特許第6482302号(P6482302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6482302非接触ICカード通信調整板および非接触ICカード収納具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482302
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】非接触ICカード通信調整板および非接触ICカード収納具
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/073 20060101AFI20190304BHJP
   G06K 19/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G06K19/073 027
   G06K19/00 050
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-19741(P2015-19741)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-143293(P2016-143293A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】303025870
【氏名又は名称】齋藤 博
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 博
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−012012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/073
G06K 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部読取装置が発信する電磁波を受信および送信するアンテナコイルを有して前記外部読取装置と非接触の通信が可能な非接触ICカードに重ね合わせて使用する、前記外部読取装置と前記非接触ICカードとの通信状態を調整するための非接触ICカード通信調整板において、
前記電磁波を遮断ないし減衰させるシールドシートと、該シールドシートの片面または両面に積層された、前記電磁波を透過させる磁性シートと、を備え、
前記シールドシートは、前記非接触ICカードの外寸とほぼ同寸同形に形成されたものであり、
前記磁性シートは、前記電磁波に対する応答性の低い非接触ICカードのアンテナコイルに対しては該アンテナコイル全体に重なる一方、前記電磁波に対する応答性の高い非接触ICカードのアンテナコイルに対しては該アンテナコイル全体のうち所定の割合が重ならない形状を有し、且つ一部分のみが前記シールドシートの周縁に至っていることを特徴とする非接触ICカード通信調整板。
【請求項2】
前記磁性シートの形状は、2回回転対称であり、対称となる形状の一部分のみが前記シールドシートの周縁に至っていることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICカード通信調整板。
【請求項3】
前記非接触ICカードは、前記応答性の低い非接触ICカードのアンテナコイルの配線形状タイプが共通のものであり、前記応答性の高い非接触ICカードのアンテナコイルの配線形状タイプが共通で且つ前記応答性の低い非接触ICカードのアンテナコイルの配線形状タイプとは異なるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の非接触ICカード通信調整板。
【請求項4】
前記応答性の低い非接触ICカードのアンテナコイルの配線形状タイプはアンチコリジョンタイプであり、前記応答性の高い非接触ICカードのアンテナコイルの配線形状タイプは長方形タイプであり、
前記磁性シートは、前記シールドシートの長辺に沿って延びる長辺部と、該長辺部の一端から延びる短辺部とを有し、
前記長辺部は、前記短辺部が延びる一端とは異なる他端のみが前記シールドシートの短辺に至り、
前記短辺部側は、前記長辺部から延びる一端とは異なる他端のみが前記シールドシートの短辺に至り、
前記シールドシートを前記非接触ICカードに重ね合わせた使用状態において、前記アンチコリジョンタイプのアンテナコイルは、全体が前記磁性シートに重なり、長方形タイプのアンテナコイルは、前記磁性シートと重ならない部分が前記磁性シートの短辺部の外側にあることを特徴とする請求項3に記載の非接触ICカード通信調整板。
【請求項5】
電磁波を利用して外部読取装置と非接触で通信することができる非接触ICカードを、収納したままで使用する非接触ICカード収納具において、
前記非接触ICカードを収納するICカード収納部内に、前記外部読取装置と前記非接触ICカードとの通信状態を調整するための請求項1から4の何れか一項に記載の非接触ICカード通信調整板を備え、
前記非接触ICカード通信調整板は、前記ICカード収納部に収納した前記非接触ICカードと重なり合うように取り付けたことを特徴とする非接触ICカード収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部読取装置(カードリーダー)が発信する電磁波を用いて外部読取装置との通信をすることができる非接触ICカードに重ね合わせて使用するものであり、外部読取装置と非接触ICカードとの通信状態を調整する非接触ICカード通信調整板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から外部読取装置(カードリーダー)が発信する電磁波を利用して外部読取装置と非接触で通信することができる非接触ICカードは、IC乗車券、セキュリティーカード等として利用されているが、その利用分野はさらに広がっている。また、ICカードの多機能化が進み、接触型ICチップと非接触型ICチップとを同一カードに搭載した複合型のICカード(複合型の非接触ICカード)が多くなってきている。
【0003】
このような非接触ICカードは、利用分野が広がるとともに普及も進んでおり、何らかの非接触ICカードを使用している使用者の数も増大し続けている。さらに、複数枚の非接触ICカードを利用している使用者も多い。
【0004】
このため、複数枚の非接触ICカードを使用する場合の利便性を向上させるものとして、一枚の非接触ICカード通信調整板の両面それぞれに1枚の非接触ICカードを重ね合わせた状態で、外部読取装置による良好な読取りが可能で且つ裏読みを防止できるようにした非接触ICカード通信調整板が開発されている。このような非接触ICカード通信調整板として、例えば特許文献1で本願の出願人が提案した非接触ICカード通信調整板がある。
【0005】
すなわち、非接触ICカード通信調整板のシールドシートの片面または両面に積層した2枚一組の磁性シートを有し、該磁性シートの位置をシールドシート上で変更可能としたものである。これにより、外部読取装置や複合型の非接触ICカードの仕様の如何にかかわらず、読取エラーの発生が極めて少ない非接触ICカード通信調整板を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−243290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、シールドシートの片面ずつに2枚の磁性シートが必要である。さらに、2枚の磁性シートの位置を変更可能とするための突起部、ガイド溝、固定穴等の独自の構成が必要であることから、製造コストの上昇が避けられないという問題点がある。
【0008】
また、上記のように複数枚の非接触ICカードを所有している使用者も多く、複数枚を持ち歩いたときに嵩張らないように、非接触ICカード通信調整板を非接触ICカードと略同じ大きさまで小型にして欲しいという要望がある。しかしながら、非接触ICカード通信調整板を非接触ICカードと同じ大きさに近づけて行くと、裏読みが起こり易くなってしまうという問題点が発生する。
【0009】
ところで、上記のような、複合型のICカードでは、非接触ICカードとしての部品であるアンテナコイルの形状、配置、大きさ等が複合型ではない非接触ICカードに比べると限定される。本願発明者は、特に複合型の非接触ICカードでなくても、現時点では外部読取装置からの電磁波に対して応答性の高い非接触ICカードの何れもがそのアンテナコイルの配線形状は長方形であり、寸法もほとんど同一であること、および応答性の低い非接触ICカードの何れもがそのアンテナコイルの配線形状はいわゆる木の葉型のアンチコリジョンタイプであり、その形状および寸法はほとんど同一であることを見出した。
【0010】
そこで、本願出願人は、このようにアンテナコイルの形状および寸法が限定されていることに着目して、使用者の上記要望を満たすと同時に上記問題点の解決を図ることができる非接触ICカード通信調整板について研究開発を行った。
【0011】
本発明は、非接触ICカード通信調整板を非接触ICカードと略同じ大きさにし、且つ、応答性の高い非接触ICカードおよび応答性の低い非接触ICカードを如何なる組合せで使用しても、外部読取装置による良好な読み取りが可能であるとともに裏読みの発生を良好に防止することができる非接触ICカード通信調整板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 外部読取装置(40)が発信する電磁波を受信および送信するアンテナコイル(33A,33B)を有して前記外部読取装置(40)と非接触の通信が可能な非接触ICカード(30,30A,30B)に重ね合わせて使用する、前記外部読取装置(40)と前記非接触ICカード(30,30A,30B)との通信状態を調整するための非接触ICカード通信調整板(1)において、
前記電磁波を遮断ないし減衰させるシールドシート(10)と、該シールドシート(10)の片面または両面に積層された、前記電磁波を透過させる磁性シート(20)と、を備え、
前記シールドシート(10)は、前記非接触ICカード(30,30A,30B)の外寸とほぼ同寸同形に形成されたものであり、
前記磁性シート(20)は、前記電磁波に対する応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)に対しては該アンテナコイル(33B)全体に重なる一方、前記電磁波に対する応答性の高い非接触ICカード(30A)のアンテナコイル(33A)に対しては該アンテナコイル(33A)全体のうち所定の割合が重ならない形状を有し、且つ一部分のみが前記シールドシート(10)の周縁に至っていることを特徴とする非接触ICカード通信調整板(1)。
【0013】
[2] 前記磁性シート(20)の形状は、2回回転対称であり、対称となる形状の一部分のみが前記シールドシート(10)の周縁に至っていることを特徴とする項[1]に記載の非接触ICカード通信調整板(1)。
【0014】
[3] 前記非接触ICカード(30,30A,30B)は、前記応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)の配線形状タイプが共通のものであり、前記応答性の高い非接触ICカード(30A)のアンテナコイル(33A)の配線形状タイプが共通で且つ前記応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)の配線形状タイプとは異なるものであることを特徴とする項[1]または[2]に記載の非接触ICカード通信調整板(1)。
【0015】
[4] 前記応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)の配線形状タイプはアンチコリジョンタイプであり、前記応答性の高い非接触ICカード(30A)のアンテナコイル(33A)の配線形状タイプは長方形タイプであり、
前記磁性シート(20)は、前記シールドシート(10)の長辺(11)に沿って延びる長辺部(21)と、該長辺部(21)の一端から延びる短辺部(22)とを有し、
前記長辺部(21)は、前記短辺部(22)が延びる一端とは異なる他端のみが前記シールドシート(10)の短辺(12)に至り、
前記短辺部(22)側は、前記長辺部(21)から延びる一端とは異なる他端のみが前記シールドシート(10)の短辺(12)に至り、
前記シールドシート(10)を前記非接触ICカード(30A,30B)に重ね合わせた使用状態において、前記アンチコリジョンタイプのアンテナコイル(33B)は、全体が前記磁性シート(20)に重なり、長方形タイプのアンテナコイル(33A)は、前記磁性シート(20)と重ならない部分が前記磁性シート(20)の短辺部(22)の外側にあることを特徴とする請求項[3]に記載の非接触ICカード通信調整板(1)。
【0016】
[5] 電磁波を利用して外部読取装置(40)と非接触で通信することができる非接触ICカード(30,30A,30B)を、収納したままで使用する非接触ICカード収納具(50)において、
前記非接触ICカード(30,30A,30B)を収納するICカード収納部(51)内に、前記外部読取装置(40)と前記非接触ICカード(30,30A,30B)との通信状態を調整するための項[1]から[4]の何れか一項に記載の非接触ICカード通信調整板(1)を備え、
前記非接触ICカード通信調整板(1)は、前記ICカード収納部(51)に収納した前記非接触ICカード(30,30A,30B)と重なり合うように取り付けたことを特徴とする非接触ICカード収納具(50)。
【0017】
前記本発明は次のように作用する。
本発明に係る非接触ICカード通信調整板(1)によれば、シールドシート(10)は、透過しようとする電磁波を遮断ないし減衰することができる導電性のシートである。また、磁性シート(20)は、電磁波を空気層よりも高密度に透過させることができるものである。
【0018】
したがって、非接触ICカード(30,30A,30B)の表裏両面のうち外部読取装置(40)に面する側に非接触ICカード通信調整板(1)が重ね合わされているような状態にあるときは、非接触ICカード通信調整板(1)側の面が磁性シート(20)を備える面であるか否かにかかわらず、シールドシート(10)が外部読取装置(40)からの電磁波を遮断ないし減衰して、非接触ICカード(30,30A,30B)と外部読取装置(40)との通信を防止することができる。
【0019】
逆に、外部読取装置(40)に面する側とは反対側で非接触ICカード通信調整板(1)が非接触ICカード(30,30A,30B)に重ね合わさった状態である場合、すなわち、非接触ICカード(30,30A,30B)が外部読取装置(40)に面するような状態である場合は、その重ね合わさった非接触ICカード通信調整板(1)側の面が磁性シート(20)を備えない面であるときは、外部読取装置(40)からの電磁波は、非接触ICカード(30,30A,30B)を透過した後、シールドシート(10)によって減衰してしまうので、この場合にも外部読取装置(40)との通信が防止される。
【0020】
これに対して、非接触ICカード通信調整板(1)に重ね合わさった非接触ICカード(30,30A,30B)が外部読取装置(40)に面するような状態の場合に、重ね合わさった非接触ICカード通信調整板(1)側の面が磁性シート(20)を備える面であるときは、外部読取装置(40)からの電磁波は、非接触ICカード通信調整板(1)に遮られずに直接に非接触ICカード(30,30A,30B)に至る。
【0021】
そして、アンテナコイル(33A,33B)が電磁波を受信すると、磁気誘導により非接触ICカード(30,30A,30B)内に電流が供給され、これにより、非接触ICカード(30,30A,30B)が動作して電磁波を発信する。このようにして、非接触ICカード通信調整板(1)は、非接触ICカード(30,30A,30B)と外部読取装置(40)との通信を可能にしたり、防止したりすることができる。
【0022】
項[1]および[2]に係る非接触ICカード通信調整板(1)によれば、非接触ICカード通信調整板(1)を構成するシールドシート(10)が非接触ICカード(30,30A,30B)の外寸とほぼ同寸同形に形成されているので、重ね合わせた使用状態において、厚みは非接触ICカード通信調整板(1)の分だけ厚くなるが、全体が非接触ICカード(30,30A,30B)よりも嵩張ってしまうことがない。
【0023】
しかも、磁性シート(20)は、電磁波に対する応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)については該アンテナコイル(33B)全体に重なり、且つ電磁波に対する応答性の高い非接触ICカード(30A)のアンテナコイル(33A)については該アンテナコイル(33A)全体のうち所定の割合が重ならない形状に形成されており、磁性シート(20)の一部分のみがシールドシート(10)の周縁に至っている大きさとなっている。
【0024】
これにより、非接触ICカード通信調整板(1)を間にして挟むように2枚の非接触ICカード(30,30A,30B)を重ねた使用状態において、非接触ICカード(30,30A,30B)が2枚とも応答性の低い非接触ICカード(30B)であっても、また、2枚とも応答性の高い非接触ICカード(30A)であっても、さらには2枚の非接触ICカード(30A,30B)が応答性の低いものと応答性の高いものとであっても、外部読取装置(40)に面するように向けられた非接触ICカード(30,30A,30B)については良好な読み取りをすることができ、外部読取装置(40)に対して非接触ICカード通信調整板(1)の反対側に重ねられた非接触ICカード(30,30A,30B)については裏読みによる読取りエラーの発生を防止することができる。
【0025】
項[3]に係る非接触ICカード通信調整板(1)によれば、使用される非接触ICカード(30,30A,30B)が応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)の配線形状タイプは共通のものであり、応答性の高い非接触ICカード(30A)のアンテナコイル(33A)の配線形状タイプは共通で且つ応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)の配線形状タイプとは異なるものであるので、磁性シート(20)の形状を容易に定めることができる。
【0026】
項[4]に係る非接触ICカード通信調整板(1)によれば、応答性の低い非接触ICカード(30B)のアンテナコイル(33B)の配線形状タイプがアンチコリジョンタイプであり、応答性の高い非接触ICカード(30A)のアンテナコイル(33A)の配線形状タイプが長方形タイプであるものに対して、磁性シート(20)をシールドシート(10)の長辺(11)に沿って延びる長辺部(21)と、該長辺部(21)の一端から延びる短辺部(22)とを有し、長辺部(21)は、短辺部(22)が延びる一端とは異なる他端のみがシールドシート(10)の短辺(12)に至り、短辺部(22)側は、長辺部(21)から延びる一端とは異なる他端のみがシールドシート(10)の短辺(12)に至るような形状としてある。
【0027】
これにより、シールドシート(10)を非接触ICカード(30A,30B)に重ね合わせた使用状態において、アンチコリジョンタイプのアンテナコイル(33B)は全体が磁性シート(20)に重なっており、応答性の低い非接触ICカード(30B)でも良好な読み取りが可能であり、一方、長方形タイプのアンテナコイル(33A)は磁性シート(20)の短辺部(22)の外側に位置する部分が磁性シート(20)に重ならないので、応答性の高い非接触ICカード(30A)でも裏読みによる読取りエラーが発生することを防止できる。
【0028】
項[5]に係る非接触ICカード収納具(50)は、備えている非接触ICカード通信調整板(1)が非接触ICカード(30,30A,30B)と略同一形状であるので、複数枚の非接触ICカード(30,30A,30B)を非接触ICカード通信調整板(1)に重ねた使用状態にして、非接触ICカード(30,30A,30B)に近い大きさで持ち歩き、使用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の非接触ICカード通信調整板によれば、シールドシートを非接触ICカードの外寸とほぼ同寸同形に形成し、磁性シートの形状を応答性の低い非接触ICカードのアンテナコイルについてはその配線の全てが重なり、且つ応答性の高い非接触ICカードのアンテナコイルについては、アンテナコイル全体のうち所定の割合が重ならない形状にしてあるので、非接触ICカードを非接触ICカード通信調整板に重ねた使用状態にしても、全体が嵩張ることがなくて使い勝手が向上する。また、応答性の低い非接触ICカードと応答性の高い非接触ICカードとをどのような組合せの使用状態にしても、裏読み等による読取りエラーのない良好な読取り性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板を示す平面図である。
図2図1の非接触ICカード通信調整板を長辺側から見た側面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板の作用を説明する図である。
図4図1の非接触ICカード通信調整板に応答性の高い非接触ICカードを重ねた使用状態での非接触ICカードのアンテナコイルと非接触ICカード通信調整板の磁性シートとの関係を示す模式図である。
図5図1の非接触ICカード通信調整板に応答性の低い非接触ICカードを重ねた使用状態での非接触ICカードのアンテナコイルと非接触ICカード通信調整板の磁性シートとの関係を示す模式図である。
図6】非接触ICカードを外部読取装置にかざして使用するときの様子を説明する模式図である。
図7図1の非接触ICカード通信調整板とは磁性シートの形状が異なる変形例の平面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る非接触ICカードを収納する非接触ICカード収納具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1から図6は、本発明の実施の形態を示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板を示す平面図であり、図2は、図1の非接触ICカード通信調整板を長辺側から見た側面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板の作用を説明する図である。
【0032】
また、図4は、図1の非接触ICカード通信調整板に応答性の高い非接触ICカードを重ねた使用状態での非接触ICカードのアンテナコイルと非接触ICカード通信調整板の磁性シートとの位置関係を示す説明図であり、図5は、図1の非接触ICカード通信調整板に応答性の低い非接触ICカードを重ねた使用状態での非接触ICカードのアンテナコイルと非接触ICカード通信調整板の磁性シートとの位置関係を示す説明図である。図6は、非接触ICカードを外部読取装置にかざして使用するときの様子を説明する模式図である。
【0033】
図4および図5に示すように、非接触ICカード30A,30Bには、内蔵するアンテナコイル33A,33Bの配線形状タイプが長方形タイプのもの(図4)と、いわゆる木の葉型のアンチコリジョンタイプのもの(図5)とがある。現時点において、アンテナコイル33A,33Bの配線形状タイプが長方形タイプのものは、電磁波に対する反応が強い非接触ICカード30Aに採用されており、アンチコリジョンタイプのものは電磁波に対する反応が弱い非接触ICカード30Bに採用されている。なお、図4および図5には、非接触ICカード30Aおよび非接触ICカード30Bを後述する非接触ICカード通信調整板1に重ねた使用状態における、非接触ICカード通信調整板1に積層されている磁性シート20の位置を隠れ線で示してある。
【0034】
非接触ICカード通信調整板1を使用する非接触ICカード30A,30Bは、カード型の本体31にICチップ32と該ICチップ32に接続されたアンテナコイル33A,33Bとが埋設されたものであり、電磁波を利用して無線で非接触に外部読取装置40との間でデータやプログラムの読み書きを行うものである。ICチップ32は、アンテナコイル33A,33Bに囲まれた内側の領域に配置されている。外部読取装置40はカードリーダ・ライタ等である。
【0035】
図6に示したように、外部読取装置40側から非接触ICカード30に誘導電磁波を照射すると、非接触ICカード30側ではアンテナコイル33A,33Bが誘導電磁波を受信して、アンテナコイル33A,33Bに誘導起電力が生じる。この誘導起電力が非接触ICカード30A,30Bの駆動電力となるとともに誘導電磁波に重畳された電磁波によりICチップ32に記憶されたデータが外部読取装置40によって読み取られる。
【0036】
このような非接触ICカード30A,30Bに重ね合わせて使用する非接触ICカード通信調整板1は、外部読取装置40と非接触ICカード30A,30Bとの間での通信を防止するために、非接触ICカード30A,30Bと外部読取装置40との間の電磁波を遮断ないし減衰させる作用を発揮することができるようにしたものである。
【0037】
図1から図5までに示すように、非接触ICカード通信調整板1は、電磁波を遮断ないし減衰させるためのシールドシート10に電磁波が透過する磁性シート20を積層したものである。この非接触ICカード通信調整板1は、上記したように外部読取装置40と非接触ICカード30との間で行われる非接触の通信状態を調整するために使用するものである。
【0038】
本実施の形態における非接触ICカード通信調整板1は、そのシールドシート10が非接触ICカード30A,30Bのカード型の本体31の外寸と略同寸同形に形成されている。したがって、非接触ICカード通信調整板1は、非接触ICカード30A,30Bと重ね合わせたときに非接触ICカード30A,30Bに内蔵されるアンテナコイル33A,33Bより大きいので、非接触ICカード通信調整板1を非接触ICカード30A,30Bに重ね合わせたときに、非接触ICカード通信調整板1の周縁からの電磁波の回り込みを減少させて、外部読取装置40と非接触ICカード30との間の電磁波を確実に遮断ないし減衰させるようにすることができる。
【0039】
非接触ICカード30のアンテナコイル33A,33Bは、送信と受信を兼用するものであるが、これには限定されず、送信用アンテナコイルと受信用アンテナコイルとを別個に備えていてもよい。送信用と受信用とに別個のアンテナコイルを備えている場合には、いずれか一方のアンテナコイルをシールドシート10により遮蔽することができれば、非接触ICカード30と外部読取装置40との通信を防止することができる。
【0040】
このシールドシート10は、導電性を有することによって電磁シールド効果が得られる素材を用いて形成されている。金属であれば、例えば、金、銀、白金、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル等である。また、金属以外の物質としては、例えば導電性セラミックなどを用いることができる。これら金属等は、板状に形成したものが使用される。
【0041】
シールドシート10は、所定の媒体から成る基体(Base)にメッシュ状、ラティス状、箔状、あるいは板状等に形成した金属等を貼付等して設けたものであってもよい。基体の素材としては、例えば、シート状のプラスチック、布、紙等を使用することができる。
【0042】
また、シールドシート10は、平板状に形成した基体に粉状の金属等を塗布したものであってもよい。また、粉状のプラスチックに金属粉を含有させ、これを層状に成形したものであってもよい。さらに、層状の基体に金属等を貼付したり、縫い込んだりしてシールドシート10を構成するようにしてもよい。
【0043】
基体に使用するプラスチックは、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)その他の任意の樹脂材料を用いることができる。これら樹脂材料を基体とする場合、シールドシート10は、基体中に導電性パウダーが混入されたプラスチックフィルム状に形成されたものや表面に金属薄膜が蒸着されたプラスチックフィルム状に形成されたもの、表面に金属箔が貼り付けられたプラスチックフィルム状に形成されたものや表面に導電性樹脂が塗布されたプラスチックフィルム状に形成されたもの、他にも内部に金属線又は金属製の網が埋め込まれたプラスチックフィルム状に形成されたもの等にすることができる。
以上のようにして形成したシールドシート10は、透過しようとする電磁波を遮蔽することができる。
【0044】
このシールドシート10に積層する磁性シート20は、非接触により外部読取装置40と通信する非接触ICカード30が当該外部読取装置40と通信するのを誘導する役割を果たすものであり、シールドシート10との組み合わせにより、非接触ICカード30の通信状態を好適に調整するものである。
【0045】
図1に示すように、本実施の形態の非接触ICカード通信調整板1は、シールドシート10に積層される磁性シートとして独自の形状を有する大片の磁性シート20がシールドシート10に積層されている。図1においては、シールドシート10の片面だけに磁性シート20が積層されているように示したが、両面に積層してもよい。
【0046】
磁性シート20を片面だけに積層したものでは、その片面を使用する場合にのみ非接触ICカード通信調整板1としての機能が発揮されるが、磁性シート20を両面に積層したものでは、非接触ICカード通信調整板1の両側に1枚ずつ非接触ICカード30を重ねてそれぞれの非接触ICカード30を使用することができる。
【0047】
磁性シート20は、透磁率μに優れた材料が使用される。例えば、使用する電磁波の周波数において、比透磁率は100以上のものが好ましく、より好ましくは1000以上のものである。具体的には、パーマロイ、フェライト、センダスト、方向性ケイ素鋼等を使用することができる。これにより、磁性シート20は、電磁波を空気層よりも高密度に透過させることができる。
【0048】
シールドシート10の両面に積層する磁性シート20,20は、同一の形状のものである。磁性シート20は、電磁波に対する応答性の高い非接触ICカード30Aのアンテナコイル33Aについては該アンテナコイル33A全体のうち所定の割合とは重ならず、且つ電磁波に対する応答性の低い非接触ICカード30Bのアンテナコイル33Bについては該アンテナコイル33B全体に重なる形状を有しており、また、一部分のみがシールドシート10の周縁に至っている。このシールドシート10の周縁に至っている一部分の長さは、応答性の高い非接触ICカード30Aに対しても裏読みすることがない程度であり、例えば3mm程度である。また、所定の割合とは、例えば70〜80%である。なお、これらの数値は、シールドシート10や磁性シート20の特性により異なるものであるので、単なる例示である。
【0049】
図1に例示したものは、全体形状が平行四辺形に似ている2回回転対称の形状のものである。磁性シート20は、シールドシート10の長辺11に沿って延びる長辺部21と、該長辺部21の一端から延びる短辺部22とを有している。
【0050】
長辺部21は、短辺部22が延びる一端とは異なる他端のみがシールドシート10の短辺12に至っている。一方、短辺部22側は、長辺部21から延びる一端とは異なる他端のみがシールドシート10の短辺12に至っている。短辺部22側は、長辺部21から延びる一端から磁性シート20の長辺部21がシールドシート10の短辺12に至っている位置に近づく方向に向かって延びている。
【0051】
図4に示したように、磁性シート20は、非接触ICカード通信調整板1を非接触ICカード30Aに重ね合わせた使用状態において、長方形タイプのアンテナコイル33Aに対しては、アンテナコイル33Aの一部分が磁性シート20の短辺部22の外側に位置する形状を有している。すなわち、長方形タイプのアンテナコイル33Aに対しては、その一部と重ならない形状になっている。これにより、電磁波に対して反応が強い非接触ICカード30Aの反応度合いを緩和させて、適切な応答性能にすることができる。
【0052】
一方、図5に示したように、上記の磁性シート20の形状は、非接触ICカード通信調整板1を非接触ICカード30Bに重ね合わせた使用状態において、木の葉型のアンチコリジョンタイプのアンテナコイル33Bに対しては、アンテナコイル33Bの全てと重なる形状を有している。これにより、電磁波に対する反応が弱い非接触ICカード30Bに対しては、非接触ICカード30Bの有する最大限の応答性能を発揮させることができる。
【0053】
このように、磁性シート20は、応答性の高い非接触ICカード30Aに対しては反応の度合いを緩和させて応答性能を適切にするとともに応答性の低い非接触ICカード30Bに対しては非接触ICカード30Bの応答性能を限界まで発揮させることができる。これにより、磁性シート20を両面に有する非接触ICカード通信調整板1を使用することによって、非接触ICカード通信調整板1の両側に1枚ずつ非接触ICカード30を重ねた状態で使用する際に、非接触ICカード30Aを2枚の組合せであっても、非接触ICカード30Bを2枚の組合せであっても、非接触ICカード30Aと非接触ICカード30Bとを1枚ずつの組合せの場合であっても何れにおいても読込みエラーの発生を極めて少なくすることができる。
【0054】
次に本実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板1の作用を説明する。
図3は、本実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板1の両面に磁性シート20を設けたものに非接触ICカード30を重ね合わせた使用状態での非接触ICカード通信調整板1の作用を説明する図である。図示した使用状態では、非接触ICカード通信調整板1のシールドシート10に磁性シート20が積層された両面それぞれに非接触ICカード30,30が重ね合わせられている。
【0055】
図3において、矢印は、非接触ICカード30,30の情報を読み取るための電磁波(信号)を示している。また、「○」印は、通信が正常に行われることを示し、「×」印は、通信が正常に行われないことを示す。
【0056】
図3においてシールドシート10の左側から非接触ICカード30に向かう電磁波は、非接触ICカード30の裏面側に配置されている磁性シート20によってシールドシート10の影響が軽減される。これにより、非接触ICカード30は、外部からの電磁波を問題なく受信することができ、また、非接触ICカード30から電磁波を発信することができる。
【0057】
これは、高透磁率である磁性シート20中には磁界が集中しやすいため、非接触ICカード30も磁界の中に置かれることによるものである。このため、非接触ICカード30は、外部からの電磁波を受信し、また、電磁波を発信することができる。したがって、シールドシート10の左側から非接触ICカード30に向かう方向に外部読取装置40が電磁波を発信したときには、非接触ICカード30と外部読取装置40との間で通信をすることができる。
【0058】
なお、「×」印のついた矢印は、磁性シート20の短辺部22の外側、すなわち磁性シート20が重ならない部分における電磁波の作用を示している。この部分は、重ねた非接触ICカード30が応答性の高い非接触ICカード30Aである場合には、そのアンテナコイル33Aが磁性シート20に重ならない部分である。
【0059】
この部分に向かう左側からの電磁波は、非接触ICカード通信調整板1のシールドシート10によって遮蔽されるので、シールドシート10の右側に重ね合わせられた非接触ICカード30に到達することはない。このため、右側の非接触ICカード30が非接触ICカード通信調整板1を挟んで反対側から来る電磁波を受信してしまうことはなく、外部読取装置40と非接触ICカード30との間の不所望の通信を防止することができる。
【0060】
このような作用は、シールドシート10の右側から非接触ICカード30に向かう電磁波についても全く同様のことが言える。
【0061】
一般に、導体(シールドシート10)の内部には電磁波が存在せず、また、空気と導体との境界面でも境界条件より電磁波が充分に存在しない性質を有する。このため、例えば図3に示すように右側の非接触ICカード30を読み取るための電磁波が右側から発信されても、右側の非接触ICカード30の裏面に配置されるシールドシート10のために電磁波が減衰してしまう。これにより、右側の非接触ICカード30は、自身に対して電磁波を発信した外部読取装置40と通信することができない。
【0062】
また、左側の非接触ICカード30に対してシールドシート10の右側から進行して来る電磁波は、左側の非接触ICカード30に対してシールドシート10の左側から進行して来る電磁波がシールドシート10に遮断されてしまうのと同様にシールドシート10によって遮断されるので、左側の非接触ICカード30に到達することがない。このため、左側の非接触ICカード30による電磁波の受信は行われず、シールドシート10の右側にある外部読取装置40と左側の非接触ICカード30との通信は妨げられる。
【0063】
本実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板1によれば、非接触ICカード通信調整板1を構成するシールドシート10が非接触ICカード30の外寸とほぼ同寸同形に形成されているので、シールドシート10と非接触ICカード30とを重ね合わせた使用状態において、厚みは非接触ICカード通信調整板1の分だけ厚くなるが、全体が非接触ICカード30よりも嵩張ってしまうことがない。
【0064】
また、磁性シート20は、電磁波に対する応答性の高い非接触ICカード30Aに対しては、そのアンテナコイル33A全体には重ならず、アンテナコイル33Aの一部とは重ならない形状であるので、この一部の重ならない部分では、アンテナコイル33Aは外部読取装置40との通信をすることができない。すなわち、電磁波に対する非接触ICカード30Aの反応度合いがその分低下する。
【0065】
これにより、非接触ICカード30Aが外部読取装置40に対して非接触ICカード通信調整板1の裏側に重ねられている場合に、外部読取装置40と非接触ICカード30Aとの間に通信が行われてしまうことを防止することができる。すなわち、裏読みによる読取りエラーを防止することができる。非接触ICカード30Aを使用する場合、すなわち非接触ICカード30Aを外部読取装置40と対面するように向けたときに、非接触ICカード30Aは電磁波に対する反応が強いので、外部読取装置40と非接触ICカード30Aとの間の通信は確実且つ正常に行われる。
【0066】
さらに、磁性シート20の形状は、電磁波に対する応答性の低い非接触ICカード30Bのアンテナコイル33B全体に重なるので、非接触ICカード30Bはそのもてる最大の通信性能を発揮することができ、非接触ICカード30Bを使用するために非接触ICカード30Bを外部読取装置40と対面するように向けたときに、外部読取装置40と非接触ICカード30Bとの間で確実で正常な通信が行われる。
【0067】
また、外部読取装置40に対して非接触ICカード通信調整板1の裏側に非接触ICカード30Bを重ね合わせた場合、非接触ICカード30B自体は電磁波に対する反応が弱いので、アンテナコイル33B全体が磁性シート20に重なっていても、外部読取装置40と非接触ICカード30Bとの間には非接触ICカード通信調整板1のシールドシート10が存在しているので、裏読みが起こることが防止される。
【0068】
次に、本発明に係る非接触ICカード通信調整板1を収納して使用する非接触ICカード収納具50の形態について説明する。
図8は、非接触ICカード収納具50を示す斜視図である。
図示した非接触ICカード収納具50は、カードケースタイプのものである。この非接触ICカード収納具50は、非接触ICカード30を収納したままで非接触ICカード30と外部読取装置40とを非接触で通信することができるようにしたものである。
【0069】
この非接触ICカード収納具50は、断面が略矩形状のICカード収納部51が形成されている。収納部51には、該内部を2つに仕切るように前記した実施の形態に係る非接触ICカード通信調整板1が取り付けられている。
【0070】
非接触ICカード通信調整板1は、ICカード収納部51から脱落しないように、接着、溶着、縫付け、または取りだし口に滑り防止の凸形状やフタを設けて取り付けられている。
【0071】
ICカード収納部51は、非接触ICカード30を収納したときに、非接触ICカード30と非接触ICカード通信調整板1とが相対的に上下方向ないし左右方向にほとんどずれることなく重なるような大きさおよび形状に形成されている。
【0072】
非接触ICカード30は、非接触ICカード通信調整板1によって2つの部分に仕切られたICカード収納部51の何れの部分にも収容することができる。ICカード収納部51内に取り付けられたものが磁性シート20を片面だけに配設した非接触ICカード通信調整板1である場合には、2つに仕切られた部分の何れに非接触ICカード30を収納するかによって非接触ICカード通信調整板1の作用効果が異なるので、適宜に判断して非接触ICカード30を収納すればよい。
【0073】
なお、ICカード収納部51の内に取り付けられたものが磁性シート20を片面だけに積層した非接触ICカード通信調整板1である場合には、ICカード収納部51の内部を2つに仕切るのではなく、非接触ICカード通信調整板1をICカード収納部51の内壁の一部に沿うように取り付けてもよい。
【0074】
ICカード収納部51内に取り付けられたものが磁性シート20を両面に積層した非接触ICカード通信調整板1である場合には、2つに仕切られた部分の何れに非接触ICカード30を収納しても非接触ICカード通信調整板1の作用効果は同じである。
【0075】
以上のように構成された非接触ICカード収納具50は、ICカード収納部51に非接触ICカード30を収納したままで非接触ICカード30と外部読取装置40との通信を可能にしたり、防止したりの調整をすることができる。
【0076】
なお、図示した非接触ICカード収納具50は、断面が略矩形状のICカード収納部51を有するものであるが、カード状のベース部材に、空間的な遊びが殆どないポケットを備え、該ポケット内のベース部材側に非接触ICカード通信調整板1を取り付けて、そのポケットに非接触ICカード30を差し込むようにしたものでもよい。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、本実施の形態においては、磁性シート20は、図示したような四辺形のような形状としたが、図7に例示したような形状でも良い。
また、磁性シート20は直線状の辺によって形成されているものを示したが曲線を含む形状のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る非接触ICカード通信調整板の思想は、非接触ICカードの情報を外部読取装置で読み取るような使用態様のものであれば、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…非接触ICカード通信調整板
1A…非接触ICカード通信調整板
10…シールドシート
11…長辺
12…短辺
20…磁性シート
21…長辺部
22…短辺部
30…非接触ICカード
30A…非接触ICカード
30B…非接触ICカード
31…本体
32…ICチップ
33A…アンテナコイル
33B…アンテナコイル
40…外部読取装置
50…非接触ICカード収納具
51…ICカード収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8