特許第6482375号(P6482375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482375
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A47L15/46 F
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-100312(P2015-100312)
(22)【出願日】2015年5月15日
(65)【公開番号】特開2016-214384(P2016-214384A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 光司
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0223761(US,A1)
【文献】 特開2004−089416(JP,A)
【文献】 特開2006−284095(JP,A)
【文献】 特開平10−328114(JP,A)
【文献】 特開平04−312434(JP,A)
【文献】 特開2007−111085(JP,A)
【文献】 特開2012−137262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、
前記洗浄室内において発生した湯気を排気する排気手段が設けられた排気部と、
前記洗浄室内に配置され、前記洗浄室内の前記湯気を検出する光学式の検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記排気手段の作動を制御する制御部と、を備える、洗浄機。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部における受光強度の値が所定値以上となった場合に、前記排気手段の作動を停止させる、請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記排気部から排出される前記湯気が冷却される冷却部を有する熱交換器と、
前記熱交換器から排出される前記湯気の包含量が減少した空気を前記洗浄室内に排出する流路と、を備え、
前記検出部は、前記流路から排出された前記空気によって前記洗浄室内に形成される前記湯気が流れる経路に配置されている、請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項4】
前記検出部は、前記洗浄室の上部に配置されている、請求項1又は2に記載の洗浄機。
【請求項5】
前記検出部は、光を投光する投光部と、前記光を受光する受光部と、を有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
本体部の洗浄室に収容した食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄機が知られている。このような洗浄機では、被洗浄物の洗浄時及び被洗浄物の濯ぎ時に水蒸気が発生する。洗浄室内で発生した水蒸気は、蒸気口又は隙間等から洗浄室外に排出される。特許文献1に開示されている洗浄機は、洗浄室内に外気を供給する送風手段と、洗浄室内の水蒸気を含む加熱空気を機外へ排出する排気口と、洗浄室内と排気口とを連結する排気通路と、排気通路に配置された湿度検知手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−89416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の洗浄機では、湿度検知手段の検出結果に基づいて送風手段の作動を制御し、水蒸気の排出を行っている。しかしながら、洗浄室内の水蒸気の量の増減に応じて、湿度が一義的に変化するとは限らない。したがって、従来の洗浄機では、洗浄室内に水蒸気が残っているにもかかわらず送風手段の作動が停止され、水蒸気が排出されないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、洗浄室内の水蒸気を確実に排出できる洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄機は、洗浄室に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、洗浄室内において発生した湯気を排気する排気手段が設けられた排気部と、洗浄室内に配置され、洗浄室内の湯気を検出する光学式の検出部と、検出部の検出結果に基づいて、排気手段の作動を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この構成の洗浄機は、湯気を光学式の検出部により検出する。光学式の検出部では、湯気によって光が遮られることにより、受光強度の値に変化が生じる。そのため、検出部は、湯気が存在する場合には受光強度の値に変化が生じるため、湯気を精度良く検出できる。湯気は、水蒸気が冷えて凝結したものである。したがって、検出部の検出結果に基づいて排気ファンの作動を制御することにより、洗浄室内の水蒸気の状態に応じた排気ファンの制御が可能となる。つまり、洗浄機では、洗浄室に水蒸気が存在する場合には排気ファンを作動させることができる。その結果、洗浄機では、洗浄室内の水蒸気を確実に排出できる。
【0008】
本発明の洗浄機では、制御部は、検出部における受光強度の値が所定値以上となった場合に、排気ファンの作動を停止させてもよい。
【0009】
このような構成の洗浄機では、洗浄室内の湯気の量が少なくなった(無くなった)場合には、検出部における受光強度の値が高くなる。したがって、洗浄機では、検出部における受光強度の値が所定値以上となった場合に排気ファンの作動を停止させることにより、効率的な水蒸気の排出が可能となる。
【0010】
本発明の洗浄機では、排排気部から排出される湯気が冷却される冷却部を有する熱交換器と、熱交換器から排出される湯気の包含量が減少した空気を洗浄室内に排出する流路と、を備え、検出部は、流路から排出された空気によって洗浄室内に形成される湯気が流れる経路に配置されていてもよい。
【0011】
このような構成の洗浄機では、熱交換器において、湯気の一部が冷却部で冷却されて水となり、湯気の包含量の少ない空気となる。この空気を流路によって洗浄室内に排出すると、空気によって、洗浄室内に湯気の流れが形成される。洗浄機では、湯気が流れる経路に検出部を配置するため、湯気が検出部を通過する。そのため、検出部において湯気を確実に検出できる。その結果、排気ファンの作動を精度良く制御することができる。
【0012】
本発明の洗浄機では、検出部は、洗浄室の上部に配置されていてもよい。
【0013】
このような構成の洗浄機では、洗浄室の上部に上昇する湯気を検出できるため、洗浄室内の湯気を精度良く検出できる。
【0014】
本発明の洗浄機では、検出部は、光を投光する投光部と、光を受光する受光部と、を有していてもよい。
【0015】
このような構成の洗浄機では、投光部と受光部との間に存在する湯気を検出する。したがって、投光部と受光部との離間距離を調整することにより、湯気を検出する範囲を調整できる。そのため、湯気の検出を広範囲にわたって行うことが可能となり、洗浄室内の湯気の状態をより正確に検出できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、洗浄室内の水蒸気を確実に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図2図1の食器洗浄機の概略構成を示す図である。
図3図1の熱交換器を示した斜視図である。
図4】センサを本体部の後部側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、必ずしも一致していない。なお、説明の便宜のため、図1において、前後方向、左右方向、及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0019】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機1は、洗浄室2Aの前面にドア4が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。図1及び図2に示されるように、食器洗浄機1は、本体部2と、上側洗浄ノズル5と、上側濯ぎノズル6と、下側洗浄ノズル7と、下側濯ぎノズル8と、排気部61と、洗浄タンク9と、貯湯タンク18と、洗剤供給ポンプ32と、リンス剤供給ポンプ37と、熱交換器80と、センサ(検出部)90と、を備えている。
【0020】
本体部2は、ステンレス製のパネルにより形成されている。本体部2は、食器(被洗浄物)Dをセットしたラックを出し入れする開口部が前方に向かって開口している洗浄室2Aと、排水ポンプ52、貯湯タンク18、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)(制御部)55等が設けられている機械室2Bと、に区画されている。本体部2の底面の四隅には、脚部3が取り付けられている。
【0021】
本体部2には、洗浄室2A内に食器Dを出し入れするためのドア4が取り付けられている。洗浄室2A内には、ラックレール2Cが設けられ、このラックレール2C上に、食器Dが並べられた食器ラック(図示せず)が載置される。本体部2の前面におけるドア4の上部には、ユーザが運転モード及び各種設定を入力するための操作パネル2Dが設けられている。
【0022】
上側洗浄ノズル5及び上側濯ぎノズル6は、洗浄室2Aの上部に設けられている。上側洗浄ノズル5は、放射状に延びる3本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。上側濯ぎノズル6は、2本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。下側洗浄ノズル7及び下側濯ぎノズル8は、洗浄室2Aの下部に設けられている。下側洗浄ノズル7は、放射状に延びる3本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。下側濯ぎノズル8は、2本のアームを含んでおり回転自在に配置されている。
【0023】
食器ラックに並べられた食器Dには、洗浄工程において上側洗浄ノズル5及び下側洗浄ノズル7によって上下から洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側濯ぎノズル6及び下側濯ぎノズル8によって上下から濯ぎ水が噴射される。
【0024】
洗浄室2Aには、排気部61が接続されている。排気部61は、例えば、洗浄室2Aにおける側面上方に接続されている。洗浄室2Aでは、後述する濯ぎ工程等において水蒸気が発生する。また、洗浄室2Aには、水蒸気が冷えて凝結した湯気が存在する。排気部61には、当該湯気及び水蒸気を含む空気(以後、単に「湯気」とも称す。)を排出する排気ファン(排気手段)60が設けられている。排気ファン60は、マイコン55によって作動の制御がなされる。洗浄室2A内の湯気は、排気ファン60によって排気部61を介して第1排気管63内を押し上げられて、後述する熱交換器80に送り出される。
【0025】
洗浄タンク9は、洗浄室2Aの下方に配置されており、洗浄水を貯留する。洗浄タンク9には、洗浄水の水位を検知するための水位検知スイッチ10が設けられている。水位検知スイッチ10は、洗浄タンク9内の水位が所定水位Hを超えている場合にONとなり、所定水位H以下の場合にOFFとなるスイッチである。
【0026】
洗浄タンク9の側面には、洗浄水吸込管13を介して洗浄ポンプ14が接続されている。洗浄タンク9の洗浄水吸込管13が取り付けられた部分には、ポンプフィルタ12が設けられている。洗浄ポンプ14の吐出口には洗浄水吐出管15が接続されている。洗浄水吐出管15は、第1洗浄水吐出管16と第2洗浄水吐出管17とに分岐している。第1洗浄水吐出管16は、上側洗浄ノズル5に接続されている。第2洗浄水吐出管17は、下側洗浄ノズル7に接続されている。
【0027】
洗浄タンク9の底部9Aには、排水吸込管9Bを介して排水管50が接続されている。排水管50には、洗浄タンク9から排水を排出する排水ポンプ52が設けられている。排水ポンプ52は、マイコン55によって作動の制御がなされる。洗浄タンク9に貯留された水は、排水ポンプ52によって排水管50を介して外部に排出される。なお、排水管50が排水吸込管9Bよりも下方に排水を排出する場合には、排水ポンプ52が設けられていなくてもよい。
【0028】
図1に示されるように、熱交換器80は、洗浄室2A上方の本体部2における上部に配置されている。図3に示されるように、熱交換器80は、排気流路83と、給水流路(冷却部)85と、排気流路83及び給水流路85を収容する筐体81と、を有している。なお、図3では、説明の便宜のため、蓋部81A(図2参照)を外した状態を示している。熱交換器80は、排気流路83を流通する湯気と給水流路85を流れる水との間で熱交換を行う装置である。
【0029】
排気流路83は、洗浄室2Aから排気される湯気が流通する流路である。排気流路83の一端83Bは、第1排気管63が接続されており、排気流路83の他端83Cは、第2排気管65が接続されている。また、排気流路83には、給水流路85における他端85Bから給水流路の一端85Aに沿って、排気流路83の一端83Bから排気流路83の他端83Cまでの流路を形成する仕切板83Aが設けられている。すなわち、排気流路83の一端83Bから流入する湯気は、給水流路85における他端85Bから給水流路の一端85Aまでの管路に沿って、排気流路83の他端83Cまで流れる。排気流路83を流れる湯気を含む空気は、その湯気の一部が冷却されて水となり、湯気の包含量が減少した空気となる。
【0030】
第2排気管65は、流路方向に直交する断面形状が円形状である管路部材であり、その中空部には、湯気の包含量が減少した空気が流通する。第2排気管65は、その一部が洗浄室2Aの内部に配置されている。具体的には、第2排気管65は、例えば、洗浄室2Aの前方の上部に配置され、本体部2の左右方向に沿って延在している。洗浄室2A内の第2排気管65には、延在方向において所定の間隔をあけて孔(図示せず)が複数設けられている。孔は、第2排気管65の下部に設けられている。これにより、第2排気管65は、湯気の包含量が減少した空気を下方に向けて洗浄室2A内に排出する。第2排気管65から排出された湯気の包含量が減少した空気は、洗浄室2A及び食器Dを乾燥させ得る。
【0031】
給水流路85は、流路方向に直交する断面形状が円形状である管路部材であり、その中空部には、貯湯タンク18に供給する濯ぎ水が流通する。給水流路85は、排気流路83を流通する湯気を冷却させる冷却部としての機能を有している。給水流路85の例には、銅からなり耐腐食塗装がなれたフレキシブル管、ステンレス鋼からなるフレキシブル管、管の外周に設けられたフィンを有するフィンチューブ、及び管の外周にスパイラル状に巻き付けられたフィンを有するフィンチューブ等が含まれる。給水流路85の一端85Aは、後述する給水管21Aが接続されており、給水流路85の他端85Bは、後述する給水管21Dが接続されている。
【0032】
熱交換器80の筐体81の底部81Bには、底部81Bを厚み方向に貫通する穴81Cが設けられている。穴81Cは、底部81Bの一隅部に形成されている。穴81Cは、本体部2の洗浄室2Aに連通している。具体的には、穴81Cは、本体部2の上部において角部に設けられた排水部(図示せず)に連通している。熱交換器80の底部81Bは、穴81Cが設けられている位置を最下位置として、図3において一点鎖線の矢印で示す方向に向かって下り勾配で傾斜している。これにより、熱交換器80内の水は、穴81Cに向かって流れ、穴81C及び排水部を介して洗浄室2A内に排出される。
【0033】
図2に示されるように、貯湯タンク18は、食器Dを濯ぐ水が貯留されるタンクである。貯湯タンク18には、外部の給湯器(図示せず)から給水管21Aを介して水が供給される。給水管21Aには、ストレーナ19が設けられている。給水管21Aにおけるストレーナ19の下流側には、分岐部21Bが設けられている。分岐部21Bの一方は、ウォータバルブ20Aを介して貯湯タンク18に接続されている。ウォータバルブ20Aは、マイコン55によって制御されている。分岐部21Bの他方は、給水管21Cを介して前述した熱交換器80における給水流路85の一端85A(図3参照)に接続されている。
【0034】
貯湯タンク18内には、食器Dを濯ぐ水を所定温度に維持するための濯ぎ水ヒータ22と、この濯ぎ水の温度を検知するための水温センサ23とが設置されている。貯湯タンク18には、濯ぎ水吸込管24を介して濯ぎポンプ25が接続されている。この濯ぎポンプ25の吐出口には濯ぎ水吐出管26が接続されている。濯ぎ水吐出管26は、第1濯ぎ水吐出管27と第2濯ぎ水吐出管28とに分岐している。第1濯ぎ水吐出管27は、上側濯ぎノズル6に接続されている。第2濯ぎ水吐出管28は、下側濯ぎノズル8に接続されている。
【0035】
洗剤供給ポンプ32は、食器洗浄機1の外側、すなわち、本体部2の外側に配置されている。洗剤供給ポンプ32は、洗剤タンク33内に貯留された洗剤を洗浄室2Aに供給するためのベローズポンプである。洗剤供給ポンプ32は、洗浄室2Aの側壁に接続された洗剤吐出管34と接続され、信号線によりマイコン55に接続されている。洗剤供給ポンプ32は、マイコン55から出力される信号に応じて作動し、接続された洗剤吸込管35から洗剤タンク33内の洗剤を吸い込み、洗剤吐出管34へ所定量の洗剤を吐出する。この洗剤は、洗剤吐出管34の先端に設けられ、洗浄室2Aと洗剤吐出管34とを接続する洗剤吐出口36から洗浄室2A内に吐出される。洗浄室2A内に吐出された洗剤は、洗浄室2Aの下方の洗浄タンク9内に流れ込み洗浄水に混入される。
【0036】
リンス剤供給ポンプ37は、食器洗浄機1の外側、すなわち、本体部2の外側に配置されている。リンス剤供給ポンプ37は、リンス剤タンク38内に貯留されたリンス剤を濯ぎ水路に供給するためのものである。リンス剤供給ポンプ37は、第1濯ぎ水吐出管27と連通するリンス剤吐出管39に接続され、信号線によりマイコン55に接続されている。リンス剤供給ポンプ37は、マイコン55から出力される信号に応じて作動し、接続されたリンス剤吸込管40からリンス剤タンク38内の洗剤を吸い込み、リンス剤吐出管39へリンス剤を吐出する。リンス剤は、リンス剤供給ポンプ37によってリンス剤吐出管39から濯ぎ水吐出管26内の濯ぎ水路へ吐出され、濯ぎ水に混入される。
【0037】
センサ90は、洗浄室2A内の湯気を検出する。センサ90は、光学式のセンサであり、図4に示されるように、投光部91と、受光部92と、を有している。投光部91は、光を投光(出射)する装置であり、例えば、レーザー発光装置である。受光部92は、投光部91から投光された光(レーザー)を受光する装置であり、例えば、フォトダイオードである。
【0038】
投光部91及び受光部92は、本体部2の後部に設けられた窪み部2Eに配置されている。窪み部2Eは、本体部2の後部の一部が後面よりも後方に突出している部分である。投光部91及び受光部92は、洗浄室2Aを形成する窪み部2Eの内面2Fと、当該内面2Fと前後方向において所定の間隔をあけて配置された板部材2Gとにより形成される間隙Sに配置されている。板部材2Gは、例えば、矩形状を呈している。
【0039】
本実施形態では、上述のように、第2排気管65は、本体部2の前方に配置されており、湯気の包含量が減少した空気を下方に向けて洗浄室2A内に排出する。この湯気の包含量が減少した空気の流れにより、湯気の一部は、図2に示されるように、洗浄タンク9の洗浄水の水面に沿って流れ、間隙Sの下部から流入して間隙Sを上方に向かって通過し、間隙Sの上部から排出される。投光部91及び受光部92は、第2排気管65から排出された湯気の包含量が減少した空気によって形成される湯気が流れる経路に配置されている。具体的には、図4に示されるように、投光部91と受光部92とは、間隙Sにおいて本体部2の左右方向に所定の間隔をあけて、互いに対向する位置に配置されている。すなわち、投光部91及び受光部92は、間隙Sにおいて湯気が流れる方向に対して、光軸Lが交差するように配置されている。
【0040】
投光部91及び受光部92の作動は、マイコン55により制御がなされる。受光部92は、受光した光の受光強度を示す受光信号をマイコン55に出力する。受光部92における受光強度の値は、湯気の量が多い場合、湯気によって光が遮られるため、湯気が無い場合(少ない場合)に比べて低くなる。一方、受光部92における受光強度の値は、湯気の量が少ない場合、湯気の量が多い場合に比べて高くなる。受光部92は、湯気の量に応じた受光強度の値を示す受光信号を出力する。
【0041】
マイコン55は、機械室2Bに配置されている。マイコン55は、食器洗浄機1における動作全般を制御する。マイコン55は、電装ボックス55Aに内蔵されている。マイコン55は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。マイコン55は、食器洗浄機1における各種動作を制御する部分であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)等、相互に接続されている。
【0042】
マイコン55は、センサ90の作動を制御する。具体的には、マイコン55は、投光部91における投光開始及び停止を制御すると共に、受光部92における受光開始及び停止を制御する。
【0043】
マイコン55は、センサ90の検出結果に基づいて、排気ファン60の作動を制御する。マイコン55は、センサ90から出力される受光信号を受け取ると、受光信号の示す受光強度に基づいて、排気ファン60の作動を停止させる。具体的には、マイコン55は、受光強度が所定値以上となった場合、すなわち湯気が所定量以下となった場合には、排気ファン60の作動を停止させる。より詳細には、マイコン55は、受光強度が所定値以上となり、当該所定値以上の状態が所定時間継続した場合に、排気ファン60の作動を停止させる。所定値及び所定時間は、実験等に基づいて適宜設定される。
【0044】
次に、上述した食器洗浄機1の動作について説明する。食器洗浄機1は、電源スイッチがONされると、貯湯タンク18内の水を濯ぎポンプ25によって洗浄室2Aへ噴射することにより、洗浄タンク9内へ水が供給される。これにより初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が洗浄タンク9内へ供給されて、洗浄タンク9内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0045】
初期給湯後、ユーザが食器Dをラッキングしてドア4を閉めると、ドアスイッチ(図示せず)によってドア4が閉められたことが検知されると共に、運転開始信号がマイコン55へ入力される。運転開始信号がマイコン55へ入力されると、マイコン55は、洗浄ポンプを作動させ、食器Dの洗浄(洗浄工程)を開始させる。食器Dの洗浄は、洗浄タンク9内の洗浄水を洗浄室2A内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。
【0046】
洗浄ポンプ14が始動することにより、洗浄タンク9内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管15等を介して上側及び下側洗浄ノズル5,7に圧送されて、上側及び下側洗浄ノズル5,7から洗浄室2A内の食器Dに向けて噴射される。この洗浄室2A内に噴射された洗浄水は、食器Dから洗い落とされた残菜等が図示しないフィルタによって取り除かれつつ洗浄タンク9内に回収される。さらに、ポンプフィルタ12等を介して洗浄ポンプ14によって洗浄タンク9内の水が取り込まれ、再び洗浄室2A内に供給される。
【0047】
洗浄工程が終了すると、マイコン55は、排水ポンプ52を作動させ、洗浄タンク9に貯留された洗浄水の排出(排水工程)を開始させる。本実施形態の食器洗浄機1では、洗浄ポンプ14が作動することにより、後述する濯ぎ工程によって洗浄室2Aに供給される濯ぎ水と同じ量の洗浄水が洗浄タンク9から排出される。
【0048】
排水工程が終了すると、マイコン55は、濯ぎポンプ25を作動させ、食器Dの濯ぎ(濯ぎ工程)を開始させる。食器Dの濯ぎは、貯湯タンク18内の濯ぎ水を洗浄室2A内の食器Dに向けて噴射することにより行われる。
【0049】
濯ぎポンプ25を始動することにより、貯湯タンク18内に貯留された濯ぎ水は、濯ぎ水吐出管26などを介して上側及び下側濯ぎノズル6,8に圧送されて、各濯ぎノズル6,8から食器Dに向けて噴射される。食器Dに噴射された濯ぎ水は、図示しないフィルタを介して洗浄タンク9内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。
【0050】
上側及び下側濯ぎノズル6,8から食器Dに濯ぎ水が噴射されると、洗浄室2A内に湯気(水蒸気)が発生する。本実施形態の食器洗浄機1では、濯ぎ工程が開始されると排気ファン60が作動を開始し、洗浄室2A内で発生した湯気が排気ファン60によって排出される(排気工程)。なお、排気ファン60の作動開始タイミングは、このタイミングに限定されず、上側及び下側洗浄ノズル5,7から水が噴射される洗浄工程から開始されてもよい。
【0051】
排気ファン60により洗浄室2Aからの湯気の排出が開始されると、センサ90による湯気の検出が開始される。すなわち、投光部91から投光が開始されると共に、受光部92において受光が開始される。また、排気ファン60によって洗浄室2Aから湯気が排出されると、湯気は、排気部61を介して第1排気管63内を押し上げられて、熱交換器80に送り出される。湯気は、熱交換器80の排気流路83を流通する。湯気が流通する排気流路83に、当該水蒸気と比較して冷たい水が給水流路85を流れると、排気流路83を流通する「湯気」と、給水流路85を流通する「水」との間で熱交換が行われる。
【0052】
これにより、給水流路85の一端85Aから流入された水は、流入時よりも温度が高くなった状態で給水流路85の他端85Bから流出される。また、排気流路83を流れる湯気を含む空気は、湯気の包含量が減少した空気となって第2排気管65を介して洗浄室2Aに排出される。洗浄室2Aに排出された湯気の包含量が減少した空気は、当該空気に含まれる湯気及び洗浄室2A内の湯気を含む空気と一緒に排気ファン60によって洗浄室2Aから排出され、洗浄室2A及び熱交換器80において循環する。
【0053】
なお、給水流路85の他端85Bに接続される給水管21D上には、ウォータバルブ20Bが設けられているので、ウォータバルブ20Bの開閉状態によっては給水流路85に水が滞留している場合がある。この場合には、排気流路83を流通する「湯気」と、給水流路85に滞留している「水」との間で熱交換が行われる。
【0054】
食器洗浄機1では、センサ90の受光部92から出力された受光信号において、受光強度が所定値以上となり、当該所定値以上の状態が所定時間継続した場合に、排気ファン60の作動を停止させる。排気ファン60の作動が停止されると、熱交換器80の排気流路83における湯気の流通が停止する。これにより、第2排気管65から洗浄室2A内への気の包含量が減少した空気の排出が停止される。このとき、洗浄室2A内には、湯気(水蒸気)がほとんど存在していない。
【0055】
また、本実施形態の食器洗浄機1では、積算運転回数(本実施形態における運転回数とは、食器Dの洗浄工程及び濯ぎ工程を1サイクルとしたときのサイクルの回数をいう。)が規定回数に到達すると、洗浄タンク9に貯留された排水を全て排出する機能(全排水機能)を備えている。当該全排水機能は、運転が繰り返し行われることにより次第に汚れていく洗浄タンク9内の洗浄水を清浄な洗浄水に置き換えることを目的として搭載されている。
【0056】
次に、上記実施形態の食器洗浄機1の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機1では、湯気を光学式のセンサ90により検出する。光学式のセンサ90では、湯気によって光が遮られることにより、受光強度の値に変化が生じる。そのため、センサ90は、湯気が存在する場合には受光強度の値に変化が生じるため、湯気を精度良く検出できる。湯気は、水蒸気が冷えて凝結したものである。したがって、センサ90の検出結果に基づいて排気ファン60の作動を制御することにより、洗浄室2A内の水蒸気の状態に応じた排気ファン60の制御が可能となる。つまり、食器洗浄機1では、洗浄室2Aに水蒸気が存在する場合には排気ファン60を作動させることができる。その結果、食器洗浄機1では、洗浄室2A内の水蒸気を確実に排出できる。これにより、食器洗浄機1では、ドア4が開けられたときに高温の水蒸気が放出されることを抑制でき、ユーザの火傷、及び、室内を多湿にしたりするといった事態を回避できる。
【0057】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、マイコン55は、センサ90における受光強度の値が所定値以上となった場合に、排気ファン60の作動を停止させる。このような構成の食器洗浄機1では、洗浄室2A内の湯気の量が少なくなった(無くなった)場合には、センサ90における受光強度の値が高くなる。したがって、食器洗浄機1では、センサ90における受光強度の値が所定値以上となった場合に排気ファン60の作動を停止させることにより、効率的な水蒸気の排出が可能となる。つまり、洗浄室2Aに水蒸気が存在していない状態での排気ファン60の作動を防止でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0058】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、排気部61から排出される湯気を冷却させる給水流路85を有する熱交換器80と、熱交換器80から排出される湯気の包含量が減少した空気を洗浄室2A内に排出する第2排気管65と、を備えている。センサ90は、第2排気管65から排出された湯気の包含量が減少した空気によって洗浄室2A内に形成される湯気が流れる経路に配置されている。このような構成の食器洗浄機1では、熱交換器80において、湯気の一部が給水流路85で冷却されて水となり、湯気の包含量の少ない空気となる。この空気を第2排気管65によって洗浄室2A内に排出すると、当該空気によって、洗浄室2A内に湯気の流れが形成される。食器洗浄機1では、湯気が流れる経路にセンサ90を配置するため、湯気がセンサ90を通過する。そのため、センサ90において湯気を確実に検出できる。その結果、食器洗浄機1では、排気ファン60の作動を精度良く制御することができる。
【0059】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、窪み部2Eと板部材2Gとにより画成される間隙Sにセンサ90を配置している。この構成により、間隙Sを通過する湯気は、投光部91と受光部92との間を通過することになる。したがって、センサ90において湯気を確実に検出できる。
【0060】
また、上記実施形態の食器洗浄機1では、センサ90は、光を投光する投光部91と、光を受光する受光部92と、を有している。このような構成の食器洗浄機1では、投光部91と受光部92との間に存在する湯気を検出する。したがって、投光部91と受光部92との離間距離を調整することにより、湯気を検出する範囲を調整できる。そのため、湯気の検出を広範囲にわたって行うことが可能となり、洗浄室2A内の湯気の状態をより正確に検出できる。
【0061】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0062】
<変形例1>
上記実施形態の食器洗浄機1では、第2排気管65が湯気の包含量が減少した空気を洗浄室2A内に排出する形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2排気管65は、湯気の包含量が減少した空気を外部に排出してもよい。この構成の場合、センサは、洗浄室2Aの上部に配置されることが好ましい。これにより、洗浄室2Aの上部に上昇する湯気を検出できるため、洗浄室2A内の湯気を精度良く検出できる。
【0063】
<変形例2>
上記実施形態の食器洗浄機1では、濯ぎ工程が開始されて排気ファン60が作動したタイミングでセンサ90による湯気の検出が開始される形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、食器洗浄機1では、上側及び下側洗浄ノズル5,7から水が噴射される洗浄工程が開始されたときに、排気ファン60の作動を開始させ、センサ90による湯気の検出を開始させてもよい。
【0064】
<変形例3>
上記実施形態の食器洗浄機1では、マイコン55が、受光部92における受光強度が所定値以上となり、当該所定値以上の状態が所定時間継続した場合に、排気ファン60の作動を停止させる形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、マイコン55は、受信強度が所定値以上となる受信信号が所定時間内に所定の回数カウントされた場合に、排気ファン60の作動を停止させてもよい。
【0065】
<変形例4>
上記実施形態の食器洗浄機1では、受光部92から出力された受光強度に基づいて排気ファン60の作動を停止させる形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、マイコン55は、センサ90の受光部92から出力される受信信号の受信強度が所定値以下となった場合に、排気ファン60を作動させてもよい。これにより、洗浄室2A内に湯気(水蒸気)が発生した場合には、自動で排気ファン60を作動させることが可能となる。
【0066】
<変形例5>
上記実施形態の食器洗浄機1では、センサ90が投光部91及び受光部92を有する形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、センサは、光を投光すると共に投光された光の反射光を受光する投受光センサであってもよい。
【0067】
<変形例6>
上記実施形態の食器洗浄機1では、排気部61が洗浄室2Aにおける側面上方に接続されている形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、排気部61は、洗浄室2Aにおける上面に接続されていてもよい。また、排気部61が第1排気管63に接続されており、第1排気管63を介して熱交換器80に湯気が送り出される形態を一例に説明したが、第1排気管63は設けられていなくてもよい。この場合、排気部61が熱交換器80に直接接続されていてもよい。
【0068】
<変形例7>
上記実施形態の食器洗浄機1では、貯湯タンク18に供給される水を流通する給水管21C、給水管21D及び給水流路85のうち、給水流路85を熱交換器80の冷却部として用いる形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、冷却部は、他の水が流通する流路であってもよいし、電気的に冷却される装置であってもよい。
【0069】
<変形例8>
上記実施形態の食器洗浄機1では、排気部61に排気ファン60が設けられている形態を一例に説明したが、本発明はこれに限定されない。排気ファン60は、洗浄室2A内において発生した湯気(水蒸気)を含む空気を排気する排気部として機能する第2排気管65に設けられていてもよい。
【0070】
<その他の変形例>
上記実施形態及び上記変形例では、管路部材の中を給水が流通し、その周りを水蒸気が流通する構成の熱交換器80を例に挙げ説明したが、管路部材の中を水蒸気が流通し、その周りを給水が流通する構成の熱交換器であってもよい。
【0071】
上記実施形態及び上記変形例では、洗浄室2Aの前面にドア4が設けられたアンダーカウンタ式の食器洗浄機を例に挙げて説明したが、本願発明は、ドアが上下に開閉するタイプの食器洗浄機、又は、食器Dを収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行うコンベアタイプの食器洗浄機に適用することも可能である。
【0072】
上記実施形態及び上記変形例では、熱交換器80が、本体部2の上方に配置されている例を挙げて説明したが、例えば、本体部2における機械室2Bに配置されてもよいし、食器洗浄機1の外側に配置されてもよい。また、貯湯タンク18は、本体部2における機械室2Bに配置されている例を挙げて説明したが、本体部2の外部に配置されていてもよい。すなわち、外付け用の貯湯タンク18が設けられる構成の食器洗浄機であってもよい。
【0073】
上記実施形態及び上記変形例において熱交換器を備える場合には、外部の給湯器からの水を熱交換器80を経由して貯湯タンク18に供給する経路と、外部の給湯器からの水を直接貯湯タンク18に供給する経路とが形成されている構成を例に挙げて説明したが、熱交換器80を経由して貯湯タンク18に供給する経路のみが形成される構成としてもよい。
【0074】
上記実施形態では洗浄室2Aから水蒸気を排出する手段として排気ファン60を例に挙げたが、洗浄室2Aから排気部61に水蒸気を送り出せる手段であれば、これに限定されない。
【0075】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、上記変形例及びその他の変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…食器洗浄機(洗浄機)、2A…洗浄室、60…排気ファン(排気手段)、61…排気部、65…第2排気管(流路)、80…熱交換器、85…給水流路(冷却部)、90…センサ、91…投光部、92…受光部。
図1
図2
図3
図4