特許第6481246号(P6481246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481246
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】発光装置の制御回路および発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   H05B37/02 L
【請求項の数】5
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-61362(P2018-61362)
(22)【出願日】2018年3月28日
(65)【公開番号】特開2019-21611(P2019-21611A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-138817(P2017-138817)
(32)【優先日】2017年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】718000484
【氏名又は名称】ZIGENライティングソリューション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】名田 智一
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−4876(JP,A)
【文献】 特開2015−122202(JP,A)
【文献】 特開2016−129126(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0017402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H05B 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する複数の光源回路への電力供給源となるパルス電力源と電気的に接続する信号生成回路と、
少なくとも一つの前記光源回路と電気的に接続するスイッチング回路を有し、
前記信号生成回路は第1の抵抗とコンデンサを直列に備え、
前記コンデンサは第2の抵抗を含むバイパス回路を備え、
前記スイッチング回路はスイッチング素子を備え、
前記信号生成回路からの制御信号は前記パルス電力源の波形に応じて前記スイッチング回路のオン信号またはオフ信号となることを特徴とする、発光装置の制御回路。
【請求項2】
前記光源回路と電気的に接続する前記スイッチング回路は複数であって、
一つの前記スイッチング回路のみをオンとし、他の前記スイッチング回路をオフとする前記制御信号の組み合わせを与える前記パルス電力源の前記波形が、それぞれの前記スイッチング回路に対して存在することを特徴とする、請求項1に記載の発光装置の制御回路。
【請求項3】
前記信号生成回路は前記コンデンサと並列に補助スイッチング素子を備え、
前記補助スイッチング素子は補助コンデンサと補助抵抗の少なくともいずれか一方を直列に備え、
前記補助スイッチング素子は前記パルス電力源の前記波形に応じてオンオフすることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置の制御回路。
【請求項4】
前記スイッチング回路は保持容量を備え、
前記保持容量に保持される電圧に基づいて前記光源回路から前記スイッチング回路を流れる電流が制御されることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置の制御回路。
【請求項5】
前記発光部を有する複数の前記光源回路を有し、
少なくとも一つの前記光源回路上の前記発光部からの発光色は、他の前記光源回路上の前記発光部からの前記発光色とは異なり、
請求項1−4いずれか一項に記載の制御回路を備えることを特徴とする、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置の制御回路とそれを用いた発光装置に関し、より特定的にはパルス変調出力電源からの入力に応じて光出力と発光色の調整が可能な発光装置の制御回路とそれを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を始め、有機EL、無機ELなどの半導体発光素子が開発され、発光効率の高さや長寿命であることから、照明や表示装置などの用途に多く使われている。
【0003】
一方で、照明や表示装置など用途に応じて発光色の変化が必要とされており、例えば照明においては朝昼夜の時間帯やシーンに応じて照明の発光色を変えることや、また表示装置においては赤、青、緑といった発光色の切り替えやマルチカラー発光によって必要な情報をインジケータやディスプレイに表示することが求められている。
【0004】
半導体発光素子は一般に入力電力に対して略一定の発光色を示すため、例えばLEDを用いた発光装置において発光色を調整する場合は通常、異なる発光色を発するLEDを個別に駆動制御する必要がある。これは他の半導体発光素子についても同様である。
【0005】
異なる発光色を発するLEDを個別に駆動制御するには、電源入力とは別の外部からの制御信号によって、それぞれのLEDへの電流量を設定し、発光装置内の回路によって電流量を制御することが一般に知られているが、配線が煩雑となり、また発光色や明るさを指定する外部信号を入力するシステムや外部信号を処理する回路構成を含めて複雑な装置となるためコストが高くなるという欠点がある。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1に示されるように、入力電流の平均の大きさを検出する要素を有し、トランジスタや高速のスイッチ等を用いた分流制御回路によって、並列に接続された2つの異なる発光色を有するLEDグループに入力電流を分流し、発光装置の発光色を入力電流の大きさの関数として変化させるという発光装置も提案されている。かかる提案によれば、外部信号を必要とすることなく、電力入力ターミナルからの入力のみによって発光色変化を実現することができ、例えば調光時に白熱電球やハロゲンランプの発光色変化と同様に、入力電力の減少に応じて発せられる白色光の色温度が低くなり、より黄味と赤味が増す挙動を有するLED発光装置を提供することができる。
【0007】
また、入力電流の検出要素や分流をする複雑な回路を有さなくても、可変定電流電源からの入力電流の大きさによって発光色が変化する発光装置も既に提案されている。例えば特許文献2に示される発光装置は、並列に接続された2つの異なる発光色を有するLEDグループの一方に直列に抵抗を接続し、入力電流の大きさによってそれぞれのLEDグループに流れる電流のバランスを変化させ、外部信号を必要とすることなく、電力入力ターミナルからの入力のみによって発光色を調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5763555号公報
【特許文献2】特許第5807195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術による発光装置においては、入力電流の大きさに応じて発光装置の光出力と発光色が決まるため、同じ明るさでの異なる発光色の設定や異なる発光色で明るさを任意に設定するようなことはできない。
【0010】
また、従来技術による発光装置は入力電流の大きさによる制御のため、例えば定電圧入力によるパルス調光などに対しては、入力電力を電流の大きさに変換して検知、通電しなければ発光色の変化をさせることはできない。
【0011】
一方で、光出力と発光色を任意に調整するための前述の異なる発光色を発するLEDを個別に駆動制御する手法は、複雑な装置を必要とし、コストが高くなってしまうだけでなく、電力入力以外の外部信号線が必要となり、発光装置を取り付ける施工者にとっても煩雑となる。
【0012】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところはパルス電力入力のみによって発光装置の光出力と発光色の調整が可能で、定電圧電力入力に対応した、構成が簡単で小型化が図れる制御回路と、その制御回路を用いた発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の制御回路は、発光部を有する複数の光源回路への電力供給源となるパルス電力源と電気的に接続する信号生成回路と、少なくとも一つの光源回路と電気的に接続するスイッチング回路を有し、信号生成回路は第1の抵抗とコンデンサを直列に備え、コンデンサは第2の抵抗を含むバイパス回路を備え、スイッチング回路はスイッチング素子を備え、信号生成回路からの制御信号はパルス電力源の波形に応じてスイッチング回路のオン信号またはオフ信号となることを特徴とする。
【0014】
制御信号のオン信号とは、スイッチング回路をオンにする信号であり、制御信号のオフ信号とは、スイッチング回路をオフにする信号である。信号生成回路からの制御信号によってスイッチング回路がオンまたはオフとなることで、スイッチング回路と接続する光源回路に電流が流れまたは遮断され、発光装置全体の光出力や発光色を調整することが可能となる。
【0015】
なお、制御信号は例えば信号生成回路内のある点の電位であって、パルス電力源からのパルス電力入力による信号生成回路に備えられたコンデンサの充電状態の時間変化と共に変動する。
【0016】
本発明の制御回路の一様態において、光源回路と電気的に接続するスイッチング回路は複数であり、一つのスイッチング回路のみをオンとし、他のスイッチング回路をオフとする制御信号の組み合わせを与えるパルス電力源の波形が、それぞれのスイッチング回路に対して存在することを特徴とする。
【0017】
それぞれのスイッチング回路をオンオフ制御することで、スイッチング回路と接続するそれぞれの光源回路への通電を制御することが可能となる。また、一つのスイッチング回路のみオンできることで、発光装置は特定の光源回路から選択的に発光させることが可能となる。
【0018】
本発明の制御回路の一様態において、信号生成回路はコンデンサと並列に補助スイッチング素子を備え、補助スイッチング素子は補助コンデンサと補助抵抗の少なくともいずれか一方を直列に備え、補助スイッチング素子はパルス電力源の波形に応じてオンオフすることを特徴とする。
【0019】
本発明の制御回路の一様態において、スイッチング回路は保持容量を備え、保持容量に保持される電圧に基づいて光源回路からスイッチング回路を流れる電流が制御されることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る照明装置は、発光部を有する複数の光源回路を有し、少なくとも一つの光源回路上の発光部からの発光色は、他の光源回路上の発光部からの発光色とは異なり、上記の制御回路を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の発光装置に用いられるパルス電力源は、パルス出力電源であっても良いし、定出力をパルス出力に変換する電力パルス化モジュールもしくは電力パルス化回路であっても良い。一つのパルス電力源によって、発光部を有する複数の光源回路と制御回路へ電力供給されることが好ましい。なお、電力パルス化回路は制御回路と一体でモジュール化されていても良いし、別にモジュール化されていても良い。
【0022】
パルス出力とは出力のオンオフを高速で繰り返す出力方式であり、振幅や周波数、デューティー比、パルス形状などによってパルス出力の波形が決められる。デューティー比とはオンオフ周期に対する出力オンの期間の比率である。発光装置に対して、調光の用途に多く用いられ、特にパルス出力は一般に定電流出力もしくは定電圧出力であるため、より正確な出力値の制御が可能であり、トライアックによって電源出力の電流値を制御する調光方式では一般に定格出力電流値に対して10%程度が出力可能範囲の下限となっていることと比べ、正確かつ広い調光範囲を得ることができる。
【0023】
なお、パルス出力は、オンオフの繰返し周期が一定で出力オンの期間を変えるパルス幅変調(PWM)出力方式や出力オンの期間が一定でオンオフの繰り返し周期を変えるパルス周期変調出力方式などによる。
【0024】
本発明の制御回路および発光装置に用いられるパルス電力源は、定電圧出力であることが好ましく、光源回路は定電圧源から電力供給を受け、また制御回路も定電圧源からの電源供給であるため、制御回路はその機能を維持しつつ、光源回路の並列接続数の増減に対応することが可能である。
【0025】
本発明に係る光源回路は、発光部を有し、電力入力によって発光する。発光部内の発光体は半導体発光素子であることが好ましく、従来光源と比べて消費電力を削減でき、スイッチング素子の負荷低減、制御回路の小型化を実現することができる。発光部は光源回路上に複数あっても良く、最適な電気的および発光特性を得るため、発光部が光源回路内で直並列に接続されていても良い。
【0026】
異なるスイッチング回路と接続した光源回路の発光部は異なる発光色を発することが好ましい。異なる発光色は赤、緑、青などの光の原色による違いであっても良いし、白色光の色温度や演色性による違いなどであっても良い。一つの光源回路に複数の発光色からなる発光部があっても良い。
【0027】
複数の光源回路は同一の基板上に設けられ光源モジュールを形成していても良く、また複数の光源回路の発光部が単一のパッケージ内に配置されていても良い。
【0028】
光源回路は電流を制御するための制限抵抗を有することが好ましく、半導体発光素子の直列数や制限抵抗の抵抗値などによって電流が制御される。より好ましくは、直列に接続した半導体発光素子の駆動電圧の合計が入力電圧に近いことで、制限抵抗での電力損失を抑え、発光装置の発光効率を高めることができる。もしくは、制御回路内のスイッチング回路上に定電流化回路が備えられていても良い。
【0029】
半導体発光素子は、一般にダイオード特性を有し、例えば、発光ダイオード(LED)、有機EL、無機ELなどいずれの形態の素子であっても良い。LEDは、InGaN系などの青色LEDやGaAlAs系などの赤色LEDなど、固有の発光色を発する種々のタイプのLED素子が用いられる。これら半導体発光素子は一般にパッケージ化されて用いられる。
【0030】
LEDパッケージは透光性樹脂などを介してパッケージの発光面より発光するが、LED素子からの光をそのまま変換せずに発する原色タイプ、LED素子からの光を蛍光体により変換するタイプなどがあり、またパッケージとして、チップスケールパッケージタイプ、表面実装タイプ、チップオンボード(COB)タイプなどがあるが、いずれが用いられても良い。
【0031】
照明用途には、一般にInGaN系のLED素子からの光の一部もしくは全てを蛍光体により変換し白色光とする白色LEDパッケージが好ましく、それぞれの光源回路上の発光部からの発光色が異なるよう白色LEDパッケージの発光色は適宜選択される。表示用途には、蛍光体を使用しない原色タイプのLEDパッケージが一般に用いられる。
【0032】
なお、半導体発光素子は時間応答に優れた発光素子であるため、電源からの入力オンオフに応答してパルス発光するが、発光のちらつきを避けるために、通常パルス変調出力電源のオンオフ周波数は100Hzよりも高く設定されており、より好ましくは1KHz以上であることで、人間の目にはパルス発光は視認されず、光出力は時間平均された出力として視認される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、パルス電力入力のみによって発光装置の光出力と発光色の調整が可能で、定電圧電力入力に対応した、構成が簡単で小型化が図れる制御回路と、その制御回路を用いた発光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態1に係る構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る発光装置及び制御回路の回路図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るデューティー比ごとの時間に対する信号電位Vsの変動を表すグラフである。
図5】本発明の実施の形態1に係るデューティー比と第2の光源回路の通電時間比率との関係を表すグラフである。
図6】本発明の実施の形態1に係る高周波駆動時のデューティー比ごとの時間に対する信号電位Vsの変動を表すグラフである。
図7】本発明の実施の形態1に係る高周波駆動時のデューティー比と第2の光源回路の通電時間比率との関係を表すグラフである。
図8】本発明の実施の形態1に係る制御回路の変形例である。
図9】本発明の実施の形態2に係る発光装置及び制御回路の回路図である。
図10】本発明の実施の形態2に係る制御回路の変形例である。
図11】本発明の実施の形態2に係るデューティー比と第1の光源回路への通電 時間比率との関係を表すグラフである。
図12】本発明の実施の形態3に係る発光装置及び制御回路の回路図である。
図13】本発明の実施の形態4に係る発光装置及び制御回路の回路図である。
図14】本発明の実施の形態4に係るスイッチング回路の変形例である。
図15】本発明の実施の形態4に係るパルス電力入力の波形図である。
図16】本発明の発光装置を用いた表示装置に係る配線図である。
図17】本発明の参考形態に係る発光装置及び制御回路の回路図である。
図18】実施例1におけるデューティー比と第1の光源回路と第2の光源回路に流れる電流量との関係を表すグラフである。
図19】実施例1における発光装置の発する相対光束と発光色の色温度との関係を表すグラフである。
図20】実施例2におけるデューティー比と第1の光源回路と第2の光源回路に流れる電流量との関係を表すグラフである。
図21】実施例2におけるデューティー比と発光装置の発する発光色の色温度との関係を表すグラフである。
図22】実施例2におけるデューティー比と発光装置の発する相対光束との関係を表すグラフである。
図23】実施例3におけるデューティー比と各光源回路に流れる電流量との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の発光装置について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
【0036】
(実施の形態1)
図1のブロック図に示すように、本発明の実施の形態1に係る発光装置100は定電圧パルス変調出力電源10(以下、パルス出力電源と称す)より電力供給され、制御回路101および第1と第2の光源回路11、12はパルス出力電源10とそれぞれ電気的に接続する。第1の光源回路11への電力供給は、必ずしも制御回路101を介さなくても良い。第2の光源回路12とパルス出力電源10の間には制御回路101内のスイッチング回路103が電気的に直列に接続し、スイッチング回路103によって通電のオンオフが制御される。
【0037】
制御回路101は信号生成回路102とスイッチング回路103を有し、パルス出力電源10からのパルス出力波形に応じて、制御回路101は制御信号をスイッチング回路103に出力する。パルス出力電源10からのパルス出力波形は、電源制御装置20からの入力によって制御される。電源制御装置20は、例えばユーザーの操作によって0−10VやPWMなどの信号を出力し、パルス出力電源10を制御する。電源制御装置20からパルス出力電源10への信号は有線信号であっても、無線信号であっても良い。
【0038】
信号生成回路102からの制御信号に応じて、スイッチング回路103は第2の光源回路12に流れる電流を制御し、スイッチング回路103が電流を遮断すれば、発光装置100からは第1の光源回路11のみからの発光となり、スイッチング回路103が電流を通過させれば、発光装置100は第1の光源回路11と第2の光源回路12両方からの光による発光となる。
【0039】
なお、図2のブロック図に示すようにパルス化回路104が発光装置100内にあって、定電圧定出力電源30からの電力をパルス出力に変換し、制御回路101および第1および第2の光源回路11、12への電力供給源となっても良い。また、パルス化回路104は定出力電源30と発光装置100の間に別モジュールとして設置されて電気的に接続されても良い。
【0040】
図3により具体的な回路図の一例を示す。制御回路101には、パルス出力電源と接続する入力端子151、152を通じて入力電位Vinのパルス電力が供給される。第1の光源回路11と第2の光源回路12へは、出力端子153、154、155、156を通じて出力する。第1の光源回路11と第2の光源回路12は、それぞれ一つ以上のLEDパッケージL111〜L11m、L121〜L12nを発光部として備え、第1の光源回路の発光部からの発光色と第2の光源回路の発光部からの発光色は互いに異なることが好ましい。定電圧電源より電力が供給されるため、第1の光源回路11と第2の光源回路12はそれぞれ制限抵抗R11、R12を有し、レギュレータ部品を用いることなく、各光源回路に流れる電流の大きさが制御されている。
【0041】
第2の光源回路12は、接続端子156を通じてスイッチング素子Q1を備えたスイッチング回路103と接続しており、スイッチング素子Q1は第2の光源回路12への通電をオンオフ制御する。
【0042】
スイッチング回路103へ制御信号を与える信号生成回路102は、制御回路101内で電源からの入力端子電位間に形成されており、第1の抵抗R1とコンデンサC1が直列に接続され、コンデンサC1には第2の抵抗R2を有するバイパス回路が接続されている。コンデンサC1の両端間に第2の抵抗R2を有するバイパス回路が形成されることで、電力入力オフ時にはコンデンサC1はバイパス回路を通じて放電することとなる。この信号生成回路102の構成により、電源からのパルス電力入力に対してコンデンサC1は充放電を繰り返すこととなる。なお、信号生成回路102は必ずしも電源電位間で接続されていなくても良く、電源電位から調節された電位が入力されても良い。
【0043】
抵抗R2の高電位側の信号電位Vsはスイッチング素子Q1のゲートと接続し、スイッチング素子Q1をオンするための制御信号として機能する。信号電位VsはコンデンサC1の充電状態によって変動し、コンデンサC1が放電状態においては0であり、コンデンサC1の充電が飽和状態においては、入力電位Vinの第1の抵抗R1と第2の抵抗R2による分圧値つまりVin×r2/(r1+r2)となる。ここでr1、r2は抵抗R1、R2それぞれの抵抗値である。
【0044】
光源回路12へ電流が流れるためには、スイッチング回路103のスイッチング素子Q1のゲート・ソース間にゲートしきい値電圧を超える電圧が印加される必要がある。そのゲートしきい値電圧に相当する電位を与える信号電位Vsをしきい値電位とすれば、コンデンサC1の充電によって信号電位Vsがしきい値電位よりも高くなれば、光源回路12へ電流が流れるようになる。
【0045】
そのため、コンデンサC1飽和時の信号電位VsであるVin×r2/(r1+r2)がしきい値電位を超えるように抵抗R1、R2の抵抗値は設定されることが好ましい。または、信号電位Vsのしきい値電位がスイッチング素子Q1のゲートしきい値電位よりも低くても、スイッチング素子Q1がオンとなるように制御回路101内で信号電位Vsが増幅されても良い。
【0046】
なお、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2は複数の抵抗に分割され、それらの抵抗の中間点から信号電位Vsを得ても良い。さらには、第1の抵抗R1はコンデンサの極性のいずれの側であっても良く、もしくはコンデンサの極性の両側に分かれて接続されていることで、所望の信号電位Vsが得られても良い。
【0047】
図3において、入力電位Vinによって第1の抵抗R1を通じて流れる電流Iは、コンデンサC1を流れる電流i1とバイパス回路上の第2の抵抗R2を流れる電流i2の和であり、それぞれの関係は下記の数式1にて表される。
【0048】
【数1】
【0049】
qはコンデンサC1の電荷、CはコンデンサC1のキャパシタンス、r1、r2は抵抗R1、R2の抵抗値、t_onは電力入力のオン時間である。なお、計算を簡単にするため、信号電位Vsよりスイッチング回路103のゲートに流れる電流は電流i1、i2と比べて無視できるほど小さいとした。また、本実施の形態ではコンデンサC1の両端間電位と信号電位Vsは等しい。
【0050】
コンデンサC1が十分に放電された状態を初期条件とすれば、上記の数式1からコンデンサC1を流れる電流i1、抵抗R2を流れる電流i2、信号電位Vsを下記の数式2のように解くことができる。
【0051】
【数2】
【0052】
上式により、各電流i1、i2や信号電位Vsは電力入力オン時間t_onによって変化し、信号電位Vsは初期t_on=0において0であるが、電力の入力が続けば、入力電位Vinの抵抗R1、R2による分圧値であるVin×r2/(r1+r2)まで電力入力オン時間t_onの経過とともに上昇することが分かる。
【0053】
信号電位Vsはパルス電力入力オンの間上昇するが、スイッチング回路103をオンするしきい値電位に至るまで第2の光源回路12には電流が流れず、第2の光源回路12上の発光部は発光しない。信号電位Vsがしきい値電位を超えれば、スイッチング回路103はオンとなり、第2の光源回路12に電流が流れ始める。その後、パルス電力源からの電力入力がオフとなるまで信号電位Vsは上昇を続け、その間第2の光源回路12には電流が流れ続け、第2の光源回路12上の発光部は発光する。
【0054】
パルス電力源からの電力入力がオフになると、信号生成回路102には電圧印加が無い状態となり、コンデンサC1に溜まった電荷は抵抗R2を通じて放電される。
【0055】
コンデンサC1の放電によって、信号電位Vsは低下することとなり、パルス電力入力がオンからオフへ切り替わった時点の信号電位をVspとすると、その時点(t_off=0)からのパルス電力入力オフの期間の信号電位Vsの時間変化は下記の数式3で表される。
【0056】
【数2】
【0057】
上式より、信号電位Vsが電力入力オフ時間t_offの経過とともに小さくなっていくことが分かる。また、オフ期間が有限である周期的なパルス電力入力において、パルス電力入力が再びオンとなる時点では信号電圧Vsが完全に0とならないことを示す。特に、パルス電力入力の周波数が高い(オンオフの繰返し周期が短い)、デューティー比が大きいなどによってパルス電力入力のオフ期間が短い場合や、またコンデンサC1の容量や第2の抵抗R2の抵抗値が大きい場合、パルス電力入力がオフからオンとなる時点の信号電位Vsの値は、パルス電力入力がオンからオフとなった時点の信号電位Vspからそれほど下がらなくなる。
【0058】
周期的なパルス電力入力においては、数式2で表されるパルス電力入力のオン期間での信号電位Vsの上昇と数式3で表されるパルス電力入力のオフ期間での信号電位Vsの下降が同じ大きさとなる点で平衡状態となる。そのため、信号電位Vsの平衡状態の値は、パルス電力入力のデューティー比や周波数によって変化することとなる。
【0059】
また、逆に所望の発光変化特性に沿うような信号電位Vsの変動特性を得るためには、信号生成回路の第1の抵抗R1、第2の抵抗R2の抵抗値とコンデンサC1のキャパシタンスを調節すれば良いことが分かる。
【0060】
図4に数式2、3を用いて、周波数1KHz(周期1000μsec)のパルス電力入力による信号電位Vsの時間変化を異なるデューティー比(30%、60%、80%)でシミュレーションした結果を示す。シミュレーション上、電源電圧は12V、抵抗R1、R2の抵抗値は10KΩ、5KΩとし、コンデンサC1の静電容量は0.1μFとし、スイッチング回路103に流れる電流は無視した。デューティー比が大きくなるに従って、パルス電力入力のオフからオンに切り替わる時点(0、1000、2000、3000μsec)を含み、全体的に信号電位Vsが高くなっていることが分かる。
【0061】
スイッチング回路103をオンするしきい値電位を信号電位Vs変動のある中間点で設定すれば、デューティー比がある値より大きくなることで信号電位Vsがしきい値電位を超える期間が生じる。スイッチング回路103を通じて第2の光源回路12へ電流が流れるためには、パルス電力入力がオンであり、かつ信号電位Vsがしきい値電位を超えている必要があるため、第2の光源回路12に電流が流れる時間は、デューティー比がある値に至るまでは0であり、それ以降、デューティー比が大きくなるに従って、次第に長くなる様相を示すこととなる。
【0062】
第2の光源回路12に電流が流れる時間のパルス電力入力のオンオフ周期に対する比率を通電時間比率として、図4に示した信号電位Vs時間変化のシミュレーション結果を用い、パルス電力入力のデューティー比に対する第2の光源回路12への通電時間比率を図5にグラフ化した。なお、シミュレーション上しきい値電位は2.4Vとした。デューティー比が小さい領域では第2の光源回路12へ電流は流れず、あるデューティー比より電流が流れ始め、その後デューティー比が大きくなるに従って、第2の光源回路12への通電時間比率が大きくなることが分かる。
【0063】
第2の光源回路12へは制限抵抗によって通電時には定電流が流れるため、通電時間比率は第2の光源回路12への時間平均電流量と比例する。そのため、第2の光源回路12上の発光部からの光出力についても、デューティー比に対して図5に示すような変化を示す。
【0064】
一方、第1の光源回路11はパルス出力電源と電気的に直接接続しており、第1の光源回路11の発光部からの光出力はデューティー比と比例的に相関する。そのため、発光装置100からの発光は、パルス電力入力のデューティー比変化に伴い、光源回路11と光源回路12からの発光強度の相対比率が変化する。
【0065】
例えば、第1の光源回路11上の発光部の発光色の色温度を2000K、第2の光源回路12上の発光部の発光色の色温度を3000Kとすると、発光装置100としては、デューティー比が小さければ第1の光源回路11上の発光部のみが光ることで発光装置100の発光色は2000Kであり、デューテュー比が大きくなれば、第2の光源回路12上の発光部からの光も寄与することで発光装置100の発光色が3000Kに近づくといった、パルス電力入力のデューティー比に応じた発光装置100の発光色の調整が可能となる。
【0066】
減光時には第1の光源回路11の発光部のみが発光し、デューティー比が大きくなれば第1と第2の光源回路11、12両者の発光部が発光することで、光出力がより大きく変化し、ダイナミックな光の演出が可能となるため、好ましい。
【0067】
さらに、パルス電力入力の周波数を高くすると、パルス電力入力のオンオフ周期に対してコンデンサに溜まった電荷の十分な放電が間に合わなくなり、本実施例においてはコンデンサC1の両端電位と等しい信号電位Vsは時間に対して変動が小さく、一定の値に近くなる。例えば、周波数がコンデンサC1の静電容量と第2の抵抗R2の抵抗値の積である放電時定数の逆数の2倍以上であれば、コンデンサC1に溜まった電荷は充電後、1周期の70%の時間放電しても初期の30%以下しか放電されない。そのため、デューティー比が30%以上であれば、信号電位Vsの変動幅はピーク値であるパルス電力入力がオフとなった時点の信号電位Vspの30%以内となる。さらに周波数が高くなる(周期が短くなる)にしたがって、信号電位Vsの変動幅はより小さくなり、一定の値に近くなる。
【0068】
図4に示した信号電位Vs時間変化のシミュレーションで、電力入力のパルス周波数のみを10倍(周波数10KHz、周期100μsec)として、信号電位Vsの時間変化をデューティー比毎にシミュレーションした結果を図6に示す。
【0069】
図6に示すようなほぼ一定の信号電位Vsであれば、信号電位Vsはデューティー比に対して常にしきい値電位を上回るか、下回るかの二状態に近くなる。そのため、スイッチング回路103もデューティー比によって常時オンまたは常時オフのいずれかの状態を取るようになり、図5と同様に第2の光源回路12への通電時間比率をデューティー比に対してグラフ化すると、光源回路12への通電時間比率は図7に示すようにデューティー比のある点で急激に変化することが分かる。また、スイッチング回路103が常にオンとなるデューティー比領域では、デューティー比と光源回路12への通電時間比率は比例関係となる。
【0070】
上述は、パルス電力入力の周波数を変化させることで、同じデューティー比によっても、発光装置100は異なる光出力や発光色を発することを示しており、つまり、本発明の発光装置100の制御回路101は、パルス電力入力のデューティー比と周波数の2つのパラメータによって、発光装置100の光出力と発光色が調整され得ることを示す。
【0071】
さらに、電力入力のパルス形状についても、方形波だけではなく、三角波やサイン波、ステップ波など異なるパルス形状によって、発光出力や発光色が調整されても良い。
【0072】
また、パルス出力電源からの入力電位Vinの変化により、信号電位Vsの値も変化するため、発光装置100のデューティー比に対する発光変化特性が調整されても良い。
【0073】
デューティー比やパルス周波数などのパルス電力入力の波形を変化させることによって得られる発光装置の光出力と発光色の変化は、コンデンサの容量や抵抗値の変更によっても得られ、コンデンサや抵抗は必要な調光調色特性に対して適宜選択されることが好ましい。
【0074】
一方で、図8に示す制御回路1011を用いれば、パルス電力入力の周波数変化に対して、発光装置のデューティー比による発光色変化をより安定化させることができ、パルス電力源の周波数が固定できない場合など実用上有益である。
【0075】
信号生成回路1021はパルス電力波形検知回路105によってオンオフ制御される補助スイッチング素子Q2をコンデンサC1と並列に備えており、補助スイッチング素子Q2は補助コンデンサC2、補助抵抗R3とそれぞれ直列に接続している。補助コンデンサC2、補助抵抗R3はいずれかのみが接続されていても良い。補助コンデンサC2、補助抵抗R3は補助スイッチング素子Q2がオンの状態において、信号生成回路1021の制御信号の生成を補助する機能を有する。
【0076】
例えば、低いデューティー比でのパルス電力入力において、コンデンサC1の充電により信号電位Vsが上昇してスイッチング回路がオンとなるのを、補助スイッチング素子Q2がオンとなることで補助コンデンサC2が機能し、信号電位Vsが上昇するのを抑制し、発光装置のデューティー比による発光色変化を安定化させる。
【0077】
なお、パルス電力波形検知回路105は図8に示すように信号生成回路と同様の構成であっても良く、またマイコンなどを用いてパルス電力入力周波数を検知し、補助スイッチング素子Q2のオンオフを制御しても良い。
【0078】
(第1の光源回路および第2の光源回路)
第1の光源回路11と第2の光源回路12は一つの光源モジュールとして構成されることで、取り扱いが容易となる。照明器具の光学設計を容易にするため、光源モジュール内でそれぞれの発光色が十分混ざりあうように設計されていることが好ましく、1つの基板上にそれぞれの回路上の発光部が互いに近い距離、もしくは等間隔に実装されていることが好適である。
【0079】
例えば、フレキシブル基板上に第1と第2の光源回路が形成され、発光部からの光が混ざり合うように各光源回路のLEDパッケージが実装されることが好ましく、ストライプ光源として用いることが容易となる。または、COB基板上に第1と第2の光源回路の発光部が単一の発光領域内に形成され、単一の光源が構成されても良い。
【0080】
照明装置の発する光の方向や発光する場所をデューティー比によって変える等の特別な照明の演出を行う場合、各光源回路は別々に、それぞれの光が敢えて混ざり合わない位置に配置されても良い。
【0081】
(制御回路)
制御回路101はパルス電力源からの電力入力端子151、152を有し、第1の光源回路と第2の光源回路への出力端子153、154、155、156を有する。スイッチング回路と接続しない側の光源回路への端子はコモンであっても良い。
【0082】
それぞれの出力端子から複数の光源回路が並列に接続されても良く、定電圧駆動において、発光色の変化特性を維持したまま、発光装置全体の光出力を光源回路の数により調整することができる。そのため、並列接続された光源回路が直線状に並ぶストライプ光源を本発明の制御回路と接続し、発光色を調整可能な発光装置として用いるのにも好適である。
【0083】
制御回路はディスクリート素子で構成されていても良いし、IC化されて構成されていても良い。
【0084】
光源回路とは別に制御回路のみがモジュール化されることで、照明メーカーやユーザーが所望する発光特性に併せて光源回路を選択することが可能となる。
【0085】
もしくは、制御回路101は第2の光源回路12上に配置され、パルス電源から並列に第1と第2の光源回路11、12が直接接続されていても良く、配線接続が容易となる。さらに、発光装置100は第1と第2の光源回路11、12と制御回路101を備えた光源モジュール化されても良く、取り扱いが容易となる。
【0086】
(コンデンサ)
コンデンサC1は電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサなどあらゆる種類のコンデンサを用いることができる。
【0087】
コンデンサC1の静電容量は、例えば1pF以上であることが好ましい。また、コンデンサC1の静電容量と抵抗R1、R2の抵抗値の積を抵抗R1、R2の和で割った値である充電の時定数は、周期の1/100以上であることが好ましく、より好ましくは、充電の時定数を周期の1/10以上とすることで、信号電位Vsがしきい値電位を下回るデューティー比の領域を設定し、デューティー比によって発光の様相を変化させる設計をすることが容易となる。
【0088】
(抵抗)
抵抗R1、R2は抵抗素子もしくは基板に印刷された配線抵抗などが用いられることが好ましい。もしくは、インダクタやサーミスタ、ダイオード等他の抵抗を有する電気部品が用いられても良いし、抵抗素子と併用されても良い。
【0089】
それぞれの抵抗は可変抵抗であっても良く、抵抗値の調整によってパルス電力入力の波形に対する発光装置の発光変化を制御することが可能となる。
【0090】
(スイッチング素子)
スイッチング素子Q1は電界効果トランジスタが用いられており、回路構成によってN型、P型は適宜選択される。また、バイポーラトランジスタなどが用いられていても良い。
【0091】
(実施の形態2)
図9に示すように、本発明の実施の形態2に係る発光装置200は、実施の形態1と同様に異なる発光色を発する発光部を備えた光源回路21、22と制御回路201を有する。光源回路21、22と制御回路201はパルス出力電源により電力供給され、制御回路201は信号生成回路202とスイッチング回路203を有する。スイッチング回路203は光源回路21とパルス出力電源と電気的に直列に接続し、スイッチング回路203によって光源回路21への通電が制御される。
【0092】
本実施の形態においては、信号生成回路202からの制御信号は信号電位Vs2であって、信号電位Vs2は第1の光源回路21への通電を制御するスイッチング回路203と接続する。スイッチング回路203はNOT回路を備え、信号電位Vs2によりスイッチング素子Q21がオンとなれば、スイッチング素子Q22はオフとなり、第1の光源回路21への通電を遮断する。
【0093】
実施の形態1と同様に、信号電位Vs2はパルス電力入力によるコンデンサC2の充放電により変動するが、発光装置200がパルス電力入力の波形に応じた所望の発光変化特性となるよう信号生成回路202上の第1の抵抗R21、第2の抵抗R22、R23の抵抗値やコンデンサC21のキャパシタンスは適宜設定されることが好ましい。本実施の形態においては、バイパス回路上の第2の抵抗を2つの抵抗R22、R23に分け、その中間点より信号電位Vs2を得るようにした。
【0094】
もしくは、図10の制御回路2011の回路図に示すように、NOT回路を用いず、信号電位Vs21がコンデンサC22の充電によって低下することを利用して、スイッチング回路のオンからオフへの切り替えが行われても良い。
【0095】
本実施の形態において、デューティー比に対する第1の光源回路21への通電時間比率について実施の形態1と同様にシミュレーションを行った。シミュレーション上、電源電圧は12V、抵抗R21、R22、R23の抵抗値は10KΩ、3.5KΩ、1.5KΩとし、コンデンサC1の静電容量は0.1μFとし、信号電位Vs2のしきい値電圧を0.7Vとし、スイッチング回路203に流れる電流は無視した。図11にパルス電力入力の周波数1KHzと周波数10KHzでのシミュレーションの結果を示す。
【0096】
デューティー比が小さい領域では、パルス電力入力オン期間内で信号電位Vs2がしきい値電位を超え始めるまでデューティー比に比例して第1の光源回路21への通電時間比率は大きくなる。信号電位Vs2がしきい値電位を超え始めると、パルス電力入力オン期間内でも、しきい値電位を超えた期間はスイッチング回路203がオフとなり、かつデューティー比の増加に伴い、信号電位Vs2が全体的に上昇することで、徐々に第1の光源回路21への通電時間比率は小さくなる。さらにデューティー比が大きくなり、常に信号電位Vs2がしきい値電位を超える状態となれば、スイッチング回路は常時オフとなり、第1の光源回路21へ電流は流れなくなる。
【0097】
コンデンサC21の両端電位の時間変動が少なくなるような高い周波数でのパルス電力入力であれば、信号電位Vsの時間変動も少なくなり、図6のシミュレーションに示すようにデューティー比に対して信号電位は常にしきい値電位を上回るか、下回るかの二状態に近くなり、デューティー比に対する光源回路21への通電時間比率は図11の周波数10KHzのシミュレーション結果に示すように、デューティー比に対してより急な変化となる。
【0098】
発光装置200は、パルス電力入力のデューティー比が小さいときには、第1と第2の光源回路21、22の両方の発光部はそれぞれデューティー比に比例した通電時間比率により発光し、デューティー比がある点よりも大きくなると、光源回路21上の発光部への通電時間比率が小さくなることで発光強度は徐々に小さくなり、一方で光源回路22上の発光部への通電時間比率はデューティー比に応じて大きくなり発光強度が増す。さらにデューティー比が大きくなると、光源回路21には電流が流れなくなり、光源回路22上の発光部のみが発光することとなる。以上により、発光装置200はデューティー比の調節により発光色の変化を実現することが可能となる。また実施の形態1と同様に、周波数などのパルス電力入力の波形による光出力や発光色の調整も可能である。
【0099】
(実施の形態3)
図12に示すように、本発明の実施の形態3に係る発光装置300は、実施の形態1と同様に異なる発光色を発する発光部を備えた光源回路31、32と制御回路301を有する。光源回路31、32と制御回路301はパルス出力電源より電力供給され、制御回路301は信号生成回路302とスイッチング回路303、304を有する。スイッチング回路303は光源回路31とパルス出力電源と電気的に直列に接続し、スイッチング回路304は光源回路32とパルス出力電源と電気的に直列に接続し、それぞれのスイッチング回路によって各光源回路への通電が制御される。
【0100】
本実施の形態においては、信号生成回路302からの制御信号は2つの信号電位Vs31とVs32である。信号電位Vs31は第1の光源回路31への通電を制御するNOT回路を有するスイッチング回路303と接続し、信号電位Vs32は第2の光源回路32への通電を制御するスイッチング回路304と接続する。なお、1つの信号電位によって、両方のスイッチング回路が制御されても良い。
【0101】
発光装置300が所望の発光変化特性となる信号電位Vs31、Vs32を得るため、信号生成回路302上の第1の抵抗R31、第2の抵抗R32、R33の抵抗値やコンデンサC31のキャパシタンスは適宜設定されることが好ましい。また、信号電位Vs31、Vs32ごとに個別の信号生成回路が設けられていても良い。
【0102】
第1と第2の光源回路31、32それぞれがスイッチング回路303、304と電気的に接続することで、実施の形態1と実施の形態2で示したようにパルス電力入力のデューティー比や周波数などによって、それぞれの光源回路31、32に流れる電流が制御される。
【0103】
例えば、デューティー比が小さい領域で、スイッチング回路303のスイッチング素子Q32はオン、スイッチング回路304のスイッチング素子Q33はオフの状態であれば、第1の光源回路31のみに電流が流れ、デューティー比に比例して、第1の光源回路31への通電時間比率は変化する。デューティー比が大きくなり、信号電位Vs31がしきい値電位を超え始めると、徐々に第1の光源回路に流れる通電時間比率が小さくなっていき、信号電位Vs32がしきい値電位を超え始めると、第2の光源回路32への通電時間比率が大きくなっていく。さらにデューティー比が大きくなり、常に信号電位Vs31、Vs32がしきい値電位を超える状態となれば、スイッチング回路303のスイッチング素子Q32はオフ、スイッチング回路304のスイッチング素子Q33はオンの状態となり、第2の光源回路32のみに電流が流れる。
【0104】
以上によって、発光装置300は、デューティー比が小さい領域では第1の光源回路の発光色のみを発し、デューティー比が大きくなると第1と第2の光源回路の混合色を発し、さらにデューティー比が大きくなると第2の光源回路の発光色のみを発するようになる。なお、このように第1の光源回路31のみに電流が流れるデューティー比領域と第2の光源回路32のみに電流が流れるデューティー比領域を有することで、発光装置300の調色範囲が広くなるため、好ましい。
【0105】
コンデンサC31の両端電位の時間変動が小さくなるような高い周波数でのパルス電力入力であれば、スイッチング回路上のスイッチング素子Q32、Q33のオンオフは、デューティー比の変化に対してより急な変化となる。そのため、デューティー比の変化に対して、第1と第2の光源回路両方に電流が流れて混合色を発するデューティー比の領域がわずかで、主に第1の光源回路31の発光色もしくは第2の光源回路32の発光色のいずれかで発光する発光装置とすることも可能である。例えば、デューティー比0〜50%領域においては第1の光源回路31の発光部のみが発光し、デューティー比60〜100%領域においては第2の光源回路32の発光部のみが発光するといった設計も可能である。
【0106】
このとき、第1の光源回路31が発光するデューティー比領域では通電時間比率はデューティー比に比例し、第2の光源回路32が発光するデューティー比領域でも通電時間比率はデューティー比の増加に応じて大きくなるため、各デューティー比領域内でのデューティー比の調節により、それぞれの光源回路へ流れる時間平均電流量を制御し、異なる発光色での明るさを独立に調整することが可能となる。
【0107】
さらに、高速でデューティー比を変化させ、2つの発光色を高速で切り替えることで、発光装置300から混色を発することも可能である。
【0108】
つまり、本発明の実施の形態3において、パルス電力入力の波形制御のみで、発光色と明るさをそれぞれ独立に調整することが可能となることを意味する。本方式であれば、それぞれの光源回路に流れる電流を外部からの信号入力によって個別に制御するなどの複雑な方式を用いずに、パルス電力入力のみによる構成が簡単で小型化が図れる調光調色のための制御回路を実現することができる。
【0109】
また、本発明の発光装置の光出力と発光色それぞれの調整は、パルス出力電源のみの制御によって実現できるため、照明制御システムとしても簡素化することができる。例えば、つまみの回転操作でオフ状態からデューティー比100%まで連続的に変化させる信号と、つまみのプッシュ操作で周波数を変える信号をパルス出力電源に与えることで、明るさの変化とともに徐々に発光色が変わるモードと2色それぞれで明るさを調整するモードをつまみのみで提供するシンプルなユーザーインターフェースが実現可能である。
【0110】
(実施の形態4)
図13に示すように、本発明の実施の形態4に係る発光装置400は、3つの異なる発光色を発する発光部を備えた光源回路41、42、43と制御回路401を有する。光源回路41、42、43と制御回路401はパルス出力電源より電力供給され、制御回路401は信号生成回路402、403とスイッチング回路404、405、406を有する。スイッチング回路404は光源回路41とパルス出力電源と電気的に直列に接続し、スイッチング回路405は光源回路42とパルス出力電源と電気的に直列に接続し、スイッチング回路406は光源回路43とパルス出力電源と電気的に直列に接続し、それぞれのスイッチング回路によって通電が制御される。
【0111】
本実施の形態においては、信号生成回路402からの制御信号は2つの信号電位Vs41とVs42であり、信号生成回路403からの制御信号は2つの信号電位Vs43とVs44である。
【0112】
信号電位Vs41は第1の光源回路41の通電を制御するスイッチング回路404と接続し、信号電位Vs42、Vs43は第2の光源回路42への通電を制御するスイッチング回路405と接続し、信号電位Vs44は第3の光源回路44への通電を制御するスイッチング回路406と接続する。なお、スイッチング回路404、405はNOT回路を備え、スイッチング回路405はスイッチング素子Q43、Q44を直列に備える。
【0113】
発光装置400が所望の発光変化特性となる信号電位Vs41、Vs42、Vs43、Vs44を得るため、信号生成回路402上の第1の抵抗R41、第2の抵抗R42、R43、信号生成回路403上の第1の抵抗R4a、第2の抵抗R4b、R4cの抵抗値やコンデンサC41、C42のキャパシタンスは適宜設定されることが好ましい。
【0114】
なお、信号電位Vsごとに信号生成回路が設けられていても良い。もしくは単一の信号生成回路から全ての信号電位Vsが得られても良い。
【0115】
信号電位Vs41、Vs42がパルス電力入力オン期間内でそれぞれ接続するスイッチング回路404、405のオンオフを切り替えるしきい値電位に達するデューティー比は、信号電位Vs43、Vs44がそれぞれ接続するスイッチング回路405、406のオンオフを切り替えるしきい値電位に達するデューティー比よりも小さいことが好ましく、0%からデューティー比が大きくなるに従い、第1の光源回路41、第2の光源回路42、第3の光源回路43と順に通電が切り替わるようにすることができる。
【0116】
具体的には、デューティー比が小さい時は、スイッチング回路内のスイッチング素子Q42、Q43、Q44、Q46はオン、オフ、オン、オフであり、第1の光源回路41のみに電流が流れる。デューティー比が大きくなり、信号電位Vs41、Vs42がしきい値電位を超えるパルス電力入力オン期間では、それぞれのスイッチング素子Q42、Q43、Q44、Q46はオフ、オン、オン、オフとなり、第2の光源回路42のみに電流が流れる。デューティー比がさらに大きくなり、信号電位Vs43、Vs44がしきい値電位を超えるパルス電力入力オン期間では、それぞれのスイッチング素子Q42、Q43、Q44、Q46はオフ、オン、オフ、オンとなり、第3の光源回路43のみに電流が流れる。
【0117】
コンデンサC41、C42の両端電位の時間変動が小さくなるような高い周波数でのパルス電力入力であれば、信号電位の時間変動も小さくなり、デューティー比0〜100%の中で、第1の光源回路41上の発光部のみが発光するデューティー比領域、第2の光源回路42上の発光部のみが発光するデューティー比領域、第3の光源回路43上の発光部のみが発光するデューテュー比領域が主に存在するよう、コンデンサと抵抗の値を設定することができ、それぞれのデューティー比の領域内でさらにデューティー比を調節することで各光源回路に流れる時間平均電流量を制御することが可能となる。
【0118】
上記により、異なる発光色を有する3つの光源回路を用いて、3色の光出力の調整を行うことができ、例えばそれぞれの光源回路の発光部を赤色(R)LEDパッケージ、緑色(G)LEDパッケージ、青色(B)LEDパッケージもしくは各スイッチング回路と接続したRGBのLEDパッケージを用いれば、いわゆるマルチカラーの発光装置が実現可能となる。また、同様にスイッチング回路と光源回路を増やすことで、例えば白色(W)を加えたRGBWなどの4色以上の発光も可能である。
【0119】
さらに、パルス出力電源のデューティー比を高速で変化させ、短時間の間に赤、緑、青と発光色を切り替えることで、発光装置は混合色を発することができ、任意の色度点の発光色出力も可能となる。また例えば、デューティー比を連続的に変化させることで、時間に応じて発光色の切り替わる多色発光の発光装置を提供することも可能である。
【0120】
また、各スイッチング回路は保持容量を有する構成であっても良く、スイッチング回路406の変形例である図14のスイッチング回路4061に示すように、信号電位Vs44により、トランジスタQ47がオンとなることで、保持コンデンサC43を充電するとともに、スイッチング素子Q49がオンとなって、出力端子458を通じて光源回路43が発光する。保持コンデンサC43に電荷が蓄えられれば、パルス出力電源のデューティー比の変化によって信号電位Vs44が変動しても、保持コンデンサC43に蓄えられた電荷がスイッチング素子Q49をオンとするため、パルス電力入力のオン期間は、スイッチング回路4061を通じて、光源回路43は発光する。
【0121】
抵抗R4dの抵抗値と保持コンデンサC43により、トランジスタQ47のオン時間によるスイッチング素子Q49にかかる保持電圧が決まるため、Vs44がオン信号となる時間によってスイッチング回路4061を通って光源回路43に流れる電流量を制御することもできる。なお、入力オフ時のコンデンサC43の放電を防ぐため、ダイオードD1が接続されることが好ましい。
【0122】
スイッチング回路4061をオフとするには、逆向きに電圧を印加することで、トランジスタQ48をオンとし、保持コンデンサC43に蓄えられた電荷の放電によって、スイッチング素子Q49がオフとなる。または、信号生成とは別のデューティー比区分を設けて、保持コンデンサを放電するためのスイッチング素子をオンする信号を与えるようにしても良い。もしくは、第3の入力配線を有し、第3の入力配線からの電気的入力によって、保持コンデンサを放電しても良い。
【0123】
各スイッチング回路が同様に保持容量コンデンサを有する構造であれば、信号生成や保持コンデンサ放電とは別のデューティー比区分での通電時に、各光源回路からの同時発光が可能となる。例えば、図15に示すようにパルス電力入力をそれぞれのスイッチング回路へのオン信号となるデューティー比でTr、Tg、Tb時間入力し、保持コンデンサの充電によってRGB各光源回路に流れる電流を設定した後、各信号電位に影響を与えない別のデューティー比区分でTon時間通電すれば、Ton時間RGBの光源回路を所望の発光強度比率で発光させることができる。
【0124】
制御回路が半導体プロセスで形成された素子であって、制御回路素子上にLED素子が直接搭載されたマイクロLEDのような小型マルチカラーLEDデバイスが構成されても良く、各LED素子に対する個別の電力入力が不要なため、基板側との接続点数が削減でき、実装上も好ましい。
【0125】
図16に示すように、本発明の制御回路501およびRGBのLED素子を備えた光源回路を有する発光装置500を電力入力配線561、562のマトリクス上に配置することで、パルス電力入力での発光色の設定と混合色の発光による、カラーディスプレイとして用いられても良く、RGBを個別に制御する方式と比べて、必要な配線を大幅に削減することができる。
【0126】
例えば、配線561aと562aのみ瞬間的に正負を逆にし、配線561aと562aと回路上接続する発光装置500aaの保持コンデンサを放電させ、配線562bと配線562cを非通電とした状態で配線561aからパルス電力入力によって、発光装置500aaの発光色を設定することができる。この操作を各組の配線で行うことで、マトリクス上に配置された発光装置500の発光色を設定し、全体でカラーディスプレイとして表示をさせることが可能となる。
【0127】
各光源回路は非通電の場合にも短時間発光を維持できる様、発光素子と並列にコンデンサが備えられていても良い。コンデンサの放電が信号生成回路に影響を与えないよう、光源回路の配線上にはダイオードが直列に備えられていることが好ましい。また、スイッチング回路をオフとする場合は、光源回路のコンデンサも放電される回路構成であることで、残像の影響を除くことができる。
【0128】
なお、その他の参考形態として、信号生成回路は、パルス電力入力の波形を検知し、信号電位Vsを与えるその他の回路であっても良く、例えば、図17に示すように信号生成回路602内にマイコン606が使われていても良く、デューティー比に応じて発光色や明るさをより任意に変化させることが可能となる。
【0129】
マイコン606は抵抗R9、R10の分圧によって得られる電位Vpの変動によって、パルス電力入力のデューティー比や周波数、オン時間の長さなどを検知し、発光装置が所望の発光特性となるよう、それぞれのスイッチング回路への信号電位Vs61、Vs62を与える。例えば、マイコン606のプログラムはパルス電力入力のデューティー比と周波数の組み合わせを受けて様々に信号電位Vs61、Vs62を与え、発光装置の発光色と明るさをより任意に制御することも可能である。さらには、電力入力の入切をマイコン606が検知することによって、デューティー比に対する発光色変化の関係が変わっても良い。
【0130】
好ましくは、パルス電力入力は定電圧の矩形波であって、マイコン606への電源にはレギュレータが不要となり、パルス電力入力の波形を電圧閾値のみによって容易に検知でき、光源回路には制限抵抗のみで電流制御が可能であって、オン時間で直ちに発光させることができる。
【0131】
マイコン606への電源電位VcにはコンデンサC61が並列に接続されることが好ましく、パルス電力入力のオフ時間にも一定の駆動電圧が確保される。
【0132】
本発明は上述した実施形態に限定されるものでは無く、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例1】
【0133】
実施例1では、実施の形態1と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。
【0134】
制御回路102のR1は15KΩ、R2は5.9KΩ、コンデンサC1は0.1μFを用い、スイッチング素子は東芝製電界効果トランジスタ2SK4017を用いた。
【0135】
パルス出力電源には12V定電圧パルス変調出力電源を用い、パルス出力電源と直接接続する第1の光源回路の発光部には色温度2800Kの発光色を示すLEDパッケージを用い、スイッチング回路と接続する第2の光源回路の発光部には色温度4000Kの発光色を示すLEDパッケージを用いた。通電時に各光源回路に流れる電流は、それぞれの光源回路上の抵抗の値によって調節した。
【0136】
パルス出力電源の出力周波数を1KHzと10KHzでの、パルス出力電源のデューティー比ごとの各光源回路への電流値と、発光装置の発光色と相対光束を確認した。パルス出力電源による通電であるため、各光源回路の電流値は時間平均された値である。発光装置の発光色と相対光束は、第1の光源回路の発光部と第2の光源回路の発光部からの混合光によって測定した。
【0137】
図18にデューティー比に対して各光源回路に流れる電流の大きさの変化を示す。第1の光源回路に流れる電流はパルス電源出力のデューティー比に対して比例するが、第2の光源回路に流れる電流は図5図7において第2の光源回路の通電時間比率をシミュレーションしたのと同様の変化を示す。
【0138】
図19は発光装置の発する相対光束に対する発光色の色温度の変化を示すグラフである。パルス出力電源からのパルス電力入力のデューティー比に応じた相対光束の変化に対して、発光色の色温度が変化することが分かる。また、パルス出力電源の出力周波数が1KHz、10KHzの違いによって、発光色変化は異なる様相を示すことが分かる。
【実施例2】
【0139】
実施例2では、実施の形態3と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。
【0140】
制御回路102のR31は15KΩ、R32は3.9KΩ、R33は2KΩ、コンデンサは0.1μFを用い、スイッチング素子Q32、Q33として東芝製電界効果型トランジスタ2SK4017を用い、スイッチング素子Q31は東芝製トランジスタ2SC1815を用いた。
【0141】
実施例1と同様に、パルス出力電源には12V定電圧パルス変調出力電源を用い、NOT回路により制御されるスイッチング回路303と接続する第1の光源回路の発光部には色温度2800Kの発光色を示すLEDパッケージを用い、スイッチング回路304と接続する第2の光源回路の発光部には色温度4000Kの発光色を示すLEDパッケージを用いた。通電時に光源回路に流れる電流は、それぞれの光源回路上の抵抗の値によって調節した。
【0142】
パルス出力電源の出力周波数を1KHzおよび10KHzとし、パルス出力電源のデューティー比に対する各光源回路への電流値と発光色の色温度と相対光束の変化を確認した。パルス出力電源による通電であるため、各光源回路の電流値は時間平均された値を測定した。
【0143】
図20にデューティー比に対して各光源回路に流れる電流の大きさの変化を示す。第1および第2の光源回路に流れる電流値はデューティー比によってその比率が変化することが分かる。特にパルス出力電源の出力周波数が10KHzであれば、デューティー比50〜55%の間で電流が流れる光源回路が急激に切り替わっていることが分かる。
【0144】
そのため、図21に示すようにデューティー比が大きくなるに従って、発光装置の発する発光色は、第1の光源回路の発光色2800Kから第2の光源回路の発光色4000Kに変化していき、特に電源のパルス出力周波数が10KHzであれば、電流の切り替わりに応じて急激に色温度が変化している。
【0145】
併せて図22に示すようにデューティー比によって明るさも変化していくが、特にパルス出力電源の出力周波数が10KHzであれば、デューティー比50%までと55%以降の別々の発光色となる領域で、デューティー比によってそれぞれ明るさを調整することができた。
【実施例3】
【0146】
実施例3では、実施の形態4と同様の構成の発光装置を用いて試験を行った。
【0147】
制御回路401の抵抗R41、R42、R43、R4a、R4b、R4cはそれぞれ10KΩ、2KΩ、1.8KΩ、9KΩ、2KΩ、800Ωを用い、コンデンサC41、C42はいずれも0.1μFを用い、スイッチング素子Q41、Q42、Q43、Q44、Q45、Q46は東芝製トランジスタ2SC1815を用いた。
【0148】
パルス出力電源には12V定電圧パルス変調出力電源を用い、第1の光源回路41の発光部は赤色LEDパッケージ、第2の光源回路42の発光部は緑色LEDパッケージ、第3の光源回路43の発光部は青色LEDパッケージを用いた。通電時に各光源回路に流れる電流は、それぞれの光源回路上の抵抗の値によって調節した。
【0149】
図23にパルス出力電源の出力周波数が10KHzにおけるデューティー比に対する各光源回路の電流の大きさの変化を示す。デューティー比0〜35%では主に赤色LEDパッケージを有する第1の光源回路に通電し、デューティー比45〜70%までは主に緑色LEDパッケージを有する第2の光源回路に通電し、デューティー比80〜100%までは主に青色LEDパッケージを有する第3の光源回路に通電することが分かる。デューティー比によって赤色、緑色、青色の異なる色の発光を得られ、それぞれの発光色の領域においてデューティー比の調節によりそれぞれの光源回路への電流量も個別に制御できることが確認できた。
【符号の説明】
【0150】
10 パルス変調出力電源
20 電源制御装置
30 定出力電源
40 パルス化制御装置
11,21,31,41,61 第1の光源回路
12,22,32,42,62 第2の光源回路
43 第3の光源回路
100,200,300,400,500,600 発光装置
101,1011,201,2011,301,401,501,601 制御回路
102,1021,202,2021,302,402,403,602 信号生成回路
103,203,2031,303,304,404,405,406,4061,603,604 スイッチング回路
104 パルス化回路
105 パルス電力波形検知回路
606 マイコン
151,152,251,252,2511,2521,351,352,451,452,651,652 電力入力端子
153,154,155,156,253,254,255,256,2531,2541,2551,2561,353,354,355,356,453,454,455,456,457,458,653,654,655,656 出力端子
561,562 パルス電力入力配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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