【文献】
高柳 津富 他,”引張りおよび引張り−ねじり試験によるブタ前十字靱帯の力学的特性評価”,日本機械学会[No.03−11]M&M2003材料力学部門講演会講演論文集,2003年 9月23日,647〜648頁
【文献】
田中 正夫 他,”膝前十字靱帯の三次元局所変形:ロボット化試験のもとでの計測”,日本機械学会 関西支部第69期定時総会講演会講演論文集 No,944−1,1994年 3月20日,77〜79頁
【文献】
Andrej Maria NOWAKOWSKI et al.,"Development of a force-determining tensor to measure "physiologic knee ligament gaps" without bone,JOURNAL OF ORTHOPAEDIC SCIENCE Vol.16,No.1,2011年 1月,pp56-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の骨を前記各固定具で固定する際に、当該各固定具の前記角度調整機構で前記骨軸周りの回転角度を調整することにより、前記生体組織のねじれを解消した状態で、若しくは、前記生体組織のねじれ量を一定にした状態で、前記第1及び第2の骨を前記各保持部で保持することを特徴とする請求項1記載の固定具の取付方法。
前記第1及び第2の骨を前記各固定具で固定する際に、当該各固定具の前記横方向位置調整機構及び前記縦方向位置調整機構で、前記各保持部の水平面内の相対位置関係を調整することにより、前記引張試験機での引張方向に沿う姿勢で前記生体組織が配置されるように、前記第1及び第2の骨を前記各保持部で保持することを特徴とする請求項1又は2記載の固定具の取付方法。
前記第1及び第2の骨を前記各固定具で固定する際に、当該各固定具の前記骨傾斜角度調整機構で、前記第1及び第2の骨の傾斜角度を調整することにより、当該第1及び第2の骨の屈曲角度を所望の状態にして、前記第1及び第2の骨を前記各保持部で保持することを特徴とする請求項1、2又は3記載の固定具の取付方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、新たな人工靭帯の研究開発の過程においては、当該人工靭帯を生体組織に移植した後、一定期間の関節運動を経た人工靭帯の力学的特性の評価も必要である。例えば、ヒツジやブタ等の動物の膝関節に、開発した人工靭帯を移植した上で、当該動物に所定期間運動を行わせ、その後の人工靭帯の力学的特性を評価する必要も生じる。ここで、再建した人工靭帯は、元来の前十字靭帯と同様に、ねじれた状態で大腿骨と脛骨とに接続されており、しかも、骨に固着していることから、動物の膝関節に一旦植込んで暫く時間が経過すると、膝関節から人工靭帯のみを取り出すことが難しくなる。従って、動物の膝関節再建後の人工靭帯の力学的特性の評価を行うためには、動物の犠牲死後に膝関節毎摘出し、その中の人工靭帯について、力学的評価のための試験を行なわざるを得ない。しかしながら、大腿骨と脛骨に接続された人工靭帯は、前述の通りねじれが存在しており、大腿骨及び脛骨の中心線となる骨軸を引張方向に合わせて引張試験を行うと、引張方向に対する傾きやねじれが生じた状態で人工靭帯が引っ張られることになり、再建後の人工靭帯に対する力学的評価の対比を正確に行うことができない。従って、この際、大腿骨と脛骨に接続されている状態の人工靭帯について、ねじれや傾きを解消するなど一定の状態で引張方向に沿う垂直方向に固定する必要がある。しかしながら、現状において、このような固定用の治具は存在しない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、骨が付いたままの生体組織に引張試験機で引張力を作用させる場合に、当該生体組織のねじれや傾きを調整して、生体組織及び骨を一体的に引張試験機にセットすることのできる生体組織の固定具及びその取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、骨に繋がる生体組織を引張試験機にセットする際に用いられ、当該生体組織が付いたままの前記骨を固定する固定具であって、前記骨を保持する保持部と、当該保持部を支持する支持部とを備え、前記保持部には、保持される前記骨の骨軸周りの回転角度を調整する骨軸周り角度調整機構が設けられ、前記保持部及び前記支持部には、保持される前記骨の傾斜角度を調整する骨傾斜角度調整機構が設けられ、前記支持部には、前記保持部の横方向の位置を調整する横方向位置調整機構と、前記保持部の縦方向の位置を調整する縦方向位置調整機構とが設けられる、という構成を採っている。
【0007】
また、本発明に係る前記固定具の取付方法は、主として、第1及び第2の骨に繋がった状態の前記生体組織を前記引張試験機にセットする際に、前記第1及び第2の骨を別々の前記固定具で固定し、何れか一方の前記固定具を前記引張試験機の固定側に取り付けるとともに、何れか他方の前記固定具を前記引張試験機のロードセル側に取り付ける、という手法を採っている。
【0008】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「縦方向」とは、
図1におけるx軸に沿う方向を意味し、「横方向」とは、水平面内で前記x軸に直交する同図のy軸に沿う方向を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生体組織が付いたままの骨の保持状態を2軸の回転方向で姿勢調整でき、且つ、当該骨の保持状態を2軸の並進方向で位置調整できるため、骨に付いたままの生体組織に引張試験機で引張力を作用させる場合に、当該生体組織のねじれや傾きを調整して、生体組織及び骨を一体的に引張試験機にセットすることができる。すなわち、骨軸周り角度調整機構での調整により、生体組織のねじれを解消し、或いは、生体組織を予め定められたねじれ量に調整することができる。また、横方向位置調整機構、縦方向位置調整機構及び骨傾斜角度調整機構での調整により、骨に対する生体組織の姿勢の相違に関わらず、当該生体組織の引張方向に沿う姿勢で生体組織を配置可能になる。更に、骨傾斜角度調整機構での調整により、生体組織が付いたままの骨の傾斜角度を所望の状態にして引張試験機に取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1には、本実施形態に係る生体組織の固定具が図示しない引張試験機に取り付けられるときの状態を表す概略斜視図が示され、
図2には、
図1の概略側面図が示されている。また、
図3には、前記固定具の概略斜視図が示され、
図4には、その概略側面図が示されている。これらの図において、前記固定具10は、生体組織としての人工靭帯Aを動物の膝関節に膝前十字靭帯として移植し、所定期間経過後、当該動物から取り出された膝関節部分の人工靭帯Aに前記引張試験機で引張力を作用させるために、膝関節ごと引張試験機に取り付けるための治具である。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態の固定具10は、ステンレス等の金属で形成されている。
【0013】
この固定具10は、
図1及び
図2に示されるように、前記引張試験機への取り付け時に実質的に同一となる構造のものが2個別々に用いられ、それぞれ、第1の骨としての大腿骨Bと第2の骨としての脛骨Bを固定して保持した上で、前記引張試験機に取り付けられるようになっている。なお、大腿骨Bと脛骨Bをそれぞれ固定する固定具10は、実質的に同一構造となっているため、以下において、大腿骨Bと脛骨Bを「骨B」と総称し、
図1及び
図2の下側の固定具10についてのみ、構成及び作用等を説明し、同図中上側の固定具10については、同図中下側の固定具10と同一若しくは同等の構成部分に同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0014】
前記固定具10は、人工靭帯Aが付いたままの骨Bを保持する保持部11と、保持部11を支持する支持部12とを備えている。
【0015】
前記保持部11は、人工靭帯Aの反対側となる骨Bの基部側が収容される収容体14と、収容体14を囲むように収容体14を保持する抑えブロック15とを備えている。
【0016】
前記収容体14は、
図3から
図6に示されるように、内部空間Sに骨Bが挿入される円筒部材17と、円筒部材17の外周面に一体的に連なるフランジ部材18(
図5(A)及び
図6参照)とからなる。
【0017】
前記円筒部材17は、
図6(A)中上端側となる一端側が開放する一方で、同図中下端側となる他端側が閉塞する有底状に設けられるとともに、同図中上下方向に延びる接合縁Cを境に2等分に分割可能に設けられている。なお、円筒部材17の外周面には、内外間を貫通する穴19が複数箇所に形成されている。
【0018】
前記フランジ部材18は、円筒部材17の
図6(A)中下寄りに設けられるとともに、円筒部材17と同一の接合縁Cで2分割可能に設けられており、収容体14全体で2分割できるようになっている。また、フランジ部材18には、その表裏両面間を貫通して周方向に延びる長穴21が、周方向に沿って等間隔となる4箇所に形成されている。
【0019】
前記収容体14では、円筒部材17の
図6(A)中上端に位置する開放部分から内部空間Sに骨Bの基部側が挿入された後、骨Bが内部空間Sで動かないように、その隙間にエポキシ樹脂等の充填剤が充填された上で、前記穴19から図示しないねじが挿入され、当該ねじにより骨Bが所望の姿勢で収容体14に固定される。このとき、骨Bは、その中心軸である骨軸が円筒部材17の中心軸にほぼ沿うように固定される。そして、引張試験機での試験終了後に、前記ねじを取り外した上で、収容体14が分割され、エポキシ樹脂を除去して、収容体14から骨Bが取り外される。
【0020】
前記抑えブロック15は、
図7に示されるように、方形ブロック状の本体23と、本体23に固定され、ほぼ円柱状をなす突部材24とを備えている。
【0021】
前記本体23は、円筒部材17が挿通される貫通穴26と、当該貫通穴26の延出方向の両端側の面を構成する上面27及び底面28と、上面27及び底面28に連なるとともに、突部材24が固定される側面29,29と、上面27と底面28の間を貫通する第1の位置決め穴31と、各側面29,29の間を貫通する第2の位置決め穴32とを備えている。
【0022】
前記貫通穴26は、上面27と底面28の各中央部分間を貫通する円筒状の穴となっており、円筒部材17の外径とほぼ同一若しくは僅かに大きい内径で、且つ、円筒部材17の長さより短い長さに設けられている。
【0023】
ここで、円筒部材17が貫通穴26に挿通される取付時においては、
図5(A)に示されるように、フランジ部材18が底面28に当接し、フランジ部材18の反対側となる円筒部材17の開放端側が、同図(B)等に示されるように、上面27よりも突出するように配置される。
【0024】
前記第1の位置決め穴31は、
図7に示されるように、貫通穴26の外側で、周方向に沿って等間隔となる4箇所に形成されており、前記取付時には、フランジ部材18の各長穴21の何れかの部分に連通するようになっている。ここで、本体23の貫通穴26に挿通された状態の円筒部材17は、その中心軸周りに本体23に対して回転可能となっており、当該回転を行いながら、第1の位置決め穴31と連通する長穴21の位置を定めて、それら長穴21にボルトT(
図5(A)参照)を挿通してナットN(同図(B)参照)で締結することで、円筒部材17が本体23に対して回転不能に固定される。従って、本体23に対して円筒部材17を回転させることで、円筒部材17に収容された骨Bは、その骨軸周りの回転角度の調整が可能であり、所望の回転角度でボルトT及びナットNにより、本体23に対して円筒部材17が回転不能に固定される。以上により、収容体14と抑えブロック15は、骨Bの骨軸周りの回転角度を調整する骨軸周り角度調整機構を構成する。
【0025】
前記第2の位置決め穴32は、
図7に示されるように、貫通穴26及び第1の位置決め穴31に交差しない位置で、側面29の外縁側4箇所に形成されている。
【0026】
前記突部材24は、第2の位置決め穴32の内側となる各側面29,29の中央部分から突出するように設けられている。
【0027】
前記支持部12は、
図3及び
図4に示されるように、保持部11の回転角度を可変に当該保持部11が取り付けられる一対の角度調整板34,34と、角度調整板34,34をy軸に沿う横方向に移動可能に支持する横方向調整板35と、横方向調整板35をx軸に沿う縦方向に移動可能に支持する縦方向調整板36と、縦方向調整板36の
図3中下面側に固定され、前記引張試験機のチャックへの取付部分となるチャック取付具37とを備えている。
【0028】
前記角度調整板34,34は、側面視ほぼT字状をなし、保持部11を挟み込んで支持可能に対向配置されており、抑えブロック15が当接する主部39と、主部39の
図3中下側に連なるとともに、主部36よりも幅広となる底部40とからなる。
【0029】
前記主部39には、
図8に示されるように、抑えブロック15の突部材24(
図7参照)が回転可能に嵌め込まれる円形の凹部42と、当該凹部42の周囲2箇所に形成されるとともに、凹部42と同心円の周方向に延びる長穴43,43とが形成されている。
【0030】
前記凹部42は、他方の角度調整板34の凹部42に対向する内面側が開放するように形成され、各凹部42,42間に突部材24,24が嵌め込まれることで、角度調整板34,34の間に抑えブロック15が掛け渡されるようになっている。
【0031】
前記長穴43は、主部39を貫通するように形成されており、突部材24が凹部42に嵌め込まれた状態で回転したときに、その何れかの部分が抑えブロック15の第2の位置決め穴32(
図7参照)に連通する位置に形成されている。なお、
図8(A)は、
図3中右側に位置する角度調整板34を内面方向から見た図であり、各角度調整板34,34に形成された長穴43,43は、相互に対向する位置に形成されている。
【0032】
ここで、一対の角度調整板34,34の間に、収容体14が取り付けされた抑えブロック15を配置し、凹部42,42に突部材24、24を嵌め込んだ上で、突部材24,24を支点にして抑えブロック15を回転させながら所望の回転角度になったときに、何れか一方の角度調整板34の外側から長穴43,43にボルトTを通し、当該ボルトTが各第2の位置決め穴32を貫通して、反対側となる他方の角度調整板34の長穴43,43からボルトTの先端を突出させて当該先端側からナットNを締結することで、保持部11が角度調整板34,34の間に回転不能に取り付けられる。従って、抑えブロック15は、y軸回りに回転させながら位置決めをした上で、角度調整板34,34に固定可能になり、
図3及び
図5に示されるように、保持部11は、y軸回りの回転角度を変えた様々な姿勢で角度調整板34,34に取り付け可能となる。以上により、抑えブロック15及び角度調整板34,34は、保持部11に保持される骨Bの傾斜角度を調整する骨傾斜角度調整機構を構成する。
【0033】
前記底部40には、その
図8(A)中下端側の中央で下向きに開放する切欠部45と、主部39から外側にはみ出た同図中左右両側部分で同図中上下方向に貫通する第3の位置決め穴47,47とが形成されている。
【0034】
前記横方向調整板35は、
図3に示されるように、平面視長方形状のベース49と、当該ベース49の中央で長手方向に延びるようにベース49上に突出するとともに、角度調整板34の切欠部45が係合するガイド50とを備えている。
【0035】
前記ベース49には、その短手方向の両端側に位置して長手方向に延びるとともに、
図3中上下方向に貫通する長穴51,51と、各コーナ寄りの4箇所で貫通する第4の位置決め穴53とが形成されている。
【0036】
前記長穴51,51は、切欠部45がガイド50に嵌め込まれて角度調整板34をベース49上に起立配置した状態で、何れかの部位が前記第3の位置決め穴47,47に連通する位置に形成されている。
【0037】
ここで、一対の角度調整板34,34をベース49上に起立配置した状態で、角度調整板34,34をガイド50に沿って横方向(y軸方向)に移動しながら、所望の横位置になったときに、角度調整板34の第3の位置決め穴47,47にボルトTを通し、当該ボルトTをベース49の長穴51まで貫通させ、ベース49の裏側から長穴51内にナットNを挿入してボルトTと締結することで、角度調整板34が横方向に移動不能に横方向調整板35に取り付けられる。従って、角度調整板34,34に固定された保持部11は、横方向の位置調整がなされた上で、横方向調整板35に固定可能になる。以上により、角度調整板34,34及び横方向調整板35は、骨Bが保持された保持部11の横方向の位置を調整する横方向位置調整機構を構成する。
【0038】
前記縦方向調整板36は、平面視長方形状のベース55と、当該ベース55の短手方向の両端縁から
図3中上方にそれぞれ突出するガイド56,56とを備えている。
【0039】
前記ベース55には、各ガイド56,56のそれぞれ内側近傍で、当該ガイド56,56に沿って長手方向に延びるとともに、
図3中上下方向に貫通する長穴58,58が形成されている。
【0040】
前記ガイド56,56は、横方向調整板35のベース49の長手方向の幅とほぼ同一若しくは僅かに広い間隔で配置されており、その間の上面部分に横方向調整板35が載るようになっている。
【0041】
前記長穴58,58は、横方向調整板35が縦方向調整板36の上面に載った状態で、何れかの部位が横方向調整板35の第4の位置決め穴53,53に連通する位置に形成されている。
【0042】
ここで、縦方向調整板36上に載った状態の横方向調整板35をガイド56、56に沿って縦方向(x軸方向)に移動しながら、所望の縦位置になったときに、ベース55の裏側から、長穴58、58にボルトTを通し、当該ボルトTを横方向調整板35の第4の位置決め穴53まで貫通させ、第4の位置決め穴53側からナットNを挿入してボルトTの先端部分と締結することで、横方向調整板35が縦方向に移動不能に縦方向調整板36に取り付けられる。従って、保持部11が取り付けられる角度調整板34,34を支持する横方向調整板35は、縦方向の位置調整がなされた上で、縦方向調整板36に固定可能になる。以上により、横方向調整板35及び縦方向調整板36は、骨Bが保持された保持部11の縦方向の位置を調整する縦方向位置調整機構を構成する。
【0043】
前記チャック取付具37は、ガイド56の突出方向の反対側となるベース55の裏面側に固定されている。
【0044】
次に、前記固定具10の引張試験機へのセッティングについて説明する。
【0045】
膝関節に人工靭帯Aを移植した動物に所定期間運動を行わせて、その犠牲死後に、実験対象となる膝関節をそのまま摘出し、大腿骨Bと脛骨Bとの間に人工靭帯Aが接続された状態で、2つの固定具10,10にて、大腿骨B、脛骨Bがそれぞれ保持され、それぞれのチャック取付具37,37により、何れか一方を引張試験機の固定側に、また、何れか他方を引張試験機のロードセル側に取り付ける。
【0046】
そして、摘出した膝関節についての安定性試験を行うときは、前記骨傾斜角度調整機構によって、大腿骨Bと脛骨Bの傾斜角度を変えながら、大腿骨Bと脛骨Bとの間をなす角度である膝関節の屈曲角度を調整する。そして、当該屈曲角度を何通りか変えた状態で、引張試験機によって人工靭帯Aに負荷が掛けられ、大腿骨Bに対する脛骨Bの移動量が測定される。
【0047】
また、摘出した膝関節の人工靭帯Aに対して引張試験を行うときは、試験対象となる人工靭帯Aを同一の姿勢にするために、大腿骨Bと脛骨Bを固定具10で固定する際、大腿骨Bと脛骨Bの位置及び姿勢の調整が次のように行われる。すなわち、前記角度調整機構による各骨Bの骨軸周りの回転角度の調整により、人工靭帯Aのねじれを解消した状態で、若しくは、人工靭帯Aのねじれ量を一定にした状態で、大腿骨B1と脛骨B2を保持部11,11で保持する。また、前記横方向位置調整機構及び前記縦方向位置調整機構による保持部11の水平位置の調整と、前記骨傾斜角度調整機構による大腿骨B及び脛骨Bそれぞれの傾斜角度の調整とにより、人工靭帯Aが、引張試験機での引張方向(
図1中z軸方向)に沿う垂直方向に配置されるように、大腿骨Bと脛骨Bを保持部11,11で保持する。
【0048】
従って、このような実施形態によれば、固定具10での回転2自由度、並進2自由度での骨Bの保持が可能となり、引張試験機による引張方向の1自由度を加えると、大腿骨B及び脛骨Bの膝関節運動に相当する5自由度で、大腿骨B及び脛骨Bを保持できるという効果を得る。
【0049】
なお、本発明における固定具10は、前記実施形態での膝関節の保持に限らず、他の靭帯や腱等の生体組織が付いた状態の他部位の骨を保持することもでき、当該生体組織が付いたままの骨を引張試験機に取り付け可能となる。
【0050】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。