特許第6482017号(P6482017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482017
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】熱交換構造及び熱利用方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/02 20060101AFI20190304BHJP
   F24V 50/00 20180101ALI20190304BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20190304BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20190304BHJP
   F28F 13/12 20060101ALI20190304BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20190304BHJP
   F25B 30/06 20060101ALI20190304BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F25B27/02 Q
   F24V50/00
   F28D7/10 A
   F28D7/02
   F28F13/12 A
   F28F13/12 C
   F25B27/00 P
   F25B30/06 T
   F25B39/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-229260(P2014-229260)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-90213(P2016-90213A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】595053777
【氏名又は名称】吉佳エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 伸吉
(72)【発明者】
【氏名】張 満良
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−200071(JP,A)
【文献】 特開2013−238320(JP,A)
【文献】 特開2002−030717(JP,A)
【文献】 実開平06−022788(JP,U)
【文献】 特開平11−201338(JP,A)
【文献】 特開2002−162175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 27/00−27/02
F25B 39/00−39/04
F28D 7/00− 7/16
F25B 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に敷設された管路を略満水状態で流れる水の熱を利用するための熱交換構造であって、
地中に敷設された管路から分岐した鋼管又は鋳鉄管からなる略満水状態で水が流れる管路の外周面に於ける所定長さ範囲に全周にわたって配置された熱交換部材と、
前記熱交換部材に熱交換媒体を流通させるポンプと、
を有することを特徴とする熱交換構造。
【請求項2】
前記熱交換部材と地盤との間に断熱材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載した熱交換構造。
【請求項3】
前記熱交換部材が、前記管路の外周に螺旋状に巻きつけられた管であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した熱交換構造。
【請求項4】
前記熱交換部材が、前記管路の外周に嵌装された外管を有し、該外管の両端部と前記管路の外周面との隙間を遮蔽すると共に両端部又は両端部の近傍に前記ポンプとの接続部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した熱交換構造。
【請求項5】
前記外管が、熱伝導率の低い材料によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載した熱交換構造。
【請求項6】
前記外管の内部には、熱交換媒体の流れを乱すための流通阻害部材が配置されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載した熱交換構造。
【請求項7】
前記外管の内部には、熱交換媒体を螺旋状に流すための螺旋状仕切部材が配置されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載した熱交換構造
【請求項8】
地中に敷設された管路を略満水状態で流れる水の熱を利用するための方法であって、
地中に敷設された管路から鋼管又は鋳鉄管からなる管路を分岐させて略満水状態で水が流れる管路とし、該管路の外周面に於ける所定長さ範囲に全周にわたって熱交換部材を配置し、該熱交換部材にポンプによって付勢した熱交換媒体を流通させると共に、熱交換装置によって前記熱交換部材を通過した熱交換媒体との熱交換を行うことを特徴とする熱利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に敷設された管路を略満水状態で流れる水の熱を利用するための熱交換構造と熱利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中に敷設されて常に水が略満水状態で流れる管路として、上水道用の管路や工業用水用の管路或いは農業用水用の管路等がある。これらの管路の内部を流れる水の温度は四季を通して大きく変動することがなく、略一定の値を保持している。例えば、上水道用の管路を流れる水の温度は、夏季にあっては外気温度よりも低く、冬季にあっては外気温度よりも高い。このため、管路の内部を流れる水との温度差を利用した熱交換を行うことで新たなエネルギー源とすることが考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された発明は、下水熱採熱設備と下水熱利用システムに関するものである。この発明では、採熱設備は下水道管の外周のうち少なくとも上方を被覆するジャケット状に配設されており、この採熱設備は、熱原水が通流し高熱伝導率材料で形成された採熱管と、採熱管の間隙及び周囲に充填された保護材とを有している。また採熱管は、下水道管の長手方向に平行に複数配設された直管と、直管同士を接続するベント管によって構成されている。
【0004】
上記の如く構成された採熱設備では、採熱管が下水道管の外周に配設される。このため、採熱管が下水に直接接触することがなく、メンテナンスが不要となり維持コストが低減できるという効果を有する。また、既設の下水道管に設置する場合には、周囲の地盤を掘削して開放した下水道管の外周に採熱管を配設すると共に、所定の部位に保護材を充填することで良く、工事が容易であるという効果も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−241226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は上記の如き特徴を有する。しかし、下水道はコンクリート管や陶管で構成されているのが一般的であり、且つ通常の状態では下水が管の内部を略満水状態で流れることはない。このため、このような管を介して下水の熱を取得するのでは、下水の熱を効率良く利用し得ない虞がある。
【0007】
本発明の目的は、管路の内部を略満水状態で流れる水の熱を交換することができる構造と、熱利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る熱交換構造は、地中に敷設された管路を略満水状態で流れる水の熱を利用するための熱交換構造であって、略満水状態で水が流れる管路の外周面に於ける所定長さ範囲に全周にわたって配置された熱交換部材と、前記熱交換部材に熱交換媒体を流通させるポンプと、を有するものである。
【0009】
上記熱交換構造に於いて、前記熱交換部材と地盤との間に断熱材が配置されていることが好ましい。
【0010】
特に、前記管路は地中に敷設された管路から分岐した管路であり、該管路を構成する管が、鋼管又は鋳鉄管である。
【0011】
また、上記何れかの熱交換構造に於いて、前記熱交換部材が、前記管路の外周に螺旋状に巻きつけられた管であることが好ましい。
【0012】
また、上記何れかの熱交換構造に於いて、前記熱交換部材が、前記管路の外周に嵌装された外管を有し、該外管の両端部と前記管路の外周面との隙間を遮蔽すると共に両端部又は両端部の近傍に前記ポンプとの接続部材が配置されていることが好ましい。
【0013】
また、上記熱交換構造に於いて、前記外管が、熱伝導率の低い材料によって形成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記何れかの熱交換構造に於いて、前記外管の内部には、熱交換媒体の流れを乱すための流通阻害部材が配置されているか、又は熱交換媒体を螺旋状に流すための螺旋状仕切部材が配置されていることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る熱利用方法は、地中に敷設された管路を略満水状態で流れる水の熱を利用するための方法であって、地中に敷設された下水道用の管路から鋼管又は鋳鉄管からなる管路を分岐させて略満水状態で水が流れる管路とし、該管路の外周面に於ける所定長さ範囲に全周にわたって熱交換部材を配置し、該熱交換部材にポンプによって付勢した熱交換媒体を流通させると共に、熱交換装置によって前記熱交換部材を通過した熱交換媒体との熱交換を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る熱交換構造では、管路の内部を流れる水の熱を効率良く交換することができる。即ち、管路の内部を略満水状態で水が流れるため、管壁と水との接触面積が大きくなるため、水と管壁との間で効率の良い熱交換が行われる。そして、熱交換部材が、管路の外周面の全周に配置されているため、管壁との熱交換を効率良く行うことができる。
【0017】
特に、熱交換部材と地盤との間に断熱材が配置されていることによって、地盤や地下水の影響を受けることなく、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0018】
特に、既設管路が下水道管路である場合、本管から常に略満水状態で下水を流せるような管路を分岐させ、この分岐した管路を鋼管或いは鋳鉄管とすることで安定した熱交換を行うことができる。
【0019】
また、管路の外周に配置される熱交換部材が、該管路の外周に螺旋状に巻きつけられた管である場合、該管に熱交換媒体を流すことで、管路の管壁及び管の管壁を介して熱交換を行うことができる。
【0020】
また、管路の外周に配置される熱交換部材が、管路の外周に嵌装された外管の両端部と管路の外周面との隙間を遮蔽すると共に両端部又は両端部の近傍にポンプとの接続部材が配置されて構成されているので、ポンプから供給された熱交換媒体が熱交換部材から漏洩することなく流通することができる。特に、外管が熱伝導率の低い材料によって形成されている場合には、管路の周囲に存在する地下水の影響を受けることなく、管壁を介して水との熱交換を行うことができる。
【0021】
更に、上記外管の内部に熱交換媒体の流れを乱すための流通阻害部材が配置されているので、外管の内部を流通する熱交換媒体の流れが乱れたものとなる。このため、流通過程で管路に接触する熱交換媒体が常に交代することとなり、熱交換を促進してより効率の良い熱交換を行うことができる。
【0022】
また、外管の内部に熱交換媒体を螺旋状に流すための螺旋状仕切部材が配置されている場合には、熱交換媒体を管路の外周面に沿って螺旋状に流通させることができる。このため、熱交換媒体の管路に対する接触長さを延長することが可能となり、効率の良い熱交換を行うことができる。
【0023】
特に、流通阻害部材或いは螺旋状仕切部材を外管と一体的に構成することによって、該外管の剛性を高め、或いは強度を高めることができる。このため、外管の肉厚を薄くし、或いは強度の低い材質とすることができる。
【0024】
本発明に係る熱利用方法では、略満水状態で水が流れる管路の外周面に全周にわたって熱交換部材を配置し、この熱交換部材にポンプによって付勢した熱交換媒体を流通させると共に熱交換装置によって前記熱交換部材を通過した熱交換媒体との熱交換を行うことで、管路を流れる水の熱を効率良く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1管路と熱交換部材との関係の例を説明すると共に熱利用方法を説明する図である。
図2管路と熱交換部材との関係の他の例を説明する図である。
図3管路と熱交換部材との関係の他の例を説明する図である。
図4管路と熱交換部材との関係の他の例を説明する図である。
図5本発明の実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る熱交換構造、熱利用方法について説明する。
【0027】
中に敷設された管路であって水が略満水状態で流れる管路としては、上水道用の管路、農業用水用の管路、工業用水用の管路を含む種々の管路がある。これらの管路を流れる水の温度は一年を通して大きく変動することがない。
【0028】
また、通常は管路内を略満水状態で流れることがない下水道管路に適用する場合、本管から分岐管を分岐させることで、該分岐管の内部を略満水状態で流すようにしている
【0029】
管路の内部を水が略満水状態で流れるため、管路の内周面には略全周にわたって水が接触していることとなり、流れる水と管路との熱の伝達は効率良く行われる。このため、管路の外周面の温度は、管路の熱伝導率と、管壁の厚さを含む条件に対応した温度となり、流れる水の温度に応じて大きく変動することはない。
【0030】
上記の如く、管路の外周面の温度が大きく変動することがない。しかし、管路を熱伝導率の大きい鋼管や鋳鉄管によって構成することで、流れる水との熱の授受をより効果的に行うことが可能である。
【0031】
熱交換部材は、内部に熱交換媒体を流通させて管路との熱交換を行うものである。熱交換部材を管路の長手方向に配置する際の長さは特に限定するものではなく、管路の外径、管路を構成する材質、管路を流れる水の温度、流量、熱交換媒体の材質、流量、予め想定した交換熱量等の条件に応じて設定することが好ましい。
【0032】
また、熱交換部材の形状も特に限定するものではなく、例えば円筒管、角型管、かまぼこ型管等の長尺状の管を用いることが可能である。また、熱交換部材として、管路の外周に嵌装した筒状の外管を用い、該外管の内部に熱交換媒体を流通させて管路との熱交換を行うように構成することも可能である。
【0033】
熱交換媒体を流通させる熱交換部材の材質は限定するものではない。即ち、熱交換部材として、鋼管やアルミニウム管或いは銅管等の金属製の管を利用し、或いは外管として鋼、ステンレス鋼、アルミニウム或いは銅等の金属製の筒体を利用することが可能である。熱交換部材として金属製の管或いは筒体を用いた場合、これらは熱を効率良く伝導することが可能なため、管路を流れる水の熱のみならず、地盤中の熱、特に地下水の熱を利用することが可能である。特に、熱交換部材として金属製の管を用いる場合、土圧或いは地下水圧に対抗し得るような強度を得やすく有利である。
【0034】
合成樹脂は、熱を効率良く伝導せず断熱材として機能する。このため、熱交換部材を構成する外管として合成樹脂製の管を用いた場合、内部を流通する熱交換媒体が、地盤中の熱、地下水の熱の影響を受けることなく、管路を流れる水の熱のみを利用することが可能である。特に、熱交換部材を構成する外管として合成樹脂製の管を用いる場合、該熱交換部材を複数に分割して製造したり、内部に流通阻害部材、或いは螺旋状仕切部材を設けるような場合に有利である。
【0035】
上記の如く、熱交換部材の形状、構造や材質によって管路を流れる水を熱源とするか、管路を或いは管路を流れる水に加えて地盤や地下水も熱源とするか、を選択することが可能となる。このため、対象となる管路を流れる水の温度と、地盤や地下水の温度との差を考慮した上で、熱交換部材の形状や構造、材質を決定することが好ましい。
【0036】
例えば、下水道用の管路を流れる水は、地盤、地下水の温度と大きく異なることがなく、熱交換部材として、金属製の管を巻き付ける構造、外管を金属製の筒体で構成する構造を採用することが可能である。
【0037】
熱交換部材と地盤との間に断熱材が配置される。この断熱材としては、例えば石綿のようなものを利用することが可能である。例えば、長尺状の管からなる熱交換部材の場合には、該管を管路に巻き付けた後、その外側に断熱材を配置することで良く、外管を有する熱交換部材の場合も同様に外管を管路に嵌装した後、その外側に断熱材を配置することで良い。また、断熱材としては必ずしも厚さを有する材である必要はなく、例えば、外管の外周面に断熱性を有する塗装を施したり、メッキ等の表面処理を施して断熱材としても良い。
【0038】
また、熱交換部材として錆が生じる虞のある金属を採用する場合、メッキや塗装等の表面処理を施して防錆処理しておくことが好ましい。
【0039】
熱交換部材は管路に固定されて利用されるが、該熱交換部材を管路に固定する構造は限定するものではなく、管路の材質や熱交換部材の材質等の条件に応じて適宜選択することが好ましい。例えば熱交換部材が金属製の長尺状の管を管路に巻き付けることによって構成されている場合、特別な固定手段を必要としないこともある。
【0040】
熱交換部材が外管を有しており、この外管と管路が鋼によって構成されている場合、両者を溶接或いは接着によって固定することが可能である。また、外管が肉厚の薄い鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、或いは合成樹脂等の筒体であって、可撓性に富んでいるような場合、外管の両端部にボスを形成し、該ボスを可撓性を有するベルトを利用して管路に締め付けることで固定するのが好ましい。
【0041】
熱交換部材を流通する熱交換媒体としては特に限定するものではなく、熱交換部材を構成する管の管壁を介して、或いは管路の管壁を介して円滑な熱交換を行うことが可能であれば良い。このような熱交換媒体として、水を利用することが可能であり、冬季に於ける凍結を考慮すると、水にアルコール或いはエチレングリコールを混合させた所謂不凍液であることが好ましい。
【0042】
次に、管路と熱交換部材との関係の例について図1を用いて説明し、合せて熱利用方法について説明する。
【0043】
図に於いて、地中に敷設された管路1は内部を略満水状態で水2が矢印a方向に流れている。管路1は複数の鋳鉄管を直列に配列し、フランジをボルト接合して接続することで構成されて地中に敷設されている。
【0044】
管路1の外周面に於ける所定長さ範囲の全周にわたって熱交換部材Aが配置されている。この熱交換部材Aは、管路1の外径よりも大きい内径を有する外管11と、該外管11の両端部に夫々固定されたリング状の端板11a、11bと、を有して構成されている。外管11は、管路1との間に形成された空間20に熱交換媒体を流通させて管路1との間で熱交換させるものであり、端板11a、11bは外管11の内周面と管路1の外周面との隙間(空間20)を遮蔽するものである。
【0045】
外管11の長さは予め設定された熱交換部材Aの長さと略等しい長さを有している。また、外管11内径は予め想定した熱交換媒体の流量や流速等の条件に応じて設定されている。例えば、管路1の外径が150mm〜450mmである場合、外管11の内径は200mm〜600mmであることが好ましい。即ち、管路1の外周面と外管11の内周面との間に形成された空間20の高さが25mm〜75mm程度であることが好ましい。
【0046】
従って、端板11a、11bは外径が200mm〜600mm、内径が150mm〜450mmの範囲の寸法を持ったリングとして形成されている。
【0047】
熱交換部材Aを構成する外管11及び端板11a、11bの構造は特に限定するものではない。しかし、熱交換部材Aを管路1に設置する工事の容易性を考慮すると、予め外管11と端板11a、11bを一体化した上で、長手方向に沿って半径方向に2分割〜4分割しておき、分割した各分割片をボルト、ナットを利用して組み立てるようにすることが好ましい。
【0048】
外管11を上記の如く複数の分割片を組み立てて構成した場合、各分割片どうしの接続部分にパッキンを配置して止水することは同然である。また、外管11を管路1に設置するに際し、各端板11a、11bと管路1の外周面との間にもパッキンを配置して止水することも当然である。
【0049】
外管11の材質も特に限定するものではなく、鋼管や合成樹脂製の管を利用することが可能である。外管11を鋼管によって構成した場合、端板11a、11bも鋼板とし、両者を溶接することが必要となる。
【0050】
また、外管11を合成樹脂製の管によって構成した場合、該外管11自体が断熱材として機能することとなる。この場合、端板11a、11bも合成樹脂板として構成し、これらの端板11a、11bと外管11を溶着することが必要である。特に、外管11を半径方向に複数に分割した分割片として構成する場合、例えば射出成形によって外管11と端板11a、11bを一体化させた形状とすることが好ましい。
【0051】
各端板11a、11bには夫々エルボ状の接続部材12a、12bが取り付けられており、これらの接続部材12a、12bに夫々熱交換媒体が流通する配管13a、13bが接続されている。配管13aは熱交換媒体を供給する配管でありポンプ14が接続され、該ポンプ14を介してヒートポンプ15に接続されている。また、配管13bは熱交換媒体を排出する配管であり、直接ヒートポンプ15に接続されている。
【0052】
ヒートポンプ15には熱交換媒体、管路1を介して授受した水の熱を利用する機器、例えば、室内機16が接続されている。
【0053】
上記の如く構成した熱交換部材Aに対し、ポンプ14を駆動して配管13aから熱交換媒体を供給すると、供給された熱交換媒体は空間20を満水状態にして流通し、この流通過程で管路1の外周面と接触して熱交換が行われる。そして、熱交換媒体は空間20から配管13bからヒートポンプ15に流入し、該ヒートポンプ15で熱の授受を行うことが可能である。更に、ヒートポンプ15で授受された熱によって、該ヒートポンプ15に接続された室内機16を運転することが可能である。
【0054】
上記の如くして、管路1に略満水状態で流れる水2の熱を、熱交換媒体を介してヒートポンプ15に伝えることで利用することが可能となる。
【0055】
例えば、管路1に流れる水2の温度20℃〜25℃程度であり、熱交換部材Aを構成する外管11の空間20に対し、配管13aから熱交換媒体を供給すると、該熱交換媒体が空間20を流れる過程で管路1を介して熱交換が行われる。特に、配管13aから供給された熱交換媒体の温度が30℃〜35℃程度とし、配管13bに排出するときの温度が25℃〜30℃程度となるような熱交換が行えるように、熱交換部材Aの長さや熱交換媒体の流量、流速等が設定されている。この結果、熱交換媒体から管路1を流れる水2に対して熱を伝えることとなり、熱交換媒体の排熱作用が実行されることになる。
【0056】
また、冬季に於ける温度が15℃〜18℃程度であり、外管11の空間20に対し、配管13aから熱交換媒体を供給すると、該熱交換媒体が空間20を流れる過程で管路1を介して熱交換が行われる。特に、配管13aから供給された熱交換媒体の温度が3℃〜9℃程度とし、配管13bに排出するときの温度が8℃〜15℃程度となるような熱交換が行えるように、熱交換部材Aの長さや熱交換媒体の流量、流速等が設定されている。この結果、熱交換媒体は管路1を流れる水2から熱を受けることとなり、熱交換媒体の吸熱作用が実行されることになる。
【0057】
上記の如く構成された熱交換構造では、ヒートポンプ15を介して接続された室内機16を冷房運転、暖房運転する際に、管路1を流れる水2の熱を利用することが可能となる。
【0058】
次に、管路と熱交換部材との関係の他の例について図2を用いて説明する。尚、図に於いて前述の実施例と同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する(以下の管路と熱交換部材との関係の他の例以降も同じ)。また、図に於いて、配管13a、13bは図1と同様にポンプ14を介してヒートポンプ15に接続されている(以下の管路と熱交換部材との関係の他の例以降も同じ)。
【0059】
図に於いて、熱交換部材Aは管路1の外周面に巻き付けられた管21によって構成されており、該管21に配管13a、13bが接続されて熱交換媒体を流通させることが可能なように構成されている。熱交換部材Aを構成する管21の形状は特に限定するものではなく、円筒管、角筒管、かまぼこ型管等の管を用いることが可能である。特に、管路1との間で効率を良く熱交換を行うには、該管路1の外周面との接触面積を大きくとることが可能な角筒管であることが好ましい。
【0060】
熱交換部材Aを構成する管21の材質は限定するものではないが、熱を効率良く伝えることが可能で、且つ管路1に巻き付ける際の作業を容易に行えるような材質であることが好ましい。このような材質としては鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等があり、何れも好ましく利用することが可能である。但し、鋼からなる熱交換部材Aを利用する場合、充分な防錆処理を施しておくことが好ましい。
【0061】
本実施例に係る熱交換構造であっても、管21に対し配管13aから供給された熱交換媒体が配管13bに向けて流通する過程で、管路1及び管21を介して水2との間で熱交換することが可能である。そして、前述の管路と熱交換部材との関係の例と同様に、ヒートポンプ15を介して接続された室内機16を運転することが可能である。
【0062】
次に、管路と熱交換部材との関係の他の例に係る熱交換構造について図3を用いて説明する。本実施例に於ける熱交換部材Aは、前述の管路と熱交換部材との関係の例に於ける熱交換部材Aを応用したものであり、該熱交換部材Aの空間20に於ける熱交換媒体の流れを乱すことで万遍なく管路1と接触させ、これにより熱交換を促進させるようにしたものである。
【0063】
本実施例に係る熱交換部材Aは、外管11の内周面に複数の流通阻害部材22が配置されている。この流通阻害部材22は、配管13aから空間20に供給され、該空間20を流通する熱交換媒体を衝突させて流れを乱すためのものである。流れが乱れた熱交換媒体は、常に管路1に対して接触する熱交換媒体が入れ替わることで熱交換が促進され、効率の良い熱交換を実現することが可能である。
【0064】
本実施例は、前述の管路と熱交換部材との関係の例に係る熱交換部材Aが外管11のみによって形成されており、配管13aから供給された熱交換媒体が、配管13bに向かって最短距離を流通して効率の良い熱交換を行えない虞かあるという問題を解消するものである。
【0065】
流通阻害部材22は、リング状の板を管路1の外周面との間に隙間を設けて外管11の内周面に固定することで形成されていても良い。この場合、外管11の内周面と管路1の外周面とで構成された空間20は、管路1の外周面に沿って連続した空間として形成されるものの、外管11の内周面側は非連続した空間として形成される。
【0066】
また、流通阻害部材22は、羽子板状の板を外管11の内周面に固定することで形成されていても良い。羽子板状の板の先端は、管路1の外周面に接触させても良く、或いは隙間を設けていても良い。このように、羽子板状の板によって流通阻害部材22を形成した場合、空間20は流通阻害部材22によってジグザグ状に区画された空間として形成される。
【0067】
上記の如く構成された熱交換部材Aでは、配管13aから空間20に供給された熱交換媒体は、流通阻止部材22に衝突して流れが乱され、この影響を受けて管路1の外周面と接触する熱交換媒体は常に入れ替わる。この結果、熱交換媒体は万遍なく管路1と接触して熱交換が促進され、より効率の良い熱交換を実現することが可能となる。
【0068】
特に、外管11の内周面側に流通阻害部材22が一体的に形成されるため、該外管11の剛性が向上し、外圧となる土圧や地下水圧に対する抵抗を向上させることが可能である。
【0069】
尚、図に於いて、11cは端板11a、11bに形成され、内径が管路1の外径に略等しいボスであり、11dはボス11cを管路1に締め付けるための締付バンドである。この締付バンド11dの構成は特に限定するものではなく、ラチェット機構を採用した締付構造、或いはねじ機構を採用した締付構造等を利用することが可能である。
【0070】
本実施例に係る熱交換構造であっても、熱交換部材Aの空間20に対し配管13aから供給された熱交換媒体が配管13bに向けて流通する過程で流れが乱れることで、管路1を介して水2との間で熱交換することが可能である。そして、前述の管路と熱交換部材との関係の例と同様に、ヒートポンプ15を介して接続された室内機16を運転することが可能である。
【0071】
次に、管路と熱交換部材との関係の他の例に係る熱交換構造について図4を用いて説明する。本実施例に於ける熱交換部材Aは、前述の管路と熱交換部材との関係の例に於ける熱交換部材Aを応用したものであり、該熱交換部材Aの空間20に供給された熱交換媒体を螺旋状に流通させることで接触長さを増大させ、これにより熱交換の効率を向上させるようにしたものである。
【0072】
本実施例に係る熱交換部材Aは、外管11の内周面に螺旋状の仕切部材23が配置されている。この仕切部材23は、外管11の内周面に固定されており、内径(螺旋状の内周を軸方向に貫通した径)が管路1の外径よりも僅かに大きく形成されている。従って、空間20には仕切部材23によって螺旋状の流通路が形成される。
【0073】
上記の如く構成された熱交換部材Aでは、配管13aから空間20に供給された熱交換媒体は、仕切部材23に沿って管路1の外周を回る螺旋状の流れとなる。この結果、熱交換媒体は管路1に対する接触長を大きくなり、良好な熱交換を行うことが可能となる。
【0074】
特に、外管11の内周面に仕切部材23が一体的に形成されるため、外管11の剛性が向上し、外圧となる土圧や地下水圧に対する抵抗を向上させることが可能である。
【0075】
本実施例に係る熱交換構造であっても、熱交換部材Aの空間20に対し配管13aから供給された熱交換媒体が配管13bに向けて流通する過程で流れが螺旋状となることで、管路1を介して水2との間で熱交換することが可能である。そして、前述の管路と熱交換部材との関係の例と同様に、ヒートポンプ15を介して接続された室内機16を運転することが可能である。
【0076】
次に、本発明の実施例である熱交換構造を下水道に適用する場合について図5により説明する。図に示すように、下水道管路31にはマンホール32が設けられている。通常は下水道管路31に下水が満水状態で流れることはなく、管底に僅かな深さを保持して流れている。
【0077】
下水道管路31の所定位置には流出分岐31aが配置され、この流出分岐31aの下流側に堰33が形成されている。また、流出分岐31aの下流側で該流出分岐31aから熱交換部材Aの長さよりも充分に大きい距離離隔した位置に流入分岐31bが配置されている。そして、下水道管路31に配置された流出分岐31aと流入分岐31bを接続して管路1が配置されると共に、該管路1に熱交換部材Aが構成されている。前記熱交換部材Aは前述した管路と熱交換部材との関係の例の何れかであって良い。
【0078】
下水道管路31と管路1の深さ方向の位置関係(下水道管路31を流れる下水の水位と管路1を流れる水2の水位の関係)は、管路1が下水道管路31よりも深い位置に敷設されている。
【0079】
また、堰33は下水道管路31の底から中心方向に起立して形成されており、大雨時に下水道管路31内に流れる下水が増大したとき、回動して堰33の存在に関わらす下水道管路31の断面積を可及的に減ずることがないように構成されている。堰33の回動構造は特に限定するものではなく、下水道管路31の直径方向に縦軸又は横軸を通し、この軸に堰33を回動可能に装着することで良い。
【0080】
本実施例では、下水道管路31に横軸を設け、該軸に堰33をコイルばねのような付勢部材を介して軸に取り付けることで、下水道管路31内の水位の変化に応じて堰33は横軸を中心として回動することで、下水道管路31の断面積を減ずることがない。
【0081】
このため、下水道管路31を流れる水2は堰33に遮られて流出分岐31aから管路1に導入され、該管路1を流れる。そして、管路1を流れた水2は流入分岐31bから下水道管路31に流入して下流側に流れる。このとき、管路1の内部は、水2が略満水状態となり、流出分岐31aと流入分岐31bの間に生じている堰33の高さに対応する差圧によって流れが継続する。
【0082】
従って、熱交換部材Aに熱交換媒体を供給することで、該熱交換媒体は管路1を介して水2との熱交換を行うことが可能となる。そして、前述の管路と熱交換部材との関係の例と同様に、ヒートポンプ15を介して接続された室内機16を運転することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る熱交換構造は、内部を略満水状態で流れる管路であれば利用することが可能であり、熱の活用をはかることができる。
【符号の説明】
【0084】
A 熱交換部材
1 管路
2 水
11 外管
11a、11b 端板
11c ボス
11d 締付バンド
12a、12b 接続部材
13a、13b 配管
14 ポンプ
15 ヒートポンプ
16 室内機
20 空間
21 管
22 流通阻害部材
23 仕切部材
31 下水道管路
31a 流出分岐
31b 流入分岐
32 マンホール
33 堰
図1
図2
図3
図4
図5