特許第6482238号(P6482238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 イー・エス・プロジェクトの特許一覧 ▶ 株式会社アキバの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482238
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】手動型の充填器
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20190304BHJP
   B67D 7/42 20100101ALI20190304BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F17C5/06
   B67D7/42 A
   F17C13/00 301C
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-224149(P2014-224149)
(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公開番号】特開2016-89922(P2016-89922A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】507398925
【氏名又は名称】株式会社 イー・エス・プロジェクト
(73)【特許権者】
【識別番号】507398648
【氏名又は名称】株式会社アキバ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寛
(72)【発明者】
【氏名】天田 恵美
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−091505(JP,A)
【文献】 特開2012−072780(JP,A)
【文献】 特開2003−343799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/06
B67D 7/42
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンベ(B)の側面に設けられているプラグ(10)に嵌合させて、気体又は液体が挿入されているゴムホース(605)に接続されている接続治具(600)を介して前記気体又は液体を前記ボンベ(B)に充填する手動型の充填器であって、
後端部に前記接続治具(600)を接続する空洞の取付部(503)と、
内側筒体250)、中間筒体210)及び外側筒体(340)よりなる筒体で構成されおり、当該筒摺動部の後端部が前記取付部(503)の先端部に接続され、当該筒摺動部の先端部を前記プラグ(10)に嵌合させて前記筒体の摺動によって、内部に収納されている凸軸付ストップバルブ(26)及び前記プラグ(10)のプラグ側ノズル(12P)を開いて前記気体又は前記液体を充填する筒摺動部と、
前記取付部(503)に、固着された握り部(500)と、
前記握り部(500)の長さ程度のガンレバー(502)と、
前記握り部(500)の上部に後面が固着されて、前記ガンレバー(502)の一端部を第1のピン(501a)で回動自在に保持する平板状の保持部材(501)と、
前記外側筒体(340)の先端部の外周面に固着された第1の鍔(344b)と、
前記第1の鍔(344b)に対して一定間隔を有して前記外周面の後部に固着された第2の鍔(344a)と、
前記第1の鍔(344b)と第2の鍔(344a)との間に渡って上面が固着され、下面が前記ガンレバー(502)の、指を掛ける領域より上で、かつ前記保持部材(501)の下面以下となり、後面が前記ガンレバー(502)に対向する平板(344c)と、
前記平板(344c)と、前記ガンレバー(502)とを連結する連結棒(700)と、
前記平板(344c)の上面に対向する前記外側筒体(340)の外周面における前記第1の鍔(344b)と第2の鍔(344a)との間に渡って下面が固着された連結板(344ab)とを備え、
前記ガンレバー(502)は、
前記平板(344c)の下面の延長線付近となる位置に前記連結棒(700)の他端を固着した第2のピン(502a)を備え、
さらに、前記指を掛ける領域は、前記第2のピン(502a)から前記ガンレバー(502)の他端までの範囲であり、
前記平板(344c)は、
前記第2のピン(502a)に対向し、前記連結棒(700)が水平となる位置に第3のピン(344(ca))を設けて、前記連結棒(700)の一端を固着していることを特徴とする手動型の充填器。
【請求項2】
前記握り部(500)は、
前記取付部(503)の先端部の先端から一定範囲を取る第1の領域の後に存在する第2の領域に、一端が固着されており、
前記保持部材(501)は、
上面が前記第1の領域に固着され、
下面は、前記第1のピン(501a)と前記第2のピン(502a)との間となり、前記上面の先端から斜め面が形成され、この斜め面が前記後面として前記握り部(500)に固着され、前面は、前記第2のピン(502a)より前側となって、その前面は垂直にされており、
前記中間筒体210)は、
後端から前記凸軸付ストップバルブ(26)の凸軸(26a)の長さ程度の位置に、前記外側筒体(340)の後ろ側への摺動を停止させるためのストッパ用鍔210f)が設けられ、
前記外側筒体(340)の後端には、前記ストッパ用鍔210f)に打ち当って前記中間筒体210)を後方に手動させるための第3の鍔(340d)が設けられており、
前記第1の鍔(344b)及び第2の鍔(344a)の前記外側筒体(340)の外周面からの高さは、
前記ストッパ用鍔(210f)及び第3の鍔(340d)の高さの数倍程度にされ、
前記連結板(344ab)の高さは、前記第1の鍔(344b)及び第2の鍔(344a)の高さ程度にされ、
前記平板(344c)の前面は、前記第2の鍔(344a)の高さにされ、
前記平板(344c)の下面は、
前記第3のピン(344(ca))に固着された連結棒(700)の下面付近であり、前端は前記外側筒体(340)の中央付近であり、この前端から斜めに前記平板(344c)の前面の下縁に繋がる斜面とされていることを特徴とする請求項1記載の手動型の充填器。
【請求項3】
前記筒摺動部の前記内側筒体250)は、
先端側の内部に前記凸軸付ストップバルブ(26)を備え、後端が前記取付部(503)の先端部に接続されており、
中間筒体210)は、
先端側に前記プラグ(10)を嵌合するためのチャック部を有して、前記内側筒体250)を覆い、
前記外側筒体(340)は、
先端側に前記チャック部のボール(22)を押圧する領域、この領域の後ろに前記ボール(22)を逃がすテーパ付き凹溝(34f1)を形成して、前記中間筒体210)を覆っていることを特徴とする請求項1記載の手動型の充填器。
【請求項4】
前記筒摺動部は、
前記先端側が前記プラグ(10)に嵌合された場合に、
前記ガンレバー(502)が一定距離引かれる間は、前記外側筒体(340)を後方に、第1の反発力を与えながら前記チャック部のボール(22)を押した状態にする位置であるストッパ用鍔(210f)に第3の鍔(340d)が打ち当たるまで前記中間筒体210)上を摺動(S1)させることで前記プラグ(10)に嵌合させ、
さらに前記ガンレバー(502)が引かれた場合は、その間は、第2の反発力(第2の反発力>第1の反発力を与えながら前記中間筒体210)を後方に摺動させて前記凸軸付ストップバルブ(26)及びプラグ側ノズル(12P)を開かせる構造にされていることを特徴とする請求項3記載の手動型の充填器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体又は液体を収めたボンベのプラグに、片手で連結できる手動型の充填器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、気体又は液体をボンベに充填する際に手動型の充填器(充填ノズル)が用いられている。
【0003】
例えば、LPGガスボンベを搭載しているタクシーにおいては、ガスを充填する際に、充填ノズルを両手でもってボンベのプラグに差し込んでガスを充填していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−232418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたガス充填装置におけるように、充填ノズルを両手でもってガスボンベのプラグに差し込むのは容易ではない。
【0006】
そこで、本発明は、気体又は液体を通すプラグに対して着脱自在な充填ノズルを連結する際に、片手でも容易にボンベのプラグに装着できる手動型の充填器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ボンベ(B)の側面に設けられているプラグ(10)に嵌合させて、気体又は液体が挿入されているゴムホース(605)に接続されている接続治具(600)を介して前記気体又は液体を前記ボンベ(B)に充填する手動型の充填器であって、
後端部に前記接続治具(600)を接続する空洞の取付部(503)と、
内側筒体250)、中間筒体210)及び外側筒体(340)よりなる筒体で構成されおり、当該筒摺動部の後端部が前記取付部(503)の先端部に接続され、当該筒摺動部の先端部を前記プラグ(10)に嵌合させて前記筒体の摺動によって、内部に収納されている凸軸付ストップバルブ(26)及び前記プラグ(10)のプラグ側ノズル(12P)を開いて前記気体又は前記液体を充填する筒摺動部と、
前記取付部(503)に、固着された握り部(500)と、
前記握り部(500)の長さ程度のガンレバー(502)と、
前記握り部(500)の上部に後面が固着されて、前記ガンレバー(502)の一端部を第1のピン(501a)で回動自在に保持する平板状の保持部材(501)と、
前記外側筒体(340)の先端部の外周面に固着された第1の鍔(344b)と、
前記第1の鍔(344b)に対して一定間隔を有して前記外周面の後部に固着された第2の鍔(344a)と、
前記第1の鍔(344b)と第2の鍔(344a)との間に渡って上面が固着され、下面が前記ガンレバー(502)の、指を掛ける領域より上で、かつ前記保持部材(501)の下面以下となり、後面が前記ガンレバー(502)に対向する平板(344c)と、
前記平板(344c)と、前記ガンレバー(502)とを連結する連結棒(700)と、
前記平板(344c)の上面に対向する前記外側筒体(340)の外周面における前記第1の鍔(344b)と第2の鍔(344a)との間に渡って下面が固着された連結板(344ab)とを備え、
前記ガンレバー(502)は、
前記平板(344c)の下面の延長線付近となる位置に前記連結棒(700)の他端を固着した第2のピン(502a)を備え、
さらに、前記指を掛ける領域は、前記第2のピン(502a)から前記ガンレバー(502)の他端までの範囲であり、
前記平板(344c)は、
前記第2のピン(502a)に対向し、前記連結棒(700)が水平となる位置に第3のピン(344(ca))を設けて、前記連結棒(700)の一端を固着していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
従って、片手でも容易に車両に搭載されたプロパンガスボンベにガスをスムーズに供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)を示した斜視図である。
図2図1に示したプラグを断面して示した縦断面図である。
図3図1に示した充填器(充填ノズル)のソケット部を示した斜視図である。
図4図3に示したソケット部の中間筒体(ソケット用筒体)を示した縦断面図である。
図5図3に示したソケット部の内側筒体(ノズル収納用筒体)を示した縦断面図である。
図6図3に示したソケット部の外側筒体(摺動用筒体)を示した縦断面図である。
図7】実施の形態1の手動型の充填器のソケット部を組立て順に分解して示した分解斜視図である。
図8】実施の形態1の手動型の充填器のソケット部を組立てた状態を示した縦断面図である。
図9】実施の形態1の手動型の充填器の組立て順を説明するための斜視図である。
図10】実施の形態1の手動型の充填器を組み立てた後の状態を示した斜視図である。
図11】実施の形態1の手動型の充填器の初期状態を説明するための説明図である。
図12】実施の形態1の手動型の充填器の第1動作を説明するための説明図である。
図13】実施の形態1の手動型の充填器の第2動作を説明するための説明図である。
図14】実施の形態1の手動型の充填器の第3動作を説明するための説明図である。
図15】実施の形態1における変形例のソケット部を示した縦断面図である。
図16】本発明に係る実施の形態2の充填器(充填ノズル)の全体構成を示した斜視図である。
図17】実施の形態2の手動型の充填器の初期状態を説明するための説明図である。
図18】実施の形態2の手動型の充填器の第1動作を説明するための説明図である。
図19】実施の形態2の手動型の充填器の第2動作を説明するための説明図である。
図20】実施の形態2の手動型の充填器の第3動作を説明するための説明図である。
図21】実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)の斜視図である。
図22】実施の形態3の手動型の充填器をプラグに嵌め込んだ状態を示した断面図である。
図23】実施の形態3の手動型の充填器において、ガンレバーの動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る手動型の充填器について、以下に実施の形態を説明する。
【0013】
[実施の形態1]
実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズルともいう)は、ガス(LPG)又は液体の充填に用いることができるが、実施の形態1ではガスを充填する充填ノズルとして説明する。
【0014】
図1は本発明に係る実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)を示した斜視図である。
【0015】
図1に示す如く、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16は、ガスボンベBの横に固定して取り付けられた雄型のプラグ10に接続して用いる。
【0016】
上記した実施の形態1の充填ノズル16は、雄型のプラグ10に挿着するための雌型のソケット部(チャック部ともいう)20と、取付部40と、握り部50と、ノブ付きスイッチ57と、ガンレバー60と、連結棒62と、エアシリンダ部70等から構成されている。
【0017】
尚、取付部40の後端には、ガスホース42が接続される。また、握り部50の底部にはエアホース56が接続される。前述のソケット部20と、取付部40と、握り部50と、ガンレバー60と、連結棒62と、エアシリンダ部70は、真鋳又はアルミで形成されるのが好ましい。
【0018】
<プラグ10について>
前述した雄型のプラグ10について、図1及び図2を用いて説明する。図2はプラグ10の縦断面図である。但し、図2の縦断面図はガスボンベBに取り付けた状態で示す。
【0019】
雄型のプラグ10は、図1及び図2に示すように、プラグ本体11が円環状に形成されており、先端部11a側が充填ノズル16のソケット部(チャック部)20に対する挿脱側とされ、一方、後端部11b側がボンベBに固定される側となっている。
【0020】
また、プラグ本体11は、外周部11cに鍔部11c1,11c2が形成されており、鍔部11c1はガスボンベB側に形成され、鍔部11c2は充填ノズル16のソケット部20側に形成されている。また、プラグ本体11の後端部11b側に形成した鍔部11c1は、先端部11a側に形成した鍔部11c2よりも大径になっている。
【0021】
そして、雄型のプラグ10は、図2に示すようにプラグ本体11をガスボンベBに取り付けたプラグ支持部材PSにネジ嵌合させて固定されている。
【0022】
さらに、プラグ本体11の先端部11a側の鍔部11c2の直ぐ後ろは、テーパを付けたテーパ付き凹溝(第1の凹溝ともいう)11c3が周設されている。また、プラグ本体11の先端部11aと、テーパ付き凹溝11c3の中心部との間の距離はL1になるようにされている。このL1を嵌合領域又は嵌合部分と称する。
【0023】
また、プラグ10の外径(11c2を含む)の寸法をHaと称する。そして、テーパ付き凹溝11c3は、鍔部11c2よりも凹んでいるので後述する充填ノズル16のソケット部(チャック部)20をロックすることが可能となっている。
【0024】
また、図2に示すように、プラグ本体11の内部には、ストップバルブであるプラグ側ノズル(第1のノズルともいう)12が第1の軸受支持部材13に支持されたプラグ側ノズル軸受14に嵌合しながら第1の圧縮バネ15の付勢力により開閉自在に収納されている。
【0025】
上述したプラグ側ノズル12Pは、先端側のテーパ状先端鍔部12aと、テーパ状先端鍔部12aの後方に連接してこのテーパ状先端鍔部12aよりも小径に形成された中間軸部12bと、中間軸部12bの後方に連接してこの中間軸部12bよりも小径に形成された後端軸部12cとが同心で一体形成されている。
【0026】
さらに、プラグ本体11の先端部11a側の内壁は、図2に示すように先端に向かって内径が狭まるように円錐状に傾斜したテーパ孔状に形成されているので、このテーパ孔11dにプラグ側ノズル12Pのテーパ状先端鍔部12aが接離することでプラグ側ノズル12Pが開閉自在になっている。
【0027】
また、第1の軸受支持部材13は、中央のプラグ側ノズル軸受14の外周に沿って放射状に設けた複数のスポークにより複数の貫通孔が形成され、これら複数の貫通孔によりガスを通すことができるようになっている。
【0028】
そして、プラグ側ノズル12Pの後端軸部12cがプラグ側ノズル軸受14に嵌合して軸支されているので、プラグ側ノズル12Pがプラグ側ノズル軸受14の軸方向に摺動可能になっている。
【0029】
<充填ノズル16のソケット部20について>
図3は実施の形態1における充填器(充填ノズル)16のソケット部20を示した斜視図である。また、図4はソケット部20の中間筒体(ソケット用筒体)21を示した縦断面図である。また、図5はソケット部20の内側筒体(ノズル収納用筒体)25を示した縦断面図である。また、図6はソケット部20の外側筒体(摺動用筒体)34を示した縦断面図である。また、図7は充填ノズル16のソケット部20を組立て順に分解して示した分解斜視図である。また、図8は充填ノズル16のソケット部20を組立てた状態を示した縦断面図である。
【0030】
図3に示すように、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16のソケット部20は、円環状の中間筒体(ソケット用筒体ともいう)21と、中間筒体21の内部に収納される内側筒体(ノズル収納用筒体ともいう)25と、中間筒体21の外周部に沿って摺動する外側筒体(摺動用筒体ともいう)34とを備えており、中間筒体21,内側筒体25,外側筒体34とで筒摺動部が構成されている。
【0031】
そして、内側筒体25に中間筒体21を被せ、この中間筒体21に外側筒体34を被せている。
【0032】
以下、中間筒体21,内側筒体25,外側筒体34について順に説明する。
【0033】
{中間筒体(ソケット用筒体)21}
中間筒体(ソケット用筒体)21は、図4に示すように、段付き円環状に形成されており、先端部21a側がプラグ10に挿脱する側とされ、一方、後端部21b側が内側筒体25(図3)を挿脱する側となっている。
【0034】
また、中間筒体21は、先端部と後段部とで構成され、先端部21a側の先頭第1内周部21gの内径Haはプラグ10の外径Hpaと同程度にされている。また、中間筒体21の先端部21a側の先頭外周部21cの外径はHdにされている(ボール22の直径の1/3又は1/4程度の厚み分だけ径が大きい)。
【0035】
さらに、中間筒体21は、先端部から後段部に向って径が段階的に大きくされている。
【0036】
より詳細には、中間筒体21は、外径Hdの先頭外周部21cと、先頭外周部21cの外径Hdより大きな外径Heの中間外周部21dと、さらに中間外周部21dの外径Heより大きい外径Hfの後方外周部21eとから形成された3段構造になっている。
【0037】
また、中間筒体21の後方外周部21eの後ろ側には、さらに径が大きいストッパ用鍔部(凸部)21fを設けている。前述の中間外周部21dと後方外周部21eとを総称して後段部という。なお、本実施の形態ではストッパ用鍔部21f(凸部)を周設した鍔状にしているが、ストッパ用鍔部21f(凸部)は一定間隔又は間隔を異ならせて数個周設してもよい。
【0038】
つまり、中間筒体21の先頭外周部21cは、図4に示すように、プラグ10の嵌合領域の長さL1と、後述するバネ35(図7)の最小縮小範囲の長さとを加算した長さL11であり、最も外径が小さくなっている。
【0039】
そして、先頭外周部21cの長さL11をとった点21ddから外径がさらに大きい外径Heの中間外周部21dとなり、この中間外周部21dの長さが後述するS1程度の長さとなっている。また、中間外周部21dから更に径が大きい後方外周部21eを形成している。なお、中間外周部21dと後方外周部21eとは同じ外形寸法でもかまわないが、本実施の形態では外側筒体34(図3)に対して動きをよくするために中間外周部21dの外径を後方外周部21eよりも僅かに小さくしている。この後方外周部21eは最大の外径Hfになっている。
【0040】
さらに、中間筒体21の内側は、先頭第1内周部21gと、先頭第2内周部21hと、中間内周部21iと、後方内周部21jとから構成される4段構造になっている。
【0041】
つまり、図4に示すように、中間筒体21の先頭第1内周部21gの内径はプラグ10の外径Hpaと同じ外径Haにされて、先頭第2内周部21hの端点21ccからさらに大きな内径Hgの中間内周部21iとなっている{後述するバネ32(図7)の外径よりも少し大きい程度}。
【0042】
さらに、後ろの後方内周部21jは中間内周部21iの内径Hgよりさらに大きな内径Hiとなっている。この内径Hiが大きくなりだす箇所を本実施の形態では点21jjと称する。
【0043】
そして、この点21jjと、ストッパ用鍔部21f(凸部)までの点21ffとの間の距離(長さ)は、チャック部の楕円孔21cgの長軸程度の長さS1a程度より少し長めにしている(同じでもかまわないが余裕をとっている)。本実施の形態ではこの部分の長さをS1と称する。
【0044】
また、中間筒体21の先頭外周部21cと先頭第1内周部21gとの間には、楕円形状の楕円孔21cg(長軸の長さをS1aと称する)が貫通して周方向に複数周設されている。そして、各楕円孔21cg内に各ボール22が遊嵌されており、且つ、各楕円孔21cgの内面に沿って傾斜を付けることで、各ボール22の一部分のみが先頭外周部21c及び先頭第1内周部21gに対して落下することなく突出できるようになっている。このボール22と楕円孔21cgとを総称してチャック部ともいう。
【0045】
更に、中間筒体21の先頭第2内周部21h内にOリング23が嵌め込まれている。
【0046】
{内側筒体(ノズル収納用筒体)25}
内側筒体(ノズル収納用筒体)25は、図5に示すように、内部にソケット側ノズル(第2のノズル;凸軸付ストップバルブともいう)26を収納して、外径が段付き円環状に形成されている。前述のソケット側ノズル(凸軸付ストップバルブ)26は、プラグ側となる方向に所定長さの先端軸部(凸軸ともいう)26aを有してテーパ状中間鍔部(バルブ座ともいう)26bと一体にされている。
【0047】
具体的には、ソケット側ノズル(凸軸付ストップバルブ)26は、先端軸部(凸軸)26aと、先端軸部26aの後方に連接してこの先端軸部26aよりも大径に形成されたテーパ状中間鍔部(バルブ座)26bと、テーパ状中間鍔部26bの後方に連接してこのテーパ状中間鍔部26bよりも小径に形成された中間軸部26cと、中間軸部26cの後方に連接してこの中間軸部26cよりも小径に形成された後端軸部26dとが同心で一体形成されている。
【0048】
さらに、内側筒体25の内壁は、先端に向かって内径が狭まるように円錐状に傾斜したテーパ孔状に形成されているので、このテーパ孔25fにソケット側ノズル26のテーパ状中間鍔部26bが接離することでソケット側ノズル26が開閉自在になっている。
【0049】
また、ソケット側ノズル26が閉じているときに、この先端軸部26aは、内側筒体25の先端部の中心に形成したテーパ孔25fを通って内側筒体25の先端部25aよりも長さN1だけ前方に突出している。
【0050】
また、第2の軸受支持部材27は、中央のソケット側ノズル軸受28の外周に沿って放射状に設けた複数のスポークにより複数の貫通孔が形成され、これら複数の貫通孔によりガスを通すことができるようになっている。
【0051】
そして、ソケット側ノズル26の後端軸部26dがソケット側ノズル軸受28に嵌合して軸支されているので、ソケット側ノズル26がソケット側ノズル軸受28の軸方向に摺動可能になっている。
【0052】
また、ソケット側ノズル26の後端軸部26dよりも後方で内側筒体25の内部には、Oリング30とシール部材31とが嵌め込まれている。
【0053】
また、内側筒体25の後方部位を先端部よりも大径に突出させた後方外周部(凸部)25eの内壁には、取付部40(図1図7図8)の角型筒体41(図7図8)の先端部41aに形成した雄ネジ41a1が締結するための雌ネジ25gが形成されている。
【0054】
そして、内側筒体25の先端部25a側が中間筒体21(図4)内に挿入する側とされ、内側筒体25の後端部25b側が取付部40(図1図7図8)に着脱可能に取り付けられる側となっている。
【0055】
また、内側筒体25の外周側は、長さが短い先頭外周部25cと、中間外周部25dと、後方外周部(凸部)25eとから構成される3段構造になっている。
【0056】
具体的には、内側筒体25の先頭外周部25cは最も外径が小さく、その外径は後述するバネ32(図7)を嵌め込むために中間筒体21の先端部の内径Haと略等しくなっている。
【0057】
また、内側筒体25の中間外周部25dは次に径が大きく、その外径は中間筒体21の中間内周部21iの内径Hgとなっている。さらに、内側筒体25の後方外周部25eは最大の外径であり、その外径は中間筒体21の後方内周部21jの内径Hiになっている。
【0058】
より具体的には、前述の先頭外周部25cの長さはバルブ座26bの長さの2/3程度にされている。そして、図5に示すように、端点25ccから外径がわずかに大きくなっている{バネ32(図7)の径より少し大きい程度}。そしてさらに端点25ddで外径を大きくして後端にいたるようにしている。
【0059】
{外側筒体(摺動用筒体)34}
図6に示すように、外側筒体(外側筒体)34の内側は、先頭内周部34fと、中間内周部34gと、後方内周部34hとから構成される3段構造になっている。
【0060】
また、外側筒体34の先頭内周部34fは最も内径が小さく、その内径は中間筒体21の先頭外周部21cの外径Hdにされている。また、外側筒体34の中間内周部34gは次に径が大きく、中間筒体21の中間外周部21dの外径Heとなっている。
【0061】
また、外側筒体34の後方内周部34hは最大の内径になっている。この内径は、中間筒体21の最大の外径Hfとなっている。
【0062】
さらに、外側筒体34の先頭内周部34fにはテーパ付き凹溝(第2の凹溝ともいう)34f1が前後にテーパを付けて中央を先頭内周部34fの径よりも少し大きくして周設されており、このテーパ付き凹溝34f1内に中間筒体21の先頭側に形成した複数の楕円孔21cg内をそれぞれ遊嵌している各ボール22(図4)が進入可能になっている。
【0063】
具体的には、前述のテーパ付き凹溝34f1の後ろの盛り上がり34gaを経て点34ggから内径がさらに大きくなって中間筒体21の中間外周部21dの外径Heと同径の内径を形成し、この後、点34hhから内径がさらに大きくなって中間筒体21の最大の外径Hfと同径の内径を形成している。
【0064】
また、この外側筒体34の外周部34cは外径がHoに形成されており、この外周部34cの後方に鍔部34dが突出形成されている。
【0065】
更に、外側筒体34の鍔部34dは、図7に示すように、略菱形状の左右に後述する左右一対のピストン74,74(図9)を取り付けるための左右一対の丸孔34d1,34d1が形成され、且つ、連結片34eには後述するガンレバー60(図9)を引く際の引き棒の機能を備えた連結棒62(図9)を連結するための丸孔34e1が形成されている。
【0066】
そして、これらの筒体を図7に示すように組み立てる。図7に示すように、取付部40の角型筒体41の先端部41aにシール部材31を挿入して、さらにOリング(ゴム)30を挿入して、これらを内部にソケット側ノズル(第2のノズル;凸軸付ストップバルブともいう)26を収納した内側筒体25で被せる。
【0067】
また、内側筒体25の先頭外周部25cに第3の圧縮バネ32を被せて、この内側筒体25を中間筒体21の内部に収納する。
【0068】
次に、中間筒体21の先端部に第4の圧縮バネ35をかぶせて、この中間筒体21を外側筒体34の内部に収納する。
【0069】
従って、図8(a),(b)の断面図に示すように、外側筒体34の中間内周部34gと中間筒体21の先頭部分の先頭外周部21cとの間には、第4の圧縮バネ35が収納された空間領域Kaが形成されることになる。
【0070】
この空間領域Kaは、中間筒体21の先頭外周部21cが厚みを増す点21ddと、外側筒体34のテーパ付き凹溝34f1の後ろの内径が大きくなる点34ggとの間に形成された空間領域であり、その長さは、テーパ付き凹溝34f1の長さS1aと、バネが最小に縮小したときの厚みの長さより少し長めにされた長さLmとなっている。
【0071】
さらに、内側筒体25の中間外周部25dと中間筒体21の後方内周部21jとの間にも空間領域Kcが形成されている。
この空間領域Kcは、中間筒体21の後方内周部21jの内径Hiとなる端点21jjと、内側筒体25の中間外周部25dの端点25ddとの間となっており、長さがチャック部の楕円孔21cgの長軸程度の長さS1a程度より少し長めにされている(この長さを本実施の形態ではS2又は第2ストロークと称する)。
【0072】
さらに、内側筒体25の先頭外周部25cから径が大きくなっている端点25ccと中間筒体21の中間内周部21iの端点21ccとには、第3の圧縮バネ32が収納される空間領域Kbが形成されることになる。
【0073】
この空間領域Kbは、凸軸付ストップバルブ26の先端軸部26aの長さN1と、第3の圧縮バネ32の最小収縮時のバネ長さ程度とを合計した長さLgとなっている。
【0074】
さらに、外側筒体34の鍔部34dと、中間筒体21のストッパ用鍔部21fとの間隔はチャック部の楕円孔21cgの長軸程度の長さS1a程度より少し長めにしている(同じでもかまわないが余裕をとっている)。本実施の形態ではこの部分の長さをS1又は第1ストロークと称する。
【0075】
なお、第3の圧縮バネ32と第4の圧縮バネ35のバネ乗数は相違している。第3の圧縮バネ32が強く、第4の圧縮バネ35は第3の圧縮バネ32よりも弱い。
【0076】
更に、図8に示す如く、内側筒体25内でソケット側ノズル26が閉じ状態であるときに、中間筒体21の先頭側に形成した複数の楕円孔21cgの軸方向の略中心(ボール22の略中心)と、内側筒体25の先端部25aよりも前方に突出しているソケット側ノズル26の先端軸部26aの先端との間の距離L2は、先に図2を用いて説明したプラグ本体11の先端部11aと、テーパ付き凹溝11c3の中心部との間の距離L1よりも僅かに大きく設定されている。
【0077】
<充填ノズル16(充填器ともいう)の組立てについて>
図9は充填器(充填ノズル)16の組立て順を説明するための斜視図である。また、図10は充填ノズル16を組み立てた後の状態を示した斜視図である。
【0078】
図9に示す如く、充填器(充填ノズル)16の取付部40は角型筒体41を有しており、この角型筒体41の先端部41aにソケット部20が着脱自在に接続されていると共に、角型筒体41の後端部41bにガスホース42が接続されている。
【0079】
上記した角型筒体41は、長尺に形成されており、角形状の外周部41cの先端側の左右両脇に一対の突出片41d,41dが突出形成されている。これら一対の突出片41d,41dには、後述する左右一対のエアシリンダ73,73を支持するための左右一対の丸孔41d1,41d1が貫通して形成されている。
【0080】
また、角型筒体41の内部には、ガスホース42から送られたガスをソケット部20側に送るためのガス流通路41eが貫通して形成されている。
【0081】
次に、握り部50は、略逆L字状の把持体51を有している。この把持体51は、上固定部51aの左右に複数の突出片51a1が突出形成されており、各突出片51a1に形成した丸孔内にネジ52を通して、上固定部51aを角型筒体41の外周部41cの底面41c1にネジ52で締結している。
【0082】
また、把持体51の上固定部51aに連接して把持部51bが下方に向って延出されている。
【0083】
また、把持体51は、上固定部51aと把持部51bとの間の内部に略L字状のエア流通路(図示せず)が貫通して形成されていると共に、把持部51bの下端にエア入口51b1が形成され、且つ、上固定部51aの先端にエア出口51a2が形成されている。
【0084】
また、把持部51bの下端に形成したエア入口51b1内にOリング53及びプラグ54が順に取り付けられ、このプラグ54にチャック55の一端が着脱自在に取り付けられていると共に、チャック55の他端にエアを供給するエアホース56が接続されている。
【0085】
また、把持体51は、上固定部51aの下面と把持部51bの左側面とに連接し、且つ、上固定部51aの先端よりも一段後方に引っ込んだ部位に段部51cが前方に向って略垂直に形成されている。そして、把持体51の段部51cにエアホース56から送られるエアの供給を起動させるためのノブ付きスイッチ57が取り付けられている。
【0086】
次に、ガンレバー60は、この上端部位60aを把持体51の上固定部51aの中間部位にピン61を介して回動可能に取り付けられており、このガンレバー60は前述したノブ付きスイッチ57に対して接離自在になっている。
【0087】
また、ガンレバー60は、この中間部位に形成した角孔60b内に連結棒(引き棒)62の一端がピン63を介して連結されており、且つ、連結棒62の他端は前述した外側筒体34の鍔部34dの最下部の頂点に形成した連結片34eにピン64を介して連結されている。
【0088】
そして、ユーザが把持体51の把持部51bを把持しながら、ガンレバー60の下端部位60cを引くことにより、ガンレバー60の上端部位60a側でノブ付きスイッチ57を押すことが可能になっている。
【0089】
また、ガンレバー60の可動範囲は、前述した外側筒体34の第1ストロークS1(図8)と、内側筒体25の第2ストロークS2(図8)とを加算したストローク分よりも少し大きく設定されている。そして、後述するように、ガンレバー60は、第1ストロークS1による1段階目の操作と、第2ストロークS2による2段階目の操作とで2段階操作が可能になっている。
【0090】
次に、エアシリンダ部70は、前述の把持体51の上固定部51aに形成したエア出口51a2に二股パイプ71の一端が接続されており、この二股パイプ71の一端と反対側の他端は二股に分かれて各他端に計2本のL字状パイプ72,72の各一端が接続されている。
【0091】
また、計2本のL字状パイプ72,72の各他端は、左右一対のエアシリンダ73,73の各前方側エア室に接続されている。
【0092】
また、左右一対のエアシリンダ73,73の各後方側は、前述の角型筒体41の一対の突出片41d,41dに形成した左右一対の丸孔41d,41d内に嵌合して支持されている。
【0093】
また、左右一対のエアシリンダ73,73内には、左右一対のピストン74,74が進退自在に嵌合している。
【0094】
更に、左右一対のピストン74,74の各先端部位は、左右一対のエアシリンダ73,73の各前方に突出して、前述の外側筒体34の鍔部34dに形成した左右一対の丸孔34d1,34d1内に嵌め込まれて、前後をナット75により締結されている。
【0095】
そして、図10に示す如く、取付部40に、ソケット部20と、握り部50と、ガンレバー60と、連結棒62と、エアシリンダ部70とを取り付けると、実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)16の組立が完了する。
【0096】
<動作説明>
上記のように構成された実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)16について、以下に動作を説明する。
【0097】
(初期状態)
図11は実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)16の初期状態を説明するための説明図である。
【0098】
図11(a),(b)に示す如く、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16が初期状態に至っているときには、ガンレバー60がノブ付きスイッチ57に当接することなく解放されている状態であり、充填ノズル16はガスボンベBに取り付けたプラグ10に差し込んでいない状態である。
【0099】
この初期状態においては、プラグ10は図2に示した状態であり、プラグ本体11内のプラグ側ノズル12Pが第1の圧縮バネ15の付勢力によって閉じ状態となっている。
【0100】
一方、初期状態において、充填ノズル16は図8に示した状態であり、充填ノズル16のソケット部20を構成する中間筒体21内に収納した内側筒体25内のソケット側ノズル(凸軸付ストップバルブ)26も第2の圧縮バネ29の付勢力によって閉じ状態となっている。つまり、ソケット側ノズル(凸軸付ストップバルブ)26の先端軸部(凸軸)26aは内側筒体25の先端部25aよりも長さN1だけ前方に突出している。
【0101】
また、中間筒体21の外周部を摺動する外側筒体34は、第4の圧縮バネ35の付勢力により前方に移動して、この外側筒体34の前端部34aが中間筒体21の先端部21aよりも突出している。つまり、外側筒体34の後端部34bと中間筒体21のストッパ用鍔部21fとの間は、長さS1にされている。
【0102】
そして、中間筒体21の先頭側に形成した複数の楕円孔21cg内を遊遊している各ボール22は、外側筒体34の先頭内周部34fに形成したテーパ付き凹溝34f1内に進入している。
【0103】
また、内側筒体25は、第4の圧縮バネ35よりも付勢力が大きい第3の圧縮バネ32の付勢力により中間筒体21の中間内周部21i及び後方内周部21j内を後方に向って移動している。
【0104】
(第1動作)
図12は実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)16の第1動作を説明するための説明図である。
【0105】
図12(a),(b)に示す如く、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16の第1動作は、ユーザが片手で充填ノズル16の握り部50の把持体51を把持しながら充填ノズル16のソケット部20内にプラグ10を挿入したチャック状態になっている。
【0106】
このときの状態は、充填ノズル16のソケット部20内にプラグ10に挿入したときに、プラグ10及び充填ノズル16それぞれは、先に図11(a),(b)示した初期状態と同じ状態を保っている。
【0107】
また、このとき、前述したように、中間筒体21の先頭側に形成した複数の楕円孔21cgの軸方向の略中心(ボール22の略中心)と、ソケット側ノズル26の先端軸部26aの先端との間の距離L2は、プラグ本体11の先端部11aと、テーパ付き凹溝11c3の中心部との間の距離L1よりも僅かに大きいので、ソケット側ノズル26の先端軸部26aはプラグ側ノズル12Pのテーパ状先端鍔部12aに当接していないので、両ノズル12,26は閉じたままである。
【0108】
(第2動作)
図13は実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)16の第2動作を説明するための説明図である。
【0109】
図13(a),(b)に示す如く、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16の第2動作は、ユーザが片手で充填ノズル16の握り部50の把持体51を把持しながらガンレバー60を第1ストロークS1分だけ引いてガンレバー60の1段階目の操作を行った状態である。
【0110】
このガンレバー60は1段階目のストローク分であるS1により後方側に移動して、把持体51の段部51cに取り付けたノブ付きスイッチ57に当接する。
【0111】
また、外側筒体34の鍔部34dとガンレバー60との間に連結した連結棒62も、ガンレバー60の1段階目のストローク分であるS1により後方側に移動する。このため、外側筒体34が第4の圧縮バネ35の付勢力に抗して中間筒体21の外周部に沿いながらストッパ用鍔部21fに向かって摺動して、外側筒体34の後端部34bが中間筒体21のストッパ用鍔部21fに当接する。従って、外側筒体34はこれ以上後方側への移動が規制される。
【0112】
また、連結棒62と一緒に外側筒体34が中間筒体21の後方側に摺動すると、中間筒体21の先頭側に形成した複数の楕円孔21cg内に遊嵌している複数のボール22が、外側筒体34の先頭内周部34fに形成したテーパ付き凹溝34f1内から外れてこの先頭内周部34fの先頭側に当接して、複数のボール22をプラグ本体11のテーパ付き凹溝11c3内に押圧することになる。このため、複数のボール22はプラグ本体11のテーパ付き凹溝11c3内で動けなくなるので、充填ノズル16をプラグ10に確実にロックできる。
【0113】
このとき、中間筒体21に収納された内側筒体25は第3の圧縮バネ32によって中間筒体21内の後方側に移動したままの状態を保持しているので、プラグ本体11内に収納したプラグ側ノズル12P及び中間筒体21内に収納したソケット側ノズル26は共に閉じられたままである。
【0114】
一方、充填ノズル16をプラグ10にロックした後に、ユーザがガンレバー60を初期状態に戻せば、連結棒62を介して外側筒体34を初期状態まで戻すことができる。
【0115】
(第3動作)
図14は実施の形態1の手動型の充填器(充填ノズル)16の第3動作を説明するための説明図である。
【0116】
図14(a),(b)に示す如く、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16の第3動作は、プラグ10に充填ノズル16をロックした後に、ガンレバー60を更に第2ストロークS2分だけ引いてガンレバー60の2段階目の操作により連結棒62及びエアシリンダ部70を介して内側筒体25を第2ストロークS2分だけ前方に移動して第1,第2のノズル12,26を開く状態を示している。
【0117】
具体的には、ユーザは充填ノズル16の把持体51を片手で把持しながらガンレバー60に対して2段階目の操作を行うと、ガンレバー60は1段階目の操作後の2段階目のストローク分であるS2だけ後方側に移動して、ガンレバー60で把持体51に取り付けたノブ付きスイッチ57を押し込む。
【0118】
そして、ガンレバー60の2段階目の操作によりノブ付きスイッチ57が押し込まれると、把持体51内に設けた不図示のエアバルブが開き、不図示のポンプから送られたエアを、エアホース56から把持体51内を経てエアシリンダ73の各前方側エア室内に押し込むようにピストン74を作動させる。
【0119】
このとき、連結棒62及びピストン74を連結した外側筒体34は、この鍔部34dが中間筒体21のストッパ用鍔部21fに当接しているために、外側筒体34は中間筒体21の後方側に移動できない。
【0120】
一方、エアシリンダ部70からのエア圧により外側筒体34の鍔部34dに対してこの外側筒体34を中間筒体21の後方側に摺動させる方向の力が印加されるが、鍔部34dに印加されるエア圧による力は連結棒62の長さを維持しようとする反力となり、この反力は外側筒体34の鍔部34dに連結した連結棒62からガンレバー60を経て把持体51に伝わる。
【0121】
更に、把持体51に伝わった反力は、把持体51と一体な角型筒体41を経て内側筒体25に伝わるので、内側筒体25は連結棒62の長さを維持しようと第3の圧縮バネ32に抗して中間筒体21の中間内周部21i内の前方側に第2ストロークS2分だけ移動する。
【0122】
そして、内側筒体25が中間筒体21内の前方側に移動すると、内側筒体25内に収納されたソケット側ノズル26の先端軸部26aでプラグ本体11内に収納されたプラグ側ノズル12Pのテーパ状先端鍔部12aを押しながらソケット側ノズル26の中間軸部26cの後端が第2の圧縮バネ29の付勢力に抗してソケット側ノズル軸受28に当接することにより、ソケット側ノズル26のテーパ状中間鍔部26bと内側筒体25のテーパ孔25fとの間にガスを通す隙間が生じる。
【0123】
このときに、ソケット側ノズル26の先端軸部26aが内側筒体25の先端部25aよりも突出する長さは、先に図11を用いて説明した初期状態時の長さN1よも短くなる。
【0124】
また、これと略同時に、ソケット側ノズル26により押されたプラグ側ノズル12Pの中間軸部12bの後端が第1の圧縮バネ15の付勢力に抗してプラグ側ノズル軸受14に当接することにより、プラグ側ノズル12Pのテーパ状先端鍔部12aとプラグ本体11のテーパ孔11dとの間に充填ノズル16から送られたガスを通す隙間が生じる。
【0125】
これにより、プラグ10に充填ノズル16を確実にロックした後に、ガンレバー60の2段階目の操作によりプラグ側ノズル12P及びソケット側ノズル26が共に開くために、プラグ10に充填ノズル16を係止させるまでの間ではガスの漏れがなく、且つ、プラグ10に充填ノズル16を係止させた後にガスを充填ノズル16からプラグ10に確実に通すことができる。
【0126】
更に、内側筒体25を中間筒体21内の前方側に移動させる駆動源として、エアシリンダ部70によるエア圧を用い、このエア圧による力を外側筒体34に印加することで、内側筒体25を中間筒体21内の前方側に確実に移動させることができる。
【0127】
尚、エアシリンダ部70に代えて不図示の油圧シリンダ部を取り付けて油圧により内側筒体25を中間筒体21内の前方側に移動させても良い。
【0128】
従って、片手操作によりプラグ10に信頼性良く連結できる実施の形態1の充填器(充填ノズル)16を提供できる。
【0129】
<実施の形態1における変形例のソケット部20’について>
図15は実施の形態1における変形例のソケット部20’を示した縦断面図である。
【0130】
図15に示した実施の形態1における変形例のソケット部20’は、先に図3,図8を用いて説明した実施の形態1におけるソケット部20の構成と一部を除いて同様の構成であり、ここでは説明の便宜上、先に示した構成部材に対しては同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、先に示したソケット部20に対して異なる構成部材に新たな符号を付して異なる点を中心にして説明する。
【0131】
この実施の形態1における変形例では、先に説明した実施の形態1の充填器(充填ノズル)16(図1)に対してソケット部(先頭部品)20’を交換可能に構成したものである。
【0132】
即ち、先に説明したソケット部20(図3,図8)では、中間筒体21の中間内周部21i及び後方内周部21j内に移動可能に設けた内側筒体25内に収納されたソケット側ノズル(第2のノズル)26や、中間筒体21内に嵌め込んだOリング23及び内側筒体25内に嵌め込んだOリング30などは、長期間使用していると耐久性が劣化する場合があり、この場合に充填ノズル16全体を交換すると高価になってしまうので、充填ノズル16のソケット部(先頭部品)だけを交換すれば安価となる。
【0133】
そこで、図15に示した実施の形態1における変形例のソケット部20’では、中間筒体21の中間内周部21i及び後方内周部21j内に移動可能に設けた内側筒体25が、第3の圧縮バネ32に押されて中間筒体21内の後方側から抜け出ないように抜け防止手段を施している。
【0134】
上記した抜け防止手段としては、中間筒体21の後端部21bの近傍の後方外周部21eに抜け防止用長孔21e1を内側筒体25の移動量に対して少し余裕を持った長さで貫通して形成し、この抜け防止用長孔21e1から内側筒体25の後方外周部25eに向けて抜け防止ピン36を内側筒体25内に突出しないように圧入している。
【0135】
従って、実施の形態1における変形例のソケット部20’は、中間筒体21と、中間筒体21に形成した複数の楕円孔21cg内にそれぞれ1個ずつ遊嵌された複数のボール22と、中間筒体21内を移動可能に設けられてソケット側ノズル(第2のノズル)23を収納した内側筒体25と、中間筒体21の中間外周部21dに沿って軸方向に摺動可能に設けられた外側筒体34とが実施の形態1と同じ構成であるが、内側筒体25が中間筒体21内から抜け出るのを防止する抜け防止手段として中間筒体21の抜け防止用長孔21d1及び抜け防止ピン36を追加している。
【0136】
上記したソケット部20’によれば、実施の形態1の充填ノズル16の先頭側に設けたいくつかの部材の耐久性が劣化した場合に安価にソケット部(先頭部品)だけを交換することができる。
【0137】
更に、変形例のソケット部20’を適用すれば、このソケット部20’を充填ノズル16の取付部40に取り付ける時に組み立て作業を向上させることができる。
【0138】
[実施の形態2]
図16は本発明に係る実施の形態2の充填器(充填ノズル)18の全体構成を示した斜視図である。
【0139】
図16に示した実施の形態2の充填器(充填ノズル)18は、先に説明した実施の形態1の充填器(充填ノズル)16の構成と一部を除いて同様の構成であり、ここでは説明の便宜上、先に示した構成部材に対して同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、実施の形態1とは異なる構成部材に新たな符号を付して説明する。
【0140】
図16に示す如く、本発明に係る実施の形態2の充填器(充填ノズル)18も、実施の形態1の充填器(充填ノズル)16(図1)と同様に、ガスボンベBの横に固定して取り付けられた雄型のプラグ10に接続して用いる。
【0141】
上記した実施の形態2の充填器(充填ノズル)18は、雄型のプラグ10に挿着するための雌型のソケット部(チャック部ともいう)20と、取付部40と、握り部50と、ガンレバー60と、連結棒62と等から構成されている点は、実施の形態1と同様である。
【0142】
しかしながら、実施の形態2の充填ノズル18では、実施の形態1におけるエア圧で内側筒体25を中間筒体21内の前方側に移動させるための駆動源となるエアシリンダ部70(図1)が設けられていなく、且つ、ノブ付きスイッチ(57)に代えてガンレバー60の操作に対してクリック感を付与するために進退自在なノブ58がガンレバー60と対向して把持体51の段部51cに取り付けられている点が実施の形態1に対して異なっているだけである。
【0143】
これにより、実施の形態2の充填ノズル18は、実施の形態1の充填ノズル16よりも簡素化を図ることができ、低価格化を図ることができる。
【0144】
<動作説明>
上記のように構成された実施の形態2の手動型の充填器(充填ノズル)18の動作について、実施の形態1と異なる点を中心にして、以下に簡略に説明する。
【0145】
尚、実施の形態2における図17図20において、実施の形態1における図11図14と同じ動作する部材は同一符番を付して説明を省略する。
【0146】
(初期状態)
図17は実施の形態2の手動型の充填器(充填ノズル)18の初期状態を説明するための説明図である。
【0147】
図17(a),(b)に示す如く、実施の形態2の充填器(充填ノズル)18が初期状態に至っているときには、ガンレバー60がノブ58に当接することなく解放されている状態であり、充填ノズル18はガスボンベBに取り付けたプラグ10に差し込んでいない状態である。
【0148】
そして、実施の形態2における充填ノズル18の初期状態時は、先に図11を用いて説明した実施の形態1における充填ノズル16の初期状態時と略同じ状態である。
【0149】
(第1動作)
図18は実施の形態2の手動型の充填器(充填ノズル)18の第1動作を説明するための説明図である。
【0150】
図18(a),(b)に示す如く、実施の形態2の充填器(充填ノズル)18の第1動作は、ユーザが片手で充填ノズル18の握り部50の把持体51を把持しながら充填ノズル18のソケット部20内にプラグ10を挿入した状態である。
【0151】
そして、実施の形態2における充填ノズル18の第1動作時は、先に図12を用いて説明した実施の形態1における充填ノズル16の第1動作と略同じ動作が行われる。
【0152】
(第2動作)
図19は実施の形態2の手動型の充填器(充填ノズル)18の第2動作を説明するための説明図である。
【0153】
図19(a),(b)に示す如く、実施の形態2の充填器(充填ノズル)18の第2動作は、ユーザが片手で充填ノズル18の握り部50の把持体51を把持しながらガンレバー60を第1ストロークS1分だけ引いてガンレバー60の1段階目の操作を行った状態である。
【0154】
そして、実施の形態2における充填ノズル18の第2動作時は、先に図13を用いて説明した実施の形態1における充填ノズル16の第2動作と略同じ動作が行われる。この第2動作により、プラグ10に充填ノズル18がロックされる。
【0155】
(第3動作)
図20は実施の形態2の手動型の充填器(充填ノズル)18の第3動作を説明するための説明図である。
【0156】
図20(a),(b)に示す如く、実施の形態2の充填器(充填ノズル)18の第3動作は、プラグ10に充填ノズル18をロックした後に、ガンレバー60を更に第2ストロークS2分だけ引いてガンレバー60の2段階目の操作により連結棒62のみを介して内側筒体25を第2ストロークS2分だけ前方に移動して第1,第2のノズル12,26を開く状態を示している。
【0157】
即ち、ユーザは充填ノズル18の把持体51を片手で把持しながらガンレバー60に対して2段階目の操作を行うと、ガンレバー60は1段階目の操作後の2段階目のストローク分S2だけ後方側に移動して、ガンレバー60で把持体51に取り付けたノブ58をクリック感を持って押し込む。
【0158】
そして、ガンレバー60の2段階目の操作を行ったときに、連結棒62を連結した外側筒体34は、この鍔部34dが中間筒体21のストッパ用鍔部21fに当接しているために、外側筒体34は中間筒体21の後方側に移動できない。
【0159】
一方、外側筒体34の鍔部34dには、連結棒62の長さを維持しようとする反力が加わり、この反力は外側筒体34の鍔部34dに連結した連結棒62の一端側からガンレバー60に連結した連結棒62の他端側に伝達されて、ガンレバー60を経て把持体51に伝わる。
【0160】
更に、把持体51に伝わった反力は、把持体51と一体な角型筒体41を経て内側筒体25に伝わるので、内側筒体25は連結棒62の長さを維持しようと第3の圧縮バネ32に抗して中間筒体21の中間内周部21i内の前方側に第2ストロークS2分だけ移動する。
【0161】
そして、内側筒体25が中間筒体21内の前方側に移動すると、内側筒体25内に収納されたソケット側ノズル26の先端軸部26aでプラグ本体11内に収納されたプラグ側ノズル12Pのテーパ状先端鍔部12aを押しながらソケット側ノズル26の中間軸部26cの後端が第2の圧縮バネ29の付勢力に抗してソケット側ノズル軸受28に当接することにより、ソケット側ノズル26のテーパ状中間鍔部26bと内側筒体25のテーパ孔25fとの間にガスを通す隙間が生じる。
【0162】
これと略同時に、ソケット側ノズル26により押されたプラグ側ノズル12Pの中間軸部12bの後端が第1の圧縮バネ15の付勢力に抗してプラグ側ノズル軸受14に当接することにより、プラグ側ノズル12Pのテーパ状先端鍔部12aとプラグ本体11のテーパ孔11dとの間にガスを通す隙間が生じる。
【0163】
即ち、実施の形態2の充填器18によれば、握り部50とガンレバー60とを持ちながらソケット部20の先端部をガスボンベBのプラグ10に嵌合して、ガンレバー60を引いていくと、外側筒体34が後方に第1の反発力で移動していって中間筒体21の先端部のチャック部のボール22を押すので、このため、ガスボンベBに取り付けたプラグ10と、充填器18のソケット部20とが嵌合される。
【0164】
そして、さらにガンレバー60を引いていくと、ソケット部20はプラグ10に嵌合されているので、第2の反発力(第2の反発力>第1の反発力)を与えながら内側筒体25が前方に移動してこの内側筒体25の先端部内の凸軸付ストップバルブ26がプラグ10のバルブ12を押しながら、開いていくので、ガスがボンベBに容易に供給される。
【0165】
従って、片手でも容易に車両に搭載されたプロパンガスボンベにガスを供給できる。また、ガスの供給状態となるときは第2の反発力を感じさせるので、作業員は注意しながら供給させることができる。
【0166】
また、プラグ10に充填ノズル18を確実にロックした後に、ガンレバー60の2段階目の操作によりプラグ側ノズル12P及びソケット側ノズル26が共に開くために、プラグ10に充填ノズル18を係止させるまでの間ではガスの漏れがなく、且つ、プラグ10に充填ノズル18を係止させた後にガスを充填ノズル18からプラグ10に確実に通すことができる。
【0167】
更に、内側筒体25を中間筒体21内の前方側に移動させる駆動源としては連結棒62のみであるので、実施の形態2の充填器(充填ノズル)18の構造が簡単である。
【0168】
[実施の形態3]
図21は実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)300の斜視図である。
【0169】
図21に示すように、実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)300は、先に図16を用いて説明した実施の形態2の手動型の充填器(充填ノズル)18の改良型であり、この実施の形態3ではガンレバー502の操作がスムーズに動作するように改良を施している。
【0170】
上記した実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)300では、内側筒体(ノズル収納用筒体)250に中間筒体(ソケット用筒体)210を被せ、この中間筒体210に外側筒体(摺動用筒体)340を被せている。
【0171】
そして、中間筒体210,内側筒体250,外側筒体340とで筒摺動部が構成されている。
【0172】
また、内側筒体250の後端部に握り部500の一部である取付部503を固着している。
【0173】
また、内側筒体250の内周には、雌ネジ253(図22)を形成して接続治具600を連結可能にしている。
【0174】
この接続治具600は、ガス挿通用のゴムホース605を連結するための筒管604と、この筒管604を連結するための筒管603と、この筒管603を連結するための筒管602等から構成されている。
【0175】
また、筒管602の先端側には接続ネジ部材606が設けられ、この接続ネジ部材606を回転させて内側筒体250の後端部に接続させている。また、接続治具600にはバルブ601が設けられ、このバルブ601を開閉してガスを注入する。
【0176】
また、外側筒体340には摺動補助ブラケット344が設けられている。この摺動補助ブラケット344は、外側筒体340の外周に設けられた鍔344aと鍔344bとを例えば5cm程度の間隔で周設し、さらにこれらの鍔344a,344b間の上方部位を連結板344abで連結していると共に、鍔344a,344b間の下方部位に帆方状の平板344cを鉛直方向に拡張させて接続している。
【0177】
また、外側筒体340は、摺動補助ブラケット344よりも後方に鍔部340dが外周部よりも大径に形成されている。
【0178】
そして、外側筒体340の外周部と、鍔部340dの左側面部位とに、摺動補助ブラケット344が溶接などにより一体的に固着されている。
【0179】
さらに、握り部500は、上部に内径が内側筒体250の後端部の外径にされた取付部503を備え、この内周が内側筒体250の後端部の外周囲に固着されている。
【0180】
また、握り部500にはガンレバー502を保持するための保持部材501が設けられている。この保持部材501には、ガンレバー502の上部を回動自在に固定するネジ付きピン部501aを備えている。
【0181】
さらに、外側筒体340に固着させた摺動補助ブラケット344のうちで鉛直方向に拡張させた平板344cと、ガンレバー502とは、連結棒700によって連結されている。この連結棒700は、平板344cの下端右方に設けられたネジ付きピン部344caによって一方が固着され、他方がガンレバー502に設けられたネジ付きピン部502aによって固着されている。
【0182】
この際、ガンレバー502を操作したときに連結棒700が外側筒体344と略平行に移動するように、連結棒700を鉛直方向に拡張させた平板344cの下方部位とガンレバー502の上端より少し下方部位との間で連結させることにより、ガンレバー502の操作がスムーズに動作できるように改良を施している。
【0183】
図22は実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)300の断面図である。図22においては、プラグ10に実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)300を嵌め込んだ状態を示している。
【0184】
すなわち、本実施の形態3の手動型の充填器(充填ノズル)300は、図22の断面図に示すように筒摺動部が中間筒体210と内側筒体250と外側筒体340とによる多層構造であり、筒摺動部の各筒体が段階的に摺動するように構成されている。
【0185】
以下、中間筒体210,内側筒体250,外側筒体340について順に簡略に説明する。
【0186】
{中間筒体(ソケット用筒体)210}
中間筒体(ソケット用筒体)210は、図4と同様に、先端部と後段部とで構成され、先端部の内径はプラグ10の外径Haにされている。また、先端部の外径はHdにされている(ボール22の直径の1/3又は1/4程度の厚み分だけ径が大きい)。さらに、この先端部から直ぐに外径がHiにされて後段に至るようにされている。
【0187】
さらに、中間筒体210の後ろ側には、さらに径が大きいストッパ用鍔部(凸部)210fを設けている。
【0188】
{内側筒体(ノズル収納用筒体)250}
内側筒体(ノズル収納用筒体)250は、内部にソケット側ノズル(第2のノズル;凸軸付ストップバルブ)26を収納した状態で、実施の形態2における内側筒体25(図16)よりも長く形成されて、その後端部の内周に雌ネジ253が形成されている。
【0189】
また、内側筒体250の先端部250aの外径は前述した中間筒体210の先端側の内周の内径Haにされている。そして、内側筒体250は外径がHi(例えば5cm程度)にされて、さらに大きな外径の鍔(凸部)251を形成して、再びHiとなって後段に至る。
【0190】
{外側筒体(摺動用筒体)340}
外側筒体(摺動用筒体)340は、先頭の内径がHdにされ、チャック部分(S1a)を経過後はHfにされている。また、外側筒体340の後方に形成した鍔部340dと、中間筒体210の鍔210fとの間の距離は、S1程度になるようにしている。
【0191】
さらに、中間筒体210の鍔210fと内側筒体250の鍔251との距離はS2(Kc)にされている。そして、Kaにはバネ35、Kbにはバネ32を嵌め込んでいる。
【0192】
従って、図22に示すように、プラグ10に充填ノズル300をロックした後に、図23に示すように、ガンレバー502の1段階目の操作後(外側筒体340がS1移動)にさらにガンレバー502を引くと、2段階目のストローク分S2(Kc)だけ内側筒体250が前方側に移動する。
【0193】
このため、内側筒体250内に収納したソケット側ノズル(凸軸付ストップバルブ)26がプラグ10のプラグ側ノズル12Pを押し込む。
【0194】
これにより、ガスを充填ノズル300からプラグ10に確実に通すことができる。
【0195】
尚、実施の形態3の充填器(充填ノズル)300において、中間筒体210,内側筒体250,外側筒体340,接続治具600などは、真鍮又はアルミ材で形成するのが好ましい。
【0196】
尚更に、本発明に係る手動型の充填器(充填ノズル)では、実施の形態1,2,3に限定されることなく、プラグは気体又は液体を通す開閉可能な第1のノズルと、充填ノズル被係止手段とを有し、充填器(充填ノズル)は、気体又は液体を通す開閉可能な第2のノズルと、プラグ係止手段と、片手で把持できる把持体と、片手で2段階操作可能なガンレバーとを有した上で、ガンレバーの初期状態でプラグに充填器を連結した後に、ガンレバーの1段階目の操作により充填器のプラグ係止手段を作動して、このプラグ係止手段をプラグの充填ノズル被係止手段に係止させ、その後、ガンレバーの2段階目の操作で第1,第2のノズルを開くことができる構造であれば良いものである。
【符号の説明】
【0197】
10 プラグ、
11 プラグ本体
11c 外周部
11c3 第1の凹溝(テーパ付き凹溝)
12 第1のノズル(プラグ側ノズル)
12b 中間軸部
13 第1の軸受支持部材
15 第1の圧縮バネ、
20 ソケット部
21 中間筒体
21c 先頭外周部
21f ストッパ用鍔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23