(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。符号に添え字(例えば「10a」の「a」)が付されている場合、添え字が付されていない符号については、その添え字が付されたもの全体を指すものである。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の斜視図である。
図2は、
図1の炊飯器100の中央部の断面における構造の説明図である。炊飯器100は、本体90と蓋体10とから構成される。本体90は、内部に内鍋93が配置され、内鍋93を熱するヒーター94等が設けられている。蓋体10は、本体90の上部を覆う蓋であり、本体90とヒンジ軸92により接続され、開閉自在に取り付けられている。蓋体10は、上面の操作パネル20及び蓋筐体30により構成されている。操作パネル20と蓋筐体30は、蓋体10の外観を構成している。操作パネル20は、蓋筐体30の上面を覆って組み立てられており、蓋筐体30の裏面側からビス34により固定されている。操作パネル20には、釦21と、蓋体10内部に配置されている表示部53を視認するための表示窓22とが設けられている。蓋筐体30には、ヒンジ軸92側に蒸気口31が設けられている。本体90には開閉釦91が設けられている。開閉釦91は、炊飯器100の前面に設けられており、開閉釦91の反対側、すなわち炊飯器100の背面側に蓋体10と本体90とを接続するヒンジ軸92が設けられている。開閉釦91を押すと、蓋体10が開き、炊飯器100の本体90の上部の開口が露出する。
【0012】
図3は、
図1の蓋体10を上面から表した図である。表示窓22は、操作パネル20の中央部付近に設けられている。操作パネル20は、樹脂により成形されており、表示窓22の部分だけ透明になっており、内部の表示部53が視認できるようになっている。表示部53の外観面側にはタッチスイッチシート40が配置され、表示部53の全面を覆うようになっている。タッチスイッチシート40を表示部53の一部を覆うように構成した場合は、タッチスイッチシート40の端が視認できる位置にくる。そのため、タッチスイッチシート40は、表示部53の全面を覆うように構成するのが外観としては好ましい。タッチスイッチシート40は透明であり、内部の表示部53の全面を覆っていても視認するのを妨げないようになっている。さらにタッチスイッチシート40の外観面側には中央部に開口を有するシート状のエスカッション70が配置されている。エスカッション70は、表示部53の外周側の領域を覆い、内部構造等が外から見えないように隠している。タッチスイッチシート40の炊飯器100前面側の端にはタッチスイッチ41が4箇所設けられている。
図3において表示されている、丸印がタッチスイッチの中央を示している。この丸印は実物においては表示部53を視認するのを妨げないようになっている。点線でスイッチが設けられている領域、二点鎖線で表示部53を覆っている領域を表しているが、実物においては見えないように構成されている。
【0013】
また、
図3の下側、つまり操作パネル20において炊飯器100の前面側の領域には3つの釦21が設けられている。釦21は、外観面側から蓋体10の内部へ向かってストロークするようになっており、内部の機械接点式スイッチ54(
図5を参照)を押せるようになっている。蓋筐体30には、蒸気口31が設けられている。炊飯器100の内部で生じた蒸気を蒸気口31から逃がすように構成されている。
【0014】
図4は、
図1の炊飯器100の蓋体10を分解した状態の斜視図である。蓋体10は、蓋筐体30を上部から見ると凹んだ空間が形成されており、その空間は表示部ユニット50が配置される収納部35となっている。表示部ユニット50が収納された状態で、操作パネル20を蓋筐体30の上から被せる構造になっている。表示部ユニット50及び操作パネル20は、蓋筐体30にビスなどにより固定される。そのため、電子基板52は、蓋筐体30の収納部35に納めた際の位置決めとなる位置決め穴57と、ビスにより電子基板52を固定するための穴58が設けられている。収納部35の内部には、位置決めピン32とネジ穴33とが設けられている。
【0015】
図5は、表示部ユニット50を分解した状態の斜視図である。表示部ユニット50は、表示部基板モジュール51と表示部保持部材60とタッチスイッチシート40と中央部に開口75を有するエスカッション70を組み立てて構成される。組み立てられた表示部ユニット50は、位置決め穴57により位置決めされ、穴58でビスにより蓋筐体30に固定されることになる。表示部基板モジュール51は、電子基板52の上に表示部素子55、機械接点式スイッチ54及びコネクタ56が搭載されている。実施の形態1において、表示部素子55は、フルドット液晶ディスプレイであるが、文字、記号、映像等を表示できればその他の表示装置、例えば有機ELディスプレイなどを使用しても良い。
【0016】
表示部ユニット50において、表示部素子55の上には表示部保持部材60が配置されており、表示部素子55の外周を包囲している。表示部保持部材60のうち、表示部素子55の表示部53の上部にあたる、表示部対応部分は開口部65になっており、表示部53が視認可能になっている。表示部保持部材60は、操作パネル20の裏面に接する端面61が当該表示部保持部材60の上面の外周部に沿って設けられている。端面61の内側部分は1段低い面が設けられており、この面は後述するエスカッション70が配置されるエスカッション配置面68となっている。エスカッション配置面68も、表示部保持部材60の外周部に沿って設けられている。また、その内側はタッチスイッチシート40が貼り付けられる貼り付け面62が設けられている。エスカッション配置面68には貼り付け面62と接続する細い長方形の穴が開けられており、貼り付け面62に貼られたタッチスイッチシート40の接続部42を通すための配線穴67となっている。接続部42は、タッチスイッチシート40の一部であり、タッチスイッチシート40と電子基板52とを電気的に接続する配線が通る部分である。実施の形態1において、接続部42は、タッチスイッチシート40の側部から延びる幅の狭いフィルム部分である。なお、接続部42は、タッチスイッチシート40を構成するフィルムにより構成されるものに限られず、例えばリード線をタッチスイッチシート40に接続する構成であってもよい。配線穴67は、貼り付け面62と隣接して設置されているため、接続部42は、段差などを乗り越える必要がなく、タッチスイッチシート40の他の面と同じ高さのまま配線穴67に這わせて表示部保持部材60の外に出すことができる。
【0017】
表示部保持部材60は、電子基板52の表面に接する支持部64を有し、端面61側から入る荷重は、電子基板52の表面で受ける構造になっている。また、表示部保持部材60は、電子基板52に設けられた穴に引っ掛ける爪部63を備え、電子基板52上から容易に外れないように組み付けられている。
【0018】
表示部保持部材60は、電子基板52上に搭載されている機械接点式スイッチ54を押すための押し子66が一体となって形成されている。押し子66は、表示部保持部材60の側面に細い腕により接続されており、釦を押す方向に対して弾性を有する。押し子66は、表示部保持部材60が表示部基板モジュール51上に組み付けられた時には、機械接点式スイッチ54の真上に位置するように形成されている。
【0019】
タッチスイッチシート40は、アクリルフィルムやPETフィルムなどのフィルムにより構成され、
図5における表側の面に電極が印刷されており、配線は電極から出て接続部42を通り外部と接続するようになっている。電極がタッチスイッチシート40の表側に印刷されていることにより、タッチスイッチシート40の厚みの分だけ電極が表示部53から距離が離れるため、表示部53から放射されている電磁波の影響などによるタッチスイッチ41の誤動作を抑えることができる。接続部42は、電子基板52上のコネクタ56に接続される。電極は、タッチスイッチ41に印刷されている。タッチスイッチ41で検知された信号は、接続部42から電子基板52に送られる。また、タッチスイッチシート40の裏面は、印刷糊が印刷されている。タッチスイッチシート40は、その印刷糊により表示部保持部材60の貼り付け面62に貼り付けられている。
【0020】
図6は、
図2の断面において、表示部ユニット50周辺を拡大した図である。
図7は、
図6のB部の拡大図である。
図6において、炊飯器100の蓋体10の上面の外観を構成する操作パネル20は、外観側に凸した曲面となっている。実施の形態1において操作パネル20は、例えば樹脂成形により成型されており、ユーザーが指でタッチスイッチ41の上の外観面を押した時に、内側に凹まないように外側に凸の曲面に成型されている。また、操作パネル20を曲面形状にすることにより、樹脂成形時の反り方向を一方向にし、成型後の寸法を安定的に確保することができる。
【0021】
操作パネル20の蓋体10の内部側の面は、表示部保持部材60の上側の端面61とシール部材23を介して接触している。実施の形態1においては、シール部材23の材質は、例えばゴムであるが、これに限定されず、例えばスポンジなどの弾力があり隙間を埋めて空気が通過しにくい材質であれば良い。なお、表示部保持部材60の上側の端面61と操作パネル20との接触部に隙間が生じない、空気が通過しにくい構成になっていれば、シール部材23を省略することも可能である。また、端面61の内側には一段下げられたエスカッション配置面68が設けられ、さらに内側にはエスカッション配置面68に対しタッチスイッチシート40の厚み分だけ一段下げられた貼り付け面62が設けられている。貼り付け面62にはタッチスイッチシート40が貼り付けられ、タッチスイッチシート40とエスカッション配置面68とにより形成される面にエスカッション70が貼り付けられる。エスカッション配置面68と貼り付け面62とは、タッチスイッチシート40の厚み分下げられている。しかし、厳密にタッチスイッチシート40の厚み分下げられている必要はない。エスカッション70がゆがんでエスカッション配置面68に貼り付けられたり、エスカッション70とタッチスイッチシート40との間及びエスカッション70とエスカッション配置面68との間に隙間が生じないような寸法関係であれば良い。
【0022】
エスカッション70は、タッチスイッチシート40とエスカッション配置面68とにまたがって貼り付けられるため、エスカッション配置面68に設けられた配線穴67を塞ぐことができる。この構造により、表示部保持部材60とシール部材23と操作パネル20の裏面とタッチスイッチシート40とエスカッション70とにより囲まれた空間24は、密閉された空間になっている。よって、空間24には湿度の高い空気が侵入することがない。炊飯器100を使用して内部から蒸気が発生しても、表示窓22の内部には侵入することが無く、表示窓22が曇って表示部53が視認しにくくなるようなことが無い。なお、
図6及び
図7に示される範囲Aは、操作パネル20が透明にされている部分である。少なくとも範囲Aが透明になっていることにより、内部の表示部53が視認できるようになっている。範囲Aは、
図6及び
図7に示されるよりも大きく設定してもよい。範囲Aが大きい場合は、エスカッション70が表示窓22から見える。エスカッション70は、内部の構造部品を隠し、外観を良くすることができる。すなわち、エスカッション70は、表示窓22の内部の空間のシールをするとともに、装飾としての役割を持つ。
【0023】
実施の形態1において、貼り付け面62は、操作パネル20の外観面が形成する曲面上又は平面上の各点を、その各点において接する平面に垂直な方向にある一定距離移動した点の集合により形成される面となっている。すなわち、貼り付け面62は、操作パネル20の外観面を内側にオフセットした形状になっている。これによりタッチスイッチシート40は、操作するユーザーが触れる外観面からタッチスイッチ41までの距離が一定に保たれるため、タッチスイッチ41の検知する静電容量の変化が一定になり、タッチスイッチ41の操作性が安定するという効果が得られる。また、タッチスイッチシート40の表面から操作パネル20の裏面までは距離Cが設けられている。距離Cの空間は、実施の形態1においては1mm以下の隙間であり、少なくともエスカッション70の厚み以上の隙間である。ただし、エスカッション70及びエスカッション70を貼り付ける粘着材の少なくともどちらか一方が弾力性のある材料である場合には、距離Cはエスカッション70の厚み以下の寸法でも良い場合がある。距離Cがエスカッション70及び粘着材の厚みより小さく、エスカッション70及び粘着材がつぶされることにより生ずる弾性が、少なくともシール部材23と表示部保持部材60の端面61との接触を妨げない程度であれば、距離Cはエスカッション70の厚み以下の寸法でも良い。なお、距離Cは、例えばタッチスイッチシート40と操作パネル20の裏面とが接触している場合のように小さすぎると、静電容量の変化が安定せずタッチスイッチ41の操作感度が安定しない。また、距離Cが大きすぎてもタッチスイッチ41の反応が悪くなる。よって、実施の形態1においては1mm程度の寸法が望ましいが、タッチスイッチ41の仕様、操作パネル20の厚み、及び操作パネル20の材質などによって適宜変更することができる。
【0024】
また、タッチスイッチシート40は、表示部保持部材60の貼り付け面62に貼り付けられているが、表示部53とは距離Dだけ離して配置されている。実施の形態1においては、距離Dは、例えば1mm以上の隙間となっている。タッチスイッチシート40を表示部素子55から所定の距離だけ離すことにより、表示部素子55から放射される電磁波によりタッチスイッチ41が誤動作するのを防止することができる。また、タッチスイッチシート40は、表示部53と離した方が、表示部素子55から放射される電磁波の影響を小さくすることができるが、離しすぎると、タッチスイッチシート40から表示部53までの間の内部構造が外部から見えやすくなる。よって、距離Dの上限は、表示窓22やエスカッション70等の各部の寸法に応じ適宜決定されるものである。
【0025】
また、実施の形態1においては、表示部保持部材60の端面61を含めた内側部分に対向する部分の操作パネル20の裏面は、その外側部分と比較して肉厚が薄くされている。外側部分とは、表示部保持部材60の端面61を含めた内側部分と対向する操作パネル20の裏面の部分に対し、その周囲の領域のことを指す。この構成により、ユーザーが触れる操作パネル20の外観面からタッチスイッチシート40までの距離が上記の外側部分と比較して近くなるので、ユーザーが触れる操作パネル20の外観面から、電極が印刷されるタッチスイッチシート40の表側の面までの静電容量が大きくなる。タッチスイッチ41の検知方式は、例えば、浮遊容量を有する電極に対し自己キャパシタンス方式とする。この電極は周囲の導電気体との間にある寄生容量の影響を受ける。電極の上方の操作パネル20の外観面にユーザの指が近づくと浮遊容量の値が増加する。ユーザーが触れる操作パネル20の外観面からタッチスイッチシート40の表側の面までの静電容量が大きい場合、ユーザーの指が操作パネル20の外観面に触れたときと触れないときの電極の浮遊容量の変化が大きくなる。これにより、ユーザーがタッチスイッチ41の上の外観面に触れた時の静電容量の変化を検知しやすくなるため、操作感が向上する効果が得られる。
【0026】
(タッチスイッチの動作)
タッチスイッチ41は、表示部53に表示される内容により、タッチスイッチ41のそれぞれに割り当てられる機能を変えて使用することができる。例えば、タッチスイッチ41aの真下の表示部に「炊飯メニュー」という文字を表示させた時は、そのタッチスイッチ41の上の外観面に触れると画面に炊飯メニューが表示される。この時、タッチスイッチ41bの真下の表示部には上向きの矢印を表示させ、タッチスイッチ41cの真下の表示部には下向きの矢印を表示させる。ユーザーはタッチスイッチ41b又はタッチスイッチ41cの上の外観面に指で触れることにより、炊飯メニューを選択することができる。そして、タッチスイッチ41aの真下の表示部には「戻る」という文字を表示させてあり、またタッチスイッチ41dの真下の表示部には「決定」という文字を表示させてある。タッチスイッチ41aの上の外観面に触れると前の画面に戻ることになり、再度タッチスイッチ41aの真下の表示部には「炊飯メニュー」の文字が表示される。また、タッチスイッチ41dの上の外観面に触れた場合は、選択した炊飯メニューを決定することができ、表示部53は次の画面に遷移し、タッチスイッチ41a〜41dの真下の表示も次の画面の内容に応じた表示に変わる。
【0027】
なお、タッチスイッチ41で操作するのは、上記のようにメニューの選択などであり、炊飯器100の運転スタート及び運転停止については、炊飯器100の誤動作防止の観点から釦21に割り当てることが望ましい。だが、タッチスイッチ41により表示部53に表示される内容を変更することにより、少ないタッチスイッチ41に多くの機能を割り当てることができる。このため、機械接点式スイッチ54のみで炊飯器100の操作パネルを構成した場合と比較して、スイッチの数を少なくすることができるためユーザーも使いやすくなり、スイッチの配置スペースも小さくでき、ひいてはコストも減らすことが可能である。
【0028】
(蓋体10の組立)
ここで、
図4及び
図5を使用して蓋体10の組立について説明する。まず、
図5に示される表示部ユニット50を組み立てる。まず、表示部保持部材60の貼り付け面62の上にタッチスイッチシート40を貼り付ける。タッチスイッチシート40を貼り付け面62に貼り付ける際に接続部42は、配線穴67を通し、表示部保持部材60の側方に出しておく。その後、タッチスイッチシート40の上からエスカッション70を貼り付ける。エスカッション70は、エスカッション配置面68に合わせて貼り付けられ、エスカッション配置面68とタッチスイッチシート40とにまたがって貼り付けられる。表示部保持部材60とタッチスイッチシート40とエスカッション70とを組み立てた後にその組み立てたものを表示部基板モジュール51に取り付け、爪部63を電子基板52に開けられた穴に係合させ、表示部保持部材60を固定する。表示部保持部材60を表示部基板モジュール51に固定した後に、タッチスイッチシート40の接続部42をコネクタ56に差し込む。タッチスイッチシート40が表示部ユニット50として組み上がった状態で接続部42をコネクタ56に差し込むことができるので、接続部42の長さは、コネクタ56に差し込むことができる程度の余裕があれば良い。接続部42を短くできることにより、表示部53等から放射される電磁波の影響による誤作動を抑えることができる。
【0029】
表示部ユニット50が組み上がったら、表示部ユニット50を蓋筐体30にくりぬかれた収納部35に納める。収納部35には、位置決めピン32及びネジ穴33が備えられている。電子基板52に開けられた位置決め穴57に位置決めピン32に差し込むように表示部ユニット50を収納部35に納める。表示部ユニット50が所定の位置に納まったら、電子基板52に開けられた穴58にネジを通し、ネジ穴33に螺合させ、表示部ユニット50を蓋筐体30内に固定する。表示部ユニット50が固定されたら、図示されていない他の制御基板等との接続作業を行う。
【0030】
表示部ユニット50を蓋筐体30内に組み付けたら、操作パネル20を蓋筐体30の上面に被せる。操作パネル20は、
図2に示されるように、蓋筐体30の裏側からビス34で固定するようになっている。以上の手順で蓋体10は組み立てられる。
【0031】
(効果)
実施の形態1の炊飯器100は、各種表示を行う表示部53と、表示部53が視認できるように設けられた表示窓22を有する操作パネル20と、表示部53を有する表示部素子55を搭載し、操作パネル20の内側に設けられている電子基板52と、電子基板52に組み付けられ、表示部素子55の外周を包囲し、表示部53に対応する部位に開口部65を有する表示部保持部材60と、表示部保持部材60の外観面側にある貼り付け面62に開口部65を覆って貼り付けられ、電子基板52に接続部42が接続されるタッチスイッチシート40と、を備える。このような構成にすることにより、タッチスイッチシート40を内部構造である表示部保持部材60に貼り付けることができ、接続部42を長くすることなくタッチスイッチシート40を表示窓22の裏面に配置させることができる。タッチスイッチシート40が表示部保持部材60に貼り付けられることにより、外観面と表示窓22とを備える操作パネル20の組み付けも容易になる。また、接続部42を長くする必要がないため、タッチスイッチ41のノイズによる誤作動を抑制でき、タッチスイッチ41の作動の信頼性を確保できる。さらに、接続部42を納めるスペースも小さくできることから、炊飯器100の大型化もすることなく、コストを抑えた炊飯器100を提供することができる。
【0032】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、表示部保持部材60は、操作パネル20に対向する端面61が操作パネル20の裏面と接している。このような構成にすることにより、組立が容易になるとともに、内部の表示部ユニット50の収納部35をシールする構造も可能となるため、表示部53の周辺に蒸気が侵入して表示部53の視認性が妨げられることを防止できる。
【0033】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、操作パネル20と表示部保持部材60の端面61とは、シール部材23を介して接している。このような構成にすることにより、エスカッション70と操作パネル20の裏面と表示部保持部材60とタッチスイッチシート40とにより囲まれる空間の密閉性を高めることができ、蒸気の侵入などにより表示窓22がくもり表示部53の視認性が低下するのを防止することができる。
【0034】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、貼り付け面62は、操作パネル20の表面をオフセットした形状である。このような構成にすることにより、タッチスイッチシート40と操作パネル20の外観面との距離を一定にすることができる。これにより、操作パネル20の外観面にユーザーが触れた時のタッチスイッチ41の静電容量の変化が一定になり、タッチスイッチ41の操作性が安定する。
【0035】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、貼り付け面62は、周囲の面に対してタッチスイッチシート40の厚み分凹ませた面である。このような構成にすることにより、タッチスイッチシート40を操作パネル20に接触させることなく配置することができ、タッチスイッチシート40と操作パネル20の裏面との間に適度な空間24を持つことができるため、タッチスイッチ41の上の外観面に触れた時の操作感度が安定する。また、表示部保持部材60と操作パネル20の裏面との間でシール構造をとり、表示窓22の内部側を密閉することも可能となり、空間24に蒸気が侵入して表示部53の視認性が低下するのを防止できる。
【0036】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、タッチスイッチシート40は、フィルムに電極を印刷して構成され、電極の印刷面を操作パネル20側に向けて表示部保持部材60に貼り付けられる。このような構成にすることにより、操作パネル20の外観面とタッチスイッチ41の電極との距離を近づけつつ、表示部53とタッチスイッチ41の電極との距離を離す構成にできる。そのため、タッチスイッチ41の上の外観面に触れた時の操作感度を良くするとともに、表示部53の放射する電磁波の影響によりタッチスイッチ41が誤作動するのを抑えることができる。
【0037】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、タッチスイッチシート40は、電極の印刷面と反対側の面に印刷糊が印刷されている。このような構成にすることにより、タッチスイッチシート40を表示部保持部材60に貼り付けるための糊を一体化することができ、タッチスイッチシート40の糊を含めた厚みを薄くすることができ、貼り付け作業も容易になる。
【0038】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、更に表示部53が視認できるように開口75を有するエスカッションを備え、エスカッション70は、タッチスイッチシート40の外縁側の領域を全周にわたって覆い貼り付けられる。このような構成にすることにより、内部構造やタッチスイッチシート40の端面等を表示窓22から見えないように隠すことができる。また、エスカッション70をタッチスイッチシート40に貼り付けることにより、表示窓22の裏側の領域を密閉することができ、蒸気の侵入などにより表示窓22がくもり表示部53の視認性が低下するのを防止することができる。
【0039】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、タッチスイッチシート40は、電子基板52に接続し、電極が検知した信号を電子基板52に送るための接続部42を備える。表示部保持部材60は、貼り付け面62に隣接して設置される接続部42を通すための配線穴67を備え、エスカッション70は、配線穴67を塞ぎ、操作パネル20の裏面と表示部保持部材60とタッチスイッチシート40とにより囲まれる空間を密閉する。このような構成にすることにより、タッチスイッチシート40を電子基板52に接続するため、接続部を長くする必要がなく、ノイズ等によるタッチスイッチ41の誤動作を防止することができる。また、エスカッション70が配線穴67を塞ぐことにより、表示窓22の裏側の領域を密閉することができ、蒸気の侵入などにより表示窓22がくもり表示部53の視認性が低下するのを防止することができる。
【0040】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、電子基板52は、機械接点式スイッチ54を備え、表示部保持部材60は、機械接点式スイッチ54を押すための押し子66を備える。このような構成にすることにより、タッチスイッチ41と機械接点式スイッチ54とを併用することにより、スイッチの用途により使い分けをすることができ、炊飯器100の操作性及び信頼性が向上する。また、機械接点式スイッチ54の押し子66を表示部保持部材60に一体に設けることにより部品点数が減り、コストが低減する。
【0041】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、表示部53は、タッチスイッチシート40が備えるタッチスイッチ41の真下の画面表示の内容を変更できる。このような構成にすることにより、タッチスイッチ41a〜41dに多くの機能を割り当てることができ、機械接点式スイッチ54の数を最小限にすることができる。また、炊飯器100のコストが低減する。
【0042】
また、実施の形態1の炊飯器100においては、操作パネル20は、タッチスイッチシート40に対向している部分の肉厚が薄くなっている。このような構成にすることにより、操作パネル20の外観面からタッチスイッチ41の電極面を近づけることができ、タッチスイッチ41の上の外観面に触れた時の操作感度が向上する。
【0043】
なお、実施の形態1は、表示部保持部材60にタッチスイッチシート40を貼り付けるように構成したが、表示部保持部材60の代わりに嵩上げ用のスペーサ(図示せず)を用いてもよい。つまり、表示部53の外側、つまり表示部53を操作パネル20側から見た場合に、表示部素子55の外周より外側の位置の電子基板52の上にスペーサを配置する。そして、例えば、電子基板52の上に配置されたスペーサの操作パネル20側の面に設けられた貼り付け面にタッチスイッチシート40を貼り付ける。さらに、貼り付け面の周囲にあるスペーサの外縁部の操作パネル20に対向する端面が、操作パネル20の裏面と接するように構成してもよい。又は、操作パネル20とスペーサの端面とは、シール部材23を介して接するように構成してもよい。
【0044】
つまり、上記の炊飯器100は、各種表示を行う表示部53と、表示部53が視認できるように設けられた表示窓22を有する操作パネル20と、表示部53を有する表示部素子55を搭載し、操作パネル20の内側に位置している電子基板52と、電子基板52に組み付けられ、表示部53の外側に配置されるスペーサと、スペーサの貼り付け面に貼り付けられ、電子基板52に接続される接続部42を有したタッチスイッチシート40と、を備える。また、この炊飯器100において、スペーサは、操作パネル20に対向する端面が操作パネル20の裏面と接している。さらに、この炊飯器100において、操作パネル20とスペーサの端面とは、シール部材23を介して接している。このように構成することにより、例えば、表示部53のサイズが小さく、表示部53に重ねてタッチスイッチシート40を配置することが困難な場合にもタッチスイッチシート40を配置でき、タッチスイッチシート40を配置する自由度を増すことができる。また、タッチスイッチシート40の接続部42を長くすることなくタッチスイッチシート40を組み付けることができる。