(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の受信状態判定部または前記第2の受信状態判定部は、前記第3の信号または前記第7の信号をI−Q平面に展開したときの、理想受信信号点に対して第1の距離を超える位置にある前記第3の信号または前記第7の信号による受信信号点の数に基づき、前記第1の受信状態または前記第2の受信状態の良否を判定することを特徴とする請求項2に記載の受信回路。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の受信回路の一例を示す図である。
【0013】
受信回路1は、複数のアンテナANTa,ANTb(
図1の例では2つ)で受けた受信信号を合成する手法である、ダイバシティ合成を行う。
受信回路1は、OFDM方式で変調された信号を受信する受信回路であり、信号処理部2a,2b、合成比算出部3、合成部4、復号部5を有している。
【0014】
信号処理部2a,2bは、RF(Radio Frequency)部11a,11b、A/D(Analogue / Digital)部12a,12b、FFT(Fast Fourier Transform)部13a,13b、信号分別部14a,14b、伝搬路推定部15a,15bを有する。さらに、信号処理部2a,2bは、伝搬路補償部16a,16b、信号分別部17a,17b、品質情報(CN)算出部18a,18bを有する。
【0015】
RF部11a,11bは、異なる位置に配置されている2つのアンテナANTa,ANTbで受けた受信信号に対して、復調処理などを行う。なお、受信信号には、データ信号とSP(Scattered Pilot)信号と制御信号(ACやTMCC)が含まれている。データ信号は、例えば、QPSK、16QAMまたは64QAMといった変調方式で変調されている。これに対して、AC、TMCC、SP信号は、データ信号の変調方式よりも雑音に強い(雑音による誤りが発生しにくい)変調方式(例えば、DBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)、BPSKなど)で変調されている。
【0016】
A/D部12a,12bは、RF部11a,11bの出力信号をデジタル信号に変換する。
FFT部13a,13bは、A/D部12a,12bの出力信号に対して、FFTを行う。
【0017】
信号分別部14a,14bは、FFT後の受信信号に対して、信号の種類によって分別を行う。
図1の例では、信号分別部14a,14bは、データ信号と制御信号に対して、SP信号を分けている。
【0018】
図2は、OFDMの1セグメント分のフレーム構成の一例を示す図である。
横軸はキャリア番号を示し、縦軸はシンボル番号を示している。キャリア番号は周波数、シンボル番号は時間に相当する。また、黒丸はSP信号、白丸はデータ信号を表している。
【0019】
SP信号は、例えば、キャリア番号方向で12個ごと、シンボル番号方向で4つごとに配置されている。なお、TMCCやACは、セグメントごとに異なる特定の1または複数のキャリア番号の位置に配置されている。
【0020】
図1の説明に戻る。伝搬路推定部15a,15bは、SP信号に基づき、伝搬路推定値を求める。例えば、伝搬路推定部15a,15bは、シンボル番号方向の複数のSP信号を用いて、シンボル番号方向のデータ信号や制御信号を補間し、キャリア番号方向の複数のSP信号を用い、キャリア番号方向のデータ信号や制御信号を補間して伝搬路推定値を求める。補間の方法としては、直線補間法、斜め補間法などがある。
【0021】
伝搬路補償部16a,16bは、伝搬路推定部15a,15bで生成された伝搬路推定値を用いて、データ信号だけでなく、制御信号に対しても同様の伝搬路補償を行う。例えば、伝搬路補償部16a,16bは、伝搬路推定値でデータ信号及び制御信号を、それぞれ複素除算することで、伝搬路補償を行う。なお、SP信号も制御信号の一種だが、伝搬路推定値を求める信号であるため、伝搬路補償は行われない。
【0022】
信号分別部17a,17bは、伝搬路補償部16a,16bから出力される伝搬路補償後のデータ信号及び制御信号である、補償済データ信号と補償済制御信号とを分別する。
品質情報算出部18a,18bは、補償済制御信号から、受信信号の品質を示す品質情報を算出する。第1の実施の形態の受信回路1では、品質情報算出部18a,18bは、制御信号の変調方式に基づくCNを品質情報として算出する。
【0023】
図3は、変調方式がDBPSKのときの、CN算出の一例を示す図である。
I−Q平面に展開された受信信号点P1,P2が示されている。DBPSKでは、2つの理想受信信号点P1i,P2iが存在する。例えば、受信信号点P1は、理想受信信号点P1iに対して、位相誤差θ1分ずれている。この位相誤差θ1がノイズ量に相当する。受信信号点P2は、理想受信信号点P2iに対して、位相誤差θ2分ずれている。この位相誤差θ2がノイズ量に相当する。
【0024】
DBPSKでは、I−Q平面において、受信信号点が理想受信信号点に対して、象限を跨ぐほどの大きな位相誤差がなければ、正しい位相誤差を求めることができる。このため、DBPSKは、雑音に強い(雑音による誤りが発生しにくい)変調方式といえる。
【0025】
CNは、上記ノイズ量に基づく電力と、搬送波の電力との比から求められる。なお、CNはキャリア番号ごとに算出される。
図1の合成比算出部3は、信号処理部2a,2bのそれぞれから出力されるCNに基づき、信号処理部2a,2bのそれぞれから出力される補償済データ信号の合成比を算出する。
【0026】
例えば、ノイズ量が大きいとCNが小さくなるため、合成比算出部3は、CNが大きい方(つまりノイズ量が小さい方)の補償済データ信号をより多く使用するように合成比を算出する。例えば、信号処理部2aから出力されるCNをCN1、信号処理部2bから出力されるCNをCN2とした場合、合成比算出部3は、CN1:CN2を合成比とする。
【0027】
合成部4は、合成比算出部3で算出された合成比で、信号処理部2aから出力される補償済データ信号と、信号処理部2bから出力される補償済データ信号とを合成する。
復号部5は、合成部4から出力される合成信号を復号する。
【0028】
図4は、第1の実施の形態の受信回路による受信方法の一例の流れを示すフローチャートである。
ステップS1:信号処理部2a,2bは、アンテナANTa,ANTbを介して受信信号を取得する。
【0029】
ステップS2:RF部11a,11bは、受信信号に対する復調処理を行う。
ステップS3:A/D部12a,12bは、復調された受信信号に対するA/D変換を行う。
【0030】
ステップS4:FFT部13a,13bは、A/D部12a,12bの出力信号に対するFFTを行う。
ステップS5:信号分別部14a,14bは、データ信号及び制御信号と、SP信号とを分別する。
【0031】
ステップS6:伝搬路推定部15a,15bは、SP信号に基づき伝搬路推定値を算出する。
ステップS7:伝搬路補償部16a,16bは、伝搬路推定値に基づきデータ信号と制御信号に対する伝搬路補償を行う。
【0032】
ステップS8:信号分別部17a,17bは、伝搬路補償後の補償済データ信号と補償済制御信号とを分別する。
ステップS9:品質情報算出部18a,18bは、補償済制御信号に基づき品質情報を算出する。
【0033】
ステップS10:合成比算出部3は、信号処理部2a,2bから出力される品質情報に基づき、信号処理部2a,2bから出力される補償済データ信号の合成比を算出する。
ステップS11:合成部4は、合成比算出部3で算出された合成比に基づき、信号処理部2a,2bから出力される補償済データ信号を合成する。
【0034】
ステップS12:復号部5は、合成部4から出力される合成信号に対する復号処理を行う。
以下本実施の形態の受信回路1及び受信方法の効果を説明するにあたって、2つの比較例を説明する。
【0035】
(比較例1)
図5は、1つめの比較例の受信回路を示す図である。
図1に示した受信回路1と同様の要素については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0036】
図5の受信回路20では、信号処理部21a,21bが、第1の実施の形態の受信回路1の信号処理部2a,2bとは異なっている。
信号処理部21a,21bの信号分別部22a,22bは、FFT後の受信信号をデータ信号とSP信号に分別し、伝搬路補償部23a,23bは、データ信号に対して伝搬路補償を行い、制御信号に対しては伝搬路補償を行わない。また、品質情報算出部24a,24bは、制御信号ではなく伝搬路補償後の、補償済データ信号に基づき品質情報を算出する。
【0037】
品質情報算出部24a,24bでは、補償済データ信号に基づき、例えば、品質情報としてMERが算出される。MERは、データ信号(変調信号)を復調してI−Q平面に展開したときの、受信信号点の理想受信信号点からの雑音によるずれ量に基づき算出される。
【0038】
図6は、データ信号の変調方式がQPSKのときのずれ量の算出例を示す図である。
図6には、I−Q平面に展開された受信信号点B1,B2が示されている。QPSKでは、4つの理想受信信号点A1,A2,A3,A4が1つずつ各象限に存在する。
【0039】
受信信号点B1における理想受信信号点からのずれ量は、その受信信号点B1に対して最短の位置に存在する理想受信信号点A1と受信信号点B1との距離C1として算出される。
【0040】
受信信号点B2における理想受信信号点からのずれ量は、その受信信号点B2に対して最短の位置に存在する理想受信信号点A2と受信信号点B2との距離C2fとして算出される。しかし、受信信号点B2は、実際はずれ量が大きく、理想受信信号点A1からの距離C2として算出すべきである可能性もある。
【0041】
このように、QPSKのような変調方式は、誤ったずれ量が算出される可能性があり、雑音に弱い。データ信号の変調方式が16QAMや64QAMとなると、理想受信信号点が増加していき、さらに、同様の誤りが発生する可能性がある。
【0042】
これに対して、第1の実施の形態の受信回路1では、データ信号よりも雑音に強い変調方式(DBPSKなど)で変調される制御信号(ACやTMCC)を用いて品質情報を算出するため、上記のような誤りが発生しにくい。
【0043】
(比較例2)
図7は、2つめの比較例の受信回路を示す図である。
図1に示した受信回路1と同様の要素については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図7の受信回路30では、信号処理部31a,31bが、第1の実施の形態の受信回路1の信号処理部2a,2bとは異なっている。
信号処理部31a,31bの信号分別部
32a,32bは、FFT後の受信信号をデータ信号、SP信号、制御信号に分別し、伝搬路補償部33a,33bでは、データ信号に対して伝搬路補償を行い、制御信号に対しては伝搬路補償を行わない。品質情報算出部34a,34bは、制御信号に基づき品質情報を算出する。
【0045】
品質情報算出部34a,34bは、制御信号に基づき、例えば、
図3に示したような方法で、品質情報としてCNを算出する。
2つ目の比較例の受信回路30は、品質情報を、雑音に強い変調方式で変調された制御信号に基づき算出するが、この制御信号は、第1の実施の形態の受信回路1と異なり、伝搬路補償が行われていないものである。合成部4では、伝搬路補償部33a,33bで伝搬路補償が行われた補償済データ信号が合成される。この合成に用いる合成比が、伝搬路補償が行われていない制御信号に基づいて得られるCNから算出されるものであると品質のよい合成信号が得られない可能性がある。
【0046】
これに対して、第1の実施の形態の受信回路1では、制御信号についてもデータ信号と同様の伝搬路補償が行われ、伝搬路補償された補償済制御信号に基づきCNを算出している。そのため、精度のよいCNが得られ、伝送路補償が反映された合成比で合成が行えるようになり、合成精度を向上できる。これにより、受信性能が向上する。
【0047】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態の受信回路の一例を示す図である。
図1に示した受信回路1と同様の要素については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0048】
第2の実施の形態の受信回路40において、信号処理部41a,41bは、品質情報算出部42a,42bと、受信状態判定部43a,43bを有している。また、受信回路40は、選択部44を有している。
【0049】
品質情報算出部42a,42bは、伝搬路補償が行われた補償済データ信号に基づきアンテナANTa,ANTbで受けた受信信号の品質を示す品質情報を算出する。品質情報算出部42a,42bは、例えば、品質情報として前述のMERを算出する。なお、MERの値は、ガウス雑音時のCNの値にほぼ等しいため、CNと同様に扱ってもよい。例えば、合成比の算出に用いられる2つの品質情報のうち一方がCNで他方がMERであってもよい。
【0050】
受信状態判定部43a,43bは、補償済データ信号に基づき、アンテナANTa,ANTbで受けた受信信号を受信する際の受信状態の良否を判定する。
選択部44は、受信状態判定部43aで受信状態が悪いと判定されたときには、品質情報算出部18aで算出された品質情報を選択し、受信状態が良いと判定されたときには、品質情報算出部42aで算出された品質情報を選択し、合成比算出部3に供給する。また、選択部44は、受信状態判定部43bで受信状態が悪いと判定されたときには、品質情報算出部18bで算出された品質情報を選択し、受信状態が良いと判定されたときには、品質情報算出部42bで算出された品質情報を選択し、合成比算出部3に供給する。
【0051】
受信状態判定部43a,43bは、例えば、以下のように、受信状態の良否を判定する。
図9は、受信状態の良否の1つめの判定例を示す図である。
【0052】
図9では、データ信号の変調方式がQPSKのときの理想受信信号点A1〜A4と、I−Q平面に展開された補償済データ信号による受信信号点(黒丸で示されている)の様子が示されている。
【0053】
受信状態判定部43aは、例えば、
図9に示すようなI−Q平面において、理想受信信号点A1〜A4に対してある距離L1を超える位置にある受信信号点の数に基づき、受信状態の良否を判定する。例えば、受信信号点B1の位置は、理想受信信号点A1に対して距離L1を超えないが、受信信号点B2の位置は、理想受信信号点A1に対して距離L1を超える。受信状態判定部43a,43bは、例えば、距離L1を超える受信信号点の数がある値以上のときは、受信状態が悪いと判定し、ある値よりも少なければ受信状態が良いと判定する。
【0054】
例えば、その値を20とすると、
図9に示す例では、理想受信信号点A1〜A4に対して距離L1を超える位置にある受信信号点の数は、18であるため、受信状態判定部43aは、アンテナANTaで受けた受信信号の受信状態は良いと判定する。
【0055】
図10は、受信状態の良否の2つめの判定例を示す図である。
図10でも、データ信号の変調方式がQPSKのときの理想受信信号点A1〜A4と、I−Q平面に展開された補償済データ信号による受信信号点(黒丸で示されている)の様子が示されている。
【0056】
受信状態判定部43aが、受信状態が悪いと判定する閾値となる、距離L1を超える受信信号点の数は、前述のように20とする。
図10の例では、理想受信信号点A1〜A4に対して距離L1を超える受信信号点の数が20以上であるため、受信状態判定部43aは、受信状態が悪いと判定する。
【0057】
受信状態判定部43bについても同様の判定処理が行われる。
以下、第2の実施の形態の受信回路40を用いた受信方法をフローチャートで説明する。
【0058】
図11は、第2の実施の形態の受信回路による受信方法の一例の流れを示すフローチャートである。
ステップS20,S21,S22,S23,S24,S25,S26,S27の処理までは、
図4に示したステップS1〜S8の処理と同じであるため説明を省略する。
【0059】
ステップS28:信号処理部41a,41bは、それぞれ2つの品質情報を算出する。すなわち、補償済制御信号に基づき品質情報算出部18a,18bで算出される品質情報と、補償済データ信号に基づき品質情報算出部42a,42bで算出される品質情報の2つが算出される。
【0060】
ステップS29:受信状態判定部43a,43bは、アンテナANTa,ANTbで受けた受信信号を受信する際の受信状態の良否を判定する。受信状態の良否の判定は、例えば、
図9、
図10に示したように行われる。
【0061】
ステップS30:選択部44により、合成比算出に用いられる品質情報が、受信状態の良否の判定結果に基づいて選択され、合成比算出部3に供給される。
ステップS31:合成比算出部3は、上記の4つの品質情報のうち、選択部44で選択された2つの品質情報に基づいて合成比を算出する。
【0062】
ステップS32,S33の処理は、
図4に示したステップS11,S12の処理と同じであるため説明を省略する。
以上のような、第2の実施の形態の受信回路40では、受信状態が悪いと判定されたときには、第1の実施の形態の受信回路1と同様に、補償済み制御信号に基づき算出される品質情報を用いて合成比が算出され、受信回路1と同様の効果が得られる。また、受信回路40では、受信状態が良いと判定されたときには、補償済データ信号に基づいて算出された品質情報を用いて合成比の算出が行われる。
【0063】
データ信号は、前述のように制御信号よりも雑音に弱い変調方式で変調されるが、
図2に示したように、TMCCやACなどの制御信号よりも、情報量が多い。そのため、受信状態が良いとき(CNが大きいとき)には、情報量が多いデータ信号(補償済データ信号)に基づき算出された品質情報は比較的精度がよい。したがって、合成比算出部3は、このような品質情報を用いて合成比を算出し、合成部4はその合成比を用いて合成を行うことで、合成精度を向上できる。このように、選択部44によって、受信状態に応じて精度のよい品質情報の選択が行われるため、受信状態に応じた精度のよい合成が可能となり、受信性能が向上する。
【0064】
(第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態の受信回路の一例を示す図である。
図8に示した受信回路40と同様の要素については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0065】
第3の実施の形態の受信回路50において、信号処理部51a,51bは、品質情報混合部52a,52bを有している。
品質情報混合部52a,52bは、品質情報算出部18a,18bで算出される品質情報(CN)と、品質情報算出部42a,42bで算出される品質情報とを混合した品質情報(MER)を生成する。品質情報混合部52a,52bは、補償済制御信号の周波数に近い周波数をもつ補償済データ信号に基づき算出される品質情報ほど、小さい比率で、補償済制御信号に基づき算出される品質情報と混合する。
【0066】
合成比算出部3は、品質情報混合部52a,52bで生成された品質情報に基づき、合成比を算出する。
図13は、品質情報混合部の一例を示す図である。
【0067】
品質情報混合部52aは、混合比率算出部60、加算器61、乗算器62,63、加算器64を有している。
混合比率算出部60は、信号分別部14aから出力されるデータ信号または制御信号のキャリア番号に基づき、補償済制御信号の周波数に近い周波数をもつ補償済データ信号に基づき算出される品質情報ほど、大きい比率を算出する。
【0068】
地上デジタル放送では、セグメントごとに、どのキャリア番号(周波数に相当)に制御信号(ACやTMCC)が配置されているか決められている。そのため、混合比率算出部60は、例えば、制御信号のキャリア番号を図示しない記憶部に記憶しておき、信号分別部から出力されるデータ信号または制御信号のキャリア番号が、格納しているキャリア番号に近いほど、大きい比率を算出する。比率は、0から1の間で算出される。
【0069】
加算器61は、混合比率算出部60で算出された比率を1から引く。
乗算器62は、品質情報算出部42aで算出された品質情報に対して、加算器61の出力値を掛ける。
【0070】
乗算器63は、品質情報算出部18aで算出された品質情報に対して、混合比率算出部60で算出された比率を掛ける。
加算器64は、乗算器62,63の出力値を加算して新たな品質情報を出力する。
【0071】
このような混合比率算出部60によって、補償済制御信号の周波数に近い周波数をもつ補償済データ信号に基づき算出される品質情報ほど、小さい比率で、補償済制御信号に基づき算出される品質情報と混合され、新たな品質情報が算出される。
【0072】
補償済制御信号の周波数から離れた周波数の補償済データ信号に基づき算出される品質情報ほど、混合する比率を上げるのは、補償済制御信号の周波数から離れた周波数では、補償済制御信号に基づき算出される品質情報の信頼性が下がるからである。
【0073】
品質情報混合部52bについても同様の回路で実現できる。
図14は、データ信号の品質情報に誤りがある場合のキャリアごとの品質情報の混合前後の値と比率の一例を示す図である。
【0074】
図14では、周波数に対応するキャリア番号が20の位置に、制御信号であるACがある場合について示されている。キャリア番号が14〜19、21〜26にはデータ信号(data)が存在する。
【0075】
混合前の、信号処理部51a,51bで算出されるキャリアごとの品質情報は、データ信号(補償済データ信号)に基づき算出される品質情報(以下MERとする)については、信号処理部51aでは8.0dB、信号処理部51bでは4.0dBとなっている。それに対し、制御信号(補償済制御信号)に基づき算出される品質情報については、信号処理部51aでは2.0dB、信号処理部51bでは6.0dBであり、品質情報の大きさが、信号処理部51aと信号処理部51bとで逆転している。
【0076】
前述のように補償済制御信号に基づき算出される品質情報は精度がよいと考えられるため、
図14の例の場合、MERが誤っている可能性がある。
品質情報混合部52a,52bは、補償済制御信号に基づき算出される品質情報の比率を、
図14に示すように1次関数的に変化させる。これにより、補償済制御信号の周波数に近い周波数をもつ補償済データ信号に基づき算出されるMERほど、小さい比率で、補償済制御信号に基づき算出される品質情報と混合される。
【0077】
図14の例では、キャリア番号が16〜24の間で、混合が行われている。信号処理部51aにおいて、キャリア番号が19のデータ信号に基づき算出されるMERが、品質情報混合部52aで、キャリア番号が20のACの品質情報と混合される際には、例えば、以下の式にしたがう。
【0078】
2.0dB(補償済制御信号に基づき算出される品質情報)×0.8(キャリア番号が18のときの比率)+8.0dB(補償済データ信号に基づき算出されるMER)×0.2(1.0から上記比率を引いた値)=3.2dB
このように、混合後には、キャリア番号が19のデータ信号に基づき算出されるMERは、3.2dBとなる。信号処理部51bでも同様の混合が行われ、キャリア番号が19のデータ信号に基づき算出されるMERは5.6dBとなる。
【0079】
このように、MERに誤りがある場合は、上記のような比率で混合が行われることで、より確かな品質情報が得られる。
なお、MERの値と、補償済制御信号に基づき算出される品質情報の値が等しいときには、品質情報混合部52a,52bにて混合しても、品質情報混合部52a,52bから出力される品質情報の値は、それらと同じ値となる。
【0080】
(変形例1)
図15は、品質情報の混合時の比率の一例を示す図である。
図14の例では、制御信号のACが位置するキャリア番号を中心として、9つのキャリア番号に対応した品質情報に対して混合が行われていた(比率を0以上としていた)が、
図15の例では、混合が行われる範囲が広げられている。混合比率算出部60は、キャリア番号の増減に対して比率を変化させる傾きを小さくすることで、混合が行われる範囲を広げられる。
【0081】
(変形例2)
図16は、品質情報の混合時の比率の他の例を示す図である。
図14の例では、混合比率算出部60は、制御信号のACが位置するキャリア番号を中心として、キャリア番号の増減に対して1次関数的に比率を変化させていたが、
図16に示すように、キャリア番号の増減に対して2次関数的に比率を変化させてもよい。
【0082】
混合比率算出部60が、どのように比率を変化させるかは、考えられるフェージングの状態などによって適宜選択すればよい。例えば、周波数選択性フェージングなど周波数方向での受信信号の強度の変動が大きい場合には、補償済制御信号に基づいて算出される品質情報を用いて、合成比算出部3に供給される品質情報をCNが高い値に変えてしまうことは適切ではない場合がある。実際はフェージングの影響を大きく受けたデータ信号の合成比率を上げてしまう可能性があるためである。
【0083】
そのような場合は、混合比率算出部60は、補償済制御信号に基づいて算出される品質情報を混合するキャリア数が小さくなるように、例えば、キャリア番号の増減に対して比率を変化させる傾きを大きくする。
【0084】
以下、第3の実施の形態の受信回路50を用いた受信方法をフローチャートで説明する。
図17は、第3の実施の形態の受信回路による受信方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【0085】
ステップS40,S41,S42,S43,S44,S45,S46,S47,S48の処理までは、
図11に示したステップS20〜S28の処理と同じであるため説明を省略する。
【0086】
ステップS49:信号処理部51a,51bのそれぞれで、2つずつ算出された品質情報が混合される。
ステップS50:信号処理部51a,51bのそれぞれで混合され、新たに生成された2つの品質情報に基づき、合成比算出部3は、合成比を算出する。
【0087】
ステップS51,S52の処理は、
図11に示したステップS32,S33の処理と同じであるため説明を省略する。
以上のような受信回路50では、雑音に強い変調方式で送信された制御信号の周囲の周波数でのデータ信号(補償済データ信号)に基づいて算出された品質情報は、補償済制御信号に基づいて算出された信頼性の高い品質情報と、上記の比率で混合される。
【0088】
これにより、品質情報の精度が高まり、合成比算出部3では、精度のよい合成比が算出でき、合成精度を向上できる。
以上、実施の形態に基づき、本発明の受信回路及び受信方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【0089】
例えば、上記では、受信回路は2つのアンテナでの受信信号を合成するものであったが、3つ以上のアンテナでの受信信号を合成するものであってもよい。その場合、例えば、
図1に示したような信号処理部2a,2bが、3つ以上設けられることになり、各信号処理部から出力される品質情報の値の比率によって、各補償済データ信号の合成比が算出される。