【実施例】
【0099】
材料及び方法:
酵母株
用いた菌株、それらの由来及びそれらの遺伝子型に関する情報を以下の表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
遺伝的背景がS288C (Mortimer and Johnston, 1986)又はSK1 (Kane and Roth, 1974)であるSaccharomycescerevisiae属の酵母株がある。ORT7235及びORT7236菌株、arg4-Bgl及びarg4-RV変異それぞれのキャリアは、2つの形質転換ステップで得られた。事前に、EUROSCARF deletion collection(http://web.uni-frankfurt.de/fb15/mikro/euroscarf/data/YHR018c.html)からの、ARG4遺伝子がKanMXに置換されたY00981菌株を、KanMXをARG4位置においてURA3と置換するために、エレクトロポレーション法(Becker and Guarente, 1991)によりM4758プラスミド(Voth et al., 2003)を用いて形質転換した。RL1及びRL2プライマー(表2に記載)をarg4Δ::URA3断片の増幅のために用いた。
【0102】
【表2】
【0103】
ORT7235菌株を得るために、ORT7219strain [ARG+ ura-]を、ARG4位置にPCR産物のarg4Δ::URA3を組み込むように、エレクトロポレーション法により形質転換した。ウラシル欠損培地で選択されて得られた形質転換体であるORT7205 [arg- URA+]に対して、PstI制限酵素によるpMY232プラスミド(Rocco et al., 1992)の切断によって得られたarg4-Bgl断片を用いてエレクトロポレーションによる形質転換を行った。得られた形質転換体であるORT7235 [arg- ura-]を5-FOA培地で選択した。
【0104】
ORT7236菌株を得るために、ORT7221strain [ARG+ ura-]を、ARG4位置にPCR産物のarg4Δ::URA3を組み込むように、エレクトロポレーション法により形質転換した。ウラシル欠損培地で選択されて得られた形質転換体であるORT7217 [arg- URA+]に対して、PstI制限酵素によるpNPS308プラスミド(Rocco et al., 1992)の切断によって得られたarg4-RV断片を用いて酢酸リチウム法(Schiestl and Gietz,1989)による形質転換を行った。得られた形質転換体であるORT7236 [arg- ura-]を5-FOA培地で選択した。
【0105】
AND1702二倍体菌株を、一倍体菌株のORT7235とORT7236との交雑により得た。遺伝子型がそれぞれhis3Δ200及びhis4::LEU2の両方の親株は、ヒスチジンの栄養要求性であるが、得られた二倍体は機能相補によりヒスチジンに対して原栄養性であり、従って、ヒスチジン欠損培地で選択可能である。AND1702菌株は、S288C-SK1交雑遺伝子背景を有し、遺伝子マーカーMATa/MATα、arg4-Bgl/arg4-RV、lys2Δ0/lys2、ura3(PstI-SmaI)::hisG/ura3Δ0、leu2Δ0/leu2::hisG、his3Δ200/HIS3、met15Δ0/MET15、trp1Δ63/trp1::hisG、his4B::LEU2/HIS4において、及び2つの親株のゲノムを区別する全ての多型マーカーにおいてヘテロ接合性である。
【0106】
AND2248菌株を得るために、ORT7235及びORT7236菌株を、NDT80位置でPCR産物のndt80Δ::KanMXを組み込むように、エレクトロポレーション法により形質転換した。2つの得られた菌株であるORT7469及びORT7477を、二倍体菌株AND2248を生成するために交雑した。
【0107】
用いた培養培地の成分
YPD増殖培地は、1%酵母エキス、2%バクトペプトン、2%グルコース(固体培地の場合は2%バクトアガー)を含み、pH5.5であり、H
2Oで1リッターに調整された富栄養培地である(Treco and Lundblad, 2001)。亜ヒ酸ナトリウム(NaASO2)を含むYPD培地は、最終濃度1.5mMで添加された。
【0108】
YPG増殖培地は、呼吸可能細胞の選択のための培地であり、1%酵母エキス、2%バクトペプトン、3%グリセロール、2%バクトアガーを含み、H
2Oで1リッターに調整された培地である(Treco andLundblad, 2001)。YPG培地+ジェネティシン(200mg/l)は、KanMX遺伝子の発現で生じるジェネティシン耐性菌株の選択を可能とする。
【0109】
X欠損培地は、完全合成培地から栄養素(X)が欠損した培地であり、他の全てが存在する(例えば、アルギニン欠損培地には、アルギニンを除く全ての栄養素が存在する)。それらは、栄養素Xに対して原栄養性の菌株を選択可能であり、アミノ酸及び硫酸アンモニウムを含まない0.17%酵母窒素源基礎培地(yeast nitrogen base)、0.5%硫酸アンモニウム、2%グルコース、2%バクトアガーを含み、1つを除く栄養素が添加され、H
2Oで1リッターに調整された培地である。その栄養素は、以下の量で添加される:0.002%アルギニン/ヒスチジン/メチオニン/ウラシル、0.003%リジン/チロシン、0.004%アデニン/トリプトファン、0.005%フェニルアラニン、0.006%ロイシン、0.01%アスパラギン酸、0.015%バリン、0.02%トレオニン、0.0375%セリン。挙げられていないアミノ酸は、0.004%で添加され得る(Treco and Lundblad, 2001)。完全合成増殖培地又はSCは、栄養素の欠損が無いこと以外は欠損培地と同等である。
【0110】
DOBA培地は、原栄養性細胞のみが増殖できる最少培地である。それは、アミノ酸及び硫酸アンモニウムを含まない0.17%酵母窒素源基礎培地、0.5%硫酸アンモニウム、2%グルコース、2%バクトアガーを含み、H
2Oで1リッターに調整された培地である(Treco andLundblad, 2001)。それは、機能相補によって、試験菌株MATa his1 (ORT3805)又はMATα his1 (ORT3806)の1つとHIS1菌株との交雑から得られた二倍体の選択を可能とする。
【0111】
5-FOA 培地は、ura3-菌株を選択するための培地であり、2%TRP欠損培地(TRP dropout)、アミノ酸及び硫酸アンモニウムを含まない0.17%酵母窒素源基礎培地、0.5%硫酸アンモニウム、0.00204%トリプトファン、0.003%ウラシル、0.15%5−フルオロオロチン酸、2%グルコース、2%バクトアガーを含み、pH4.5であり、H
2Oで1リッターに調整された培地である(Treco andLundblad, 2001)。
【0112】
SPS増殖培地は、前胞子形成培地であり、0.5%酵母エキス、1%バクトペプトン、アミノ酸及び硫酸アンモニウムを含まない0.17%酵母窒素源基礎培地、0.5%硫酸アンモニウム、1%酢酸カリウム、1.02%フタル酸水素カリウムを含み、pH5.5であり、H
2Oで1リッターに調整された培地である(Wu and Lichten, 1994)。
【0113】
1%KAc培地は、栄養が枯渇された胞子形成培地であり、1%酢酸カリウムを含み(菌株の栄養要求性に依存して0.001%アミノ酸を添加する又は添加せず、0.001%PPG2000を含む)、H
2Oで1リッターに調整された培地である(Wu andLichten, 1994)。
【0114】
胞子形成プロトコール
二倍体菌株を−80℃で保管されたストックからYPDディッシュにストリークした。30℃で3日間培養後、シングルコロニーから得た細胞を、固体YPG培地を含むディッシュに播種した。30℃で約6時間培養した後、その細胞を5mlの液体YPDに懸濁し、撹拌(250rpm)しながら30℃で24時間培養した。この前培養物は、10
5cells/mlの濃度で50mlのSPS培地に播種するために用いられ、その後2-4.10
7cells/mlに達するまで30℃で約18時間培養される。その細胞を、30℃に予め温められた50mlの1%KAc培地で洗浄し、遠心処理し、予め温められた100mlの1%KAc胞子形成培地で再懸濁した。その培養物を、撹拌しながら30℃で、実験要求事項に依存する種々の時間培養した。サンプルを胞子形成の際の異なる時間で回収した(Wu and Lichten, 1994)。
【0115】
「Return-to-growth」プロトコール
プロトコール1:RTGから生じた細胞のプレーティングによる単離
胞子形成培地での所定時間のインキュベーション後、1mlの培養物を回収した。細胞を1mlのH
2Oで洗浄し(8000gで3分の遠心処理)、最終体積が500μlのH
2Oに再懸濁した。この段階で、RTGプロセスから生じたそれぞれのコロニーを増殖するために、細胞をYPD培地に播種した(約100 cells/dish、30℃でインキュベート)。
【0116】
プロトコール2:RTGから生じた組換え細胞のプレーティングによる単離
プロトコール1に代わる方法として、アルギニンの非存在下で細胞増殖が可能なARG4対立遺伝子を含む組換え細胞を選択するために、胞子形成の際に回収された細胞を選択的アルギニン欠損培地に播種した(約10
4 cells/dish)。
【0117】
プロトコール3:RTG細胞の顕微操作による単離
胞子形成の際に回収された10μlの細胞懸濁液を、YPD培地の入ったディッシュの上部に播種した。44の非出芽細胞を、マイクロマニピュレータにより解剖顕微鏡(Singer MSM System)のグリッド上に移した。それらのディッシュを30℃でインキュベートし、第1の娘細胞の存在をモニターするために、及び胞子形成培地の回収の約4時間後に母細胞と娘細胞とを物理的に分離するために、定期的に観察した。それらのディッシュを「母/娘」コロニーのそれぞれの対を得るために、30℃でインキュベートした。
【0118】
RTGから生じる細胞の表現型分析
接合サインの表現型試験
RTGから生じた細胞(菌株AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739、AND1740、AND2711、AND2907、AND2642、AND2652、AND2658)の接合サインを試験するために、細胞をYPD固体培地に播種し、MATa his1 (ORT3805)又はMATα his1 (ORT3806)一倍体試験細胞の存在下に播種した。この培地において細胞増殖がないことは、試験細胞及びRTGから生じた菌株の接合不能を示す。これは、RTGから生じた細胞のMATa/MATα二倍体特性の表現型指標である。
【0119】
表現型組換え試験
RTGから生じた細胞の組換え特性を表現型的に特徴付けるために、AND1702親株により含まれるマーカーの遺伝子型を示す種々の選択培地(アルギニン欠損、ヒスチジン欠損、ロイシン欠損、メチオニン欠損)で細胞増殖を試験した。この菌株がアルギニンを含まない培地(アルギニン欠損培地)での細胞増殖を妨げるarg4-RV及びarg4-Bglマーカーにおけるヘテロ接合であるため、ARG4対立遺伝子を含むRTG細胞の組換え体の生成はこの培地での細胞増殖を可能とする。ヘテロ接合状態のAND1702菌株は、対立遺伝子his3Δ200/HIS3、his4B::LEU2/HIS4、及びmet15Δ0/MET15を含み、その表現型は、中でも[HIS+ LEU+ MET+]である。RTG細胞の組換え特性は、原栄養性の1つの欠損によって示され得る([his-]=his3Δ200/his3Δ200又はhis4B::LEU2/his4B::LEU2、[leu-]= HIS4/HIS4、[met-]=met15Δ0/met15Δ0)。
【0120】
RTG二倍体の胞子形成により得られた四分子における表現型的試験
RTG細胞の組換え特性は、表現型の変化がない遺伝子マーカーのヘテロ接合性の損失に関する。例えば、RTG細胞は、組換えによりMET15/MET15になり得るが、二倍体親株AND1702のようにメチオニンの原栄養性を維持するであろう。これらの事象を検出するために、RTG二倍体から生じた四分子の表現型を、アルギニンDO(欠損)、ヒスチジン(DO)、ロイシンDO及びメチオニンDO培地で分析して、遺伝子マーカーの分離を観察した。また、細胞の接合型を、上記の方法を用いて決定した。
【0121】
NGSシークエンシングによるRTGから生じた細胞の遺伝子型分析
親酵母ORT7219、ORT7221及びAND1702、並びにRTGから生じた細胞AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739、AND1740、AND2711、AND2907、AND2642、AND2652及びAND2658を、NGS(次世代シークエンシング)シークエンシング法(NGS platform of the Institut Curie, Paris, France)によりシークエンシングした。一倍体菌株ORT7219及びORT7221において、ゲノムDNA断片ライブラリを生成し、販売者の「Life Technologies」のプロトコールに従って、SOLiD v4sequencerでペアエンド方法論(50+35 nt)を用いてシークエンシングした。二倍体菌株AND1710-1A、AND1710-1B、AND1710-1C及びAND1710-1Dにおいて、ゲノムDNA断片ライブラリを構築し、販売者の「Life Technologies」のプロトコールに従って、SOLiD V5500sequencerでペアエンド方法論(50+35 nt)を用いてシークエンシングした。二倍体菌株(AND1702、AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739及びAND1740)において、接合対(Mate-pair)ライブラリ(50+50nt)をゲノムDNA調製物から構築し、販売者の「Life Technologies」のプロトコールに従って、Institut CurieのNGS platformのSOLiD v4 sequencerでシークエンシングした。ペアエンドライブラリ(100+100nt)のAND2711、AND2907、AND2642、AND2652及びAND2658菌株をゲノムDNAから生成し、販売者の「Illumina」のプロトコールに従って、HiSeq 2500 sequencerにおけるInstitut CurieのNGS platformでシークエンシングした。
【0122】
NGSシークエンシングデータのバイオインフォマティクス分析
一倍体親株ORT7219及びORT7221によって寄与される多型を決定するために、NGSから得られたシークエンスを、Bioscopeソフトウェア(Life Technologies)を用いて参照ゲノムのS288Cのシークエンスに位置合わせした。用いた参照配列のバージョン(R64)は、「Saccharomyces Genome Database」(SGD) (http://downloads.yeastgenome.org/sequence/S288C_reference/genome_releases/S288C_reference_genome_R64-1-1_20110203.tgz)のウェブサイトから得られる。16の染色体及びミトコンドリアゲノムのエントリーナンバーは、染色体(Chr.) I: NC_001133; Chr. II: NC_001134; Chr. III: NC_001135; Chr.IV: NC_001136; Chr. V: NC_001137; Chr. VI: NC_001138; Chr. VII: NC_001139; Chr.VIII: NC_001140; Chr. IX: NC_001141; Chr. X: NC_001142; Chr. XI: NC_001143;Chr. XII: NC_001144; Chr. XIII: NC_001145; Chr. XIV: NC_001146; Chr. XV:NC_001147; Chr. XVI: NC_001148, 及びミトコンドリアChr.:NC_001224である。親株ORT7219 (S288C)とORT7221(SK1)との間のSNPs(一塩基多型)のリスト及び座標を、Bioscope の"Find SNP"ツールを用いて確立した。RTGから生じた細胞である二倍体細胞AND1702、及び四分子AND1710-1の4つの胞子のNGSシークエンスを、Lifescopeソフトウェア(Life Technologies)を用いて参照ゲノムシークエンスSGDと位置合わせした。シークエンシングされた菌株のそれぞれの遺伝子型を決定するために、確立されたSNPsのリスト内でオーバーラップする多型位置のリード(read)を、BEDToolsの「IntersectBED」ツール(Quinlan et al., 2010)を用いて選択した。各リードを、それがカバーする多型と関連付け、そのリードにおける多型の位置を算出した。この位置における塩基を抽出し、ORT7219及びORT7221親株におけるこの位置で見られる塩基と比較した。各多型の位置において、S288C対立遺伝子、SK1対立遺伝子又は他の対立遺伝子を有するリードをカウントした。S288C対立遺伝子が82%よりも大きいリードであった場合、SNPはS288C由来の単一対立遺伝子であることが示された。SK1対立遺伝子が68%よりも大きいリードであった場合、SNPはSK1由来の単一対立遺伝子であることが示され、SK1対立遺伝子が18〜68%のリードを示す場合、又はS288C対立遺伝子32〜68%のリードを示す場合、SNPは二対立遺伝子であることが示される。分析された各サンプルについて、Rソフトウェア環境(http://www.r-project.org)を用いて多型位置のマップをプロットした。各多型位置の遺伝子型を色により示した:単一対立遺伝子S288Cを黒色、単一対立遺伝子SK1を中間の灰色、二対立遺伝子を薄い灰色とした。シークエンシングされた全てのサンプルについて、位置のカバー度をBEDToolsの「genomeCoverageBed」ツールを用いて算出した。Illumina sequencerからの100nt + 100ntのリードを、BWAソフトウェアを用いて参照ゲノム(SGD)と位置合わせした。
【0123】
結果
表現型的分析
組換えRTG細胞の選択
RTG(親株AND1702、プロトコール2でアルギニンの原栄養性の細胞を選択)から生じた6つの独立コロニー(菌株AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720)、並びにRTG(親株AND1702、プロトコール3で第1の細胞分裂後の母/娘細胞を顕微操作により単離)から生じた4つの「母(M)及び娘(D)」RTG対(AND1733(M)-AND1734(D)、AND1735(M)-AND1736(D)、AND1737(M)-AND1738(D)及びAND1739(M)-AND1740(D))を遺伝子型決定のために選択した。これらの菌株の二倍体特性を、2つの表現型的試験により確認した:接合サインMATa (ORT3805)及びMATα (ORT3806)の試験一倍体細胞との交雑が無い、胞子形成段階に入る能力及び4つの生存する胞子形成する能力(以下)。ヘテロ接合マーカー(ARG、HIS、LEU、MET)のためのRTG細胞の表現型を以下の表3に示した。
【0124】
【表3】
【0125】
MATa及びMATα試験細胞と交雑された細胞は無く、従って、二倍体を維持した細胞は無かった。RTGから生じたシークエンシングされた全ての細胞の中から、7つがアルギニンについて原栄養性となり(AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720及びAND1733)、9つがヒスチジンについて栄養要求性となり(AND1708、AND1710、AND1711、AND1712、AND1733、AND1734、AND1735、AND1738、AND1740)、2つがロイシンについて栄養要求性となり(AND1734及びAND1737)、2つがメチオニンについて栄養要求性となった(AND1709、AND1720)。これは、RTGから生じた細胞の表現型的多様性を示し、組換え現象の結果である。
【0126】
四分子分析によるRTG細胞の遺伝子型の同定
RTG細胞の遺伝子マーカーの分離の観察のために、これらの細胞を胞子形成させ、10個の四分子を解剖し分析した。14のケースのうち13のケース(AND1708、AND1709、AND1710、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739及びAND1740)において、4つの生存する胞子を有する四分子を観察して、これらのRTG細胞の二倍体特性を確認し、これらのRTG二倍体のゲノムにおける致死突然変異が無いことがわかった。AND1711において、解剖された四分子は、2つのみ生存する胞子を有し、リードのシークエンスカバー度の深さを分析することにより検出され、サザンブロットにより確認された異数性の存在を示す。この異数性は、Chr. V の110kbのコピーの増大と関連付けられるChr. XVIの一端の170kbのコピーの損失に関する。解剖された四分子における遺伝子マーカーの分離は、表1に示されるように各二倍体のマーカーの遺伝子型を明らかにした。
【0127】
バイオインフォマティクス分析
親一倍体ORT7219及びORT7221のゲノム、交雑二倍体AND1702のゲノム、並びにRTG細胞AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739及びAND1740のゲノムをNSGによりシークエンシングし、リードを上記方法を用いて分析した。
【0128】
シークエンシングデータの一次分析
各サンプルにおいて、6千万を超えるNGSリードを、100Xを超える全体のゲノムに対する同質のカバー度(位置毎のリードの数)で得た。サンプル毎の平均カバー度を表4に示す。
【0129】
【表4】
【0130】
親一倍体を識別する多型の同定
SGD参照配列と比較されたORT7219菌株のNGSシークエンスの分析で115のSNPsを同定した。SGD参照配列と比較されたORT7221菌株のNGSシークエンスの分析で65134のSNPsを同定した。これらのうち、63901のSNPsを、AND1702交雑二倍体及びRTGから生じた細胞のNGSリードの遺伝子型決定のために選択した。SNPs間の物理的距離は、2〜38036ヌクレオチドの間で異なり、中間値は96ヌクレオチドであり、平均値は187ヌクレオチドである。
【0131】
RTG細胞の遺伝子型
全ての親の多型をシークエンシングされた細胞において発見した。各RTG菌株は、種々の数での単一対立遺伝子SNPs及び二対立遺伝子SNPsのキャリアであった。以下の表5に示す結果は、61〜89%のSNPsが二対立遺伝子であることを示し、RTGから生じたこれらの細胞の二倍体特性を確認する。他のSNPsは単一対立遺伝子であり、6〜26%の場合においてS288C対立遺伝子に対応し、1〜18%の場合においてSK1対立遺伝子に対応し、SNPsの平均17%は単一対立遺伝子性状態で見られることを意味する。これらの単一対立遺伝子性位置での単一の対立遺伝子の存在は、同一の対立遺伝子を含む2つの相同染色体の存在、又は相同染色体のうちの1つの染色体領域の損失のいずれかを反映し得るヘテロ接合性(LOH)の損失を示す。各染色体の1kbを超える平均化されたカバー度の分析は、2つのヘテロ接合相同染色体の仮説を支持するような、単一対立遺伝子領域及びヘテロ対立遺伝子領域が一様なカバー度インデックスを有する。
【0132】
【表5】
【0133】
分析されたRTG細胞のSNPs(S288C由来の二対立遺伝子、単一対立遺伝子、又はSK1由来の単一対立遺伝子)の状態のマップは、
図1及び2に示される。上記プロトコール2に従って単離された細胞は、
図1に示される。上記プロトコール3に従って単離された細胞は、
図2に示される(同一のRTG現象から得た母及び娘細胞は、2つの遺伝子型の対比較のために、同一の図中に集められている)。
【0134】
これらの細胞の遺伝子型は全く異なる。ほとんどの場合において、各染色体は、S288C及び/又はSK1起源の1つ又は複数のSNP位置を含む異なるサイズ(1ヌクレオチドから約700kb)の二対立遺伝子及び単一対立遺伝子領域を含む。接合点での局所的な組換えの存在を明らかにする二対立遺伝子領域及び単一対立遺伝子領域の配置は、細胞によって異なる。少なくとも20kbの単一対立遺伝子領域のみを考える場合、染色体毎の組換え接合部の数は0〜7で異なり、細胞毎の総推定数は、RTG菌株であるAND1708 (
図1A)、AND1709(
図1B)、AND1710 (
図1C)、AND1711 (
図1D)、AND1712 (
図1E)、AND1720(
図1F)において、34、53、15、38、7、18であり、母‐娘対AND1733-AND1734 (
図2A)、AND1735-AND1736 (
図2B)、AND1737-AND1738 (
図2C)及びAND1739-AND1740 (
図2D)において、45、6、3、11である。我々は、(i)セントロメア付近に位置するSNPsが二対立遺伝子を維持し、RTGにおける姉妹染色分体の有糸分裂的分離を確認し、(ii)母及び娘細胞の遺伝子型が相補的であり、二対立遺伝子領域において同一であり、単一対立遺伝子領域において互いに反対の対立遺伝子であることを示す。それぞれのRTG細胞の単離(プロトコール1及び2)と異なり、母及び娘対の単離方法(プロトコール3)は、二対立遺伝子性SNPsのための相同的な背景における表現型の可能な分析の利点を有する。
【0135】
四分子をシークエンシングすることによるAND1710菌株における遺伝子型確認
AND1710RTG二倍体の胞子形成から生じた四分子由来の4つの胞子についてシークエンシングし、多型位置の遺伝子型を決定した。四分子の4つの胞子(A, B, C, D)の多型遺伝子型を
図3に示す。
【0136】
AND1710RTG二倍体の単一対立遺伝子領域において、我々は、4つの胞子がS288C又はSK1起源の同一の対立遺伝子を有することを観察する。二倍体の二対立遺伝子領域は、S288C対立遺伝子を含む2つの胞子とSK1対立遺伝子を含む2つの胞子とに分離し、これらの領域における二倍体のヘテロ接合特性を確認する。AND1710RTG二倍体の15の組換え接合部が確認される。さらに、遺伝子変換に関連付けられた追加的組換え現象(chr. VII、chr. VIII及びchr. IX(2つの場合))が、ND1710二倍体の4つの短い単一対立遺伝子領域において同定された。他の組換え現象は、この四分子の生成を引き起こす減数分裂の際に起こり、組換え体の遺伝子型は、親RTG二倍体に存在しない。
【0137】
RTGプロセスの繰り返し
RTGプロセスが遺伝子的多様性を増大するために繰り返され得るかどうか評価するために、発明者らは、親二倍体AND1702の第1のRTGサイクルから生じたAND1735菌株(
図4A)を用いて2つの連続するRTGサイクルを行い、SNPマーカーの進化をシークエンシングすることにより分析した。第2のRTGサイクルの際、AND2711細胞は、ヘテロ接合性の全体のレベルの低減(90.2%の代わりに67.6%)、及びS288C又はSK1遺伝子背景の新規の単一対立遺伝子領域の存在に証明されるように組換えの他のサイクルを受けた(
図4B)。第3のRTGサイクルの際、AND2907細胞は、ヘテロ接合性の全体のレベルの低減(67.6%の代わりに53.5%)、及びS288C又はSK1遺伝子背景の新規の単一対立遺伝子領域の存在に証明されるように組換えの他のサイクルを受けた(
図4C、表5及び6)。従って、RTGプロセスは、二倍体細胞の遺伝子的多様性を順次増大するために繰り返され得る。
【0138】
胞子形成欠陥AND2248二倍体細胞におけるRTG
RTGプロセスが生存不能二倍体細胞のゲノムを組み替えるのに用いられ得るか否かを評価するために、発明者らは、S288C/SK1交雑遺伝子背景であるが、ホモ接合状態でNTD80遺伝子が欠失した二倍体菌株(AND2248)を構築した。NDT80遺伝子の不活性化は、胞子の不形成を引き起こすが、二倍体細胞が減数分裂前期に入ることを妨げない。これらの細胞は、Spo11依存性DNA二本鎖分離の発生後で、減数的染色体分離の段階(M1)前の段階で減数分裂の進行を停止する(Chu & Herskowitz, 1998)。減数分裂前期で停止されたndt80Δ/ndt80Δ二倍体細胞は、生存し続け、RTGプロセスを介して栄養成長に戻ることができる(Dayani et al., 2011)。AND2248変異株からRTG(プロトコール3)後に単離された3つの菌株に対し、シークエンシングを行った。これらの菌株(AND2642、AND2652及びAND2658)のSNPsのマップは、それぞれ
図5A〜Cに示される。これらの遺伝子型は、組換え体であり、異なる(表5)。それぞれのヘテロ接合度は、84.4%、79.3%及び93.1%であり、S288C又はSK1起源の単一対立遺伝子位置を含むゲノムの残りであり、組換え接合部の総数は細胞毎に12、24及び5である。従って、RTG法は、自然なSpo11依存性二本鎖分離を形成できる生殖不能菌株に適用可能である。
【0139】
RTG細胞の遺伝子型の変化性の分析
RTG細胞は、通常、二倍体であるため(AND1711を除く)、細胞毎のヘテロ接合度の減少率は、S288C又はSK1遺伝子型のホモ接合性領域の出現に関連する。RTGプロセスから生じた19の菌株(表5)のヘテロ接合度及びホモ接合度の差異を
図6に示す。ヘテロ接合性の割合(S288C+SK1二対立遺伝子の遺伝子型)は、3つのRTGサイクルから生じた93.3%(プロトコール3から生じたAND1738及びAND1739)と53.5%(AND2907)とで異なる。S288Cホモ接合領域の割合は、0.2%(AND1738)と26.8%(AND2907)とで異なる。SK1ホモ接合領域の割合は、0.2%(AND1737)と19.7%(AND2907)とで異なる。これらのホモ接合領域のサイズは短く、いくつかの近接するSNPsマーカーのみを含み、又は非常に大きく、大きい染色体領域を含む。少なくとも20kbの長さの組換え領域のみを考慮に入れて概算されたRTG細胞毎の組換え接合部の総数は、3(AND1737)と53(AND1709)とで異なる。従って、RTG法は、生殖可能細胞及び生殖不能細胞の両方において、交雑親株の異なるサイズの遺伝子型のうちの1つにおけるヘテロ接合領域及びホモ接合領域を同時に含む種々の組換え細胞の集団を生成できる。
【0140】
メチオニン及びロイシンの栄養要求性のマッピングの例
単一の形質を同定する及び位置付けることにおけるRTG法の性能を評価するために、発明者らは、メチオニン欠損下における増殖のためのRTG細胞の遺伝子型及び表現型を分析した。S288C菌株は、MET15遺伝子が欠失している(met15Δ0)。従って、親二倍体は、MET15/met15Δ0二対立遺伝子形質を含む。メチオニンの栄養要求性の組換え二倍体は、MET15位置(chr. XII)の周辺にS288C対立遺伝子の単一対立遺伝子マーカーを有する。逆に、メチオニン原栄養性の二倍体は、MET15位置の周辺にSK1対立遺伝子の単一対立遺伝子マーカー又は二対立遺伝子マーカーを含み得るが、S288C対立遺伝子の単一対立遺伝子マーカーは含まない。{S288C - SK1 - 二対立遺伝子}のうちの1つ又は2つの対立遺伝子が特異的に見られ、一方又は他方の表現型に排他的に関連するSNP位置を探索することにより、表現型に関連する染色体領域のマッピングが可能となる。このため、発明者らは、メチオニンDO培地において、一倍体親細胞ORT7221及びORT7219、交雑二倍体AND1702、並びにRTG細胞AND1708、AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739及びAND1740の増殖を試験した。それらの遺伝子型(表1)に従って、二対立遺伝子性二倍体細胞MET15/met15Δ0(交雑親株AND1702、RTGAND1708、AND1712、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739、AND1740)及び単一対立遺伝子性二倍体MET15/MET15 (RTGAND1710及びAND1711)は、メチオニン欠損下で増殖できたが、単一対立遺伝子性二倍体細胞met15Δ0/met15Δ0(RTGAND1709及びAND1720)は、メチオニン欠損下で増殖できなかった。この形質を含むゲノムの領域を決定するために、発明者らは2つのカテゴリーにRTG細胞を分類し、すなわち、原栄養性(RTGAND1708、AND1710、AND1711、AND1712、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739、AND1740)、及び栄養要求性(RTGAND1709及びAND1720)に分け、原栄養性個体で見られる対立遺伝子がこの分類内で排他的に見られるゲノムの領域を同定するために、また、栄養要求性個体で見られる対立遺伝子がこの分類内で排他的に見られるゲノムの領域を同定するために、それらの遺伝子型を比較した。栄養要求性の分類における2つのサンプルのみで、この方法はMET15遺伝子の所望の領域を含む非常に限られた数の候補領域(
図7A)において形質を同定する(6つの領域及びいくつかの単離されたSNPs)。2つのMET15/MET15ホモ接合サンプル(AND1710及びAND1711)が、単一対立遺伝子位置の対立遺伝子の逆位により人工的にホモ接合met15Δ0/ met15Δ0を与えられる、バイオインフォマティクスシミュレーションを用いて、発明者らは、2つの分類におけるサンプルの数を釣り合わせることにより、MET15遺伝子を含む候補領域の数を1に容易に減らすことができることを示すことができた。この例において、同定された領域は、約40kbである。多くのRTG細胞を試験することは、候補領域のサイズを低減することに効果的である。
【0141】
同様に、発明者らは、ロイシン欠損化での増殖のためのRTG細胞の遺伝子型及び表現型を分析した。2つの親株は、LEU2位置に変異を有する(S288親株においてleu2Δ0 、及びSK1親株においてleu2::hisG、Chr. III)。しかしながら、SK1親株は、隣接位置に挿入されたLEU2遺伝子の野生型コピーを有する(染色体IIIにおいてhis4B::LEU2マーカー)。RTG後、これは、ロイシンの原栄養性RTG細胞の群を構成する単一対立遺伝子性二倍体his4B::LEU2/his4B::LEU2(AND1708、AND1733、AND1738)、二対立遺伝子性二倍体his4B::LEU2/HIS4 (AND1709、AND1710、AND1711、AND1712、AND1720、AND1735、AND1736、AND1739、AND1740)、及びロイシンの栄養要求性の群を構成する単一対立遺伝子性二倍体HIS4/HIS4(AND1734、AND1737)を取得することにつながる。ここで、栄養要求性における2つのサンプルのみで、ロイシンDO培地における増殖表現型をマッピングすることは、LEU2及びHIS4遺伝子の所望の領域を含む2つの候補領域(
図7B)のみの同定につながる。
【0142】
生殖不能交雑株に適用可能なのは、少数のRTG細胞をシークエンシングすることによる例えばメンデル形質のマッピングである。
【0143】
RTG法による量的形質の改良の例
量的形質を同定する及び位置付けることにおけるRTG法の性能を評価するために、発明者らは、30℃及び40℃における一倍体親細胞ORT7221及びORT7219、交雑二倍体AND1702、並びにRTG細胞AND1708、AND1709、AND1710、AND1712、AND1720、AND1733、AND1734、AND1735、AND1736、AND1737、AND1738、AND1739及びAND1740の増殖を試験した。
図8に示す結果は、一倍体細胞ORT7235及びORT7236は、40℃でほとんど増殖しなかったことを示す。その代わりに、AND1702交雑細胞は、この温度で各親株よりも良好な増殖をし、雑種強勢(ヘテローシス)を示した。RTGから生じた細胞は、40℃での増殖をより良くする、又はあまり良くしない可変の表現型を示す。特に、RTG細胞は、AND1708、AND1710、AND1712、AND1735、AND1736及びAND1737は、親細胞よりも強い熱耐性を有し、少なくとも交雑二倍体細胞AND1702と同等の熱耐性を有する。また、発明者らは、亜ヒ酸ナトリウム(1.5mMNaAsO
2)の存在下での細胞増殖を試験した。RTG細胞の増殖は可変である。例えば、AND1736及びAND1737細胞は、親二倍体細胞AND1702よりも耐性が強く、一方、AND1735及びAND1738細胞は、より感受性が高い。
【0144】
所望の量的形質を改良する2つの例がある。原因となる多型マーカーの数及び位置は、シークエンシングにより得られた細胞の遺伝子型の比較分析から推測できる。
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