特許第6482392号(P6482392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 篠原電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000002
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000003
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000004
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000005
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000006
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000007
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000008
  • 特許6482392-サーバー群の電力供給システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482392
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】サーバー群の電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/28 20060101AFI20190304BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20190304BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G06F1/28 Z
   G06F1/26 F
   H02J9/06 110
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-116297(P2015-116297)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-4191(P2017-4191A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000181572
【氏名又は名称】篠原電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】犀川 真一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 信一郎
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−280554(JP,A)
【文献】 米国特許第08674823(US,B1)
【文献】 特開2005−295695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 − 1/32
H02J 9/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一群のサーバー(2)が搭載されたサーバーラック群に電力を供給する電源部(7)と、個々のサーバー(2)の消費電力量を検出する個別電力検出部(8)と、個別電力検出部(8)の検出データを収集し統合するデータ統合部(10)と、データ統合部(10)の収集データに基づき個々のサーバー(2)に対する通信負荷状態を制御する電力制御部(11)を備えており、
サーバーラック(1)に設けたバスバー(3)と各サーバー(2)は給電ハーネス(4)を介して接続されて、給電ハーネス(4)の中途部に配置したヒューズボックス(23)にヒューズ(26)が収容されており、
個別電力検出部(8)は、ヒューズボックス(23)の内部に配置した通信基板(32)と、同基板(32)に実装されてサーバー(2)の消費電力を非接触で検出する磁気抵抗効果素子(33)を備えており、
通信基板(32)は磁気抵抗効果素子(33)の検出データを調整してデータ統合部(10)へ無線送信でき、
磁気抵抗効果素子(33)が、ヒューズボックス(23)の内部に配置した電力検出部(29)と正対してサーバー(2)に供給される消費電力量を検出することを特徴とするサーバー群の電力供給システム。
【請求項2】
電源部(7)が、バスバー(3)に対して直流電流を供給しており、
ヒューズボックス(23)は中空のボックス本体(24)と、ボックス本体(24)に着脱可能に固定されるカバー(25)を備えており、
ボックス本体(24)の内部に電力検出部(29)とヒューズ(26)が固定され、
通信基板(32)がカバー(25)の内面に固定されて、磁気抵抗効果素子(33)が所定の隙間(E)を介して電力検出部(29)と正対している請求項1に記載のサーバー群の電力供給システム。
【請求項3】
磁気抵抗効果素子(33)と正対する電力検出部(29)の表面が絶縁テープ(38)で被覆してある請求項2に記載のサーバー群の電力供給システム。
【請求項4】
ボックス本体(24)の内部において、給電ハーネス(4)を構成する入力側マイナスリード(20a)と出力側マイナスリード(20b)がボックス本体(24)に固定した接続バー(30)を介して接続されており、
ヒューズ(26)よりバスバー(3)側の入力側プラスリード(19a)に分岐バー(31)が接続されており、
分岐バー(31)および接続バー(30)に接続した電源リード(39)で通信基板(32)に駆動電流を供給する請求項2または3に記載のサーバー群の電力供給システム。
【請求項5】
通信基板(32)に磁気抵抗効果素子(33)と、磁気抵抗効果素子(33)の検出データを増幅するオペアンプ(34)と、1チップ構造のマイクロコンピュータ(35)と、ブルーツース基板(36)が実装されており、
ブルーツース基板(36)にデータ統合部(10)と通信を行うチップ型のアンテナ(37)が設けられており、
チップ型のアンテナ(37)が通信基板(32)の外郭線の外に露出する状態で、ブルーツース基板(36)が通信基板(32)に実装してある請求項2から4のいずれかひとつに記載のサーバー群の電力供給システム。
【請求項6】
電源部(7)が、交流電流を高圧直流電流に変換する1次コンバータ(14)と、1次コンバータ(14)から出力された高圧直流電流を低圧直流電流に変換してバスバー(3)に出力する2次コンバータ(15)と、停電時用の2次電池(16)を備えている請求項2から5のいずれかひとつに記載のサーバー群の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデータセンターに設置されたサーバー群の電力消費状態を監視して、個々のサーバー、あるいはサーバー群が消費電力オーバーに陥るのを回避できるようにしたサーバー群の電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電力供給システムは、例えば特許文献1の負荷機器情報自動抽出・管理システムに見ることができる。そこでは、電力の分電系統毎に複数配設した負荷機器群(例えばサーバー群)の消費電力を検出する電子センサーと、検出した電力データを収集するデータ収集サーバーと、管理サーバーと、管理サーバーで管理されたデータを表示する端末などで管理システムを構成している。管理サーバーは、データ収集サーバーで収集したデータや、各分電系統に配置された負荷機器の固有情報などを管理している。電子センサーの具体的な構造や仕様は不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−161155号公報(要約、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電力供給システムによれば、負荷機器の消費電力の抽出が可能で、通信ラックの最適運用や、ピーク電力の抑制などを実現できる。しかし、電力の分電系統毎の消費電力を電子センサーで検出するので、サーバーラック毎(分電系統毎)の電力の負荷状態は知ることができるが、個々の負荷機器の負荷状態を知ることはできず、そのため最悪の場合にはサーバーが過負荷状態に陥ることがある。
【0005】
特許文献1における電子センサーの詳細構造は不明であるが、個々の負荷機器の給電路に電子センサーを配置すると、個々の負荷機器の消費電力を知ることができる。しかし、電子センサー以外に電子センサーとデータ収集サーバーを接続するRS−485規格の通信線が必要になるので、ラック内が煩雑になるのを避けられないうえコストも嵩む。また、ラック内に通信線が配置してある場合には、負荷機器を冷却するための冷気の流動が通信線で阻害されるおそれがあるので、その配線形態を慎重に定める必要があり煩わしい。
【0006】
大規模のデータセンターでは、30から40台のサーバーが搭載されたサーバーラックを直線列状に数百台設置するが、サーバーの消費電力はその稼働率(負荷率)に応じて変動するため、サーバー稼働率を考慮しながら供給電源設計を行う。具体的には、サーバーが過負荷状態に陥って、消費電力オーバーにより電源がシャットダウンするのを避けられるように供給電力量を設定する。例えば、全てのサーバーの稼働率が100%であるときの電力供給量を基準にして、基準の電力量の10分の1から5分の1の電力量を供給できるようにして、給電設備の無駄を省いて効率よく電力を供給できるようにしている。このような電力供給システムにおいては、供給できる電力量に限りがあるため、個々のサーバーの電力消費状態を正確に把握して、サーバーの稼働率が一定の値を越えるのを未然に防止する必要がある。例えば、災害発生時や、年末年始にはデータセンターに対する通信負荷が急激に増加するが、こうした場合でもサーバーの稼働率の増加傾向を正確に把握して、サーバーの電源がシャットダウンするのを避ける必要がある。
【0007】
本発明の目的は、給電設備の無駄を省いて効率よく電力を供給しながら、個々のサーバーの電力消費状態を正確に把握し、サーバーの稼働率の増加傾向を的確に把握してサーバー群を効率よく運用でき、さらにサーバーの電源がシャットダウンするのを確実に防止できるサーバー群の電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力供給システムは、一群のサーバー2が搭載されたサーバーラック群に電力を供給する電源部7と、個々のサーバー2の消費電力量を検出する個別電力検出部8と、個別電力検出部8の検出データを収集し統合するデータ統合部10と、データ統合部10の収集データに基づき個々のサーバー2に対する通信負荷状態を制御する電力制御部11を備えている。サーバーラック1に設けたバスバー3と各サーバー2は給電ハーネス4を介して接続されて、給電ハーネス4の中途部に配置したヒューズボックス23にヒューズ26が収容してある。個別電力検出部8は、ヒューズボックス23の内部に配置した通信基板32と、同基板32に実装されてサーバー2の消費電力を非接触で検出する磁気抵抗効果素子33を備えている。通信基板32は磁気抵抗効果素子33の検出データを調整してデータ統合部10へ無線送信できる。磁気抵抗効果素子33は、ヒューズボックス23の内部に配置した電力検出部29と正対してサーバー2に供給される消費電力量を検出することを特徴とする。
【0009】
電源部7は、バスバー3に対して直流電流を供給する。ヒューズボックス23は中空のボックス本体24と、ボックス本体24に着脱可能に固定されるカバー25を備えている。ボックス本体24の内部に電力検出部29とヒューズ26を固定する。通信基板32はカバー25の内面に固定されて、磁気抵抗効果素子33が所定の隙間Eを介して電力検出部29と正対している。
【0010】
磁気抵抗効果素子33と正対する電力検出部29の表面を絶縁テープ38で被覆する。
【0011】
ボックス本体24の内部において、給電ハーネス4を構成する入力側マイナスリード20aと出力側マイナスリード20bはボックス本体24に固定した接続バー30を介して接続する。ヒューズ26よりバスバー3側の入力側プラスリード19aに分岐バー31を接続する。分岐バー31および接続バー30に接続した電源リード39で通信基板32に駆動電流を供給する。
【0012】
通信基板32に磁気抵抗効果素子33と、磁気抵抗効果素子33の検出データを増幅するオペアンプ34と、1チップ構造のマイクロコンピュータ35と、ブルーツース基板36を実装する。ブルーツース基板36にデータ統合部10と通信を行うチップ型のアンテナ37を設ける。チップ型のアンテナ37は通信基板32の外郭線の外に露出する状態で、ブルーツース基板36を通信基板32に実装する。
【0013】
電源部7は、交流電流を高圧直流電流に変換する1次コンバータ14と、1次コンバータ14から出力された高圧直流電流を低圧直流電流に変換してバスバー3に出力する2次コンバータ15と、停電時用の2次電池16を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電力供給システムにおいては、バスバー3と各サーバー2を給電ハーネス4で接続し、給電ハーネス4の中途部に配置したヒューズボックス23に、個別電力検出部8を設けるようにした。また、通信基板32と、同基板32に実装される磁気抵抗効果素子33などで個別電力検出部8を構成し、給電ハーネス4に設けた電力検出部29と正対する磁気抵抗効果素子33でサーバー2に供給される電力量を非接触で検出できるようにした。さらに、磁気抵抗効果素子33の検出データを通信基板32で調整してデータ統合部10へ無線送信できるようにした。
【0015】
こうした電力供給システムによれば、個別電力検出部8で検出されてデータ統合部10へ送信された電力データを個々に確認することで、個々のサーバー2の稼働率の増加傾向を正確に知ることができる。従って、個々のサーバー2の稼働率が所定の値になる前に、電力制御部11の指令信号によって、より稼働率が低いサーバー2に通信負荷を転送して、特定のサーバー2の稼働率が所定の値を越えるのを防止でき、サーバー群を効率よく運用できる。また、災害発生時や、年末年始などにデータセンターCに対する通信負荷が急激に増加するような場合でも、サーバー2やサーバー群の稼働率の増加傾向を正確に把握して、サーバー2やサーバー群の稼働率が限界値になる前に、電力制御部11が通信負荷を他のサーバーラック1や他の地域のデータセンターCに転送するので、サーバー2やサーバー群の電源がシャットダウンするのを確実に避けることができる。さらに、電力検出部29を流れる電流を磁気抵抗効果素子33で検出し、検出データを通信基板32でデータ統合部10へ無線送信するので、サーバーラック1内が通信線で煩雑になり、サーバー2を冷却するための冷気の流動が通信線で阻害されるのを解消できる。
【0016】
中空のボックス本体24とカバー25でヒューズボックス23を構成し、ボックス本体24の内部に電力検出部29とヒューズ26を固定し、カバー25の内面に通信基板32を固定すると、カバー25をボックス本体24に固定した状態において、磁気抵抗効果素子33と電力検出部29を所定の隙間Eを介して、常に適正に正対させることができる。従って、磁気抵抗効果素子33による消費電力の検出を常に的確に行って、個々のサーバー2の稼働率やサーバーラック1内のサーバー群の稼働率をより精密に検出し、サーバー2およびサーバー群をさらに効率よく運用できる。また、通信基板32および磁気抵抗効果素子33をヒューズボックス23内に配置するので、例えばサーバー2の保守点検を行う際等に、誤って通信基板32や磁気抵抗効果素子33に触れて短絡等を生じるのを確実に防止できる。
【0017】
磁気抵抗効果素子33と正対する電力検出部29の表面を絶縁テープ38で被覆するのは、通信基板32や電力検出部29の固定が不十分であった場合にも、磁気抵抗効果素子33に付随するコネクターピンが電力検出部29に接触するのを絶縁テープ38で防止するためである。なお、磁気抵抗効果素子33に付随するコネクターピンが電力検出部29に接触した場合には、電力検出部29の電流が磁気抵抗効果素子33を支持する基板に流れて、磁気抵抗効果素子33の周辺の電子回路や通信基板32の電子回路が破壊されてしまう。
【0018】
マイナスリード20側に接続した接続バー30と、入力側プラスリード19aに接続した分岐バー31に電源リード39を接続し、同リード39を介して通信基板32に駆動電流を供給すると、給電ハーネス4を流れる電流で通信基板32を駆動できる。従って、ヒューズボックス23の内外に、通信基板32を駆動するための電池などの駆動電源を設ける必要がないうえ、電源部7からバスバー3に安定的に供給される電流を利用して個別電力検出部8を確実に作動できる。また、通信基板32の電源リード39の一方はヒューズ26より上流側の分岐バー31に接続してあるので、何らかの原因でヒューズ26が断線した場合でも、通信基板32を支障なく作動させることができる。
【0019】
チップ型のアンテナ37が通信基板32の外郭線の外に露出する状態でブルーツース基板36を通信基板32に実装するのは、アンテナ37から放射される電波の放射形状を好適化し、データ統合部10との通信を的確に行うためである。因みに、通信基板32の外層や内層には電源パターンやGNDパターンなどが設けてあるが、これらのパターンの近傍にチップ型のアンテナ37が配置してあると、アンテナ37から放射される電波の放射形状が乱されてデータ統合部10との通信を充分に行えなくなる。こうした不具合を避けるために、チップ型のアンテナ37を通信基板32の外郭線の外に露出させている。
【0020】
1次コンバータ14と、2次コンバータ15と、2次電池16などで電源部7を構成すると、1次コンバータ14においてA/D変換を行った後、2次コンバータ15においてD/D変換を行えばよいので、電流変換の回数を最小限化して、変換ロスに伴うサーバー群の消費電力を削減できる。なお、従来の電力供給システムにおいては、交流電流を無停電電源装置のコンバータで直流に変換して、バックアップ用のバッテリーを充電し、同時に直流電流を交流電流に変換して出力し、サーバー側で交流電流を直流電流に変換する。そのため、電流変換を行うごとに変換ロスが生じるのを避けられず、その分だけ電力消費量が増加していた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る電力供給システムの概略を示す説明図である。
図2】電力供給システムのネットワークを示す模式図である。
図3】電源部の概略を示す説明図である。
図4】給電ハーネスとヒューズボックスを示す正面図である。
図5】ヒューズボックスの内部構造を示す正面図である。
図6】ヒューズボックスの内部構造を示す縦断面図である。
図7図6におけるA−A線断面図である。
図8】ヒューズおよび電力検出バーの締結構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1) 図1ないし図8は、本発明に係るサーバー群の電力供給システムの実施例を示す。図1において、符号1はサーバーラックであり、その内部には30ないし40台のサーバー2が多段状に配置してある。データセンターCのサーバー室には、サーバーラック1が直線列状に数百台設置してあり、これらのサーバー群に対して給電設備の無駄を省いて効率よく電力を供給し、さらにサーバー2の電源がシャットダウンするのを確実に防止するために、電力供給システムを設けている。サーバーラック1の内部には、各サーバー2に対して直流電流を供給するためのバスバー3が配置してあり、バスバー3と各サーバー2を給電ハーネス4で接続している。
【0023】
電力供給システムは、サーバーラック1群に電力を供給する電源部7と、個々のサーバー2の消費電力量を検出する個別電力検出部8と、バスバー3に供給される電力量を検出するラック電力検出部9と、個別電力検出部8の検出データを収集し統合し、さらにラック電力検出部9の検出データを受信するデータ統合部10と、データ統合部10の収集データに基づきサーバー2に対する通信負荷状態を制御する電力制御部11を備えている。図2に示すように、電力制御部11は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または無線LANを介して、別の場所に設けた同系列のデータセンターCの電力制御部11とネットワークを構成している。
【0024】
図3に示すように電源部7は、400Vの三相交流電流を340Vの高圧直流電流に変換する1次コンバータ14と、1次コンバータ14から出力された高圧直流電流を12Vの低圧直流電流に変換してバスバー3に出力する2次コンバータ15と、停電時用の2次電池16などを備えている。1次コンバータ14はサーバー室の外の別室に設けてあり、2次コンバータ15は、サーバーラック1内のサーバー収容部の下端に配置してある(図1参照)。また、データ統合部10はサーバー収容部の上端に配置してある。電力制御部11は、パーソナルコンピュータと、サーバーラック1に対する電力の供給状態や個々のサーバー2に対する通信負荷の分配状態を制御する機器などで構成されて、サーバー室の外の制御室に設けてある。
【0025】
図4に示すように給電ハーネス4は、プラスリード19およびマイナスリード20と、両リード19・20の一端および他端に接続されるバスバー3用のソケット21およびサーバー2用のソケット22と、給電ハーネス4の中途部に設けたヒューズボックス23などで構成してある。ヒューズボックス23は中空箱状のボックス本体24と、ビスでボックス本体24に着脱可能に固定されるカバー25を備えており、ボックス本体24の内部にヒューズ26が収容してある。詳しくは、図5に示すように、ボックス本体24の内部において、入力側プラスリード19aの接続端子と出力側プラスリード19bの接続端子を、ボックス本体24にビス41で固定した帯板状の銅製の電力検出バー(電力検出部)29とヒューズ26を介して接続している。また、入力側マイナスリード20aの接続端子と出力側マイナスリード20bの接続端子を、ボックス本体24にビス42で固定した板状の金属製の接続バー30を介して接続している。ヒューズ26および電力検出バー29と、プラスリード19a・19bの接続端子の締結構造の詳細を図8に示しており、同図において符号44はビス41がねじ込まれるナットであり、ボックス本体24に設けたボスに固定してある。また、符号31はヒューズ26をボックス本体24の底壁と平行に組むためのスペーサーを兼ねる分岐バーであり、電力検出バー29と同じ厚さの銅板で形成されて、ヒューズ26よりバスバー3側の入力側プラスリード19aに接続してある。
【0026】
図5および図6に示すように個別電力検出部8は、ヒューズボックス23を利用して配置してあり、カバー25の内面にビス43で固定される通信基板32と、サーバー2の消費電力量を非接触で検出する磁気抵抗効果素子33などで構成する。通信基板32には、磁気抵抗効果素子33と、磁気抵抗効果素子33の検出データを増幅するオペアンプ34と、1チップ構造のマイクロコンピュータ35と、ブルーツース基板36などが実装してある。磁気抵抗効果素子33は既製品であり、電力検出バー29を流れる直流電流の電流値および電圧値を検出し、これらの積算値から消費電力を知ることができる。ブルーツース基板36にはデータ統合部10と通信を行うチップ型のアンテナ37が設けてある。アンテナ37から放射される電波の放射形状を好適化し、データ統合部10との通信を的確に行うために、ブルーツース基板36は、チップ型のアンテナ37が通信基板32の外郭線の外に露出する状態で同基板32に実装してある。データ統合部10は、ブルーツース基板36と定期的に通信を確立して、各サーバー2の消費電力量を更新し、サーバーラック1内のサーバー群の消費電力量を更新する。
【0027】
ラック電力検出部9は個別電力検出部8と同様に、通信基板32と磁気抵抗効果素子33などで構成してあり、磁気抵抗効果素子33をバスバー3の主幹バーと対向する状態で配置する点が個別電力検出部8と異なる。ラック電力検出部9によって、バスバー3の主幹バーで供給される電力量を検出することができ、個別電力検出部8で検出した消費電力の合計値と、ラック電力検出部9で検出した電力量をデータ統合部10で比較することにより、主幹バー以降の給電路における故障の有無を判定することができる。例えば、個別電力検出部8で検出した消費電力の合計値が、ラック電力検出部9で検出した電力量より小さい場合には、主幹バー以降の給電路で漏電を生じていることが判る。
【0028】
ヒューズボックス23のカバー25をボックス本体24に組付けた状態を図6図7に示している。この組付け状態では図7に示すように、磁気抵抗効果素子33が電力検出バー29の表面と所定の隙間Eを介して正対している。これは、磁気抵抗効果素子33が電力検出バー29の表面に接触するのを避けながら、電力検出バー29を流れる電流値および電圧値を、磁気抵抗効果素子33で精度よく検出するためである。念のため、磁気抵抗効果素子33と正対する電力検出バー29の表面は粘着性の絶縁テープ38で被覆してある。この実施例では、先の隙間Eの値を2mmとして、磁気抵抗効果素子33による電力検出を的確に行えるようにした。図5に示すように、通信基板32に駆動電流を供給するために、分岐バー31および接続バー30に電源リード39を接続し、通信基板32に設けたコネクターに電源リード39側のコネクター40を接続している。電源リード39とは別に、ヒューズ26が断線したことを検知する断線検知リード47が電力検出バー29に接続してある。
【0029】
以上のように構成した電力供給システムにおいては、サーバーラック1における個々のサーバー2に対する通信負荷を以下のように制御する。常態においては各サーバー2に通信負荷を概ね均等に分配して、各サーバー2を適度の稼働率(負荷率)で作動させるので、特定のサーバー2に通信負荷が集中することはなく、サーバー2の消費電力は概ね均等なものとなる。
【0030】
しかし、通信要求が急激に増加する状況では、各サーバー2の稼働率が急速に増加し、その消費電力が増加する。そのため、個別電力検出部8で検出されてデータ統合部10へ送信された電力データを個々に確認することで、個々のサーバー2の消費電力の増加度合、即ち個々のサーバー2の稼働率の増加傾向を知ることができる。さらに、各個別電力検出部8からデータ統合部10へ送信された電力データの合計値、あるいはラック電力検出部9で検出されてデータ統合部10へ送信された電力データから、サーバーラック1内のサーバー群の稼働率の増加傾向を知ることができる。
【0031】
上記のように、個々のサーバー2の稼働率の増加傾向を知ることにより、個々のサーバー2の稼働率が所定の値になる前に、電力制御部11から出した指令信号によって、より稼働率が低いサーバー2に通信負荷を転送して、特定のサーバー2の稼働率が所定の値を越えるのを防止して、サーバー群を効率よく運用できる。また、サーバーラック1内のサーバー群の稼働率の増加傾向を知ることにより、サーバー群の稼働率が所定の値になる前に、電力制御部11から出した指令信号によって、より稼働率が低いサーバーラック1に通信負荷を転送して、特定のサーバーラック1内のサーバー群の稼働率が限界値を越えるのを防止して、データセンターCにおけるサーバー群を効率よく運用できる。さらに、サーバー室内の全てのラック群の稼働率の増加傾向を知ることにより、データセンターCにおけるサーバー群の稼働率が限界値になる前に、電力制御部11から出した指令信号によって、他の地域のデータセンターCに通信負荷を転送して、通信負荷が集中したデータセンターCのサーバー群の稼働率が限界値を越えるのを防止できる。従って、災害発生時や、年末年始などにデータセンターCに対する通信負荷が急激に増加するような場合でも、サーバー2やサーバー群の稼働率の増加傾向を正確に把握して、サーバー2の電源がシャットダウンするのを確実に避けることができる。なお、何らかの原因でヒューズ26が断線した場合でも、通信基板32の電源リード39の一方はヒューズ26より上流側のスペーサー31に接続してあるので支障なく作動でき、断線検知リード47によってヒューズ26が断線状態になっていることを検知して、ヒューズ断線警報を出すことができる。
【0032】
上記の実施例以外に、各サーバーラック1の外面にディスプレイを配置しておき、各サーバー2の稼働率をディスプレイで表示することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 サーバーラック
2 サーバー
3 バスバー
4 給電ハーネス
7 電源部
8 個別電力検出部
10 データ統合部
11 電力制御部
23 ヒューズボックス
26 ヒューズ
29 電力検出部(電力検出バー)
32 通信基板
33 磁気抵抗効果素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8