(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スタチン類が、ロスバスタチン、ピタバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチンおよびメバスタチン、ならびにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種の薬剤である、請求項1または2に記載の経口固形製剤。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の経口固形製剤はスタチン類およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含有する。
【0015】
本明細書中に用いられる用語「経口固形製剤」は、水なしまたは少量の水によって口腔を通じて投与される固形製剤を包含して言う。経口固形製剤の例としては、圧縮成型などの方法により一定の形に成形した固形製剤である錠剤や、当該錠剤のうち、口腔内で崩壊するように調製された錠剤である口腔内崩壊錠が挙げられる。
【0016】
本発明の経口固形製剤が口腔内崩壊錠である場合、当該口腔内崩壊錠の形状としては、特に限定されず、例えば、円盤状、ドーナツ状、多角形板状、球状、楕円状、およびキャプレット状が挙げられる。大きさは、小型である方が好ましく、直径は、例えば5mm〜12mm程度であり、厚みは、例えば2mm〜5mm程度である。質量は、例えば50mg〜500mg程度である。硬度は、特に限定されないが、例えば、40N〜100N程度である。崩壊に要する時間は、特に限定されず、例えば、水なしで服用した場合、口腔内において10秒〜60秒程度で崩壊する時間に設定されたものが好ましい。
【0017】
本発明の経口固形製剤はまた、後述するような直打法によって打錠された直打錠の剤形を有することが好ましい。
【0018】
本発明において、スタチン類の例としては、ロスバスタチン、ピタバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、メバスタチンなどのスタチン、およびそれらの塩、ならびにそれらの組合せが挙げられる。スタチンの塩は、薬学的に許容される塩である。スタチンの薬学的に許容される塩としては、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、および低級アルキルアミン塩が挙げられる。本発明においては、ロスバスタチンを用いることが好ましい。本発明の経口固形製剤において、上記スタチンの含量は、必ずしも限定されないが、経口固形製剤の重量に対して、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
【0019】
本発明を構成するアミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくカチオン性コポリマーである。さらに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、例えば、以下の式(I):
【0021】
で表される基本構造を有し、好ましくは約150,000の重量平均分子量を有するコポリマーである。
【0022】
本発明において、上記アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、例えば、水分散体として入手することができる。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの水分散体としては、例えば、EVONIK INDUSTRIES社製のオイドラギット(登録商標)E 100、オイドラギット(登録商標)E PO、およびオイドラギット(登録商標)E 12,5が挙げられる。
【0023】
本発明の経口固形製剤における上記アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの含有量は、必ずしも限定されないが、上記スタチン類100重量部に対して、好ましくは80重量部〜400重量部、より好ましくは100重量部〜250重量部の割合である。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの含有量が80重量部を下回ると、得られる経口固形製剤について満足し得る程度までの経時安定性が得られないおそれがある。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの含有量が400重量部を超えると、製造の際の打錠不良や使用の際のスタチン類の溶出不良が生じるおそれがある。
【0024】
本発明の経口固形製剤は、含まれるスタチン類の薬効を阻害しない範囲の含有量で任意の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤の例としては、賦形剤、崩壊剤、安定化剤、流動化剤、結合剤、着色剤、矯味剤、滑沢剤、および香料、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0025】
賦形剤としては、特に限定されず、例えば、セルロース類(結晶セルロース、エチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)など)およびその誘導体、デンプン(トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチなど)およびその誘導体、糖(ブドウ糖、乳糖、白糖(精製白糖含む)、粉糖、トレハロース、デキストラン、デキストリンなど)、糖アルコール(D−マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなど)、グリセリン脂肪酸エステル、無機粉体(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト)、軽質無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩、ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましい賦形剤の例としては、D−マンニトール、乳糖、結晶セルロース、およびデンプン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0026】
崩壊剤として、特に限定されず、例えば、クロスポビドン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、部分α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましい崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスポビドン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0027】
安定化剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、L−アルギニン、L−リジン、メグルミン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましい安定化剤の例としては、炭酸マグネシウムが挙げられる。
【0028】
流動化剤としては、特に限定されず、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルク、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましい流動化剤の例としては、タルク、含水二酸化ケイ素、および軽質無水ケイ酸、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0029】
結合剤としては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ゼラチン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、キタンサンガム、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、部分けん化ポリビニルアルコール、プルラン、部分α化デンプン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましい結合剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、およびポリビニルピロリドン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0030】
着色剤としては、特に限定されず、例えば、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用赤色2号、食用赤色3号、食用黄色4号、および食用黄色5号、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0031】
矯味剤としては、特に限定されず、例えば、アルパルテーム、ステビア、糖アルコール、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、ソーマチン、アセスルファムカリウム、およびスクラロース、ならびにその組合せが挙げられる。好ましい矯味剤としては、アルパルテーム、ソーマチン、およびアセスルファムカリウム、ならびにそれらの組合せである。
【0032】
滑沢剤としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、硬化油、グリセリン脂肪酸エステル、およびタルク、それらの組合せが挙げられる。好ましい滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびショ糖脂肪酸エステル、ならびにそれらの組合せである。
【0033】
香料としては、特に限定されず、ミント、レモン香料、オレンジコートン、パイナップルフレーバー、およびl−メントール、それらの組合せが挙げられる。
【0034】
本発明の経口固形製剤はまた、上記内容成分(すなわち、スタチン類およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ならびに必要に応じて添加され得る添加剤)がコーティング剤によってコーティングされた形態を有していてもよい。このようなコーティング剤の例としては、特に限定されず、例えば、糖、糖アルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、クエン酸トリエチル、トリアセチン、マクロゴールなどのポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベート類、タルク、黄色三二酸化鉄および酸化チタン、ならびにそれらの組合せが挙げられる。さらに、糖としては、特に限定されず、例えば、ブドウ糖、果糖、乳糖、白糖、還元麦芽糖、およびトレハロースならびにそれらの組合せが挙げられる。糖アルコールとしては、特に限定されず、例えば、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、およびラクチトール、ならびにそれらの組合せが挙げられる。本発明におけるコーティング剤の含量は特に限定されず、当業者によって適宜選択され得る。
【0035】
本発明の経口固形製剤が上記コーティング剤によってコーティングされた形態を有する場合、コーティング層は、上記内容成分を構成する粒子の全面を覆っていることが好ましい。また、コーティング層の厚みは本発明の経口固形製剤の全面にわたってほぼ均等であることが好ましい。本発明を構成し得るコーティング層の厚みは特に限定されず、当業者によって適切な厚みが設定され得る。
【0036】
本発明の経口固形製剤は、例えば以下のようにして製造され得る。
【0037】
以下、本発明の経口固形製剤として直打錠を製造する方法について説明する。
【0038】
まず、スタチン類およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ならびに必要に応じて上記添加剤がほぼ均一になるまで混合される。混合方法は特に限定されない。
【0039】
次いで、得られた混合物が、例えば、打錠用臼、打錠用上杵および下杵を用いて、油圧式ハンドプレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機などにより打錠される。打錠は、得られる錠剤が、適度な硬度を有するように調節して行うことが好ましい。打錠圧は、打錠方法、打錠に用いる機器、錠剤の大きさなどに応じて適宜調整され得る。打錠圧は、好ましくは20kg/cm
2〜2000kg/cm
2、より好ましくは100kg/cm
2〜1000kg/cm
2である。
【0040】
このようにして本発明の経口固形製剤が直打錠として製造され得る。
【0041】
得られた経口固形製剤は、当該分野において公知の手段を用いて容器に封入される。容器に封入した後、本発明の経口固形製剤は、使用まで適切な保管条件にて保存される。
【0042】
本発明の経口固形製剤によれば、経時安定性に優れ、保管中の分解による類縁物質の発生を抑制することができる。このため、仮に大量生産を通じて得た製品の一部を在庫保管したとしても、その品質を長期にわたって保持し得る。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
ロスバスタチンカルシウム5.35kg、乳糖水和物100.15kg、結晶セルロース30kg、クロスポピドン3kg、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(EVONIK INDUSTRIES社製のオイドラギット(登録商標)E 100)10kg、およびステアリン酸マグネシウム1.5kgを混合機(株式会社徳寿工作所製:TCV−30)に仕込んで充分混合し、打錠用の混合物を得た。得られた混合物をロータリー打錠機(株式会社菊水製作所製:VGRGO)に投入して打錠し、錠剤径7mm、重量150mg、および硬度40N以上の素錠を得た。
【0045】
この素錠に対し、1錠当たり2.46mgのヒプロメロース、15mgのマクロゴール6000(三洋化成工業株式会社製)、0.3mgの酸化チタンおよび0.09mgの黄色三二酸化鉄を用いて全自動通気式傾斜型ドラムコーティング装置(株式会社パウレック製パウレックコーター(PRC−75)によりフィルムコーティングして、ロスバスタチン錠剤を得た。
【0046】
(比較例1)
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの代わりに、メグルミン10kgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロスバスタチン錠剤を得た。
【0047】
(比較例2)
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの代わりに、合成ヒドロサルタイト10kgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロスバスタチン錠剤を得た。
【0048】
(試験例1:類縁物質の増加量の測定)
実施例1、比較例1および比較例2で得られたロスバスタチン錠剤について、以下の各条件でのロスバスタチン由来の類縁物質の増加率を測定した。
【0049】
(条件1−1)
実施例1、比較例1および比較例2で得られた各ロスバスタチン錠剤について、製造直後の当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、各錠剤の液体クロマトグラフィーの検出結果から、ロスバスタチンのピーク面積に対する各類縁物質のピーク面積の割合(%)として算出した。得られた結果を表1に示す。
【0050】
(条件1−2)
実施例1、比較例1および比較例2で得られた各ロスバスタチン錠剤について、それぞれ個別にアルミニウム箔で包装して完全に遮光し、得られた包装体を60℃の温度条件にて1週間保管した。保管終了後、直ちに当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記条件1と同様にして測定した。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(条件1−3)
実施例1、比較例1および比較例2で得られた各ロスバスタチン錠剤について、それぞれ個別にアルミニウム箔で包装して完全に遮光し、得られた包装体を40℃の温度条件にて1カ月間保管した。保管終了後、直ちに当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記条件1と同様にして測定した。得られた結果を表1に示す。
【0052】
(条件1−4)
実施例1、比較例1および比較例2で得られた各ロスバスタチン錠剤について、いずれも個別に包装することなく、そのまま2000lx・時間の強度でD65ランプの白色光を連続して1週間照射した。照射終了後、直ちに当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記条件1と同様にして測定した。得られた結果を表1に示す。
【0053】
(条件1−5)
実施例1、比較例1および比較例2で得られた各ロスバスタチン錠剤について、いずれも個別に包装することなく、そのまま25℃の温度かつ90%RHの湿度条件下にて1週間保管した。保管終了後、直ちに当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記条件1と同様にして測定した。得られた結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、比較例1および比較例2で得られたロスバスタチン錠剤は、上記条件1−1〜1−5のいずれかにおいて、ケト体、ラクトン体および総類縁物物質のいずれかの含有量が実施例1および他方の比較例と比較して高い値を示していた。これに対し、実施例1で得られたロスバスタチン錠剤は、上記条件1−1〜1−5のいずれの条件下においても、ケト体、ラクトン体および総類縁物物質の生成において常に低い値を示していた。このことから、実施例1で得られたロスバスタチン錠剤は、種々の保管条件下において、各種類縁物質の生成を安定的に抑制し得ることがわかる。
【0056】
(実施例2)
ロスバスタチンカルシウム5.35kg、乳糖水和物104.15kg、結晶セルロース30kg、クロスポピドン3kg、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(EVONIK INDUSTRIES社製のオイドラギット(登録商標)E 100)6kg、およびステアリン酸マグネシウム1.5kgを混合機(株式会社徳寿工作所製:TCV−30)に仕込んで充分混合し、打錠用の混合物を得た。得られた混合物をロータリー打錠機(株式会社菊水製作所製:VGRGO)に投入して打錠し、錠剤径7mm、重量150mg、および硬度40N以上の素錠を得た。
【0057】
この素錠に対し、1錠当たり3.6mgのヒプロメロース、0.32mgの酸化チタンおよび0.08mgの黄色三二酸化鉄を用いて全自動通気式傾斜型ドラムコーティング装置(株式会社パウレック製パウレックコーター(PRC−75)によりフィルムコーティングして、ロスバスタチン錠剤を得た。
【0058】
(比較例3)
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの代わりに、炭酸ナトリウム6kgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロスバスタチン錠剤を得た。
【0059】
(比較例4)
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの代わりに、炭酸マグネシウム6kgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロスバスタチン錠剤を得た。
【0060】
(比較例5)
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの代わりに、第三リン酸カルシウム6kgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロスバスタチン錠剤を得た。
【0061】
(試験例2:類縁物質の増加量の測定)
実施例2および比較例3〜6で得られたロスバスタチン錠剤について、以下の各条件でのロスバスタチン由来の類縁物質の増加率を測定した。
【0062】
(条件2−1)
実施例2および比較例3〜6で得られた各ロスバスタチン錠剤について、製造直後の当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記試験例1の条件1と同様にして測定し、錠剤重量に対する百分率(%)として算出した。得られた結果を表2に示す。
【0063】
(条件2−2)
実施例2および比較例3〜6で得られた各ロスバスタチン錠剤について、それぞれ個別にアルミニウム箔で包装して完全に遮光し、得られた包装体を60℃の温度条件にて1週間保管した。保管終了後、直ちに当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記試験例1の条件1と同様にして測定し、錠剤重量に対する百分率(%)として算出した。得られた結果を表2に示す。
【0064】
(条件2−3)
実施例2および比較例3〜6で得られた各ロスバスタチン錠剤について、それぞれ個別にアルミニウム箔で包装して完全に遮光し、得られた包装体を40℃の温度条件にて1カ月間保管した。保管終了後、直ちに当該錠剤中に含まれるロスバスタチンに由来するケト体およびラクトン体、ならびに全ての類縁物質(総類縁物質)の含有量を、上記試験例1の条件1と同様にして測定し、錠剤重量に対する百分率(%)として算出した。得られた結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示すように、比較例3〜5で得られたロスバスタチン錠剤は、上記条件2−1〜2−3のいずれかにおいて、ケト体、ラクトン体および総類縁物物質のいずれかの含有量が実施例2および他方の比較例と比較して高い値を示していた。これに対し、実施例2で得られたロスバスタチン錠剤は、上記条件2−1〜2−3のいずれの条件下においても、ケト体、ラクトン体および総類縁物物質の生成において常に低い値を示していた。このことから、実施例2で得られたロスバスタチン錠剤は、種々の保管条件下において、各種類縁物質の生成を安定的に抑制し得ることがわかる。