特許第6482476号(P6482476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482476
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】選択的レーザ凝固装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/236 20170101AFI20190304BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20190304BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20190304BHJP
   B23K 26/142 20140101ALI20190304BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20190304BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20190304BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20190304BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20190304BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20190304BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B29C64/236
   B29C64/153
   B23K26/34
   B23K26/142
   B23K26/21 Z
   B22F3/16
   B22F3/105
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B28B1/30
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-557513(P2015-557513)
(86)(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-517357(P2016-517357A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】GB2014050417
(87)【国際公開番号】WO2014125280
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2017年1月27日
(31)【優先権主張番号】1302602.6
(32)【優先日】2013年2月14日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1303920.1
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/774,215
(32)【優先日】2013年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルク フランク ディムター
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ マルクス マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘス
【審査官】 北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−504897(JP,A)
【文献】 国際公開第1992/008592(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102004031881(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0241392(US,A1)
【文献】 EOS launches EOSINT M 280 metal additive manufacturing system,Industrial Lasers.comホームページ,2010年 3月12日,(インターネットより入手(URL:https://www.industrial-lasers.com/articles/2010/12/eos-launches_eosint.html)(入手日:2018年2月27日))
【文献】 B. Ferrar, et al.,Gas flow effects on selective laser melting(SLM) manufacturing performance,JOURNAL OF MATERIALS PROCESSING TECHNOLOGY,2012年,vol. 212, no. 2,p. 355-364
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラの指示により動作させられる選択的レーザ凝固装置であって、
上に紛末層が堆積できる紛末床と、
所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、
紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成する、コントローラの制御下で動作するレーザスキャンニングユニットであって、前記必要とされるパターンが複数の縞または縞セグメントから形成され、前記縞または縞セグメントがそれぞれ縞形成方向に縞または縞セグメントに沿ってレーザビームを進めることによって形成されるレーザスキャンニングユニットとを備える選択的レーザ凝固装置であって、
前記縞形成方向が所定のガス流方向に対して所定の角度で向かい合わせにされ、該所定の角度は紛末床と平行な面において90°より大きく270°未満であるように、コントローラがレーザスキャンニングユニットを制御することを特徴とする、選択的レーザ凝固装置。
【請求項2】
縞形成方向の前記所定の角度は、120°より大きく240°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
紛末床にわたってのガスの流れは紛末床の第1の側に由来し、複数の縞は紛末床の第1の側に対するそれらの近接度と逆の順序で形成される選択的レーザ凝固装置に及ぶことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
ガス流ユニットは、少なくとも1つのガス出口および少なくとも1つのガス排出管を備え、前記少なくとも1つのガス出口および前記少なくとも1つのガス排出管は、少なくとも1つのガス出口から少なくとも1つのガス排出管にポンプ送りされたガスが所定のガス流方向に沿って実質的に平坦なガスの流れを提供するように紛末床のどちらかの側に配置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
必要とされているパターンは、複数の細長い縞で形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
複数の細長い縞の各々は、細長い軸を有する直線状の縞を備え、縞形成方向は、前記細長い軸に平行であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
必要とされるパターンは、複数の縞セグメントから形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
レーザスキャンニングユニットが縞または縞セグメントを横切って移動させられるレーザスポットを発生させてガス流方向に対する斜線を形成し、複数の縞または縞セグメントの各々が縞形成方向に沿って進められるガス流方向に対する複数の斜線を用いて形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
レーザスキャニングユニットは、縞または縞セグメントを横切ってレーザビームを前後に移動させることによって一連のガス流方向に対する斜線を形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ガス流方向に対するすべての斜線は、同じ線の方向に縞を横切ってレーザビームを移動させることによって形成され、前記線の方向は、ガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
線の方向は、ガス流方向に対しての縞の向き形成方向に基づいて選択されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
複数の紛末層を堆積し選択的に凝固して三次元物体を形成し、前記紛末層のそれぞれが必要とされるパターンが、複数の縞または縞セグメントから形成される装置であって、前記縞形成方向は、各層の縞または縞セグメントごとに所定のガス流方向に対して所定の角度で向かい合わせにされ、該所定の角度は紛末床と平行な面において90°より大きく270°未満であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
隣接する粉末層同士の縞形成方向が異なることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
レーザスキャニングユニットは、紛末層を選択的に溶融するよう構成されることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通し、
レーザスキャンニングユニットがコントローラの制御下で動作して、紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成し、前記必要とされるパターンが複数の縞または縞セグメントから形成され、前記縞または縞セグメントのそれぞれが縞形成方向に縞または縞セグメントに沿ってレーザビームを進めることによって形成され、
前記縞形成方向が所定のガス流方向に対して所定の角度で向かい合わせにされ、該所定の角度は紛末床と平行な面において90°より大きく270°未満であるように、コントローラがレーザスキャンニングユニットを制御することを特徴とする、紛末床に堆積された紛末層を選択的に凝固する方法。
【請求項16】
コントローラの指示により動作させられる選択的レーザ凝固装置であって、
上に紛末層が堆積できる紛末床と、
所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、
紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成する、コントローラの制御下で動作するレーザスキャンニングユニットであって、前記必要とされるパターンは複数の縞または縞セグメントから形成される、レーザスキャンニングユニットとを備える選択的レーザ凝固装置であって、
紛末床にわたってのガスの流れが紛末床の第1の側に由来し、複数の縞または縞セグメントは紛末床の第1の側に対するそれらの近接度と逆の順序で形成されるようにコントローラがレーザスキャンニングユニットを制御することを特徴とする、選択的レーザ凝固装置。
【請求項17】
コントローラの指示により動作させられる選択的レーザ凝固装置であって、
上に紛末層が堆積できる紛末床と、
ガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、
前記紛末層の上でレーザビームを移動させて紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成する、コントローラの制御下で動作するレーザスキャンニングユニットとを備えた選択的レーザ凝固装置であって、
レーザスキャンニングユニットがレーザビームを移動させて斜線移動方向に沿って紛末層にわたって進められる一連のガス流方向に対する斜線を形成し、斜線移動方向がガス流方向に対して所定の角度で向かい合わせにされ、該所定の角度は紛末床と平行な面において90°より大きく270°未満であるように、コントローラがレーザスキャンニングユニットを制御することを特徴とする、選択的レーザ凝固装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的レーザ凝固に関し、詳細には、紛末床を横切るレーザ移動の方向がガス流の方向に対して制御される改良された選択的レーザ溶融プロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構成要素を作り出すための付加製造法またはラピッドプロトタイピング法は、レーザビームを用いた金属粉末材料などの材料の層ごとの凝固を含む。紛末層がビルドチャンバ内で紛末床上に堆積させられ、レーザビームが構築される構成要素の断面に対応する紛末層の部分にわたってスキャンされる。レーザビームは、粉末を溶融または焼結して凝固された層を形成する。図2を参照して以下により詳細に説明されるように、一連の縞を用いて紛末層内に所望されるパターンを溶融または焼結することが典型的である。特に、複数の縞に沿っていわゆる斜線を前後に進めて紛末層内に所望されるパターンを順々に構築することが知られている。層の選択的凝固の後、紛末床は、新たに凝固された層の厚さだけ下げられ、粉末のさらなる層は、表面にわたって広げられ、必要とされるときに凝固される。
【0003】
溶融または焼結プロセス中、デブリ(例えば、凝縮液、凝固されていない粉末の粒子など)が、ビルドチャンバ内で作り出される。ガス流中のチャンバからのデブリを取り除く試みにおいて、ガス流をビルドチャンバを通じて導入することが知られている。例えば、EOS GmbH、ミュンヘン、ドイツによって作り出された機械のM270モデルは、ガスの流れをビルドチャンバの上部から紛末床に向けて通し、様々な排気口が、再循環のためにガスを集める。したがって、M270の機械におけるガス流は乱流であり、よく定められた流れの方向を有さない。EOSによって作り出された機械のより新しいM280モデルは、紛末床の前部に設置されている一連の排気口にガスの流れを通す紛末床の後部に設置された一連のガス出口ノズルを備える。このようにして、ガス流の平坦層は、紛末床の表面で生成される。しかしながら、この平坦なガス流の配列は、本発明者によって見いだされ、溶融プロセスによって発生させられる凝固された金属層の高い表面粗さおよび非均一性を作り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0142024号明細書
【特許文献2】米国特許第8034279号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、上に紛末層が堆積できる紛末床と、所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成するレーザスキャンニングユニットとを備え、必要とされるパターンが複数の縞または縞セグメントから形成され、各縞または縞セグメントが縞形成方向に縞または縞セグメントに沿ってレーザビームを進めることによって形成される選択的にレーザで凝固する装置(以下、選択的レーザ凝固装置とする)において、縞形成方向が所定のガス流方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされることを特徴とする選択的レーザ凝固装置が提供される。
【0006】
したがって、本発明は、紛末層が紛末床に堆積される選択的レーザ凝固装置、例えば、選択的にレーザで焼結するまたは選択的にレーザで溶融する装置に関する。レーザスキャンニングユニットは、レーザビームを紛末層の表面上へ向けて紛末層の選択された部分を凝固させて(例えば、溶融または焼結して)必要とされるパターン(例えば、構築されている3D物体の断面に対応するパターン)を形成する。この選択的凝固は、レーザビームによってスキャンされるエリアを複数の縞または縞セグメントに分割することによって行われる。各縞または縞セグメントは、縞形成方向に縞または縞セグメントに沿ってレーザビームを進めることによって形成される。以下で説明されるように、好ましい実施形態では、レーザスキャンニングユニットは、各縞または縞セグメントを横切ってレーザスポットを迅速に移動させて(例えば、スキャンまたはステップして)縞形成方向に縞または縞セグメントに沿って進められる斜線を形成する。ガス流ユニットは、縞がスキャンされている間に、紛末床にわたってガスの流れ(例えば、平坦なガス流)を提供する。
【0007】
本発明者は、EOS M280などの市販の選択的レーザ溶融機械を用いるときに生じるいくつかの問題を発見している。特に、レーザ凝固(例えば、溶融)プロセス中に放出されたデブリ(例えば、凝縮液、粉末粒子など)が、まだ凝固されていない紛末層のエリアに堆積され得ることが分かっている。これは、さらなる表面の粗さおよび不均一な厚さの層の形成をもたらすことが分かっており、これは、欠点(例えば、孔、介在物など)をさらに生成する。ガスが紛末床にわたって流れるやり方を変更することが以前に提案されたが、本発明者は、ガス流方向に対しての縞形成方向が、形成される層の品質にかなり影響を及ぼすことに気付いている。特に、本発明者は、所定のガス流方向が縞形成方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされる場合、改善された粉末層の形成が生じることに気付いている。言い換えると、装置は、縞形成方向を定めるベクトルを向かい合わせにするガス流方向を説明するベクトルの構成要素がいつも存在することを確実にすることによって改善されることができる。
【0008】
ガス流方向に対しての縞形成方向を制御することの利益が以前には当業者によって認識されていなかったことに留意することが大切である。以下で説明されるように、従来技術の技法は、向かい合っている縞形成方向が隣接する縞に使用される縞のパターンを典型的には使用し、これは、紛末層にわたってレーザビームをスキャンするのにかかる時間を最小にするためになされる。ガス流が制御されていない機械については、縞形成方向に対してのガス流方向の変動は、ランダムであり、紛末層全体にわたっての材料の均一性の全般的な減少をただ単にもたらす。(例えば、EOS M280の機械において提供される平坦な流れごとのように)ある所定の方向に沿ってガス流が提供される機械については、縞形成方向の交互方向は、凝固された材料の隣接する縞に異なる物理的特性(例えば、異なる密度および表面の粗さ)を有させる。これらの変化は、目に見え、複数のそのような層から構築された三次元物体内の弱点を作り出す。
【0009】
本発明は、所定のガス流方向が縞形成方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされることを確実にすることによって、レーザ凝固によって作製される構成要素の品質および均一性が改善されることを可能にする。縞または縞セグメントの形成が「追い風(tail-wind)」の存在の中で生じないことを確実にすることは、より少量の放出されたデブリ(凝縮液、粉末粒子など)が溶融されているまたはまだ溶融されていない粉末に堆積されることを意味する。したがって、デブリはメルトフロント(melt front)(すなわち、現在溶融された状態にある縞の部分)から離れるように運ばれ、他の場合に見られるメルトフロントにおけるデブリの蓄積が避けられる。メルトフロントにおけるデブリの蓄積、およびまだ凝固されていない紛末層の領域の上部への堆積を防ぐまたは減少させることは、層の厚さおよびプロセスの均一性を改善するだけでなく、凝固プロセスの効率全体を改善することもできる。特に、そのようなデブリの集積を防ぐことは、それが凝固されるべき紛末層に到達する前にデブリによるレーザビームのかなりの減衰がないことを確実にする(それによって効率的な凝固を確実にする)と共に、以前に堆積されたデブリが再び溶融され表面から再び放出されるのも防ぐ。
【0010】
本発明は、いつも縞形成方向が所定のガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされていることを特徴とする。言い換えると、ガス流方向のベクトルに対して向かい合っている方向にある縞形成方向のベクトルの構成要素がいつも存在する。縞形成方向は、ガス流方向へ完全に向かい合って(逆平行であって)もよく、または縞形成方向とガス流方向との間に斜めの角度(例えば、80°未満、より好ましくは70°未満、またはより好ましくは60°未満)が存在してもよい。そのような斜めの角度の符号は、縞形成方向が所定のガス流方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされることを確実にするようにやはり選択されなければならないことに留意されたい。以下により詳細に説明されるように、ガス流方向に対して完全に向かい合っている(逆平行である)縞形成方向を提供することは、最適な性能を提供するが、複数の層からの物体の構築が必ずしも常に望ましいものでない可能性があるときに単一の縞形成方向を維持する。好都合には、縞形成方向は、ガス流方向に対する垂線に対して少なくとも10°の角度(α)に対する。より好ましくは、角度(α)は、少なくとも15°、20°、25°、30°、35°、40°、または45°である。好ましい実施形態では、縞形成方向は、ガス流方向に対する垂線に対して30°より大きい角度(α)に対する。これは、縞を形成するのに使用される任意の斜線がガス流の方向に平行または実質的に平行にならないことを確実にする。
【0011】
所定のガス流方向に対して縞形成方向を制御することに加えて、複数の縞または縞セグメントが形成される順序が凝固された層の均一性および粗さ(例えば、密度)に影響を及ぼし得ることが気付かれている。紛末床にわたってのガスの流れが紛末床の第1の側に由来する場合(例えば、ガス出口が紛末床の第1の側に提供される場合)、複数の縞または縞セグメントは紛末床の第1の側に対するそれらの近接度と逆の順序で形成されることが好ましい。そのような順序で縞または縞セグメントを形成することは、メルトフロントで発生させられたデブリ(例えば、凝縮液または放出粒子)がまだ凝固されていない材料に堆積されているのではなく、すでに凝固されている紛末層のエリアへガス流によって運ばれることを確実にする。これは、続く凝固が新鮮な紛末層(すなわち、最小のデブリが堆積されている紛末層)のみであることを確実にする。これはやはり層の厚さの均一性を改善し、表面の粗さを減少させ、それによって欠陥を減少させるのを助ける。
【0012】
ガス流ユニットは、所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスを通す。ガス流は、直線状のガス流方向に沿っていることができ、または非直線状の(例えば、曲線状の)ガス流方向に沿っていることができる。ガス流方向は、紛末床上の位置の関数として変化し得る。好ましくは、ガス流方向は、紛末床にわたって均一である(例えば、平坦なガス層が作り出され得る)。ガス流ユニットは、少なくとも1つのガス出口を備えることができる。少なくとも1つのガス出口は、複数の離間されたガスノズルを有する直線状のバーを備えることができる。ガス流ユニットは、少なくとも1つのガス排出管を備えることができる。少なくとも1つのガス排出管は、複数の排気口を有する直線状のバーを備えることができる。ガス流ユニットは、ガスポンプを含むことができる。好ましくは、少なくとも1つのガス出口および少なくとも1つのガス排出管は、少なくとも1つのガス出口からポンプ送りされたガスが少なくとも1つのガス排出管へ通るように紛末床のどちらかの側に配置される。好ましくは、ガスの実質的に平坦な流れは、所定のガスの方向に沿って発生させられる。好ましくは、実質的に層状のガスの流れは、所定のガスの方向に沿って発生させられる。この平坦なまたは層状のガスの流れは、少なくとも1つのガス出口の通路から少なくとも1つのガス排出管へガスを通すことによって発生させられることができる。
【0013】
有利には、ガス流ユニットは、紛末床にわたって少なくとも2m/秒の速さで移動するガス流を発生させる。好ましくは、ガス流の速度は、任意の堆積された紛末層をかき乱さないように選択され、放出されたデブリがすっかり吹き飛ばされることを可能にする。任意のガス、例えば空気は、紛末床にわたって通されることができる。有利には、不活性ガスは、紛末床にわたって通される。不活性ガスは、窒素、アルゴン、およびヘリウムのうちの少なくとも1つであり得る。
【0014】
要求されているパターンは、複数の縞から形成されることができる。縞は、細長い縞であり得る。複数の縞は、任意の形状の縞を備えることができる。例えば、複数の曲線状の縞が形成されていてもよい。好ましくは、複数の縞の各々は、細長い軸を有する直線状の縞を備える。次いで、縞形成方向は、好ましくは、縞の細長い軸に平行である。複数の縞は、任意の順序で形成されることができるが、上述されるように、ガス流源に対するそれらの近接度と逆の順序で縞を形成することが好ましい。レーザビームは、次の縞に移る前に縞全体に沿って進められることができる。言い換えると、1つの縞の選択的溶融は、異なる縞の溶融を始める前に完了されることができる。あるいは、1つの縞の一部またはセクションだけは、別の縞の一部またはセクションへ移る前に形成されることができる。もちろん、その縞内に含まれるパターンの部分を定めるために、縞の一部だけが凝固されることが可能である。装置は、使用されることになる複数の縞を定めるレーザスキャンニングユニットを制御するコントローラを含むことができる。各縞は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、または少なくとも20mmの幅を有することができる。各縞は、50mm、40mm、30mm、または20mm以下の幅を有することができる。
【0015】
あるいは、必要とされるパターンは、複数の縞セグメントから形成されてもよい。例えば、必要とされるパターンは、格子縞パターンを形成する縞セグメントの規則正しい格子から形成されることができる。格子縞パターンは、複数の正方形または長方形の縞セグメントを備えることができる。縞セグメントは全て同じサイズであることができ、または異なるサイズであってもよい。縞セグメントの不規則なパターン(例えば、アイランド)が形成されることもできる。そのような縞セグメントまたはセクションの形成は、例えば、特許文献1に説明されている。層内の全ての縞セグメントは、同じ縞形成方向に沿ってレーザビームを進めることによって形成されることができる。あるいは、複数の異なる縞形成方向は、紛末層の異なる縞セグメントに使用されることができる。例えば、異なる縞セグメントは、異なる縞形成方向を用いて形成されることができる。上述されるように、本発明は、各縞セグメントを書き込むときに縞形成方向がガス流方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされることを確実にする。
【0016】
レーザスキャンニングユニットは、パルスレーザを備えることができる。好ましくは、レーザスキャンニングユニットは、連続波(CW)レーザを備える。レーザスキャンニングユニットは、レーザビーム変調器を含むことができる。次いで、変調器は、紛末層に作用するレーザビームを変調する(例えば、起動するまたは停止する)ことができる。このようにして、レーザ凝固は、必要とされるときにレーザビームをターンオンおよびターンオフすることによって制御されることができる。あるいは、レーザの出力は、変調されることができ、例えば、正弦波変調が適用され得る。レーザスキャンニングユニットは、紛末層を焼結および/または溶融するのに十分な出力のレーザビームを発生させることができる。レーザビームの出力は、使用者によって調整可能であり得る。
【0017】
レーザスキャンニングユニットは、(例えば、ビームを成形する光学によって)適切に成形されているレーザビームを発生させて縞または縞セグメントを横切って延びる長い軸を有する可変長さのレーザ線を形成することができる。そのような例では、縞内のパターンは、縞形成方向に縞または縞セグメントに沿ってレーザ線を進めることによって形成される。有利には、レーザスキャンニングユニットは、縞を横切って移動(例えば、ステップまたはスキャン)させられるレーザスポットを発生させていわゆる斜線を形成する。レーザスポットは、実質的に円形の断面プロファイル(例えば、ガウスビームのプロファイル)を有することができる。レーザスキャンニングユニットは、縞の一方の側から他方へスポットを迅速に移動させる(例えば、ステップまたはスキャンする)ことによって斜線を形成することができる。これは、レーザスキャンニングユニットの適切なビームを操縦する光学(以下、ビーム操縦光学とする)を用いてなされ得る。好ましくは、複数の縞または縞セグメントの各々は、縞形成方向に沿って進められる複数の斜線を用いて形成される。言い換えると、縞または縞セグメントを横切っての斜線は連続して形成され、各斜線は前の斜線よりも縞形成方向にさらに沿って設置される。もちろん、縞または縞セグメント内の紛末層の全部が所望されるパターンを形成するために溶融されることを必要とし得るのではないことに留意されたい。縞または縞セグメントの選択された部分に沿った部分的な斜線の形成、または斜線の省略は、レーザスキャンニングユニットの適切な制御によって可能である。
【0018】
装置は、縞または縞セグメントを横切ってレーザビームを前後にラスタースキャンすることによって一連の斜線を形成することができる。一連の斜線は、縞または縞セグメントを横切ってレーザビームを前後に迅速にステップすることによって形成することもできる。そのような両方向の斜線(すなわち、2つの向かい合っている方向に縞の幅を横切ってのレーザの動きによって形成される斜線)の形成は、縞に沿って必要とされるパターンを形成するように用いられる従来の斜線の形成技法である。やはり知られているように、レーザビームは、ビーム操縦光学が1つの斜線から別のものへレーザビームを再位置決めするために用いられているときに停止させられることができる。
【0019】
本発明の装置は、両方向の斜線を用いて複数の縞または縞セグメントを形成することができる。あるいは、一連の斜線は、同じ線の方向に縞または縞セグメントを横切ってレーザビームを移動させることだけによって形成されることができる。言い換えると、単方向性の斜線が形成されることができる。好ましくは、縞または縞セグメントを横切っての線の方向は、ガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされる。このようにして、斜線の形成中に放出されるデブリは、レーザビームが縞または縞セグメントを横切って進んでいる方向から離れるように運ばれる。単方向性の斜線を用いることに関連した改善は、縞形成方向をガス流方向に並べる利益に比べて比較的小さいが、それはそれでも役立つ改善を提供するものである。しかしながら、それは、斜線が書き込みされることができる速さをかなり減少させるという犠牲がある。
【0020】
一実施形態では、斜線が形成されるやり方は、使用中に変更されてもよい。特に、斜線が形成されるやり方は、ガス流方向に対しての縞の向き形成方向に応じて選択されてもよい。言い換えると、線の方向は、ガス流方向に対しての縞の向き形成方向に基づいて選択されることができる。縞形成方向とガス流方向に対する垂線との間の角度(α)がかなりある(例えば、10°、20°、または30°より大きい)場合、両方向の斜線は、層形成における何らかの実質的な劣化なしで使用されることができる。しかし、より小さい角度(例えば、αが10°、20°、または30°未満)の場合、単方向性の斜線を使用することが有利であり得る。そのような場合には、線の方向は、ガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにするように選択され得る。
【0021】
本発明の装置は、典型的には、層ごとの三次元物体を作るために使用される。したがって、好ましくは、装置は、複数の紛末層を堆積し選択的に凝固するように配列され、各層は、前の層の上部に堆積されて三次元物体を形成する。本発明の層を形成する技法は、今度は形成される物体の各層に適用されることが好ましい。特に、各紛末層の必要とされるパターンは、複数の縞または縞セグメントから形成されることができる。好ましくは、縞形成方向は、各層の縞または縞セグメントごとに所定のガス流方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされる。言い換えると、縞形成方向が所定のガス流方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされるという要求を満たさない縞または縞セグメントが形成されないことが好ましい。これは、三次元物体全体を通じての均一性および厳しい層の厚さの制御を確実にする。
【0022】
縞または縞セグメントベースの形成技法を用いて必要とされるパターンが紛末層の中に書き込まれてしまう前および/または後に輪郭のスキャンを行うことが可能であることに留意されたい。輪郭のスキャンは、部分の輪郭の周りにレーザビームを迅速にスキャンして、形成されている部分の外面を形成することになる材料を再溶融する/再凝固することを伴う。そのような輪郭のスキャンは、材料のうちの少量だけの凝固を伴い、それによって最小量のデブリを放出し、したがって従来のやり方で形成されることができる(すなわち、ガス流方向に対してのレーザビームの移動方向の制御はない)。そのような輪郭のスキャンは、複数の異なる紛末層に適用される縞を形成する技法間で行われ得る。
【0023】
好ましくは、本発明の装置は、紛末層を紛末床の上に堆積させるための粉末堆積装置も含む。粉末堆積装置は、粉末供給装置と粉末ワイパとを備えることが好ましい。紛末床は、移動可能なプラットフォームまたはテーブルも含むことができる。基部プレートは、プラットフォームに取り付けられることができる。機械内のプラットフォームの高さは、紛末床が紛末層の堆積前に降下されることを可能にするように調整可能であり得る。そのような特徴は、選択的凝固機械にとって慣例的であり、簡潔のために本明細書中ではさらに説明されない。
【0024】
異なる層について縞の方向を変更することが三次元物体を形成するときに有利であることは、以前より特許文献2に説明されている。これは、本発明の技法を用いるときにも当てはまる。特に、異なる縞形成方向(例えば、30°だけ異なること)は、隣接する紛末層に用いられるのに好ましい。上述されるように、各層に用いられる縞形成方向は、ガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされることが好ましい。
【0025】
本発明の装置は、粉末を選択的に焼結するために使用され得る。有利には、本発明の装置は、粉末を選択的に溶融するために使用される。粉末は、例えば、プラスチック粉末、セラミック粉末、または金属粉末を含み得る。好ましくは、装置は、金属粉末を堆積および凝固させるように構成される。例えば、鋼鉄(例えば、鋼種1.2709)、ステンレス鋼、チタン、コバルトクロム等などの金属粉末が、使用され得る。
【0026】
第2の態様によれば、本発明は、所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すステップと、紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成するステップであって、必要とされるパターンが複数の縞または縞セグメントから形成され、各縞または縞セグメントが縞形成方向に縞または縞セグメントに沿ってレーザビームを進めることによって形成されるステップとを含む紛末床に堆積された紛末層を選択的に凝固する方法において、いつも縞形成方向が所定のガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされることを特徴とする方法を提供する。この方法は、本発明の第1の態様の対応する装置に説明された好ましい特徴のいずれかを含むことができる。
【0027】
さらなる態様によれば、本発明は、選択的にレーザで溶融する装置(以下、選択的レーザ溶融装置とする)であって、上に粉末の層が堆積できる紛末床と、所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流装置と、紛末床に堆積された粉末の層上でスキャン経路に沿ってレーザビームをスキャンするレーザスキャンニングユニットとを備え、レーザビームが、スキャン経路が横断されるときに選択的に出力されて粉末の層のうちの選択された領域が溶融されることを可能にし、レーザビームが移動させられる方向は、レーザ溶融中に放出される任意の粒子が、まだスキャンされていないスキャン経路の領域の中にガス流によって運ばれるのを実質的に防ぐようにガス流方向に対して向けられる選択的レーザ溶融装置を提供する。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、選択的レーザ凝固装置であって、上に紛末層が堆積できる紛末床と、所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成するレーザスキャンニングユニットとを備え、必要とされるパターンが複数の縞または縞セグメントから形成されており、紛末床にわたってのガスの流れは紛末床の第1の側に由来し、複数の縞または縞セグメントは紛末床の第1の側に対するそれらの近接度と逆の順序で形成される選択的レーザ凝固装置に及ぶ。本発明は、選択的レーザ凝固装置を動作させる対応する方法にもおよび、本明細書に説明された任意の特徴を含むことができる。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、選択的レーザ凝固装置であって、上に紛末層が堆積できる紛末床と、所定のガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、紛末層の上でレーザビームをスキャンして紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成するレーザスキャンニングユニットとを備え、必要とされるパターンが複数の縞または縞セグメントから形成されており、レーザスキャンニングユニットが縞または縞セグメントを横切って移動させられるレーザスポットを発生させて斜線を形成し、複数の縞または縞セグメントの各々が縞形成方向に沿って進められる複数の斜線を用いて形成される選択的レーザ凝固装置において、全ての斜線が、縞または縞セグメントを横切って同じ線の方向にレーザビームを移動させることによって形成され、線の方向が、ガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされることを特徴とする選択的レーザ凝固装置に及ぶ。本発明は、選択的レーザ凝固装置を動作させる対応する方法にもおよび、本明細書に説明された任意の特徴を含むことができる。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、上に紛末層が堆積できる紛末床と、ガス流方向に沿って紛末床にわたってガスの流れを通すガス流ユニットと、紛末層の上でレーザビームを移動させて紛末層の少なくとも一部を選択的に凝固して必要とされるパターンを形成するレーザスキャンニングユニットとを備えた選択的レーザ凝固装置であって、レーザスキャンニングユニットがレーザビームを移動させて斜線の移動方向に沿って紛末層にわたって進められる一連の斜線を形成し、斜線移動方向がガス流方向に少なくとも一部向かい合わせにされる選択的レーザ凝固装置に及ぶ。斜線は、縞、セグメント、シェル、または任意の形状を形成するために使用されることができる。斜線移動方向は、紛末床上の異なるエリアについて異なり得る。本発明は、選択的レーザ凝固装置を動作させる対応する方法にもおよび、本明細書に説明された任意の特徴を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、次に、以下の添付図面を参照して、例のみによって説明される。
図1】選択的レーザ溶融機械の概略図である。
図2】12本の縞に沿って進められる斜線を用いて粉末の層を凝固する従来技術の技法を示す図である。
図3図2の従来技術の技法を用いて生じる酸化の変化を示す顕微鏡写真である。
図4】ガス流が縞形成方向と同じ方向にあるとき(「追い風」状況)に生じる放出された材料の堆積を示す図である。
図5】本発明のようにガス流方向が縞形成方向に向かい合わせになるときに生じる放出された材料の堆積を示す図である。
図6】本発明の縞スキャンの第1の例を示す図である。
図7】本発明の縞スキャンの第2の例を示す図である。
図8A】縞の幅を横切ってのレーザビームの迅速なスキャニングにより斜線を形成するためのオプションを示す図である。
図8B】縞の幅を横切ってのレーザビームの迅速なスキャニングにより斜線を形成するためのオプションを示す図である。
図8C】縞の幅を横切ってのレーザビームの迅速なスキャニングにより斜線を形成するためのオプションを示す図である。
図9】どのように縞形成方向が層間で変更されることができるのか示す図である。
図10】どのように複数の縞セグメントが格子縞パターンで層内に形成され得るか示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照すると、知られている選択的レーザ溶融機械2が、概略的に示されている。
【0033】
レーザ溶融機械2は、紛末床6が提供されるビルドチャンバまたはハウジング4を備える。紛末床6は、ピストン機構8によって上昇および下降させられることができる(すなわち、z方向に移動させられる)。粉末を供給しローラするシステム10は、紛末床6の上部の上へ薄い(例えば、10〜100μm)紛末層を堆積させるために提供される。紛末層を形成するために使用される粉末は、金属粉末(例えば、1.2709のグレードの鋼粉)であることが好ましい。
【0034】
高出力の連続波(CW)レーザと、レーザビーム22を紛末床6に向かって向けるスキャンニング光学系とを備えるレーザスキャンニングユニット20も提供される。スキャンニング光学系は、レーザビーム22が紛末床6の表面にわたって迅速に移動させられることも可能にする。レーザスキャンニングユニット20は光変調器も含み、それによって、必要とされるときに、紛末層に作用するレーザビーム22がターンオンおよびターンオフされることを可能にする。
【0035】
ガス流ユニット30も提供される。ガス流ユニット30は、ガスを放出するための複数のノズル34を有するガス出口バー32を備える。ガス排出管バー36もガスを集めるために提供される。ポンプ38は、ガス排出管バー36からガスを吸い込んでガスをガス出口バー32のノズル34へポンプ送りするために使用される。適切なガス管40が、ガス出口バー32およびガス排出管バー36をポンプ38へ接続するために提供される。使用時、ガスは、ガス出口バー32からガス排出管バー36へ流れる。したがって、所定のガス流が機械内にあり、すなわち、ガスは、ガス流方向Gに沿って紛末床にわたって通される。
【0036】
レーザ溶融機械2は、以下のように、コントローラ50の指示の下で動作させられる。まず、基板プレートが、ピストン機構に固定される。好ましくはその上に堆積される粉末と同じ材料から形成される基板プレートが、紛末床の基部を形成する。次いで、粉末を供給しローラするシステム10は、ある程度の厚さ(例えば、80μm)の紛末層を基板プレートの上へ供給するために使用される。次いで、レーザスキャンニングユニット20は、レーザビーム22を紛末層の上へ向け、紛末層の選択された部分を溶融し、すなわち、紛末層の選択された領域が基板プレートに溶融される。レーザによって用いられる紛末床にわたって経路がスキャンされることが、以下より詳細に説明される。必要とされるパターン(例えば、断面)が紛末層に書き込まれると、ピストン8が紛末床6を降下し、別の紛末層が既存の(部分的に凝固された)層の上部に堆積され、次いでレーザスキャンニングユニットが新たに堆積された紛末層を選択的に溶融する。次いで、このプロセスは、層ごとに繰り返されて必要とされる三次元物体を形成する。この製造プロセス中、ガスの連続的な補給が、ガス流ユニット30によってガス流方向Gに沿って紛末床にわたって通される。
【0037】
図1の例示および説明は、知られているレーザ溶融機械の基本的な動作だけを示す。当業者は、機械の構成および動作のさらなる詳細に気付くであろう。上記の概略図がEOS GmbHによって作製されているレーザ溶融機械のM280モデルに基づいていることに留意されたい。
【0038】
次に図2を参照すると、図1を参照して上述された機械を用いて堆積された紛末層を選択的に溶融する従来技術のプロセスが説明される。このプロセスは、上述されたEOS M280の機械上で標準として実施される。
【0039】
図2は、凝固された層のパターン102を形成するように選択的に溶融されることになる紛末層100を示す。紛末層100は、図1を参照して説明される粉末を供給しローラするシステム10を用いて紛末床に堆積される。ガス流方向Gに沿って平坦なガスの流れを提供するガス出口バー32およびガス排出管バー36も示されている。
【0040】
紛末層100を凝固して凝固された層のパターン102を形成するために、(図2中にS1〜S12と名付けられた)複数の縞が定められる。縞S1〜S12は、凝固された層のパターン102が書き込まれることになる紛末床上のエリアを含む正方形の領域を共に定める。レーザスキャンニングユニット20は、縞の幅を横切って(すなわち、縞の細長い軸または長さに垂直な方向に沿って)迅速にスキャンされるレーザスポットを発生させていわゆる斜線を形成する。縞の長さに沿って粉末を選択的に溶融するために、連続した斜線が方向Lに縞に沿って移動させられる。言い換えると、縞は、縞形成方向Lに沿っての斜線の移動によって形成される。レーザによって形成された斜線は縞の幅であり得、またはその特定の位置で縞の幅全体を横切って溶融が必要とされない場合、それは縞の幅よりも短いものであり得ることに留意されたい。
【0041】
図2に示された従来技術の例では、まず縞S12が取り込まれる。これは、S12の縞と共にある層パターン102の一部を凝固するために縞形成方向Lに沿って左から右へ移動させられる斜線を形成するレーザスキャンニングユニットを伴う。縞S12が書き込まれた後、縞S11のパターンが書き込まれ、これは、縞形成方向Lに縞S11に沿って斜線を移動させることを伴う。縞S11についての縞形成方向Lは、縞S12についての縞形成方向Lに向かい合っている。したがって、縞形成方向Lは、縞が順々に(すなわち、順序S12からS1において)書き込まれるときに縞間で交互になることが見られることができる。本例では、全ての偶数の縞(S2、S4、S4など)が左から右へ移動させられる斜線を用いて形成され、これに対して、全ての奇数の縞(S1、S3、S5など)が右から左へ移動させられる斜線を用いて形成される。
【0042】
本発明者は、この従来技術の技法がいくつかの欠点を有することに気付いた。図3に示されるように、向かい合わせにされた縞形成方向の斜線の移動によって形成された縞が、異なる表面変色および表面の粗さを有することが、本発明者によって気付かれている。特に、本発明者は、(図2中で)左から右へ移動させられる斜線を用いて形成されている偶数の縞(S2、S4、S4など)について酸化および高い表面粗さが生じることに気付いている。これらの偶数の縞は、図3の顕微鏡写真中のラベル140によって特定される。
【0043】
次に図4および図5を参照すると、層形成での縞形成方向に対してのガス流方向の影響が説明される。
【0044】
図4は、溶融された金属202とまだ溶融されていない紛末層204との層を運ぶ紛末床200を示す。破線206は、溶融された金属202の層を次に形成する粉末を溶融するためにレーザスキャンニングユニットによって発生させられた斜線を示す。この例では、ガス流方向Gは、縞形成方向Lと同じである。言い換えると、そこでは縞形成方向Lと同じ方向であるガス流方向の構成要素であり、これは、「追い風」があるときに考えられ得る。
【0045】
本発明者は、ガス流方向Gおよび縞形成方向Lが図4に示されたやり方で並べられるとき、溶融プロセスからのデブリ(粉末粒子、粉末粒子の一部溶融された塊り、および溶融プロセスからの他の残留物/凝縮液など)が、まだ溶融されていない紛末層の部分に向かってガス流によって運ばれることに気付いた。このデブリは、溶融が進行するにつれて縞に沿って移動する汚染物208の表面領域または膨らみを形成する。これは、異なるサイズに作製された粒子が溶融された粉末の上部に堆積されるために非均一な厚さの層が形成されることになるだけでなく、それが紛末層に到達するレーザの出力を減少させもし、それによって下に横たわる紛末層の溶融の状態を変える。特に、溶融された粉末の準最適な酸化が生じ、プロセスが表面の粗さの比較的高いレベルを発生させると共に欠陥などを導入することが気付かれている。図4に示された影響は、図3の顕微鏡写真に示された偶数の縞(S2、S4、S4など)の低い品質を説明する。
【0046】
図5は、溶融された金属302とまだ溶融されていない紛末層304との層を運ぶ紛末床300を示す。破線306は、溶融された金属302の層を次に形成する粉末を溶融するためにレーザスキャンニングユニットによって発生させられた斜線を示す。この例では、ガス流方向Gは、縞形成方向Lに向かい合わせにされている。言い換えると、縞形成方向Lと同じ方向であるガス流方向の構成要素は存在せず、すなわち、「追い風」は存在しない。
【0047】
この例では、ガス流方向Gのガスの流れは、溶融プロセスからのデブリをまだ溶融されていない縞の紛末層から離れるように吹くように作用する。これは、図4に示されたように、汚染物の膨らみの形成を防ぐことが分かっている。図5は縞形成方向Lに完全に向かい合わせにされているガス流方向Gの使用を示すが、代わりに、ガス流方向Gと縞形成方向Lとの間に斜めの角度が存在することができることに留意されたい。そのような斜めの角度の提供は、ちょうど溶融された縞の領域の上へデブリが堆積されないことを確実にもする。
【0048】
図4および図5は、縞の幅全体が縞形成方向Lに沿って連続した点で形成される複数の完全な幅の斜線によって溶融される実施形態を示すことにも留意されたい。もちろん、所望される断面またはパターンの溶融された材料を構築するために、各縞の選択された部分を単に溶融することだけも可能である。
【0049】
図6は、凝固された層のパターン402を形成するように選択的に溶融されることになる紛末層400を示す。紛末層400は、図1を参照して説明される粉末を供給しローラするシステムを用いて紛末床に堆積される。ガス流方向Gに沿ってガスの流れを提供する図1を参照して説明されたガス出口バー32およびガス排出管バー36も示されている。
【0050】
紛末層400を凝固して凝固された層のパターン402を形成するために、複数の縞は順々に溶融され、これらの縞は図6中でS1〜S12と名付けられる。図2を参照して上述された従来技術のプロセスとは異なり、図6に示された縞は、同じ方向に各縞に沿って斜線を移動させることによって形成される。言い換えると、同じ縞形成方向Lが、縞S1からS12の各々について使用される。加えて、縞形成方向Lが、角度θだけガス流方向Gとは異なるように配列され、これは本例では、約125°である。ガス流方向Gに対する垂線と縞形成方向Lとの間の角度αも図6に示されている。この例では、αは約35°の値を有する。
【0051】
ガス流方向Gと縞形成方向Lの間のそのような角度を提供することは、溶融プロセス中に放出される任意のデブリが、まだ溶融されていない紛末層の部分から離れると共にちょうど溶融されたその縞の任意の材料からも離れるようにガスの流れによって運ばれることを意味する。例えば、図6に示された点Pを溶融するときに表面から放出されるデブリは、ベクトルdに沿っておよび縞S1から離れるように運ばれる。これは、デブリの大部分がまだ焼結されていない粉末を覆わないと共に最近溶融された粉末に付着もしないことを確実にするのを助ける。したがって、溶融プロセスによって形成された凝固された層のパターン402は、図2を参照して説明された従来技術のプロセスのように縞形成方向を交互にすることを用いて作り出された層よりも均一な(より荒れていない、より欠陥が少ない)表面を有する。
【0052】
同じ縞形成方向Lに沿って斜線を移動させることによって形成された各縞に加えて、縞S1からS12は、特定の順序で形成されることが好ましい。特に、縞S1からS12は、ガス出口バー32に対するそれらの近接度と逆の順序で形成されることが好ましい。言い換えると、まずガス排出管バー36に最も近い縞S1が形成され、次いで縞S2が形成され、次いで縞S3などが形成される。この順序で縞を形成することは、1つの縞を書き込むときに放出される任意のデブリがまだ書き込まれていない縞についての紛末層を乱さないという利点を有する。特に、縞S1内の紛末層の選択された部分を溶融する間に放出される任意のデブリは縞S2〜S12にわたってのガスの流れの中で運ばれないことが見られ得る。これは、各縞が書き込まれるときにより均一で実質的にデブリのない紛末層が存在することを意味する。
【0053】
図7を参照すると、選択的に溶融されて凝固された層のパターン502を形成することになる紛末層500が示されている。紛末層500は、図1を参照して説明される粉末を供給しローラするシステムを用いて紛末床に堆積される。ガス流方向Gに沿ってガスの流れを提供する図1を参照して説明されたガス出口バー32およびガス排出管バー36も示されている。
【0054】
この例では、縞S1からS12は、ガス出口バー32に対するそれらの近接度と逆の順序で再び形成されることが好ましい。各縞は、同じ方向に各縞に沿って斜線を移動させることによって形成される。言い換えると、同じ縞形成方向Lは、縞S1からS12の各々に用いられる。図7の縞形成方向Lは、ガス流方向を中心にした図6に示された縞形成方向Lの鏡映であることも見られ得る。言い換えると、縞形成方向Lは、図7中の角度−θだけガス流方向Gから異なるように配列されている。したがって7の配列は、図6のものと同様の利益を有する。
【0055】
縞形成方向Lの最適化に加えて、好ましくは各縞が一連の斜線を用いて形成されることが思い起こされるべきである。これらの斜線は縞を横切ってレーザスポットをスキャンすることによって形成され、すなわち、斜線は縞形成方向Lに垂直である線に沿ってレーザスポットを移動させることよって形成される。縞形成の均一性のさらなる改善は、斜線を形成するプロセスを変更することによって得られることができることにさらに気付いている。これは、図8A図8B、および図8Cを参照して次に説明される。
【0056】
図8Aを参照すると、縞Sの幅を横切ってレーザスポットを前後にスキャンして縞形成方向Lに沿って斜線600の連続を形成する従来技術の方法が示されている。破線602は、次の斜線の形成のためにレーザビームを予め適切に位置決めするために(レーザビームが停止された状態で)横断される各斜線600の終わりに抽象的な経路を示す。便宜のため、図8Aの一連の斜線は、両方向の斜線と呼ばれ得る。
【0057】
図8Aに示された斜線形成の技法は、レーザスキャンニングユニットのビーム操縦光学が1つの斜線の終わりと次の斜線の開始との間の小量の(抽象的な)レーザビームの移動を提供するために必要とされるに過ぎないので、連続した斜線が高速で形成されることができるという利点を有する。しかし、ガス流方向に対しての斜線形成の方向は、縞内の紛末層を溶融することから発生される層の品質および均一性に影響を及ぼし得ることも気付かれている。ガス流方向Gに対する垂線と縞形成方向Lと間の(図6および図7を参照して上述されている)角度αの大きさが減少するにつれてこの影響によって引き起こされる非均一性は増加することも気付かれている。
【0058】
したがって、縞を横切って同じ方向にレーザビームをいつもスキャンすることによって斜線を形成することは、溶融された層の均一性を改善することができる。図8Bは、どのように斜線610が縞Sの上部から下部へレーザスポットをいつもスキャンすることによって形成できるかを示す。図8Cは、どのように斜線620が縞Sの下部から上部へレーザスポットをいつもスキャンすることによって形成できるかを示す。便宜のため、図8Bおよび図8Cの一連の斜線は、単方向性の斜線と呼ばれ得る。単方向性の斜線の形成は縞の品質を改善することができるが、そのような改善は、一連の斜線を形成するのにかかる時間の増加が付随して生じる。特に、次の斜線が形成されることを可能にするために縞を横切って後ろに移動するレーザスキャンニングユニットのスキャンニング光学系に関連したさらなる遅延が存在する。したがって、それらが十分にかなり大きい改善を提供するとき、例えば、ガス流方向Gに対する垂線と縞形成方向Lの間の角度αの大きさが、単方向性の斜線の形成が有益を有するように十分に減少するときに、単方向性の斜線を使用するに過ぎないことが好ましい。
【0059】
縞形成方向Lに対しての単方向性の斜線の形成の方向は、ガス流方向Gに対して形成される縞の向きに依存することになることも留意されたい。例えば、図6に形成された縞は、図8Bの単方向性の斜線から形成されることより利益を得るのに対して、図7に形成された縞は、図8Cの単方向性の斜線から形成されることにより利益を受ける。どちらの場合も、斜線形成中のビーム移動の方向は、ガス流方向Gに少なくとも一部向かい合わせにするように配列される。これは、溶融している粉末に関連したデブリの大部分は、まだ溶融されていない斜線内の粉末がすっかり吹き飛ばされることを意味する。したがって、両方向または単方向性の斜線の形成は、ガス流方向に対しての異なる縞の向きが必要とされるときに変更されることができる。
【0060】
図9を参照すると、複数の溶融された層(700a〜700f)から三次元物体710を構築するプロセスが示されている。各層700a〜700fは、複数の縞を用いて各層を選択的に溶融することを伴うプロセスによって形成されることができ、1つの層の各縞は、共通の縞形成方向Lに沿って形成される。縞形成方向Lは、層間で変更することができるが、ガス流方向が層ごとに縞形成方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされることが好ましい。このようにして、本発明の利益は、三次元物体において層ごとに得られる。層ごとに異なる縞形成方向Lの使用は、ある種の層が両方向の斜線を用いて形成されることができるが、他の層は単方向性の斜線を用いて形成されることを意味することもできる。層間の縞形成方向の変更の利益は、特許文献2(EOS)に以前やはり説明されている。この例では少なくとも30°の隣接する層の間の縞形成方向の差が使用されるが、他の異なる角度が実施されてもよい。例えば、隣接する層間の回転角度は40°より大きいものとすることができ、またはそれは67°とすることができる。好ましくは、隣接する層間の回転角度は、80°未満である。やはり、各層(または少なくとも層の大部分)が、ガス流方向が縞形成方向にいつも少なくとも一部向かい合わせにされるという要求を満たすことが好ましいことに留意されたい。
【0061】
溶融プロセスは縞に沿って斜線を進めることによって行うことができるが、ガス流方向に対しての縞形成方向にわたってそのような厳しい制御を必要としない他の処理ステップがあってもよいことにも留意されたい。例えば、レーザスキャンニングユニットは、縞に沿って斜線を進めることによって層が溶融される前および/または後に輪郭のスキャンを行うことができる。輪郭のスキャンは、再溶融する物体の輪郭の周りでレーザビームを単にスキャンし、金属を凝固して表面品質を改善することができる。そのような輪郭のスキャンでは、レーザビームのスポットの経路は、ガス流方向に対して任意の向きを持ち得る。これは、そのような輪郭のスキャンによって発生させられるデブリの量が最小であるので有害な影響を有することが見付けられていない。
【0062】
図10を参照すると、どのように本発明が縞セグメントを用いた層の形成に適用され得るかも示されている。特に、図10は、所望されるパターン(図示せず)を形成するように溶融されることになる紛末層800を示す。紛末層800は、図1を参照して説明された粉末を供給しローラするシステムを用いて堆積されることができる。以前に説明されたように、平坦なガスの流れは、方向Gに沿って紛末層にわたって提供される。
【0063】
所望されるパターンは、層を複数の縞セグメント802に分割することによって紛末層800に書き込まれている。各縞セグメント802は、別々に形成される。縞セグメントは、任意の順序で書き込まれることができる。図10にやはり示されるように、縞形成方向Lは、異なる縞セグメントの場合は(それが同じ場合でも)異なり得る。しかし、ガス流方向Gは、各縞セグメントの縞形成方向Lにいつも少なくとも一部向かい合わせにされる。
【0064】
図10に示された縞セグメントは、等しい大きさに作製され、格子またはチェッカ盤タイプのパターンで規則正しく配列されている。しかし、縞セグメントまたはセクションが異なる形状および/またはサイズであることも可能である。縞セグメントは、不規則に間隔をおいて配置されることもできる。例えば、縞セグメントは、基板上の局所エリアに形成されたシェルまたはアイランドとして提供されることができる。縞セグメントまたはセクションは、特許文献1に以前に説明された配列のいずれかを備えることもできる(ただし、本発明によれば、ガス流方向は縞形成方向に対して制御されている)。
【0065】
当業者は、可能である本発明の教示への他の変形例および追加をやはり理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10