特許第6482575号(P6482575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コスタール・コンタクト・ジステーメ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000002
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000003
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000004
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000005
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000006
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000007
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000008
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000009
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000010
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000011
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000012
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000013
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000014
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000015
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000016
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000017
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000018
  • 特許6482575-多極の電気コネクタ部分 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482575
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】多極の電気コネクタ部分
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   H01R13/56
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-560483(P2016-560483)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公表番号】特表2017-513197(P2017-513197A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】EP2015057248
(87)【国際公開番号】WO2015150486
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】102014004832.2
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014015715.6
(32)【優先日】2014年10月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507400756
【氏名又は名称】コスタール・コンタクト・ジステーメ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】トゥーラウ・フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ライスマン・レーネ
(72)【発明者】
【氏名】ライマン・ダーニエール
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−512524(JP,A)
【文献】 特表2005−523567(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0238316(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40−13/72
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタケーシング(2,2”)と、該コネクタケーシング(2,2”)に係止可能な保護キャップ(1,1’,1”)とを備える多極の電気コネクタ部分であって、前記保護キャップが、入口開口部(4)と、少なくとも1つのクランプ体(3,3’,3”)を有する複数の接続導線(6,6a,6b,6c,6”,6a”,6b”)のための固定装置(5)とを備える、前記多極の電気コネクタ部分において、
少なくとも2つのクランプ面(16a,16b,16a’,16b’,16a”,16b”)が弾性的で緩衝的に、若しくは弾性的で可撓性に前記クランプ体(3,3’,3”)に配置又は形成されていること、及び前記クランプ体(3,3’,3”)の前記クランプ面(16a,16b,16a’,16b’,16a”,16b”)と、前記コネクタケーシング(2,2”)の内壁部分(20a,20b,20a”,20b”)との間で前記接続導線(6,6a,6b,6c,6”,6a”,6b”)が嵌合式に固定可能であることを特徴とする多極の電気コネクタ部分。
【請求項2】
前記クランプ体(3)がゴム弾性的な材料で構成されていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項3】
前記クランプ体(3,3”)が本質的にV字状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項4】
前記クランプ体(3)が係合式に前記保護キャップ(1)に結合されていることを特徴とする請求項2記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項5】
前記保護キャップ(1)及び前記クランプ体(3)が一体的な部材として二成分系射出成形法において形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項6】
前記クランプ体(3’,3”)が前記保護キャップ(1’,1”)と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項7】
前記クランプ体(3’,3”)が、前記保護キャップ(1’,1”)に弾性的に配置された少なくとも2つのクランプアーム(29a’,29b’,29c’,29d’29a”,29b”)によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項8】
前記クランプ体(3,3’,3”)が、互いに非平行に整向された少なくとも2つのクランプ面(16a,16b,16a’,16b’,16a”,16b”)を備えていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項9】
前記クランプアーム(29a’,29b’)が、バネ弾性的で可撓性の部分(30)を介して互いに非平行に整向された複数のクランプ面(16a’,16b’)によって互いに結合されていることを特徴とする請求項記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項10】
前記クランプ体(3’)が、互いに平行に配置された複数のクランプアーム(29a,29c;29b,29d)を備えていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項11】
前記コネクタケーシング(2)及び前記保護キャップ(1)が、成形された複数の係止要素(24,25)によって複数の係止段階において互いに軸方向に位置決め可能であること、及び前記クランプ体(3,3’)の少なくとも1つのクランプ面(16a,16b,16a’,16b’)と前記コネクタケーシング(2)の少なくとも1つの内壁部分(20a,20b)の間の異なる複数の間隔が前記位置決めに依存して生じることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項12】
前記保護キャップ(1,1’,1”)が、互いに一体的に形成された2つのケーシング部分(1a,1b,1a’,1b’,1a”,1b”)で組合せ可能であることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【請求項13】
前記保護キャップ(1,1’,1”)が成形された複数のリブ(23)を有する貫通開口部(4)を備えていることを特徴とする請求項1記載の多極の電気コネクタ部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタケーシングと、該コネクタケーシングに係止可能な保護キャップとを備える多極の電気コネクタ部分であって、前記保護キャップが、入口開口部と、少なくとも1つのクランプ体を有する複数の接続導線のための固定装置とを備える、前記多極の電気コネクタ部分に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなコネクタ部分は、ここでは不図示の別のコネクタ部分と共に1つの電気的なコネクタ接続部を形成するように構成されている。したがって、接続ケーブル又は複数の個々の接続導線と接続された、固定して配置されていないコネクタ部分においては、信頼性をもった機能のために、接続ケーブル又は接続導線をコネクタ部分のケーシングに固結することが必要である。このとき、通常は、給電ラインに作用する引っ張り力が接続導線を介してコネクタ部分の電気的なプラグコンタクトへ伝達されるか、又はプラグコンタクトへの電気的な接続を中断することを阻止する引張軽減装置が設けられるべきである。
【0003】
加えて、例えば原動機付き車両のエンジンルーム内のような厳しい環境条件の下で用いられるコネクタ部分の場合には、プラグコンタクトの電気的な接続を大きな振動負荷から保護することが必要である。このことは、特に対応する大きな数の接続導線を備えた多極のコネクタ部分においては困難であるか、又は比較的大きな手間によってのみ実現可能である。
【0004】
特許文献1からケーブルのための引張軽減装置が知られており、ケーブルは、クランプ部材によって収容ダクトにおいて固定されることが可能である。クランプ部材及び収容ダクトは共にくさび対を形成し、このくさび対は、収容ダクトの縁部の下方へスライド可能な傾斜面がクランプ部材に形成されていることで生じる。1つの発展形態では、傾斜面に歯が設けられており、この歯は、収容ダクトの縁部における係止部と協働する。引張軽減装置により、異なるケーブル断面積を有し得る複数のケーブルの固定も可能とするものである。それぞれについて、固有の収容ダクト及び固有のクランプ部材が設けられており、これら収容ダクト及びクランプ部材は、それぞれ個々に互いに接合される必要がある。
【0005】
特許文献2には、それぞれ電気的な導線に接続された、電気的なプラグコンタクト要素のための複数の収容チャンバを備えたケーシング体と、このケーシング体に係止可能なケーシング部とを有するコネクタ部分が示されており、最終係止箇所では、ケーシング部及びケーシング体が相互作用して電気的な導線を部分的に係合式に包囲する。
【0006】
このような構成は、比較的わずかな数の接続導線を有するコネクタ部分に対して良好に適したものであり、したがって、特許文献2において実施例として記載されたコネクタ部分は、多くとも2つの給電ラインを備えている。より多くの数の給電ラインについては、このようなコネクタ部分の構造はより手間がかかるものであるとともに、構造において比較的大きい。なぜなら、各給電ラインが個々にケーシング部によって包囲される必要があるためである。給電ラインの断面積も勝手に選択できない。なぜなら、この断面積はケーシング部の形状に適合される必要があるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国実用新案公開第29802470号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008055841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
課題は、大きな耐振動性において優れ、異なる断面積を有し得るより多くの単一導体によってもクランプ状に固定され得るコネクタ部分を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明により、少なくとも2つのクランプ面が弾性的で緩衝的に、若しくは弾性的で可撓性に前記クランプ体に配置又は形成されていること、及び前記クランプ体の前記クランプ面と、前記コネクタケーシングの内壁部分との間で前記接続導線が嵌合式に固定可能であることによって解決される。
【0010】
クランプ体への弾性的で緩衝的な、又は弾性的で可撓性なクランプ面の形成により、複数の個々の接続導線をクランプ体に固定することが可能となり、これら接続導線が異なる導線断面積を有することが可能である。このとき、場合によっては存在する保護キャップ及びコネクタケーシングの寸法公差が自動的に補償される。
【0011】
クランプ面が弾性的で可撓性に構成されていれば、これは、これらクランプ面が偏向時に比較的わずかにのみ復帰力を発揮することを意味し、したがって、クランプ面へのコネクタケーシングの密な近接によって接続導線へ作用するクランプ力を生じさせるために、コネクタケーシング及び保護キャップの互いに対する段階的な間隔において位置決め手段を設けることが有利である。
【0012】
一方、弾性的で緩衝的なクランプ面は、多段の位置決め手段がコネクタケーシングと保護キャップの間で必ずしも必要ではないように構成されることが可能である。
【0013】
最初の有利な実施形態では、クランプ体は、本質的にV字状のゴム弾性的な物体で形成されており、この物体は、係合式に保護キャップの固定部に結合されることが可能である。保護キャップへの結合のために、クランプ体は、好ましくは複数の成形された係止要素を備えている。
【0014】
代替的な有利な実施形態では、保護キャップ及びクランプ体が二成分系の射出成形法において一体的な部材として製造され得ることが可能である。この場合、クランプ体は、熱可塑性の合成樹脂で構成された保護キャップにおいてエラストマ状の構成要素を形成する。
【0015】
別の有利な実施形態では、クランプ体は複数のストライプ状のクランプアームによって形成されており、これらクランプアームは、保護キャップの固定部に一体的に成形されている。このとき、クランプアームの外表面は、接続導線の固定のためのクランプ面を形成している。
【0016】
有利には、全ての場合において、接続導線の固定が保護キャップの入口範囲ではなく、コネクタ部分の内部で行われる。これにより、特に保護キャップの入口開口部において循環上にリブを成形することが可能である。これらリブは、構成樹脂から成る波形管又は波形ホースをコネクタ部分に固定することが可能であり、この波形管又は波形ホースにより、複数の接続導線が束ねられるとともに、防滴されて付設されることが可能である。本発明によるコネクタの別の有利な形態及び発展形成は、従属請求項に記載されている。本発明によるコネクタの実施例は、図面に図示されているとともに、以下において図面に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるコネクタ部分を示す図である。
図2】クランプ体を有する開放された保護キャップを示す図である。
図3】閉鎖された保護キャップを示す図である。
図4】単一部材としてのクランプ体を示す図である。
図5】コネクタ部分の部分断面図である。
図6】異なる導線構成を有する固定装置の断面図である。
図7】異なる導線構成を有する固定装置の断面図である。
図8】異なる導線構成を有する固定装置の断面図である。
図9】固定装置の第1の断面図である。
図10】固定装置の第2の断面図である。
図11】クランプ体の第2の実施形態を有する保護キャップを示す図である。
図12図11によるクランプ体の断面図である。
図13】本発明の第3の実施形態によるコネクタ部分を示す図である。
図14】開放された保護キャップを有する図13によるコネクタ部分を示す図である。
図15図14の第1の断面を示す図である。
図16図14の第2の断面を示す図である。
図17図14の第3の断面を示す図である。
図18図14による開放された保護キャップを単一部材として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明により構成されたコネクタ部分が図示されている。このコネクタ部分は、プラグコンタクトスリーブ及び/又はコネクタピンのようなここでは不図示の複数のプラグコンタクト要素を内部に備えたコネクタケーシング2と、このコネクタケーシング2に係止された保護キャップ1とで構成されている。
【0019】
図2及び図3においてそれぞれコネクタケーシングなしで図示された保護キャップ1は、二部材で形成されたケーシング部分1a,1bで構成されており、これらケーシング部分1a,1bは、柔軟なフィルムヒンジを介して互いに保持されている。ケーシング部分1a,1bは、互いに結合可能な結合要素7,8によって互いに結合されることができ、結合要素7,8に成形された係止爪21あるいは係止開口部22がケーシング部分1a,1bの上側部分を係合式に互いに固定する。ケーシング部分1bは、係止突起10を有する成形された係止アーム9を更に備えており、係止突起は、ケーシング部分1a,1bの接合時に係止アーム9のバネ力によってケーシング部分1aにおける係止凹部11内へ押し込まれる。ケーシング部分1a,1bの接合により、図3に示された、閉鎖されたジャケット面を有する保護キャップ1が生じる。図1及び図2には、まだ結合されていないケーシング部分1a,1bを有するまだ取り付けられていない状態で保護キャップ1が示されており、これにより、本発明によるコネクタ部分の別の細部も視認可能である。
【0020】
保護キャップ1は、コネクタケーシング2を塵埃及び湿気の侵入から保護するという役割のほかに、電気的な接続導線を案内し、機械的に固定するという役割を果たすものである。この保護キャップ1は、その上側範囲において、成形されつつ周設されたリブ23を有する比較的幅広の入口開口部4を備えている。この入口開口部4には、不図示の波形管又は波形ホースを接続することができ、この波形ホースを介して図5図8に図示された接続導線6,6a,6b,6cが外部の環境の影響に対して保護されて案内されることが可能である。
【0021】
これら接続導線6,6a,6b,6cの機械的な固定のために、保護キャップ1は固定部14を有しており、この固定部では、少なくとも2つの側部に接触して、ゴム弾性的なクランプ体3が設けられている。
【0022】
図面では単一部材として形成されたクランプ体3は、ここでは不図示ではあるものの、代替的に保護キャップ1に直接吹き付けられたエラストマ体が形成されることができる。したがって、クランプ体及び保護キャップは、一部材で二成分系射出成形法において製造されることが可能である。
【0023】
図4には、クランプ体3の特に有利な構成が図示されている。一部材で形成されたクランプ体3は、屈曲性で柔軟であるものの安定したエラストマ材料で構成されている。完全に周設せずに形成された外壁15は、互いに互いに角度を付けて配置された複数の平坦な面部分で構成されている。開放された側に隣接する外壁15の両面部分を、以下では単にクランプ面16a,16bという。なぜなら、これらは、接続管路のクランプ式の固定のために設けられているためである。クランプ面16a,16bは、互いに平行に整向されておらず、これにより、クランプ体3が平面視においてほぼV字状の外部輪郭を備えている。
【0024】
外壁15は結合壁18を包囲しており、この結合壁の主面13は外壁15の面に対して直角に整向されている。結合壁18は、好ましくは両主面13において、一部材で成形された複数の係止ノブ19を備えている。外壁15の両自由端は、丸められて形成されているとともに、これにより2つのクリップ爪17を形成している。
【0025】
クリップ爪17も、また係止ノブ19も、保護キャップ1の固定部14にクランプ体3を固定することに寄与するものであり、このことは、図9及び図10から明らかである。図9には、途中ではあるものの結合壁18によってその主面に対して平行に固定部14に固定されたクランプ体3の断面が示されている。ゴム弾性的なクランプ体3のクリップ爪17がどのように固定部14の周囲で包囲され、これによりクランプ体3が固定部14に保持されるかが示されている。
【0026】
図10には、図9の切断方向に対して垂直に向けられた、クランプ体3及び固定部14から成る配置の別の断面が示されている。結合壁18は固定部14の収容ダクト28内へはめ込まれており、結合壁18に成形された複数の係止ノブ19が収容ダクト28の係止凹部27に係合している。クリップ爪17及び係止ノブ19は、保護キャップ1の固定部14でのクランプ体3の確実な固定を生じさせるものである。保護キャップ1に固定されたクランプ体3の視点は図2に示されている。
【0027】
そのほか、図10には、コネクタケーシング2の一部を見て取ることができる。コネクタケーシング2は、相補的に保護キャップ1に形成された係止要素25と協働する、成形された係止要素24を備えている。係止要素24,25により、保護キャップ1及びコネクタケーシング2を軸方向において異なる位置へ互いに接合することが可能な複数の係止段が得られる。このとき、係止要素24,25の非対称な形状により、保護キャップ1とコネクタケーシング2の近接を比較的わずかな力で行うことができる一方、保護キャップ1とコネクタケーシング2の間の間隔の拡大により、かなり大きな力や、特殊な工具の使用さえも必要となる。
【0028】
図2及び図9から分かるように、クランプ体3の両クランプ面16a,16bは、互いに平行でもなければ、保護キャップ1の長手軸線に対して平行でもないように整向されている。したがって、保護キャップ1をコネクタケーシング2へ結合するときに、コネクタケーシング2の内壁のクランプ面16a,16bが各係止によって更に近接し、これにより、ますます小さくなる隙間がケーシング部分26とクランプ面16a,16bの間の導線が十分に更に近接する際にクランプされる。
【0029】
導線固定の原理が図5に図示されている。個々の接続導線6は、ここではケーシング部分26とクランプ面16aの間でクランプされている。複数の係止段を備えた保護キャップ1とコネクタケーシング2の間の係止結合によって、接続導線6がクランプ体3のゴム弾性的な材料内へ深く押し込まれるようにケーシング部分26が狭くクランプ面16aへ導かれる。
【0030】
クランプ体3は、そのゴム弾性的な特性により隣接する複数の接続導線にも狭く結合することができる。このとき、3つの例について図6図8に示されているように、接続導線が同一又は異なる断面を有するかどうかは大して重要ではない。
【0031】
部分的に同一で部分的に異なる導線断面を有する接続導線6a,6b,6cを固定する固定装置5の断面図が示されている。図6では、異なる導線直径を有する2つの接続導線6a,6bがクランプ体3によって固定されており、クランプ体3は、左側で断面の大きな接続導線6aを、右側で断面の小さな接続導線6bをコネクタケーシング2の内壁部分20a,20bへ押圧している。
【0032】
図7及び図8から、クランプ面16a,16bによってそれぞれ1つより多い接続導線6a,6bも保持されることができることが明らかにされている。図7には、クランプ面16bによって内壁部分20bに固定された断面が同一の2つの接続導線6bが例示されている一方、同時に、クランプ体3が、断面の大きな1つの接続導線6aをコネクタケーシング2の対向する内壁部分20aへ押圧している。
【0033】
図8の実施例では、3つの接続導線6a,6b,6cが固定されており、これら接続導線は異なる導線断面を有しており、2つの接続導線6b,6cは、クランプ体3の同一のクランプ面16aとは異なる導線断面をもって、これに属する内壁部分に固定されている。ゴム又はその他のゴム弾性的な材料から成るクランプ体3は、両導線強度が効果的にクランプされて固定されるように十分に柔軟なものとなっている。
【0034】
当然、これらの構成は単に例示的なものであると理解されるべきである。特に、クランプ面につき2つより多くの接続導線を固定することも可能であり、クランプ面によって固定可能な接続導線の数は、導線の断面、クランプ面の幅及び厚さ並びにクランプ体の材料特性によって特定されることができるか、あるいはこれらパラメータの適当な選択によって、適当に影響されることが可能である。
【0035】
さらに、例えばゴム弾性的なクランプ要素を有する固定部がコネクタケーシングの構成要素であり、保護キャップのそのケーシング部分との結合時に協働する上述のクランプ機構が運動学的に逆となる構成を設定することも可能である。
【0036】
図11には、ここでは保護キャップ1’と一体的に形成されたクランプ体3’の別の有利な実施形態を有する保護キャップ1’の他の実施形態が示されている。一体的に形成された保護キャップ1’は、2つの接続ウェブ31’を介して互いに接続されつつ互いに係止可能な2つのケーシング部分1a’,1b’で構成されている。
【0037】
加えて、接続ウェブ31’は保護キャップ1’の固定部14’を形成しており、この固定部では、全部で4つのクランプアーム29a’,29b’,29c’,29d’が一体的に形成されていて、これらクランプアームは、互いに対状に互いに非平行に対向している。図12から明らかであるように、これらクランプアームは多重に屈曲した部分30’を介して結合されており、この部分は、クランプアーム29a’,29b’の圧力負荷の際に圧縮され、このときバネ弾性的な抗力が生じる。このとき、クランプアーム29a’,29b’の外面はクランプ面16a’,16b’を形成し、これらクランプ面16a’,16b’は、接続導線をコネクタケーシングの内壁部分に固定することが可能である。
【0038】
図11に図示されたクランプ体3’は例示的に図12による2つのW字状の配置を備えており、これらの配置は、それぞれ2つのクランプアーム29a’,29b’あるいは29c’,29d’と、可撓性の部分30’とで構成されていて、これら両配置は、互いに平行に一体的に接続ウェブ31’に成形されている。したがって、クランプ体3’はここでは全部で4つのクランプアーム29a’,29b’,29c’,29d’を有しており、これらクランプアームは、対応して同数のクランプ面を形成している。当然、クランプ体は、用途に応じてより多くの又はより少ない偶数のクランプアーム及びクランプ面で構成されることも可能である。
【0039】
接続導線の固定は、基本的に図5図8に図示されたものと同様に、コネクタケーシングへの保護キャップ1’の段階的な近接によってなされ、コネクタケーシングの内側のケーシング壁部の一部分がクランプ面16a’,16b’に近接する。
【0040】
上述の実施例とは異なり、ここでは、クランプ面16a’,16b’はゴム弾性的に形成されていない。したがって、各接続導線がそれぞれ1つの適切なクランプ面16a’,16b’に固定されており、各クランプ面16a’,16b’を支持するクランプアーム29a’,29b’,29c’,29d’が接触する接続導線の断面に応じて対応して大きく圧縮され、その結果、各導線が個々にぴったりと固定される。
【0041】
個々のクランプ面16a’,16b’がそれぞれ1つより多くの接続導線を固定するように設定されることも可能であり、これら接続導線は、同一の断面を備えるようになっている。したがって、好ましくは少なくとも異なる導線断面が用いられるほど多数のクランプアーム29a’,29b’,29c’,29d’を設定することが可能である。
【0042】
図13図18には、本発明によるコネクタの別の有利な実施形態が開示されている。図11及び図12において図示された実施例のように、ここでもクランプ体3”が固定されるべき各接続導線6”,6a”,6b”に対して1つの適切なクランプアーム29a”,29b”が設けられている。
【0043】
図18から、クランプアーム29a”,29b”が中実に形成された接続ウェブ31”に一体的に結合されていることが特に明らかであり、接続ウェブには、保護キャップ1”のケーシング部分1a”,1b”も形成されている。中実の接続ウェブ31”は、クランプアーム29a”,29b”の機械的な分離を生じさせるものであり、その結果、クランプアームの偏向時に本質的な変位が生じることがないか、又は他のクランプアームの偏向が生じることがない。これにより、図11に図示された実施形態と比べて、例えば不完全に取り付けられたコネクタの結果、奇数の導線も確実に固定することが可能である。
【0044】
このとき、この例において図示された全部で6つのクランプアーム29a”,29b”は、これらクランプアームが固定されるべき接続導線6”,6a”,6b”の押圧によって弾性的に変形可能であるようにクランプ体3”に結合されている。これに合わせて、コネクタケーシング2”の内壁部分20a”,20b”と各クランプアーム29a”,29b”の間の隙間の幅が導線直径に応じて変化する。この機能原理により、異なる断面積の接続導線6”,6a”,6b”を嵌合式に固定することが可能である。
【0045】
大きな直径を有する接続導線は、より大きな質量を有するとともに、これに合わせて、小さな直径を有する接続導線よりも強く固定される必要がある。このことは、接続ウェブ31”でのクランプアーム29a”,29b”の弾性的な結合によって達成される。なぜなら、増大する導線断面積においては、クランプアーム29a”,29b”の偏向が増大し、これにより増大するクランプ力となるためである。
【0046】
上述の両実施形態と異なり、ここでは、クランプアーム29a”,29b”によりもたらされる比較的大きなバネ力により保護キャップ1”とコネクタケーシング2”の間の多段式の係止位置決めが不要である。この代わりに、保護キャップ1”は、係止爪32”を介してコネクタケーシング2”にスナップフィットされ、これにより、多段式の係止結合の形成に比べて取付が容易となるとともに、欠陥の最小化に大きく貢献する。保護キャップ1”の内部に位置する、保護キャップ1”とコネクタケーシング2”の間の係止部によって、この係止部が外部からのアクセスに対して更に保護され、その結果、不意の脱落が排除されている。
【0047】
この実施形態も、冒頭に挙げた特許文献1の対象に比べて有利である。接続導線の開口部の通過がここでは不要である。接続導線6”,6a”,6b”は、コネクタケーシング2”の両側に対して折りたたまれることができ、その後、保護キャップ1が係止され、そのケーシング部分1a”,1b”を互いに結合することができる。さらに、多数のクランプ部材の手動での設置がここでは不要である。
【符号の説明】
【0048】
1,1’,1” 保護キャップ
1a,1b,1a’,1b’,1a”,1b” ケーシング部分
2,2” コネクタケーシング
3,3’,3” クランプ体
4 入口開口部
5 固定装置
6,6a,6b,6c,6”,6a”,6b” 接続導線
7,8 結合要素
9 係止アーム
10 係止突起
11 係止凹部
12 フィルムヒンジ
13 主面
14,14’ 固定部
15 外壁
16a,16b,16a’,16b’,16a”,16b” クランプ面
17 クリップ爪
18 結合壁
19 係止ノブ
20a,20b,20a”,20b” 内壁部分
21 係止爪
22 係止開口部
23 リブ
24,25 係止要素
26 ケーシング部分
27 係止凹部
28 収容ダクト
29a’,29b’,29c’,29d’,29a”,29b” クランプアーム
30’ 可撓性の部分
31’,31” 接続ウェブ
32” 係止爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18