(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100が使用されたX線撮影装置10を示す斜視図である。
【
図2】一部が被検者フレーム20に格納された状態の頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図である。
【
図3】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図であり、保持部材108が上下方向の略中央位置にある状態を示している。
【
図4】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が上下方向の略中央位置にある状態を示している。
【
図5】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す平面図である。
【
図6】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が上下方向の略中央位置にある状態を示している。
【
図7】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が上下方向の略中央位置にある状態を示している。
【
図8】ブロック110と、上下動部材124と、伝達部材126との関係を示す模式図である。
【
図9】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図であり、保持部材108が最も下方にある状態を示している。
【
図10】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が最も下方にある状態を示している。
【
図11】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が最も下方にある状態を示している。
【
図12】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図であり、保持部材108が最も上方にある状態を示している。
【
図13】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が最も上方にある状態を示している。
【
図14】本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が最も上方にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(X線撮影装置10の構成)
以下では、本発明が適用された頭部保持部材昇降機構100について説明するが、それに先だって、頭部保持部材昇降機構100を有するX線撮影装置10の実施例について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明にかかる頭部保持部材昇降機構100が使用されたX線撮影装置10を示す斜視図である。このX線撮影装置10は、大略、床に載置されるベース12と、ベース12の隅部から鉛直方向に立設された支柱13と、支柱13に沿って上下する昇降本体14と、昇降本体14の上端部から水平方向に延びるようにして設けられた保持フレーム16と、保持フレーム16における昇降本体14側とは反対側の端部下面から吊り下げられた旋回アーム18と、昇降本体14の高さ方向における中ほどから保持フレーム16と略平行に延びるようにして設けられた被検者フレーム20と、被検者フレーム20における昇降本体14側とは反対側の端に設けられた被検者保持部22とを備えている。なお、頭部保持部材昇降機構100は、被検者フレーム20の内側に格納されており、一端が昇降本体14に固定されており、他端に被検者保持部22が設けられている。
【0016】
旋回アーム18は、下向きに開口する略コ字状に形成されており、一方の下端部側面にはX線照射部24が設けられており、このX線照射部24に対向する他方の下端部側面にはX線検出部26が設けられている。また、旋回アーム18は、保持フレーム16に対して回転するとともにその回転軸が水平移動するようになっている。旋回アーム18は、パノラマ撮影時は回転および水平移動して撮影を行い、CT撮影時は回転して撮影を行う。もちろん、本実施例のX線撮影装置10では、耳鼻科用一般撮影も行うことができる。
【0017】
被検者保持部22は、X線撮影を受ける被検者を保持することによって正確な位置でX線撮影を実施できるようにするものである。本実施例において、被検者保持部22は、被検者の頭部を保持する頭部保持部材30と、被検者によって把持される一対のグリップ34とで構成されている。本実施例の場合、頭部保持部材30として、被検者の顎が載置される顎載置部材32が設けられているが、頭部保持部材30はこれに限定されるものではなく、例えば、被検者の側頭部を保持するようなものであってもよい。
【0018】
被検者保持部22において、頭部保持部材30は必須の構成要素であるが、グリップ34は必須の構成ではない。また、被検者保持部22は本実施例のものとは異なる方式で被検者を保持する部材を備えていてもよい。
【0019】
(頭部保持部材昇降機構100の構成)
次に、本発明にかかる頭部保持部材昇降機構100の構成について説明する。
図2は、一部が被検者フレーム20に格納された状態の頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図である。
図3は、頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図であり、保持部材108が上下方向の略中央位置にある状態を示している。
図4は、頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が上下方向の略中央位置にある状態を示している。また、
図5は、頭部保持部材昇降機構100を示す平面図である。
【0020】
頭部保持部材昇降機構100は、機構フレーム102と、軸受104と、リンクバー106と、保持部材108と、ブロック110と、ブロック移動手段120とを備えている。
【0021】
機構フレーム102は、X線撮影装置10の昇降本体14に対して固定される板材である。本実施例における機構フレーム102は、後述するモーター128やボールねじ130が固定される第1機構フレーム102aと、第1機構フレーム102aに対して略直交する向きに立設されており、軸受104が取り付けられる一対の第2機構フレーム102bと、同じく第1機構フレーム102aに対して略直交する向きに立設されており、後述するリンクレバー122などが取り付けられる第3機構フレーム102cとで構成されている。
【0022】
軸受104は、リンクバー106を摺動自在に保持する部材であり、本実施例では、2つ一組の軸受104が、鉛直方向に互いに離れた状態で機構フレーム102(より詳細には、第2機構フレーム102b)に対して正逆両方向に円運動ができるように取り付けられている。また、本実施例では、2つ一組の軸受104が、もう一組の軸受104と対向するように配置されている。つまり、本実施例の頭部保持部材昇降機構100では、二組四つの軸受104と二組四本のリンクバー106が使用されている。もちろん、一組二つの軸受104と一組二本のリンクバー106とで頭部保持部材昇降機構100を構成することもできる。
【0023】
また、各軸受104には、各リンクバー106を挿し通すためのリンクバー挿通孔112がそれぞれ形成されている。
【0024】
なお、本明細書を通じて、「鉛直方向」とは、厳密な意味での重力方向あるいは垂直方向に限定されるものでなく、一対の軸受104が水平方向に並列に配置されている状態を除けばどのような状態であってもよい。つまり、一対の軸受104の間に少しでも上下方向位置の違いがあればよい。
【0025】
また、「正逆両方向に円運動ができる」とは、一方の部材(例えば,機構フレーム102)に対して、他方の部材(例えば、軸受104)が当該「軸」を中心にして時計回りおよび反時計回りに相対的に動かすことができる状態をいう。なお、「軸」は、一方の部材から延びていてもよいし、他方の部材から延びていてもよく、「軸」が延びているのとは反対の部材には、当該「軸」が嵌合される軸孔が設けられている。さらに、両方の部材に軸孔を設け、両方の軸孔にピンなどを挿入してもよい。
【0026】
リンクバー106は、軸受104のリンクバー挿通孔112に挿し通された丸棒材であり、本実施例では2本一組のリンクバー106が互いに平行に配置されている。上述のように、本実施例では二組(つまり4本)のリンクバー106が使用されている。各リンクバー106の一端部106aは保持部材108に対して鉛直方向に互いに離れた状態で正逆両方向に円運動ができるように取り付けられている。また、各リンクバー106の他端部106bはブロック110に対して鉛直方向に互いに離れた状態で正逆両方向に円運動ができるように取り付けられている。これにより、一方のリンクバー106における一端部106aと、他方のリンクバー106における一端部106aとの間の距離が一定であり、かつ、一方のリンクバー106における他端部106bと、他方のリンクバー106における他端部106bとの間の距離が一定になっている。もちろん、上述のように、一組二つの軸受104と一組二本のリンクバー106とで頭部保持部材昇降機構100を構成することもできる。
【0027】
保持部材108は、顎載置部材32を保持するための部材である。本実施例では、保持部材108の一方端部(図中右端部)に、顎載置部材32の一部を挿入する顎載置部材挿設孔114が形成されている。
【0028】
また、上述のように、保持部材108の他方端部(図中左端部)には、各リンクバー106の一端部106aが正逆両方向に円運動ができるように取り付けられている。
【0029】
ブロック110は、略直方体状の部材であり、上述のように、各リンクバー106の他端部106bが鉛直方向に互いに離れた状態で正逆両方向に円運動ができるように取り付けられている。
【0030】
次に、ブロック移動手段120の詳細について、
図2から
図5までに加えて、
図6と
図7を用いて説明する。
図6は、頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、ブロック移動手段120の構造を見えやすくするため、手前側の一対のリンクバー106を省略して描いている。また、
図7も頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、手前側の一対のリンクバー106に加えて、ブロック移動手段120を構成するボールねじ130および上下動部材ガイド132も省略して描いており、これらよりも奥側に位置しているリンクレバー122が見えやすいようにしている。
【0031】
ブロック移動手段120は、ブロック110を円弧状に上下往復移動させるものであり、本実施例では、大略、リンクレバー122と、上下動部材124と、伝達部材126と、モーター128と、ボールねじ130と、カップリング131と、上下動部材ガイド132とで構成されている。なお、カップリング131を設けることなく、モーター128とボールねじ130とを直接接続してもよい。
【0032】
リンクレバー122は、略L字状に形成されており、その一端部が機構フレーム102(より正確には機構フレーム102の第3機構フレーム102c)に対して正逆両方向に円運動ができるように取り付けられており、他端部がブロック110に対して正逆両方向に円運動ができるように取り付けられている。なお、本実施例のリンクレバー122は上述の通り略L字状に形成されているが、リンクレバー122の形状はこれに限定されるものではなく、長方形状や略S字状など、どのような形状であってもよい。
【0033】
上下動部材124は、鉛直方向に上下往復運動する部材である。本実施例では、この上下動部材124の移動方向に沿ってボールねじ130および上下動部材ガイド132が互いに平行に配置されている。上下動部材124には、ボールねじ130が挿し通されるねじ孔(図示せず)および上下動部材ガイド132が挿し通されるガイド孔(図示せず)が形成されている。これにより、モーター128からの回転力がカップリング131を介してボールねじ130に伝達され、ボールねじ130が正転あるいは逆転することにより、ボールねじ130に沿って上下動部材124が移動できるようになっている。上下動部材124を上下方向に往復運動させる機構はこれに限定されるものではなく、ラック&ピニオン方式など、他の機構を使用してもよい。
【0034】
伝達部材126は、上下動部材124とブロック110との間に架設され、上下動部材124の動きをブロック110に伝達する役割を有する部材である。
図8は、ブロック110と、上下動部材124と、伝達部材126との関係を示す模式図である。本実施例における伝達部材126は略円柱状のピンであり、伝達部材126の一端がブロック110における上下動部材124に対向する面に固定されている。また、上下動部材124におけるブロック110に対向する面には、伝達部材126が嵌め込まれる伝達部材嵌込穴134が形成されており、伝達部材126の他端部がこの伝達部材嵌込穴134に嵌め込まれた状態になっている。
【0035】
このような構成により、ボールねじ130によって上下動部材124が上下往復移動すると、その上下動部材124の動きが伝達部材126を介してブロック110に伝達されて、ブロック110も上下往復移動する。このとき、上下動部材124はボールねじ130および上下動部材ガイド132に沿って略直線状に上下移動する。しかし、ブロック110は、上述のようにリンクレバー122によって機構フレーム102(第3機構フレーム102c)に対して正逆両方向に円運動ができるようになっていることから、略円弧状に上下移動することになる。このため、ブロック110が上下動する間、ブロック110と上下動部材124との間隔は一定ではなく、広がったり狭まったりする。この点、本実施例では、伝達部材126の他端部が上下動部材124に設けられた伝達部材嵌込穴134の内側を摺動できるようになっているので、ブロック110と上下動部材124との間隔に係わらず上下動部材124の動きをブロック110に伝達できるようになっている。
【0036】
伝達部材126の構成は本実施例のものに限定されず、例えば、上下動部材124側に伝達部材126を固定し、ブロック110に伝達部材嵌込穴134を形成してもよい。また、どちらにも固定せず、ブロック110および上下動部材124の両方に穴を形成して伝達部材126の両端をそれぞれ嵌め込んでもよい。もちろん、伝達部材126の形状も円柱状に限定されない。さらに、伝達部材126をピンではなく長穴が形成された短冊状の板材とし、ブロック110および上下動部材124のどちらか一方に板材の伝達部材126を固定し、他方からは伝達部材126の長穴に嵌め込むピンを突出するように設けてもよい。これにより、ブロック110と上下動部材124との間隔の変動は、長穴内をピンが移動することによって吸収できる。
【0037】
(頭部保持部材昇降機構100の動作)
次に、本実施例に係る頭部保持部材昇降機構100の動作について説明する。頭部保持部材昇降機構100の保持部材108や顎載置部材32が上下方向の略中央に位置している
図2から
図7の状態から、モーター128が一の方向に回転し、これがカップリング131を介してボールねじ130に伝達されることによってボールねじ130も一の方向に回転すると、上下動部材124が上方向に移動する。
【0038】
上下動部材124が上方向に移動すると、伝達部材126を介してブロック110も円弧状に上方向へ移動する。これにより、ブロック110に対して正逆両方向に円運動ができるように取り付けられたリンクバー106の他端部106bも最も上側に位置している。以上のことから、保持部材108や顎載置部材32が取り付けられたリンクバー106の一端部106aは最も下側(=低い位置)に位置することになり、保持部材108や顎載置部材32が最も下側に移動する。
【0039】
保持部材108が最も下方に移動した状態の頭部保持部材昇降機構100を
図9,10,および11に示す。
図9は、同状態の頭部保持部材昇降機構100を示す斜視図であり、保持部材108が最も下方にある状態を示している。
図10は、同状態の側面図である。また、
図11は、同状態の側面図であり、手前側の一対のリンクバー106と、ブロック移動手段120を構成するボールねじ130および上下動部材ガイド132とを省略して描いており、これらよりも奥側に位置しているリンクレバー122が見やすいようにしている。なお、
図9は
図3に対応しており、
図10は
図4に対応しており、さらに、
図11は
図6に対応している。また、
図9から
図11までに示された符号の説明は、
図3,4,および6に示された符号についての説明を援用する。
【0040】
保持部材108や顎載置部材32が上下方向の略中央に位置している状態から最も下方に位置している状態になるまでの間に、上述したように、上下動部材124によってブロック110が円弧状に上方向に移動する。各リンクバー106は、それぞれ対応する軸受104に対して摺動自在になっていることから、このブロック110の移動に伴い、図中上側のリンクバー106における他端部106bから対応する軸受104までの距離DUは長くなっていく(
図10を参照)。これ対し、図中下側のリンクバー106における他端部106bから対応する軸受104までの距離DLは短くなっていく。つまり、ブロック110は、その水平方向に対する角度を維持したままで円弧状に上方向へ移動する。これにより、図中上側のリンクバー106における一端部106aから対応する軸受104までの距離FUは短くなっていくのに対し、図中下側のリンクバー106における一端部106aから対応する軸受104までの距離FLは長くなっていく。加えて、一方のリンクバー106における一端部106aと、他方のリンクバー106における一端部106aとの間の距離が一定であり、かつ、一方のリンクバー106における他端部106bと、他方のリンクバー106における他端部106bとの間の距離が一定になっていることから、各一端部106aが正逆両方向に円運動ができるように取り付けられた保持部材108も、その水平方向に対する角度を維持したままで下方向に移動することになる。
【0041】
上下動部材124が最も上方に位置する状態から、モーター128が逆の方向に回転し、これがカップリング131を介してボールねじ130に伝達されることによってボールねじ130も逆の方向に回転すると、上下動部材124が下方向に移動するとともに、保持部材108や顎載置部材32が上方向に移動する。
【0042】
上下動部材124が下方向に移動すると、伝達部材126を介してブロック110も円弧状に下方向へ移動する。これにより、ブロック110に対して正逆両方向に円運動ができるように取り付けられたリンクバー106の他端部106bも最も下側に位置している。以上のことから、保持部材108や顎載置部材32が取り付けられたリンクバー106の一端部106aは最も上側(=高い位置)に位置することになり、保持部材108や顎載置部材32が最も上側に移動する。
【0043】
保持部材108が最も上方に移動した状態、つまり、上下動部材124が最も下方に移動した状態の頭部保持部材昇降機構100を
図12,13,および14に示す。
図12は、頭部保持部材昇降機構100を示す側面図であり、保持部材108が最も下方にある状態を示している。
図13は、同状態の側面図である。また、
図14は、同状態の側面図であり、手前側の一対のリンクバー106を省略して描いており、上下動部材ガイド132が見やすいようになっている。なお、
図12は
図3に対応しており、
図13は
図4に対応しており、さらに、
図14は
図7に対応している。また、
図12から
図14までに示された符号の説明は、
図3,4,および7に示された符号についての説明を援用する。
【0044】
保持部材108や顎載置部材32が最も下方に位置している状態から最も上方に位置している状態になるまでの間に、上述したように、上下動部材124によってブロック110が円弧状に下方向に移動する。各リンクバー106は、それぞれ対応する軸受104に対して摺動自在になっていることから、このブロック110の移動に伴い、図中上側のリンクバー106における他端部106bから対応する軸受104までの距離DUは短くなっていく(
図13を参照)。これ対し、図中下側のリンクバー106における他端部106bから対応する軸受104までの距離DLは長くなっていく。つまり、ブロック110は、その水平方向に対する角度を維持したままで円弧状に下方向に移動する。これにより、図中上側のリンクバー106における一端部106aから対応する軸受104までの距離FUは長くなっていくのに対し、図中下側のリンクバー106における一端部106aから対応する軸受104までの距離FLは短くなっていく。加えて、一方のリンクバー106における一端部106aと、他方のリンクバー106における一端部106aとの間の距離が一定であり、かつ、一方のリンクバー106における他端部106bと、他方のリンクバー106における他端部106bとの間の距離が一定になっていることから、各一端部106aが正逆両方向に円運動ができるように取り付けられた保持部材108も、その水平方向に対する角度を維持したままで上方向に移動することになる。
【0045】
ここまで説明したように、本実施例に係る頭部保持部材昇降機構100によれば、保持部材108や顎載置部材32を上下方向に移動させた場合であっても、これらの水平方向に対する角度は一定に維持されている。このため、顎載置部材32の保持部材108に対する取り付け角度が床面から垂直となるように予め調節しておくことにより、顎載置部材32の上下方向の位置をどのように設定した場合であっても、この顎載置部材32の床面に対する角度は変わらない。
【0046】
(頭部保持部材昇降機構100の特徴)
本実施例に係る頭部保持部材昇降機構100によれば、被検者の顎を顎載置部材32に載せて頭部を保持したままで顎載置部材32を昇降させても被検者の頭部に対する顎載置部材32の角度が変わらないので、被検者に違和感を与えることなく、かつ、被検者の頭部の角度も変わることなく、顎載置部材32(頭部保持部材30)の位置を調整することができる。また、機構フレーム102に対して顎載置部材32(頭部保持部材30)が上下往復移動するようになっているので、被検者の近くに昇降機構を設けることなく被検者の頭部を保持する頭部保持部材30の上下位置を調整することができる。これにより、装置における被検者に近い部分をコンパクトにして、撮影のしにくさを解消することができる。さらに、本実施例にかかる頭部保持部材昇降機構100によれば、X線撮影装置10をより軽量・安価に形成することができる。
【0047】
(変形例)
上述した実施例において、ブロック移動手段120は、上下動部材124や伝達部材126やリンクレバー122を用いてブロック110に対して直接作用することにより、ブロック110を円弧状に上下往復移動させるようになっている。しかし、ブロック110の移動方式はこれに限定されるものではない。例えば、リンクバー106の少なくとも1本を対応する軸受104に対して摺動する方向に移動させることによって間接的にブロック110を円弧状に上下往復移動させることも考えられる。
【0048】
また、上述した実施例では、リンクレバー122を用いることによってブロック110を円弧状に上下往復移動させるようになっている。しかし、これに代えて、例えばブロック110の上下往復移動の軌跡溝が設けられたガイド板を用意し、ブロック110に固定されたピンの先端部をこの軌跡溝に嵌めてブロック110をガイドするようにしてもよいし、他の方法でブロック110の円弧状の上下往復移動をガイドしてもよい。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。