【実施例】
【0015】
実施例に係るショーケースにつき、
図1から
図11を参照して説明する。以下、
図2の左側をオープンショーケース1(ショーケース)の正面側(前方側)、同様に右側を背面側(後方側)として説明する。
【0016】
図1、2に示されるように、オープンショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等の商品を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、又は冷凍した状態で陳列するために設置される冷凍・冷蔵ショーケースであり、正面側を開口した内箱3により囲まれた保冷室5には、商品を陳列する棚板6が上下方向に複数(4段)設置され、下部に設けられた底部3bにも商品(図示省略)を陳列可能になっており、商品を多数載置可能な構成となっている。
【0017】
オープンショーケース1は、前面(図の左方)が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方の、同じく前面が開放された略コ字形をなす内箱3とからなるケース本体を備え、その内部空間は保冷室5となっている。内箱3の内、複数段の棚板6の背面側に位置する背壁3aには、前後に延びるブラケット17の後端が取付けられており、ブラケット17の上に棚板6が配設されている。これら各棚板6と内箱3の底部3bとの上面に、商品(図示略)が陳列されるようになっている。
【0018】
外箱2と内箱3との間には、冷却通路7が形成され、この冷却通路7の底部通路7A及び背面通路7Bには、それぞれ送風機8と冷却装置9が設置されている。ケース本体の上部の前端には、冷却通路7の上部通路7Cと連通する冷気吹出口10が下向きに形成され、またケース本体の前端下部の上端には、上方に開口する冷気の吸込口11が形成されている。
【0019】
送風機8を作動させると、冷却装置9により冷却された冷気は、矢印のように、冷却通路7の背面通路7B内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の吸込口11に向かって吹き出される。これにより、ケース本体の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が保冷室5内に流入することにより、陳列商品が保冷される。
【0020】
オープンショーケース1には、冷気吹出口10よりも前方側に張り出したキャノピー13の下面に取付けられたLEDランプ14と、最上段の棚板6の上方に取付けられたLEDランプ15と、棚板6の前方下方のランプホルダ21に取り付けられ、左右方向に2本並べて配置された計8本のLEDランプ20(照明器具)とを備えている。
【0021】
LEDランプ20は、DC直接入力型かつ線状の形状であり、その一端に設けられたランプ端子(図示しない)にランプ側ソケット(図示しない)が接続されて電源が供給される構造となっている。LEDランプ側ライン22は、一端にランプ側ソケットが設けられ、他端にプラグ24が設けられている。また、LEDランプ側ライン22は、棚板6の下面に沿って配置され、棚板6の背壁3a近傍に設けられたフック23に引っ掛け下方に引き出され、他端に設けられたプラグ24が背壁3aに設けられた電源側ソケット30(コネクタ)に接続可能に構成されている。電源側ソケット30は導電端子51以外は電気絶縁性に優れる合成樹脂により形成されている。
【0022】
電源側ソケット30から延びる電源ライン50は背壁3aの背面側に配線され、下方に延び、ケース本体の外部下方に設けられた電源60に接続されている。電源60は、商用交流電源63にライン62で接続されており、AC/DCコンバータ61により交流を直流に変換して電源ライン50に供給するように構成されている。また、送風機8、冷却装置9、LEDランプ14、15の電源については周知のものと同様であるため、その説明を省略する。電源ライン50に直流が供給されるため、LEDランプ20側にAC/DCコンバータが不要で小型化が可能であり、保冷室5を広く確保できる。また、LEDランプ20に直流を供給するため、蛍光灯に供給する交流に比べて、供給する電力が少なく、電源ライン50を細くでき、また電源ライン20による発熱量も少ない。
【0023】
図3に示されるように、プラブ24はLED側ライン22から各々電気的に接続されたピン状の正端子24a、負端子24b、アース端子24cが略正三角形の配置で突出しており、これら正端子24a、負端子24b、アース端子24cの周りに円筒部24eが設けられている。
【0024】
電源側ソケット30は、背壁3aの開口(図示しない)に前方から挿入され、リブ35と係止爪32,32によりこの開口に固定されている(すなわち背壁3aを貫通して設けられている。)。プラグ24が接続されるコネクタ部33には、プラグ24の正端子24a、負端子24b、アース端子24cがそれぞれ挿入される、孔33a、33b、33cが設けられるとともに、プラグ24の円筒部24eが挿入される溝33eが筒状の円筒部33fとベース31との間に設けられている。ここで、ベース31と円筒部33fの底面の前後方向高さ(
図3における紙面に直交する方向の高さ)は略同一である。
【0025】
電源側コネクタ30にプラグ24を接続する際には、プラグ24の円筒部24eの内面のガイド突起24dを、コネクタ部33の円筒部33fのガイド溝33dに合わせた状態で、プラグ24の円筒部24dの先端がコネクタ部33の溝33eの底に当接するまで挿入することにより、正端子24a、負端子24b、アース端子24cが孔33a、33b、33cの背面側に設けられた、電源ソケット30側の端子51a、51b、51c(
図8、11:棚板6側に表出している)に圧入されて電気的に接続される。
【0026】
ベース31には、保護キャップ34が設けられており、電源側コネクタ30にプラグ24を接続しない状態において、保護キャップ34を溝33eに挿入保持することで、電源側コネクタ30への塵埃の浸入が防止される。また、保護キャップ34を使用しない状態では、保護キャップ34を溝33eの外周と同形状の凹部37(
図8)が形成された保護キャップ保持部36(
図5)に保持しておくこと(
図3)により、保護キャップ34の紛失を防止できる。
【0027】
図1、
図4に示されるように、4つの電源側ソケット30が棚板6に対応して背壁3aに上下方向に4箇所設けられている。電源ライン50は、直線状かつ上下方向(
図4において矢印で示される冷気の流れ方向)に延在され、各電源側ソケット30の電源側本体部40間に接続されている。電源側本体部40間の電源ライン50は冷却通路7の背面通路7Bに曝された状態で位置している、すなわち電源側本体部40及び電源ライン50は背面通路7B内に配置されている。
【0028】
最下方の電源側ソケット30には、電源60に接続され直流が供給される電源ライン50a1(正側電源ライン)、50b1(負側電源ライン)、50c1(アースライン)が接続されている。最下方と下から2番目の間の電源側ソケット30、30との間は、電源ライン50a2、50b2、50c2が渡り配線により接続されている。下から2番目と下から3番目の間の電源側ソケット30,30との間は、電源ライン50a3、50b3、50c3が渡り配線により接続されている。下から3番目と最上方の間の電源側ソケット30,30との間は、電源ライン50a3、50b3、50c3が渡り配線により接続されている。なお、最下方の電源側ソケット30から下方に接続される電源ライン50a1、50b1、50c1は、下方に延び、その後背壁3a下端付近で右側に折れ曲がり、ケース本体の側壁付近で再度下方に折れ曲がり、下側通路7Aと背面通路7Bとの境界付近を下方に延び、ケース本体外に引き出され、電源60に接続されている。
【0029】
このように、棚板6の配置位置に対応する背面通路7Bにおける領域(所定の領域)において、電源60から延びる電源ライン50が背面通路7Bの冷気の流れ方向と同方向である上下方向に延設されその本数が3本(所定本数)になっているため、各電源ライン50の合計の太さが背面通路7Bで区々に変化することがない。また、各電源ライン50が冷気の流れ方向に沿って設けられているため、電源ライン50による冷気流の乱れ現象を排除できる。また、電源60側において電源ライン50の合計の太くなることがなく、冷却通路内を占める電源ラインによる流体抵抗を抑制することができる。
【0030】
先ず導電端子51について
図11を参照して説明する。導電端子51は1枚の銅板を打ち抜いたものを曲げ加工により形成されている。プラグ24のピン24a、24b、24cが圧入されて電気接続される断面トンネル形状のピン接続部52と、導電端子51の組み込み時のガイドをする一対の突起53、53と、電源ライン50、50をかしめて電気接続するかしめ部54、54とから構成されている。
【0031】
ピン接続部52は、底部52Bと、底部52Bの両側から直交して立上りその後4分円弧が連なる左側面52L、右側面52Rにより断面トンネル形状に形成されている。一対の突起53L、53Rは、底部52Bから両側に直交して立上り、その高さはピン接続部52よりも高く形成されている。かしめ部54L、54Rは、電源ライン50、50をそれぞれかしめて接続するもので、その段面形状は、かしめ前は略U字形状をなし、かしめ後は略β字形状をなしている。
【0032】
次に電源側本体部40の具体的構成について説明する。
図5、9に示されるように、電源側本体部40は、ベース31から立設して延びる略提灯形状(平面視で、一対の対向するコ字状部の間を互いに離れる方向に向いた一対の円弧により接続された形状)の側壁部42、側壁部42の開放部を覆う蓋部41及び蓋部41と反対側かつ側壁部42の内側に設けられたコネクタ部33(
図3)によりその外郭が形成されている。
【0033】
図6から
図9を参照して、電源側本体部40の導電端子51が取り付けられる内部構造について説明する。側壁部42の背面側(蓋部41側)に、一対の略円弧状の部分から背面側に突出して設けられ蓋部41の裏面が当接する一対の略円弧状の凸部42Aと、一対の略円弧状の凸部42A間に設けられる一対の直線状の凸部42Bが設けられている。一対の直線状の凸部42Bには、電源ライン50を保持する断面半円形の取付溝42Ba、42Bb、42Bcが設けられ、これらの取付溝42Ba、42Bb、42Bcは電源側ソケット30を背壁3aに取り付けた状態で上下方向に延在している。
【0034】
円筒部33fの内側(蓋部41側)には、凹部43が設けられており、凹部43内には、正側導電端子51a、負側導電端子51b、アース導電端子51cを取り付ける端子取付部44a、44b、44cが形成されている。端子取付部44a、44b、44c、電源ライン50a、50b、50c、正側導電端子51a、負側導電端子51b、アース導電端子51c及びこれらの固定は、正側、負側、アースでほぼ同様の構成であるため、以降の説明では、アースに関するものについて説明し、必要に応じて正側及び負側のものについて説明する。
【0035】
端子取付部44cは、底面側の凹部44c1と蓋部41側の凹部44c2の2段の凹部から形成され、底面側の凹部44c1の底面には上述した孔33c(
図3、8)が設けられている。底面側の凹部44c1は、アース導電端子51cのピン接続部52c(
図11(b))の外郭に沿った断面トンネル形状(
図6)に形成されている。また、トンネル形状の底の面は、電源ライン50c、50cと略平行となる方向に形成されており、電源ライン50c、50cが接続されたアース導電端子51cを底面側の凹部44c1に挿入して取り付けることにより、電源ライン50c、50cを上下方向に配置することができかつ電源ライン50c、50cをアース導電端子51cの延在方向に膨出させなくできる。
【0036】
蓋部41側の凹部44c2は断面略正方形(
図6)でありかつ底面側の凹部44c1よりも大きな断面を有し、蓋部41側の凹部44c2から底面側の凹部44c1にかけて段部44c3が形成されている。アース導電端子51cを凹部44cに挿入する場合、アース導電端子51cのピン接続部52を底面側の凹部44c1を挿入するとピン接続部52が底面に当接して、深さ方向が位置決めされる。
【0037】
アース導電端子51cは一対のかしめ部54L、54Rに電源ライン50c、50cをそれぞれかしめて接続されている。電源ライン50c、50cは、かしめ部54L、54R(
図11(c))の先端において、互いに反対方向でかつアース導電端子51cの軸方向に直交する方向に延在して接続配置されている。すなわち、アース導電端子51cと電源ライン50c、50cにより、略T字形状となるように配置されている。したがって、電源ライン50c、50cが背面側、すなわち冷却通路7の背面通路7Bに膨出する高さを低くすることができる。
【0038】
図6に示される電源側本体部40に、アース導電端子51cに略直交して接続された電源ライン50c1、50c2を装着して
図7に示される状態にするには、上述したように、アース導電端子51cを端子取付部44cに挿入して取り付けるとともに、上方(
図6における上方)及び下方の電源ライン50c、50cを凸部42B、凸部42Bに設けられた取付溝42Bc,取付溝42Bcに取り付けることで位置決め保持される。なお、下方の電源ライン50c1は一対の絶縁壁45d、45eによっても位置決め保持されている。ここで、下方の電源ライン50a1、50b1については、絶縁壁45d、45eによって左右の片側のみが位置決めされている。
【0039】
図7に示される状態から、蓋部41を側壁部42に被せて固定することにより、
図8、9に示される固定状態となる。蓋部41には、凸部42Bの取付溝42Ba、42Bb、42Bcに対向して上下方向に延びる断面半円形の取付溝41Ba、41Bb、41Bcが設けられており、これらの取付溝により、電源ライン50a、50b、50cが挟持されて固定される。このように、電源側ソケット30の取付溝41Ba、41Bb、41Bc及び蓋部41の取付溝41Ba、41Bb、41Bcによって電源ライン50は上下方向に固定されるため、電源ライン50が冷却通路7に曝されても冷気の流れによって電源ライン50が揺れることにより冷気の流れを乱すことを抑制することができる。また、固定する構造が取付溝41Ba、41Bb、41Bc、42Ba、42Bb、42Bcであるから、電源ライン50の固定が簡単であり配線がしやすい。また、固定部材である取付溝41Ba、41Bb、41Bc、42Ba、42Bb、42Bcに対して、電源ライン50a、50b、50cを延設方向に沿った状態で固定部できるため、背面通路7B内の冷気の流れによって電源ライン50a、50b、50cが揺れることを防止でき、冷気流の乱れを確実に抑制することができる。
【0040】
また、側壁部42の凸部42A、凸部42Bに接着剤(図示しない)を塗布して蓋部41を固定することが好ましい。接着剤を用いることで蓋部41を側壁部42に確実に固定できるとともに、電源ライン50を電源側コネクタ30に確実に固定することができる。さらに、接着剤がシーリング剤として作用して、電源側コネクタ30の凹部43に冷却通路7の冷気及び塵埃が入り込むことを防止できる。
【0041】
また、蓋部41の前面(内側の面)には、電源ライン50a、50b、50cの側部に当接して、電源ライン50a、50b、50cの左右方向の位置を規制する突起41Ca、41Cb、41Ccが設けられている。このように突起41Ca、41Cb、41Cを設けることで、電源ライン50a、50b、50cの位置決め及び固定が確実となる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0043】
例えば、前記実施例では、以下のようにしてもよい。
電源60を配置する位置として、ケース本体の外部下方の位置について説明したが、ケース本体の上方やケース本体の側方など、下方以外の位置であってもよい。
【0044】
また、電源ラインとして、正側電源ライン50a、負側電源ライン50b及びアースライン50cを有するものについて説明したが、アースラインは必須ではなく、正側電源ライン及び負側電源ラインのみ(この場合所定本数は2本である)を有するものであってもよい。
【0045】
また、LEDランプ20はDC直接入力型のものについて説明したが、LEDランプ内にAC/DCコンバータを備えたものであってもよい。この場合には、電源ラインには交流が供給される。さらに、照明器具は、LEDランプに限らず、他のランプ例えば放電灯であってもよい。
【0046】
また、送風機8と冷却装置9を配置する場所は底部通路7A及び背面通路7Bに限らず他の場所であってもよい。
【0047】
また、電源ライン50が冷却通路7の背面通路7Bに露出して配置される例について説明したが、電源ライン50を断面U字又はコ字状のカバーによって覆うものであってもよい。この場合には、電源ライン50は上下方向に少なくとも2本(実施例では3本)延びるのみであり。占有空間が小さいから、カバーも小さくすることができ、背面通路7Bの冷気の流路空間をほとんど圧迫しない。
【0048】
また、導電端子51のピン接続部52を凹部44c1の底部に当接させて深さ方向の位置決めをする例について説明したが、ピン接続部52の長さを凹部44c1の深さよりも短く構成し、ピン接続部52が凹部44c1の底部に当接する前に、一対の突起53L、53Rが段部44c3の背面(蓋部41側の面)に当接し深さ方向が位置決めされるようにしてもよい。
【0049】
また、電源ライン50を側壁部42の断面半円形の取付溝42Ba、42Bb、42Bcと蓋部41の断面半円形の取付溝41Ba、41Bb、41Bcにより挟持して接着剤により固定する例について説明したが、固定する手段として、接着剤に代えてネジ、バヨネット、爪等による手段であってもよい。また、側壁部42及び蓋部41のいずれか一方のみに断面C字状の取付溝を設け、取付溝に電源ライン50を圧入して固定するものであってもよく、この場合には電源ラインの固定及び配線が容易となる。さらにまた、電源ライン50を固定する手段としては、上述の他、フックによる固定、ネジによる固定等他の手段であってもよく、電源ラインが固定され電源側ソケットが背壁に取り付けられた状態で、電源ラインが冷気の流れに沿う方向に固定することが好ましい。
【0050】
また、電源側ソケット30とLEDランプ20とは、電気的に並列に接続する場合について説明したが、電源側ソケット30とLEDランプ20とを電気的に直列接続するものであってもよい。
【0051】
また、電源側コネクタがソケット、LEDランプ側コネクタがプラグである場合について説明したが、電源側コネクタがプラグ、LEDランプ側コネクタがソケットであってもよい。また、他の接続形態であってもよい。