(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源素子から発せられた光に対する前記波長弁別層を通過した光の分光放射強度は、550nmから650nmの波長の領域において0.8以上である最大値を有し、その半値幅は100nm以上である請求項1に記載のランプ。
前記第1波長弁別層又は前記第2波長弁別層は、特定の波長の光を減衰させるための光色調整材として樹脂、有機顔料又は染料の何れかを含む請求項1から請求項3の何れか一項に記載のランプ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照しながら、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。なお、本発明は、図面に示す形態のみに限定される訳ではない。また、装置、器具及び部品等の配置及び向きについても、図面に示す配置及び向きに限定されない。装置、器具及び部品等の材質、形状及び大きさについても、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0018】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における照明装置100の一例を示す斜視図である。
照明装置100は、給電器具101とランプ106とを備える。
図1は、照明装置100が1本のランプ106を備える例を示す。照明装置100は、複数本のランプ106を備えても良い。ランプ106は、給電器具101によって保持される。ランプ106は、簡単な操作によって給電器具101に取り付け及び取り外しできる。給電器具101は、ランプ106に給電するための機構を有する。ランプ106は、給電器具101に適切に取り付けられた状態で給電されることによって点灯する。
【0019】
照明装置100は、例えば、ネジ等の固定具(図示せず)を用いて天井或いは壁等の取り付け面に取り付けられる。ランプ106が点灯することにより、床面或いは室内の空間が照らされる。照明装置100の設置方法、設置位置及び用途は上記に限定されない。例えば、照明装置100は、天井埋め込みタイプのものでも良い。照明装置100は、卓上で使用されるタイプのものでも良い。
【0020】
給電器具101は、例えば、器具本体102、保持ソケット103、給電ソケット104及び電源装置105を備える。
【0021】
保持ソケット103は、ランプ106を保持するための部材である。ランプ106が
図1に示すような直管ランプである場合、保持ソケット103は、ランプ106の一方の端部を保持する。保持ソケット103は、ランプ106に物理的に接触し、ランプ106を機械的に保持する。保持ソケット103は、ランプ106に電気的に接続されなくても良い。即ち、保持ソケット103は非給電ソケットでも良い。また、保持ソケット103は、ランプ106を接地するための端子を備えても良い。保持ソケット103は、器具本体102に設けられる。
【0022】
給電ソケット104は、ランプ106を保持するための部材である。ランプ106が
図1に示すような直管ランプである場合、給電ソケット104は、ランプ106の他方の端部を保持する。給電ソケット104は、ランプ106に物理的に接触し、ランプ106を機械的に保持する。ランプ106が給電ソケット104に適切に保持されると、給電ソケット104はランプ106に電気的に接続される。即ち、給電ソケット104は、ランプ106への給電経路の一部を形成する。給電ソケット104は、器具本体102に設けられる。
【0023】
電源装置105は、給電ソケット104を介してランプ106に電力を供給する。電源装置105は、例えば専用の筐体に収納される。電源装置105は、器具本体102の内部に設けられる。
図1では、器具本体102の内部に収納された電源装置105を破線で示している。
【0024】
電源装置105は、例えば電力変換装置を備える。電源装置105は、部屋の壁等に設けられたスイッチ(図示せず)がONの状態になると、ランプ106を点灯させるための電力(以下、「点灯電力」ともいう)を供給する。電源装置105は、上記スイッチがOFFの状態になると、点灯電力の供給を停止する。電源装置105に、例えば受電配線(図示せず)と給電配線(図示せず)とが接続される。受電配線は、外部の商用電源等から電力の供給を受けるための配線である。給電配線は、ランプ106に点灯電力を供給するための配線である。給電配線は、給電ソケット104に接続される。
【0025】
ランプ106は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、「LED」ともいう)を光源素子として備える。以下においては、ランプ106が直管LEDランプである場合を例に具体的な説明を行う。なお、ランプ106の形状は、直管ランプの形状に限られない。
【0026】
図2は、この発明の実施の形態1におけるランプ106の一例を示す斜視図である。
図2では、ランプ106の内部の構成を見易くするため、ランプ106の内部の構成の一部を実線で示している。
図3は、
図2のA−A断面を示す図である。
図4は、
図3のB−B断面を示す図である。
【0027】
ランプ106は、例えばカバー1、波長弁別層6、保持口金3、給電口金4及び光源ユニット2を備える。
【0028】
カバー1は、開口を有する中空の部材からなる。例えば、カバー1は、
図3及び
図4に示すように長尺の筒状を呈し、断面の外形は(円形を含む)略円形を呈する。カバー1の各端部14(第1端部140及び第2端部141)に、内部の空間に通じる開口が形成される。カバー1は、ランプ106が給電器具101に保持された際にランプ106の全体を支えることができる剛性を有する。カバー1には、例えば所望の透光性と耐熱性とを兼ね備えた材料が用いられる。透光性は、光源ユニット2が発した光を透過させるために必要な機能である。耐熱性は、波長弁別層6をカバー1に固定するために必要な機能である。
【0029】
カバー1の材料として、ガラスが好適である。カバー1は、例えばガラス管からなる。例えば、カバー1の材料として、シリカ(SiO2)が70%〜72%で構成されたソーダ石灰ガラスが用いられる。カバー1として、日本工業規格(JIS)に規定されている蛍光ランプの製造に用いられる両端封止前の直管と同じ寸法規格の直管を用いても良い。カバー1の材料は上記材料に限定されない。例えば、カバー1の材料として、耐熱性の樹脂材料を用いても良い。但し、カバー1の線膨張係数は小さいことが好ましい。
【0030】
カバー1は、例えば直管部12とネック部13とを備える。直管部12は、外径D1の真直ぐな筒状を呈する。直管部12は、カバー1の大部分を占める。直管部12は、ネック部13の間に配置される。即ち、カバー1の両側の端部14は、ネック部13によって形成される。
【0031】
ネック部13は、直管部12に近い方から順に、凸環部130、凹環部131及び直環部132を備える。凸環部130は、外側に膨らんだ環状の部分である。凹環部131は、内側に凹んだ環状の部分である。凸環部130及び凹環部131は、直管部12から離れるにつれて径が徐々に小さくなる。直環部132は一定の径を有する環状の部分である。直環部132の外径D2は、直管部12の外径D1より小さい。凸環部130、凹環部131及び直環部132が一続きに繋がってネック部13が形成される。このネック部13の形状はネックフォームと呼ばれる。
【0032】
カバー1の形状は上記形状に限定されない。例えば、カバー1の断面の外形は楕円形でも良い。カバー1の断面の外形は多角形或いは星形でも良い。
【0033】
光源ユニット2は、点灯電力が供給されることによって光を発するユニットである。光源ユニット2は、光源素子としてLED200を備える。光源ユニット2は、カバー1の内側に形成された空間に配置される。即ち、LED200は、カバー1によって覆われる。光源ユニット2に点灯電力が供給されると、LED200から照射された光がカバー1及び波長弁別層6を透過し、室内の空間等に放たれる。光源ユニット2の具体的な構成については後述する。
【0034】
波長弁別層6は、透過光に対して特定の波長帯域の分光放射強度を減衰させる機能を備える。LED200から照射された光は、波長弁別層6を透過することによってその光色(スペクトラム)が調整される。波長弁別層6によって光色が調整された光が室内の空間等に放たれる。波長弁別層6は、カバー1に設けられる。本発明において、波長弁別層6は複数の層を備える。波長弁別層6を構成する各層は、それぞれ異なる波長弁別特性を有する。即ち、波長弁別層6を構成する各層は、それぞれが特定の波長帯域の分光放射強度を減衰させる。
【0035】
本実施の形態では、最も簡単な例として、波長弁別層6が第1波長弁別層6Aと第2波長弁別層6Bとの2つの層を備える場合について説明する。第1波長弁別層6Aは、第1波長弁別特性を有する。第2波長弁別層6Bは、第1波長弁別特性とは異なる特性の第2波長弁別特性を有する。例えば、第2波長弁別特性は、分光放射強度特性が第1波長弁別特性とは異なる。他の例として、第2波長弁別特性は、最大減衰波長が第1波長弁別特性とは異なる。他の例として、第2波長弁別特性は、最大減衰波長に対する半値幅が第1波長弁別特性とは異なる。これらの特性が組み合わされても良い。
【0036】
以下に、第1波長弁別層6Aとして熱収縮フィルム60が、第2波長弁別層6Bとして光色調整膜64が備えられている例について詳細な説明を行う。
【0037】
光色調整膜64は、カバー1の内周面11に設けられる。内周面11は、LED200からの光が入射する面(第1表面)である。LED200から照射された光は、先ず、光色調整膜64を透過してその光色が調整される。光色調整膜64によって光色が調整された光が内周面11からカバー1に入射する。
【0038】
光色調整膜64は、特定の波長帯域における分光放射強度について所望の減衰特性が得られるようにその膜厚が設定される。本実施の形態に示す例であれば、光色調整膜64の膜厚は、熱収縮フィルム60の減衰特性と組み合わせてランプ106の仕様に応じた所望の減衰特性が得られるように設定される。光色調整膜64の膜厚は、例えば30μm以下の値に設定される。
【0039】
光色調整膜64は、例えば、特定の波長の光を弁別して減衰させるための光色調整材を有する。光色調整膜64は、光色調整材として、例えば樹脂、有機顔料或いは染料を含む。光色調整膜64は、光色調整材として、上記例示したものの複数を含んでも良い。光色調整膜64に樹脂等の光色調整材を含める場合は、例えば光色調整材を含む混合液体をカバー1の内周面11に塗布する。そして、カバー1の内周面11に塗布された混合液体を乾燥させ、光色調整材を含む光色調整膜64を内周面11に形成する。
【0040】
光色調整材として無機顔料を採用しても良いが、かかる場合はランプ106の光束値(明るさ)が大幅に低下する可能性がある。これに対し、光色調整材として樹脂、有機顔料或いは染料を採用した場合はランプ106の光束値(明るさ)が大幅に低下する恐れがない。このため、有機顔料は光色調整膜64が含む光色調整材として好適である。本実施の形態に示す例において有機顔料を光色調整材として採用する場合、熱収縮フィルム60の減衰特性も考慮し、光色調整膜64の有機顔料の体積含有率は例えば3.0%〜10.0%程度の値に設定される。
【0041】
なお、染料の中には、耐熱性、耐光性及び耐候性に優れないものがある。このような染料を溶解させた液体をカバー1の内周面11に塗布して乾燥させた場合は、光色調整膜64が時間とともに変色する可能性がある。即ち、所望の光色を得ることができなくなってしまう。このため、光色調整膜64に染料を光色調整材として含める場合は、染料が溶解しない状態で含まれた混合液体をカバー1の内周面11に塗布して乾燥させることが好ましい。このような方法によって光色調整膜64を形成することにより、光色調整膜64の変色を長期に渡って抑制できる。また、光色調整材として安価な染料を採用できる。他の光色調整材を用いる場合も同様の手順によって光色調整膜64を形成しても良い。
【0042】
光色調整膜64の膜厚及び光色調整材の含有率を調整することにより、光色調整膜64は、所望の第2波長弁別特性を備えることができる。これにより、多彩な光色を有するランプ106及び照明装置100を提供することが可能となる。
【0043】
本実施の形態では、光色調整膜64がカバー1の内周面11に設けられる場合について説明した。これは一例である。光色調整膜64は、カバー1の外周面10に設けられても良い。外周面10は、LED200からの光が出射する面(第2表面)である。
【0044】
なお、カバー1の外周面10及び内周面11に、ランプ106に要求される仕様に合わせた処理が施されていても良い。外周面10及び内周面11に施すことが可能な処理には、例えば、光拡散処理及び部分遮光処理等がある。これらの処理は、外周面10のみ或いは内周面11のみに施されても良い。
【0045】
例えば光拡散処理として、光拡散粒子を有する光拡散部材を膜厚が5.0μm〜20.0μmになるように膜状に塗布する方法がある。光拡散粒子として、例えば平均粒径が0.01μm〜20.0μmの金属酸化物、リン酸化合物、フッ化物、有機顔料、染料或いは硫酸バリウムの何れかが光拡散部材に含まれていることが好ましい。上記例示したものの複数が光拡散粒子として光拡散部材に含まれていても良い。光拡散粒子として金属酸化物を光拡散部材が含有する場合は、チタン、シリコン、アルミニウム、亜鉛、イットリウム、ランタン、マグネシウム、セリウム、ビスマス、銅、ニッケル、ガドリニウム、ジリコニウム及びバリウムからなる群から選択された少なくとも一つの酸化物を光拡散部材が含有することが好ましい。また、光拡散粒子としてリン酸化合物を光拡散部材が含有する場合は、ピロリン酸カルシウム及びピロリン酸ストロンチウムから選択された少なくとも一つの化合物を光拡散部材が含有することが好ましい。光拡散粒子としてフッ化物を光拡散部材が含有する場合は、フッ化マグネシウム、フッ化セリウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム及びフッ化アルミニウムから選択された少なくとも一つの化合物を光拡散部材が含有することが好ましい。
【0046】
熱収縮フィルム60は、カバー1の外周面10に設けられる。上述したように、LED200から照射された光は、先ず、光色調整膜64を透過してその光色が調整される。光色調整膜64によって光色が調整された光は、カバー1を通過する。そして、カバー1の外周面10から出射した光は、熱収縮フィルム60を透過してその光色が再度調整される。熱収縮フィルム60を透過した光は、室内の空間等に放たれる。光色の調整を多段階(本実施の形態では2段階)に分けて行うことができるため、多彩な光色を有するランプ106及び照明装置100を提供することが可能となる。
【0047】
熱収縮フィルム60は、特定の波長帯域における分光放射強度について所望の減衰特性が得られるようにその膜厚或いは素材等が選定される。本実施の形態に示す例であれば、熱収縮フィルム60は、光色調整膜64の減衰特性と組み合わせてランプ106の仕様に応じた所望の減衰特性が得られるように適切なものが選定される。
【0048】
熱収縮フィルム60は、熱によって収縮する部材からなる。熱収縮フィルム60は、カバー1の外側からカバー1を覆う。
図1から
図4に示す熱収縮フィルム60は、熱によって収縮した後の状態である。熱収縮フィルム60は、熱によって収縮することにより、カバー1に密着するように設けられる。
図3は、カバー1の外周面10の全体が熱収縮フィルム60によって覆われる例を示す。即ち、カバー1の直管部12とネック部13とが熱収縮フィルム60によって覆われる。
【0049】
図5及び
図6は、熱収縮フィルム60の構成及び特性を説明するための図である。
図5は、熱によって収縮する前の熱収縮フィルム60の状態を示す。熱収縮フィルム60は、例えば2枚の熱収縮性を有するシート61及び62を用いて製造される。シート61及び62は、例えば長尺の長方形状を呈する。シート61及び62の寸法はほぼ同じである。上記形状のシート61及び62を重ね合わせた状態で長辺側の縁部同士を接合することにより、チューブ状の熱収縮フィルム60が形成される。シート61及び62が接合されることによって形成された接合部63(第1接合部630及び第2接合部631)は、熱収縮フィルム60の長手方向に一直線状に形成される。シート61及び62の縁部同士を接合する方法は、接着でも溶着でも良い。シート61及び62の縁部同士を他の方法によって接合しても良い。
【0050】
熱収縮フィルム60はチューブ状であり、端部65(第1端部650及び第2端部651)で開口する。シート61を
図5に示す矢印S1の方向に、シート62を矢印S2の方向に引っ張ることにより、熱収縮フィルム60の端部65を広げることができる。熱収縮フィルム60に円柱状或いは円筒状の部材(図示せず)を貫通させた状態で熱収縮フィルム60を熱収縮させると、
図6に示すような筒状になる。熱収縮フィルム60は、熱によって収縮し、上記部材に密着する。熱収縮した後の熱収縮フィルム60は、密着する部材の外形に合わせた形状になる。
【0051】
保持口金3は、ランプ106が給電器具101に取り付けられた際に保持ソケット103に保持される部材である。保持口金3は、保持ソケット103に物理的に接触する。
図3は、保持口金3が光源ユニット2に電気的に接続されない構成の例を示す。保持口金3は、光源ユニット2に電気的に接続される構成であっても良い。かかる場合、例えば、ランプ106が給電器具101に適切に取り付けられると、保持口金3と保持ソケット103とにランプ106を接地するための電気的な経路が形成される。
【0052】
保持口金3は、例えば筐体部30と保持端子31とを備える。筐体部30は、例えば周壁部300と底壁部301とから構成される。保持口金3は、ネジ5を用いて光源ユニット2に固定される。底壁部301に、ネジ5の桿部が貫通する貫通孔302が形成される。
【0053】
底壁部301は、カバー1の一方の端部14(第1端部140)に形成された開口(以下、「第1開口」ともいう)を塞ぐように、第1端部140及び第1開口に対向する。周壁部300は円筒状を呈し、底壁部301に設けられる。周壁部300は、底壁部301の縁部からカバー1側に延びるように形成される。周壁部300は、カバー1の一方のネック部13を囲むようにこのネック部13の周囲に配置される。周壁部300は、例えば底壁部301から最も離れた縁部がネック部13の凹環部131の外側に配置される。かかる場合、周壁部300は、ネック部13の直環部132を完全に覆う。
【0054】
熱収縮フィルム60は、例えば第1端部650がネック部13の直環部132まで延び、凸環部130及び凹環部131を完全に覆う。このため、熱収縮フィルム60の第1端部650は、カバー1と保持口金3の周壁部300との間に配置される。即ち、熱収縮フィルム60の第1端部650は保持口金3の内側に配置される。ランプ106の外側から熱収縮フィルム60の第1端部650を見ることはできない。
【0055】
保持端子31は、底壁部301に設けられる。保持端子31は、底壁部301の表面から突出する。保持口金3は、例えば、導電性を有する保持端子31と電気絶縁性を有する筐体部30とがインサート成形によって一体的に形成される。かかる場合、保持口金3は、保持端子31の根元部分が筐体部30に埋め込まれた構造を有する。筐体部30には、電気絶縁性の樹脂材料或いはセラミック材料等が使用される。各図では、保持口金3がGX16タイプの口金である例を示している。しかし、これは一例である。保持口金3のタイプはこれに限定されない。保持口金3として、G13タイプ或いはT5タイプといった他の種類の口金を用いても良い。
【0056】
給電口金4は、ランプ106が給電器具101に取り付けられた際に給電ソケット104に保持される部材である。給電口金4は、給電ソケット104に物理的に接触する。給電口金4は、光源ユニット2に点灯電力を供給するための口金である。このため、給電口金4は、光源ユニット2に電気的に接続される。ランプ106が給電器具101に適切に取り付けられると、給電口金4と給電ソケット104とに光源ユニット2に点灯電力を供給するための電気的な経路が形成される。
【0057】
給電口金4は、例えば筐体部40と給電端子41とを備える。筐体部40は、例えば周壁部400と底壁部401とから構成される。給電口金4は、ネジ5を用いて光源ユニット2に固定される。底壁部401に、ネジ5の桿部が貫通する貫通孔402が形成される。
【0058】
底壁部401は、カバー1の他方の端部14(第2端部141)に形成された開口(以下、「第2開口」ともいう)を塞ぐように、第2端部141及び第2開口に対向する。周壁部400は円筒状を呈し、底壁部401に設けられる。周壁部400は、底壁部401の縁部からカバー1側に延びるように形成される。周壁部400は、カバー1の他方のネック部13を囲むようにこのネック部13の周囲に配置される。周壁部400は、例えば底壁部401から最も離れた縁部がネック部13の凹環部131の外側に配置される。かかる場合、周壁部400は、ネック部13の直環部132を完全に覆う。
【0059】
熱収縮フィルム60は、例えば第2端部651がネック部13の直環部132まで延び、凸環部130及び凹環部131を完全に覆う。このため、熱収縮フィルム60の第2端部651は、カバー1と給電口金4の周壁部400との間に配置される。即ち、熱収縮フィルム60の第2端部651は給電口金4の内側に配置される。ランプ106の外側から熱収縮フィルム60の第2端部651を見ることはできない。
【0060】
一対の給電端子41が底壁部401に設けられる。
図2及び
図3は、給電端子41が起立部410及び屈曲部411を有するL形端子である例を示す。給電端子41は、底壁部401の表面から突出する。給電端子41は、光源ユニット2に電気的に接続される。給電口金4は、例えば、導電性を有する一対の給電端子41と電気絶縁性を有する筐体部40とがインサート成形によって一体的に形成される。かかる場合、給電口金4は、給電端子41の根元部分が筐体部40に埋め込まれた構造を有する。筐体部40には、電気絶縁性の樹脂材料或いはセラミック材料等が使用される。各図では、給電口金4がGX16タイプの口金である例を示している。しかし、これは一例である。給電口金4のタイプはこれに限定されない。給電口金4として、G13タイプ或いはT5タイプといった他の種類の口金を用いても良い。ランプ106が給電器具101に適切に取り付けられると、給電端子41は給電ソケット104に電気的に接続される。
【0061】
光源ユニット2は、例えば、LED200、基板201及びヒートシンク21を備える。
【0062】
LED200は、例えば基板201の実装面(表面)に面実装される。
図2及び
図3は、基板201の実装面に複数のLED200を実装した例を示す。LED200は、基板201の実装面に一定の間隔で一列に配置される。LED200と基板201の表面に設けられた配線パタンとが電気的に接続されることにより、光源回路が形成される。LED200と基板201の表面に設けられた配線パタンとの接続は、例えば半田付け等によって行われる。
【0063】
LED200として、例えば擬似白色LEDが用いられる。擬似白色LEDは、例えば窒化ガリウム(GaN)を用いた青色LEDチップとYAG系の黄色蛍光体とを組み合わせてパッケージすることによって実現できる。青色LEDチップは、例えば440nm〜460nmの波長域に主たる発光ピークを有するものが好適である。このような擬似白色LEDでは、青色LEDチップから青色光が出射され、この青色光によって励起された黄色蛍光体から黄色光が出射される。青色光と黄色光とが混合されることにより、擬似的な白色光を得ることができる。LED200の構成は、上記構成に限定されない。例えば、チップオンボード(COB)等、LEDチップを基板201に直接実装したものをLED200として用いても良い。LED200の個数、配置及び種類は、ランプ106に要求される仕様に合わせて適宜決定される。
【0064】
基板201は、カバー1の内部空間の形状に合わせて長尺状に形成される。基板201の実装面に、配線パタンが形成される。基板201の実装面に、長手方向に沿って複数のLED200が実装される。LED200は配線パタンによって電気接続され、光源回路が形成される。また、基板201の実装面に、LED200を点灯させるための回路部品202が実装される。回路部品202は、例えば整流ダイオード、ヒューズ及び抵抗等を含む。LED200、基板201及び回路部品202により光源基板20を構成する。これらの回路部品202は、配線パタンによって電気接続され、給電回路が形成される。回路部品202と基板201の表面に設けられた配線パタンとの接続は、例えば半田付け等によって行われる。基板201は、給電口金4の給電端子41に電気的に接続される。基板201に、給電口金4の給電端子41を介して外部の電源から点灯電力が供給される。基板201に点灯電力が供給されると、LED200が点灯する。
【0065】
基板201の基材には、ガラスエポキシ材料、紙フェノール材料、コンポジット材料或いはアルミニウム(Al)等の金属材料等が使用される。基板201の基材の選定に際しては、例えば、部品の配置、放熱性及び材料コスト等が勘案される。基板201の厚さは、例えば1mm程度である。基板201の厚さは、これに限定されない。LED200から発せられる光の利用効率を向上させるため、基板201の表面に反射部材を設けても良い。例えば、基板201のLED200が実装されている面に反射部材を設けることが好ましい。反射部材を基板201の表面に設ける方法として、例えば貼り合わせ、塗布、印刷或いは蒸着等が挙げられる。
【0066】
ヒートシンク21は、カバー1の内部空間の形状に合わせて長尺状に形成される。ヒートシンク21には、熱伝導性の高い材料が使用される。ヒートシンク21に、LED200が実装された基板201が取り付けられる。LED200の動作時に発生する熱は、基板201からヒートシンク21に伝わる。ヒートシンク21が受けた熱はカバー1に伝わり、カバー1から外部に放射される。
【0067】
ヒートシンク21は、カバー1の内部で基板201等を支えるための剛性を有する。ヒートシンク21は、例えば押し出し成形が可能な金属材料で形成される。ヒートシンク21の材料として、例えばアルミニウム(Al)、鉄、チタン或いはマグネシウム等の金属材料が好適である。ヒートシンク21の材料として、金属材料以外の材料を用いても良い。例えば、ヒートシンク21の材料として高熱伝導性の樹脂或いはセラミックを用いても良い。ヒートシンク21の材料はこれらに限定されない。但し、ヒートシンク21の線膨張係数は小さいことが好ましい。
【0068】
ヒートシンク21は、例えば光源取付部210、側壁部213及び対向部225を備える。
【0069】
光源取付部210は、LED200及び回路部品202が搭載された基板201を取り付ける部分である。光源取付部210は、カバー1の内部空間の形状に合わせて長尺状に形成される。光源取付部210の光源配置面211に、基板201が固定される。基板201は、例えば接着性を有するシリコン樹脂(接着剤)或いは両面テープ等の接着部材を用いて、光源配置面211に貼り付けられる。基板201の固定方法はこれに限定されない。例えば、ネジ留めといった他の方法によって基板201を光源配置面211に固定しても良い。また、基板201と光源取付部210とを一体的に形成しても良い。かかる場合、例えば光源配置面211に基板201に形成した配線パタンを形成する。LED200及び回路部品202は、光源配置面211に実装される。
【0070】
光源取付部210は、一方の端部及び他方の端部にネジ固定部230を備える。ネジ固定部230に、ネジ5をねじ込むためのネジ孔231が形成される。ネジ孔231は、光源取付部210の長手方向に軸方向を有する。ネジ固定部230は、例えば光源取付部210の内面212に設けられる。内面212は、光源配置面211が向く方向と反対の方向を向く面である。ヒートシンク21を押し出し成形で製造する場合、
図4に示すように、ネジ固定部230のうち内面212から最も離れた部分を開口させることが好ましい。
【0071】
保持口金3の貫通孔302を貫通するネジ5がネジ孔231にねじ込まれることにより、保持口金3が光源取付部210の一方の端部に固定される。給電口金4の貫通孔402を貫通するネジ5がネジ孔231にねじ込まれることにより、給電口金4が光源取付部210の他方の端部に固定される。保持口金3及び給電口金4をヒートシンク21(光源ユニット2)に固定する方法はこれに限定されない。他の位置にネジ孔231を形成しても良い。ネジ留め以外の方法によって保持口金3及び給電口金4をヒートシンク21に固定しても良い。
【0072】
側壁部213は、基板201の位置決め機能を有する部分である。側壁部213は、光源取付部210の光源配置面211に、光源取付部210の長手方向に沿って設けられる。側壁部213は、光源配置面211から突出する。一対の側壁部213が基板201の幅より僅かに大きな間隔を空けて光源配置面211に設けられる。基板201は、側壁部213の間に配置される。側壁部213は、基板201に実装される一部の回路部品(例えば、接続コネクタ等)をカバー1の外側から視認されないように遮蔽する役割を果たす。
【0073】
対向部225は、光色調整膜64を介してカバー1の内周面11に対向する部分である。対向部225は、円弧状を呈する。対向部225の外面226は、例えばカバー1の内周面11の曲率とほぼ同じ曲率で湾曲する。対向部225は、支持部221に支持される。支持部221は、例えば光源取付部210の内面212から突出し、光源取付部210に取り付けられた基板201に対して垂直に延びる。支持部221を備えることにより、ヒートシンク21の肉厚を均一にすることができる。押し出し成形によって形成されるヒートシンク21の成形性を向上させることができる。
【0074】
図4に示すように、例えば一対の対向部225がヒートシンク21に備えられる。対向部225は、カバー1の内周面11に沿うように配置される。対向部225の外面226とカバー1の内周面11(光色調整膜64)との間に、例えば接着性を有するシリコン樹脂(接着剤)或いは両面テープ等の接着部材235が設けられる。これにより、光源ユニット2はカバー1の内周面11上の光色調整膜64に貼り付けて固定される。
【0075】
対向部225は、LED200等で発生した熱を光色調整膜64を介してカバー1に伝える部分である。このため、接着部材235として熱伝導グリースを含むものを採用しても良い。また、接着部材235として熱伝導シート等の熱伝導部材を用いても良い。接着部材235の熱伝導性能は、LED200及び回路部品202の耐熱温度、寿命及び強度等に基づいて適宜決定される。
【0076】
光源取付部210、一対の側壁部213、一対の支持部221及び一対の対向部225は、例えば一体的に形成される。LED200及び回路部品202等で発生した熱は、光源取付部210から支持部221に伝わり、支持部221から対向部225に伝わる。対向部225に移動した熱は、対向部225から光色調整膜64を介してカバー1に伝わり、カバー1から外部に放射される。
【0077】
図4に示すヒートシンク21の断面形状は一例を示す。ヒートシンク21の断面形状は他の形状であっても良い。例えば、剛性を高めるために、ヒートシンク21の断面形状を筒状にしても良い。カバー1の内部空間への熱の伝達を促進させる目的で、ヒートシンク21にフィン等を設けても良い。フィンを設けることにより、ヒートシンク21の表面積を大きくできる。
【0078】
次に、
図7から
図9を用いて、本実施の形態の作用効果について説明する。
図7から
図9は、この発明の実施の形態1の作用効果を説明する図である。
図7は、LED200から発せられた光の分光放射強度と、有機顔料を用いた光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度とを比較したグラフであり、LED200から発せられた光の最大量を1としたときの相対値を表したものである。
図7に示すように、500nmより短波長の領域において、有機顔料を用いた光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度(相対強度)は、略0となっている。光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率の平均値は約4.0%であり、光色調整膜64の膜厚の平均値は約7μmである。
【0079】
図8は、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を変化させて、有機顔料を用いた光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度を比較したグラフであり、分光放射強度のレンジを拡大して特性を詳細に表している。
図8に示すように、実験によれば、光色調整材として有機顔料を用いた場合、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を3.0%〜4.0%程度に調整した場合に、最良の結果を得ている。
【0080】
なお、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率と光色調整膜64の膜厚との関係について、体積含有率を3.0%に調整したときに膜厚の平均値は約6μm、体積含有率を4.0%に調整したときの膜厚の平均値は約7μm、体積含有率を5.0%に調整したときに膜厚の平均値は約10μm、体積含有率を6.0%に調整したときに膜厚の平均値は約15μm、体積含有率を7.0%に調整したときに膜厚の平均値は約20μm、体積含有率を8.0%に調整したときに膜厚の平均値は約25μm、そして、体積含有率を10.0%に調整したときに膜厚の平均値は約30μmという結果を得ている。
【0081】
図9は、カバー1の外周面10に熱収縮フィルム60を設け、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を変化させて、有機顔料を用いた光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度を比較したグラフであり、分光放射強度のレンジを拡大して特性を詳細に表している。
図9に示すように、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を3.0%〜7.0%に調整した実験では、500nmより短波長の領域において、有機顔料を用いた光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度(相対強度)を、略0とすることができた。この実験で用いた熱収縮フィルム60の厚さは約120μmである。このように、波長弁別手段として有機顔料を用いた光色調整膜64を熱収縮フィルム60とを組み合わせることによって、500nmより短波長の領域において好適な特性を得ることができる。
【0082】
例えば、500nmより短波長の領域において分光放射強度(相対強度)を略0にすることができるランプ106は、黄色の帯域の分光放射強度を相対的に大きくした光色が要求される半導体工場向けの照明装置100に好適である。
【0083】
次に、
図10から
図18も参照し、上記構成を有するランプ106の製造方法について具体的に説明する。
図10は、ランプ106の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図11から
図18は、ランプ106の組み立て手順を説明するための図である。
図11から
図18において、破線で囲まれた部分は断面を示す。
【0084】
先ず、
図11に示すカバー1を用意する。カバー1は、例えば中空のガラス管である。上述したように、カバー1は、直管部12とネック部13とを備える。カバー1の第1端部140に第1開口が形成される。第2端部141に第2開口が形成される。
図11等に示す径方向の各寸法は、以下の通りである。
D1:直管部12の外径
D2:直環部132の外径
【0085】
次に、用意したカバー1の内周面11に光色調整膜64を形成する(W12)。光色調整膜64の形成は、例えば、光色調整材を含む混合液体をカバー1の内周面11に塗布し、乾燥させることによって行われる。光色調整膜64の形成方法は、これに限定されない。
図12は、カバー1の内周面11に光色調整膜64を形成した状態を示す。光色調整膜64は、例えば内周面11の全体に渡って形成される。
図12等に示す長手方向の各寸法は、以下の通りである。
L1:カバー1の全体の長さ
L2:カバー1の露出部15の長さ
L3:カバー1の隠蔽部16の長さ
L4:熱収縮フィルム60によって覆われる部分の最小長さ
【0086】
隠蔽部16は、カバー1のうち、ランプ106が完成した際に保持口金3或いは給電口金4によって隠蔽される部分である。隠蔽部16は、ランプ106が完成した際に保持口金3の内側或いは給電口金4の内側に配置される。隠蔽部16は、例えば、凹環部131と直環部132とに設定される。隠蔽部16の範囲はこれに限定されない。例えば、凹環部131の一部が隠蔽部16に含まれなくても良い。凸環部130の一部が隠蔽部16に含まれても良い。
【0087】
露出部15は、カバー1のうち、ランプ106が完成した際に保持口金3及び給電口金4によって隠蔽されない部分である。露出部15は、隠蔽部16の間に配置される。例えば、露出部15は、直管部12と凸環部130とに設定される。露出部15の範囲はこれに限定されない。例えば、凸環部130の一部が露出部15に含まれなくても良い。凹環部131の一部が露出部15に含まれても良い。
【0088】
長さL4は、熱収縮フィルム60によって覆われる必要がある範囲の長さである。即ち、ランプ106が完成した際に、少なくとも長さL4で示す範囲は、熱収縮フィルム60によって覆われる。長さL4は、露出部15の長さL2より長い長さに設定される。例えば、長さL4は、直管部12と直管部12の両側の凸環部130と凸環部130の両側の凹環部131とを合わせた部分の長さに設定される。長さL4は、熱収縮した後の熱収縮フィルム60に必要な長さと一致する。
【0089】
また、
図13に示すチューブ状の熱収縮フィルム60を用意する。
図13に示す各寸法は以下の通りである。
<長手方向の寸法>
L5:熱収縮する前の熱収縮フィルム60の長さ
<径方向の寸法>
D3:熱収縮する前の熱収縮フィルム60の外径
D4:熱収縮する前の熱収縮フィルム60の内径
T1:熱収縮する前の熱収縮フィルム60の厚さ
【0090】
長さL5は、ランプ106が完成した際にカバー1の長さL4で示した範囲の全体を熱収縮フィルム60によって覆うことができる長さに設定される。例えば、長さL5は、カバー1の全体の長さL1より長い長さに設定される。長尺の熱収縮フィルム60を用意した場合は、熱収縮フィルム60を長さL5に切断する(W11)。
【0091】
W11の工程とW12の工程とは、どちらが先に行われても良い。
【0092】
次に、カバー1を熱収縮フィルム60に挿入し、カバー1を熱収縮フィルム60に対して予め定められた位置に配置する(W13)。
図14は、カバー1を熱収縮フィルム60の内部に配置した状態を示す。例えば、カバー1を熱収縮フィルム60の中央に配置し、カバー1の全体を熱収縮フィルム60によって覆う。
【0093】
図14に示す径方向の寸法A1は、カバー1の直管部12と熱収縮する前の熱収縮フィルム60との間に形成される隙間の理論平均値である。寸法A1は、熱収縮する前の熱収縮フィルム60の内径D4と直管部12の外径D1との差を2で割った値に等しい。熱収縮フィルム60としては、この寸法A1が厚さT1の5倍から20倍程度となるものが好適である。例えば、直管部12の外径D1が25.5mmであるカバー1に対して、熱収縮する前の厚さT1が0.1mmである熱収縮フィルム60を使用する場合を考える。かかる場合、直管部12の外周面10と熱収縮フィルム60の内面67との間隔の理論平均値が0.5mmから2.0mmの値となる熱収縮フィルム60を使用すれば良い。
【0094】
次に、カバー1と熱収縮フィルム60とを
図14に示す位置に配置した状態で加熱し、熱収縮フィルム60を収縮させる。これにより、熱収縮フィルム60がカバー1の外周面10に密着する(W14)。
図15は、熱収縮した熱収縮フィルム60がカバー1に密着した状態を示す。
図15に示すように、カバー1は、全体が熱収縮フィルム60によって覆われる。
【0095】
W14の工程では、例えば加熱温度、加熱時間及び加熱分布を調整し、カバー1の一方の端部14から他方の端部14に向けて熱収縮フィルム60をカバー1に徐々に密着させる。これは、カバー1と熱収縮フィルム60との間に気泡が残留しないようにするためである。特にカバー1の露出部15に気泡が残ることは好ましくない。カバー1の中央部から双方の端部14に向けて熱収縮フィルム60をカバー1に徐々に密着させても良い。
【0096】
図15に示す長手方向の寸法L6は、熱収縮フィルム60の熱収縮後の仕上がり長さを示す。長さL6は、カバー1の全体の長さL1より長い。熱収縮する前の熱収縮フィルム60の長さL5は、長さL6が長さL1より長くなるように予め設定される。
【0097】
次に、熱収縮フィルム60の余長部分を切断する(W15)。
図16は、熱収縮フィルム60の余長部分を切断した後の状態を示す。
図16に示す長手方向の寸法L7は、熱収縮フィルム60の裁断後の長さを示す。
図16は、第1開口及び第2開口を形成するカバー1の縁に沿って熱収縮フィルム60を切断した例を示す。即ち、熱収縮フィルム60は、カバー1の長さに揃えて切断される。長さL7は、長さL1に一致する。
【0098】
次に、カバー1の内部に光源ユニット2を取り付ける(W16)。先ず、カバー1に光源ユニット2を挿入し、カバー1の内部に光源ユニット2を配置する。光源ユニット2は、全体がカバー1の内部に配置される。光源ユニット2をカバー1の内部に適切に配置すると、対向部225をカバー1の内周面11に対して固定する。
【0099】
次に、カバー1に対して保持口金3と給電口金4とを取り付ける(W17)。例えば、カバー1の第2端部141に給電口金4を被せ、その状態でネジ5をネジ孔231にねじ込む。これにより、給電口金4が光源ユニット2に固定される。なお、給電口金4(或いは、保持口金3)を光源ユニット2に固定した後に、対向部225をカバー1の内周面11に対して固定しても良い。
【0100】
図17は、給電口金4を光源ユニット2に取り付けた状態を示す。
図17に示す径方向の寸法H1は、給電口金4の凸部403の幅を示す。寸法R1は、熱収縮フィルム60の接合部63と給電口金4(又は、保持口金3)との相対的な位置ずれ範囲を示す。
【0101】
給電口金4が光源ユニット2に適切に固定されると、給電口金4の給電端子41が光源ユニット2に電気的に接続される。給電口金4が光源ユニット2に適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち直環部132及び凹環部131を覆う部分がカバー1と給電口金4との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁が給電口金4の内側に配置される。第2開口と熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁とは給電口金4に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0102】
次に、カバー1の第1端部140に保持口金3を被せ、その状態でネジ5をネジ孔231にねじ込む。これにより、保持口金3が光源ユニット2に固定される。
図18は、給電口金4と保持口金3との双方を光源ユニット2に取り付けた状態を示す。保持口金3が光源ユニット2に適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち直環部132及び凹環部131を覆う部分がカバー1と保持口金3との間に配置される。更に、熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁が保持口金3の内側に配置される。第1開口と熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁とは保持口金3に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0103】
上記説明では、給電口金4を保持口金3より先に取り付けた。これは一例である。保持口金3の取り付けを先に行い、給電口金4の取り付けを後に行っても良い。
【0104】
以上の手順により、
図2から
図4に示す構成のランプ106が製造される。
【0105】
上記構成を有するランプ106は、複数の層からなる波長弁別層6がカバー1に設けられる。各層の波長弁別特性を適切に設定することにより、所望の光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。特に、光源ユニット2に擬似白色LEDが搭載されている場合は、狭い波長帯域において分光放射強度を減衰させる必要がある。上記構成を有するランプ106であれば、波長弁別層6を構成する各層の波長弁別特性を組み合わせて全体の波長弁別特性を設定できるため、このような場合にも容易に対応できる。また、上記構成を有するランプ106であれば、JIS Z 9112に規定されていない光色を有する特殊な光を放つこともできる。
【0106】
上記構成を有するランプ106では、熱収縮フィルム60の第1端部650が保持口金3の内側に配置される。熱収縮フィルム60の第2端部651は、給電口金4の内側に配置される。熱収縮フィルム60の端部65がランプ106の表面に露出しない。このため、ランプ106の意匠性を改善できる。
【0107】
上記構成を有するランプ106では、熱収縮フィルム60の直環部132及び凹環部131を覆う部分がカバー1と保持口金3或いは給電口金4とに挟み込まれる。熱収縮フィルム60は、保持口金3の外側及び給電口金4の外側に配置されない。このため、熱収縮フィルム60が、第1端部650又は第2端部651から捲れたり剥がれたりすることを防止できる。例えば、検査工程及び包装工程といったランプ106を組み立てた後の工程で熱収縮フィルム60が剥がれてしまうことを防止できる。また、ランプ106を給電器具101に取り付ける施工工程で熱収縮フィルム60が剥がれてしまうことを防止できる。
【0108】
上記構成を有するランプ106では、保持口金3及び給電口金4を取り付けることによって、熱収縮フィルム60の捲れ及び剥がれを防止するための構造を得ることができる。熱収縮フィルム60の端部65を固定するためだけに必要な部材を必要としない。また、熱収縮フィルム60の端部65を固定するためだけに必要な作業は発生しない。このため、部品点数を低減することができ、組み立て性を改善できる。
【0109】
本実施の形態では、カバー1が第1開口及び第2開口を有する中空の部材である例について説明した。これは一例である。例えば、保持口金3が光源ユニット2に電気的に接続されないのであれば、カバー1は第1開口を有していなくても良い。また、照明装置100が卓上で使用される場合は、上記給電口金4に相当する口金のみが備えられていても良い。かかる場合は、必然的にカバー1には1つの開口しか形成されない。
【0110】
本実施の形態では、ランプ106について詳しく説明したが、市場に流通させる形態は上記ランプ106の形態に限られない。例えば、電源装置105等を備えた照明装置100を市場に流通させても良い。また、ランプ106から光源ユニット2を除いたものをランプ用ケースとして市場に流通させても良い。カバー1に波長弁別層6を設けたものをランプ用ケースとして市場に流通させても良い。このような形態であっても、上記と同様の効果が期待できる。
【0111】
次に、
図19から
図26も参照し、上記構成を有するランプ106の他の製造方法について具体的に説明する。
図19は、ランプ106の製造方法の他の例を示すフローチャートである。
図20から
図26は、ランプ106の組み立て手順を説明するための図である。
図20から
図26において、破線で囲まれた部分は断面を示す。
【0112】
先ず、
図20に示すカバー1を用意する。カバー1は、例えば中空のガラス管である。上述したように、カバー1は、直管部12とネック部13とを備える。カバー1の第1端部140に第1開口が形成される。第2端部141に第2開口が形成される。
【0113】
次に、用意したカバー1の内周面11に光色調整膜64を形成する(W22)。光色調整膜64の形成は、例えば、光色調整材を含む混合液体をカバー1の内周面11に塗布し、乾燥させることによって行われる。光色調整膜64の形成方法は、これに限定されない。
図21は、カバー1の内周面11に光色調整膜64を形成した状態を示す。光色調整膜64は、例えば内周面11の全体に渡って形成される。
【0114】
また、
図22に示すチューブ状の熱収縮フィルム60を用意する。
図22に示す長手方向の寸法L8は、熱収縮する前の熱収縮フィルム60の長さを示す。長さL8は、ランプ106が完成した際にカバー1の長さL4で示した範囲の全体を熱収縮フィルム60によって覆うことができる長さに設定される。例えば、長さL8は、L4より長く且つ長さL1より短い長さに設定される。長尺の熱収縮フィルム60を用意した場合は、熱収縮フィルム60を長さL8に切断する(W21)。
【0115】
次に、カバー1を熱収縮フィルム60に挿入し、カバー1を熱収縮フィルム60に対して予め定められた位置に配置する(W23)。
図23は、カバー1を熱収縮フィルム60の内部に適切に配置した状態を示す。例えば、カバー1の中央と熱収縮フィルム60の中央とが合うようにカバー1を配置する。長さL8は、長さL1より短い。このため、熱収縮フィルム60の双方の端部65からカバー1が突出する。カバー1のうちこの突出する部分以外は、熱収縮フィルム60によって覆われる。
【0116】
次に、カバー1と熱収縮フィルム60とを
図23に示す位置に配置した状態で加熱し、熱収縮フィルム60を収縮させる。これにより、熱収縮フィルム60がカバー1に密着する(W24)。
図24は、熱収縮した熱収縮フィルム60がカバー1に密着した状態を示す。
図24に示すように、カバー1は、第1開口を形成する縁と第2開口を形成する縁とが熱収縮フィルム60によって覆われない。カバー1の他の部分は、熱収縮フィルム60によって全体が覆われる。熱収縮フィルム60の各端部65は、例えばカバー1の直環部132の外側に配置される。
【0117】
図24に示す長手方向の寸法L9は、熱収縮フィルム60の熱収縮後の仕上がり長さを示す。長さL9は、例えば長さL4より長く且つ長さL1より短い。熱収縮する前の熱収縮フィルム60の長さL8は、長さL9が長さL4より長く且つ長さL1より短くなるように予め設定される。
【0118】
次に、カバー1の内部に光源ユニット2を取り付ける(W26)。先ず、カバー1に光源ユニット2を挿入し、カバー1の内部に光源ユニット2を配置する。光源ユニット2は、全体がカバー1の内部に配置される。光源ユニット2をカバー1の内部に適切に配置すると、対向部225をカバー1の内周面11に対して固定する。
【0119】
次に、カバー1に対して保持口金3と給電口金4とを取り付ける(W27)。例えば、カバー1の第2端部141に給電口金4を被せ、その状態でネジ5をネジ孔231にねじ込む。これにより、給電口金4が光源ユニット2に固定される。なお、給電口金4(或いは、保持口金3)を光源ユニット2に固定した後に、対向部225をカバー1に対して固定しても良い。
【0120】
図25は、給電口金4を光源ユニット2に取り付けた状態を示す。
図25に示す長手方向の寸法L10(右側)は、カバー1に密着した熱収縮フィルム60のうち給電口金4によって隠蔽される部分の長さを示す。
【0121】
給電口金4が光源ユニット2に適切に固定されると、給電口金4の給電端子41が光源ユニット2に電気的に接続される。給電口金4が光源ユニット2に適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち直環部132及び凹環部131を覆う部分がカバー1と給電口金4との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁もカバー1と給電口金4との間に配置される。即ち、熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁が給電口金4の内側に配置される。第2開口と熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁とは給電口金4に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0122】
次に、カバー1の第1端部140に保持口金3を被せ、その状態でネジ5をネジ孔231にねじ込む。これにより、保持口金3が光源ユニット2に固定される。
図26は、給電口金4と保持口金3との双方を光源ユニット2に取り付けた状態を示す。
図26に示す長手方向の寸法L10(左側)は、カバー1に密着した熱収縮フィルム60のうち保持口金3によって隠蔽される部分の長さを示す。
【0123】
保持口金3が光源ユニット2に適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち直環部132及び凹環部131を覆う部分がカバー1と保持口金3との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁もカバー1と保持口金3との間に配置される。即ち、熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁が保持口金3の内側に配置される。第1開口と熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁とは保持口金3に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0124】
上記説明では、給電口金4を保持口金3より先に取り付けた。これは一例である。保持口金3の取り付けを先に行い、給電口金4の取り付けを後に行っても良い。
【0125】
図19に示す組み立て手順では、熱収縮フィルム60の余長部分を切断する工程がない。熱収縮する前の熱収縮フィルム60の長さL8を適切に管理することにより、上記手順を実現できる。
図19に示す組み立て手順であれば、組み立て性を更に向上させることができる。また、熱収縮フィルム60の使用量を減らすことができるため、経済性に優れるとともに、環境保全にも繋がる。
【0126】
次に、ランプ106が採用可能な他の構成について説明する。以下に説明する構成を採用しても、上述した効果と同様の効果が期待できる。
【0127】
一例として、第1波長弁別層6Aとして光色調整膜64と同様の光色調整膜を備えても良い。即ち、カバー1の外周面10に、第1波長弁別層6Aとして光色調整膜を設けても良い。かかる場合、カバー1の外周面10に設けられた光色調整膜の膜厚は、光色調整膜64の減衰特性と組み合わせてランプ106の仕様に応じた所望の減衰特性が得られるように設定される。光色調整膜64の膜厚が40μm未満の値であれば、カバー1の外周面10に設けられた光色調整膜の膜厚は40μm以上の値に設定される。例えば、光色調整膜64の膜厚を10μm、カバー1の外周面10に設けられた光色調整膜の膜厚を120μmとすることができる。即ち、異なる膜厚の光色調整膜がカバー1の外周面10と内周面11とに設けられる。
【0128】
また、カバー1の外周面10に設けられた光色調整膜が光色調整膜64と同様に光色調整材として有機顔料を含む場合は、光色調整材の体積含有率を光色調整膜64の体積含有率と異なる値とすることによっても波長弁別特性を変えることができる。光色調整膜64の光色調整材の体積含有率が10.0%程度未満であれば、カバー1の外周面10に設けられた光色調整膜の光色調整材の体積含有率は10.0%程度以上に設定される。例えば、光色調整膜64の光色調整材の体積含有率を5.0%程度、カバー1の外周面10に設けられた光色調整膜の光色調整材の体積含有率を15.0%とすることができる。
【0129】
他の例として、第1波長弁別層6Aと第2波長弁別層6Bとをカバー1の同じ面に設けても良い。例えば、カバー1の外周面10に、第1波長弁別層6Aと第2波長弁別層6Bとを重ねて設けても良い。かかる場合は、カバー1の外周面10に第1波長弁別層6Aを設けた後に、その第1波長弁別層6Aの表面に第2波長弁別層6Bを設ければ良い。また、カバー1の内周面11に、第1波長弁別層6Aと第2波長弁別層6Bとを重ねて設けても良い。かかる場合は、カバー1の内周面11に第1波長弁別層6Aを設けた後に、その第1波長弁別層6Aの表面に第2波長弁別層6Bを設ければ良い。
【0130】
他の例として、波長弁別層6が3層以上の層を備えても良い。かかる場合、カバー1の外周面10のみに波長弁別層6を設けても良いし、内周面11のみに波長弁別層6を設けても良い。波長弁別層6の一部の層をカバー1の外周面10に設け、波長弁別層6の他の層をカバー1の内周面11に設けても良い。
【0131】
本実施の形態では、500nmより短波長の領域において分光放射強度(相対強度)を略0にしたランプ106を一例として示した。光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を調整することにより、光色調整膜64を通過した光の分光放射強度(相対強度)が略0となる帯域をシフトさせても良い。例えば、480nmより短波長の領域において、光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度(相対強度)を略0にする。即ち、有機顔料(光色調整材)の体積含有率を調整することにより、分光放射強度(相対強度)が略0となる帯域を短波長側にシフトさせる。また、500nmより長波長の領域における分光放射強度(相対強度)を相対的に増加させる。これにより、低誘虫性に優れたランプ106を得ることができる。
【0132】
また、光色調整膜64に黄色蛍光体を混合することにより、減衰或いは増加させる光の波長帯域をシフトさせても良い。このような構成によっても、所望の光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。なお、光色調整膜64に黄色蛍光体を混合することにより、500nmより短波長の青色帯域の光を黄色帯域の光に変換できる。LED200から発せられる光のエネルギーを無駄なく活用することができ、ランプ106の光束の低下を防止できる。LED200のパッケージの内部に黄色蛍光体を設けることによって上記機能を実現しても良い。LED200の近傍、例えばLED200のパッケージとカバー1との間に黄色蛍光体を設けることによって上記機能を実現しても良い。
【0133】
実施の形態2.
図27は、この発明の実施の形態2におけるランプ106aの一例を示す断面図である。
図27に示す断面は、
図2のA−A断面に相当する断面である。
図27に示すランプ106aは、給電器具101によって保持される。ランプ106aは、例えばカバー1a、波長弁別層6、保持口金3、給電口金4及び光源ユニット2を備える。
【0134】
カバー1aは、開口を有する中空の部材からなる。カバー1aの各端部14に、内部の空間に通じる開口が形成される。カバー1aは、第1端部140から第2端部141に渡って同じ径を有する。即ち、カバー1aは、ネック部13を備えていない。
【0135】
熱収縮フィルム60は、カバー1aの外側からカバー1aを覆う。熱収縮フィルム60をカバー1aに密着させる手順は、
図10に示す手順でも
図19に示す手順でも良い。
図27は、カバー1aの外周面10の全体が熱収縮フィルム60によって覆われる例を示す。
【0136】
保持口金3は、例えば、円筒状の周壁部300に、カバー1aの端面を突き当てるための段差が形成される。保持口金3をカバー1aの第1端部140に被せる際に熱収縮フィルム60が剥がれることを防止するため、周壁部300の底壁部301から最も離れた縁部にテーパが形成される。
【0137】
保持口金3が光源ユニット2に適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち第1端部650に近い部分がカバー1aと保持口金3との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁が保持口金3の内側に配置される。第1開口と熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁とは保持口金3に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0138】
給電口金4は、例えば、円筒状の周壁部400に、カバー1aの端面を突き当てるための段差が形成される。給電口金4をカバー1aの第2端部に被せる際に熱収縮フィルム60が剥がれることを防止するため、周壁部400の底壁部401から最も離れた縁部にテーパが形成される。
【0139】
給電口金4が光源ユニット2に適切に固定されると、給電口金4の給電端子41が光源ユニット2に電気的に接続される。給電口金4が光源ユニット2に適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち第2端部651に近い部分がカバー1aと給電口金4との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁が給電口金4の内側に配置される。第2開口と熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁とは給電口金4に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0140】
上記構成を有するランプ106aであれば、熱収縮フィルム60のカバー1aに対する密着性を向上させることができる。長期に渡って熱収縮フィルム60の捲れ及び剥がれを防止できる。
【0141】
実施の形態3.
図28は、この発明の実施の形態3におけるランプ106bの一例を示す断面図である。
図28に示す断面は、
図3のB−B断面に相当する断面である。
図28に示すランプ106bは、光源ユニット2bがカバー1bに収納されていない。
【0142】
図28に示すランプ106bは、給電器具101によって保持される。ランプ106bは、例えばカバー1b、波長弁別層6、保持口金3、給電口金4及び光源ユニット2bを備える。
【0143】
光源ユニット2bは、ヒートシンク21bの対向部225bが一対の支持部221間に渡って一体的に設けられる。光源ユニット2bの他の構成は、実施の形態1で開示した光源ユニット2の構成と同じである。対向部225bは、断面が例えば円弧状を呈する。
【0144】
カバー1bは、例えば円筒の部材を軸に沿って切断した形状を呈する。カバー1bは、光源ユニット2bの全体を覆うのではなく、光源ユニット2bの一部のみを覆う。カバー1bは、光源ユニット2bに設けられる。例えば、カバー1bに、光源ユニット2bを保持するための突起部17及び18が設けられる。光源取付部210の縁部が突起部17及び18の間に挟み込まれるように光源ユニット2bをスライドさせることにより、カバー1bを光源ユニット2bに取り付けることができる。カバー1bが光源ユニット2bに適切に取り付けられると、カバー1bの長手方向に形成されていた開口を塞ぐように対向部225bが配置される。これにより、LED200等が搭載された基板201がカバー1bによって覆われる。
【0145】
本実施の形態におけるランプ106bでは、カバー1bと光源ユニット2bとにより、筒状の部材が形成される。このため、カバー1bが光源ユニット2bに適切に取り付けられなければ、上記第1開口に相当する開口及び上記第2開口に相当する開口は形成されない。これらの開口は、カバー1bと光源ユニット2bとの双方によって形成される。
【0146】
本実施の形態におけるランプ106bを製造する場合は、カバー1bの内周面11に光色調整膜64を形成した後、先ず、カバー1bを光源ユニット2bに取り付けて筒状部材を形成する。そして、その筒状部材を熱収縮フィルム60に挿入し、熱収縮フィルム60を熱収縮させる。即ち、熱収縮フィルム60は、カバー1bと光源ユニット2bとの双方を覆う。熱収縮フィルム60を上記筒状部材に密着させた後、必要に応じて熱収縮フィルム60の余長部分を切断し、保持口金3と給電口金4とを筒状部材に取り付ける。
【0147】
給電口金4が光源ユニット2bに適切に固定されると、給電口金4の給電端子41が光源ユニット2bに電気的に接続される。給電口金4が光源ユニット2bに適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち第2端部651に近い部分の一部がカバー1bと給電口金4との間に配置される。第2端部651に近い部分の上記一部以外の部分は、光源ユニット2bと給電口金4との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁が給電口金4の内側に配置される。第2開口と熱収縮フィルム60の第2開口に沿う縁とは給電口金4に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0148】
保持口金3が光源ユニット2bに適切に固定されると、熱収縮フィルム60のうち第1端部650に近い部分の一部がカバー1bと保持口金3との間に配置される。第1端部650に近い部分の上記一部以外の部分は、光源ユニット2bと保持口金3との間に配置される。また、熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁が保持口金3の内側に配置される。第1開口と熱収縮フィルム60の第1開口に沿う縁とは保持口金3に覆われる。このため、熱収縮フィルム60の上記縁を外側から見ることはできない。
【0149】
上記構成を有するランプ106bにおいても、実施の形態1で開示したランプ106等が奏する効果と同様の効果が期待できる。さらに、実施の形態1で開示したランプ106に対して、カバー1bの内周面11に形成される光色調整膜64の面積を少なくすることができる。つまり、光色調整膜64の使用量を減らすことができるため、経済性に優れるとともに、環境保全にも繋がる。本実施の形態では、カバー1bを光源ユニット2bに取り付けたものの断面の外径が円形である場合について説明した。これは一例である。上記断面の外形は円形に限定されない。上記断面の外形は、楕円形、三角形、四角形或いは多角形等であっても良い。カバー1bの断面形状のみを他の形状にしても良い。
【0150】
実施の形態4.
図29は、この発明の実施の形態4におけるランプ106cの一例を示す側面図である。
図29に示すランプ106cは、給電器具101によって保持される。ランプ106cは、例えばカバー1、波長弁別層6、保持口金3c、給電口金4c及び光源ユニット2を備える。
【0151】
保持口金3cは、例えば筐体部30cと保持端子31とを備える。筐体部30cは、例えば周壁部300と底壁部301とから構成される。保持口金3cは、周壁部300の底壁部301から最も離れた縁部にガイド溝304が形成される。保持口金3cは、ガイド溝304が熱収縮フィルム60の接合部63に対向するように配置される。これにより、熱収縮フィルム60に対する保持口金3cの向きを一定に保つことができる。
【0152】
給電口金4cは、例えば筐体部40cと給電端子41とを備える。筐体部40cは、例えば周壁部400と底壁部401とから構成される。給電口金4cは、周壁部400の底壁部401から最も離れた縁部にガイド溝404が形成される。給電口金4cは、ガイド溝404が熱収縮フィルム60の接合部63に対向するように配置される。これにより、熱収縮フィルム60に対する給電口金4cの向きを一定に保つことができる。
【0153】
実施の形態5.
図30は、この発明の実施の形態5におけるランプ106dの一例を示す側面図である。
図30に示すランプ106dは、給電器具101によって保持される。ランプ106dは、例えばカバー1、波長弁別層6、保持口金3d、給電口金4d及び光源ユニット2を備える。
【0154】
保持口金3dは、例えば筐体部30dと保持端子31とを備える。筐体部30dは、例えば周壁部300と底壁部301とから構成される。保持口金3dは、周壁部300の外面に表示部305が設けられる。表示部305に、ランプ106dの型式番号、仕様、製造者及び生産地といった重要な情報が表示される。保持口金3dは熱収縮フィルム60によって覆われない。このため、周壁部300の外面を必要な情報を表示する場所として活用できる。また、保持口金3dは、熱収縮フィルム60を必要としないランプに使用されるものと同じ工程で製造できる。
【0155】
給電口金4dは、例えば筐体部40dと給電端子41とを備える。筐体部40dは、例えば周壁部400と底壁部401とから構成される。給電口金4dは、周壁部400の外面に表示部405が設けられる。表示部405に、ランプ106dの型式番号、仕様、製造者及び生産地といった重要な情報が表示される。給電口金4dは熱収縮フィルム60によって覆われない。このため、周壁部400の外面を必要な情報を表示する場所として活用できる。また、給電口金4dは、熱収縮フィルム60を必要としないランプに使用されるものと同じ工程で製造できる。
【0156】
実施の形態1から5では、口金の形状がJEL801である直管ランプについて具体的な説明を行った。口金の形状はこれに限定されない。例えば、口金の形状がJEL802である直管ランプにも本発明が適用できることは言うまでもない。
【0157】
実施の形態1から5において説明した構成は、可能な範囲で組み合わせて実施しても良い。また、実施の形態1から5で説明した構成の1つを部分的に実施しても良い。実施の形態1から5で説明した構成の複数を部分的に組み合わせて実施しても良い。本発明は、実施の形態1から5で説明した構成のみに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変形が可能である。
【0158】
実施の形態6.
本実施の形態では、実施の形態1から5では開示されていない光色(スペクトラム)を有する光を得る例について説明する。ランプ106の構成自体は、実施の形態1から5で開示された何れの構成を採用しても良い。例えば、ランプ106は、光源素子としてLED200を備える。また、ランプ106は波長弁別層6を備える。例えば、第1波長弁別層6Aとして熱収縮フィルム60が備えられる。第2波長弁別層6Bとして光色調整膜64が備えられる。
【0159】
図31は、この発明の実施の形態6の作用効果を説明するための図である。
図31は、LED200から発せられた光の分光放射強度と、有機顔料を用いた光色調整膜64を通過させた光の分光放射強度とを比較したグラフである。
図31は、LED200から発せられた光の最大量を1としたときの相対値を表している。
【0160】
図31に示すように、LED200は、450nm付近、520nm付近及び640nm付近で、発せられる光が相対的に増加する特性を有する。LED200から発せられる光の量は、450nm付近が最大となる。
【0161】
図31に示すように、実験によれば、光色調整材として有機顔料を用いた場合、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を0.5%〜1.0%程度に調整した場合に最良の結果を得た。つまり、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を0.5%〜1.0%程度に調整した場合、640nm付近の帯域では光はほとんど減衰していない。一方、450nm付近の帯域及び520nm付近の帯域では、光が大幅に減衰している。
【0162】
光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率を1.0%程度に調整した場合は、450nm付近の帯域の光の分光放射強度と640nm付近の帯域の光の分光放射強度とがほぼ等しくなる。また、520nm付近の帯域の光の分光放射強度は、450nm付近の帯域の光の分光放射強度に対して40%程度の値となる。
【0163】
例えば、カバー1の外周面10に設けられた熱収縮フィルム60により、各帯域の光の減衰量を微調整できる。波長弁別層6を構成する各層の波長弁別特性を適切に設定することにより、所望の光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。本実施の形態に示すランプ106であれば、赤色の帯域の分光放射強度を相対的に大きくした光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。このため、実施の形態6のランプ106は、鮮魚或いは精肉等の食品陳列設備向けの照明装置100に好適である。
【0164】
光色調整膜64に赤色蛍光体を混合することにより、減衰或いは増加させる光の波長帯域をシフトさせても良い。このような構成によっても、所望の光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。なお、光色調整膜64に赤色蛍光体を混合することにより、500nmより短波長の青色帯域の光を赤色帯域の光に変換できる。LED200から発せられる光のエネルギーを無駄なく活用することができ、ランプ106の光束の低下を防止できる。LED200のパッケージの内部に赤色蛍光体を設けることによって上記機能を実現しても良い。LED200の近傍、例えばLED200のパッケージとカバー1との間に赤色蛍光体を設けることによって上記機能を実現しても良い。
【0165】
実施の形態7.
本実施の形態では、実施の形態1から6では開示されていない光色(スペクトラム)を有する光を得る例について説明する。ランプ106の構成自体は、実施の形態1から5で開示された何れの構成を採用しても良い。例えば、ランプ106は、光源素子としてLED200を備える。LED200は、実施の形態6で開示したものを採用しても良い。ランプ106は波長弁別層6を備える。例えば、第1波長弁別層6Aとして熱収縮フィルム60が備えられる。第2波長弁別層6Bとして光色調整膜64が備えられる。
【0166】
例えば、光色調整材として有機顔料が用いられ、光色調整膜64における有機顔料(光色調整材)の体積含有率が調整される。これにより、520nm付近の帯域では光をほとんど減衰させず、450nm付近の帯域及び640nm付近の帯域では光を大幅に減衰させる光色調整膜64を得る。
【0167】
例えば、カバー1の外周面10に設けられた熱収縮フィルム60により、各帯域の光の減衰量を微調整できる。波長弁別層6を構成する各層の波長弁別特性を適切に設定することにより、所望の光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。本実施の形態に示すランプ106であれば、緑色の帯域の分光放射強度を相対的に大きくした光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。このため、実施の形態7のランプ106は、野菜等の食品陳列設備向けの照明装置100に好適である。
【0168】
光色調整膜64に緑色蛍光体を混合することにより、減衰或いは増加させる光の波長帯域をシフトさせても良い。このような構成によっても、所望の光色(スペクトラム)を有する光を得ることができる。なお、光色調整膜64に緑色蛍光体を混合することにより、500nmより短波長の青色帯域の光を緑色帯域の光に変換できる。LED200から発せられる光のエネルギーを無駄なく活用することができ、ランプ106の光束の低下を防止できる。LED200のパッケージの内部に緑色蛍光体を設けることによって上記機能を実現しても良い。LED200の近傍、例えばLED200のパッケージとカバー1との間に緑色蛍光体を設けることによって上記機能を実現しても良い。