(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481514
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】通信装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20190304BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20190304BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20190304BHJP
H04W 40/28 20090101ALI20190304BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
H04W4/38
H04W84/18
H04W40/28
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-110082(P2015-110082)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-225802(P2016-225802A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】福島 一樹
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−11156(JP,A)
【文献】
特開2010−239430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q9/00
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ装置と、親機と、多段構成の複数の子機とを有する通信システムにおける前記子機として使用される通信装置であって、
経路検索を行う経路検索部と、
前記経路検索の結果、自端末の中継段数が変化したとき、その変化後の中継段数を配下の子機に通知する中継段数通知部と、
を有する通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載された通信装置において、
前記中継段数通知部は、全ての配下の子機に対して、同時に前記中継段数を通知する通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載された通信装置において、
前記通信システムを構成している他の子機から前記変化後の中継段数を通知されたとき、当該中継段数の通知とともに通知された前記他の子機の識別情報が自端末の通信相手の識別情報と一致した場合、自端末の中継段数を通知された中継段数に1を加えた値に変更する中継段数変更処理部を有する通信装置。
【請求項4】
センタ装置と、親機と、多段構成の複数の子機とを有する通信システムであって、
請求項1乃至3のいずれかに記載された通信装置を前記子機として使用する通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスメータや水道メータの自動検針を行う遠隔検針システム、火災や異常事態の監視などの遠隔監視システムに用いられる通信装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
センタ装置と親機と複数の子機からなり、複数の子機が多段で構成されている遠隔検針システムが知られている(特許文献1)。このシステムでは、各子機は、検針データを親機経由でセンタ装置へ送信しており、多段構成とすることによって、多くの検針データの収集を可能としている。
【0003】
また、このような遠隔検針システムにおいて、各子機は、自端末から親機に至る通信経路を複数登録して保持する機能を備えており、例えば第1経路が通信不可のとき、第2経路や第3経路に切り換えることによって、システム全体としての通信品質を担保している。
【0004】
このような遠隔検針システムにおける子機の通信経路の登録は例えば以下のように実施される。子機が新規に設置されると、子機は、まずブロードキャスト電文に自端末の端末ID(識別情報)を付加したテスト信号を送信(ブロードキャスト)し、所定時間内に他の端末(親機、子機)からの応答があるか否かチェックする。
【0005】
所定時間内に応答があった場合、応答電文中に含まれている端末ID、電界強度、中継段数から通信条件の良い端末を選択し、最終的に1つ以上の通信経路、つまり通信相手となる1つ以上の直上位端末に関する情報(端末ID、電界強度)および各通信経路における自端末の中継段数(親機からの段数)を自端末の記憶部に登録する。ここで、自端末の中継段数は直上位端末の中継段数に1を加算することで算出する。
【0006】
また、この登録時に取得した電界強度や中継段数から、例えば中継段数が少なく、かつ電界強度の強い順に、第1経路、第2経路などの経路番号を付ける。そして、これらの通信経路の登録要求の電文(この電文には、新子機の端末ID、通信相手の端末IDおよび電界強度、新子機の中継段数が含まれている)をセンタ装置へ送信し、センタ装置が経路を登録する。
【0007】
また、このような遠隔検針システムにおいて、子機は、保持している通信経路が全て通信不可のとき、新たに親機までの通信経路を検索することも知られている。このとき、子機は、新たな通信経路で通信相手となる直上位端末の端末IDと、新たな通信経路における自端末の中継段数を自端末の記憶部に記憶している。
【0008】
また、このような遠隔検針システムにおいては、システムの制限として、親機が最末端の子機から検針データを収集するとき、検針データの要求の送信時刻から検針データの受信時刻までの待ち時間に制限があり、その制限を満たすための最大中継段数(例えば3段)が決められている。
【0009】
従来の遠隔検針システムは上記のように構成されているため、新たに親機までの通信経路を検索し、新たな通信経路を登録した子機の中継段数が変化する場合がある。この場合、その子機の配下の子機、すなわちその子機を中継子機としていた子機の中継段数も変化する。
【0010】
すなわち、例えば1段目のある子機、すなわち親機の直下のある子機(以下、第1子機)は、親機との間に通信エラーが発生したため、1段目の他の子機(以下、第2子機)を介して親機と通信する経路を新たな通信経路とした場合、第1子機の中継段数は1段目から2段目に増える。このため、第1子機の直下の子機(以下、第3子機)の中継段数も1段増えて3段目となり、第3子機の直下に子機があった場合、その子機の段数も1段増える。
【0011】
しかし、第3子機は、自端末の中継段数が3段目に変化したにかかわらず、2段目であることを表す情報を保持しているため、最大中継段数が3段の場合、すなわち中継段数が3段目の子機は他の子機の中継子機になれない場合、以下の問題が発生する。
【0012】
すなわち、新たな子機を設置(追加)するとき、新たな子機は、テスト信号に対する第3子機からの応答電文に含まれている中継段数が2段目であるため、第3子機を通信相手(直上位端末)とする経路を登録してしまう。
【0013】
センタ装置から、第3子機およびその配下の子機、すなわち、第1子機の配下の全ての子機に対して通信経路の再検索の指示を送信することで、上記の問題を解決することが考えられる。しかし、このとき、第1子機の配下の子機の数分の指示がセンタ装置から送信され、それぞれの子機に届けられるため、特に第1子機の配下の子機の数が多い場合、通信回線が占有されてしまい、トラフィックが混雑する。また、センタ装置のリソース(CPU、メモリ等)も占有される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−87761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、センタ装置と、親機と、多段構成の複数の子機とを有する通信システムにおいて、子機の中継段数が変化したとき、その配下の子機の中継段数の変更を、通信回線およびセンタ装置のリソースを占有することなく、実行できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、センタ装置と、親機と、多段構成の複数の子機とを有する通信システムにおける前記子機として使用される通信装置であって、経路検索を行う経路検索部と、前記経路検索の結果、自端末の中継段数が変化したとき、その変化後の中継段数を配下の子機に通知する中継段数通知部と、を有する通信装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、センタ装置と、親機と、多段構成の複数の子機とを有する通信システムにおいて、子機の中継段数が変化したとき、その配下の子機の中継段数の変更を、通信回線およびセンタ装置のリソースを占有することなく、実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る通信システムにおける子機の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る通信システムにおける親機の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る通信システムにおけるセンタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る通信システムにおいて、1段目の子機と親機との間に通信エラーが発生した状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る通信システムが
図5に示す状態になったときの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】
図6における中継段数変更処理の内容を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る通信システムが
図6に示す動作を実行した後の通信経路および中継段数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
〈通信システムの構成〉
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
この通信システムは、例えば、ガスや水道メータの自動検針システムに用いたものであって、各検針装置(メータ等)に設けられた通信装置としての無線端末である複数(ここでは7台)の子機40a〜40gと、子機40a〜40gを管理するとともに子機40a〜40gからの検針データを受信する親機30とからなっている。本実施形態では、さらに、親機30は例えば携帯電話回線などの公衆通信回線20を介してセンタ装置10に接続されている。なお、以下の説明では、子機40a〜40gを区別しないときは、子機40とする。
【0020】
親機30は、特定小電力無線などの無線通信により、子機40と通信可能であり、子機40同士も特定小電力無線などの無線通信により通信可能である。また、子機40は、検針データを親機30経由でセンタ装置10へ送信しており、多段構成(ここでは3段)とすることによって、より多くの検針データの収集を可能としている。
【0021】
本実施形態では、中継段数の1段目、すなわち親機30の直下には子機40aおよび40bが接続されている。また、中継段数の2段目では、子機40aの直下に子機40cが接続され、子機40bの直下には子機40dおよび40eが接続されている。さらに、中継段数の3段目では、子機40cの直下に子機40fが接続され、子機40dおよび40eの直下には子機40gが共通に接続されている。
【0022】
つまり、親機30の配下に3段構成で7台の子機40a〜40gが接続され、1段目の子機40aの配下に2段構成で子機40cおよび40fが接続され、1段目の子機40bの配下に2段構成で子機40d、40e、および40gが接続されている。また、2段目の子機40cの配下に1段構成で子機40fが接続され、2段目の子機40dの配下に1段構成で子機40gが接続され、2段目の子機40eの配下に1段構成で子機40gが接続されている。また、3段目の子機40gは、2つの通信経路(40g−40d、40g−40e)を保持している。
【0023】
〈子機の構成〉
図2は、
図1における子機40の概略構成を示すブロック図である。
図示のように、子機40(40a〜40g)は、制御部41と、それぞれが制御部41に接続された送受信部42、記憶部43、I/F(インタフェース)部44、表示部45、および操作入力部46からなり、送受信部42にはアンテナ47が接続されている。
【0024】
制御部41は、CPU、RAM、ROMを備え、子機40全体の制御や演算処理等を行う。送受信部42は、近距離無線通信により、他の子機40や親機30との間で無線通信を行う。記憶部43は、不揮発性メモリからなり、各種設定データなどを記憶する。I/F部44にはガスや水道等のメータ等の外部機器が接続される。表示部45は、LED等で構成されており、子機40の動作状態等を表示するユーザI/Fである。操作入力部46は、ボタンやスイッチ等からなり、子機40に対する所定の設定を入力するためのユーザI/Fである。アンテナ47は電波の送受信を行う。
【0025】
制御部41は、内蔵するCPUがROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMを作業エリアとして処理することにより実現される機能ブロックとして、経路検索部41a、経路情報取得部41b、電文解析部41c、中継段数通知部41d、および中継段数変更処理部41eを備えている。
【0026】
経路検索部41aは、ブロードキャスト電文に自端末の端末ID(識別情報)を付加したテスト信号を発生し、応答電文から通信可能な親機30または子機40を判別する。経路情報取得部41bは、経路検索部41aで判別された親機30または子機40に対する経路情報(端末ID、電界強度、中継段数)を記憶部43に格納する。電文解析部41cは他の子機40からの送信電文を解析する。
【0027】
中継段数通知部41dは、経路情報取得部41bにより取得された経路情報における中継段数が変化した場合、センタ装置10からの中継段数変更指示に応じて、変化後の中継段数を配下の子機40に通知する。中継段数変更処理部41eは、直上位の端末から送信された中継段数を受信したとき、自端末の中継段数を受信した中継段数+1に変更する。
【0028】
〈親機の構成〉
図3は、
図1における親機30の概略構成を示すブロック図である。
親機30は、制御部31と、それぞれが制御部31に接続された記憶部32、送受信部33、網制御部34、表示部35、および操作入力部36を備えている。
【0029】
制御部31は、CPU、RAM、ROMを備え、親機30全体の制御や演算処理を行う。記憶部32は、不揮発性メモリからなり、制御部31による制御や演算処理に必要なデータなどを記憶する。送受信部33は、近距離無線通信により、子機40との間で無線通信を行う。網制御部34は、公衆通信回線を介してセンタ装置10と通信を行う。表示部35は、LED等で構成されており、親機30の動作状態等を表示する。操作入力部36は、ボタンやスイッチ等からなり、親機30に対する所定の設定を入力するためのユーザI/Fである。アンテナ37は電波の送受信を行う。
【0030】
〈センタ装置の構成〉
図4は、
図1におけるセンタ装置10の概略構成を示すブロック図である。
センタ装置10は、制御部11と、それぞれが制御部11に接続された、網制御部12、記憶部13、表示部14、および操作入力部15を備えている。
【0031】
制御部11は、CPU、RAM、ROMを備え、センタ装置10全体の制御や演算処理を行う。本実施形態では、CPUがROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込み、RAMを作業エリアとして処理することにより実現される機能ブロックとして、更新登録部11a、および中継段数変更指示部11bを有する。
【0032】
更新登録部11aは、親機30と子機40のそれぞれの端末IDの登録処理等を行う他、子機40側から送信された経路情報に基づいて当該経路情報を記憶部13に新規登録または更新登録する。中継段数変更指示部11bは、再経路検索を行った子機40の中継段数が変化したとき、その子機40に対して中継段数変更指示を通知する。
【0033】
記憶部13は、例えば不揮発メモリやハードディスクドライブ等からなり、登録した各子機40の端末ID、および各子機40に接続された外部機器に関する情報等からなる管理データテーブルや、親機30の端末IDなど、通信に必要なシステムに関する情報の他、親機30から送信される外部機器のデータ等を記憶する。
【0034】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、当該システムに関する情報や子機40に接続された外部機器に関する情報、センタ装置10への入力時の操作画面等を表示する。操作入力部15は、各種データや命令等をセンタ装置10に対して外部から入力するキーボードやマウス等の入力手段を有する。
【0035】
〈通信エラーの発生から新たな経路の登録および中継段数変更までの動作〉
図5は、
図1における1段目の子機40aと親機30との間に通信エラーが発生した状態を示す図である。子機40aは、親機30との間の通信経路が1つであるため、この状態になると、再経路検索を行う。
【0036】
図6は、本発明の実施形態に係る通信システムが
図5に示す状態になったときの動作を示すシーケンス図であり、
図7は、
図6における中継段数変更処理の内容を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照して、子機40aの再経路検索とその後の通信経路および各子機の中継段数について説明する。
【0037】
図6に示すように、子機40aと親機30との間に通信エラーが発生すると、子機40aは再経路検索を実行する(ステップS1)。すなわち、ブロードキャスト電文に自端末の端末IDを付加したテスト信号を送信(ブロードキャスト)し、所定時間内に他の端末(親機、子機)からの応答があるか否かチェックする。
【0038】
次に子機40aは周囲の端末から、応答電文を受信し、端末ID、中継段数、および電界強度を取得する(ステップS2)。ここでは、子機40b、40c、40dから応答電文を受信したものとした。子機40b、40c、40dの中継段数は、
図1および
図5より、それぞれ1段目、2段目、2段目である。
【0039】
次に子機40aは新通信経路を決定する(ステップS3)。本実施形態では、子機40aは、所定時間内に応答があった場合、電文解析部41cは、応答電文中に含まれている端末ID、電界強度、中継段数から通信条件の良い端末を選択し、経路情報取得部41bは、最終的に1つの通信経路を新通信経路とする。ここでは、子機40b、40c、40dのうち、中継段数が最小の子機40bを新たな通信経路の通信相手(直上位端末)に決定したものとする。
【0040】
次に経路情報取得部41bは、決定した通信経路、つまり通信相手となる直上位端末に関する情報(端末ID、電界強度)および当該経路における自端末の中継段数(親機30からの段数)を自端末の記憶部43に格納する(ステップS4)。ここでは、自端末の中継段数は、通信相手の中継段数+1であるから、通信エラー発生前の1段目から2段目に変化する。
【0041】
次に子機40aは、センタ装置10に対して、新経路の登録要求の電文を新経路を用いて送信する(ステップS5)。この電文には、子機40aの端末IDおよび中継段数、通信相手である子機40bの端末IDおよび電界強度が含まれている。
【0042】
子機40aからの新経路の登録要求電文を受信したセンタ装置10は、新経路登録要求端末である子機40aの中継段数が変化した否かを判定する(ステップS6)。ここで、中継段数が変化したか否かは、センタ装置10の記憶部13に記憶されている旧経路(通信エラー発生前の経路)における子機40aの中継段数および新経路の登録要求の電文中の子機40aの中継段数を比較して判定する。
【0043】
本実施形態では、子機40aの中継段数は、旧経路では1段目であり、新経路では2段目であるから、中継段数は変化している。そのため、センタ装置10は、新経路の登録要求を行った端末である子機40aの中継段数が変化したと判定し(ステップS6:YES)、子機40aに対して、登録要求に係る新経路を用いて中継段数変更指示を送信する(ステップS7)。なお、中継段数が変化していないと判定したときは(ステップS6:NO)、そのまま処理を終了する。
【0044】
子機40aは、中継段数変更指示の受信に基づいて、自端末の端末IDと中継段数を含むブロードキャスト電文を送信する(ステップS8)。この電文を受信した各端末は、中継段数変更処理を行う(ステップS9(S9a,S9b,S9c))。図では、子機40b,40c,40dが中継段数変更処理を行うものとしたが、親機30および子機40e,40f,40gも電文を受信していれば、中継段数変更処理を行う。
【0045】
図7に示すように、中継段数変更処理では、受信した電文中の端末ID(ここでは子機40aの端末ID)が自端末の送信先IDであるか否か、すなわち、子機40aが自端末の直上位端末の端末IDであるか否かを判定する(ステップS91)。
【0046】
判定の結果、自端末の送信先IDであった場合は(ステップS91:YES)、記憶部43に記憶されている自端末の中継段数を受信した電文中の中継段数に1を足した値に変更する(ステップS92)。判定の結果、自端末の送信先IDでなかった場合は(ステップS91:NO)、そのまま処理を終了する。本実施形態では、子機40aの直下に位置する子機40cのみが中継段数を変更することになる。
【0047】
図6の説明に戻る。中継段数変更処理を行った子機40b,40c,40dのうち、自端末の中継段数を変更した子機40cは、そのことをセンタ装置10に通知する(ステップS10)。センタ装置10は、記憶部13に記憶されている子機40cの中継段数を変更する。
【0048】
〈新たな通信経路および各子機の中継段数〉
図8は、本発明の実施形態に係る通信システムが
図6に示す動作を実行した後の通信経路および中継段数を示す図である。
【0049】
図示のように、子機40aは子機40bを中継子機として親機30に接続されるので、子機40aの中継段数は1段目から2段目に増えている。したがって、その配下の子機40cの中継段数は2段目から3段目に増えている。
【0050】
なお、子機40fについては、3段目に変化した子機40cの直下に位置するため実際には4段目であるが、保持している中継段数は3段目のままであるため、図では3段目とした。
【0051】
したがって、最大中継可能数が3段の場合、子機40fは、子機40cと通信が出来なくなるため、経路の再検索を行うことになる。この再検索の際、子機40fからのテスト信号に対して、子機40cは自端末の中継段数を変化後の3段目として応答するため、子機40fが子機40cを通信相手(直上位端末)とする経路を選択することはない。これは、新たに子機を追加した場合も同様である。
【0052】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態に係る通信システムには下記(1)〜(2)の特徴がある。
(1)再経路検索を行った子機40は、再経路検索の結果、自端末の中継段数が変化した場合、変化後の中継段数を周辺の端末に通知するので、センタ装置10のリソースおよびセンタ装置10と親機30等、端末間の通信回線を占有せずに、再経路検索を行った子機の配下の子機の中継段数を変更することができる。
(2)中継段数が変化した子機は、ブロードキャストで中継段数を同時に通知するので、直下に複数の子機が接続されている場合、それらの子機に対して、ユニキャストで順次に個別に通知する場合と比べて、段数変更が終了するまでの通信回線の使用時間が短くなる。
【0053】
なお、以上説明した実施形態に係る通信システムは3段構成であるが、本発明は、2段や4段以上の多段構成の通信システムにも適用できる。4段以上の構成の場合、センタ装置から中継段数変更指示を受信した子機は、直下の子機に対して、自端末の中継段数に加えて中継段数変更指示を通知するように構成する。
【0054】
すなわち、例えば
図8の場合、子機40aは、子機40cに対して、自端末のIDおよび中継段数に加えて中継段数変更指示を送信し、子機40cが子機40fに対して、自端末の変更後の中継段数を送信する。この手順を実行することで、子機40fの中継段数を4段目に変更することができる。
【符号の説明】
【0055】
10…センタ装置、11a…更新登録部、11b…中継段数変更指示部、30…親機、40,40a〜40g…子機、41a…経路検索部、41b…経路情報取得部、41c…電文解析部、41d…中継段数通知部、41e…中継段数変更処理部。