(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、燃焼室の冷却機構、冷却機構を備えるロケットエンジン、及び、冷却機構の製造方法に関して、添付図面を参照して説明する。
【0028】
(座標系の定義)
図3B、
図3C、
図5B、
図5C、
図6A、
図7A、
図8A、
図9、
図10、
図13A等に示されるように、第1流路の長手方向に沿う軸を「X軸」と定義する。また、第1流路に沿って、冷却媒体が流れる方向を「+X方向」と定義し、+X方向と反対の方向を「−X方向」と定義する。+X方向または−X方向のどちらか一方であり、かつ、+X方向であるのか−X方向であるのかが重要でない時には、単に、「X方向」という。
図3A、
図3B、
図5A、
図5B、
図6A、
図7A、
図13Aに示されるように、X軸に垂直な軸であって、かつ、燃焼室から遠ざかる方向に沿う軸を「Z軸」と定義する。Z軸において、燃焼室から遠ざかる方向を「+Z方向」、燃焼室に近づく方向を「−Z方向」と定義する。X軸に垂直、かつ、Z軸に垂直な軸を「Y軸」と定義する。また、Z軸をX軸に向かって回転させる時、右ネジの進む方向を「+Y方向」と定義し、+Y方向と反対の方向を「−Y方向」と定義する。なお、第1流路の長手方向が変化する場合、X軸は、第1流路の局所部分に対応して定義される軸である。また、燃焼室から遠ざかる方向が変化する場合、Z軸は、第1流路の局所部分に対応して定義される軸である。
【0029】
(用語の定義)
「第1方向」は、「+X方向」を意味する。「第2方向」は、「+Y方向」または「−Y方向」を意味する。「第3方向」は、「+Z方向」を意味する。
【0030】
(冷却機構の概要)
図1乃至
図4を参照して、冷却機構の概要について説明する。
図1は、冷却機構が適用されるロケットエンジンの概略斜視図である。
図2Aおよび
図2Bは、面Aにおける
図1の断面図である。
図3Aは、冷却機構の一部を示す概略斜視図である。
図3Bは、冷却機構の一部を示す概略斜視図であり、上壁を省略して記載した図である。
図3Cは、
図3Bに記載された冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。
図4は、底壁温度の温度分布を模式的に示すグラフである。
【0031】
図1を参照して、実施形態の冷却機構が適用される対象物の一例を説明する。
図1には、ロケットエンジン1が記載されている。ロケットエンジン1は、燃焼器2、および、ノズル3を備える。燃焼器2は、燃焼室4を備える。
【0032】
図2Aは、面Aにおける
図1の断面図である。燃焼器2は、燃焼室4に接する底壁22と、上壁30と、複数の側壁26とを備える。各側壁26は、底壁22に接続させるととともに上壁30に接続されている。
図2Aの例では、底壁22と複数の側壁26とが一体に形成され、底壁22と複数の側壁26とが1つの第1部材20を構成している。また、上壁30が、第1部材とは別に形成された第2部材を構成している。そして、第1部材20と、第2部材とは、溶接またはろう付け等によって接合されている。しかし、底壁、側壁、上壁の構成は、
図2Aの例に限定されない。例えば、底壁、側壁、上壁のそれぞれが、別々に形成されてもよい。なお、底壁22(又は、底壁22および側壁26)を内壁と呼び、上壁30を外壁と呼ぶ場合もある。
【0033】
底壁22と上壁30と2つの側壁26とによって囲まれた空間は、冷却媒体が通過する冷却流路40を構成する。
図2Aには、複数個の冷却流路40が設けられた例が記載されているが、冷却流路40の数は、1以上の任意の整数である。冷却機構がロケットエンジン1に適用される場合には、冷却媒体は、例えば、液体水素である。しかし、冷却媒体の種類は、液体水素に限定されず、任意である。冷却媒体は、液体であってもよいし、気体であってもよいし、超臨界流体であってもよい。
【0034】
底壁、上壁、側壁の材質は、任意である。冷却機構がロケットエンジン1に適用される場合には、底壁、上壁、側壁の材質は、例えば、銅合金である。
【0035】
図2Bは、燃焼器の変形例を示す。燃焼器2’には、燃焼室4を囲む壁21が、底壁22とは別に設けられている点で、
図2Aに記載の燃焼器2とは異なる。壁21と底壁22とは、別々に形成され、壁21と底壁22とは、溶接またはろう付け等によって接合されている。
図2Bに示される燃焼器の場合、壁21と底壁22の両者をあわせて、底壁と呼ぶ。
【0036】
なお、
図1乃至
図2Bでは、冷却機構をロケットエンジンの燃焼室に適用した例を説明した。しかし、冷却機構を適用する対象は、
図1乃至
図2Bの例に限定されず、任意である。冷却機構を適用する対象は、冷却が必要とされる任意の対象物である。
【0037】
図3Aは、冷却機構の一部を示す概略斜視図である。
図3Aは、冷却機構の一例を示す。冷却機構10は、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3を含む複数の冷却流路40を備える。なお、
図3Aにおいて、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3以外の冷却流路については、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。
【0038】
第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3のそれぞれは、底壁22と、上壁30との間に配置されている。より詳細には、第1の冷却流路40−1は、底壁22と、上壁30と、2つの側壁26(なお、一方の側壁は、記載が省略されている。)とで囲まれた流路である。同様に、第2の冷却流路40−2は、底壁22と、上壁30と、2つの側壁26とで囲まれた流路である。また、第3の冷却流路40−3は、底壁22と、上壁30と、2つの側壁26とで囲まれた流路である。底壁22は、燃焼室4と接している。換言すれば、底壁の底面は、燃焼室4である燃焼空間に、直接、面している。
【0039】
なお、
図3Aには、第1の冷却流路40−1を構成する第1部材20と、第2の冷却流路40−2を構成する第1部材20と、第3の冷却流路40−3を構成する第1部材20とが、別々に形成されるとともに、互いに接合されている例が記載されている。しかし、実施形態は、
図3Aの例に限定されない。例えば、第1の冷却流路40−1を構成する第1部材20と、第2の冷却流路40−2を構成する第1部材20と、第3の冷却流路40−3を構成する第1部材20とは、一体に形成された1つの部材であってもよい。また、
図3Aには、各冷却流路40のX軸に垂直な断面が矩形である例が記載されているが、各冷却流路40の断面形状は任意である。
【0040】
図3Bは、冷却機構の一部を示す概略斜視図であり、
図3Aに関し、上壁30の記載を省略した図である。第1の冷却流路40−1について説明する。第1の冷却流路40−1は、燃焼室4に接する底壁22と、上壁(
図3Bには、図示されず。)との間に配置される冷却流路である。
【0041】
第1の冷却流路40−1は、底壁22に沿って配置され、+X方向(換言すれば、第1方向)に沿って延びる第1流路50を備える。また、第1の冷却流路40−1は、底壁22に沿って配置され、+X方向(換言すれば、第1方向)に沿って延びる第2流路60を備える。第2流路60は、第1流路50に対して、Y軸に沿う方向(すなわち、第2方向)にオフセットして配置されている。なお、燃焼室4の形状が円筒形状である場合には、Y軸に沿う方向は、円筒の円周に沿う方向となる。
【0042】
第1の冷却流路40−1は、X軸に沿う方向において、第1流路50と第2流路60との間に配置される接続部分70(第1接続部分70)を備える。接続部分70は、接続流路ということもできる。接続部分70は、第1流路50に接続されるとともに、第2流路60に接続されている。第1流路50は、接続部分70の−X方向側(第1方向と反対方向側)に接続されている。また、第2流路60は、接続部分70の+X方向側(第1方向側)に接続されている。
【0043】
接続部分70の+X方向側(第1方向側)の端部には、接続部分70を+X方向(第1方向)に向かって流れる冷却媒体の一部が衝突する第1衝突壁面72が配置されている。また、接続部分70の−X方向側(第1方向と反対方向側)の端部には、接続部分70を−X方向(第1方向と反対方向)に向かって流れる冷却媒体の一部が衝突する第2衝突壁面74が配置されている。
【0044】
第1流路50を+X方向に向かって流れる冷却媒体は、接続部分70の−X方向側の端部から接続部分70の中に流入する。接続部分70に流入し、接続部分70を+X方向に向かって流れる冷却媒体の一部は、第1衝突壁面72に衝突する。当該衝突によって、冷却媒体には、+X方向以外の方向に進む運動量成分が与えられ、冷却媒体は、撹拌される。+X方向以外の方向に進む運動量成分は、典型的には、Y軸に沿う方向の運動量成分T1(すなわち、第2方向に沿う運動量成分)であり、Z軸に沿う方向の運動量成分であり、あるいは、−X方向に進む運動量成分である。
【0045】
なお、
図3Bにおいて、燃焼室4内の燃焼ガスGの流れ方向は、+X方向である例が示されている。しかし、燃焼ガスGの流れの方向は、
図3Bの例に限定されず、任意である。
【0046】
図3Cは、
図3Bに記載された冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。なお、
図3Cでは、第1の冷却流路40−1の−Y方向側の側壁が、破線によって図示されている。
【0047】
図3Cに記載の例では、第1流路50は、第1側壁56と、第2側壁58と、底壁22と、上壁(
図3Cにおいては、図示されず。)によって囲まれる流路である。また、接続部分70(接続流路)は、第1側壁76と、第2側壁78と、底壁22と、上壁(
図3Cにおいては、図示されず。)と、第1境界面B1(第1流路50と接続部分70との間の境界面)と、第2境界面B2(接続部分70と第2流路60との間の境界面)と、第1衝突壁面72と、第2衝突壁面74とによって囲まれる部分である。また、第2流路60は、第1側壁66と、第2側壁68と、底壁22と、上壁(
図3Cにおいては、図示されず。)によって囲まれる流路である。なお、
図3Cに記載の例において、斜線でハッチングされている領域は、側壁の存在する領域を表している。
【0048】
第1流路50を流れる冷却媒体F1は、第1流路50と接続部分70との間の第1境界面B1を通って、接続部分70に流入する。接続部分70を流れる冷却媒体には、第1衝突壁面72によって、+Y方向に向かう運動量成分T1と、Z軸に沿う方向の運動量成分が付与される。接続部分70を流れる冷却媒体は、接続部分70と第2流路60との間の第2境界面B2を通って、第2流路60に流入する。なお、第2流路60を流れる冷却媒体F2は、接続部分70を通過したことにより、第1流路50の+X方向側を流れる冷却媒体F1よりも乱流の程度が大きくなっている。
【0049】
図4は、底壁温度の温度分布を模式的に示すグラフである。
図4のx軸は、+X方向に沿った底壁22の位置(単位:メートル)を表している。
図4のy軸は、底壁22の温度(単位:ケルビン)を表している。
図4において、「B」で示される曲線は、実施形態の冷却機構を採用した場合の底壁の温度変化を表し、「C」で示される曲線は、第1流路と第2流路とが互いにオフセットしていない場合の底壁の温度変化を表している。
【0050】
第1流路50を流れる冷却媒体は、燃焼室から伝達される熱によって、徐々に加熱される。このため、冷却媒体が、第1流路50の下流側(+X方向側)に進むにつれて、冷却媒体による冷却効果が徐々に低下する。その結果、第1流路50の底壁の温度は、第1流路50の上流側(−X方向側)から下流側(+X方向側)に向けて、徐々に上昇する(第1流路50における温度変化、すなわち、第1流路50に対応する曲線「B」の部分を参照。)。
【0051】
接続部分70においては、冷却媒体の一部が第1衝突壁面72に衝突することにより、冷却媒体が撹拌される。このため、相対的に温度の高い冷却媒体の一部が、底壁から離間する方向(+Z方向)に移動し、相対的に温度の低い冷却媒体の一部が、底壁に近接する方向(−Z方向)に移動する。その結果、接続部分70の底壁の温度を、第1流路50における下流側部分(+X方向側の部分)の底壁の温度よりも低くすることが可能となる(接続部分70における温度変化、すなわち、接続部分70に対応する曲線「B」の部分を参照。)。
【0052】
第2流路60を流れる冷却媒体は、燃焼室から伝達される熱によって、徐々に加熱される。このため、冷却媒体が、第2流路60の下流側(+X方向側)に進むにつれて、冷却媒体による冷却効果が徐々に低下する。その結果、第2流路60の底壁の温度は、第2流路60の上流側(−X方向側)から下流側(+X方向側)に向けて、徐々に上昇する。第2流路60における上流側(−X方向側)の底壁の温度は、接続部分70における冷却媒体の撹拌の効果によって、相対的に低く保たれている。換言すれば、実施形態の冷却機構を採用した場合における第2流路60の底壁の温度(第2流路60に対応する曲線「B」の部分を参照。)は、第1流路と第2流路とが互いにオフセットしていない場合における第2流路の底壁の温度(第2流路60に対応する曲線「C」の部分を参照。)よりも低くなる。したがって、実施形態の冷却機構を採用した場合、冷却機構による底壁の冷却効率が改善される。
【0053】
(衝突壁面の第1変形例)
図5A乃至
図5Gを参照して、衝突壁面の変形例について説明する。
図5Aは、冷却機構の一部を示す概略斜視図である。
図5Bは、冷却機構の一部を示す概略斜視図であり、上壁を省略して記載した図である。
図5Cは、
図5Bに記載された冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。
図5Dは、底壁温度の温度分布を模式的に示すグラフである。
図5Eは、オフセット距離について説明するための図である。
図5Fおよび
図5Gは、第1衝突壁面と第2衝突壁面との間のX方向に沿った距離について説明するための図である。
【0054】
図5Aは、冷却機構の一部を示す概略斜視図である。冷却機構10は、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3を含む複数の冷却流路40を備える。なお、
図5Aにおいて、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3以外の冷却流路については、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。すなわち、実際には、第1の冷却流路40−1の−Y方向側には側壁を介して冷却流路が設けられ、第3の冷却流路40−3の+Y方向側には側壁を介して冷却流路が設けられているが、これらの流路の記載は省略されている。
【0055】
第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3のそれぞれは、底壁22と、上壁30との間に配置されている。より詳細には、第1の冷却流路40−1は、底壁22と、上壁30と、2つの側壁26とによって囲まれた流路である(なお、一方の側壁は、記載が省略されている。)。同様に、第2の冷却流路40−2は、底壁22と、上壁30と、2つの側壁26とで囲まれた流路である。また、第3の冷却流路40−3は、底壁22と、上壁30と、2つの側壁26とで囲まれた流路である。底壁22は、燃焼室4と接している。換言すれば、底壁の底面は、燃焼室4である燃焼空間に、直接、面している。なお、
図5Aにおいて、底壁22の底面は、燃焼室4の形状に対応した形状を有する。例えば、燃焼室の形状が円筒形状である場合には、底壁22の底面は、当該円筒形状の側面に対応する曲面である。
【0056】
図5Aにおいて、底壁22と、複数の側壁26とは、一体に形成された一つの部材である例が記載されている。しかし、実施形態は、このような例に限定されない。例えば、底壁22は、複数の部分に分割されていてもよい。
【0057】
図5Aの例では、第1衝突壁面72’の形状が、
図3Aにおける第1衝突壁面の形状とは異なっている。
【0058】
(冷却流路)
図5Bは、冷却機構の一部を示す概略斜視図であり、
図5Aに記載の上壁30を省略して記載した図である。
図5Bには、第1の冷却流路40−1の形状と、第2の冷却流路40−2の形状と、第3の冷却流路40−3の形状とが等しい例が記載されている。第2の冷却流路40−2を仮想的に−Y方向に平行移動すると、第1の冷却流路40−1と一致させることができ、第3の冷却流路40−3を仮想的に−Y方向に平行移動すると、第1の冷却流路40−1と一致させることができる。このため、ここでは、第1の冷却流路40−1のみについて説明することとする。第1の冷却流路40−1は、燃焼室4に接する底壁22と、上壁(
図5Bには、図示されず。)との間に配置される冷却流路である。
【0059】
第1の冷却流路40−1は、底壁22に沿って配置され、+X方向(換言すれば、第1方向)に沿って延びる第1流路50を備える。また、第1の冷却流路40−1は、底壁22に沿って配置され、+X方向(換言すれば、第1方向)に沿って延びる第2流路60を備える。第2流路60は、第1流路50に対して、Y軸に沿う方向(すなわち、第2方向)にオフセットして配置されている。
【0060】
第1の冷却流路40−1は、X軸に沿う方向において、第1流路50と第2流路60との間に配置される接続部分70を備える。接続部分70は、接続流路ということもできる。接続部分70は、第1流路50に接続されるとともに、第2流路60に接続されている。第1流路50は、接続部分70の−X方向側(第1方向と反対方向側)に接続されている。また、第2流路60は、接続部分70の+X方向側(第1方向側)に接続されている。
【0061】
接続部分70の+X方向側(第1方向側)の端部には、接続部分70を+X方向(第1方向)に向かって流れる冷却媒体の一部が衝突する第1衝突壁面72’が配置されている。また、接続部分70の−X方向側(第1方向と反対方向側)の端部には、接続部分70を−X方向(第1方向と反対方向)に向かって流れる冷却媒体の一部が衝突する第2衝突壁面74’が配置されている。
【0062】
第1衝突壁面72’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が遠くなる面を有する。より詳細には、第1衝突壁面72’は、曲面(一例として、円弧形状の面)である。すなわち、第1衝突壁面72’のY軸に垂直な断面(換言すれば、第2方向に垂直な断面)は、曲線である。
【0063】
第2衝突壁面74’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が近くなる面を有する。より詳細には、第2衝突壁面74’は、曲面(一例として、円弧形状の面)である。すなわち、第2衝突壁面74’のY軸に垂直な断面(換言すれば、第2方向に垂直な断面)は、曲線である。
図5Bの例では、第2衝突壁面の形状は、第1衝突壁面の形状と等しい。しかし、実施形態は、このような例に限定されない。第2衝突壁面の形状は、第1衝突壁面の形状と異なっていてもよい。第2衝突壁面の形状として、
図3Bに記載された第2衝突壁面74の形状を採用してもよいし、後述の
図6Aに記載された第2衝突壁面74’’の形状を採用してもよいし、その他の形状を採用してもよい。
【0064】
第1流路50を+X方向に向かって流れる冷却媒体は、接続部分70の−X方向側の端部から接続部分70の中に流入する。接続部分70に流入し、接続部分70を+X方向に向かって流れる冷却媒体の一部は、第1衝突壁面72’に衝突する。当該衝突によって、冷却媒体には、+X方向以外の方向に進む運動量成分が与えられ、冷却媒体は、撹拌される。+X方向以外の方向に進む運動量成分は、典型的には、Y軸に沿う運動量成分(すなわち、第2方向の運動量成分)であり、また、+Z方向に進む運動量成分である。
【0065】
冷却媒体が、第1衝突壁面72’に衝突することによって生成される+Z方向の運動量成分は、接続部分70において、Y軸を中心に回転する回転流れRTを生成する。回転流れRTによって、底壁22から近い領域を流れる温度の高い冷却媒体は、底壁22から離間する方向に移動し、底壁22から遠い領域を流れる温度の低い冷却媒体は、底壁22に近接する方向に移動する。その結果、接続部分70において、冷却媒体のZ軸方向の温度勾配は、効果的に緩和される。
【0066】
接続部分70において、温度勾配が効果的に緩和された冷却媒体は、第2流路60に流入する。第2流路60を流れる冷却媒体F2は、概ね+X方向に移動する。なお、第2流路60を流れる冷却媒体F2は、接続部分70を通過したことにより、第1流路50における+X方向側を流れる冷却媒体F1よりも乱流の程度が大きくなっている。
【0067】
図5Bの例では、第1衝突壁面72’が、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が遠くなる面である。このため、回転流れRTが効果的に生成される。
【0068】
また、
図5Bの例では、第2衝突壁面74’が、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が近くなる面である。このため、回転流れRTが効果的に維持される。
【0069】
なお、
図5Bにおいて、燃焼室4内の燃焼ガスGの流れ方向は、+X方向である例が示されている。しかし、燃焼ガスGの流れの方向は、
図5Bの例に限定されず、任意である。
【0070】
図5Cは、
図5Bに記載された冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。なお、
図5Cでは、第1の冷却流路40−1の−Y方向側の側壁(すなわち、
図5Bにおいては、記載が省略されている側壁)が、破線によって図示されている。
【0071】
図5Cの例では、第1流路50は、第1側壁56と、第2側壁58と、底壁22と、上壁(
図5Cにおいては、図示されず。)によって囲まれる流路である。また、接続部分70(接続流路)は、第1側壁76と、第2側壁78と、底壁22と、上壁(
図5Cにおいては、図示されず。)と、第1境界面B1と、第2境界面B2と、第1衝突壁面72’と、第2衝突壁面74’とによって囲まれる部分である。また、第2流路60は、第1側壁66と、第2側壁68と、底壁22と、上壁(
図5Cにおいては、図示されず。)によって囲まれる流路である。なお、
図5Cの例において、斜線でハッチングされている領域は、側壁の存在する領域であって、冷却媒体が存在しない領域を表している。
【0072】
第1流路50を流れる冷却媒体F1は、第1流路50と接続部分70との間の第1境界面B1を通って、接続部分70に流入する。接続部分70を流れる冷却媒体には、第1衝突壁面72’によって、+Y方向に向かう運動量成分T1と、+Z方向に向かう運動量成分が付与される。第1衝突壁面72’との衝突によって誘起される回転流れRTによって、冷却媒体の一部は、第2衝突壁面74’に衝突する。第2衝突壁面74’によって、回転流れRTが効果的に維持される。接続部分70を流れる冷却媒体は、接続部分70と第2流路60との間の第2境界面B2を通って、第2流路60に流入する。
【0073】
図5Dは、底壁温度の温度分布を模式的に示すグラフである。
図5Dのx軸は、+X方向に沿った底壁22の位置(単位:メートル)を表している。
図5Dのy軸は、底壁22の温度(単位:ケルビン)を表している。
図5Dにおいて、「B」で示される曲線は、
図3A乃至
図3Cで示される実施形態の冷却機構を採用した場合の底壁の温度変化を表す。「B’」で示される曲線は、
図5A乃至
図5Cで示される実施形態の冷却機構を採用した場合の底壁の温度変化を表す。「C」で示される曲線は、第1流路と第2流路とが互いにオフセットしていない場合の底壁の温度変化を表す。
【0074】
図5A乃至
図5Cの例では、接続部分70において、回転流れRTが効果的に誘起される。このため、
図5A乃至
図5Cの例では、
図3A乃至
図3Cで示される実施形態と比較して、冷却機構による底壁の冷却効率がさらに改善される。
【0075】
(オフセット距離)
図5Eを参照して、オフセット距離について説明する。
図5Eは、
図5Bに記載された冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。
【0076】
第1流路50の長手方向中心軸を中心軸C1と定義し、第2流路60の長手方向中心軸を中心軸C2と定義する。この時、中心軸C1と中心軸C2との間の距離が、オフセット距離OFである。換言すれば、第1流路50の長手方向中心軸C1と前記第2流路60の長手方向中心軸C2とが、+X方向(第1方向)に垂直、かつ、底壁22に沿う方向である第2方向(Y軸に沿う方向)に離間する離間距離を、オフセット距離OFと定義することができる。
【0077】
オフセット距離OFは、例えば、第1流路50のY軸に沿った方向(第2方向)の幅W1よりも小さい。オフセット距離OFを幅W1よりも小さくすることにより、第1流路50の一部は、+X方向に見て、第2流路60の一部とオーバーラップすることとなる。換言すれば、第1流路50を+X方向に向かって流れる冷却媒体の一部は、第1衝突壁面72’に衝突することなく、接続部分70を+X方向に向かって進み、第2流路60に流入することが可能となる。この場合、接続部分70が存在することによる冷却媒体の流速の低下、あるいは、冷却媒体の圧力損失が低減される。冷却媒体の流速の低下は、冷却媒体の熱伝達係数の低下の原因となる。
図5Eの例では、オフセット距離OFが幅W1よりも小さいため、冷却媒体の流速の低下が抑制され、冷却媒体の熱伝達係数の低下が抑制される。その結果、冷却機構による冷却効率がさらに改善される。
【0078】
なお、第2流路60のY軸に沿った方向(第2方向)の幅W2は、例えば、第1流路の幅W1と等しい。
【0079】
(第1衝突壁面と第2衝突壁面との間のX方向に沿った距離)
図5Fおよび
図5Gは、第1衝突壁面72’と第2衝突壁面74’との間のX方向に沿った距離について説明するための図である。
【0080】
第1衝突壁面72’の曲率半径を、半径R1と定義する。また、第2衝突壁面74’の曲率半径を、半径R2と定義する。
図5Fの例では、半径R1と半径R2が一致し、また、第1衝突壁面72’の円弧面の中心軸Oと、第2衝突壁面74’の円弧面の中心軸Oとが一致している。このため、
図5Fの例では、回転流れRTが、効果的に生成され維持される。
【0081】
また、
図5Fの例では、第1衝突壁面72’の上端と、第2衝突壁面74’の上端との間の距離W3は、半径R1と半径R2の和に等しい(換言すれば、第1衝突壁面72’の上端と、第2衝突壁面74’の上端との間の距離W3は、半径R1の2倍に等しい)。この場合、
図5Eから把握されるように、接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積は、第1流路50のX軸に垂直な断面の断面積よりも大きくなる。流路の断面積が大きくなると、流速が低下する。このため、接続部分70における冷却媒体の流速は、第1流路50における冷却媒体の流速よりも小さい。流速の低下により、接続部分70における底壁22の冷却効率が低下するおそれがある。
【0082】
接続部分70における冷却媒体の流速の低下を抑制する手段の一例が、
図5Gに示されている。
図5Gの例では、第1衝突壁面72’の上端と、第2衝突壁面74’の上端との間の距離W3は、半径R1と半径R2の和よりも小さい(換言すれば、第1衝突壁面72’の上端と、第2衝突壁面74’の上端との間の距離W3は、半径R1の2倍よりも小さい)。別の言い方をすると、
図5Gの例では、第2衝突壁面74’の下端のX軸に沿った方向における位置が、第1衝突壁面72’の下端のX軸に沿った方向における位置よりも、+X方向側(第1方向側)にある。すなわち、Y軸方向に沿う方向に第1衝突壁面72’と第2衝突壁面74’を見た場合、第1衝突壁面72’と第2衝突壁面74’とは、互いに交差している。このため、
図5Gに記載された接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積の最大値は、
図5Fに記載された接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積の最大値よりも小さい。その結果、
図5Gに記載の例では、接続部分70における冷却媒体の流速の低下が抑制される。
【0083】
なお、第1衝突壁面72’の上端と、第2衝突壁面74’の上端との間の距離W3は、接続部分70の+X方向(第1方向)の幅と等しい。
【0084】
(衝突壁面の第2変形例)
図6A乃至
図6Cを参照して、衝突壁面の変形例について説明する。
図6A乃至
図6Cに記載の例では、
図5A乃至
図5Gの例と比較して、第1衝突壁面72’’の形状と第2衝突壁面74’’の形状が異なっている。
図6A乃至
図6Cに記載の例におけるその他の構成要素については、
図5A乃至
図5Gに記載の例と同様である。
【0085】
図6Aは、冷却機構の一部を示す概略斜視図であり、上壁を省略して記載した図である。
図6Bは、
図6Aに記載された冷却機構の一部の側面図であり、上壁を省略して記載した図である。
【0086】
図6Aおよび
図6Bの例において、第1衝突壁面72’’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が遠くなる面を有する。より詳細には、第1衝突壁面72’’は、平面によって構成される傾斜面である。
【0087】
第2衝突壁面74’’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が近くなる面を有する。より詳細には、第2衝突壁面74’’は、平面によって構成される傾斜面である。
図6Aおよび
図6Bの例では、第2衝突壁面の形状は、第1衝突壁面の形状と等しい。しかし、実施形態は、このような例に限定されない。第2衝突壁面の形状は、第1衝突壁面の形状と異なっていてもよい。第2衝突壁面の形状として、
図3Bに記載された第2衝突壁面74の形状を採用してもよいし、
図5Bに記載された第2衝突壁面74’の形状を採用してもよいし、他の形状を採用してもよい。
【0088】
図6Aおよび
図6Bにおける第1衝突壁面72’’によって、回転流れRTが効果的に誘起される。また、
図6Aおよび
図6Bにおける第2衝突壁面74’’によって、回転流れRTが効果的に維持される。このため、
図6Aおよび
図6Bの例では、
図3A乃至
図3Cで示される実施形態と比較して、冷却機構による冷却効率がさらに改善される。
【0089】
(第1衝突壁面と第2衝突壁面との間のX方向に沿った距離)
図6Bおよび
図6Cは、第1衝突壁面と第2衝突壁面との間のX方向に沿った距離について説明するための図である。
【0090】
図6Bに記載の例では、第1衝突壁面72’’の下端のX軸に沿った方向における位置と、第2衝突壁面74’’の下端のX軸に沿った方向における位置とが一致している。この場合、
図6Aから把握されるように、接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積は、第1流路50のX軸に垂直な断面の断面積よりも大きくなる。流路の断面積が大きくなると、流速が低下する。このため、接続部分70における冷却媒体の流速は、第1流路50における冷却媒体の流速よりも小さい。流速の低下により、接続部分70における底壁22の冷却効率が低下するおそれがある。
【0091】
接続部分70における冷却媒体の流速の低下を抑制する手段の一例が、
図6Cに示されている。
図6Cの例では、第2衝突壁面74’’の下端のX軸に沿った方向における位置が、第1衝突壁面72’’の下端のX軸に沿った方向における位置よりも、+X方向側(第1方向側)にある。換言すれば、Y軸方向に沿う方向に第1衝突壁面72’’と第2衝突壁面74’’を見た場合、第1衝突壁面72’’と第2衝突壁面74’’とは、互いに交差している。このため、
図6Cに記載の接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積の最大値は、
図6Bに記載の接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積の最大値よりも小さい。その結果、
図6Cに記載の例では、接続部分70における冷却媒体の流速の低下が抑制される。
【0092】
なお、第1衝突壁面72’’の上端と、第2衝突壁面74’’の上端との間の距離W3は、接続部分70の+X方向(第1方向)の幅と等しい。距離W3を適切に設定することにより、接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積と、第1流路50のX軸に垂直な断面の断面積とを等しくすることが可能である。また、距離W3を適切に設定することにより、接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積と、第2流路60のX軸に垂直な断面の断面積とを等しくすることが可能である。接続部分70のX軸に垂直な断面の断面積と、第1流路50のX軸に垂直な断面の断面積とが等しい場合、接続部分70における冷却媒体の流速の低下が最も抑制される。
【0093】
(衝突壁面の第3変形例)
図7Aおよび
図7Bを参照して、衝突壁面の変形例について説明する。
図7Aおよび
図7Bに記載の例では、
図6A乃至
図6Cに記載の例と比較して、第1衝突壁面72’’’の形状が異なっている。
図7A乃至
図7Bに記載の例におけるその他の構成要素については、
図6A乃至
図6Cに記載の例と同様である。
【0094】
図7Aは、冷却機構の一部を示す概略斜視図であり、上壁を省略して記載した図である。
図7Bは、
図7Aに記載された冷却機構の一部の側面図であり、上壁を省略して記載した図である。
【0095】
図7Aおよび
図7Bの例において、第1衝突壁面72’’’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底壁22からの距離が遠くなる階段状の面を有する。
【0096】
図7Bに記載の例における第2衝突壁面74’’’の形状は、
図6Bに記載の例における第2衝突壁面74’’の形状と等しい。代替的に、第2衝突壁面の形状を、第1衝突壁面72’’’の形状と等しくしてもよい。代替的に、第2衝突壁面の形状として、
図3Bに記載された第2衝突壁面74の形状を採用してもよいし、
図5Bに記載された第2衝突壁面74’の形状を採用してもよい。
【0097】
図7Aおよび
図7Bに記載の例において、第1衝突壁面72’’’によって、回転流れRTが効果的に誘起される。また、第2衝突壁面74’’’によって、回転流れRTが効果的に維持される。このため、
図7Aおよび
図7Bに記載の例では、冷却機構による冷却効率が改善される。
【0098】
(第2流路の下流側の部分)
図8Aには、第2流路60の下流側に配置された第3流路80が記載されている。
図8Aは、冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。
【0099】
図8Aにおける第1流路50および第2流路60は、
図3A乃至
図3Cに記載された第1流路50および第2流路60、
図5A乃至
図5Gに記載された第1流路50および第2流路60、
図6A乃至
図6Cに記載された第1流路50および第2流路60、
図7および
図7Bに記載された第1流路50および第2流路60のいずれかと同じであってもよい。
【0100】
冷却機構10は、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3を含む複数の冷却流路40を備える。なお、
図8Aにおいて、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3以外の冷却流路については、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。すなわち、実際には、第1の冷却流路40−1の−Y方向側には側壁を介して冷却流路が設けられ、第3の冷却流路40−3の+Y方向側には側壁を介して冷却流路が設けられているが、これらの流路の記載は省略されている。
【0101】
第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3のそれぞれは、底壁22と、上壁30(
図8Aにおいては、図示されず。)との間に配置されている。
【0102】
図8Aには、第1の冷却流路40−1の形状と、第2の冷却流路40−2の形状と、第3の冷却流路40−3の形状とが等しい例が記載されている。第2の冷却流路40−2を仮想的に−Y方向に平行移動すると、第1の冷却流路40−1と一致させることができ、第3の冷却流路40−3を仮想的に−Y方向に平行移動すると、第1の冷却流路40−1と一致させることができる。このため、ここでは、第1の冷却流路40−1のみについて説明する。第1の冷却流路40−1は、燃焼室4に接する底壁22と、上壁(
図8Aにおいては、図示されず。)と、2つの側壁とによって囲まれた冷却流路である。
【0103】
第1流路50および第2流路60については、
図3A乃至
図7Bに記載された第1流路50および第2流路60のいずれかと同様であるため、説明を省略する。第2接続部分90、および、第3流路80について、重点的に説明する。
【0104】
第1の冷却流路40−1は、底壁22に沿って配置され、+X方向(換言すれば、第1方向)に沿って延びる第3流路80を備える。第3流路80は、第2流路60に対して、Y軸に沿う方向(すなわち、第2方向)にオフセットして配置されている。
図8Aに記載の例では、第3流路80は、第1側壁86と、第2側壁88と、底壁22と、上壁(
図8Aにおいては、図示されず。)によって囲まれる流路である。
【0105】
第1の冷却流路40−1は、X軸に沿う方向において、第2流路60と第3流路80との間に配置される第2接続部分90を備える。第2接続部分90は、第2接続流路ということもできる。第2接続部分90は、第2流路60に接続されるとともに、第3流路80に接続されている。第2流路60は、第2接続部分90の−X方向側(第1方向と反対方向側)に接続されている。また、第3流路80は、第2接続部分90の+X方向側(第1方向側)に接続されている。第2接続部分90(第2接続流路)は、第1側壁96と、第2側壁98と、底壁22と、上壁(
図8Aにおいては、図示されず。)と、第3境界面B3と、第4境界面B4と、第3衝突壁面92と、第4衝突壁面94とによって囲まれる部分である。
【0106】
第2接続部分90の+X方向側(第1方向側)の端部には、第2接続部分90を+X方向(第1方向)に向かって流れる冷却媒体の一部が衝突する第3衝突壁面92が配置されている。また、第2接続部分90の−X方向側(第1方向と反対方向側)の端部には、第2接続部分90を−X方向(第1方向と反対方向)に向かって流れる冷却媒体の一部が衝突する第4衝突壁面94が配置されている。
【0107】
第3衝突壁面92の形状は、
図3Bに記載された第1衝突壁面72の形状と同じ形状であってもよいし、
図5Bに記載された第1衝突壁面72’の形状と同じ形状であってもよいし、
図6Aに記載された第1衝突壁面72’’の形状と同じ形状であってもよいし、あるいは、その他の形状であってもよい。
【0108】
第4衝突壁面94の形状は、
図3Bに記載された第2衝突壁面74の形状と同じ形状であってもよいし、
図5Bに記載された第2衝突壁面74’の形状と同じ形状であってもよいし、
図6Aに記載された第2衝突壁面74’’の形状と同じ形状であってもよいし、あるいは、その他の形状であってもよい。
【0109】
第2流路60を+X方向に向かって流れる冷却媒体F2は、第2接続部分90の−X方向側の端部(第3境界面B3)から第2接続部分90の中に流入する。第2接続部分90に流入し、第2接続部分90を+X方向に向かって流れる冷却媒体の一部は、第3衝突壁面92に衝突する。当該衝突によって、冷却媒体には、+X方向以外の方向に向かう運動量成分が与えられ、冷却媒体は、撹拌される。+X方向以外の方向に向かう運動量成分は、典型的には、Y軸に沿う方向(すなわち、第2方向)の運動量成分であり、また、Z軸に沿う方向の運動量成分である。
【0110】
第2接続部分90を流れる冷却媒体の一部が第3衝突壁面92に衝突することにより、冷却媒体は、第2接続部分90において、効果的に撹拌される。その結果、第2接続部分90の底壁に対する冷却効率が改善される。撹拌された冷却媒体は、第4境界面B4から第3流路80に流入する。第3流路に流入した冷却媒体F3は、第3流路80を+X方向に向かって流れる。第3流路を流れる冷却媒体F3は、第2接続部分において効果的に撹拌された冷却媒体である。このため、第3流路80の底壁に対する冷却効率が改善される。
【0111】
接続部分70と第2接続部分90との間のX軸に沿った方向の距離W4は、第2流路60を流れる冷却媒体のZ軸に沿う方向の温度勾配の程度を考慮して決定される。
【0112】
図8Bは、底壁温度の温度分布を模式的に示すグラフである。
図8Bのx軸は、+X方向に沿った底壁22の位置(単位:メートル)を表している。
図8Bのy軸は、底壁22の温度(単位:ケルビン)を表している。
図8Bにおいて、「B」で示される曲線は、
図8Aに記載の実施形態の冷却機構を採用した場合の底壁の温度変化を表し、「C」で示される曲線は、第1流路と第2流路とが互いにオフセットしておらず、第2流路と第3流路とが互いにオフセットしていない場合の底壁の温度変化を表している。
【0113】
図8Bを参照すると、接続部分70、第2接続部分90において、冷却媒体が効果的に撹拌され、底壁に対する冷却効率が改善されていることが把握される。
【0114】
なお、
図8Aには、第2流路60が、第1流路50に対して、+Y方向にオフセットし、第3流路80が、第2流路60に対して、−Y方向にオフセットしている例が記載されている。すなわち、
図8Aの例では、第2流路60の第1流路50に対するオフセット方向が、第3流路80の第2流路60に対するオフセット方向と反対方向である。
【0115】
他方、
図9には、第2流路60が、第1流路50に対して、+Y方向にオフセットし、第3流路80が、第2流路60に対して、+Y方向にオフセットしている実施形態が記載されている。すなわち、
図9の例では、第2流路60の第1流路50に対するオフセット方向が、第3流路80の第2流路60に対するオフセット方向と同一方向である。
図9に記載の実施形態においても、
図8Aに記載の実施形態と同様に、底壁に対する冷却効率が改善される。
【0116】
(冷却流路の変形例)
図10を参照して、冷却流路の変形例について説明する。
図10は、冷却機構の一部の平面図であり、上壁を省略して記載した図である。冷却機構10は、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3を含む複数の冷却流路40を備える。なお、
図10において、第1の冷却流路40−1、第2の冷却流路40−2、第3の冷却流路40−3以外の冷却流路については、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。すなわち、実際には、第1の冷却流路40−1の−Y方向側には側壁を介して冷却流路が設けられ、第3の冷却流路40−3の+Y方向側には側壁を介して冷却流路が設けられているが、これらの流路の記載は省略されている。
【0117】
図10に記載の例では、第1の冷却流路40−1が、第1接続部分70−1および第2接続部分90−1を備える。また、第2の冷却流路40−2が、第3接続部分70−2および第4接続部分90−2を備える。また、第3の冷却流路40−3が、第5接続部分70−3および第6接続部分90−3を備える。
【0118】
第1接続部分70−1と、第3接続部分70−2とは、X軸に沿う方向について、互いにオフセットして配置されている。第3接続部分70−2と、第5接続部分70−3とは、X軸に沿う方向について、互いにオフセットして配置されている。第2接続部分90−1と、第4接続部分90−2とは、X軸に沿う方向について、互いにオフセットして配置されている。第4接続部分90−2と、第6接続部分90−3とは、X軸に沿う方向について、互いにオフセットして配置されている。
【0119】
第1接続部分70−1、第2接続部分90−1、第3接続部分70−2、第4接続部分90−2、第5接続部分70−3、第6接続部分90−3は、衝突壁面を備えるとともにX軸に垂直な断面の断面積が相対的に大きい領域である。換言すれば、第1接続部分70−1、第2接続部分90−1、第3接続部分70−2、第4接続部分90−2、第5接続部分70−3、第6接続部分90−3は、冷却媒体の流速が低下する可能性のある領域である。このため、第1接続部分70−1の底壁、第2接続部分90−1の底壁、第3接続部分70−2の底壁、第4接続部分90−2の底壁、第5接続部分70−3の底壁、および、第6接続部分90−3の底壁に対する冷却効果が不十分となる可能性がある。
図10に記載の例では、複数の接続部分が、X軸に沿う方向について、互いにオフセットして配置されている。このため、冷却効果が不十分となる可能性のある領域がX方向に分散配置されることとなるため、底壁22全体の冷却を、より均一に実施することが可能となる。
【0120】
図10に記載の例では、第1の冷却流路40−1は、第1流路50−1と、第1接続部分70−1と、第2流路60−1と、第2接続部分90−1と、第3流路80−1とを備える。第2流路60−1は、第1流路50−1に対して、+Y方向にオフセットしている。第3流路80−1は、第2流路60−1に対して、−Y方向にオフセットしている。第1接続部分70−1は、第1衝突壁面72−1と、第2衝突壁面74−1と、第1境界面B1(第1流路50−1と第1接続部分70−1との間の境界面)と、第2境界面B2(第1接続部分70−1と第2流路60−1との間の境界面)とを備える。第2接続部分90−1は、第1衝突壁面92−1と、第2衝突壁面94−1と、第3境界面B3(第2流路60−1と第2接続部分90−1との間の境界面)と、第4境界面B4(第2接続部分90−1と第3流路80−1との間の境界面)とを備える。
【0121】
また、第2の冷却流路40−2は、第4流路50−2と、第3接続部分70−2と、第5流路60−2と、第4接続部分90−2と、第6流路80−2とを備える。第5流路60−2は、第4流路50−2に対して、+Y方向にオフセットしている。第6流路80−2は、第5流路60−2に対して、−Y方向にオフセットしている。第3接続部分70−2は、第1衝突壁面72−2と、第2衝突壁面74−2と、第5境界面B5(第4流路50−2と第3接続部分70−2との間の境界面)と、第6境界面B6(第3接続部分70−2と第5流路60−2との間の境界面)とを備える。第4接続部分90−2は、第1衝突壁面92−2と、第2衝突壁面94−2と、第7境界面B7(第5流路60−2と第4接続部分90−2との間の境界面)と、第8境界面B8(第4接続部分90−2と第6流路80−2との間の境界面)とを備える。
【0122】
また、第3の冷却流路40−3は、第7流路50−3と、第5接続部分70−3と、第8流路60−3と、第6接続部分90−3と、第9流路80−3とを備える。第8流路60−3は、第7流路50−3に対して、+Y方向にオフセットしている。第9流路80−3は、第8流路60−3に対して、−Y方向にオフセットしている。第5接続部分70−3は、第1衝突壁面72−3と、第2衝突壁面74−3と、第9境界面B9(第7流路50−3と第5接続部分70−3との間の境界面)と、第10境界面B10(第5接続部分70−3と第8流路60−3との間の境界面)とを備える。第6接続部分90−3は、第1衝突壁面92−3と、第2衝突壁面94−3と、第11境界面B11(第8流路60−3と第6接続部分90−3との間の境界面)と、第12境界面B12(第6接続部分90−3と第9流路80−3との間の境界面)とを備える。
【0123】
なお、
図10に記載の例において、各第1衝突壁面の形状は、
図3Bに記載された第1衝突壁面72の形状と同じ形状であってもよいし、
図5Bに記載された第1衝突壁面72’の形状と同じ形状であってもよいし、
図6Aに記載された第1衝突壁面72’’の形状と同じ形状であってもよいし、あるいは、その他の形状であってもよい。また、
図10に記載の例において、各第2衝突壁面の形状は、
図3Bに記載された第2衝突壁面74の形状と同じ形状であってもよいし、
図5Bに記載された第2衝突壁面74’の形状と同じ形状であってもよいし、
図6Aに記載された第2衝突壁面74’’の形状と同じ形状であってもよいし、あるいは、その他の形状であってもよい。
【0124】
(冷却機構の製造工程)
図11乃至
図19を参照して、冷却機構の製造工程について説明する。
図11は、冷却機構の製造工程を説明するフローチャートである。
【0125】
第1工程S1において、底面23と上面25とを有する第1部材20が準備される。
図12に、準備された第1部材20の概略斜視図を示す。なお、底面23は、冷却対象となる面、あるいは、冷却対象物と接することとなる面である。第1工程S1は、第1部材20を準備する工程である。
【0126】
第2工程S2の前半において、回転刃100を回転させながら、回転刃100を、底面23に沿って、かつ、+X方向(第1方向)に沿って移動させる。
図13Aおよび
図13Bは、それぞれ、第2工程S2を実行中の状態を示す概略斜視図、および、概略側面図である。なお、
図13A(および、後述の
図14A、
図15、
図16、
図17A)において、回転刃100を回転可能に支持する支持部材110は、記載が省略されている。
【0127】
回転刃100を、+X方向(第1方向)に沿って移動させることによって、第1部材20には、+X方向(第1方向)に延びる第1溝51が形成される。なお、回転刃100の回転軸RAは、Y軸と平行である。第2工程の後半において、回転刃100の+X方向(第1方向)への移動が停止される。回転刃100の+X方向への移動の停止により、第1部材20の回転刃100よりも+X方向側の部分には、第1衝突壁面72’が形成される。第1衝突壁面72’は、回転刃100による切削により形成される。第1衝突壁面72’は、円弧形状の表面を有し、当該円弧の半径は、回転刃100の回転半径(すなわち、回転刃100の回転軸RAから回転刃の先端までの距離)と等しい。なお、第1衝突壁面72’については、後述の
図14Bに図示されている。また、第1衝突壁面72’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底面23からの距離が遠くなる面である。なお、第1衝突壁面72’を形成する工程は、第1接続部分70を形成する工程に包含される工程である。第1接続部分70は、第1溝51と後述の第2溝61とを接続する領域であり、第1衝突壁面72’および後述の第2衝突壁面74’を備える領域である。なお、第1接続部分70(必要であれば、
図16、
図17A、
図17Bを参照。)は、
図5Bおよび
図5Cに記載の例における第1接続部分70と同一であってもよい。なお、第1衝突壁面72’は、第1溝51の+X方向側であって、第1接続部分70の+X方向側の端部に形成される。
【0128】
なお、第1部材20に関し、第1溝51の底面よりも−Z方向側の部分は、底壁22を構成する。第2工程S2は、第1溝51を形成する工程である。
【0129】
第3工程S3において、回転刃100を+Z方向(すなわち、底面23側から上面25側に向かう方向)に沿って移動(すなわち、上昇)させる。
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、第3工程S3を実行中の状態を示す概略斜視図、および、概略側面図である。回転刃100を+Z方向に沿って移動させることによって、回転刃100は、第1溝51から離脱する。第3工程S3は、回転刃上昇工程である。
【0130】
第4工程S4において、上昇された回転刃100を、+Y方向または−Y方向に移動させる。換言すれば、上昇された回転刃100を、底面23と平行、かつ、+X方向(第1方向)と垂直な第2方向(+Y方向または−Y方向)への移動成分を含むようにオフセット移動させる。
図15は、第4工程S4を実行中の状態を示す概略斜視図である。
【0131】
なお、上述のオフセット移動には、X軸に沿った方向の移動成分またはZ軸に沿った方向の移動成分が含まれていてもよい。すなわち、Y軸方向に沿った移動が、X軸方向に沿った移動またはZ軸に沿った移動と組み合わせられていてもよい。例えば、
図5Gに記載されているように、第1衝突壁面72’の上端と第2衝突壁面74’の上端との距離W3を、回転刃100の回転半径の2倍よりも小さくする場合には、回転刃100のY軸に沿った移動と、回転刃の+X方向(第1方向)への移動とを組み合わせればよい。第4工程S4は、オフセット移動工程である。
【0132】
第5工程S5において、オフセット移動された回転刃100を、回転刃100を回転させながら、−Z方向(すなわち、上面25側から底面23側に向かう方向)に沿って移動(すなわち、下降)させる。
図16は、第5工程S5を実行後の状態を示す概略斜視図である。
【0133】
当該下降によって、第1部材20には、第2衝突壁面74’が形成される。第2衝突壁面74’は、円弧形状の表面を有し、当該円弧の半径は、回転刃100の回転半径(すなわち、回転刃100の回転軸RAから回転刃の先端までの距離)と等しい。また、第2衝突壁面74’は、+X方向(第1方向)に向かうにつれて底面23からの距離が近くなる面である。第5工程は、回転刃下降工程である。なお、第2衝突壁面74’を形成する工程は、第1接続部分70を形成する工程に包含される工程である。第2衝突壁面74’は、後述の第2溝61の−X方向側であって、第1接続部分70の−X方向側の端部に形成される。
【0134】
第6工程S6において、回転刃100を回転させながら、回転刃100を、底面23に沿って、かつ、+X方向(第1方向)に沿って移動させる。
図17Aおよび
図17Bは、それぞれ、第6工程S6を実行中の状態を示す概略斜視図、および、概略側面図である。
【0135】
回転刃100を、+X方向(第1方向)に沿って移動させることによって、第1部材20には、+X方向(第1方向)に延びる第2溝61が形成される。なお、回転刃100の回転軸RAは、Y軸と平行である。
【0136】
第2溝61は、第1溝51に対して、+Y方向または−Y方向にオフセットしている。第6工程S6は、第2溝61を形成する工程である。
【0137】
第7工程S7において、更なるオフセット溝を形成するか否かが判断される。判断は、作業者によって行われてもよいし、回転刃100を制御する制御装置によって自動的に行われてもよい。
【0138】
第7工程S7において、更なるオフセット溝を形成すると判断された場合(YESの場合)、第2溝61に対して、+Y方向または−Y方向にオフセットした第3溝が形成されることとなる。この場合、上記第2工程S2の後半(回転刃100の+X方向への移動を停止する工程)から、第6工程S6までの工程を再度実行すればよい。更なるオフセット溝である第4溝、第5溝等を形成する場合には、上記の第2工程S2の後半(回転刃100の+X方向への移動を停止する工程)から、第6工程S6までの工程を繰り返し実行すればよい。
【0139】
第7工程S7において、更なるオフセット溝を形成しないと判断された場合(NOの場合)、第8工程S8に進む。
【0140】
第8工程S8においては、最後に形成されるオフセット溝が、第1部材20の+X方向(第1方向)側の端面に達するまで、回転刃100を+X方向に沿って移動させる。
図18は、第8工程S8を実行後の状態を示す概略斜視図である。なお、第8工程S8は、第6工程S6の中に組み込まれていてもよい(換言すれば、第8工程S8は、省略されてもよい。)。
【0141】
第9工程S9において、第1部材20の上面25と第2部材である上壁30の底面31とが、溶接またはろう付け等によって接合される。
図19は、第9工程S9を実行後の状態を示す概略斜視図である。第1溝51、第2溝61等は、冷却媒体が通過する流路として機能することとなる。また、第1衝突壁面72’は、回転流れRTを効果的に生成する面として機能する。また、第2衝突壁面74’は、回転流れRTを効果的に維持する面として機能する。第9工程S9は、第2部材(上壁30)と第1部材20との接合工程である。
【0142】
なお、
図11乃至
図19に記載の例では、第1衝突壁面72’を形成する工程は、第1溝51を形成する工程(S2)と、前記第2溝61を形成する工程(S6)との間に実行されている。代替的に、回転中の回転刃100を下降させて第1衝突壁面72’を形成した後、回転中の回転刃100を−X方向に沿って移動させることによって第1溝51を形成してもよい。すなわち、第1衝突壁面72’を形成する工程は、第1溝51を形成する工程(S2)の前に実行してもよいし、第1溝51を形成する工程(S2)の後に実行してもよい。同様に、第1衝突壁面72’を形成する工程は、第2溝61を形成する工程(S6)の前に実行してもよいし、第2溝61を形成する工程(S6)の後に実行してもよい。
【0143】
図11乃至
図19に記載の例では、第1衝突壁面72’を形成する工程は、第2衝突壁面74’’を形成する工程の前に実行されている。代替的に、第1衝突壁面72’を形成する工程は、第2衝突壁面74’’を形成する工程の後に実行されてもよい。
【0144】
図11乃至
図19に記載の例では、第2衝突壁面74’を形成する工程は、前記第1溝51を形成する工程(S2)と、前記第2溝61を形成する工程(S6)との間に実行されている。代替的に、回転中の回転刃100を−X方向に沿って移動させることによって第2溝61を形成した後、回転刃100を上昇させることによって、第2衝突壁面74’’を形成してもよい。すなわち、第2衝突壁面74’を形成する工程は、第2溝61を形成する工程(S6)の前に実行してもよいし、第2溝61を形成する工程(S6)の後に実行してもよい。同様に、第2衝突壁面74’を形成する工程は、第1溝51を形成する工程(S2)の前に実行してもよいし、第1溝51を形成する工程(S2)の後に実行してもよい。
【0145】
実施形態における冷却機構の製造方法では、単に、回転刃100のX軸に沿った移動と、回転刃100のY軸に沿った移動と、回転刃100のZ軸に沿った移動とを組み合わせるだけで、第1溝51(第1流路)と、第1溝に対してY軸に沿う方向にオフセットした第2溝61(第2流路)とを形成することができる。また、実施形態における冷却機構の製造方法では、単に、回転刃100のX軸に沿った移動と、回転刃100のY軸に沿った移動と、回転刃100のZ軸に沿った移動とを組み合わせるだけで、第1衝突壁面72’および第2衝突壁面74’を形成することができる。このため、冷却効率の高い冷却機構の製造を、容易に実施することが可能となる。
【0146】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。