特許第6482271号(P6482271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482271
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20190304BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   H01F27/24 H
   H01F27/24 K
   H01F37/00 A
   H01F37/00 M
   H01F37/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-265213(P2014-265213)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-127070(P2016-127070A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】林 明成
(72)【発明者】
【氏名】池上 武史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】芝 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】大槌 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】平田 宜央
(72)【発明者】
【氏名】二宮 亨和
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直之
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴大
【審査官】 井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−191140(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/001591(WO,A1)
【文献】 特開2013−115321(JP,A)
【文献】 特開昭57−060814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/24
H01F 37/00
H01F 17/04
H01F 27/32
H01F 3/00
H01F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコア部材が所定の膜厚を有する接着層を介して互いに接続されたコアと、
前記コアの外周を覆う樹脂部材と、
を備え、
前記コア部材は、隣接する他の前記コア部材と接着される接着面をそれぞれ有し、
前記樹脂部材は、複数の樹脂体を接続して構成され、
前記樹脂体は、他の前記樹脂体と接続する接続部を有し、
前記接続部は、突出方向が前記コア部材の接着面と垂直な方向成分を有する突出部を有し、
前記突出部を有する前記樹脂体に接続される前記樹脂体には、前記突出部が嵌合する凹部が設けられ、
前記突出部の長さは、前記凹部のへこみの長さより長く、前記突出部の頭部が前記凹部の底部に突き当たることにより前記突出部他の前記樹脂体の接続部に突き当たり、前記コア部材の接着面間を離間させること、
を特徴とするリアクトル。
【請求項2】
前記突出部の幅は、前記凹部のへこみの幅と略一致すること、
を特徴とする請求項に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記突出部は、計2つ設けられ、前記突出部は、前記樹脂部材の異なる前記接続部に設けられていること、
を特徴する請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記突出部は、前記樹脂体の前記コア部材を覆う部分と継ぎ目無く一続きに構成されていること、
を特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記樹脂部材は、スーパーエンプラ系樹脂で構成されていること、
を特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記接着層の素材は、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系の接着剤、又はこれらの二種以上の混合接着剤であること、
を特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアを絶縁被覆したリアクトルに係り、特に、コア間の接着剤の膜厚を確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等をはじめ、種々の用途で使用されている。例えば、車載用の昇圧回路に用いられるリアクトルとして、コアの周囲に配置した樹脂製のボビンにコイルを巻回した後、これらを金属製のケースに収容し、ケース内に充填材を流し込んで固めたものが多く用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種のリアクトルは、磁性材からなるコアと、当該コアの外周を覆う樹脂被覆部と、樹脂被覆部を介してコアの外周の一部に巻かれたコイルとを備えている。コアの周囲に樹脂を配置して樹脂被覆部を形成するには、一般には、モールド成形法が採用されている。
【0004】
この種のリアクトルでは、コアは、磁性材からなる複数のコア部材を互いに突き合わせて構成されている。外部電源からコイルに電流が流れると、コアのコイルが巻かれた部分に磁束が発生し、コア内を通過することで磁気回路が形成される。この磁束の発生に伴ってコア部材には磁気吸引力が作用する。そのため、コア部材同士が固定されていないと、コア部材同士、及び、コア部材と樹脂被覆部等の他の部材が衝突し、騒音が発生する場合がある。従って、従来から、コア部材同士を接着剤によって固定する方法が採用されている。これにより各コア部材に磁気吸引力が働いても互いに衝突することがなくなるので、大きな騒音の発生を抑制することができる。
【0005】
このコア部材同士の固定には、接着剤の接着剪断強度及び接着剥離強度が重要となるが、何れの強度も接着剤の膜厚が重要である。つまり、接着剤の膜厚は厚すぎても薄すぎても、接着剪断強度と接着剥離強度の何れかは低下することとなる。そのため、接着剤の膜厚を適切に管理することが重要になる。
【0006】
接着剤の膜厚の管理方法としては、従来から、接着剤に硬質粒子であるフィラーを混合させる方法が採られていた。すなわち、コア部材同士を固定するためには、コア部材同士は接着剤を介在させて押圧される。その際、接着剤に所定の粒径を有するフィラーが含まれることで、コア部材同士の間にフィラーが挟まれ、フィラー粒径以上の接着剤膜厚を確保することができる。また、フィラーを用いる方法以外にも、極薄紙をコア部材間に挟み込む方法も採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−212708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、接着剤にフィラーを混合させる技術にあっては、フィラーには粒度分布が存在することから、高精度に接着剤の膜厚を管理することが難しい。すなわち、接着剤には、粒径が大きいフィラーや小さいフィラーが含まれるため、接着剤膜厚にバラツキが発生する。この膜厚のバラツキは、リアクトル個体毎或いは一つのリアクトルの中でも接着箇所が複数あればその接着箇所毎に生じる場合がある。また、この膜厚のバラツキは、リアクトルの性能の一つであるインダクタンス値にも影響を及ぼすため、できるだけ粒度分布の狭いものが望ましいが、製造コストの増大や生産性悪化を招く。
【0009】
また、接着剤膜厚を0.1mm以上にするために、0.1mm以上のフィラーを導入すると、接着剤内部で沈降してしまい、フィラーの均一性が悪化し、膜厚にバラツキが発生する。さらに接着剤の比率が下がることにより、接着強度が低下するので取り扱いが困難となり、生産性も低下する。
【0010】
極薄紙を用いる膜厚管理方法では、極薄紙に公差があるため、膜厚を高精度に管理することが難しい。さらに、極薄紙がコア部材間に挟まれると、その挟まれた部分は接着剤が付かないため、接着強度が低下して取り扱いが困難となり、生産性が低下する。
【0011】
さらに、接着剤の膜厚は、リアクトルの騒音にも影響する場合があり、接着剤膜厚の適切な管理が求められる。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コア部材間の接着層の膜厚を適切に管理することが可能なリアクトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のリアクトルは、複数のコア部材が所定の膜厚を有する接着層を介して互いに接続されたコアと、前記コアの外周を覆う樹脂部材と、を備えるリアクトルであって、次の構成を有することを特徴とする。
(1)前記コア部材は、隣接する他の前記コア部材と接着される接着面をそれぞれ有すること。
(2)前記樹脂部材は、複数の樹脂体を接続して構成されること。
(3)前記樹脂体は、他の前記樹脂体と接続する接続部を有すること。
(4)前記接続部は、突出方向が前記コア部材の接着面と垂直な方向成分を有する突出部を有すること。
(5)前記突出部を有する前記樹脂体に接続される前記樹脂体には、前記突出部が嵌合する凹部が設けられ、前記突出部の長さは、前記凹部のへこみの長さより長く、前記突出部の頭部が前記凹部の底部に突き当たることにより前記突出部他の前記樹脂体の接続部に突き当たり、前記コア部材の接着面間を離間させること。
【0014】
本発明において、次の構成を有していても良い。
(6)前記突出部の幅は、前記凹部のへこみの幅と略一致すること。
(7)前記突出部は、計2つ設けられ、前記突出部は、前記樹脂部材の異なる前記接続部に設けられていること。
)前記突出部は、前記樹脂体の前記コア部材を覆う部分と継ぎ目無く一続きに構成されていること。
)前記樹脂部材は、スーパーエンプラ系樹脂で構成されていること。
(1)前記接着層の素材は、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系の接着剤、又はこれらの二種以上の混合接着剤であること。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、突出部が他の樹脂体の接続部に突き当たり、コア部材の接着面間が離間するので、適切な接着剤の膜厚管理が可能なリアクトルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す分解斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る樹脂部材の分解斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る樹脂部材の部分拡大側面図である。
図5】第1の実施形態に係るコア部材の接着部分周辺の部分拡大断面図である。
図6】第2の実施形態に係る樹脂部材の側面図である。
図7】第2の実施形態に係るコア部材の接着部分周辺の部分拡大断面図である。
図8】接着層膜厚と、騒音レベル及び接着剪断強度との関係を示すグラフである。
図9】他の実施形態に係る樹脂部材の部分拡大側面図である。
図10】他の実施形態に係るコア部材の接着部分周辺の部分拡大断面図であり、図9のA−A断面図である。
図11】他の実施形態に係るコア部材の接着部分周辺の部分拡大断面図であり、図9のB−B断面図である。
図12】他の実施形態に係るリアクトルの分解側面図である。
図13】他の実施形態に係るリアクトルの分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のリアクトルについて説明する。
【0018】
[1.第1の実施形態]
[1−1.構成]
図1は、本実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。本実施形態のリアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のリアクトルである。リアクトルは、これら自動車に搭載される電気回路の主要部品である。この電気回路は、リアクトルの他、IGBT等の半導体スイッチング素子を有する。リアクトルは、半導体スイッチング素子のオンオフが高速に行われることにより、外部電源から供給される電気エネルギーを磁気エネルギーに変換し、当該エネルギーの蓄積及び放出を繰り返し、電流や電圧を制御する。
【0019】
リアクトルは、例えばアルミニウム合金等、熱伝導性が高く軽量な金属で形成された略直方体の収容スペースを有する放熱ケース(不図示)内に収容され、ネジを締結させることにより放熱ケースに固定される。
【0020】
リアクトルと放熱ケースとの隙間には充填材が充填・固化され、充填樹脂部(不図示)が形成される。充填材には、リアクトルの放熱性能の確保及びリアクトルから放熱ケースへの振動伝搬の軽減のため、比較的柔らかく熱伝導性の高い樹脂が適している。
【0021】
リアクトルは、図1および図2に示すように、環状コア1と、環状コア1の一部の外周に巻回されたコイル5と、環状コア1の外周を覆い、環状コア1とコイル5とを絶縁する樹脂部材2を有している。
【0022】
環状コア1は、圧粉磁心、フェライト磁心、又は積層鋼板などの環状の磁性体である。本実施形態の環状コア1は、概略θ形状を有する。環状コア1は、複数のコア部材を接着剤により互いに接続させて構成されており、本実施形態では、一対のE字型コア1a、1bにより概略θ形状を構成する。
【0023】
すなわち、E字型コア1a、1bは、中央の中脚部11と、その両脇に中脚部11と離間して並行に配置された外脚部12、13と、これらの脚部11〜13を繋ぐ背面部14とからそれぞれ構成される。E字型コア1a、1bは、他のコア部材であるE字型コア1b、1aと接着される四角形状の接着面15を各脚部11〜13にそれぞれ有している。各脚部11〜13の長さは同じであり、各脚部11〜13の接着面15は、同一平面上に位置する。このように、環状コア1は、互いの脚部11〜13の端面に設けられた接着面15同士を、接着剤を介して突き合わせてθ状形状が形成される。換言すると、環状コア1は、一対のE字型コア1a、1bと、これらの脚部11〜13間に形成された所定の膜厚を有する接着層1c(後述の図5参照)と、を有する。
【0024】
接着層1cは、接着剤からなる。接着剤としては、特に限定されないが、熱硬化型の接着剤を用いることができ、例えば、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系の接着剤、又はこれらの二種以上の混合接着剤が挙げられる。エポキシ系の接着剤は強度が高いので好ましい。熱硬化型接着剤の場合、高耐熱が要求されるのでガラス転移点がより高温の接着剤が好ましい。接着剤は、攪拌時に低粘度、通常の状態で高粘度の物性であるチクソ性を有することが好ましい。接着剤として1液性加熱硬化型接着剤を用いると、接着剤の塗布後加熱するまで硬化しないので取り扱いが容易である。また、2液性接着剤を用いて2種類の接着剤を混合し硬化させるようにしても良い。
【0025】
樹脂部材2は、樹脂により環状コア1の外周を覆った部材であり、全体として環状コア1に倣ってθ形状を有する。この樹脂としては、スーパーエンプラ系樹脂を用いる。例えば、PEEK(ピーク)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PSF(ポリサルフォン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PAR(ポリアリレート)、PI(ポリイミド)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PFA(ネオフロン)、ETFE(フルオン、ネオフロン)、若しくは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、又はこれらの二種類以上を組み合わせた樹脂が好ましい。
【0026】
樹脂部材2は、二分割されて構成されている。すなわち、樹脂部材2は、概略E字形状をそれぞれ有する第1の樹脂体2a及び第2の樹脂体2bから構成される。第1の樹脂体2a及び第2の樹脂体2b(以下、単に、樹脂体2a、2bともいう。)は、その内部にE字型コア1a、1bが埋め込まれており、コア部材1a、1bに倣った形状を有する。換言すると、樹脂体2a、2bは、中脚部21と、外脚部22、23と、背面部24とを有する。中脚部21は、コア部材1a、1bの中脚部11を被覆する。外脚部22、23は、中脚部21の両脇に並行して配置され、外脚部12、13を被覆する。背面部24は、これらの脚部21〜23を繋ぎ、背面部14を被覆する。
【0027】
これらの樹脂体2a、2bは、樹脂モールド成形法により成形する。より具体的には、例えば、コア部材であるE字型コア1a、1bをそれぞれインサート品として樹脂体2a、2bの金型内にセットした状態で、金型内に樹脂を充填し固化させることで、E字型コア1a、1bの外周にフィットするように樹脂体2a、2bが成形される。但し、樹脂体2aと樹脂体2bの組み立て前には、E字型コア1a、1bの接着面は露出している。
【0028】
また、樹脂体2a、2bは、他の樹脂体2b、2aと接続される接続部20を有している。より詳細には、樹脂体2a、2bの接続部20は、脚部21〜23の端部であり、他の樹脂体2b、2aの接続部20とそれぞれ対向する。接続部20は、脚部21〜23の端面、脚部21〜23の側周面、又はその両方を含むが、本実施形態の接続部20は、脚部21〜23の端面である。樹脂部材2は、各脚部21〜23の接続部20をそれぞれ対向させた状態で突き合わせて構成され、概略θ形状を成す。
【0029】
図3は、本実施形態の樹脂部材2の分解斜視図である。図4は、本実施形態の樹脂部材2の部分拡大側面図であり、樹脂体2a、2bの外脚部22を示す。図5は、リアクトルを水平方向に切った場合における、コア部材1a、1bの接着部分周辺の部分拡大断面図であり、外脚部12の接着部分を示す。
【0030】
接続部20は、突出方向がコア部材1a、1bの接着面15と垂直な方向成分を有する突出部25を有する。本実施形態では、図3図5に示すように、突出部25は、樹脂体2aの接続部20に設けられている。樹脂体2bには、樹脂体2aの突出部25が嵌合する凹部26が設けられている。突出部25及び凹部26は、各樹脂体2a、2bの外脚部22、23の環状コア1の外周側に設けられている。すなわち、突出部25及び凹部26は、外脚部12、13の接着面15周囲の接続部20のうち、リアクトルの外側に位置する部分に設けられる。また、凹部26は、図3及び図5に示すように、外脚部22、23の端面から側面にかけて設けられており、外脚部22、23の外周面に段差がある形状になっている。
【0031】
突出部25及び凹部26は、本実施形態では、樹脂体2a、2bを成形する金型に樹脂を充填させて樹脂モールドする際に一緒に成形されており、突出部25及び凹部26は、樹脂体2a、2bの外脚部22、23と継ぎ目無く一続きに構成されている。
【0032】
突出部25及び凹部26について、より詳細に説明する。突出部25は、接続部20から突き出て他の樹脂体2a、2bの接続部20に突き当たれば良く、その突出方向がコア部材1a、1bの接着面15と垂直な方向を含み、接着面15に対して斜めに突出していても良い。本実施形態では、突出部25は、外脚部22、23の端面において、外脚部12、13の接着面と垂直な方向に延びる平板状の突起である。凹部26は、突出部25の突起が嵌合するようにへこみを有し、本実施形態ではこのへこみは段差である。突出部25の突起の長さと、凹部26のへこみの深さは異なる長さである。
【0033】
本実施形態では、図4及び図5に示すように、突出部25の突起の長さは、凹部26のへこみの長さより長く構成されており、樹脂体2a、2bを互いに突き合わせると、突出部25の頭部が凹部26のへこみの底部に突き当たるようになっている。また、E字型コア1aの各脚部11〜13の接着面15と、樹脂体2aの各脚部21〜23の端面とが同一平面内にある。E字型コア1aの各脚部11〜13の接着面15と、樹脂体2aの各脚部21〜23の端面とが同一平面内にある。従って、突出部25の突起の長さから凹部26のへこみの長さを差し引いた差分Gだけ、E字型コア1a、1bが離間する。つまり、差分Gは、コア部材1a、1bの接着面15間の隙間であり、接着層1cの膜厚である。突出部25の突起の長さと凹部26のへこみの長さの差分Gは、適宜設計を変更することで所定膜厚を有する接着層1cを形成することができる。
【0034】
また、図3に示すように、突出部25の突起の長さ方向と直交する方向の幅は、凹部26のへこみの幅と略一致している。突出部25が凹部26に嵌合することで、樹脂体2a、2bの位置決めがなされ、精度良く突き合わせることができる。この場合、略一致とは、突出部25の突起の長さ方向と直交する方向の幅が、凹部26のへこみの幅と同じか、若干小さくされていることをいい、樹脂体2a、2bの位置合わせが許容できる範囲で位置決めされれば良い。
【0035】
突出部25及び凹部26が設けられる部分以外の接続部20には、接着剤を塗布して樹脂体2a、2bの接着強度を高めても良い。換言すると、接着層1cは、コア部材1a、1bの接着面間だけでなく、樹脂体2a、2bの接続部20間をも接着しても良い。但し、この場合には、樹脂体2a、2bをE字型コア1a、1bの接着面と垂直方向に挟み込むように押圧することで、突出部25の頭部を凹部26のへこみの底部に接触させる。
【0036】
樹脂体2a、2bには、リアクトルを放熱ケースに固定するための固定部27a、27bが設けられている。この固定部27a、27bも突出部25及び凹部26と同様に、樹脂体2a、2bを成形する金型によって樹脂が固化して成形されている。固定部27a、27bは、樹脂体2a、2bを突き合わせて樹脂部材2を構成した場合に、樹脂部材2の対角の位置に配置されている。固定部27a、27bには、ネジを挿入する貫通孔が設けられており、リアクトルは、これらの貫通孔にネジが挿入及び締結されて放熱ケースに固定される。
【0037】
コイル5は、絶縁被覆を有する導線である。本実施形態のコイル5は、平角線のエッジワイズコイルである。但し、コイル5の線材や巻き方は、平角線のエッジワイズコイルに限定されず、他の形態であっても良い。
【0038】
コイル5は、中脚部11の外周を巻回するようにして、樹脂部材2の中脚部21を介して装着されており、樹脂部材2の中脚部21によって環状コア1と絶縁されている。コイル5の両端部は、外脚部12側に引き出され、不図示のバスバーと接合され、バスバーを介して不図示の外部電源と接続される。この外部電源から電力供給されコイル5に電流が流れるとコイル5を鎖交する磁束が中脚部11に発生する。この磁束は、背面部14で二手に分かれ、一方が外脚部12及び背面部14を通過し、他方が外脚部13及び背面部14を通過して中脚部11で合流する。すなわち、環状コア1には2つの閉磁気回路が形成される。
【0039】
[1−3.作用効果]
(1)本実施形態のリアクトルは、複数のコア部材1a、1bが所定の膜厚を有する接着層1cを介して互いに接続された環状コア1と、環状コア1の外周を覆う樹脂部材2と、を備え、コア部材1a、1bは、他のコア部材1b、1aと接着される接着面15を有し、樹脂部材2は、複数の樹脂体2a、2bを接続して構成され、樹脂体2a、2bは、他の樹脂体2b、2aと接続する接続部20を有し、樹脂体2aの接続部20は、突出方向がコア部材1a、1bの接着面15と垂直な方向成分を有する突出部25を有し、突出部25を他の樹脂体2bの接続部20に突き当て、コア部材1a、1bの接着面15間を離間させるようにした。
【0040】
これにより、突出部25の長さ分、コア部材1a、1bを離間させることができるので、コア部材1a、1bの接着面間の接着層の膜厚を管理することができる。すなわち、従来の接着剤にフィラーを含有させる技術では、接着層の膜厚のバラツキが大きく、所望の厚みにすることが困難であったが、本実施形態によれば、突出部25の長さにより、接着層1cの膜厚を所望の厚みに設定することが可能になる。その結果、接着剪断強度と接着剥離強度の両方を向上させることができる。
【0041】
さらに、突出部25の長さにより、接着層1cの膜厚を所望の厚みに設定することが可能であるため、リアクトルの騒音を抑制することが可能になる。
【0042】
(2)突出部25を有する樹脂体2aに接続される樹脂体2bには、突出部25が嵌合する凹部26を設けられ、突出部25の長さを、凹部26のへこみの長さより長くし、突出部25の頭部を凹部26の底部に突き当てるようにした。これにより、突出部25の長さと凹部26のへこみの長さとの差分だけコア部材1a、1bの間の距離を離すことができ、所定の膜厚の接着層1cを得ることができる。
【0043】
(3)突出部25の幅は、凹部26のへこみの幅と略一致するようにした。これにより、樹脂体2a、2bの位置決めがなされ、精度良く突き合わせることができる。また、突出部25が凹部26に嵌まるので、接着剤を用いずに樹脂部材2を構成することも可能である。
【0044】
(4)突出部25は、計2つ設けられ、突出部25は、樹脂部材2の異なる接続部20に設けた。本実施形態では、樹脂体2aの外脚部22、23の接続部20にそれぞれ一つずつ突出部25を設けるようにした。このように、突出部25の数を必要最小限にしたので使用する樹脂量を減らすことができる。また、3つ以上の突出部25を設けると、それだけ突出部25の公差が積み重なるが、必要最小限の2つとしたので、突出部25に公差の積み重ねを最小限に留めることができ、接着層1cの高精度な膜厚管理が可能になる。
【0045】
(5)突出部25は、樹脂体2aのコア部材1aを覆う外脚部22、23と継ぎ目無く一続きに構成するようにした。これにより、高精度に接着層1cの膜厚を管理することができる。フィラーの含有により膜厚管理する技術では、例えば平均粒子径80μmのフィラーの場合、偏差は±50μm程度である。これに対し、本発明の突出部25の寸法バラツキは標準偏差でσ3μmと非常に小さい。このことから、高精度の膜厚管理が可能であることが分かる。
【0046】
さらに、突出部25を別途設けて接着剤で外脚部22、23の端面に接着し固定する場合と比べても高精度に接着層1cの膜厚を管理することができる。また、突出部25を取り付けるためのプロセスや接着剤が必要なくなるので、製造工数及び製造コストを削減することができる。
【0047】
(6)樹脂部材2は、スーパーエンプラ系樹脂で構成するようにした。これにより、樹脂部材2の接続部の突き出た突出部25及び凹部26の成形精度を向上させることができる。すなわち、この樹脂を使用することで、樹脂体2a、2bを成形するための金型に樹脂を充填させる際に、隅々まで行き渡らせることができる。また、耐久性を有するので接着層1cへの負担が軽減され、接着強度の劣化を抑制することができる。
【0048】
(7)接着層1cの素材として、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系の接着剤、又はこれらの二種以上の混合接着剤を用いるようにした。これらの接着剤は、接着性が高い上、攪拌時に低粘度で通常時で高粘度の物性であるチクソ性を有するので、接着剤を接着面に塗布しても垂れにくく、接着層1cを形成しやすい。
【0049】
[2.第2の実施形態]
第2の実施形態について、図6及び図7を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。よって、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
図6は、第2の実施形態に係る樹脂部材の部分拡大側面図である。図7は、第2の実施形態に係るリアクトルを水平方向に切った場合における、コア部材の接着部分周辺の部分拡大断面図である。
【0051】
第2の実施形態の樹脂部材2は、第1の樹脂体2cと第2の樹脂体2dとからなる。第1の樹脂体2cは、外脚部22、23のそれぞれの端面に、E字型コア1aの接着面と直交する方向に突出した2つの突出部28を有する。E字型コア1aの各脚部11〜13の接着面と樹脂体2cの各脚部21〜23の端面とが同一平面内にあり、この平面から突出部28が突出している。第2の樹脂体2dは、外脚部22、23の端面が平坦になっている。すなわち、E字型コア1bの各脚部11〜13の接着面と樹脂体2dの各脚部21〜23の端面とが同一平面内にあり、第1の実施形態の凹部を設けていない。
【0052】
従って、樹脂体2c、2dの各脚部21〜23を突き合わせると、樹脂体2cの突出部28の頭部が対向する樹脂体2dの外脚部22、23の端面に突き当たる。そのため、突出部28のE字型コア1a、1bの接着面15と垂直な方向の長さの分、E字型コア1a、1bが離間する。従って、この突出部28の長さにより、接着面15間に介在する接着層1cの膜厚を確保することができる。
【0053】
突出部28が設けられる部分以外の接続部20には、接着剤を塗布して樹脂体2c、2dの接着強度を高めても良い。但し、この場合には、樹脂体2c、2dをE字型コア1a、1bの接着面15と垂直方向に挟み込むように押圧することで、突出部26の頭部を他の樹脂体2dの接着部20に突き当てる。
【0054】
本実施形態によれば、第1の実施形態と比べて、突出部28を設けるだけで済むので簡易な構成により、接着層の膜厚を管理することができる。
【0055】
[3.実施例]
本発明の実施例を以下に説明する。
【0056】
[3−1.リアクトルのサンプル]
本実施例のリアクトルのサンプルは、図1図5に示した第1の実施形態と同じ形態のリアクトルである。突出部25の突起の長さから凹部26のへこみの長さを差し引いた差分Gを変えて、接着層1cの膜厚が異なるサンプルA〜Iをそれぞれ作製した。サンプルA〜Iの膜厚は、A、B、C、D、E、F、G、H、Iの順で厚い。なお、中脚部11間、外脚部12間、外脚部13間の膜厚はそれぞれ同じである。
【0057】
何れのサンプルも、差分Gと接着層1cの膜厚以外の構成は同じである。何れのサンプルも、環状コア1は純鉄系圧粉磁心であり、その磁路長は110mmである。コイル5は、平角線t1.6×w5.0のエッジワイズ巻線であり、その巻数は7である。接着層1cを構成する接着剤は、エポキシ系の1液性熱硬化型接着剤(住友スリーエム株式会社 製品番号:EW2046)を使用した。
【0058】
[3−2.測定項目及び測定方法]
測定項目は、騒音及び接着剪断強度である。
(1)騒音測定の条件としては、駆動周波数を可聴周波数帯の10kHzとして、コイル5へ印加電流を流した。この条件下で、各サンプルの周囲6面を騒音計を用いて騒音レベルL(i)(i=1〜6)を測定した。騒音計のマクロフォンは、サンプルから80mm離した距離にそれぞれ配置した。次に、各6面の騒音レベルL(i)(i=1〜6)の平均値Lpaveを算出した。
【0059】
(2)接着剪断強度は、次のように測定した。まず、上記の各サンプルを作製して環状コア1を構成した後、他の部材を取り除いて環状コア1のみにした。その後、環状コア1の一方のE字型コアをクランプ治具で挟んで固定した状態で、他方のE字型コアに対して治具で接着面と平行な方向に押圧することで、互いに逆方向に引っ張り、接着面に剪断力を加えた。そのときの引っ張り剪断荷重をそれぞれ測定した。
【0060】
得られた各サンプルの騒音レベル及び接着剪断強度の結果を図8に示す。図8に示すように、接着膜厚が厚くなる程、接着剪断強度が高くなり、かつ、騒音レベルが低下する傾向にある。
【0061】
また、接着膜厚が厚すぎると騒音レベルが増加する傾向を示している。本実施例ではサンプルEの接着膜厚以上で増加傾向を示している。このような傾向を示す理由は詳細は明らかでないが共振周波数が影響していると考えられる。共振周波数fはf=(1/2π)×(K/M)1/2で表され(K:ばね定数、M:質量)、接着膜厚が厚くなるに伴い接着剤の量が増えるので、共振周波数は小さくなる。高周波側に存在していた共振点が駆動周波数10kHz側にシフトしてくることで騒音が増加したものと考えられる。
【0062】
このように接着膜厚は騒音レベルに影響を与えるものであるが、本発明によれば、接着膜厚の管理を的確にすることができるので、接着剪断強度の向上と騒音レベルの低下の両方の効果を得ることができる。
【0063】
突出部25と凹部26の差分Gは、騒音抑制の観点から、サンプルB〜サンプルGの接着膜厚が好ましい。当該差分GがサンプルBの接着膜厚未満であれば、騒音の増加、接着力の低下、及び耐久性の低下が生じるため好ましくない。当該差分GがサンプルGの接着膜厚より大きければ、騒音の増加、接着剤の垂れによる作業性の悪化、及び材料のコストアップの問題が発生する。また、差分GがサンプルB〜サンプルGの接着膜厚が好ましいことは、第2の実施形態であっても同様である。すなわち、第2の実施形態の場合は、突出部28の長さが上記範囲であれば、特に騒音抑制効果が高い。このように、接着層1cの膜厚がサンプルB〜サンプルGの接着膜厚であれば、騒音抑制効果が高い。また、接着層1cの膜厚が上記範囲であれば、リアクトル(コア部材)の大きさに依らずに騒音抑制効果を得ることができる。
【0064】
[4.他の実施形態]
本発明は、第1および第2の実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、下記の他の実施形態を組み合わせた形態も包含する。
【0065】
(1)第2の実施形態では、樹脂体2cの接続部20に突出部28を設け、樹脂体2dの接続部20には何も設けず、平坦に構成したが、図9図11に示すように、さらに、樹脂体2cの接続部20に凹部29を設け、樹脂体2dの接続部20に凸部30を設けても良い。すなわち、樹脂体2cには、2つの突出部28間の距離を幅とする凹部29を設け、樹脂体2dには、突出部28間の長さと略一致する幅を有し、凹部29に嵌合する凸部30を設ける。略一致とは、凸部30の幅が凹部29の幅と同じか、若干小さく位置決めできる程度をいう。凸部30は、その突出方向がコア部材の接着面と垂直な方向成分を有する。凹部29に凸部30が嵌合することで、樹脂体2c、2dの接合関係が強くなり、樹脂体2c、2dを接着剤により接着する必要がなくなる。このように、接着層1cの膜厚確保と、位置決め機能とを得ることができる。また、図9図11では、凸部30の接着面15と垂直な方向に突出する長さは凹部29のへこみの深さより短くしているが、同じにしても良い。
【0066】
(2)第1の実施形態では、突出部25及び凹部26は、樹脂体2a、2bの外脚部22、23の環状コア1の外周側に設けられていたが、外脚部22、23の環状コア1の内周側、上面側、又は底面側でも良い。また、外脚部22、23に限らず、中脚部21の接続部20に設けても良い。同様に、第2の実施形態の突出部28を外脚部22、23の接続部20であればどこに設けても良い。その数も限定されない。さらに、中脚部21の接続部20に設けても良い。
【0067】
(3)第1の実施形態では、突出部25は樹脂体2aに、凹部26は、樹脂体2bに設けられたが、突出部25が樹脂体2bに設けられ、凹部26が樹脂体2aに設けられていても良い。また、双方の樹脂体2a、2bに突出部25及び凹部26の両方を設けても良い。例えば、樹脂体2aの外脚部22、23に突出部25及び凹部26を設け、樹脂体2bの外脚部22、23の外脚部22、23に突出部25及び凹部26を設けても良い。第2の実施形態でも同様に、樹脂体2dに突出部28が設けられても良いし、樹脂体2c、2dの双方に突出部28が設けられていても良い。
【0068】
(4)第1の実施形態では、外脚部22、23に突出部25及び凹部26をそれぞれ一つずつ設け、第2の実施形態では外脚部22、23に突出部28をそれぞれ2つずつ設けたが、これらの突出部25、28及び凹部26の数は特に限定されず、設ける数は一つでも複数でも良い。
【0069】
(5)第1および第2の実施形態では、突出部25、28は、矩形状としたが、三角形状、円柱形状、円錐形状、又は円錐台形状としても良い。またこれらの先端を丸めた形状としたり、尖らせた形状としたりしても良い。また、凹部26の形状と突出部25の形状が異なっていても、接着層1cが所定の膜厚が確保できれば良い。
【0070】
(6)第1の実施形態では、突出部25は、平板状としたが、その凹部26と接する一平面の先端側に膨出部を設け、凹部26に当該膨出部が嵌まるくぼみを設けても良い。膨出部及びくぼみにより、突出部25を凹部26に差し込むと、膨出部がくぼみに嵌まり、樹脂体2a、2bの抜けを防止することができる。また、更なる位置決め精度を向上させることができる。
【0071】
(7)第1および第2の実施形態では、凹部26を外脚部22、23の側面に段差として設けたが、外脚部22、23の端部に穴として設けても良い。樹脂体2aの突出部25は、この穴である凹部26に差し込むようにする。
【0072】
(8)第1および第2の実施形態では、突出部25、28は、接続部20を外脚部22、23の端面として、当該端面から突出するように設けられたが、これに限定されない。例えば、脚部21〜23の側周面に突出部25、28が設けられていても良い。
【0073】
(9)第1および第2の実施形態では、E字型コア1a、1bの各脚部11〜13の長さは同じであるが、異なる長さにしても良い。例えば、外脚部12、13の長さを同一にし、中脚部11の長さを外脚部12、13の長さよりも短くするようにしても良い。
【0074】
(10)第1および第2の実施形態では、環状コア1を構成するために、コア部材としてE字型コア1a、1bを用いたが、これに限定されない。すなわち、環状コア1は、コア部材を複数突き合わせて構成されたものであればよく、コア部材として、U字型コア及びI字型コア、T字型コアその他の環状コアを構成可能な形状を有するコアを用いることができる。
【0075】
(11)第1および第2の実施形態では、接着層1cは液状の接着剤で構成したが、接着シートで構成しても良い。
(12)第1および第2の実施形態では、コア部材1a、1bの接着面15と樹脂体2a、2bの接続面20がそれぞれ同一平面内にあるとしたが、接着層1cの膜厚が確保できるのであれば、必ずしも同一平面内になくても良い。
(13)コア部材1a、1bの間にスペーサが介在していても良い。
【0076】
(14)第1および第2の実施形態では、樹脂部材2は2つの樹脂体2a、2b又は樹脂体2c、2dで構成されるが、樹脂部材2は、3つ以上の樹脂体から構成されていても良い。
(15)第1および第2の実施形態では、樹脂体2a〜2dの脚部21〜23は、コア部材1a、1bの脚部11〜13の全側周(四方)を覆うようにしたが、突出部25、28が設けられれば、脚部21〜23を覆うのは、三側面、二側面又は一側面でも良い。
【0077】
(16)第1および第2の実施形態では、樹脂体2a〜2dの脚部21〜23の端面とコア部材1a、1bの接着面15とが平行になるようにしたが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、脚部21〜23の端面に対してコア部材1a、1bの接着面15を斜めにしても良い。また、図13に示すように、コア部材1aの接着面15が尖った形状で、コア部材1bの接着面15がこれに倣って窪んだ形状としても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 環状コア
1a、1b E字型コア
1c 接着層
11 中脚部
12、13 外脚部
14 背面部
15 接着面
2 樹脂部材
2a、2b 樹脂体
2c、2d 樹脂体
20 接続部
21 中脚部
22、23 外脚部
24 背面部
25 突出部
26 凹部
27a、27b 固定部
28 突出部
29 凹部
30 凸部
5 コイル
G 接着層の膜厚(コア部材間の隙間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13