(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レバー本体と、当該レバー本体を前記走行車体の機体フレームに連結する連結ユニットとを有する操作レバーを備え、当該操作レバーを、前記連結ユニットを介して前記走行車体の互いに異なる位置に選択的に取付可能とした
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機。
前記走行車体を操舵するハンドルと、当該走行車体の前後進モードを切替える操作レバーと、前記ハンドルの操作と前記操作レバーの操作との組み合わせに応じて自動植付作業を実行する植付制御部とを備え、
前記植付制御部は、
苗の植付作業中に前記ハンドルが所定角度を超えて回動すると、前記苗植付部を上昇させて植付作業を中断させた後、前記操作レバーの操作によって後進モードに切り替えられた場合に、後進して停止した位置から所定距離だけ前進した位置から植付作業を再開する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された苗移植機の走行車体には、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカが設けられている。したがって、肥料を載置する載置台を、積込作業位置と補充作業位置とに切り替える際には、その都度、アームや載置台と線引きマーカとが干渉しないように、線引きマーカの位置を変更する操作を別途行う必要があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、肥料の積込み作業や充填作業をより効率的に行うことのできる苗移植機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、
請求項1に記載の発明に係る苗移植機(1)は、走行車体(2)の後方に昇降自在に連結され、圃場に苗を植付ける苗植付部(16)と、走行車体(2)の側部に出退自在に設けられ、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカ(200,202)と、走行車体(2)に配設され、前記圃場に肥料を供給する施肥装置(17)と、前記肥料を積載可能であり、
基端部が回動ピン(103)に回動自在に支持された連結アーム(104)の先端に、一端が枢支ピン(106)を介して回動自在に取付けられて作業位置(W)と収納位置(S)との間を移動自在に設けられ、線引きマーカ(200,202)の出退軌跡と交差する移動軌跡を有する載置台(105)と、載置台(105)を収納位置(S)に固定可能な
ロック部(110)と、収納位置(S)にお
ける載置台(105)の固定状態が解除されたか否かを検出する
ロック状態検出スイッチ(217)と、
ロック状態検出スイッチ(217)の検出結果に基づいて、載置台(105)と干渉しないように線引きマーカ(200,202)の動作を制御する制御部(100)とを備え
、ロック部(110)は、載置台(105)の側に設けられた第1ロック孔(112a)と、連結アーム(104)の側に設けられ、相対的に径を異ならせた2つの第2ロック孔(112b,112c)と、これら第1および第2ロック孔(112a,112b,112c)に挿通されるロックピン(111)とを有し、ロックピン(111)の軸体(111a)を、2つの第2ロック孔(112b,112c)に対応する大径部と小径部とで2段に形成するとともに、ロックピン(111)に当接してオン・オフを切り替えるロック状態検出スイッチ(217)を、ロックピン(111)の先端部に対向させて配置したことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明に係る苗移植機(1)は、走行車体(2)の後方に昇降自在に連結され、圃場に苗を植付ける苗植付部(16)と、走行車体(2)の側部に出退自在に設けられ、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカ(200,202)と、走行車体(2)に配設され、圃場に肥料を供給する施肥装置(17)と、肥料を積載可能であり、基端部が回動ピン(103)に回動自在に支持された連結アーム(104)の先端に、一端が枢支ピン(106)を介して回動自在に取付けられて作業位置(W)と収納位置(S)との間を移動自在に設けられ、線引きマーカ(200,202)の出退軌跡と交差する移動軌跡を有する載置台(105)と、載置台(105)を収納位置(S)に固定可能な載置台固定部(110)と、収納位置(S)における載置台(105)の固定状態が解除されたか否かを検出するロックスイッチ(218)と、ロックスイッチ(218)の検出結果に基づいて、載置台(105)と干渉しないように線引きマーカ(200,202)の動作を制御する制御部(100)とを備え、載置台固定部(110)は、載置台(105)側に設けられた係合ピン(121)と、走行車体(2)側に設けられたロックレバー(122)とを備え、ロックレバー(122)の操作部(125)と対向させて設けられたロックスイッチ(218)を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項
3に記載の発明に係る苗移植機(1)は、走行車体(2)の後方に昇降自在に連結され、圃場に苗を植付ける苗植付部(16)と、走行車体(2)の
左右側部
それぞれに出退自在に設けられ、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカ(200,202)と、走行車体(2)に配設され
、圃場に肥料を供給する施肥装置(17)と
、肥料を積載可能であり、
基端部が回動ピン(103)に回動自在に支持された連結アーム(104)の先端に、一端が枢支ピン(106)を介して回動自在に取付けられて作業位置(W)と収納位置(S)との間を移動自在に設けられ、
左右の前記線引きマーカ(200,202)の出退軌跡と
それぞれ交差する移動軌跡を有する
左右の載置台(105
,105)と、載置台(105)を移動させる第1の駆動源(216)と、
左右の線引きマーカ(200,202)を出退させる
ために、左右の前記線引きマーカ(200,202)にそれぞれ対応して設けられた左右の第2の駆動源(201,203)と、
載置台(105)を収納位置(S)に固定可能な載置台固定部(110)と、収納位置(S)にお
ける載置台(105)の固定状態が解除されたか否かを検出する
ロックスイッチ(218)と、
ロックスイッチ(218)の検出結果に基づいて載置台(105)および線引きマーカ(200,202)が干渉しないように
、左右の第2の駆動源(201,203)のいずれか一方と第1の駆動源(216)
とを制御する制御部(100)とを備え
、載置台固定部(110)は、載置台(105)側に設けられた係合ピン(121)と、走行車体(2)側に設けられたロックレバー(122)とを備え、ロックレバー(122)の操作部(125)と対向させて設けられたロックスイッチ(218)を備えることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明に係る苗移植機(1)は、走行車体(2)の後方に昇降自在に連結され、圃場に苗を植付ける苗植付部(16)と、走行車体(2)の左右側部それぞれに出退自在に設けられ、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカ(200,202)と、記走行車体(2)に配設され、圃場に肥料を供給する施肥装置(17)と、肥料を積載可能であり、基端部が回動ピン(103)に回動自在に支持された連結アーム(104)の先端に、一端が枢支ピン(106)を介して回動自在に取付けられて作業位置(W)と収納位置(S)との間を移動自在に設けられ、左右の線引きマーカ(200,202)の出退軌跡とそれぞれ交差する移動軌跡を有する左右の載置台(105,105)と、載置台(105,105)を移動させる第1の駆動源(216)と、左右の線引きマーカ(200,202)を出退させるために、左右の線引きマーカ(200,202)にそれぞれ対応して設けられた左右の第2の駆動源(201,203)と、載置台(105)を収納位置(S)に固定可能なロック部(110)と、収納位置(S)における載置台(105)の固定状態が解除されたか否かを検出するロック状態検出スイッチ(217)と、ロック状態検出スイッチ(217)の検出結果に基づいて載置台(105,105)および線引きマーカ(200,202)が干渉しないように、左右の第2の駆動源(201,203)のいずれか一方と第1の駆動源(216)とを制御する制御部(100)とを備え、ロック部(110)は、載置台(105)の側に設けられた第1ロック孔(112a)と、連結アーム(104)の側に設けられ、相対的に径を異ならせた2つの第2ロック孔(112b,112c)と、これら第1および第2ロック孔(112a,112b,112c)に挿通されるロックピン(111)とを有し、ロックピン(111)の軸体(111a)を、2つの第2ロック孔(112b,112c)に対応する大径部と小径部とで2段に形成するとともに、ロックピン(111)に当接してオン・オフを切り替えるロック状態検出スイッチ(217)を、ロックピン(111)の先端部に対向させて配置したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項
5に記載の発明は、請求項1
から4のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、制御部(100)は、苗植付部(16)の昇降動作に連動して線引きマーカ(200,202)を出退させるとともに、苗植付部(16)が植付作業時に上昇した場合には、載置台(105)との干渉が回避される領域における干渉回避限界位置よりも上方へ線引きマーカ(200,202)が後退することを禁止することを特徴とする。
【0009】
また、請求項
6に記載の発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、走行車体(2)の走行速度を変速する変速レバー(38)と、載置台(105)が作業位置(W)にある場合に作動するスイッチ部とを備え、制御部(100)は、前記スイッチ部が作動した場合、変速レバー(38)の操作による走行指令を無視することを特徴とする。
【0010】
また、請求項
7に記載の発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、線引きマーカ(200,202)は、圃場面に達するまで下方側へ突出した線引き位置と、載置台(105)との干渉が回避される干渉回避領域内における所定位置と、前記干渉回避領域よりも上方収納位置とに選択的に移動可能であり、制御装置(100)は、走行車体(2)に設けられた操作部によって所定の操作がされたことを条件として、線引きマーカ(200,202)を前記線引き位置から前記干渉回避領域を経由して前記収納位置まで後退させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項
8に記載の発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、レバー本体(382)と、当該レバー本体(382)を走行車体(2)の機体フレームに連結する連結ユニット(381)とを有する操作レバー(38)を備え、当該操作レバー(38)を、連結ユニット(381)を介して走行車体(2)の互いに異なる位置に選択的に取付可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項
9に記載の発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、肥料を圃場に向けて送給するブロワ(17b)と、夜間作業を行う際に用いる作業灯(72)と、ブロワ(17b)と作業灯(72)とのうちいずれか一方を選択的に動作させる選択スイッチ(73)とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項
10に記載の発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、走行車体(2)を操舵するハンドル(18)と、走行車体(2)の前後進モードを切替える操作レバー(38)と、ハンドル(18)の操作と操作レバー(38)の操作との組み合わせに応じて自動植付作業を実行する制御部(100)とを備え、制御部(100)は、苗の植付作業中にハンドル(18)が所定角度を超えて回動すると、苗植付部(16)を上昇させて植付作業を中断させた後、操作レバー(38)の操作によって後進モードに切り替えられた場合に、後進して停止した位置から所定距離だけ前進した位置から植付作業を再開することを特徴とする。
【0014】
また、請求項
11に記載の発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載の苗移植機(1)において、施肥装置(17)は、肥料を圧送するブロワ(17b)と、当該ブロワ(17b)に連通しており圧送される前記肥料を前記圃場面に向けて搬送する施肥ホース(81)と、当該施肥ホース(81)の中途に設けられており開閉自在なエア抜き弁(83)とを備え、エア抜き弁(83)は、開いた状態の隙間(d)が前記肥料の粒径以下に規制されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1
、2に記載の苗移植機によれば、肥料を載置する載置台を使用する際に、自動的に線引きマーカが下方位置へ移動するため、線引マーカを移動させる操作が不要となり、作業性が向上するとともに、線引きマーカが下方にある状態で載置台を移動させるような誤操作も防止できるため、誤操作による部品破損などを未然に防止できる。また、載置台は、収納位置に戻さなければ苗植付け作業ができないようにすることもでき、安全性を向上させることができる。
また、ロック部またはロックレバーを備えるため、上述の効果を容易且つ確実に生起させることができる。
【0016】
請求項2に記載の苗移植機によれば、載置台を自動的に移動させること
で、作業者の負担を軽減させることができる
とともに、載置台を使用位置に移動させる際に、線引きマーカとの干渉を
未然に防ぎ、誤操作による部品破損などを未然に防止できる。
また、ロック部またはロックレバーを備えるため、上述の効果を容易且つ確実に生起させることができる。
【0017】
請求項
5に記載の苗移植機によれば、請求項1
から4のいずれか1項の発明の効果に加えて、苗植付部が植付作業時に上昇した場合、通常は収納状態まで上昇する線引きマーカが載置台との干渉が回避される領域における干渉回避限界位置よりも上方へ移動することが禁止されるため、安全性がより向上する。
【0018】
請求項
6に記載の苗移植機によれば、請求項1から
5のいずれか1項の発明の効果に加えて、肥料補充作業などを行っている際に、作業者の身体の接触等により、誤って変速レバーを動かしたとしても、苗移植機が走行することがないため、安全性がより向上する。
【0019】
請求項
7に記載の苗移植機によれば、請求項1から
5のいずれか1項の発明の効果に加えて、所定の操作がなされたことを条件に、線引きマーカを収納位置まで自動的に移動させることができるため、より操作性が向上する。
【0020】
請求項
8に記載の苗移植機によれば、請求項1から
5のいずれか1項の発明の効果に加えて、操作レバーを連結ユニットに設け、この連結ユニットを走行車体の機体フレームに着脱可能に設けたことにより、操作レバーを走行車体の異なる位置に選択的に取付可能となるので、部品数の少ない安価なオプション設定が可能となる。
【0021】
請求項
9に記載の苗移植機によれば、請求項1から
5のいずれか1項の発明の効果に加えて、作業灯とブロワとのうち、いずれか一方を選択的に動作させるようにしたため、電力低下を未然に防止し、バッテリ上がりを防止できる。
【0022】
請求項
10に記載の苗移植機によれば、請求項1から
5のいずれか1項の発明の効果に加えて、操作レバーによって後進モードに切り替えられたときに畦際の苗植えを行うことが可能となり、苗植付時の条抜けを防止できる。また、後進して停止した位置から所定距離だけ前進した位置から植付作業を再開する制御を行うことにより、旋回後の植付を考慮して走行車体のホイルベースを設定する必要がなくなり、ホイルベースの延長が可能となる。
【0023】
請求項
11に記載の苗移植機によれば、請求項1から
5のいずれか1項の発明の効果に加えて、施肥ホースにおけるエア抜き弁の開いた状態の隙間が、肥料の粒径以下に規制されているため、風のぬけ道を確保しつつ、肥料が途中で排出されてしまうことが防止され、余分な肥料の消費が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る苗移植機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0026】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る苗移植機1の側面図、
図2は、同苗移植機1の平面図である。なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみた走行車体の前進方向を基準として、前・後、左・右の基準を規定している。
【0027】
図1および
図2に示すように、苗移植機1の走行車体2は、左右一対の前輪14と、同様に左右一対の後輪15とを有し、走行時には各車輪が駆動する四輪駆動車である。また、走行車体2の後部に、苗植付部昇降機構3によって昇降可能な苗植付部16が備えられる。
【0028】
走行車体2は、車体の略中央に設けられたメインフレーム30に取付けられた動力部4を備える。動力部4は、走行車体2の左右方向における略中央に位置する運転部10に設けられた運転座席12の下部に配置されたエンジン8と、エンジン8の動力を駆動輪と苗植付部16とに伝える後述の動力伝達装置とを備える。つまり、本実施形態に係る苗移植機1は、エンジン8の動力が走行車体2を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部16を駆動させるためにも使用される。エンジン8としては、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
【0029】
エンジン8は、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ11よりも上方に突出させた状態でメインフレーム30に配設され、突出している部分には、エンジン8を覆うエンジンカバー5が設けられる。フロアステップ11は、走行車体2の前部とエンジン8の後部との間に渡って設けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とすことができる。
【0030】
また、走行車体2には、運転座席12の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部13が配設される。この操縦部13は、運転部10のフロアステップ11の床面から上方に突出した状態で設けられており、フロアステップ11の前部側を左右に分断している。
【0031】
操縦部13の内部には、各種の操作装置やエンジン8用燃料の燃料タンク等が配設され、操縦部13の上部には、操作装置を作動させる各種操作レバー等や計器類、さらにはハンドル18が配設される。ハンドル18は、作業者が前輪14を操舵操作することにより走行車体2を操舵する操舵部材であり、操縦部13内の操作装置等を介して前輪14を転舵させることができる。
【0032】
また、操作レバーとしては、走行車体2の前後進及び走行速度を変速操作する走行操作部材である後述の変速レバー38と、苗植付部16の動作状態を、少なくとも苗植付部昇降機構3による上昇状態を含んで切り替えることができる植付操作部材である植付昇降レバー39とが配設される。具体的には、植付昇降レバー39は、苗植付部16の作動状態を切り替えることが可能になっており、「上昇」、「停止」、「下降」、「植付け」の各モードを切替え設定できる。
【0033】
また、フロアステップ11における操縦部13の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗載台19が配置される。本実施形態では、予備苗載台19は、3つの予備苗載台20u,20m,20dを備える。そして、これら3つの予備苗載台20u,20m,20dが縦方向に並ぶ積層状態と横方向に並ぶ略水平状態とに並ぶ可動式としている。
【0034】
かかる可動式の予備苗載台19は、走行車体2のブラケット26に基端が固着された略L字状の支持フレーム23にそれぞれ基端が連結された支持フレーム24、25によって支持されている。
【0035】
なお、予備苗載台19を構成する3つの苗載台20u,20m,20dは、メインリンク41およびサブリンク42からなるリンク機構により連結されており、切替装置21を操作して回動させることにより、
図1に示す積層状態と
図2に示す展開状態とに切替可能である。展開状態では、3つの予備苗載台20u,20m,20dが、前方から略水平に並んで位置することになる。
【0036】
また、走行車体2の左右側部には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ200,202がそれぞれ出退自在に設けられる。すなわち、線引きマーカ200,202は、左右の予備苗載台19,19の後方位置に設けられており、苗移植機1が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場面に線引きする。
【0037】
図2において、右の線引きマーカ200は上方へ退避した状態で、いわゆる収納状態にあり、左の線引きマーカ202は、下方へ移動した状態で、いわゆる作動状態にあり、圃場面に線引き可能な状態である。この左右の線引きマーカ200,202は、走行車体2が旋回するごとに、左右の線引きマーカ200,202が入れ替わって作動することができるように構成される。
【0038】
また、動力部4の動力伝達装置としては、主変速機としての油圧式無段変速機6と、ベルト式動力伝達機構7と、ミッションケース9とを有する。ベルト式動力伝達機構7は、油圧式無段変速機6にエンジン8からの動力を伝える。ミッションケース9は、エンジン8からの出力を、前輪14と後輪15への走行用動力と、苗植付部16への駆動用動力とに分けて出力する。
【0039】
油圧式無段変速機6は、HST(Hydro Static Transmission)といわれる静油圧式の無段変速機として構成されている。油圧式無段変速機6は、エンジン8からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。かかる油圧式無段変速機6は、操縦部13に設けられた変速レバー38の操作によって、走行出力の大小および出力方向を切替操作可能な構成としている。
【0040】
かかる油圧式無段変速機6は、エンジン8よりも前方で、且つ、フロアステップ11の床面よりも下方に配置されており、本実施形態に係る苗移植機1では、走行車体2の上面から見て、エンジン8の前方に配置されている。
【0041】
また、ベルト式動力伝達機構7は、エンジン8の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速機6の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらに、このベルトの張力を調整するテンションプーリと、を備えている。これにより、ベルト式動力伝達機構7は、エンジン8で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速機6に伝達可能である。
【0042】
ミッションケース9から出力される走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース31を介して前輪14に伝達可能であり、残りが左右の後輪ギヤケース32を介して後輪15に伝達可能である。左右それぞれの前輪ファイナルケース31は、ミッションケース9の左右それぞれの側方に配設されており、左右の前輪14は、車軸を介して左右の前輪ファイナルケース31に連結される。また、この前輪ファイナルケース31は、ハンドル18の操舵操作に応じて駆動し、前輪14を転舵させることが可能である。同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース32には、車軸を介して後輪15が連結される。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ(不図示)に伝達され、この植付クラッチの係合時に植付伝動軸(不図示)によって苗植付部16へ伝達される。
【0043】
また、走行車体2の後部に備えられる苗植付部16を昇降させる苗植付部昇降機構3は、昇降リンク装置33を有しており、苗植付部16は、この昇降リンク装置33を介して走行車体2に取り付けられる。この昇降リンク装置33は、走行車体2の後部と苗植付部16とを連結させる平行リンク機構として、略前後方向に向かって延在する2つリンク部材を有する。すなわち、相対的に上側に位置するアッパーリンク34と、アッパーリンク34の下側に位置するロワーリンク35とを有する。これらのアッパーリンク34とロワーリンク35とは、共に左右一対ずつが設けられる。
【0044】
これらのアッパーリンク34とロワーリンク35とが、メインフレーム30の後部端に立設した背面視門型の後部フレームを構成するリンクベースフレーム36に回動自在に連結される。こうして、各リンクの他端側が苗植付部16に回転自在に連結されることにより、苗植付部16を昇降可能に走行車体2に連結することができる。すなわち、リンクベースフレーム36は、走行車体2の後部に上下方向に延在して配設されており、リンク部材であるアッパーリンク34とロワーリンク35が、リンクベースフレーム36から後方に向かって延在している。そして、アッパーリンク34とロワーリンク35とは、共に前端側がリンクベースフレーム36に対して回動可能に連結されている。
【0045】
また、苗植付部昇降機構3は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ37を有しており、油圧昇降シリンダ37の伸縮動作によって、苗植付部16を昇降させることができる。苗植付部昇降機構3は、その昇降動作によって、苗植付部16を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることが可能となる。
【0046】
また、苗植付部16は、1つにつき2条分の植付作業を行う植付装置161を備えている。
図2に示すように、本実施形態に係る苗移植機1は、苗を6つの列で植え付ける、いわゆる6条植の苗植付機1である。
【0047】
また、走行車体2における運転座席12の後方には、施肥装置17が搭載される。この施肥装置17は、肥料を貯蔵する肥料タンク17aと、肥料タンク17aの中から肥料を苗植付部16側に移送するブロア17bとを有する。また、施肥装置17は、肥料タンク17aから施肥ホース(図示省略)を介して移送された肥料を、苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器(不図示)を有する。
【0048】
ところで、操縦部13の左右側に位置した予備苗載台19の下方には、
図1および
図2では図示を省略した載置台105が設けられる。かかる載置台105,105は、施肥装置17に補充するための肥料が詰められた、たとえば20Kgの肥料袋(不図示)を積載するものであり、その構成については後に詳述する。
【0049】
本実施形態に係る苗移植機1は、上述したような構成を有し、エンジン8で発生する動力によって、走行車体2の走行と、苗植付部16による苗の植え付け作業を行う。
【0050】
また、苗植付部16は、油圧昇降シリンダ37が作動することにより、必要に応じて昇降し、例えば、走行車体2が圃場の端に到達して、作業者がハンドル18を回動させた場合等に、苗植付部16は昇降する。そして、植え付け作業時には、施肥装置17による施肥作業も同時に行うことができる。
【0051】
かかる苗移植機1において、本実施形態では、施肥装置17への補充用肥料を詰めた肥料袋を載置するための載置台105,105と、植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ200,202とを、自動的に連動できるように構成している。
【0052】
図3は、実施形態に係る載置台105の平面視による説明図であり、図示するように、載置台105は、複数の作業位置W(W1〜W3)と、所定の収納位置Sとの間を移動自在に設けられる。そして、その移動軌跡は、線引きマーカ200,202の出退軌跡と交差する。
【0053】
そこで、本実施形態に係る苗移植機1は、載置台105収納位置に固定する載置台固定部と、載置台105が固定状態にあるか否かを検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、線引きマーカ200,202の出退動作を制御する出退制御部とを備える構成としている。なお、左右の載置台105,105は同じ構造であるため、以下では、一方の載置台105について説明する。
【0054】
以下、
図3〜
図7を参照しながら、肥料袋の載置台105と線引きマーカ200,202の構成および動作について詳述する。
図4は、載置台105の側面視による説明図、
図5A,5Bは、載置台105が固定状態にあることを検出する検出部の模式的説明図、
図6は苗移植機1の制御ブロック図である。
【0055】
図3に示すように、載置台105は、肥料袋の載置に適した広さおよび強度を有するとともに、取扱いが容易な適宜形状に形成される。そして、上述したように、複数の作業位置W(W1〜W3)と、所定の収納位置Sとの間を、自在に移動可能である。ここで、収納位置Sは、
図4に示した予備苗載台19の直下位置としている。
【0056】
また、図示するように、基端部が回動ピン103に回動自在に支持された連結アーム104の先端に、載置台105の一端が枢支ピン106を介して回動自在に取付けられる。回動ピン103は、走行車体2に設けられた支持フレーム23に連結したステー101に設けられている。なお、以下では、載置台105が回動する場合、連結アーム104を含めて載置台105と呼ぶ場合もある。
【0057】
かかる構成により、予備苗載台19の直下位置にある収納位置Sから、枢支ピン106を中心に、走行車体2の後方に向けて載置台105を略180度回動させると、最後方の作業位置W1に至る。そして、この位置から回動ピン103を中心に連結アーム104を走行車体2の前方に向けて回動させると、走行車体2から大きく突出した中間の作業位置W2、さらには最前方の作業位置W3に位置させることができる。そして、回動ピン103を中心に連結アーム104を走行車体2の後方に向けて回動させ、最後方の作業位置W1で載置台105を枢支ピン106を中心に走行車体2の前方に向けて回動させると、載置台105は再び収納位置Sに復帰する。
【0058】
このように、載置台105は、作業位置Wと収納位置Sとの間を略水平に移動可能であり、その移動軌跡は面状に形成される。したがって、載置台105と線引きマーカ200,202とが同時期に作動した場合、載置台105の移動軌跡の一部と線引きマーカ200,202の略垂直方向に形成される面状の出退軌跡とは交差する場合がある。
【0059】
本実施形態に係る苗移植機1は、載置台固定機構を備えている。すなわち、苗移植機1は、
図4に示すように、載置台105を固定するロック部110を備えるとともに、
図5A,5Bに示すように、連結アーム104のロック状態を検出するロック状態検出スイッチ217を備える。さらに、苗移植機1は、
図6に示すように、ロック状態検出スイッチ217の検出結果に基づいて線引きマーカ200,202の出退動作を制御可能な制御装置100を備える。なお、制御装置100は、中央演算処理装置(CPU)や記憶装置(メモリー)などを備えるコンピュータにより構成され、記憶装置に格納されたプログラムを読み込んで様々な処理を実行することができる。
【0060】
ここで、ロック部110は、載置台105が収納位置Sおよび作業位置Wにあるときに、枢支ピン106の周りに回動しないように固定する載置台固定部として機能するものである。具体的には、
図4および
図5A,Bに示すように、ロック部110は、ロックピン111と、これを相通するロック孔112とを備える。すなわち、枢支ピン106の近傍において、ロックピン111により載置台105側と連結アーム104側とを固定してカンヌキのように作用させて連結アーム104を固定することができる。図示するように、ロックピン111は、軸体111aと摘み部111bとを有する。
【0061】
また、ロック状態検出スイッチ217は、載置台105が収納位置Sで固定状態にあることを検出する検出部として機能するものであり、載置台105の固定状態が解除されたか否かの検出も可能である。そして、制御装置100は、検出部の検出結果に基づいて線引きマーカ200,202の出退動作を制御する出退制御部として機能する。
【0062】
すなわち、本実施形態に係る苗移植機1では、左右いずれかの載置台105が収納位置Sに固定された状態にある場合、これに対応する左右いずれかに設けられた線引きマーカ200(202)を上方へ退避した収納状態に位置させる。一方、左右いずれかの載置台105が収納位置Sから移動して作業位置Wになると、この載置台105(連結アーム104を含める場合もある)と干渉しないように、これに対応する左右いずれかに設けられた線引きマーカ200(202)を強制的に傾倒させて下方へ移動する。
【0063】
したがって、載置台105が収納位置S以外の作業位置Wにある場合は、これに対応する線引きマーカ200(202)が下がった状態となるため、肥料袋の載置台105への積込み作業や肥料タンク17aへの肥料補充作業などを行うことができる。
【0064】
また、載置台105が収納位置Sにある場合は、線引きマーカ200(202)は初期位置である収納状態にあり、例えば、植付作業の操作に従って駆動することが許可される状態となる。
【0065】
このように、肥料袋の載置台105を用いた作業に合わせて、線引きマーカ200,202を自動的に出退動作させるようにしたため、特段の追加作業などを行う必要がなく、作業性が向上する。また、載置台105を収納位置Sに戻さない限り、線引きマーカ200,202は下がったままで植付作業を行えなくなるため、植付作業を行う際には載置台105を収納位置Sに戻さざるをえず、誤操作などを防止し、それによる破損などの不具合をも回避することができる。
【0066】
ここで、ロック部110の作用について具体的に説明する。
図5Aおよび
図5Bに示すように、ロックピン111の軸径を大小2段に形成する。ロックピン111の小径部分は少なくとも連結アーム104を貫通する長さに形成される。
【0067】
そして、載置台105の基端部に設けられた第1フランジ113aに大径用の第1ロック孔112aを形成する。一方、連結アーム104の先端部に設けられた第2フランジ113bには、大径用の第2ロック孔112bと小径用の第2ロック孔112cとを形成する。第1フランジ113aおよび第2フランジ113bは、互いに上下に摺動自在に接しており、枢支ピン106を中心に相対的に回転する。
【0068】
さらに、載置台105が収納位置Sまたは最後方の作業位置W1にあるときの枢支ピン106の下方位置に、ロック状態検出スイッチ217を配設する。ロック状態検出スイッチ217は、枢支ピン106に対して固定された載置台105が収納位置S、作業位置Wのいずれかにあることを検出するものである。
【0069】
すなわち、
図5Aに示すように、載置台105が収納位置Sにある場合、第1フランジ113aの大径用の第1ロック孔112aと、これに対応して設けられた第2フランジ113bの大径用の第2ロック孔112bとが重合する。かかる状態では、ロックピン111は、第1フランジ113aおよび第2フランジ113bに軸体111aの大径部分が挿通し、軸体111aの小径部分は連結アーム104を貫通してロック状態検出スイッチ217に接触してスイッチオン状態となる。このスイッチオン状態では、載置台105は、収納位置Sにおいて固定状態にあることが分かる。
【0070】
このとき、ロック状態検出スイッチ217のオン信号を受信した制御装置100は(
図6参照)、載置台105が作業位置Wにおいて固定状態にあると判定し、当該載置台105が位置する側のマーカ切替モータ201(203)を強制的に上方へ退避させて収納状態とするとともに、その後の指令に従って自由に作動できる状態とする。
【0071】
また、
図5Bに示すように、載置台105が作業位置Wにある場合は(ここでは、
図3における最後方の作業位置W1とする)、第1フランジ113aの大径用の第1ロック孔112aと、第2フランジ113bの小径用の第2ロック孔112cとが重合する。かかる状態では、ロックピン111の軸体111aの大径部分は第2フランジ113bを挿通することができず、第1フランジ113aのみ挿通した状態で止まる。したがって、小径部分の先端とロック状態検出スイッチ217との間には所定の間隙Dが生じ、スイッチオフ状態となる。このスイッチオフ状態では、載置台105は、少なくとも収納位置Sにおいては固定状態にないことが分かる。なお、図中、111cは、ロックピン111が必要以上に押し込まれないように大径部分に形成された鍔部である。
【0072】
このとき、ロック状態検出スイッチ217のオフ信号を受信した制御装置100は(
図6参照)、載置台105の収納位置Sにおける固定状態が解除されたと判断し、当該載置台105が位置する側のマーカ切替モータ201(203)を作動させ、線引きマーカ200(202)を強制的に傾倒して下方へ移動し、載置台105との干渉を防ぐ。
【0073】
なお、上述した例では、載置台105が収納位置Sにある場合にロック状態検出スイッチ217がオンとなり、載置台105が作業位置Wにある場合にはオフとなるようにしたが、オンとオフは逆であっても構わない。また、ロック状態検出スイッチ217は、載置台105が収納位置Sにあるのか、作業位置Wにあるのかを識別できればよいので、その配設位置は特に限定されるものではなく、例えば、連結アーム104の内部に設けることも可能である。
【0074】
図7は、検出部の変形例を示す説明図である。図示するように、連結アーム104の長手方向の中途に係合ピン121が突設されるとともに(
図4参照)、走行車体2の支持フレーム23にロックレバー122が係合ピン121と係脱自在に設けられる。
【0075】
ロックレバー122は、先端側にフック部124が形成され、基端側に操作部125が形成されており、両者を挟んで略中心位置に枢支部123が設けられる。そして、かかる枢支部123には、フック部124を係合ピン121と係合させる方向へ付勢するバネ体126が設けられる。そして、操作部125と対向する位置に、ロック状態検出スイッチの一例であるロックスイッチ218が設けられる。
【0076】
かかる構成により、フック部124を係合ピン121から離脱させるために操作部125を押すと、ロックスイッチ218に当接してスイッチオンとなる。すなわち、連結アーム104がフリー状態となって、例えば作業位置Wへの移動が可能となる。他方、このときにロックスイッチ218がオンとなるため、ロックスイッチ218に当接した連結アーム104が設けられている側の線引きマーカ200(202)の出退動作が制御装置100によって制御される(
図6参照)。
【0077】
このときの線引きマーカ200(202)の出退動作の制御は、上述した制御と略同様であり、ロックスイッチ218のオン信号を受信した制御装置100は、フリーとなった載置台105が位置する側のマーカ切替モータ201(203)を作動させ、線引きマーカ200(202)を強制的に傾倒して下方へ移動し、載置台105との干渉を防ぐ。
【0078】
一方、載置台105が収納位置Sに戻ると、ロックレバー122により自動的にフック部124が係合ピン121と係合するが、その際に、ロックスイッチ218が操作部125により押され、ロックスイッチ218がオンとなる。ロックスイッチ218のオン信号を受信した制御装置100は、マーカ切替モータ201(203)を作動させ、今度は線引きマーカ200(202)を強制的に上方へ退避させて収納状態とする。
【0079】
このように、
図7に示した構成であっても、肥料袋の載置台105を用いた作業に合わせて、線引きマーカ200,202を自動的に出退動作させることができ、作業性が向上する。
【0080】
ところで、本実施形態に係る苗移植機1は、上述したように、制御装置100によって線引きマーカ200,202の出退動作が自動制御されるが、載置台105についてもマニュアルではなく電動で駆動可能とし、これを制御装置100により制御することができる。
【0081】
すなわち、苗移植機1は、載置台105を移動させるための第1の駆動源と、線引きマーカ200,202を出退させるための第2の駆動源と、載置台105が固定状態にあるか否かを検出する検出部とを備える。さらに、苗移植機1は、第1の駆動源と第2の駆動源を制御可能であり、検出部の検出結果に基づいて第2の駆動源を制御して、線引きマーカ200,202を、載置台105との干渉が回避される領域における干渉回避限界位置へ移動させる制御装置100を備えるものである。なお、検出部は、別の見方をすれば、収納位置Sにおいて載置台105の固定状態が解除されたか否かを検出することもできる。
【0082】
図6に示すように、第1の駆動源を載置台駆動モータ216とするとともに、第2の駆動源を、左マーカ切替モータ201と右マーカ切替モータ203とすることができる。そして、これらのいずれか一方を制御する制御装置100によって、
図8に示すような載置台105の位置制御処理を行うことができる。なお、ここではロック状態検出スイッチとしてロックスイッチ218が用いられ、左マーカ切替モータ201、あるいは右マーカ切替モータ203を制御することとする。
【0083】
図8は、載置台105の位置制御処理の流れを示す説明図である。図示するように、制御装置100は、先ず、載置台105の駆動制御が許可中であるか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、制御装置100は、制御許可フラグと制御不許可フラグいずれがセットされているかを判定する。なお、制御許可フラグは、例えば操縦部13に設けられた載置台自動制御ボタン(不図示)がオンになっている場合、あるいは、線引きマーカ200,202が降下した場合にセットされる。また、制御不許可フラグは、所定の条件が満足されない場合にセットされる。
【0084】
載置台105の駆動制御が許可中である場合(ステップS101:Yes)、制御装置100は、所定の条件として第1条件を満足しているか否かを判定する(ステップS102)。ここで、第1条件とは、(1)走行車体2が直進状態にないこと、(2)畦際における特定制御操作(走行車体2の走行伝動を遮断した状態で、苗植付部16の降下及び植付作業を行う処理)がなされていないこと、(3)左右の線引きマーカ200,202のいずれかにより線引き作業がなされていないことである。
【0085】
第1の条件を満足していると判断すると(ステップS102:Yes)、制御装置100は、載置台105が収納位置Sで固定状態にあることを検出する検出部として機能するロックスイッチ218が押下されたか(オンになったか)を判定する(ステップS103)。
【0086】
そして、ロックスイッチ218が押下されたと判断すると(ステップS103:Yes)、制御装置100は、マーカ制御処理を実行し(ステップS104)、ロックスイッチ218が押下されていないと判断すると(ステップS103:No)、制御装置100は、処理をステップS105に移して制御許可フラグをセットして処理を終える。
【0087】
ステップS101において、載置台105の駆動制御が許可中でない(制御不許可フラグがセットされている)と制御装置100が判定した場合(ステップS101:No)、制御装置100は処理をステップS106に移し、制御不許可フラグをクリアする。
【0088】
次いで、制御装置100は、所定の条件である第2条件を満足しているか否かを判定すし(ステップS107)、第2条件を満足している場合(ステップS107:Yes)、ロックスイッチ218が押下されたか(オンになったか)を判定する(ステップS108)。ここで、第2条件とは、(1)線引きマーカ200(202)が収納状態(上方へ退避中)にあること、(2)走行車体2が直進状態であること、(3)畦際における特定制御操作(走行車体2が旋回した後、の走行伝動を遮断した状態で、苗植付部16の降下及び植付作業を行う処理)がなされていないことである。
【0089】
ステップS108において、ロックスイッチ218が押下されたと判断すると(ステップS108:Yes)、制御装置100は、該当する線引きマーカ200(202)をセットする(ステップS109)。すなわち、線引きマーカ200(202)を降下して、載置台105が回動しても干渉しないようにする。次いで、制御装置100は、制御許可フラグをセットし(ステップS110)、処理を終える。
【0090】
また、ステップS107において、制御装置100が第2の条件を満足していないと判断した場合(ステップS107:No)やステップS108において、ロックスイッチ218が押下されていないと判断した場合(ステップS108:No)、制御装置100は、制御不許可フラグをセットして(ステップS111)処理を終える。
【0091】
また、ステップS102において、制御装置100が第1の条件を満足していないと判断した場合(ステップS102:No)、載置台105の駆動制御許可をリセットし(ステップS112)、次いで制御不許可フラグをセットして(ステップS113)処理を終える。
【0092】
図9は、線引きマーカ200,202の出退制御処理の流れを示す説明図である。すなわち、
図8のステップS104のマーカー制御処理を示す。
【0093】
マーカ制御処理では、
図9に示すように、制御装置100は、載置台105が作業位置Wにあるか否かを判定する(ステップS201)。
【0094】
ステップS201において、載置台105は作業位置Wにあると制御装置100が判定した場合(ステップS201:Yes)、制御装置100は、例えば、マーカ位置調整スイッチ(不図示)がオン操作されたか否かを判定する(ステップS202)。ここで、マーカ位置調整スイッチとは、載置台105と線引きマーカ200,202との干渉を防止するために、載置台105と線引きマーカ200,202とを同時に制御するスイッチであり、操縦部13の操作パネルなどに設けられる。
【0095】
マーカ位置調整スイッチがオン操作されたと判定すると(ステップS202:Yes)、制御装置100は、線引きマーカ200(202)が収納位置(上方へ退避した位置)にあるか否かを判定する(ステップS203)。そして、線引きマーカ200(202)が収納位置にあると判定した場合(ステップS203:Yes)、制御装置100は、線引きマーカ200(202)を第1ポジションに移動して(ステップS204)、
図8に示す載置台105の位置制御処理に処理を戻す。
【0096】
ところで、第1ポジションとは、線引きマーカ200(202)の軸線が圃場面に対して約70度ほど傾斜した位置であり、
図10に示すように、線引きマーカ200(202)自体は圃場面よりも上方に位置しつつ、載置台105との干渉も防止される位置であって、収納位置よりも下方となっている。なお、
図10は、線引きマーカ200,202の姿勢を示す説明図である。
【0097】
なお、ステップS201において、載置台105は作業位置Wにないと制御装置100が判定した場合(ステップS201:No)、制御装置100は、
図8に示す載置台105の位置制御処理に処理を戻す。
【0098】
また、ステップS202において、マーカ位置調整スイッチがオン操作されていないと制御装置100が判定すると(ステップS202:No)、制御装置100は、線引きマーカ200(202)をセットして(ステップS207)、
図8に示す載置台105の位置制御処理に処理を戻す。
【0099】
このように、本実施形態に係る苗移植機1の制御装置100は、苗植付部16の昇降動作に連動して線引きマーカ200(200)を出退させるとともに、苗植付部16が植付作業時に上昇した場合は、載置台105との干渉が回避される領域における干渉回避限界位置よりも上方、例えば収納位置まで線引きマーカ200(200)が後退することを禁止する機能を有する。また、マーカ位置調整スイッチをオン操作すると、載置台駆動モータ216と左マーカ切替モータ201あるいは右マーカ切替モータ203とを同時に作動させつつ、載置台105と線引きマーカ200,202との干渉を防止する制御を行うことができる。
【0100】
また、苗移植機1は、載置台105が作業位置Wにある場合に作動するスイッチ部を備える構成として、スイッチ部が作動した場合、制御装置100は、変速レバー38の操作による走行指令を無視するようにすることもできる。
【0101】
図11は、走行レバーの操作受付規制処理を示す説明図である。図示するように、制御装置100は、スイッチ部により載置台105が作業位置Wにあると判定した場合(ステップS301:Yes)、変速レバー38の操作による走行指令をキャンセルする(ステップS302)。
【0102】
かかる制御を行うことにより、例えば、肥料袋の載置作業や、施肥装置17への肥料補充作業を行っている際に、誤って変速レバー38が動いたとしても、走行車体2は動くことがなく、安全性が向上する。
【0103】
なお、スイッチ部としては、例えば、前述したロック状態検出スイッチ217やロックスイッチ218を利用することもできるが、載置台105が作業位置Wにある場合に作動する専用のスイッチを設けることもできる。
【0104】
また、線引きマーカ200,202は、圃場面に達するまで下方側へ突出した線引き位置と、干渉回避領域内における所定位置と、干渉回避領域よりも上方の収納位置とに選択的に移動可能とすることができる。ここで、干渉回避領域における所定位置とは、例えば、前述した第1ポジションであり、干渉回避限界位置となる。すなわち、線引きマーカ200(202)の軸線が圃場面に対して約70度ほど傾斜した位置であり、線引きマーカ200(202)の先端が、収納位置よりも下方で、載置台105との干渉が防止される位置になる(
図10参照)。
【0105】
このとき、制御装置100は、走行車体2に設けられた操作部により所定の操作がなされたことを条件に、線引きマーカ200(202)を収納位置まで自動的に後退させることができる。
【0106】
図12は、線引きマーカ200,202の自動収納処理の流れを示す説明図である。図示するように、制御装置100は、所定の操作条件を満たすか否かを判定し(ステップS401)、満たすと判定した場合(ステップS401:Yes)、線引きマーカ200(202)を収納位置まで自動的に後退させる(ステップS402)。なお、ここで操作部とは、操縦部13に設けられるハンドル18や各種操作レバー204(
図6参照)などを含む操作デバイスの総称であり、図示しないクラッチペダルやブレーキペダルなども含まれる。
【0107】
また、所定の操作としては、これらクラッチペダルやブレーキペダルの踏込み操作があり、例えば、クラッチペダルをロックさせた場合、苗植付部16は動くことがないため、線引きマーカ200(202)を自動収納するものである。
【0108】
さらに、所定の操作として、例えば、苗植付部16の苗載せ台を端に寄せるスイッチ操作などが考えられる。通常、苗移植機1の保管時には、苗載せ台を端に寄せるため、スイッチ操作と線引きマーカ200(202)の自動収納処理とを連動させることで、利便性を向上させることができる。
【0109】
ところで、本実施形態に係る苗移植機1が備える操作レバーの一例である変速レバー38は、操縦部13の右側位置Aに設けられている。しかし、取付位置を固定するのではなく、選択可能にすることができる。
【0110】
図13は、操作レバーの取付ユニットを示す説明図である。例えば、操作レバーが変速レバー38である場合、レバー本体382と、当該レバー本体382を走行車体2の機体フレーム(不図示)に連結するためにユニット化されて取付ユニットとして機能する連結ユニット381を有する構成とする。そして、かかる変速レバー38を、例えば、運転座席12の右側位置Bなどのように、走行車体2の互いに異なる位置に選択的に取付可能とすることができる。
【0111】
かかる構成とすることにより、操作レバーの改造が可能となり、容易にオプション化が可能となり、操作レバーに関し、部品点数の少ない安価なオプション設定が可能となる。ここで、レバーの構成としては、例えば、ライニングによる無段、ペダル、カムによるレバー中立戻し、ポテンショメータによるトライニオン電動、アーム、ケーブルによるオートアクセル構成にすることが好ましい。そして、このようにユニット化された連結ユニット381は、少なくとも半分以上を共用部品で構成するとよい。なお、ハーネスやケーブル類は、延長追加可能なものを用いるとよい。
【0112】
図14は、作業灯72とブロワ17bのスイッチ回路を示す説明図である。図示するように、本実施形態に係る苗移植機1は、操縦部13の前面に、夜間作業を行う際に用いる作業灯72を備えている(
図1、
図2を参照)。また、苗移植機1は、前述したように、肥料を圃場に向けて送給するブロワ17bも備えており、これらは、バッテリー71に接続されている。
【0113】
かかる構成において、バッテリー71の電圧低下や発電不足を防止するために、図示するように、ブロワ17bと作業灯72とのうち、いずれか一方を選択的に動作させる選択スイッチ73を設ける構成とすることができる。なお、感度調節やロータ高さ調節など、使用頻度の高い操作手段は、通常、操縦部13の右側に設けられているため、誤操作を防止するために、選択スイッチ73は、操縦部13の左側に設けるとよい。
【0114】
また、苗移植機1は、走行車体2を操舵するハンドル18と、走行車体2の前後進モードを切替える操作レバーとして機能する変速レバー38とを備える。そして、さらに、ハンドル18の操作と変速レバー38の操作との組み合わせにより自動植付作業を実行する植付制御部とを備える構成とすることができる。
【0115】
かかる植付制御部は、苗の植付作業中にハンドル18が所定角度を超えて回動すると、苗植付部16を上昇させて植付作業を中断するとともに、その後、変速レバー38により後進モードに切り替えられた場合、後進して停止した位置から所定距離だけ前進した位置を基準位置として、当該基準位置から植付作業を再開するように制御する。なお、植付制御部としての機能は、制御装置100が担うことができる。
【0116】
ここでは、かかる自動植付処理を行う前提として、所定のレバー操作が行われていることとする。例えば、枕地1工程を行うために、畦際に苗移植機1を後進させる場合、操作手段の一例として、例えば植付部スポット作動レバーを操作した後であれば、変速レバー38を後進位置に操作しただけで、走行車体2を停止させたままで苗の植付作業が自動的に行われる。
【0117】
図15は、操作レバー(変速レバー38)の操作と苗植付部16との動作を関連付けた自動植付処理の流れを示す説明図である。図示するように、制御装置100は、植付部スポット作動レバーが操作されたか否かを判定し(ステップS501)、操作されたと判定した場合(ステップS501:Yes)、変速レバー38が後進位置となったか否かを判定する(ステップS502)。
【0118】
後進位置でないと判定した場合(ステップS502:No)、制御装置100は処理を終える一方、後進位置であると判定した場合(ステップS502:Yes)、走行車体2が停止しているか否かを判定する(ステップS503)。すなわち、走行車体2が停止するまで待機する。
【0119】
走行車体2が停止すると(ステップS503:Yes)、変速レバー38が前進位置になったか否かを判定する(ステップS504)。すなわち、変速レバー38が前進位置になるまで待機する。
【0120】
そして、変速レバー38が前進位置になったと判定した場合(ステップS504:Yes)、制御装置100は、走行車体2が所定距離だけ前進したか否かを判定する(ステップS505)。すなわち、所定距離前進するまで待機する。所定距離だけ前進したと制御装置100が判定した場合(ステップS505:Yes)、苗植付部16を作動して苗の植付作業をスポット的に行う(ステップS506)。
【0121】
このように、ハンドル18の操作と変速レバー38の操作との組み合わせによる自動植付作業を行って枕地1工程を行う場合、変速レバー38をバックに入れると(後進位置に操作すると)、走行停止中の苗植えを自動的に行って、畦際の苗植えを行うことができる。したがって、補植作業などが不要となり、苗植え効率が向上する。また、苗植付部16の下降及び植付作業の開始が自動制御されることにより、旋回後の植付を考慮して走行車体2のホイルベースを設定する必要がなくなるので、走行車体2のホイルベースの延長などを他の作業条件に対応したものとすることが可能となる。
【0122】
ここで、本実施形態に係る苗移植機1が備える施肥装置17について、説明を加える。
図16は、施肥ホース81に設けられたエア抜き弁83の説明図である。
【0123】
施肥装置17(
図1および
図2を参照)は、肥料を圧送するブロワ17bと、ブロワ17bに連通し、圧送される肥料を圃場面に向けて搬送する施肥ホース81とを備える。かかる施肥ホース81は、
図16に示すように、その中途に、肥料によるホース詰まりを防止するエア抜き弁83が開閉自在に設けられている。
【0124】
本実施形態では、施肥ホース81の中途に分岐流路82を形成し、この分岐流路82の先端開口に接離自在となるようにエア抜き弁83を設けている。施肥ホース81の周面に設けた枢支部85を中心に開閉自在に設けられたエア抜き弁83の上方には、ストッパ片84が設けられる。
【0125】
そして、このストッパ片84の取付位置を、エア抜き弁83が開いたときに、その開き量が供給される肥料Fの粒径以下となるようにしている。すなわち、エア抜き弁83の開いた状態の隙間dが、肥料Fの粒径以下に規制されている。
【0126】
通常、
図16(b)に示すように、エア抜き弁83は閉じた状態にあるが、例えば湿気などによって施肥ホース81の内部で肥料詰まりなどが発生した場合、内圧が高まりエア抜き弁83を開放方向へ付勢する。
【0127】
このとき、エア抜き弁83が規制されることなく開放すると、肥料Fが排出される空気とともに外方へ流出してしまうおそれがあるが、
図16(a)に示すように、エア抜き弁83の開いた状態の隙間dが肥料Fの粒径以下に規制されているため、風の抜け道を確保しつつ肥料Fが排出されることを防止できる。なお、ストッパ片84の取付基部は、施肥ホース81の周面形状に合わせて湾曲させた形状としておくことが望ましい。かかる構成とすることにより、エア抜き弁83が開いたときに、ストッパ片84に衝突すると、その衝撃が取付基部を介して施肥ホース81に伝わるが、その力が施肥ホース81に偏って伝わることを防止でき、施肥ホース81に穴をあけたりすることを防止できる。
【0128】
なお、ストッパ片84は、例えばビスなどで着脱自在に取り付けることが好ましく、ストッパ片84を取り外すことにより、エア抜き弁83などの洗浄が容易に行える。また、このとき、ストッパ片84の取付位置を変更可能な構成とすれば、エア抜き弁83の開き量となる隙間dの寸法を調整することができる。
【0129】
上述してきた実施形態により、以下の苗移植機1が実現できる。
【0130】
(1)走行車体2の後方に昇降自在に連結され、圃場に苗を植付ける苗植付部16と、走行車体2の側部に出退自在に設けられ、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカ200,202と、走行車体2に配設され、圃場に肥料を供給する施肥装置17と、肥料を積載可能であり、作業位置Wと収納位置Sとの間を移動自在に設けられ、線引きマーカ200,202の出退軌跡と交差する移動軌跡を有する載置台105と、載置台105を収納位置Sに固定可能な載置台固定部と、収納位置Sにおいて載置台105の固定状態が解除されたか否かを検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、載置台105と干渉しないように線引きマーカ200,202の動作を制御する制御装置100(制御部)とを備える苗移植機1。
【0131】
(1)の構成において、前記載置台固定部としてのロック部110は、載置台105側に設けられた第1ロック孔112aと、載置台105を枢支ピン106(枢支部)を介して回動自在に連結する連結アーム104側に設けられ、相対的に径を異ならせた第2ロック孔112b,112cと、これらロック孔112a,112b,112cに挿通されるロックピン111とを有し、ロックピン111の軸体111aを、第2のロック孔112b,112cに対応する大径部と小径部とで2段に形成するとともに、ロックピン111に当接してオン・オフを切り替える前記検出部としてのロック状態検出スイッチ217を、ロックピン111の先端部に対向させて配置した苗移植機1。
【0132】
また、(1)の構成において、前記載置台固定部として載置台105側に設けられた係合ピン121と、走行車体2側に設けられたロックレバー122とを備え、ロックレバー122の操作部125と対向させて、前記検出部としてのロックスイッチ218を備える苗移植機1。
【0133】
(2)走行車体2の後方に昇降自在に連結され、圃場に苗を植付ける苗植付部16と、走行車体2の側部に出退自在に設けられ、圃場面に進行基準線を形成する線引きマーカ200,202と、走行車体2に配設され、前記圃場に肥料を供給する施肥装置17と、前記肥料を積載可能であり、作業位置Wと収納位置Sとの間を移動自在に設けられ、線引きマーカ200,202の出退軌跡と交差する移動軌跡を有する載置台105と、載置台105を移動させるための載置台駆動モータ216(第1の駆動源)と、線引きマーカ200,202を出退させるための左マーカ切替モータ201,右マーカ切替モータ203(第2の駆動源)と、収納位置Sにおいて載置台105の固定状態が解除されたか否かを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて載置台105および線引きマーカ200,202が干渉しないように載置台駆動モータ216および左右左マーカ切替モータ201,203のいずれか一方を制御する制御装置100(制御部)とを備える苗移植機1。
【0134】
(3)上記(1)または(2)において、制御装置100は、苗植付部16の昇降動作に連動して線引きマーカ200,202を出退させるとともに、苗植付部16が植付作業時に上昇した場合には、載置台105との干渉が回避される領域における干渉回避限界位置よりも上方へ線引きマーカ200,202が後退することを禁止する苗移植機1。
【0135】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、走行車体2の走行速度を変速する変速レバー38と、載置台105が作業位置Wにある場合に作動するスイッチ部とを備え、制御装置100は、スイッチ部が作動した場合、変速レバー38の操作による走行指令を無視する苗移植機1。
【0136】
(5)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、線引きマーカ200,202は、圃場面に達するまで下方側へ突出した線引き位置と、載置台105との干渉が回避される干渉回避領域内における所定位置と、前記干渉回避領域よりも上方の収納位置とに選択的に移動可能であり、制御装置100は、走行車体2に設けられた操作部によって所定の操作がされたことを条件として、線引きマーカ200,202を前記線引き位置から前記干渉回避領域を経由して前記収納位置まで後退させる苗移植機1。
【0137】
(6)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、レバー本体382と、当該レバー本体382を走行車体2の機体フレームに連結する連結ユニット381とを有する変速レバー38(操作レバー)を備え、当該変速レバー38を、連結ユニット381を介して走行車体2の互いに異なる位置に選択的に取付可能とした苗移植機1。
【0138】
(7)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、肥料を圃場に向けて送給するブロワ17bと、夜間作業を行う際に用いる作業灯72と、ブロワ17bと作業灯72とのうちいずれか一方を選択的に動作させる選択スイッチ73とを備える苗移植機1。
【0139】
(8)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、走行車体2を操舵するハンドル18と、走行車体2の前後進モードを切替える変速レバー38(操作レバー)と、ハンドル18の操作と変速レバー38の操作との組み合わせに応じて自動植付作業を実行する制御装置100(植付制御部)とを備え、制御装置100は、苗の植付作業中にハンドル18が所定角度を超えて回動すると、苗植付部16を上昇させて植付作業を中断させた後、変速レバー38の操作によって後進モードに切り替えられた場合に、後進して停止した位置から所定距離だけ前進した位置から植付作業を再開する苗移植機1。
【0140】
(9)上記(1)から(3)のいずれか一つにおいて、施肥装置17は、肥料を圧送するブロワ17bと、当該ブロワ17bに連通しており圧送される前記肥料を前記圃場面に向けて搬送する施肥ホース81と、当該施肥ホース81の中途に設けられており開閉自在なエア抜き弁83とを備え、エア抜き弁83は、開いた状態の隙間dが前記肥料の粒径以下に規制される苗移植機1。
【0141】
ところで、上述した本実施形態では、載置台105は、走行車体2の左右側に設けた例を示したが、左右いずれか一方に設けてもよい。左側に配置した場合は、左側の線引きマーカ202と連動させ、右側に配置した場合は右の線引きマーカ200と連動させるとよい。
【0142】
また、上述した本実施形態では、載置台105は、電動により駆動可能としたが、マニュアルによって回動させることもできる。
【0143】
また、上述した本実施形態では、載置台105を収納位置Sに固定可能な載置台固定部としてロック部110や、係合ピン121およびロックレバー122などを備える構成とした。しかし、載置台105をサーボモータを用いて駆動するようにした場合、モータによって載置台105を収納位置Sを含む任意の位置に固定することも可能である。
【0144】
また、上述した本実施形態では、線引きマーカ200,202はモータ駆動されることとしたが、作業者によるマニュアル動作で昇降(出退)させることもできる。この場合、例えば、載置台105が収納位置Sにおける固定状態が解除されたことを検出する検出部(例えばロック状態検出スイッチ217やロックスイッチ218)が、載置台105の固定状態解除を検出すると、所定のストッパ機構(不図示)を駆動して、線引きマーカ200,202の移動を規制するようにこうせいすることもできる。
【0145】
また、苗移植機1は、変速レバー38や植付昇降レバー39を含む各種操作レバー204を備えているが、これらは、
図6に示すように、ポテンショメータ205を介して制御装置100に接続される構成とすることができる。そして、これら操作レバー204の操作角度をポテンショメータ205で検出し、これを制御装置100に発信することにより、例えば変速レバー38であれば、HSTサーボモータ214を作動させて油圧式無段変速機6(HST)の出力を変更するのである。なお、各種操作レバー204は、ポテンショメータ205を用いることなく、各種アクチュエータとの間を適宜の機械的連動機構を介して接続してもよい。
【0146】
また、苗移植機1は、上述した実施形態、及び変形例で用いられている構成や制御等を適宜組み合わせてもよく、または、上述した構成や制御以外を用いてもよい。