(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る光給電型水位計は、
図1に示すように発信器G(水位検出器)、光ケーブルC及び変換器Tを備えている。
【0012】
発信器Gは、計測対象に水没して使用されるものであり、計測対象の水位を検出し、当該水位を示す上り通信用光信号を変換器Tに送信する水位検出器である。この発信器Gは、光ケーブルCを介して変換器T(外部)から受信する給電用光信号に基づいて電力を取得し、当該電力によって作動する。このような発信器Gは、
図1に示すように、検出部1、制御部2、通信用光送信部3、通信用光受信部4及び給電用光受電部5を備えている。
【0013】
検出部1は、計測対象の水圧から水位を検出し、当該水位を示す水位データを制御部2に出力する。制御部2は、発信器Gの全体的の動作を統括的に制御するものであり、検出部1から上記水位データを取得し、変換器Tから受信したデータ送信要求に応じて水位データを変換器Tに送信する。
【0014】
制御部2は、発信器Gから取得した水位データを所定のデータフレームに格納し、当該データフレームを所定のクロック信号を多重化した多重化信号を上り通信信号として通信用光送信部3に出力する。このような多重化信号は、RZ(Return to Zero)方式のデジタル信号(RZ信号)である。
【0015】
通信用光送信部3は、制御部2から入力された上り通信信号(電気信号)を上り光通信信号に変換して光ケーブルCに出力する光電変換回路である。この通信用光送信部3は、レーザダイオードを用いることにより上り通信信号(電気信号)を所定波長のレーザ光である上り光通信信号に変換する。なお、上記上り光通信信号は、本実施形態における通信信号である。
【0016】
通信用光受信部4は、光ケーブルCから入力される下り光通信信号(レーザ光)を下り通信信号(電気信号)に変換する光電変換回路である。給電用光受電部5は、光ケーブルCから入力される給電用光信号(CWレーザ光:Continuous Wave Laser)を給電電力(直流電力)に変換する光電変換回路である。
【0017】
光ケーブルCは、発信器Gと変換器Tとの間に設けられ、給電用光ファイバC1、下り通信用光ファイバC2及び上り通信用光ファイバC3(水位データ伝送線)を備えている。このような光ケーブルCは、給電用光ファイバC1、下り通信用光ファイバC2及び上り通信用光ファイバC3という3本の光ファイバが単一のシースで被覆されたものであり、外見的には1本のケーブルである。
【0018】
給電用光ファイバC1は、変換器Tから入力される光給電信号を発信器Gに伝送する光伝送線路である。下り通信用光ファイバC2は、変換器Tから入力される下り光通信信号を発信器Gに伝送する光伝送線路である。上り通信用光ファイバC3は、発信器Gから入力される上り光通信信号を変換器Tに伝送する光伝送線路である。
【0019】
このような光給電信号、下り光通信信号及び上り光通信信号を伝送する光ケーブルCは、発信器Gに対して固定的に接続されているが、変換器Tに対しては着脱自在に接続されている。すなわち、給電用光ファイバC1、下り通信用光ファイバC2及び上り通信用光ファイバC3の一端は発信器Gに固定され、一方、給電用光ファイバC1、下り通信用光ファイバC2及び上り通信用光ファイバC3の他端は、光コネクタF1〜F3を介して変換器Tに接続される。
【0020】
一方、変換器Tは、地上に設けられるものであり、発信器Gから受信した水位データを保存あるいはデータ変換する装置である。この変換器Tは、
図1に示すように、通信用光送信部7、通信用光受信部8、制御部9(故障診断部)、データ処理部10、給電用光送電部11及び電源部12を備えている。
【0021】
通信用光送信部7は、制御部9から入力される下り通信信号(電気信号)を下り光通信信号に変換して下り通信用光ファイバC2に出力する光電変換回路である。この通信用光送信部7は、レーザダイオードを用いることにより下り通信信号(電気信号)を所定波長のレーザ光である下り光通信信号に変換する。通信用光受信部8は、上り通信用光ファイバC3から入力される上り光通信信号を受信RZ信号(電気信号)に変換して制御部9に出力する光電変換回路である。
【0022】
制御部9は、変換器Tの全体的の動作を統括的に制御するものであり、通信用光送信部7に対して下り通信信号を出力すると共に、通信用光受信部8から入力される受信RZ信号をNRZ(Non Return to Zero)方式のデジタル信号(NRZ信号)に変換する。
【0023】
上記上り通信信号は、クロック信号とデータフレームとが多重化された多重化信号である。制御部9は、このような上り通信信号に基づいて通信用光送信部3→上り通信用光ファイバC3→通信用光受信部8を介して入力された受信RZ信号のデータフレームから水位データを抽出し、当該水位データをデータ処理部10に出力する。また、制御部9は、データ処理部10から水位データを取得して外部に送信する。
【0024】
また、詳細については後述するが、制御部9は、給電用光送電部11から入力される各種のモニタ信号に基づいて給電用光送電部11を構成する各回路素子の状態を監視する。また、制御部9は、上記モニタ信号に基づく監視の結果、各回路素子の故障の発生を検知し、当該検知の結果に基づいて警告(警報)を外部に報知(出力)する。すなわち、制御部9は、本実施形態における故障診断部である。
【0025】
データ処理部10は、制御部9等を介して発信器Gから順次取得した水位データを蓄積すると共に当該水位データを制御部9を介して外部に提供する。このデータ処理部10は、このような水位データの記憶・送信機能に加えて、水位データの表示機能や印刷機能をも備えている。すなわち、データ処理部10は、付帯的に設けられる操作部が受け付ける管理者の操作指示に基づいて水位データに各種処理を施す。
【0026】
給電用光送電部11は、電源部12から入力される直流電圧に応じて光給電信号を発生させて給電用光ファイバC1に出力する光発生回路である。また、この給電用光送電部11は、自らを構成する主要回路素子の動作状態を示すモニター信号を生成して制御部9に出力する。
【0027】
このような給電用光送電部11は、
図2に示すように、レーザダイオード11a、駆動トランジスタ11b、ドレイン抵抗11c、ソース抵抗11d、ゲート抵抗11e、フォトダイオード11f、第1分割抵抗11g、第2分割抵抗11h、バッファ11i、第1増幅器11j、第2増幅器11k、TEC(Thermoelectric Cooler)11m、サーミスタ11n(温度検出素子)、TEC駆動回路11p、第3増幅器11q及びヒートシンク温度センサ11rから構成されている。
【0028】
レーザダイオード11aは、上記光給電信号を発光する光電変換素子であり、アノード端子がドレイン抵抗11cの一端に接続され、またカソード端子が駆動トランジスタ11bのドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタ11bは、上記レーザダイオード11aに通電する電流(LD駆動電流)を設定するトランジスタであり、図示するようにNチャネル型MOSFETである。この駆動トランジスタ11bについて、ドレイン端子は上記レーザダイオード11aのカソード端子に接続され、ソース端子はソース抵抗11dの一端及び第1増幅器の入力端に接続され、ゲート端子はゲート抵抗11eの一端及びバッファ11iの出力端に接続されている。
【0029】
ドレイン抵抗11cは、上記駆動トランジスタ11bとともにレーザダイオード11aの駆動電流を設定する抵抗器であり、一端がレーザダイオード11aのアノード端子に接続され、他端が電源(所定電圧のプラス電源)に接続されている。ソース抵抗11dは、同じく駆動トランジスタ11bとともにレーザダイオード11aの駆動電流を設定する抵抗器であり、一端が駆動トランジスタ11bのソース端子に接続され、他端が接地されている。ゲート抵抗11eは、駆動トランジスタ11bのゲート電圧を設定する抵抗器であり、一端が駆動トランジスタ11bのゲート端子に接続され、他端が接地されている。
【0030】
このようなレーザダイオード11a及び駆動トランジスタ11bは、比較的大きな電流であるLD駆動電流が流れるので、発熱量が比較的多い発熱部品である。したがって、給電用光送電部11にはヒートシンクHSが設けられている。このヒートシンクHSは、レーザダイオード11a及び駆動トランジスタ11bが発する熱を周囲に放熱する放熱部品である。
【0031】
フォトダイオード11fは、レーザダイオード11aが発光する光給電信号の一部を受光する受光素子であり、アノード端子が第1分割抵抗の一端及びバッファ11iの入力端に接続され、カソード端子が上記電源に接続されている。このようなフォトダイオード11fは、光給電信号の一部の受光強度に応じた電流(PD電流)をアノード端子から出力する。
【0032】
第1分割抵抗11g及び第2分割抵抗11hは、上記PD電流を電圧(PD電圧)に変換すると共に当該PD電圧を抵抗分圧する一対の抵抗器である。第1分割抵抗11gについては、一端がフォトダイオード11fのアノード端子及びバッファ11iの入力端に接続され、他端が第2分割抵抗11hの一端及び第2増幅器の入力端に接続されている。第2分割抵抗11hについては、一端が第1分割抵抗11gの他端及び第2増幅器の入力端に接続され、他端が接地されている。
【0033】
バッファ11iは、上記PD電圧を入力信号とするバッファ回路であり、入力端がフォトダイオード11fのアノード端子及び第1分割抵抗11gの一端に接続され、出力端が駆動トランジスタ11bのゲート端子及びゲート抵抗11eの一端に接続されている。このバッファ11iは、例えば演算増幅器(OPアンプ)の正相入力端を上記PD電圧の入力端とし、かつ逆相入力端と出力端とが直接接続された回路(ボルテージフォロア)である。
【0034】
第1増幅器11jは、駆動トランジスタ11bのソース電圧を増幅する増幅回路であり、入力端が駆動トランジスタ11bのソース端子及びソース抵抗11dの一端に接続され、他端が制御部9に接続されている。上記ソース電圧は、駆動トランジスタ11bのドレイン電流であるLD駆動電流に依存する電圧である。第1増幅器11jは、このようなソース電圧を増幅することにより、LD駆動電流を示すLD電流モニター信号を制御部9に出力する。
【0035】
第2増幅器11kは、上記PD電圧の抵抗分圧を増幅する増幅回路であり、入力端が第1分割抵抗11gの他端及び第2分割抵抗11hの一端に接続され、他端が制御部9に接続されている。上記PD電圧の抵抗分圧は、フォトダイオード11fから出力されるPD電流に依存する電圧である。第2増幅器11kは、このようなPD電圧の抵抗分圧を増幅することにより、PD電流を示すPD電流モニター信号を制御部9に出力する。
【0036】
TEC11mは、複数のペルチェ素子がアレイ状に接続された熱電素子である。ペルチェ素子は、周知のように外部から通電される電流(TEC駆動電流)に応じて発熱あるいは吸熱を生じる半導体素子である。TEC11mは、このようなペルチェ素子がアレイ状に複数接続されたものであり、TEC駆動回路11pによってTEC駆動電流が制御されることによりレーザダイオード11aを能動的に冷却する。サーミスタ11nは、レーザダイオード11aの温度(LD温度)を検出する温度検出素子である。
【0037】
TEC駆動回路11pは、上記TEC11m及びサーミスタ11nが接続されており、上記サーミスタ11nが検出するLD温度に基づいてTEC駆動電流をフィードバック制御する。このTEC駆動回路11pは、専用ICによって実現されるものであり、TEC11mが備える一対の入力端子に接続される一対の給電端子、サーミスタ11nの一対の出力端子に接続される一対の入力端子、第3増幅器11qの入力端に上記TEC駆動電流のモニター電流(TECモニター電流)を出力する出力端子、またLD温度を外部(制御部9に)に出力する出力端子を備えている。
【0038】
このようなTEC駆動回路11pは、TEC11m及びサーミスタ11nと共にレーザダイオード11aの温度を許容範囲に維持する温度調節部を構成している。すなわち、TEC駆動回路11pは、サーミスタ11nが検出するLD温度に基づいてTEC11mに通電するTEC駆動電流を調節することにより、レーザダイオード11aの温度を許容範囲内に維持する。
【0039】
第3増幅器11qは、上記TECモニター電流を増幅する増幅回路であり、入力端が上記TEC駆動回路11pに接続され、出力端が制御部9に接続されている。ヒートシンク温度センサ11rは、上述したヒートシンクHSの温度(HS温度)を検出する温度センサである。このヒートシンク温度センサ11rは、上記HS温度を示すHS温度モニター信号を制御部9に出力する。
【0040】
図1に戻って、電源部12は、外部から供給される所定電圧の直流電力を電圧変換し、変換器Tの各部に電源として供給するDC−DCコンバータである。また、この電源部12は、上記直流電圧を生成し、制御部9から入力される給電停止信号に基づいて直流電圧の給電用光送電部11への出力/非出力を切り替える。すなわち、制御部9から給電停止信号が入力されない状態では制御電圧(直流電圧)を給電用光送電部11に出力し、一方、制御部9から給電停止信号が入力されると、直流電圧の給電用光送電部11への出力を停止する。
【0041】
この結果、制御部9から電源部12に給電停止信号が入力されない状態では、給電用光送電部11から給電用光ファイバC1に光給電信号が出力され、一方、制御部9から電源部12に給電停止信号が入力されると、給電用光送電部11から給電用光ファイバC1への光給電信号の出力が停止する。
【0042】
次に、このように構成された光給電型水位計の動作について、
図3も参照して詳しく説明する。
【0043】
変換器Tが動作を開始する場合、管理者は、最初に変換器Tに対して電源投入を行う。この結果、電源部12が変換器Tを構成する各部に電源の供給を開始するので、変換器Tは本来の動作を開始する。そして、管理者は、キースイッチを操作することにより変換器Tから発信器Gへの光給電を開始させる。すなわち、キースイッチが操作されると、給電用光送電部11のフォトダイオード11fが発光開始制御光の受光を開始し、この結果として駆動トランジスタ11bをOFF状態からON状態に変化させるためのゲート電圧が駆動トランジスタ11bのゲート端子に供給される。
【0044】
そして、このゲート電圧に基づいて駆動トランジスタ11bがON状態になることにより、レーザダイオード11aにLD駆動電流(IF)が流れて一定強度の光給電信号(CW光)が給電用光ファイバC1に出力される。発信器Gの給電用光受光部5は、給電用光ファイバC1から入力される光給電信号(CW光)を光電変換することにより電源を各部に供給する。すなわち、光給電信号(CW光)による変換器Tから発信器Gへの光給電により、発信器Gは本来の動作を開始する。
【0045】
制御部9は、上述した各種モニター信号を所定のタイムインターバルでサンプリングすることによりデジタル信号として取得する。このような制御部9は、給電用光送電部11が光給電信号(CW光)を発生させていない状態(給電OFF状態)、つまり電源投入後においてキースイッチが管理者によって操作される前の状態において、LD電流モニター信号に基づいてLD駆動電流(IF)が例えば20mAを超えているか否かを判定する(ステップS1)。
【0046】
ここで、給電OFF状態では駆動トランジスタ11b(LDドライバ)がOFF状態なので、LD駆動電流(IF)は基本的に流れないが、駆動トランジスタ11b(LDドライバ)に何らかの異常が発生してOFF抵抗が低下すると、LD駆動電流(IF)が暗電流として流れて20mAを超える場合がある。制御部9は、上記ステップS1の判定結果が「Yes」の場合、駆動トランジスタ11b(LDドライバ)が故障していることを示す警告(LD故障警告)を外部に報知する(ステップS2)。
【0047】
一方、制御部9は、上記ステップS1の判定結果が「No」の場合には、PD電流モニター信号に基づいて給電OFF状態におけるPD電流(IM)が例えば1μAを超えているか否かを判定する(ステップS3)。フォトダイオード11fは、給電OFF状態、つまり発光開始制御光を受光していない状態において、PD電流を基本的に出力しないが、フォトダイオード11fに何らかの異常が発生すると、PD電流(IM)が暗電流として流れて1μAを超える場合がある。したがって、制御部9は、上記ステップS3の判定結果が「Yes」の場合、フォトダイオード11fが故障していることを示す警告(PD故障警告)を外部に報知する(ステップS4)。
【0048】
そして、制御部9は、上記ステップS3の判定結果が「No」の場合には、LD電流モニター信号に基づいてLD駆動電流(IF)の所定期間における変化が予め記憶しているIFしきい値よりも大きいか否かを判定する(ステップS5)。
【0049】
ここで、給電用光送電部11は、正常状態においては一定強度の光給電信号(CW光)を出力するように構成されている。すなわち、LD駆動電流(IF)は、給電用光送電部11が正常な状態において一定の値となるので、上記ステップS1の判定結果が「Yes」になる状態は、給電用光送電部11を構成する回路素子の何れかが本来の機能を発揮していないことになる。
【0050】
そして、本来の機能を発揮していない回路素子として、例えばレーザダイオード11a、駆動トランジスタ11b(LDドライバ)及びTEC11mが考えられる。したがって、制御部9は、上記ステップS1の判定結果が「Yes」の場合、レーザダイオード11a、駆動トランジスタ11b(LDドライバ)あるいはTEC11mが故障していることを示す警告(故障警告)を外部に報知する(ステップS6)。
【0051】
一方、制御部9は、上記ステップS5の判定結果が「No」の場合には、TEC温度モニター信号に基づいてTEC温度が所定の温度範囲、つまり例えば23℃よりも大きく、かつ、27℃よりも小さいか否かを判定する(ステップS7)。TEC温度は、TEC11m、TEC駆動回路11pが正常に機能している場合かつ周囲温度が正常な場合、上記温度範囲内の値となるが、TEC駆動回路11pが正常に機能している場合あるいは/及び周囲温度が正常な場合には、上記温度範囲から逸脱することになる。したがって、制御部9は、上記ステップS7の判定結果が「Yes」の場合、TEC11mあるいはTEC駆動回路11pの故障または環境温度の異常を示す警告を外部に出力する(ステップS8)。
【0052】
さらに、制御部9は、上記ステップS7の判定結果が「No」の場合には、HS温度モニター信号に基づいてHS温度が例えば70℃よりも大きいか否かを判定する(ステップS9)。給電用光送電部11は、環境温度が通常温度範囲にある場合においてHS温度が70℃以下にならないように設計されているので、上記ステップS5の判定結果が「Yes」の場合は、環境温度が通常温度範囲を上回った場合となる。したがって、制御部9は、この場合には環境温度の異常を示す警告を外部に出力する(ステップS10)。そして、制御部9は、ステップS5の判定結果が「No」の場合には、上述したステップS1の判定処理を行うことにより、ステップS1〜S10を一定時間毎に繰り返す。
【0053】
本実施形態によれば、制御部9がステップS1〜S10の各処理行うことによって、給電用光送電部11を構成する主な回路素子であるレーザダイオード11a、駆動トランジスタ11b、TEC11m等の故障を検知し、この検知結果に基づいて回路素子の故障を外部に報知する。したがって、本発明によれば、光給電信号を発生させる給電用光送電部11の異常に対して速やかな対応(故障対応)が可能である。
また、本実施形態によれば、ステップS7〜S10の各処理行うことによって、給電用光送電部11を構成する回路素子だけではなく、環境温度(変換器Tの周囲温度)の異常をも検知して外部に報知することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、給電用光送電部11を構成する回路素子の故障を検知したが、本発明はこれに限定されない。例えば、発信器Gの通信用光送信部3や変換器Tの通信用光送信部7も光電変換素子としてレーザダイオードを使用する光発生回路なので、給電用光送電部11に代えて発信器Gの通信用光送信部3や変換器Tの通信用光送信部7を構成する回路素子の故障を検知して外部に報知したり、あるいは給電用光送電部11に加えて発信器Gの通信用光送信部3や変換器Tの通信用光送信部7を構成する回路素子の故障を検知して外部に報知してもよい。
【0055】
(2)給電用光送電部11を構成する回路素子のうち比較的大きな電流が流れる関係で故障が懸念される素子は、レーザダイオード11a及び駆動トランジスタ11bであり、またこれらレーザダイオード11a及び駆動トランジスタ11bの中でも、レーザダイオード11aの故障が特に懸念される。したがって、上述したステップS1〜S10のうち、ステップS7〜S10あるいはステップS1〜S4,S7〜S10については割愛してもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、ステップS5においてLD駆動電流(IF)の変化がIFしきい値よりも大きいか否かを判定したが、本発明はこれに限定されない。レーザダイオード11a及び駆動トランジスタ11b等が正常な場合、LD駆動電流(IF)は所定の範囲内の電流値となる。したがって、LD駆動電流(IF)の変化に代えて、LD駆動電流(IF)に対する上限しきい値あるいは/及び下限しきい値を設定し、当該上限しきい値あるいは/及び下限しきい値とLD駆動電流(IF)とを比較することにより、レーザダイオード11a及び駆動トランジスタ11b等の故障を判定してもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、TEC11m、サーミスタ11n及びTEC駆動回路11pからなり、レーザダイオード11a等を能動的に冷却する温度調節部を設けたが、本発明はこれに限定されない。ヒートシンクHSのみによって十分な放熱効果が得られるのであれば、温度調節部を割愛してもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、ステップS1におけるしきい値を「20mA」、ステップS3におけるしきい値を「1μA」としたが、このようなしきい値(電流値)はあくまでも一例である。