特許第6481877号(P6481877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6481877
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190304BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-58302(P2018-58302)
(22)【出願日】2018年3月26日
【審査請求日】2018年10月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】飯田 寛明
(72)【発明者】
【氏名】重政 盛史
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】宮永 陽介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健一
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−184384(JP,A)
【文献】 特開2013−102105(JP,A)
【文献】 特開2012−239280(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/131977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を収容するケースと、
前記駆動回路に接続され、所定方向に配列する複数の接続端子と、
一端が前記負荷にそれぞれ接続され、他端が前記接続端子にそれぞれ接続される複数の電力線と、
前記接続端子に対峙して設けられ、前記接続端子の配列ピッチとは異なる送出ピッチで前記他端を送り出す送出部とを備え、
前記ケースは、前記他端を各々案内する複数の案内壁を備え、
前記接続端子は、矩形状と平行四辺形状を組み合わせた配列からなり、
全ての前記案内壁は、前記接続端子の形状に対前記他端の進入方向に沿うように角度設定されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記案内壁は、所定距離を隔てて対向する第1突出壁と第2突出壁とを備え、前記第1突出壁及び前記第2突出壁の延在方向が前記他端の進入方向に沿うように角度設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1突出壁及び前記第2突出壁は、前記他端に対する入口部位の間隔が大きくなるように形状設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記複数の接続端子の間に配置され、前記接続端子を流れる電流を各々検出する複数の電流センサをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記複数の電力線の長さが同一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記他端は、締結部材によって前記接続端子に締結される長孔を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等においては、搭載されたモータを駆動させるため、バッテリからの電力を制御する電力変換装置が設けられる。例えば、下記特許文献1には、モータ(負荷)を駆動するパワーモジュール(駆動回路)と、パワーモジュールを収容するパワーモジュールケースと、モータとパワーモジュールとを接続するための複数のバスバーとを備える電力変換装置が開示される。バスバーは、モータに接続されるモータ側バスバーと、一端がパワーモジュールに接続され、他端がモータ側バスバーに接続される接続端子とされるパワーモジュール側バスバーとにより構成されている。接続端子はパワーモジュールケースの側面に配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−184384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、モータ側バスバーの根元部の配列ピッチと、接続端子の配列ピッチとが異なる。このような配列ピッチの違いを補填してモータ側バスバーを接続端子に接続させるために、モータ側バスバーとして、モータ側バスバーの根元部を接続端子の配列ピッチに合わせて湾曲させた成形ハーネスが用いられている。しかしながら、このような成形ハーネスには編組線が使用されるため、コストが高くなってしまう。また、電力変換装置の組み立ての観点から、モータとパワーモジュールとの接続作業が容易であることが好ましい。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、コストの増加を抑えることが可能であると共に負荷と駆動回路との接続作業が容易である電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、電力変換装置に係る第1の解決手段として、負荷を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を収容するケースと、前記駆動回路に接続され、所定方向に配列する複数の接続端子と、一端が前記負荷にそれぞれ接続され、他端が前記接続端子にそれぞれ接続される複数の電力線と、前記接続端子に対峙して設けられ、前記接続端子の配列ピッチとは異なる送出ピッチで前記他端を送り出す送出部とを備え、前記ケースは、前記他端を各々案内する案内壁を備え、前記案内壁は、前記接続端子に対する前記他端の進入方向に沿うように角度設定されている、という手段を採用する。
【0007】
また、本発明では、電力変換装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記案内壁は、所定距離を隔てて対向する第1突出壁と第2突出壁とを備え、前記第1突出壁及び前記第2突出壁の延在方向が前記他端の進入方向に沿うように角度設定されている、という手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、電力変換装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記第1突出壁及び前記第2突出壁は、前記他端に対する入口部位の間隔が大きくなるように形状設定されている、という手段を採用する。
【0009】
また、本発明では、電力変換装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、前記複数の接続端子の間に配置され、前記接続端子を流れる電流を各々検出する複数の電流センサをさらに備える、という手段を採用する。
【0010】
また、本発明では、電力変換装置に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれか1つの解決手段において、前記複数の電力線の長さが同一である、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コストの増加を抑えることが可能であると共に負荷と駆動回路との接続作業が容易である電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る電力変換装置の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電力変換装置のパワーモジュールケースの(a)正面図、及び(b)斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電力変換装置の(a)正面図、及び(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る電力変換装置1は、ハイブリッド車や電気自動車等、モータを動力源として走行する車両に搭載される。
【0014】
図1は、本実施形態に係る電力変換装置1を組み付け方向に分解した分解斜視図である。電力変換装置1は、モータ(負荷)を駆動するパワーモジュール(駆動回路)を備える。また、電力変換装置1は、本体ケース2と、パワーモジュールケース(ケース)3と、複数のバスバー5と、複数の電力線7と、送出部9と、回路基板10と、複数の電流センサ11(図1においては不図示)と、を備える。パワーモジュールとモータとは、バスバー5及び電力線7を介して接続されている。
【0015】
図1に示されるように、本体ケース2は、上側ケース2a、中央ケース2b、及び下側ケース2cにより構成される。上側ケース2a、中央ケース2b、及び下側ケース2cは、不図示のガスケット等を介して互いに組み付けられる。
【0016】
パワーモジュールケース3は、パワーモジュールを収容する樹脂製のケースである。図2(a)に示されるように、パワーモジュールケース3の側面3aには、複数の案内壁4が設けられている。案内壁4の詳細については後述する。また、図3(a)及び図3(b)に示されるように、パワーモジュールケース3には、電流センサ11の後述するホール素子11bが挿入される複数の挿入孔3bと、挿入孔3bと側面3aとを連通する複数のスリット3cとが形成されている。側面視において、複数のスリット3cは、複数の案内壁4の間に配置されている。
【0017】
バスバー5は、パワーモジュールと電力線7とを接続する金属板(例えば銅板)である。本実施形態においては、3つのバスバー5が1組として設けられている。バスバー5の一端は、パワーモジュールケース3内においてパワーモジュールと接続される。図2(a)に示されるように、バスバー5の他端は、パワーモジュールケース3の側面3aに設けられる接続端子6とされる。本実施形態においては、3つの接続端子6が1組として、側面3aに所定の間隔を開けて配列される。
【0018】
なお、電力変換装置1の設置姿勢は特に限定されない。ただし、以下の説明においては、説明の便宜上、接続端子6の配列方向(すなわち、図2(a)の左右方向)を電力変換装置1の左右方向と、側面3aに平行かつ接続端子6の配列方向に直交する方向(すなわち、図2(a)の上下方向)を電力変換装置1の上下方向と定義する。
【0019】
図2(a)に示されるように、3つの接続端子6のうち、左右方向の中央に配置される接続端子6Bは矩形状である。左右方向の両側に配置される接続端子6A、6Cはそれぞれ、左右方向における両側辺が上下方向に対して傾斜する平行四辺形状である。また、接続端子6には、ボルト締結用の孔6aが形成されている。
【0020】
電力線7は、モータとバスバー5とを接続する。本実施形態においては、3本の電力線7が1組として設けられている。複数の電力線7は同一形状(同一の長さ)を有する。電力線7の一端はモータと接続される。図1及び図3(a)に示されるように、電力線7の他端7aは、送出部9から送り出されて、接続端子6に接続される。他端7aには、接続端子6との接続用のワイヤ端子8がカシメ付けされている。ワイヤ端子8にはボルト締結用の長孔8aが形成されている。
【0021】
図1及び図3(a)に示されるように、送出部9は、下側ケース2cに、接続端子6に上下方向に対峙して設けられる。送出部9は、複数の電力線7が各々挿通され、複数の電力線7の他端7aを各々送り出す複数の開口9aを有する。開口9aの配列ピッチ(すなわち、他端7aの送出ピッチ)は、接続端子6の配列ピッチよりも狭くなっている。
【0022】
図3(a)に示されるように、送出部9は、3つの電力線7のうち、左右方向の中央に配置される電力線7Bを送り出す開口9aの位置が、接続端子6Bの位置と左右方向において一致するよう配置される。したがって、電力線7Bのワイヤ端子8(他端7a)と接続端子6Bとが接続されると、電力線7Bは上下方向に沿って延びる。
【0023】
また、3つの電力線7のうち、左右方向の両側に配置される電力線7A、7Cの開口9aは、左右方向において接続端子6A、6Cよりも内側に配置される。したがって、電力線7A、7Cのワイヤ端子8(他端7a)と接続端子6A、6Cとが接続されると、電力線7A、7Cは、下端から上端に向かうに従い上下方向に対して外開きに傾斜するよう延びる。また、電力線7A〜7Cは同一の長さを有しているため、電力線7A、7Cのワイヤ端子8の上端は、電力線7Bのワイヤ端子8の上端よりも下方に配置される。
【0024】
次に、図2及び図3(a)を参照して、案内壁4の構成について説明する。複数の案内壁4は、複数の接続端子6と対応して設けられる。すなわち、本実施形態においては、3つの案内壁4が1組として設けられている。案内壁4は、電力線7の他端7aを案内する。案内壁4は、接続端子6に対する他端7aの進入方向に沿うように角度設定されている。
【0025】
具体的には、図2(a)に示されるように、案内壁4は、所定距離を隔てて対向する第1突出壁41と第2突出壁42とを備える。第1突出壁41及び第2突出壁42は、側面3aから突出している。第1突出壁41及び第2突出壁42は互いに平行に延びる。側面視において、第1突出壁41及び第2突出壁42は接続端子6を挟むように配置される。第1突出壁41及び第2突出壁42の延在方向は他端7aの進入方向に沿うように角度設定されている。
【0026】
3つの案内壁4のうち、左右方向の中央に配置される案内壁4Bの第1突出壁41及び第2突出壁42は、上下方向に沿って延びる。3つの案内壁4のうち、左右方向の両側に配置される案内壁4A、4Cの第1突出壁41及び第2突出壁42は、下端から上端に向かうに従い上下方向に対して外開きに傾斜するように延びる。すなわち、案内壁4A、4Cの第1突出壁41及び第2突出壁42は、下端から上端に向かうに従い案内壁4Bから離れる方向に傾斜している。
【0027】
図2(b)に示されるように、ワイヤ端子8(他端7a)の進入を容易にするために、第1突出壁41及び第2突出壁42の互いに対向する面の下端部41a、42aは、下端側に向かうに従って第1突出壁41と第2突出壁42との間の距離が広がるように傾斜している。すなわち、第1突出壁41及び第2突出壁42の下端部41a、42aは、ワイヤ端子8(他端7a)に対する入口部位の間隔が大きくなるように形状設定されている。
【0028】
図1及び図3(a)に示されるように、回路基板10は、パワーモジュールケース3の上面に固定配置されている。回路基板10には、不図示の制御回路が実装される。回路基板10(制御回路)は、所定の通信ケーブルなどを介してモータECU等の上位制御装置と接続されており、上位制御装置から入力される制御指令に基づいて車両に搭載される昇降圧コンバータ、インバータ等を制御する。
【0029】
図3(a)及び図3(b)に示されるように、複数の電流センサ11は、複数の接続端子6の間に配置される。複数の電流センサ11は、バスバー5(接続端子6)を流れる電流を各々検出し、回路基板10に実装された制御回路に検出信号を出力する。
【0030】
図3(b)に示されるように、電流センサ11は、磁気コア11aとホール素子11bとを備える。磁気コア11aは、パワーモジュールケース3の側部に一体成形された磁性部品であり、磁気ギャップ11cを有する略C字状に形成される。磁気コア11aには、バスバー5が挿通される。磁気コア11aは透磁率が高い強磁性体材料から構成されているので、磁気コア11aにはバスバー5を流れる電流に起因してバスバー5の周囲に発生する磁力線が集中的に流れる。
【0031】
ホール素子11bは、回路基板10の下面に実装されており、磁気ギャップ11cに挿入される。すなわち、ホール素子11bは、磁気ギャップ11cを通過する上記磁力線を主に検出する磁気センサである。図3(b)に示されるように、ホール素子11bは挿入孔3bに挿入される。スリット3cにより挿入孔3bと側面3aとが連通されているため、ホール素子11bは、スリット3cを通してパワーモジュールケース3の外部から視認可能となっている。3つの案内壁4のうち、左右方向の両側に配置される案内壁4A、4Cの第1突出壁41及び第2突出壁42は、下端から上端に向かうに従い上下方向に対して外開きに傾斜するように延びているため、案内壁4Aと4Bの間、及び案内壁4Bと4Cの間にスリット3cを設ける空間を十分に確保することができる。
【0032】
そして、このような構成を有する本実施形態の電力変換装置1を組み立てる場合には、電力線7のワイヤ端子8(他端7a)を、接続端子6に対して下方から進入させる。すなわち、ワイヤ端子8(他端7a)を、案内壁4の第1突出壁41と第2突出壁42との間に、図2(b)に示される矢印の方向に沿って進入させる。具体的には、電力線7Bのワイヤ端子8(他端7a)は、案内壁4Bに案内されつつ、上下方向に沿って下方から進入される。電力線7A、7Cのワイヤ端子8(他端7a)は、案内壁4A、4Cにそれぞれに案内されつつ、上下方向に対して外側に傾斜する方向に下方から進入される。
【0033】
ワイヤ端子8(他端7a)が案内壁4の第1突出壁41と第2突出壁42との間に配置されると、ワイヤ端子8(他端7a)と接続端子6とが各々接触して、バスバー5と電力線7とが各々接続される。このとき、側面視において、ワイヤ端子8の長孔8aと接続端子6の孔6aとの位置が一致する。孔6a及び長孔8aにボルトを挿通して締結することにより、ワイヤ端子8が接続端子6に対して固定される。なお、ワイヤ端子8には長孔8aが形成されているため、孔6aに対する長孔8aの位置が多少ずれていたとしても、孔6a及び長孔8aにボルトを挿通して締結することができる。
【0034】
その後、ホール素子11b及び制御回路が実装された回路基板10を、パワーモジュールケース3に対して平行対峙させる。この状態で、回路基板10を降下させて、回路基板10の下面に実装されるホール素子11bを挿入孔3bに挿入する。この際に、スリット3cにより、挿入孔3bに対するホール素子11bの位置をパワーモジュールケース3の外部から確認することができる。その後、回路基板10を、パワーモジュールケース3の上部に所定の固定具(ネジなど)を用いて固定する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、パワーモジュールケース3が電力線7の他端7aを各々案内する案内壁4を備え、案内壁4は、接続端子6に対する他端7aの進入方向に沿うように角度設定されている。接続端子6の配列ピッチと、送出部9から電力線7の他端7aを送り出す送出ピッチとが異なるが、案内壁4により、ピッチの違いに合わせて他端7aの進入角度を調整した状態で、他端7aを接続端子6に対して進入させて、接続端子6と接続することができる。したがって、電力線7の装着性が向上し、接続端子6及び電力線7を介したモータとパワーモジュールとの接続作業が容易である。また、モータとパワーモジュールとの接続に成形ハーネスを用いる必要がないため、ハーネスの持つ接続端子6の配列ピッチと送出部9から電力線7の他端7aを送り出す送出ピッチとの違いに起因した接続端子6と他端7aとの間の相互位置バラツキを吸収できるという特性を生かしつつ、コストの増加を抑えることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、案内壁4は、所定距離を隔てて対向する第1突出壁41と第2突出壁42とを備え、第1突出壁41及び第2突出壁42の延在方向が他端7aの進入方向に沿うように角度設定されている。したがって、他端7aを第1突出壁41と第2突出壁42との間に進入させることにより、他端7aを接続端子6との接続位置に容易に配置することができる。また、第1突出壁41及び第2突出壁42の間に接続端子6及び他端7aが各々配置されるので、隣り合う接続端子6及び他端7aとの絶縁性能を確保することができる。また、第1突出壁41及び第2突出壁42により、本体ケース2やその他導電部位との絶縁性能を確保することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、第1突出壁41及び第2突出壁42は、他端7aに対する入口部位の間隔が大きくなるように形状設定されている(図2(b)の下端部41a、42a参照)。したがって、他端7aを第1突出壁41と第2突出壁42との間に円滑に挿入することができる。すなわち、入口部位では他端7aの挿入性を確保しつつ、接続端子6に近付くに従い徐々に他端7aを位置決めしていくことができる。
【0038】
また、本実施形態においては、複数の接続端子6の間に配置され、接続端子6を流れる電流を各々検出する複数の電流センサ11をさらに備える。したがって、電流センサ11を検出対象となる接続端子6の近傍に配置し、電流センサ11により接続端子6を流れる電流を検出することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、複数の電力線7の長さが同一である。したがって、複数の電力線7のインピーダンスを等しくすることができる。
【0040】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上記実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0041】
例えば、上述の実施形態において、案内壁4は、所定距離を隔てて対向する第1突出壁41と第2突出壁42とを備える構成を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、案内壁4は1つの突出壁のみを備える構成としてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態において、送出部9は、左右方向の中央に配置される電力線7Bを送り出す開口9aの位置が、接続端子6Bの位置と左右方向において一致するよう配置される構成を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、送出部9は、電力線7Aを送り出す開口9aの位置が、接続端子6Aの位置と左右方向において一致するよう配置されていてもよい。この場合には、電力線7Aは上下方向に沿って延びるが、電力線7B、7Cは上下方向に対して傾斜するよう延びる。また、電力線7Cの上下方向に対する傾斜角度が、電力線7Bの上下方向に対する傾斜角度よりも大きくなる。
【0043】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…電力変換装置、3…パワーモジュールケース(ケース)、4…案内壁、5…バスバー、6…接続端子、7…電力線、7a…他端、9…送出部、11…電流センサ、41…第1突出壁、42…第2突出壁
【要約】
【課題】コストの増加を抑えることが可能であると共にモータとパワーモジュールとの接続作業が容易である電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、モータを駆動するパワーモジュールと、パワーモジュールを収容するパワーモジュールケース3と、パワーモジュールに接続され、所定方向に配列する複数の接続端子6と、一端がモータにそれぞれ接続され、他端7aが接続端子6にそれぞれ接続される複数の電力線7と、接続端子6に対峙して設けられ、接続端子6の配列ピッチとは異なる送出ピッチで他端7aを送り出す送出部9とを備え、パワーモジュールケース3は、他端7aを各々案内する案内壁4を備え、案内壁4は、接続端子6に対する他端7aの進入方向に沿うように角度設定されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3