特許第6481757号(P6481757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6481757
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】物体を除染するための除染カバー
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A61L2/10
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-520393(P2017-520393)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公表番号】特表2017-532138(P2017-532138A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】US2015056207
(87)【国際公開番号】WO2016061572
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年5月26日
(31)【優先権主張番号】62/065,198
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518454597
【氏名又は名称】ディヴァーシー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック エム.デイトン
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0065028(KR,A)
【文献】 国際公開第2010/095707(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3178065(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3186577(JP,U)
【文献】 特開2009−050584(JP,A)
【文献】 特表2003−512134(JP,A)
【文献】 特開2007−075149(JP,A)
【文献】 ロシア国特許出願公開第02106848(RU,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0179574(US,A1)
【文献】 特表2014−524754(JP,A)
【文献】 米国特許第05173967(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00−2/28、11/00−12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除染対象物に適用される除染カバーであって、
柔軟な材料を含むシート状本体と、UVC光を実質的に透過しない外向き面と、前記除染対象物の表面に対向して配置される内向き面と、
前記内向き面で露出するとともに、第1のアレイで配置された複数のUVC源と、
前記UVC源の間に配置されて、前記UVC源と前記除染対象物の表面との適切な分離を維持し、前記UVC源によって発せられるUVC光を前記表面に完全に行き渡らせる複数のスペーサと、を含み、
前記複数のスペーサは、前記内向き面から突出するように前記内向き面に設けられ、かつ、
前記複数のスペーサは、前記第1のアレイとは異なる第2のアレイで前記内向き面に配置される、
除染カバー。
【請求項2】
前記内向き面は、前記内向き面に設けられて前記UVC光を概ね前記表面に向ける反射材料を含む、
請求項1に記載の除染カバー。
【請求項3】
前記スペーサの少なくとも一部は、前記UVC源によって発せられる前記UVC光に対して実質的に透過する材料から形成される、
請求項1に記載の除染カバー。
【請求項4】
前記UVC源はUVC発光ダイオードを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の除染カバー。
【請求項5】
前記スペーサは、隣接するUVC源によって発せられる前記UVC光を、前記除染対象物の前記表面上の共通点に集束させるのに適した高さを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の除染カバー。
【請求項6】
前記スペーサは、隣接するUVC源によって発せられる前記UVC光を重ねて、前記隣接するUVC源の各々によって発せられる光に晒される前記除染対象物の前記表面に重なり領域を形成するのに適した高さを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の除染カバー。
【請求項7】
前記シート状本体の第1の部分を、前記シート状本体の第2の部分に連結する解放可能なファスナをさらに含む、
請求項1に記載の除染カバー。
【請求項8】
前記解放可能なファスナは面ファスナシステムを含み、
前記シート状本体の前記第2の部分は、前記面ファスナシステムの一部を形成するファスナ材料を含む前記外向き面の領域を含む、
請求項に記載の除染カバー。
【請求項9】
前記複数のUVC源は、前記UVC源の外面またはレンズが前記内向き面と実質的に同一平面上にあるように構成されている、
請求項1に記載の除染カバー。
【請求項10】
前記複数のスペーサは、それらの遠位端が前記除染対象物の前記表面に接するように構成される、
請求項1に記載の除染カバー。
【請求項11】
前記遠位端は、尖った遠位端である、
請求項10に記載の除染カバー。
【請求項12】
前記除染カバーは、可撓性カバーまたは可撓性ブランケットである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の除染カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、物体の病原菌を減少させるための装置に関する。より詳細には、本出願は、可撓性カバーまたはブランケットであって、点灯されたときカバーが配置された物体に紫外光を照射する複数の紫外光源を含む可撓性カバーまたはブランケットに関する。
【背景技術】
【0002】
病院およびその他の医療環境は、一般に、たとえば病気の患者、病気の患者を扱う医療関係者、または他の病原菌源に接触する輸液・点滴ポンプ(infusion pumps)、キーボード、ベッドレール、遠隔制御装置などの物体を含む。そのような物体に移った病原菌は、その後、異なる患者および/または医療関係者が関わる使用の合間にその物体の表面を適切に洗浄および消毒しない限り、異なる患者および医療関係者に広がるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医療環境において物体の表面を洗浄するために、通常、化学消毒剤で湿らせたペーパータオルを使用して、消毒する表面を湿らせる。表面を少なくとも3分間湿らせたままにして、表面に存在する病原菌の適切な割合の個体群を消毒剤が十分に不活性化することによって、病原菌を他の患者および医療関係者に感染させないようにしなければならない。しかしながら、そのようなプロセスは、使い捨てのペーパータオルを大量に必要とするため使用のたびにペーパータオルが廃棄物となり、また、表面を洗浄する人が細心の注意を払って、使用される特定のペーパータオルにより要求される少なくとも最小の長さの時間の間、表面を消毒剤で確実に湿らせたままにする必要がある。加えて、多くの物体は平面でないため、様々な輪郭、表面間の接合部、および他の届きにくい箇所のすべてを化学消毒剤で湿らせることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、本出願は、除染対象物に適用される除染カバーを包含する。除染カバーは、柔軟な材料から形成されたシート状本体を含み、UVC光を実質的に透過しない外向き面と、除染対象物の表面に対向して配置される内向き面とを含む。複数のUVC源が内向き面で露出し、複数のスペーサがUVC源の間に配置されて、UVC源と除染対象物の表面との適切な分離を維持する。この適切な分離により、UVC源によって発せられるUVC光を表面に完全に行き渡らせる。
【0005】
上記の概要は、本明細書に記載のシステムおよび/または方法のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために、簡単な概要を示すものである。この概要は、本明細書に記載のシステムおよび/または方法の広範囲にわたる概略ではない。この概要は、主要な/重要な要素を特定すること、またはそのようなシステムおよび/もしくは方法の範囲を定めることを意図したものではない。この概要の唯一の目的は、後述するより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡単な形で示すことである。
【0006】
本発明は、ある部品の物理的形状および部品の配置を採用することができ、その実施形態について本明細書で詳細に説明し、その一部をなす添付図面に図示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】物体に掛けられた除染カバーの例示的な実施形態を示す図であり、物体の露出面が除染されている状態を示している。
図2】紫外発光LED源のアレイおよびスペーサのアレイを含む除染カバーの底面の例示的な実施形態を示す図である。
図3】物体に掛けられた除染カバーの、図1において囲まれている領域の部分切取図である。
図4】物体に掛けられた除染カバーの代替実施形態についての、、図1において囲まれている領域の部分切取図である。
図5】物体の周りで巻かれた除染カバーを示す図である。除染カバーは、少なくとも物体を囲むように除染カバー自体に連結される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、ある用語は単に便宜上使用されるものであり、本発明を限定するものとみすなべきではない。本明細書で使用される関連する言い回しは、図面を参照することにより最もよく理解され、図中、同一の数字を使用して同一または同様の要素を特定する。さらに、図中、ある特徴をいくらか概略的な形で示してもよい。
【0009】
複数の部材に続く「〜の少なくとも1つ」という表現は、本明細書で使用される場合、部材の1つ、または2つ以上の部材の組合せを意味することに留意されたい。たとえば、「第1のウィジェット(widget)および第2のウィジェットの少なくとも1つ」という表現は、本出願において、第1のウィジェット、第2のウィジェット、または第1のウィジェットおよび第2のウィジェットを意味する。同様に、「第1のウィジェット、第2のウィジェット、および第3のウィジェットの少なくとも1つ」は、本出願において、第1のウィジェット、第2のウィジェット、第3のウィジェット、第1のウィジェットおよび第2のウィジェット、第1のウィジェットおよび第3のウィジェット、第2のウィジェットおよび第3のウィジェット、または第1のウィジェットおよび第2のウィジェットおよび第3のウィジェットを意味する。
【0010】
除染カバーの例示的な実施形態が図1に示される。このカバーは、簡潔にするために、本明細書で区別なくブランケット10とも呼ばれ、病原菌を減少させるべき露出面14(図3)を有する物体12に掛けられる。「病原菌を減少させる」ために、物体12の露出面14に存在する生物活性微生物の少なくとも一部、任意選択で全体ではなく部分的に不活性化する。たとえば、物体12の病原菌を減少させるには、必ずしも物体12を100%殺菌した、生存可能に人間を感染させ得るありとあらゆる生物活性微生物のない状態にする必要はない。代わりに、病原菌を減少させるには、感染を生じさせるように生存可能な生物活性病原体が、除染プロセスの実行前に表面14に存在した生物活性病原体よりも低いレベルで、本明細書の除染プロセスの実行後に物体12の表面14に残るようにする必要がある。また、生物活性病原体の不活性化は、生きている病原体を死滅させること、または不活性化された病原体に晒された人を感染させる程度まで繁殖する病原体の能力を少なくとも無効にする(たとえば、生存不可能にする)ことを含む。
【0011】
他の実施形態によれば、表面14は、殺菌分野において、たとえば外科手術中に手術室などにおいて使用するための物体に関する米国食品医薬品局の要求により認可された閾値量よりも低いレベルの生存可能な、またはその他の生物活性病原体を有する必要があり得る。他の実施形態によれば、除染プロセスは、除染プロセスの実行直前に表面14に存在する、あらゆる生きた、またはその他の生物活性病原体の少なくとも99%を死滅させ、または他の方法で不活性化して、表面14の病原菌を減少させることが必要である。さらに他の実施形態によれば、ブランケット10を使用して表面14の高レベルの消毒を達成することは、生物活性病原体の適切な部分を不活性化して、感染力が残っている、物体上の生存可能な病原体を少なくとも1log10減少させる(すなわち、除染プロセスが完了した時点で、表面14の生物活性病原体の10分の1未満が活性であるか感染力を有する)ことを含むことができる。
さらに他の実施形態によれば、ブランケット10を使用して表面14の高レベルの消毒を達成することは、生物活性病原体の適切な部分を不活性化して、物体上の生存可能な病原体を少なくとも3log10減少させる(すなわち、1000分の1)ことを含むことができる。さらに他の実施形態によれば、ブランケット10を使用して表面14の高レベルの消毒を達成することは、生物活性病原体の適切な部分を不活性化して、物体上の生存可能な病原体を少なくとも5log10減少させる(すなわち、10万分の1)ことを含むことができる。
【0012】
同様に、ブランケット10を使用して表面14を殺菌することは、生物活性病原体の適切な部分を不活性化して、表面14の生存可能な病原体を少なくとも6log10減少させる(すなわち、100万分の1)ことを含むことができる。物体の殺菌を必要とするさらに他の実施形態により、除染プロセスの実行を通じて表面14の生存可能な微生物を完全に不活性化することができる。
【0013】
除染レベルにかかわらず、ブランケット10を使用することにより、物体12の表面14が除染プロセスを受け、この除染プロセスは、本実施形態では紫外C(「UVC」)光である消毒剤に表面14を晒して、消毒剤に晒された表面14に存在する生物活性汚染物質の一部を不活性化する(たとえば、死滅させる、または他の方法でもはや生存不可能にして感染を生じさせないようにする)ことによって、物体12を少なくとも消毒し、任意選択で殺菌する。除染プロセスが完了すると、物体は、患者の病室、外科手術中の手術室、または他の医療に関連する状況などの殺菌分野における使用に適していると考えられる。
【0014】
再び図1を参照すると、ブランケット10は、UVC光を透過しない外向き面16を含む。外向き面16はシールドとして機能して、除染プロセス中にUVC源18(図2)によって物体12から概ね離れる方向に発せられるUVC光の伝播を妨げる。したがって、外向き面16は、物体12に掛けられる、または物体12に巻き付けられるとき、観察者に見える状態のままとなっている。外向き面16および/または下にある材料がUVC光を透過しないため、観察者はUVC源18により発せられるUVC光に晒されることはない。代替実施形態によれば、ブランケット10は、UVC光を透過しない材料から作られた別個の光シールドをさらに含んでよい。そのような実施形態について、ブランケット10が除染対象の物体12に掛けられ、巻き付けられ、または他の方法で適用された後に、別個のシールドを、不透過性の外向き面16のないブランケット10の実施形態の上に掛ける、および/またはこれに巻き付けることができる。
【0015】
ブランケット10の内向き面20が図2に示される。内向き面20は、ブランケット10により除染されている物体12に面したブランケット10の表面である。このように、内向き面20は、任意選択で規則的なアレイに配置された複数のUVC源18と、また任意選択でUVC源18の間に規則的なアレイに配置された複数のスペーサ22とを含む。内向き面20は、任意選択で反射性であり(たとえば、研磨されたマイラー(polished mylar))、UVC源により概ね表面14に向かって発せられる反射UVC光を集束させてもよい。
【0016】
各UVC源18は、動作中に(たとえば、約200nm〜約280nmの波長の)UVC光を発し、動作不能でUVC光を発することができなくなる程度まで損傷を受けることなくブランケット10の屈曲に耐えるよう、適切に耐久性を有する。各UVC源18はUVC発光ダイオード(「UVC LED」)を含んでよく、これは、半導体基板、またはたとえば通電時にUVC光を発する窒化アルミニウムなどの他の適切な基板に形成された固体デバイスである。UVC源18は、任意選択で、内向き面20から内方へ(たとえば、概ね外向き面20に向かう方向へ)凹状になっていてよい。UVC源18が凹状であるかどうかにかかわらず、UVC源18は内向き面で露出して、UVC光を物体12の露出面14に向かって発する。
【0017】
UVC源18の各々に通電するための電気エネルギーを電源24によって供給してもよい。この電源24は、ブランケット10により支持される図1に示すコントローラに設けられる。電源24は、充電式および/または交換式バッテリなどの、UVC源18に供給される電気エネルギーの携帯型自給式供給源であってよい。代替実施形態によれば、電源24は、地元の電力会社により供給されるAC電源壁コンセントなどの外部電源からの電気エネルギーを調整する(たとえば、整流する、増幅する、低下させるなど)ように動作可能な回路部品を含んでよい。そのような実施形態について、プラグ26は、任意選択で、電源24からAC電源壁コンセントへ延びて、バッテリを充電し、電気エネルギーを回路部品に伝えるなどしてもよい。プラグ26を、任意選択で、電源24と電気通信するブランケット10に設けられたソケットに対して取り外し可能かつ再取り付け可能にすることにより、プラグ26を必要に応じて接続できるようにして、バッテリを充電し電気エネルギーを電源24に伝えてUVC源18に通電する。
回路部品は、任意選択で、UVC源18の動作を終了する、かつ/または所定時間の経過後に警告を発するタイマを作って、除染プロセスの完了を示すように構成されていてもよい。さらに、回路部品は、任意選択で、たとえば、UVC源18が活動状態である間に除染カバー10の動きを検出可能な加速度計などの少なくとも1つのセンサを含んでもよい。これに応じて、UVC源18をコントローラにより終了させて、人がUVC光に晒されないようにしてもよい。除染カバー10による除染プロセスの実行を示す情報を記憶する非一時的なコンピュータ可読メモリを、たとえば、回路部品の一部として形成してもよい。たとえば、メモリは、プロセスの完了前に除染プロセスが早まって中断されたかどうか、実行された除染プロセスの数、UVC源18の実行時間、および除染プロセスの実行に関する他のそのようなデータの少なくとも1つを示すデータを記憶してもよい。
【0018】
電源24はブランケット10自体に支持されて示されるが、電源24はブランケット10から離れて位置し、かつブランケット10に設けられたUVC源18に電気エネルギーを伝えるように動作可能に接続されていてもよい。たとえば、外部バッテリパックをブランケット10に接続し、必要に応じて別のバッテリパックと交換して、1つのバッテリのエネルギーが枯渇したときに、ブランケット使用時の中断を最小限にすることができる。別の例として、電気回路部品を含む、ブランケットとは別個のハウジングを含んで、AC電気エネルギーをDC電気エネルギーに整流する、いわゆる「電源アダプタ」タイプのAC/DCアダプタを、ブランケット10から離して位置させ、これを使用してUVC源18に通電してもよい。
【0019】
図2に示すように、UVC源18は、規則的なアレイで配置され、ブランケット10の横方向および長手方向範囲全体にわたって分散される。スペーサ22は、UVC源18の間に配置される。図3は、図1にある輪郭28で特定された、ブランケット10と物体12の表面14との間のインターフェースの除染されている部分の拡大図である。図3に示すように、横方向に離間したUVC源18は、内向き面20、およびしたがってUVC源18が表面14より上で支持される距離に伴って互いに離れて、UVC光30を表面14に完全に行き渡らせる。図示した実施形態について、UVC源18の外面またはレンズ32は、内向き面20と実質的に同一平面上にあり、UVC源18の周囲34を越えて横方向に外方へUVC光を発することに対する妨害を最小限にする。
スペーサ22は各UVC源18のレンズ32を位置決めし、このレンズ32は、表面14から所定の距離だけ離れて表面14を照明することにより、UVC源18により発せられたUVC光30を、UVC源18の周囲34を越えて外方へ放射できるようにする。しかしながら、この分離は限定されて、表面14に到達するUVC光30の強度が、所定時間内に所望の除染レベルを達成するのに確実に適したものになるようにする。したがって、図3に示すように、UVC光30の発光の断面は、やや台形で表され、UVC源18の寸法を超えて延びる到達範囲の領域を表面14に有する。
【0020】
代替実施形態によれば、各スペーサ22の遠位端36を、最小設置面積を有する点に形成して、UVC源18により発せられたUVC光30から陰になる表面14の領域を最小限にしてもよい。代替実施形態によれば、スペーサ22またはその一部(たとえば、尖った遠位端36)を、UVC光30を実質的に透過する材料から形成して、UVC光30による表面14の照明が妨げられないようにすることができる。
【0021】
ブランケット10の断面の代替実施形態が図4に示される。そのような実施形態によれば、支持体22の代わりに、連続した途切れのない材料層またはシート38を内向き面20に連結、接着、または他の方法で適用することができる。この材料層38は、任意選択で、ブランケット10を平坦面に広げた状態で測定したときに高さHを有し、この高さは、隣接するUVC源18によって発せられるUVC光が少なくとも共通点40に向かって集束できるようにし、または任意選択で重なって表面14に重なり領域42を形成するのに適している。そのような実施形態について、材料層38の高さHは、隣接するUVC源18のUVC光発光の角度および隣接するUVC源18を分離する距離に応じて選択される。
スペーサ22を使用する実施形態を同様に構成して(たとえば、スペーサ22の高さ、隣接するUVC源18を分離する距離、各々の隣接するUVC源18のUVC光発光の角度など)、共通点40へのUVC光の集束を達成し、または重なり領域42を作って、隣接するLED源18により発せられるUVC光を表面14に完全に行き渡らせることを確実にしてもよい。
【0022】
使用時に、内向き面20が物体の表面14に対向する状態で、ブランケット10を除染対象の物体12に掛け、かつ/または巻き付けることができる。図5に示すように、面ファスナシステム44または他の解放可能なファスナ、および/または任意選択の別個の光シールドを任意選択で使用して、物体上のブランケット10の位置を維持し、物体12から離れるUVC光の発光を妨げることができる。図5に示す実施形態によれば、面ファスナシステム44は少なくとも1つの、任意選択で複数の可撓性タブ46を含み、このタブ46は、除染カバー10の第1の端部48に連結されるが、その第1の端部48を越えて延びる。各タブ46の下面は、図5に陰線で示す第1の材料(たとえば、フック材料)50を含み、外向き面16は、第1の材料と協働する第2の材料を含む領域を備えて、2つの材料間の接続を確立することができる。たとえば、外向き面16を、任意選択で、面ファスナシステム44の「ループ」材料を構成する布から形成してもよい。
【0023】
除染カバー10が物体12に巻き付けられると、面ファスナシステム44または他のカップリングが除染カバー10の一部を除染カバー10自体に連結することにより、除染カバー10を定位置に保持する。スペーサ22は、UVC源18と除染対象の表面14との間に所望の間隔を確立し、UVC源18はUVC光を発して、表面14の生物活性病原体の許容できる部分を不活性化し、その意図した使用のために表面14の病原菌を減少させる。
【0024】
上述の通り、例示的な実施形態について説明した。上記のデバイスおよび方法は、本発明の一般的範囲から逸脱することなく変更および修正を組み込んでもよいことが当業者に明らかであろう。すべてのそのような修正および変更は本発明の範囲内に含まれるものである。さらに、「includes(含む)」という用語は、これが詳細な説明または特許請求の範囲で使用される限り、「comprising(含む)」が請求項において転換語として使用されるときに解釈されるように、「comprising(含む)」という用語と同様の形で包括的であることを意図したものである。
図1
図2
図3
図4
図5