(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1に記載の天井輻射式空調システムにおいて、執務者は、自身や機器類から生じる熱量が高い場合には、輻射パネルの輻射効果では十分に冷やされず、さらなる快適な熱環境が望まれている。
また、上記の特許文献2に記載の室内空調システムでは、天井放射パネルの上方の冷却された空気は天井放射パネルの上方から室内側へ移動する構成ではないため、室内が十分に冷房されないという問題点がある。さらに、天井放射パネル上方の空間を冷却するために、ファン等により空気を流動させると、エネルギー負荷が高くなるという問題点もある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー負荷を抑えつつ、均一な温熱環境を形成することができる空調システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る空調システムは、冷水の流通する冷水配管を有する冷却装置を備え、前記冷却装置は、部屋の天井に設けられたパネル状の天井パネルと該天井パネルの上方に設けられた上階の床スラブとの間の天井内空間に設けられ、前記天井パネルには、前記天井内空間から前記部屋へと貫通する貫通部が形成されており、前記天井パネルは、金属からなり、前記貫通部は、円形の貫通孔で構成されており、
前記天井パネルの開口率は、6〜30%で設定されており、前記冷却装置は、前記冷水配管の延在方向に離間して配置され、前記延在方向に貫通する貫通孔が形成された複数のプレートフィンを有し、前記プレートフィンの前記貫通孔には、前記冷水配管が挿通され、前記プレートフィンは、四方枠状の筐体内に配置されて
おり、前記天井内空間において、前記冷水と、前記冷水配管の周りの空気との間で熱交換が行われ、冷却された空気は前記天井パネル側へ移動し、前記天井パネルを冷却することで、冷輻射により前記部屋を冷却可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された空調システムは、天井パネルと上階の床スラブとの間に設けられた冷却装置の冷水配管内には、冷水が流通する。冷水配管内を冷水が流通することにより、天井内空間の空気が冷却され、密度が高くなる。この冷却され、密度が高くなった空気は、下方へと移動して天井パネルに形成された貫通部を通過して部屋へ移動する。一方、部屋の執務者の発熱や機器類の発熱等の部屋の熱負荷によって温められた空気は、上方へと移動して天井パネルの貫通部を通過して天井内空間に到達する。この温められ
た空気は、上記のように冷水配管内を流通する冷水により、冷却される。冷却装置により冷却された空気は、室内へと移動する際に、天井パネルにおける貫通部の周囲の部分に衝突するため、下方への移動が幾分抑制される。これにより、冷却された空気は、適切な下降速度で部屋へ移動する。よって、均一な温熱環境を形成することができる。
また、搬送動力を伴わずに自然対流により、部屋内の空気を冷却することができるため、エネルギー負荷を抑えることができる。
さらに、プレートフィンの表裏面でも熱交換されるため、冷水配管だけを有する構成よりも伝熱面積が大きくなる。よって、冷却装置の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
そして、冷却装置の周辺の冷却された空気は、熱伝導率の高い金属からなる天井パネルを冷却する。よって、冷却された天井パネルからの冷輻射により、部屋内を効率的に冷却することができる。
【0013】
また、本発明に係る空調システムは、複数の前記冷却装置と、前記部屋の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部の検出した前記温度に応じて、複数の前記冷却装置の冷却能力を制御する制御部を備えていてもよい。
【0014】
このように構成された空調システムは、温度検出部で検出した部屋の温度に応じて、複数の冷却装置の冷却能力を制御する。よって、温度の高い部屋に対しては冷却装置の冷却能力が大きくなるようにし、温度の低い部屋に対しては冷却装置の冷却能力を抑えることにより、部屋内を適切な温度に調整することができる。
【0019】
また、本発明に係る空調システムは、前記冷却装置は、前記冷水配管を支持する支持プレートを有していてもよい。
【0020】
このように構成された空調システムは、支持プレートの表裏面でも熱交換されるため、冷水配管だけを有する構成よりも伝熱面積が大きくなる。よって、冷却装置の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【0021】
また、本発明に係る空調システムは、前記冷水配管は
、らせん状に巻回するように形成されていてもよい。
【0022】
このように構成された空調システムは、直線状に形成された冷水配管よりも伝熱面積が大きくなる。よって、冷却装置の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【0023】
また、本発明に係る空調システムは、前記冷水配管は、管状に形成され、前記冷水の流通する配管本体と、該配管本体の外周から径方向外側に向かって延びる放熱フィンと、を有していてもよい。
【0024】
このように構成された空調システムは、放熱フィンでも熱交換されるため、配管本体だけを有する構成よりも伝熱面積が大きくなる。よって、冷却装置の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る空調システムによれば、エネルギー負荷を抑えつつ、均一な温熱環境を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る空調システムについて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る(a)空調システムの構成を示す模式的な図であり、(b)空調システムを構成する冷却装置の設けられる部屋の天井パネルの上面図であり、(c)空調システムの要部の構成を示す模式的な図であり、(d)空調システムを構成する冷却装置の設けられる部屋の天井パネルの拡大図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係る空調システムの構成を冷却装置の斜視図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る空調システム1は、建築物の天井C内に配置され、居室2(部屋)内の空気を冷却するものである。
【0028】
まず、対象となる居室2について説明する。
居室2は、床スラブSと、床スラブSから上方に延び隣接する部屋(不図示)との空間を仕切る複数の壁Wと、床スラブSと対向する天井Cとを有している。建築物において、このような居室2が水平方向及び鉛直方向に複数設けられている。
【0029】
天井Cには、水平面をなす天井パネル10が設けられている。
図1(b)に示すように、天井パネル10は、パネル状に形成された天井パネル本体11が複数枚配置されて構成されている。本実施形態では、天井パネル本体11は、アルミニウム等の金属からなり、平面視矩形に形成されている。なお、天井パネル本体は、石綿吸音板等から構成されていてもよい。
【0030】
この天井パネル10と、居室2の上階の居室2Jの床スラブSJとの間には、天井内空間Kが形成されている。
【0031】
図1(c),(d)に示すように、天井パネル本体11には、天井内空間Kから居室2へと貫通する天井貫通孔11A(貫通部)が複数形成されている。本実施形態では、天井貫通孔11Aは、円形に形成されている。なお、天井パネル本体11の開口率(天井パネル本体の面積に対する複数の天井貫通孔11Aの面積の総和)は、6〜30%とすることが好ましい。
【0032】
次に、空調システム1について説明する。
図1(a)に示すように、空調システム1は、居室2に設けられ居室2内の温度を検出する温度検出部21と、複数の冷却装置30と、冷却装置30を制御する制御部39とを有している。
【0033】
冷却装置30は、天井内空間Kに複数設けられている。例えば、冷却装置30は、床スラブSJに設けられた支持部30Sにより吊り下げるようにして、床スラブSJに支持されている。
【0034】
この冷却装置30は、天井パネル10の上面10Pと床スラブSJの下面1SJとの鉛直方向中間の高さに設けられていることが好ましい。つまり、冷却装置30の下面30Pと天井パネル10の上面10Pとの間の空間部の高さH1と、冷却装置30の上面30Qと床スラブSJとの下面1SJとの間の空間部の高さH2とは、同じになっていることが好ましい。
また、天井内空間Kの高さを高さH0とすると、冷却装置30は、天井パネル10の上面10Pから0.1H0以上且つ0.8H0以下の空間内に配置することが好ましい。
【0035】
図2に示すように、冷却装置30は、筐体31と、筐体31内に配置された複数のプレートフィン32と、冷水の流通する冷水配管33と、を有している。
【0036】
筐体31は、板状に形成され対向配置された2枚の側壁部31S,31Tと、これら側壁部31S,31Tの端部同士を連結し、板状に形成された挿通壁部31U,31Vと、を有している。側壁部31S,31T、挿通壁部31U,31Vが、鉛直面に沿うように配置されている。これにより、筐体31には、鉛直方向に貫通する開口部31W,31Xが、鉛直方向上側及び下側にそれぞれ形成されている。
ここで、挿通壁部31Uから挿通壁部31Vに向かう方向をX1方向とし、側壁部31Sから側壁部31Tに向かう方向をY1方向とし、開口部31Wから開口部31Xに向かう方向(鉛直方向)をZ1方向とする。
【0037】
また、挿通壁部31U,31Vには、X1方向の貫通孔である配管貫通孔31Aが、Y1方向に離間して複数形成されている。
【0038】
プレートフィン32は、挿通壁部31U,31Vに平行となるように、側壁部31S,31T間に配置されている。このプレートフィン32は、X1方向に離間して複数配置されている。また、プレートフィン32には、X1方向に貫通する貫通孔であるフィン貫通孔32S(貫通孔)が、Y1方向に離間して複数形成されている。
【0039】
冷水配管33は、冷凍機又はヒートポンプ等(不図示)に接続されている。これにより、冷凍機又はヒートポンプで製造された冷水が流通する構成とされている。
【0040】
冷水配管33は、直線状に形成された直管部33Dと、曲線状に形成された曲管部33Eとが連続するように形成されている。
冷水配管33において、直管部33Dは、挿通壁部31Uにおける側壁部31S側の配管貫通孔31Aから挿通され、X1方向に延び、複数のプレートフィン32,32…のフィン貫通孔32S,32S…に順次挿通されている。そして、直管部33Dは、挿通壁部31Vの配管貫通孔31Aに挿通され、直管部33Dに連続する曲管部33Eが側壁部31Sの外側に配置されている。この曲管部33Eに連続するもう一方の直管部33Dは、挿通壁部31Vにおける側壁部31T側の配管貫通孔31Aに挿通され、X1方向に延びている。このようにして、蛇行状に形成された冷水配管33が、複数のプレートフィン32に挿通されている。
また、プレートフィン32の高さ(Z1方向の長さ)寸法及びプレートフィン32同士の離間距離(X1方向の離間距離)寸法は、大きい方が好ましい。これにより、筐体31内部において、詳細は後述する自然対流が促進される。
【0041】
制御部39は、温度検出部21の検出した居室2の温度(以下、「検出温度」とする。)に応じて、冷却装置30の冷却能力を制御する。例えば、制御部39は、検出温度と、予め定められた所定の温度(以下、「初期設定温度」とする。)とを比較する。この結果、検出温度が初期設定温度よりも高い場合には、冷却装置30を作動させる。
【0042】
また、検出温度と初期設定温度との差に応じて、冷却装置30を流通する冷水の温度(以下、「冷水温度」とする。)及び冷水の量(以下、「冷水量」とする。)を調整する。具体的には、検出温度と初期設定温度との差が大きくなるにしたがって、冷水温度を低くし、冷水量を多くする。
また、検出温度が初期設定温度以下の場合には、冷却装置30を停止させる。
【0043】
次に、上記のように構成された空調システム1における、空気の流れについ説明する。
空調システム1では、天井パネル10と上階の床スラブSJとの間に設けられた冷却装置30の冷水配管33内には、冷水が流通する。冷水配管33内を流通する冷水と、冷水配管33周りの空気との間で熱交換が行われる。冷却され、密度が高くなった空気は、冷却装置30の開口部31Xから下方へと移動して、天井パネル10に形成された天井貫通孔11Aを通過して居室2へ移動する。一方、居室2の執務者の発熱や機器類の発熱等の居室2の熱負荷によって温められた空気は、上方へと移動して天井パネル10の天井貫通孔11Aを通過して、天井パネル10と上階の床スラブSJとの間に設けられた冷却装置30の開口部31Wから筐体31内に到達する。そして、この空気は、上記のように冷水配管33内を流通する冷水との熱交換により、冷却される。このように冷水配管33により冷却され密度の高くなった空気が下方へ移動し、居室2の温かい空気が上方に移動する自然対流が生じる。
【0044】
このように構成された空調システム1では、冷却された空気は、居室2へと移動する際に、天井パネル10における天井貫通孔11Aの周囲の部分に衝突するため、下方への移動が幾分抑制される。これにより、冷却された空気は、適切な下降速度で居室2へ移動する。よって、均一な温熱環境を形成することができる。
また、搬送動力を伴わずに自然対流により、居室2内の空気を冷却することができるため、エネルギー負荷を抑えることができる。
【0045】
また、温度検出部21の検出した居室2の温度に応じて、冷水温度及び冷水量を調整するため、居室2内を適切な温度に調整することができる。よって、快適な温熱環境を形成することができるとともに、省エネルギーとなる。
【0046】
また、冷却装置30の周辺の冷却された空気は、熱伝導率の高い金属からなる天井パネル10を冷却する。よって、冷却された天井パネル10からの冷輻射により、居室2内を効率的に冷却することができる。
【0047】
また、冷却装置30は、プレートフィン32の表裏面でも熱交換されるため、冷水配管33だけを有する構成よりも伝熱面積が大きくなる。よって、冷却装置30の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【0048】
また、冷却装置30は、天井パネル10と床スラブSJの下面1SJとの鉛直方向中間の高さに設けられているため、天井パネル10の上面10Pと冷却装置30の下面30Pとの間及び冷却装置30の上面30Qと床スラブSJの下面1SJとの間で、空気が円滑に流通するため、効率的に自然対流を行うことができる。
【0049】
(第一実施形態の変形例1)
上記に示す第一実施形態の変形例1について、主に
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の第一実施形態の変形例1に係る空調システムの構成する冷却装置の設けられる部屋の天井パネルの上面図である。
以下の変形例、他の実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
図3に示すように、天井パネル110は、パネル状に形成された天井パネル本体111が複数枚配置されて構成されている。この天井パネル本体111は、水平方向の一方向であるX2方向に複数列配置されている。さらに、天井パネル本体111は、水平方向の一方向と直交する方向であるY2方向に複数段配置されている。
【0051】
天井パネル本体111のうち所定の段の天井パネル本体111には、鉛直方向に貫通し、X2方向に延びるスリット(貫通部)111Aが形成されている。本実施形態では、スリット111Aの形成された天井パネル111Pと、スリット111Aの形成されていない天井パネル111Qとが、Y2方向に交互に配置されている。
【0052】
また、X2方向に隣接する天井パネル本体111P,111P…において、各スリット111A,111A…が連続するように配置されている。
【0053】
このように構成された空調システムにおいても、冷却装置30(
図1参照)で冷却された空気及び居室2(
図1参照)の熱負荷により温められた空気は、それぞれスリット111Aを通過する。
【0054】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る空調システムについて、主に
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の第二実施形態に係る空調システムの構成を示す模式的な図である。
【0055】
図4に示すように、居室2には発熱量(熱負荷)の大きいコピー機Eが設置されている。
【0056】
コピー機Eの直上及びコピー機Eの周辺上方等(以下、「コピー機Eの上方」とする)に配置された第一天井パネル本体(第一天井パネル)211Pには、天井貫通孔211Aが形成されている。第二天井パネル本体(第二天井パネル)211Qには、天井貫通孔211Bが形成されている。
【0057】
コピー機Eの上方に配置された第一天井パネル本体211Pの天井貫通孔211Aの面積は、第二天井パネル本体211Qの天井貫通孔211Bの面積よりも大きい。
【0058】
また、コピー機Eの上方に配置された第一天井パネル本体211Pの開口率(第一天井パネル本体211Pの面積に対する天井貫通孔211Aの面積の総和)は、第二天井パネル本体211Qの開口率(第二天井パネル本体211Qの面積に対する天井貫通孔211Bの面積の総和)よりも大きい。
【0059】
このように構成された空調システム1では、居室2内の熱負荷の大きい場所には開口率の大きい第一天井パネル本体211Pが設けられ、居室2内の熱負荷の小さい場所には開口率の小さい第二天井パネル本体211Qが設けられている。よって、居室2の熱負荷の大きい場所では第一天井パネル本体211Pの開口率が大きいため、冷却された空気の下方への移動及び温められて空気の上方への移動が大きく、自然対流が円滑に生じる。よって、居室2内の空気を熱負荷に応じて適切に冷却することができるため、均一な温熱環境を形成することができる。
【0060】
(第二実施形態の変形例1)
上記に示す第二実施形態の変形例1について、主に
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の第二実施形態の変形例1に係る空調システムを構成する冷却装置の設けられる部屋の天井パネルの上面図である。
【0061】
図5に示すように、天井パネル310は、開口率の異なる三種類の天井パネル本体311P,311Q,311Rにより構成されている。
天井パネル本体311Pの開口率は、天井パネル本体311Qの開口率よりも大きい。天井パネル本体311Qの開口率は、天井パネル本体311Rの開口率よりも大きい。
なお、開口率の異なる天井パネル本体311P,311Q,311Rの種類は三種類に限られず、適宜設定可能である。
ここで、X3方向一方側(
図5に示す紙面左側)からそれぞれ第1列、第2列…とする。また、Y3方向一方側(
図5に示す紙面上側)からそれぞれ第1段、第2段…とする。本実施形態では、天井パネル310は、6列4段で構成されている。
【0062】
天井パネル本体311Pは、第1列の第2,3段に配置されている。また、天井パネル本体311Qは、第4,5列の第2,3段に配置されている。天井パネル本体311Rは、その他の位置に配置されている。
【0063】
居室2において、発熱量の大きい電気設備等が配置される場所、つまり熱負荷の大きい場所の上方には、天井パネル本体311Pが配置されている。また、冷却装置30からのコールドドラフトを抑えたい場所の上方には、天井パネル本体311Rが配置されている。
【0064】
このように構成された空調システム1では、複数種類の開口率の異なる天井パネル本体311P,311Q,311Rを熱負荷の大きさに応じてそれぞれ配置することにより、均一な温熱環境を形成することができる。また、居室2内において、発熱量の大きい電気機器の配置場所を変更する際には、天井パネル本体311P,311Q,311Rの配置位置を変更するだけで、配置替え後も均一な温熱環境を形成することができる。
【0065】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る空調システムについて、主に
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の第三実施形態に係る空調システムを構成する冷水配管の斜視図である。
【0066】
図6に示すように、冷水配管433Aは、軸線Oに沿って、らせん状に巻回するように形成されている。
【0067】
このように構成された空調システムでは、例えば軸線Oに沿って直線状に形成された冷水配管よりも、伝熱面積が大きくなる。よって、冷却装置30(
図1参照)の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【0068】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態に係る空調システムについて、主に
図7を用いて説明する。
図7は、本発明の第四実施形態に係る空調システムを構成する冷水配管の斜視図である。
【0069】
図7に示すように、冷水配管433Bは、管状に形成され、冷水の流通する配管本体433Cと、配管本体433Cの外周から径方向外側に向かって延びる複数の放熱フィン433D,433D…と、を有している。
【0070】
放熱フィン433Dは、配管本体433Cの周方向に設けられている。放熱フィン433Dは、径方向内側から外側(基端側から先端側)に向かうにしたがって細くなるように、先細りに形成されている。
【0071】
このように構成された空調システムでは、放熱フィン433Dを設けることにより、冷水配管33だけを有する構成よりも伝熱面積が大きくな。よって、冷却装置30(
図1参照)の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【0072】
(第五実施形態)
次に、本発明の第五実施形態に係る空調システムについて、主に
図8を用いて説明する。
図8は、本発明の第五実施形態に係る空調システムを構成する冷水配管の斜視図である。
【0073】
図8に示すように、冷却装置430は、冷水配管433Fを支持する複数の支持プレート433G,433G…を有している。支持プレート433Gは、冷却装置30(
図1参照)の底部30Tに設けられている。この支持プレート433Gは、プレート状に形成され、冷水配管433Fの延在方向に離間して複数配置されている。
【0074】
支持プレート433Gの上部には、半円状に凹む凹部433Hが形成されている。冷水配管433Fは、支持プレート433Gの凹部433Hに沿って配置されている。また、凹部433H、冷水配管433Fの下半分の形状に対応しているため、冷水配管433Fは支持プレート433Gに安定的に支持されている。
【0075】
このように構成された空調システムでは、支持プレート433Gの表裏面(冷水配管433Fの延在方向両側の面)433X,433Yでも熱交換されるため、冷水配管433Fだけを有する構成よりも伝熱面積が大きくなる。また支持プレート433Gにより、冷却装置30の底部30Tと冷水配管433Fとの間には、支持プレート433Gの下面433Zと凹部433Hの下端433Iまでの高さ分の空間が生じるため、冷水配管433の周辺の空気が円滑に流通する。よって、冷却装置430の周辺の空気を効果的に冷却することができる。
【0076】
(第六実施形態)
次に、本発明の第六実施形態に係る空調システムについて、主に
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の第六実施形態に係る空調システムを構成する(a)複数の冷却装置の冷水配管が直列に配置された状態を模式的に示す平面図であり、(b)複数の冷却装置の冷水配管が並列に配置され、熱負荷が大きい場合の動作を示す図であり、(c)複数の冷却装置が並列に配置され、熱負荷が(b)よりも小さい場合の動作を示す図であり、(d)複数の冷却装置が並列に配置され、熱負荷が(c)よりも小さい場合の動作を示す図である。
【0077】
図9(a)に示すように、空調システム501は、8台の冷却装置530A〜530Hを有している。8台の冷却装置530A〜530Hは、居室2(
図1参照、以下同じ)の平面視中心に集中的に配置されている。
ここで、水平方向の一方向をX4方向とし、水平方向の一方向と直交する方向をY4方とする。また、X4方向一方側(
図9に示す紙面左側)からそれぞれ第1列、第2列…とする。また、Y4方向一方側(
図9に示す紙面上側)からそれぞれ第1段、第2段…とする。本実施形態では、冷却装置530A〜530Hは、4列2段で構成されている。
【0078】
冷凍機等(不図示、以下同じ)に接続され第1列第2段の冷却装置530Aを流通する冷水配管533は、第1列第1段の冷却装置530B、第2列第1段の冷却装置530C、第2列第2段の冷却装置530D、第3列第2段の冷却装置530E、第3列第1段の冷却装置530F、第4列第1段の冷却装置530G、第4列第2段の冷却装置530Hの順に接続し、第4列第2段の冷却装置530Hから外部に向かって延びている。
【0079】
このように構成された空調システム501では、8台の冷却装置530A〜530Hが居室2の中心に集中的に配置されているため、居室2の中心の空気を集中的に冷却することができる。
【0080】
また、
図9(b)に示すように、8台の冷却装置530A〜530Hの冷水配管540が並列に配置されていてもよい。
【0081】
詳細には、冷水配管540は、冷凍機等に接続された主配管部541と、主配管部534Aから分岐する分岐配管部542A,542B,542C,542Dと、分岐配管部542A,542B,542C,542Dを合流し外部に接続された主導出管部543とを有している。
【0082】
分岐配管部542Aは、主配管部541から冷却装置530A、冷却装置530B、再び冷却装置530Aと通過して、主導出管部543に接続されている。また、分岐配管部542Bは、主配管部541から冷却装置530D、冷却装置530C、再び冷却装置530Dと通過して、主導出管部543に接続されている。また、分岐配管部542Cは、主配管部541から冷却装置530E、冷却装置530F、再び冷却装置530Eと通過して、主導出管部543に接続されている。また、分岐配管部542Dは、主配管部541から冷却装置530H、冷却装置530G、再び冷却装置530Hと通過して、主導出管部543に接続されている。
【0083】
次に、上記のように構成された空調システム501Xの動作について説明する。
図9(b)に示すように、居室2の熱負荷が大きい場合には、全ての530A〜530Hを作動させる。
【0084】
図9(c)に示すように、居室2の熱負荷が中程度の場合には、分岐配管部542B,542Dに設けられた弁551B,551Dを閉じるとともに、冷却装置530C,530D,530G,530Hの動作を停止させる。このとき、冷却装置530A,530B,530E,530Fは、作動している。
【0085】
図9(d)に示すように、さらに、居室2の熱負荷が小さい場合には、分岐配管部542A,542C,542Dに設けられた弁を閉じるとともに、冷却装置530A,530B,530E,530F,530G,530Hの動作を停止させる。このとき、冷却装置530C,530Dは、作動している。
【0086】
このように構成された空調システム501Xでは、居室2の熱負荷が大きければ作動する冷却装置530A〜530Hの数を多くし、居室2の熱負荷が小されば作動する冷却装置530A〜530Hの数を少なくする。つまり、居室2の熱負荷に応じて作動する冷却装置530A〜530Hの数の調整することで、居室2内を適切な温度に調整することができる。
【0087】
(第六実施形態の変形例1)
上記に示す第六実施形態の変形例1について、主に
図10を用いて説明する。
図10は、本発明の第六実施形態の変形例1に係る空調システムを構成する(a)複数の冷却装置の冷水配管が直列に配置された状態を模式的に示す平面図であり、(b)複数の冷却装置の冷水配管が並列に配置され、熱負荷が大きい場合の動作を示す図であり、(c)複数の冷却装置が並列に配置され、熱負荷が(b)よりも小さい場合の動作を示す図である。
【0088】
図10(a)に示すように、空調システム601は、4台の冷却装置630A,630B,630C,630Dを有している。4台の冷却装置630A,630B,630C,630Dは、居室2(
図1参照、以下同じ)において分散して配置されている。
【0089】
冷凍機等(不図示、以下同じ)に接続された冷水配管633は、冷却装置630A、冷却装置630B、冷却装置630C、冷却装置630Dの順に接続し、冷却装置630Dから外部に向かって延びている。
【0090】
このように構成された空調システム601では、4台の冷却装置630A,630B,630C,630Dが居室2において分散して配置されているため、居室2内を全体的に冷却することができる。
【0091】
また、
図10(b)に示すように、4台の冷却装置630A,630B,630C,630Dの冷水配管640が並列に配置されていてもよい。
【0092】
詳細には、冷水配管640は、冷凍機等(不図示)に接続された主配管部641と、主配管部641から分岐する分岐配管部642A,642B,642C,642Dと、分岐配管部642A,642B,642C,642Dを合流し外部に接続された主導出管部643とを有している。
【0093】
分岐配管部642Aは、主配管部641、冷却装置630A、主導出管部643の順に接続されている。また、分岐配管部642Bは、主配管部641から冷却装置630B、主導出管部643の順に接続されている。また、分岐配管部642Cは、主配管部641から冷却装置630C、主導出管部643の順に接続されている。また、分岐配管部642は、主配管部641から冷却装置630D、主導出管部643の順に接続されている。
【0094】
次に、上記のように構成された空調システム601Xの動作について説明する。
図10(b)に示すように、居室2の熱負荷が大きい場合には、全ての冷却装置630A,630B,630C,630Dを作動させる。
【0095】
図10(c)に示すように、居室2の熱負荷が小さい場合には、分岐配管部642B,642Cに設けられた弁651B,651Cを閉じるとともに、冷却装置630B,630Cの動作を停止させる。このとき、冷却装置630A,630Dは、作動している。
【0096】
このように構成された空調システム601Xでは、居室2の熱負荷が大きければ作動する冷却装置630A,630B,630C,630Dの数を多くし、居室2の熱負荷が小されば作動する冷却装置630A,630B,630C,630Dの数を少なくする。つまり、居室2の熱負荷に応じて作動する冷却装置630A,630B,630C,630Dの数の調整することで、居室2内を適切な温度に調整することができる。
【0097】
(第六実施形態の変形例2)
上記に示す第六実施形態の変形例2について、主に
図11を用いて説明する。
図11は、本発明の第六実施形態の変形例2に係る空調システムの構成を示す模式的な図である。
【0098】
図11に示すように、空調システム601Yは、鉛直方向に配置された複数の冷却装置30,630…を有している。このように構成された空調システム601Yでは、居室2の冷却能力を大きくすることができる。また、冷却装置630の冷水配管(不図示)を、上記の第六実施形態のように直列又は並列に配置することができる。
【0099】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。