特許第6482442号(P6482442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482442
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】石英ガラス溶融用カーボン電極
(51)【国際特許分類】
   C03B 20/00 20060101AFI20190304BHJP
   C04B 35/52 20060101ALI20190304BHJP
   H05B 7/085 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C03B20/00 A
   C03B20/00 H
   C04B35/52
   H05B7/085
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-192938(P2015-192938)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-65962(P2017-65962A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】507182807
【氏名又は名称】クアーズテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 未来
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−97775(JP,A)
【文献】 特開昭53−125290(JP,A)
【文献】 特開2010−184344(JP,A)
【文献】 特開2010−76978(JP,A)
【文献】 特開2002−246171(JP,A)
【文献】 特開昭54−27315(JP,A)
【文献】 特開昭59−108294(JP,A)
【文献】 特開昭60−235710(JP,A)
【文献】 特開平7−29679(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101980583(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103030404(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 20/00
C04B 35/52
C01B 32/20
H05B 7/06−085
H05B 7/18−22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク放電により石英ガラスを溶融するのに用いられる石英ガラス溶融用カーボン電極において、
この電極基材が、かさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下で、かつ固有抵抗が7μΩm以上8μΩm以下のカーボンからなることを特徴とする石英ガラス溶融用カーボン電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石英ガラス溶融用カーボン電極に関し、特に溶融される石英ガラス内に泡が発生するのを抑制すると共に、アーク放電の切れを抑制し、均一な石英ガラスを形成する石英ガラス溶融用カーボン電極に関する。
【背景技術】
【0002】
石英ガラス、例えば、シリコン単結晶引上げ用の石英ガラスルツボの製造は、図3に示すような石英ガラスルツボ製造装置21を用いて行なわれている。
前記石英ガラスルツボ製造装置21のルツボ成形用型22は、減圧可能な構造を有する内側部材23と保持体24とから構成され、回転軸25により回転可能なように支持されている。
また、前記内側部材23に対向する上部には、アーク放電を行うための3本の石英ガラス溶融用カーボン電極27が設けられている。
【0003】
そして、上記石英ガラスルツボ製造装置21を用いて、石英ガラスルツボの製造を行うには、前記回転軸25を矢印の方向に回転させ、前記ルツボ成形用型22を高速で回転させる。一方、前記ルツボ成形用型22内に供給管(図示せず)から高純度のシリカ粉末を供給する。供給されたシリカ粉末は、遠心力によってルツボ成形用型22の内側部材23に押圧されて、ルツボ形状の成形体26として成形される。
【0004】
次に、内側部材23内を減圧し、更にカーボン電極27に通電して成形体26の内側から加熱し、成形体26の内表面側から徐々に溶融し、溶融層を形成する。その後、前記溶融層が冷却されることにより、石英ガラスルツボが製造される。
【0005】
このアーク放電により、シリカ粉末の成形体26を溶融して石英ガラスルツボを製造する工程において、カーボン電極27からカーボン粒子が脱落し、溶融状態にある石英ガラスルツボ(成形体)内に落下することがある。このカーボン電極27から落下したカーボン粒子は、溶融中の石英ガラスルツボ(成形体)中で酸化消耗し、石英ガラス(透明層)内に泡を発生させるという問題があった。
【0006】
特に、前記泡を有する石英ガラスルツボを用いてシリコン単結晶の引上げを行うと、石英ガラスルツボの内表面付近(特に透明層)に形成された透明層に存在する泡が膨脹して大きな泡となり、前記泡が透明層の溶解と共にシリコン融液中に混入し、シリコン単結晶の成長に悪影響を与え、シリコン単結晶の単結晶化歩留りを低下させるという問題があった。また、アーク放電によって、カーボン電極27が消耗し、カーボン電極27の寿命が短いという問題があった。
【0007】
前記問題を解決するために、本出願人は、特許文献1に示すように、アーク放電により石英ガラスを溶融するのに用いられる石英ガラス溶融用カーボン電極において、この電極基材が、かさ密度1.80g/cm以上で、かつ3点曲げ強さ35MPa以上のカーボンからなることを特徴とする石英ガラス溶融用カーボン電極を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−97775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載された石英ガラス溶融用カーボン電極を用いても、従来の石英ガラス溶融用カーボン電極よりも優れた効果を奏するものの、少なからずしも、カーボン電極から落下するカーボン粒子があり、溶融中の石英ガラスルツボ(成形体)中で酸化消耗し、石英ガラス(透明層)内に泡を発生させる虞があった。
また、石英ガラス溶融用カーボン電極にあっては、アーク放電中にアーク放電切れ(アーク放電が停止)が発生し、均一な石英ガラスを形成することができないという問題があった。
【0010】
そこで、本出願人は、カーボン電極から落下するカーボン粒子をより少なくし、石英ガラス(透明層)内に泡を抑制すると共に、アーク放電中のアーク放電切れを抑制し、均一な石英ガラスを形成することを鋭意研究した。
その結果、カーボン電極を構成する電極基材のかさ密度が特定の範囲にあり、かつ固有抵抗が特定範囲内にある場合に、カーボン電極(電極基材)から落下するカーボン粒子をより抑制することができ、かつアーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、石英ガラス(透明層)内の泡の発生をより抑制した、均一な石英ガラスを形成することができることを想到し、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制できると共に、アーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成できる石英ガラス溶融用カーボン電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた石英ガラス溶融用カーボン電極は、アーク放電により石英ガラスを溶融するのに用いられる石英ガラス溶融用カーボン電極において、この電極基材が、かさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下で、かつ固有抵抗が7μΩm以上8μΩm以下のカーボンからなることを特徴としている。
【0013】
このように、電極基材が、かさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下で、かつ固有抵抗が7μΩm以上8μΩm以下のカーボンから構成されているため、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制できると共に、かつアーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成することができる。
【0014】
特に、石英ガラス溶融用カーボン電極のかさ密度が、1.72g/cm以上1.75g/cm以下になされているため、カーボン電極から落下するカーボン粒子をより抑制することができ、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制できることができる。
また、石英ガラス溶融用カーボン電極の固有抵抗が、7μΩm以上8μΩm以下のカーボンから構成されているため、アーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制できると共に、アーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成できる石英ガラス溶融用カーボン電極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明にかかる石英ガラス溶融用カーボン電極の実施形態を示す側面図である。
図2図2は、図1に示した石英ガラス溶融用カーボン電極を装着した石英ガラスルツボ製造装置の概略構成図である。
図3図3は、従来の石英ガラス溶融用カーボン電極を装着した石英ガラスルツボ製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係わる石英ガラス溶融用カーボン電極の実施形態を、シリコン単結晶引上げ用石英ガラスルツボの溶融を例とし、添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、石英ガラス溶融用カーボン電極1を示す側面図で、このカーボン電極1の外観形状は全体的に円柱形状であり、先端部1aが先細の形状になされている。この後端部1bにはねじ部が形成され、図2に示すように、石英ガラス溶融用カーボン電極1の支持部1cに固定される。
また、カーボン電極1(電極基材)は、カーボン粒子がコークスなどの原料、例えば石炭系ピッチコークスと、コールタールピッチなどの結合材、例えば石炭系コールタールピッチとを炭化した混練物を用いて、一般的な製造方法により形成される。
【0019】
前記製造方法について一例を挙げれば、所定の粒径を有するカーボン質原料と、所定の残炭率を有する結合材とを加熱混練し、得られる混練物を粉砕し、これを粒径が所定の範囲内となるように篩分し、得られた2次粒子をCIP成形し、これを焼成後、所定温度(黒鉛化温度)で黒鉛化して黒鉛材料を得、これを加工、純化処理することによって、カーボン電極1(電極基材)形成する方法を挙げることができる。
【0020】
また前記製造方法について他の例を挙げれば、所定の粒径を有するカーボン質原料と、所定の残炭率を有する結合材とを加熱混練し、得られる混練物を所定温度で押出し成形し、これを焼成後、所定温度(黒鉛化温度)で黒鉛化した黒鉛材料を得、これを加工、純化処理することによって、カーボン電極1(電極基材)形成する方法を挙げることができる。
【0021】
尚、製造方法で得られたカーボン電極1は、いずれも所定の気孔率を有するが、この気孔に熱硬化性樹脂、例えばフェノール系またはフラン系のものを含浸させた後、上述の焼成と同様に重油バーナを熱源とする炉で焼成し、加工して成形し、高純度処理を行い、灰分を5ppm以下にして、カーボン電極1を製造しても良い。
【0022】
熱硬化性樹脂を成形体に含浸することにより、カーボン粒子同士のネック部が強化され、使用時の消耗度合が小さく、カーボン粒子の落下も低減される。また、熱硬化性樹脂としてフェノール系またはフラン系のものを用いるのは、酸化されにくく、消耗落下を抑制でき、石英ガラスに泡を発生させにくく、シリコン単結晶の単結晶化歩留を向上させることができる。
【0023】
本発明にかかる石英ガラス溶融用カーボン電極は、このカーボン電極の電極基材がかさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下で、かつ固有抵抗が7μΩm以上8μΩm以下のカーボンからなる点に特徴を有している。
【0024】
前記かさ密度は、単位体積当りのカーボン量を示すもので、密度が高いほどカーボン電極の消耗、カーボン粒子の落下が少ない。特許文献1に示された1.80g/cmよりも、かさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下と高く、カーボン電極の消耗、粒子のカーボン粒子の落下が極力抑制され、石英ガラス内の泡の発生を極力抑止される。
【0025】
このかさ密度は、上記製造方法において、カーボン質原料の粒径小さくこと(気孔率を小さくすること)によって、かさ密度を高くすることができる。
このかさ密度は、20mm×20mm×100mmに切り出したサンプルの重量と体積から、JIS−R7222−1997「黒鉛素材の物理特性測定方法」に準拠した方法で算出する。
【0026】
また、石英ガラス溶融用カーボン電極(電極基材)の固有抵抗は、7μΩm以上8μΩm以下のカーボンから構成されている。
前記電極基材の固有抵抗が前記特定の範囲内にあるため、アーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、またカーボン電極の消耗、粒子の落下をより抑制でき、均一な石英ガラスを形成することができる。
尚、前記固有抵抗は体積固有抵抗を意味し、アークの安定性、カーボン電極の消耗、カーボン粒子の落下から鑑みれば、電極基材の固有抵抗は小さい方が望ましい。
【0027】
ところで、前記固有抵抗は、カーボン電極のかさ密度(気孔率)、不純物等の影響を受け、固有抵抗が特定の抵抗値を超えると、アーク放電中のアーク放電切れ(アーク放電の停止)等、アークの放電異常を起こし、均一な石英ルツボの製造に悪影響を与える。
【0028】
この電極基材の固有抵抗は、上記製造方法において、かさ密度、黒鉛化度などを変化させることにより調整することができる。
黒鉛化温度を高くし、黒鉛化度を高くする(黒鉛化度:黒鉛結晶構造の成長度合い)と固有抵抗は低くなる。また、かさ密度を高くすると固有抵抗は低くなる。このかさ密度は成形圧力、成形後の含浸などにより調整することができる。
そのほかに、原料粉末を配向させる、すなわち異方性をコントロールすることによっても固有抵抗を調整することができる。
【0029】
この固有抵抗は、JIS−R7222−1997「黒鉛素材の物理特性測定方法」に準拠した方法で室温(20℃)において測定することができる。
【0030】
次に、本発明に係わる石英ガラス溶融用カーボン電極を用いた石英ガラスルツボの製造方法について説明する。
【0031】
図2に示すような石英ガラスルツボ製造装置2のルツボ成形用型3は、減圧可能な構造を有する内側部材4と、その外周に通気部5を設けて、前記内側部材4を保持する保持体6とから構成されている。
前記保持体6の下部には、図示しない回転手段と連結されている回転軸7が固着されていて、ルツボ成形用型3を回転可能なようにして支持している。
【0032】
前記通気部5は、保持体6の下部に設けられた開口部8を介して、回転軸7の中央に設けられた排気口9と連結されている。この排気口9は、減圧機構10と連結されている。
また、前記内側部材8に対向する上部には、アーク放電による石英ガラス溶融用の3本のカーボン電極1が設けられている。
【0033】
そして、上記石英ガラスルツボ製造装置2を用いて石英ガラスルツボの製造を行うには、図示しない回転駆動源を稼働させて回転軸7を矢印の方向に回転させることによってルツボ成形用型3を高速で回転させる。また、ルツボ成形用型3内に供給管(図示せず)から高純度のシリカ粉末を供給する。供給されたシリカ粉末は、遠心力によってルツボ成形用型3の内側部材4に押圧され、ルツボ形状のルツボ成形体11として成形される。
更に、前記減圧機構10の作動により内側部材4内を減圧し、カーボン電極1に通電して、ルツボ成形体11の内側からアーク放電により加熱し、成形体11の内表面から徐々に溶融層を形成する。その後、前記溶融層が冷却されることにより、石英ガラスルツボが製造される。
【0034】
前記アーク放電により石英ガラス(ルツボ成形体)を溶融して石英ガラスルツボを製造する工程において、用いられるカーボン電極1の電極基材が、かさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下で、かつ固有抵抗が7μΩm以上8μΩm以下のカーボンから構成されている。
そのため、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制でき、かつアーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成することができる。
【0035】
特に、石英ガラス溶融用カーボン電極1(電極基材)のかさ密度が、1.72g/cm以上1.75g/cm以下になされているため、カーボン電極1から落下するカーボン粒子をより抑制することができ、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制できることができる。
また、石英ガラス溶融用カーボン電極(電極基材)の固有抵抗が、7μΩm以上8μΩm以下のカーボンから構成されているため、アーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成することができる。
【実施例】
【0036】
表1の実施例1〜4および比較例1〜6に示すような固有抵抗、かさ密度を有するカーボン電極を製作し、石英ガラスルツボを製造する工程において、アーク放電切れの発生、また製造させた石英ルツボの発生について検証した。
【0037】
表1の実施例1〜4および比較例1〜6は、所定の粒度を持つカーボン質原料(1次粒子)である石炭系ピッチコークスと残炭率が55%である石炭系コールタールピッチ(結合材)を加熱乾燥した混練物を粉砕し、篩分した2次粒子を、CIP成形し、この成形体を重油バーナを熱源とする炉で焼成した後、3000℃で黒鉛化を行い、これを用いて図1に示すように加工し、さらに、2000℃以上でハロゲンガスを流した炉内で純化処理を行い、灰分1ppmのカーボン電極を製造した。
【0038】
この際、カーボン質原料の粒度、CIP成形時の圧力および上記焼成時の温度、時間を変えることによって、表1の通り、かさ密度、固有抵抗が異なるカーボン電極を得た(実施例1〜4および比較例1〜6)。
【0039】
そして、各実施例、各比較例をそれぞれアーク回転溶融法による石英ガラスルツボ製造装置にカーボン電極として組込み、CZ法によるシリコン単結晶引上げ装置に使用される石英ガラスルツボを製造し、カーボン電極および石英ガラスルツボを評価した結果を表1に示す。
【0040】
各実施例、各比較例おいて3本のカーボン電極を1セットとし、1セットの電極において口径が22インチの石英ガラスルツボを4個製造し、各5セットの各実施例、各比較例の石英ガラスルツボを20個製造した。
そして、夫々のカーボン電極、石英ガラスルツボについて評価した。その結果を表1に示す。
【0041】
表1において、ルツボの寸法は、ノギス、キャリパー、超音波膜厚計、測定冶具などを用いて測定し、前記石英ガラスルツボを20個の平均値から評価した。そして、ルツボ各部の寸法が全て規格内の場合は◎、規格ギリギリの寸法がある場合は○、一部規格外の寸法がある場合は△、全て規格外の場合は×として評価した。
【0042】
また、ルツボの外観は、石英ガラスルツボを20個のうち泡、黒点など異物混入がない場合は◎、規格内の場合は○、規格内だが個数が多い場合は△、規格外の場合は×として評価した。
【0043】
また、ルツボの泡の発生は、透明層の泡の有無を目視により確認し、前記石英ガラスルツボを20個の平均値から評価した。そして、電極に起因する泡発生率が10%以下の場合は◎、電極に起因する泡発生率が10%超えて〜20%以下の場合は○、20%超えて〜40%以下の場合は△、40%越える場合は×として評価した。
【0044】
また、カーボン電極の純度は、ICP発光分析装置により測定し、遷移金属系元素の含有量が規格値の80%以下の場合は◎、規格値以下の場合は○、一部の元素が規格値超の場合は△、一部の元素が規格値超の場合は×として評価した。
【0045】
また、アークの安定性は、石英ガラスルツボを20個製造する際、アーク切れが1回以下の場合は◎、2回以下の場合は○、3回以下の場合は△、4回以上の場合は×として評価した。
【0046】
【表1】
【0047】
この表1から明らかなように、かさ密度1.72g/cm以上1.75g/cm以下で、かつ固有抵抗が7μΩm以上8μΩm以下のカーボンから構成されている場合に、石英ガラス(透明層)内の泡の発生を抑制できると共に、かつアーク放電中のアーク放電切れを抑制でき、均一な石英ガラスを形成することができることを確認することができた。
尚、比較例6にあっては、アークの安定性が悪く、石英ガラスルツボを製造することができなかった。
【符号の説明】
【0048】
1 石英ガラス溶融用カーボン電極
2 石英ガラスルツボ製造装置
図1
図2
図3