(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えてから、前記第2の情報表示部に情報を投射させ、又は、前記第2の情報表示部に情報を投射させてから、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることが可能であることを特徴とする請求項1記載の車両。
前記制御部は、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えてから所定時間経過後に、所定の操作が行われたかを判断した上で、前記第2の情報表示部に情報を投射させ、又は、前記第2の情報表示部に情報を投射させてから所定時間経過後に、所定の操作が行われたかを判断した上で、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることが可能であることを特徴とする請求項1記載の車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、投射された情報を、乗員がより確実に認識することのできる車両の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1による発明によれば、
情報表示装置からの情報を、情報表示部に表示することにより、乗員に情報を提供可能な車両において、
前記情報表示装置は、第1の情報表示装置と、第2の情報表示装置と、これらの第1の情報表示装置及び第2の情報表示装置を制御する制御部と、を有し、
前記情報表示部は、前記第1の情報表示装置からの情報が表示される第1の情報表示部と、前記第2の情報表示装置からの情報が投射される第2の情報表示部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えるために、前記第1の情報表示装置を制御可能であると共に、
前記第2の情報表示部に情報を投射させるために、前記第2の情報表示装置に搭載された光源を制御可能であり、
前記第2の情報表示部は、
虚像が投射される前記第1の情報表示部と異なる部位からなり、前記第1の情報表示部に対して左右上方の位置に設けられることを特徴とする車両が提供される。
【0008】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記制御部は、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えてから、前記第2の情報表示部に情報を投射させ、又は、前記第2の情報表示部に情報を投射させてから、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることが可能である。
【0009】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記制御部は、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えてから所定時間経過後に、所定の操作が行われたかを判断した上で、前記第2の情報表示部に情報を投射させ、又は、前記第2の情報表示部に情報を投射させてから所定時間経過後に、所定の操作が行われたかを判断した上で、前記第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることが可能である。
【0010】
請求項4に記載のごとく、好ましくは、
前記第1の情報表示部は、乗員が着座するシートの前方に位置し、
前記第2の情報表示装置、及び、
前記光源からの光が投射される前記第2の情報表示部は、
前記第1の情報表示装置、及び、前記第2の情報表示部に対して、左右にそれぞれ設けられ、
前記制御部は、一方の前記第2の情報表示部と、他方の前記第2の情報表示部とのいずれか1つにのみ情報を投射させることが可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、第2の情報表示部は、車体後面視において、第1の情報表示部に対してオフセットされている。このため、第1の情報表示装置と、第2の情報表示装置とが同時に作動している場合には、位置の異なる2箇所に情報が表示される。これにより、乗員が情報を見落とすことを抑制することができる。即ち、乗員は、確実に情報を認識することができる。
【0012】
さらに、第1の情報表示部と、第2の情報表示部とが互いにオフセットされているため、広い範囲に情報を表示することができる。広い範囲に情報を表示するために、1つの大型の情報表示装置を用いる場合には、装置が高価となる。小型の情報表示装置を複数用いることにより、広い範囲に情報を表示可能でありながら、情報表示装置は、安価で済む。
【0013】
請求項2に係る発明では、制御部は、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えてから、第2の情報表示部に情報を投射させ、又は、第2の情報表示部に情報を投射させてから、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることが可能である。即ち、制御部は、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えるタイミングと、第2の情報表示部に情報を投射するタイミングとが異なるように、それぞれの情報表示装置を制御することが可能である。
【0014】
例えば、第2の情報表示部に情報を投射させてから、第1の情報表示部に表示される情報を切り替える。消灯、又は、点灯により、直感的に認識することのできる情報を第2の情報表示部に表示させてから、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることができる。乗員は、まず注意すべき事項があることを認識してから、より具体的に何に注意すべきかを認識することができる。
【0015】
さらには、一方の情報表示部に表示された情報が見落とされていると推定される場合にのみ、他方の投射面部に情報を投射させることができる。乗員の前方に過度に情報を投射することを抑制しつつ、乗員は、投射された情報を認識することができる。
【0016】
即ち、制御部は、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えるタイミングと、第2の情報表示部に情報を投射するタイミングとが異なるように、それぞれの情報表示装置を制御することにより、使い勝手性が向上する。
【0017】
請求項3に係る発明では、制御部は、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えてから所定時間経過後に、所定の操作が行われたかを判断した上で、第2の情報表示部に情報を投射させ、又は、第2の情報表示部に情報を投射させてから所定時間経過後に、所定の操作が行われたかを判断した上で、第1の情報表示部に表示される情報を切り替えることが可能である。
【0018】
例えば、第2の情報表示部に情報が投射された後に、所定時間経過後に所定の操作が行われていないとする。この場合には、乗員は、第2の情報表示部に表示された情報を、見落としていると推定することができる。見落としているとの推定を前提に、第1の情報表示部に表示されている情報を切り替える。その他の場合には、第1の情報表示部には、異なる情報を表示することができるため、使い勝手性が向上する。
【0019】
請求項4に係る発明では、第1の情報表示部は、乗員が着座するシートの前方に位置し、一方の第2の情報表示部は、第1の情報表示部の右上方に位置し、他方の第2の情報表示部は、第1の情報表示部の左上方に位置する。様々な情報が切り替えられる第1の情報表示部は、乗員の前方に位置する。乗員の近傍に位置するため、第1の情報表示部には、細かい情報を投射させることができる。一方、第2の情報表示部は、第1の情報表示部の左右の上方に位置する。第1の情報表示部よりも上方に位置するため、運転時における乗員の目線の近傍に情報を投射させることができる。このため、第2の情報表示部に情報を投射させることにより、乗員は、より確実に第2の情報表示部に表示された情報を認識することができる。
【0020】
加えて、制御部は、一方の第2の情報表示部と、他方の第2の情報表示部とのいずれか1つにのみ情報を投射させることが可能である。例えば、車両の右側にて注意すべきことが起きている場合には、右側の第2の情報表示部にのみ情報を投射させることができる。第1の情報表示部を基準にして、左右どちらかの第2の情報表示部のみに情報を投射させることにより、乗員は、直感的に方向についても認識することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0023】
図1を参照する。車両10は、右ハンドルの乗用車であり、運転席から前方を見た状態において示されている。説明の便宜上、車両10は、ステアリングホイールが取り除かれた状態において示されている。
【0024】
運転席Ds(シートDs)の前方には、車幅方向に亘ってインストルメントパネル11が延び、このインストルメントパネル11にメータユニット20が取り付けられている。メータユニット20は、速度が示される速度計30、エンジン回転数が示されるタコメータ22、燃料の残量が示されるフューエルメータ23、及び、走行距離が示されるオドメータ24を有している。メータユニット20の前方には、フロントガラス15が設けられている。
【0025】
メータユニット20の上部には、ヘッドアップディスプレイ装置40が取り付けられている。ヘッドアップディスプレイ装置40は、ナビゲーション情報や、他車が接近しているとの情報等をコンバイナ43(第1の情報表示部43)に投射可能であるとともに、これらの情報を切り替え可能な装置である。本実施例においては、ヘッドアップディスプレイ装置40は、車両10のイグニッションがオンにされている場合には、常に作動して情報をコンバイナ43に投射させている。
【0026】
インストルメントパネル11の下方には、右部ヘッドアップワーニング装置60(第2の情報表示装置60)と、左部ヘッドアップワーニング装置60(第2の情報表示装置60)と、が設けられている。
【0027】
左右のヘッドアップワーニング装置60,60は、例えば、自己の車両10に他車が接近している場合に、フロントガラス15に円状の光を投射させて、他車が接近していることを運転者に認識させる装置である。これらのヘッドアップワーニング装置60,60は、必要に応じて作動させることができる。即ち、通常時において、作動させない設定とすることができる。
【0028】
ヘッドアップディスプレイ装置40は、運転席Dsの前方に位置している。右部ヘッドアップワーニング装置60は、ヘッドアップディスプレイ装置40よりも前方且つ右方に配置されている。左部ヘッドアップワーニング装置60は、ヘッドアップディスプレイ装置40よりも前方且つ左方に配置されている。
【0029】
図2を参照する。速度計30は、メータユニット20の筐体25の内部に収納された制御部31と、この制御部31の前部に設けられ制御部31によって制御されるモータ32と、このモータ32の先端に取り付けられた指針33と、からなる。制御部31を基準として、モータ32は、前面側に設けられ、指針33は、後面側に設けられている。
【0030】
ヘッドアップディスプレイ装置40は、メータユニット20の筐体25の上部に取り付けられた表示ユニット50(第1の情報表示装置50)と、この表示ユニット50の後方に配置され表示ユニット50からの光を前方に反射させるミラーユニット42と、表示ユニット50の上部にスイング可能に設けられミラーユニット42において反射された光が投射されるコンバイナ43(第1の情報表示部43)と、このコンバイナ43が貫通していると共に表示ユニット50及びミラーユニット42を覆っているカバー44と、からなる。
【0031】
ヘッドアップディスプレイ装置40は、表示ユニット50に、コンバイナ43が一体的に設けられた、いわゆるコンバイナ一体型のヘッドアップディスプレイ装置である。
【0032】
表示ユニット50は、筐体25に取り付けられたステー51と、このステー51の後部に取り付けられた放熱板52と、この放熱板52の後面に取り付けられたバックライトユニット53と、このバックライトユニット53の後部に配置されステー51に取り付けられたライトボックス54と、このライトボックス54によって支持されバックライトユニット53が発した光を透過するコンデンサレンズ55及びレンチキュラレンズ56と、ライトボックス54の後部に取り付けられコンバイナ43に投射される情報が表示される表示器57と、からなる。
【0033】
バックライトユニット53は、バックライト基板53aにLEDからなるバックライト53b(第1の光源53b)が6つ実装されてなる。
【0034】
制御部31の上端からバックライト基板53aの後面下部まで第1配線部58が接続されている。さらに、バックライト基板53aの後面上部から表示器57まで第2配線部59が接続されている。
【0035】
メータユニット20に収納された制御部31は、バックライト53bの点灯、消灯、及び、表示器57に表示される表示情報を制御する。制御部31は、メータユニット20の制御部であると共に、バックライト53b、及び、表示器57の制御部も兼ねている。制御部31の前面の上部には、第1配線部58を接続するためのコネクタ31aが設けられている。
【0036】
ミラーユニット42は、メータユニット20の筐体25の上部に取り付けられたミラーホルダ42aと、このミラーホルダ42aによって保持されたミラー42bと、からなる。
【0037】
コンバイナ43は、ステー51にスイング可能に支持されているコンバイナホルダ43aと、このコンバイナホルダ43aに保持され光が投射されるコンバイナ本体43bと、からなる。コンバイナ本体43bの素材には、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂を採用することができる。
【0038】
表示器57には、制御部31からの電気信号に基づき、情報が表示される。表示器57には、例えば、車速、エンジン回転数、燃費等の様々な車両情報を表示することができる。表示器57には、液晶や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)製のモニタを採用することができる。
【0039】
バックライト53bの光は、表示器57を照射する。表示器57を通過した光は、ミラー42bによって前方に反射され、カバー44の開口部44aを通過してコンバイナ43に投射される。運転者Mnは、コンバイナ43に投射された虚像を視認することにより、情報を認識する。
【0040】
図3を参照する。
図3には、左部ヘッドアップワーニング装置60が示されている。右部ヘッドアップワーニング装置60(
図1参照)についても、基本的な構成は同じであり、左部ヘッドアップワーニング装置60の説明を適宜読み替えることができる。このため、左部ヘッドアップワーニング装置60についてのみ説明する。右部ヘッドアップワーニング装置60については、説明を省略する。
【0041】
左部ヘッドアップワーニング装置60は、インストルメントパネル11に覆われたケース61と、このケース61の底に配置された基板62と、この基板62に実装されたLED製の光源63と、この光源63で発生した光を所定の方向に導く導光体64と、この導光体64を透過した光によって照射される表示器65と、からなる。
【0042】
ケース61は、下部に配置された下部ケース61aと、この下部ケース61aの上方に被せられるケースカバー61bと、からなる。ケースカバー61bのなかの光源63の上方の部位は、透光性を有している。下部ケース61aの端部と、ケースカバー61bの端部とは、互いに溶着されている。
【0043】
下部ケース61aの素材には、ABS樹脂やポリプロピレン樹脂を採用することができる。ケースカバー61bも同様であり、透光性を有する部位には、アクリル樹脂等を採用することができる。
【0044】
光源63は、制御部31(
図1参照)によって、点灯、及び、消灯を制御される。さらに、光源63は、制御部31によって、点灯する際の色が制御される。
【0045】
導光体64は、下部ケース61aに固定されたステー66,66によって支持されている。ステー66,66は、ねじ67,67によって下部ケース61aに固定されている。
【0046】
表示器65は、ケースカバー61bに固定されたステー68によって支持されている。ステー68は、ねじ69によってケースカバー61bに固定されている。
【0047】
光源63が発した光は、導光体64を透過して表示器65を照射する。表示器65を照射した光は、ケースカバー61b、及び、インストルメントパネル11の開口部11aを通過する。通過した光は、フロントガラス15に投射される。運転者Mnは、投射された虚像を視認することにより、情報を得ることができる。以下、フロントガラス15のなかの光が投射される部位を、窓部投射面部15a(第2の情報表示部15a)という。
【0048】
図1を参照する。右側の窓部投射面部15a(一方の第2の情報表示部15a)は、コンバイナ43の右上方に位置する。左側の窓部投射面部15a(他方の第2の情報表示部15a)は、コンバイナ43の左上方に位置する。左右の窓部投射面部15a,15aは、それぞれ、コンバイナ43に対してオフセットされている。
【0049】
図4を参照する。情報表示装置71は、表示ユニット50と、左右のヘッドアップワーニング装置60,60と、これらを制御する制御部31と、を有している。
【0050】
情報表示部72は、コンバイナ43と、窓部投射面部15a,15aと、を有している。
【0051】
制御部31は、コンバイナ43に投射される情報を切り替えるために、表示ユニット50に搭載された表示器57、及び、バックライト53bを制御可能である。さらに、制御部31は、窓部投射面部15a,15aに情報を投射させるために、ヘッドアップワーニング装置60,60に搭載された光源63,63を制御可能である。
【0052】
制御部31は、車両10の右後方を撮影する右部カメラ74と、車両10の左後方を撮影する左部カメラ75と、その他の情報を検知する各種センサ76と、から情報を受け取り可能である。
【0053】
左右のカメラ74,75は、後方から接近する他車を撮影することができる。これらのカメラ74,75から送られる電気信号に基づき、制御部31は、他車の位置を把握することができる。把握した情報を元に、表示器57を制御して、コンバイナ43に他車が接近していることを表示させることができる。加えて、制御部31は、カメラ74,75からの情報に基づいて、左右の光源63,63を点灯させることができる。光源63,63が点灯すると、窓部投射面部15a,15aに光が投射される。
【0054】
図5を併せて参照する。右後方から他車が接近した場合の、車両10の作用について詳細に説明する。ステップ(以下、「ST」と記す。)11において、L1>L2となるように、車間距離に係る所定の距離L1,L2を設定する。
【0055】
次に、車両10から右後方を走行する他車までの距離Lrを、右部カメラ74によって測定する(ST12)。右後方を複数の他車が走行している場合には、最も近い他車の距離を計測する。右部カメラ74において測定された距離Lrは、制御部31に電気信号として送信される。
【0056】
制御部31は、右部カメラ74からの電気信号に基づき、右後方を走行する車両までの距離Lrが、ST11において設定したL1以下であるかを判断する(ST13)。ST13においてLrがL1よりも大きい場合(Noである場合)には、車両10から他車が十分に遠いので、運転者に他車が接近していることを知らせる必要がない。このため、Lr>L1の場合には、終了する。このとき、コンバイナ43には、例えば、ナビゲーションの情報が投射されている。
【0057】
ST13において、LrがL1以下である場合(Yesである場合)には、他車が接近しているため、乗員に他車が接近していることを認識させる必要がある。制御部31は、表示器57を制御して、コンバイナ43に他車が接近している旨の警告表示を投射させる(ST14)。即ち、コンバイナ43に投射される情報は、ナビゲーションの情報から他車が接近している旨を警告する情報に切り替えられる。
【0058】
次に、制御部31は、右後方を走行する車両までの距離Lrが、ST11において設定したL2以下であるかを判断する(ST15)。ST15においてLrがL2よりも大きい場合(Noである場合)には、終了する。即ち、L2<Lr≦L1の場合には、コンバイナ43にのみ他車が接近している旨の警告表示が投射される。
【0059】
ST15において、LrがL2以下である場合(Yesである場合)には、他車が特に接近しているため、乗員に他車が接近していることをより確実に認識させる必要がある。制御部31は、右側の光源63を制御して、右側の窓部投射面部15aに警告表示を投射させて(ST16)終了する。
【0060】
なお、左から他車が接近している場合にも同様のフローにより、乗員に他車が接近していることを警告することができる。さらには、他車が左右両方から接近している場合には、これらを同時に作動させることもできる。
【0061】
以上に説明した本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
【0062】
窓部投射面部15a,15aは、車体後面視において、コンバイナ43に対してオフセットされている。このため、表示ユニット50と、ヘッドアップワーニング装置60,60とが同時に作動している場合には、位置の異なる3箇所(2箇所以上の部位)に情報が投射される。これにより、乗員が情報を見落とすことを抑制することができる。即ち、乗員は、確実に情報を認識することができる。
【0063】
さらに、コンバイナ43と、窓部投射面部15a,15aとが互いにオフセットされているため、広い範囲に情報を投射することができる。広い範囲に情報を投射するために、1つの大型の情報表示装置を用いる場合には、装置が高価となる。小型の情報表示装置50,60,60を複数用いることにより、広い範囲に情報を投射可能でありながら、情報表示装置71は、安価で済む。
【0064】
制御部31は、コンバイナ43に投射される情報を切り替えてから、窓部投射面部15a,15aに情報を投射させることが可能である。即ち、制御部31は、コンバイナ43に投射される情報を切り替えるタイミングと、窓部投射面部15a,15aに情報を投射するタイミングとが異なるように、それぞれの情報表示装置50,60,60を制御することが可能である。
【0065】
このため、先にコンバイナ43の情報を切り替えた上で、所定の場合に窓部投射面部15a,15aに情報を投射させることができる。これにより、特に必要な場合にのみ窓部投射面部15a,15aに情報を投射させることもできる。特に必要な場合には、確実に運転者に情報を認識させることができる一方、特に必要な場合以外には、乗員の前方に過度に情報を投射することを抑制することができる。
【0066】
制御部31は、コンバイナ43に投射される情報を切り替えるタイミングと、窓部投射面部15aに情報を投射するタイミングとが異なるように、それぞれの情報表示装置50,60,60を制御することにより、使い勝手性が向上する。
【0067】
さらに、コンバイナ43は、乗員が着座するシートDs(
図1参照)の前方に位置し、一方の窓部投射面部15aは、コンバイナ43の右上方に位置し、他方の窓部投射面部15aは、コンバイナ43の左上方に位置する。様々な情報が切り替えられるコンバイナ43は、乗員の前方に位置する。乗員の近傍に位置するため、コンバイナ43には、細かい情報を投射させることができる。一方、窓部投射面部15a,15aは、コンバイナ43の左右の上方に位置する。コンバイナ43よりも上方に位置するため、運転時における乗員の目線の近傍に情報を投射させることができる。このため、窓部投射面部15a,15aに情報を投射させることにより、乗員は、より確実に窓部投射面部15a,15aに投射された情報を認識することができる。
【0068】
加えて、制御部31は、一方の窓部投射面部15aと、他方の窓部投射面部15aとのいずれか1つにのみ情報を投射させることが可能である。例えば、車両の右側にて注意すべきことが起きている場合には、右側の窓部投射面部15aにのみ情報を投射させることができる。コンバイナ43を基準にして、左右どちらかの窓部投射面部15a,15aのみに情報を投射させることにより、乗員は、直感的に方向についても認識することができる。
【0069】
なお、コンバイナ43、及び、窓部投射面部15a,15aに投射される情報は、これらの情報には限られない。例えば、コンバイナ43に走行燃費の数値を表示することもできる。この際、窓部投射面部15a,15aには、光が投射され、投射される光の色は、燃費の値によって変化する。
<実施例2>
【0070】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0071】
図6には、スクータ型の二輪車10A(車両10A)が、シートDsから前方を見た状態によって示されている。
【0072】
二輪車10Aは、車体の一部を構成するヘッドパイプ81等が車体カバー82によって覆われてなる。ヘッドパイプ81の上端には、車幅方向に延びるハンドル83が取り付けられている。平面視を基準として、ヘッドパイプ81の前方には、メータユニット20Aが設けられている。メータユニット20Aの前方には、ヘッドアップディスプレイ装置40が設けられ、ヘッドアップディスプレイ装置40の前方には、風防パネル84が設けられている。ヘッドアップディスプレイ装置40の左右には、ヘッドアップワーニング装置60,60(第2の情報表示装置60,60)が設けられている。
【0073】
ヘッドアップワーニング装置60,60の情報は、風防パネル84に投射される。風防パネル84のなかの情報が投射される部位は、パネル部投射面部84a,84a(第2の情報表示部84a,84a)ということができる。
【0074】
なお、ヘッドアップワーニング装置60,60の情報が投射される部位は、風防パネル84に限られず、例えば、サイドミラーに情報が投射されてもよい。
【0075】
図7を参照する。制御部31は、方向指示を行うフラッシャ装置85と、ストップウォッチ86と、から情報を受信可能である。フラッシャ装置85は、いわゆるプッシュキャンセル式のウインカー装置である。このようなフラッシャ装置85は、二輪車10Aに用いられるフラッシャ装置として広く知られている。
【0076】
フラッシャ装置85は、二輪車10Aが曲がる方向につまみ部85aを変位させることにより、作動する。変位させたつまみ部85aは、手を離すことにより、元の位置に戻る。作動したフラッシャ装置85は、つまみ部85aを押すことにより停止する。操作部としてのつまみ部85aは、ハンドル83(
図6参照)に一体的に取り付けられている。
【0077】
ところで、乗用車等の自動車には、一般にステアリングホイールを所定量回すことによりフラッシャ装置が停止する、いわゆるオートキャンセル機能が搭載されている。この点、二輪車10Aは、車体を傾けて曲がるため、ハンドル83の操作によりフラッシャ装置85を停止させるという機能を搭載し難い。結果、二輪車10Aにおいては、乗員がフラッシャ装置85を停止させることを忘れる虞がある。
【0078】
本発明によれば、フラッシャ装置85の停止操作を乗員に行わせることができる。
【0079】
図8を併せて参照する。まず、フラッシャ装置85(以下、「ウインカー装置85」という。)の作動に係る所定時間t1,t2を、t1<t2となるよう設定する(ST21)。例えば、t1は3分、t2は4分である。次に、制御部31は、ウインカー装置85から受ける電気信号に基づき、ウインカー装置85が作動しているか否かを判断する(ST22)。ウインカー装置85が作動していない場合(NOの場合)には、終了する。
【0080】
ウインカー装置85が作動している場合(YESの場合)には、制御部31は、ストップウォッチ86をスタートさせて(ST23)、ウインカー装置85が作動してからの経過時間tの計測を開始する。次に、制御部31は、ウインカー装置85が停止しているか否かを判断する(ST24)。ウインカー装置85が停止している場合(YESの場合)には、ストップウォッチ86をリセットし(ST25)、終了する。
【0081】
ウインカー装置85が作動し続けている場合(NOの場合)には、制御部31は、経過時間tが所定時間t1以上になったかを判断する(ST26)。t1未満である場合(NOである場合)には、ST24に戻る。
【0082】
t1以上である場合(YESの場合)には、ウインカー装置85が所定時間以上継続して作動しているということである。このため、運転者がウインカー装置85を停止させ忘れていると推認できる。このため、制御部31は、光源63を点灯させるようヘッドアップワーニング装置60を制御する。これにより、右側のパネル部投射面部84aに警告灯が投射される(ST27)。
【0083】
次に、制御部31は、ウインカー装置85が停止しているか否かを判断する(ST28)。ウインカー装置85が停止している場合(YESの場合)には、パネル部投射面部84aの警告表示を停止させる(ST29)。即ち、ヘッドアップワーニング装置60の光源63を消灯させるよう制御する。次に、ストップウォッチ86をリセットし(ST25)、終了する。
【0084】
ST28に戻り、ウインカー装置85が作動し続けている場合(NOの場合)には、制御部31は、経過時間tが所定時間t2以上になったかを判断する(ST31)。t2未満である場合(NOである場合)には、ST28に戻る。
【0085】
t2以上である場合(YESの場合)には、ウインカー装置85が警告灯の表示後もなお所定時間以上継続して作動しているということである。このため、運転者が、パネル部投射面部84aの警告表示に気づいていないと推認できる。このため、制御部31は、コンバイナ43の表示情報を変更するよう表示器57を制御する。これにより、コンバイナ43に警告表示が投射される(ST34)。
【0086】
次に、制御部31は、ウインカー装置85が停止しているか否かを判断する(ST33)。ウインカー装置85が停止している場合(YESの場合)には、コンバイナ43の警告表示を停止させる(ST34)。即ち、通常の情報をコンバイナ43に投射するよう、表示器57を制御する。次に、パネル部投射面部84aの警告表示を停止させ(ST29)、ストップウォッチ86をリセットし(ST25)、終了する。
【0087】
なお、左折をする場合にも、同様のフローにより、乗員にウインカー装置85の停止操作が行われていないことを認識させることができる。さらに、所定時間t1経過後にコンバイナ43に投射されている情報を切り替えて、所定時間t2経過後にパネル部投射面部84aに警告灯を投射させてもよい。
【0088】
以上の本発明によれば、上述した所定の効果を奏する。さらに、以下の効果をも奏する。
【0089】
パネル部投射面部84aに情報を投射させてから、コンバイナ43に投射される情報を切り替える。消灯、又は、点灯により、直感的に認識することのできる情報をパネル部投射面部84aに投射させてから、コンバイナ43に投射される情報を切り替えることができる。乗員は、まず注意すべき事項があることを認識してから、より具体的に何に注意すべきかを認識することができる。
【0090】
なお、二輪車10Aは、乗員の前方に配置されるヘッドアップワーニング装置60と、このヘッドアップワーニング装置60からの情報が投射されメータユニット20よりも上方に位置している投射面部84a,84aと、ヘッドアップワーニング装置60に内蔵された光源63を制御可能な制御部31と、乗員の停止操作により停止可能なプッシュキャンセル式のフラッシャ装置85と、を有している。
【0091】
光源63は、フラッシャ装置85が作動してから所定時間t1経過後に停止していない場合に、制御部によって点灯される。
【0092】
メータユニット20内のウインカランプ27,27の点滅に気づかない場合であっても、これよりも上方に警告灯を点灯させることにより、乗員にフラッシャ装置85の停止操作が行われていないことを認識させることができる。フラッシャ装置85の停止操作を乗員に行わせることができる。
【0093】
尚、本発明による車両は、乗用自動車及び二輪車を例に説明したが、これら以外の車両であっても適用可能である。
【0094】
さらに、第1の情報表示部としては、液晶モニタ、液晶ディスプレイ、タブレット端末等も用いることができる。即ち、第1の情報表示部は、情報が投射される情報表示部に限られない。このとき、第1の情報表示部には、第1の情報表示装置が一体化されていてもよい。
【0095】
さらに、第1の情報表示部は、常に作動しているものに限られない。即ち、「第1の情報表示部に表示される情報を切り替える」には、第1の情報表示部に既に表示されている情報を他の情報に切り替える場合に限られず、第1の情報表示部に情報が表示されていない状態から情報が表示される状態に切り替える場合も含まれる。
【0096】
本発明は、作用及び効果を奏する限りにおいて、実施例に限定されるものではない。