特許第6482345号(P6482345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482345
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】血圧計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A61B5/022 E
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-61609(P2015-61609)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-179095(P2016-179095A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】築田 克美
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−075439(JP,A)
【文献】 米国特許第05277187(US,A)
【文献】 特開2013−252296(JP,A)
【文献】 特開平06−070893(JP,A)
【文献】 特開昭57−014321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02−5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブを介してカフの内部空間と連通する流路を有する本体と、前記流路に空気を送ることができるように前記本体に接続される送気球とを有する血圧計であって、前記本体が、
前記流路における前記送気球の側の第1部分から前記流路における前記カフの側の第2部分にダストが送られることを防止するように前記流路に配置されたフィルタと、
前記フィルタの目詰まりを検出するためのセンサ部と、
前記センサ部からの出力に基づいて前記目詰まりの発生を検出し、警告を出力する制御部と、を備え
前記センサ部は、前記第1部分と前記第2部分との間の圧力差を検出する差圧センサを含み、前記制御部は、前記差圧センサの出力に基づいて前記目詰まりを検出する、
ことを特徴とする血圧計。
【請求項2】
チューブを介してカフの内部空間と連通する流路を有する本体と、前記流路に空気を送ることができるように前記本体に接続される送気球とを有する血圧計であって、前記本体が、
前記流路における前記送気球の側の第1部分から前記流路における前記カフの側の第2部分にダストが送られることを防止するように前記流路に配置されたフィルタと、
前記フィルタの目詰まりを検出するためのセンサ部と、
前記センサ部からの出力に基づいて前記目詰まりの発生を検出し、警告を出力する制御部と、を備え、
前記センサ部は、前記第1部分の圧力を検出する第1圧力センサと、前記第2部分の圧力を検出する第2圧力センサとを含み、前記制御部は、前記第1圧力センサによって検出される圧力と前記第2圧力センサによって検出される圧力との差分に基づいて前記目詰まりを検出する、
ことを特徴とする血圧計。
【請求項3】
チューブを介してカフの内部空間と連通する流路を有する本体と、前記流路に空気を送ることができるように前記本体に接続される送気球とを有する血圧計であって、前記本体が、
前記流路における前記送気球の側の第1部分から前記流路における前記カフの側の第2部分にダストが送られることを防止するように前記流路に配置されたフィルタと、
前記フィルタの目詰まりを検出するためのセンサ部と、
前記センサ部からの出力に基づいて前記目詰まりの発生を検出し、警告を出力する制御部と、を備え、
前記センサ部は、発光素子と、前記発光素子が発生し前記フィルタを通過した光を検出する光センサとを含み、前記制御部は、前記光センサの出力に基づいて前記目詰まりを検出する、
ことを特徴とする血圧計。
【請求項4】
チューブを介してカフの内部空間と連通する流路を有する本体と、前記流路に空気を送ることができるように前記本体に接続される送気球とを有する血圧計であって、前記本体が、
前記流路における前記送気球の側の第1部分から前記流路における前記カフの側の第2部分にダストが送られることを防止するように前記流路に配置されたフィルタと、
前記フィルタの目詰まりを検出するためのセンサ部と、
前記センサ部からの出力に基づいて前記目詰まりの発生を検出し、警告を出力する制御部と、を備え、
前記センサ部は、前記送気球の操作によって前記フィルタが受ける力を検出するセンサを含み、前記制御部は、前記センサの出力に基づいて前記目詰まりを検出する、
ことを特徴とする血圧計。
【請求項5】
前記センサは、ひずみゲージを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の血圧計。
【請求項6】
前記送気球が操作されたことを検出する操作検出部を更に備え、前記センサ部は、前記操作検出部による検出結果に基づいて活性化される、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の血圧計。
【請求項7】
チューブを介してカフの内部空間と連通する流路を有する本体と、前記流路に空気を送ることができるように前記本体に接続される送気球とを有する血圧計であって、前記本体が、
前記流路における前記送気球の側の第1部分から前記流路における前記カフの側の第2部分にダストが送られることを防止するように前記流路に配置されたフィルタと、
前記フィルタの目詰まりを検出するためのセンサ部と、
前記センサ部からの出力に基づいて前記目詰まりの発生を検出し、警告を出力する制御部と、を備え、
前記送気球が操作されたことを検出する操作検出部を更に備え、前記センサ部は、前記操作検出部による検出結果に基づいて活性化される、
ことを特徴とする血圧計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送気球を有する血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
送気球を使ってカフに空気を送ることによってカフを膨らませ、これによって腕等を十分な圧力で圧迫し、その後、圧力を低下させながら検出される脈波に基づいて血圧を測定する血圧計がある。特許文献1には、送気球と血圧計本体筺体との接続部にフィルタ(ダストフィルタ)を設けた血圧計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−75439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルタが目詰まりを起こすと、送気球を操作してもカフの圧力を十分に上げることが難しくなる。このような不具合は、フィルタを清掃することによって解消するが、不具合の原因がフィルタの目詰まりであることを即座に気づくことは難しい。不具合の原因がフィルタの目詰まりであることに気が付かない場合、対処に長時間を要することになる。不具合の原因が特定できない場合には、血圧計が廃棄されたり、メーカーに修理依頼がなされたりし、非経済的である。
【0005】
本発明は、送気球を有する血圧計においてフィルタが目詰まりを起こしている場合の対処を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、チューブを介してカフの内部空間と連通する流路を有する本体と、前記流路に空気を送ることができるように前記本体に接続される送気球とを有する血圧計であって、前記本体が、前記流路における前記送気球の側の第1部分から前記流路における前記カフの側の第2部分にダストが送られることを防止するように前記流路に配置されたフィルタと、前記フィルタの目詰まりを検出するためのセンサ部と、前記センサ部からの出力に基づいて前記目詰まりの発生を検出し、警告を出力する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、送気球を有する血圧計においてフィルタが目詰まりを起こしている場合の対処を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態の血圧計の構成を示す模式図。
図2】本発明の第1実施形態におけるセンサ部の構成を示す模式図。
図3】本発明の第2実施形態におけるセンサ部の構成を示す模式図。
図4】本発明の第3実施形態におけるセンサ部の構成を示す模式図。
図5】本発明の第4実施形態におけるセンサ部の構成を示す模式図。
図6】本発明の他の実施形態の血圧計の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明をその例示的な実施形態を通して説明する。
【0010】
図1には、本発明の1つの実施形態の血圧計1の構成が示されている。血圧計1は、チューブ20を介してカフ10の内部空間12と連通する流路310を有する本体30と、流路310に空気を送ることができるように本体30に接続される送気球40とを有する。流路310は、送気球40の側の第1部分311と、カフ10の側の第2部分312とを有する。本体30は、流路310における送気球40の側の第1部分311から流路310におけるカフ10の側の第2部分312にダストが送られることを防止するように流路310に配置されたフィルタ(ダストフィルタ)315を備えている。
【0011】
本体30は、その他、圧力センサ330、電磁バルブ340、制御部350、表示部360、ブザー370を備えうる。本体30はまた、特徴的な構成として、フィルタ315の目詰まりを検出するためのセンサ部320を備えている。制御部350は、センサ部320からの出力に基づいてフィルタ315の目詰まりの発生を検出し、そのことを示す警告を出力する。これにより、フィルタ315が目詰まりを起こしている場合における医師または看護師等のユーザの対処を容易にすることができる。フィルタ315の目詰まりが発生したことを示す警告は、例えば、表示部360およびブザー370の少なくとも一方を利用して制御部350によって行われうる。
【0012】
被験者の血圧の測定は、次のようになされる。まず、送気球40を使って流路310およびチューブ20を介してカフ10の内部空間12に空気を送ることによってカフ10を膨らませ、これによって被験者の腕等が十分な圧力(カフ10の内部空間12の圧力)で圧迫される。その後、電磁バルブ340を開くことによって、カフ10の内部空間12の圧力を低下させながら圧力センサ330によってカフ10の内部空間12の圧力が検出される。制御部350は、この圧力の検出結果から脈波を抽出し、この脈波に基づいて血圧を決定する。このようにして測定された血圧は、表示部360に表示されうる。
【0013】
図2には、本発明の第1実施形態におけるセンサ部320の構成が模式的に示されている。流路310は、流路壁313によって構成されている。フィルタ315は、前述のように、流路310の第1部分311から流路310の第2部分312にダストが送られることを防止するように流路310に配置されている。フィルタ315の目詰まりが発生すると、送気球40から流路310に空気を送った時に第1部分311と第2部分312との間に圧力差が生じる。そこで、第1実施形態では、センサ部320は、第1部分311と第2部分312との間の圧力差を検出する差圧センサ401を含み、制御部350は、差圧センサ401の出力に基づいてフィルタ315の目詰まりを検出する。より具体的な例において、制御部350は、差圧センサ401の出力に基づいて、第1部分311と第2部分312との間の圧力差が所定値を超えた場合に、フィルタ315の目詰まりが発生したと判断する。
【0014】
図3には、本発明の第2実施形態におけるセンサ部320の構成が模式的に示されている。第2実施形態においても、フィルタ315の目詰まりは、第1部分311と第2部分312との間の圧力差に基づいて検出される。具体的には、第2実施形態では、センサ部320は、第1部分311の圧力(ゲージ圧力)を検出する第1圧力センサ501と、第2部分312の圧力(ゲージ圧力)を検出する第2圧力センサ502とを含む。ここで、第2圧力センサ502は、圧力センサ330で代用されてもよい。制御部350は、第1圧力センサ501によって検出される圧力と第2圧力センサ502によって検出される圧力との差分(つまり、圧力差)に基づいてフィルタ315の目詰まりを検出する。
【0015】
図4には、本発明の第3実施形態におけるセンサ部320の構成が模式的に示されている。第3実施形態では、フィルタ315の目詰まりは、フィルタ315の光透過率に基づいて検出される。具体的には、センサ部320は、LEDまたはレーザーダイオード等の発光素子602と、発光素子602が発生しフィルタ315を通過した光を検出するフォトダイオード等の光センサ603とを含み、制御部350は、光センサ603の出力に基づいてフィルタ315の目詰まりを検出する。ここで、より具体的な構成例において、センサ部320は、制御部350からの指令に従って発光素子602を駆動するドライバ(駆動回路)601と、光センサ603から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部350に提供するAD変換器604とを含みうる。一例において、発光素子602は、第1部分311に配置され、光センサ603は、第2部分312に配置されうる。他の例において、発光素子602は、第2部分312に配置され、光センサ603は、第1部分311に配置されうる。あるいは、発光素子602および光センサ603を第1部分311および第2部分312のうちの一方に配置し、反射面を有する部材を第1部分311および第2部分312のうちの他方に配置し、発光素子602が発生した光がフィルタ315を通過した後に前記反射面で反射され再びフィルタ315を通過して光センサ603に入射するようにしてもよい。前記反射面は、流路310の一部によって構成されてもよいし、送気球40の一部によって構成されてもよいし、他の構成要素によって構成されてもよい。
【0016】
図5には、本発明の第4実施形態におけるセンサ部320の構成が模式的に示されている。フィルタ315の目詰まりが発生すると、送気球40から流路310に空気を送った時に第1部分311と第2部分312との間に圧力差が生じる。つまり、第1部分311の圧力が第2部分312の圧力よりも高くなる。これによって、フィルタ315が第2部分312に向けて押し付けられる。そこで、第4実施形態では、フィルタ315の目詰まりは、送気球40の操作によってフィルタ315が受ける力に基づいて検出される。具体的には、センサ部320は、送気球40の操作によってフィルタ315が受ける力を検出するセンサ701を含み、制御部350は、センサ701の出力に基づいてフィルタ315の目詰まりを検出する。センサ701は、例えば、フィルタ315の2つの面のうち第2部分312の側の面と流路壁313との間に配置されうる。センサ701は、例えば、ひずみゲージでありうる。ここで、より具体的な構成例において、センサ部320は、センサ701から信号を検出する検出回路702を含みうる。
【0017】
図6には、本発明の他の実施形態の血圧計1の構成が模式的に示されている。この実施形態は、図1図5に示された実施形態の改良例である。第5実施形態では、血圧計1は、送気球40が操作されたこと、つまり、送気球40が押しつぶされたことを検出する操作検出部801を更に備え、センサ部320は、操作検出部801による検出結果に基づいて活性化される。ここで、センサ部320の活性化とは、例えば、センサ部320に対する電力の供給、センサ部320をスリープモードまたは省電力モードから動作モードに復帰させること、または、センサ部320をディセーブル状態からイネーブル状態に移行させることでありうる。第5実施形態によれば、例えば、センサ部320による電力消費が低減されうる。操作検出部801は、例えば、第1部分311の圧力が所定圧力を超えたときに機械的にオンになるスイッチを含みうる。
【符号の説明】
【0018】
10:カフ、20:チューブ、30:本体、40:送気球、315:フィルタ、310:流路、311:第1部分、312:第2部分、602:発光素子、603:光センサ、701:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6