmの範囲である。
【0043】
超音波送信部30によって送信される超音波の周波数は0.3MHzから3MHzの範囲であり、その電力は0.1Wから10Wの範囲であり、空間的ピーク時におけるその平均音響強度は0.1w/cm
2から40w/cm
2の範囲であり;超音波によって形成される焦域の幅dは2mmから5mmの範囲であり、焦域の長さLは3dから12dの範囲であり、焦平面距離Sは3mmから80mmの範囲である。
【0044】
第3の実施形態
図3に示すように、この実施形態の超音波治療ヘッドと、第2の実施形態の超音波治療ヘッドの違いは、超音波伝導媒体20が液体であることにあり、放熱ユニットの構造もまた異なっている。
【0045】
この実施形態において、超音波伝導媒体20は例えば水、冷凍液またはオイル等の音響透過液体である。
【0046】
この実施形態において、放熱ユニットは超音波伝導媒体供給機構(
図3には示されていない)と、超音波伝導媒体供給機構と密封室の間に両方とも接続された液体導入管51と液体戻り管52を含む。超音波送信部30の中央部に穴31が形成されているが、この穴31は密封プラグ91が差し込まれ、そこに穴通路が設けられる。具体的には、液体導入管51と液体戻り管52は、密封プラグ91の穴通路と超音波送信部30の穴31を貫通することで超音波伝導媒体供給機構を密封室に接続して、液体導入管51と液体戻り管52が超音波伝導媒体供給機構と密封室の間で循環できるようにし、その結果、動作中に超音波送信部30によって生じる熱を取り去るようにする。
【0047】
この実施形態の超音波治療ヘッドの他の構造は第2の実施形態の構造と同じであるため、繰り返し述べることはしない。
【0048】
上記の実施形態は、単に本発明の原理を説明することを目的とした例示的実施形態であり、本発明はそれに限定されないことが理解されよう。当業者ならば、本発明の趣旨と本質から逸脱せずに様々な変形および改良を施しうるものであり、それらの変形および改良も、本発明の保護範囲内にあるものと看做されるべきである。
【符号の説明】
【0049】
10 音響透過ウィンドウ
20 超音波伝導媒体
30 超音波送信部
31 穴
40 ケーシング
41 排気口
42 吸気口
50 ケーブル
51 液体導入管
52 液体戻り管
60 インピーダンス整合部
70 治療ヘッド制御部
80 ファン
90 密封部
91 密封プラグ
92 密封リング
93 押圧機構
94 スピンリング
95 押圧スリーブ