特許第6482586号(P6482586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6482586ふかし壁の施工方法及びふかし壁ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482586
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ふかし壁の施工方法及びふかし壁ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20190304BHJP
   E04F 13/074 20060101ALI20190304BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20190304BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   E04F13/08 101S
   E04F13/074
   E04G23/02 H
   E04B2/74 541L
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-52940(P2017-52940)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-155025(P2018-155025A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】岸田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】池下 修斗
(72)【発明者】
【氏名】稲継 実栗
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−058908(JP,U)
【文献】 特開平08−120881(JP,A)
【文献】 特開2010−129476(JP,A)
【文献】 特開2009−099363(JP,A)
【文献】 特開2014−214491(JP,A)
【文献】 特開平11−200538(JP,A)
【文献】 特開2006−152713(JP,A)
【文献】 特開2011−032802(JP,A)
【文献】 特開2007−138424(JP,A)
【文献】 米国特許第06385937(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08−13/18
E04G 23/02
E04B 2/74
F21V 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸型ふかし壁に用いられるふかしパネルの設置幅に合わせて既設壁の壁面材を切除し、切除部分の両側にて既設壁内の柱を露出させ、
前記柱の室内側露出面に上下方向にて複数のパネル取付材の内、設置される照明器具の配線に合わせて選択されたパネル取付材をそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材の空隙部分を配線用空隙とし、
前記左右のパネル取付材間に架設されるようにふかしパネルを取り付け、
前記ふかしパネルの背面側にてパネル取付材の外側面に照明器具を設置し、
照明器具の配線を前記配線用空隙を通して既設壁内に配置することを特徴とする凸型ふかし壁の施工方法。
【請求項2】
既設壁の既設コンセントが設置されている部位を含む部分を凸型ふかし壁の設置部位とし、
新設の壁面材を介して該設置部位の既設壁内の左右一対の柱に、その上下方向にて複数のパネル取付材の内、設置される照明器具の配線に合わせて選択されたパネル取付材をそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材の空隙部分を配線用空隙とし、
前記左右のパネル取付材間に架設されるようにふかしパネルを取り付け、
前記ふかしパネルの背面側にてパネル取付材の外側面に照明器具を設置し、
照明器具の配線を前記配線用空隙を通して既設コンセントに接続するように施工することを特徴とする。凸型ふかし壁の施工方法。
【請求項3】
凸型ふかし壁に用いられるふかしパネルの設置幅を残し、且つ該設置部位の両側に新設壁の柱が室内に露出するように新設の壁面材を張り、
前記柱の室内側露出面に上下方向にて前記新設の壁面材に沿い、複数のパネル取付材の内、設置される照明器具の配線に合わせて選択されたパネル取付材をそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材の空隙部分を配線用空隙とし、
前記左右のパネル取付材間に架設されるようにふかしパネルを取り付け、
前記ふかしパネルの背面側にてパネル取付材の外側面に照明器具を設置し、
照明器具の配線を前記配線用空隙を通して新設壁内に配置することを特徴とする凸型ふかし壁の施工方法。
【請求項4】
凹型ふかし壁に用いられるふかしパネルの設置幅に合わせて既設壁の壁面材を切除し、切除部分の両側にて既設壁内の柱を露出させ、
ふかし壁の設置部位の左右の柱の室内側露出面間に架設されるようにふかしパネルを張り、
前記柱の室内側露出面に上下方向にてふかしパネルに沿い、複数のパネル取付材の内、設置される照明器具の配線に合わせて選択されたパネル取付材をそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材の空隙部分を配線用空隙とし、
前記ふかしパネルの両側に於いて、パネル取付材の前面に、新設の壁面材を取り付け、
前記新設の壁面材の背面側にてパネル取付材の内側面に沿って照明器具を設置し、
前記配線用空隙を通して照明器具の配線を新設壁内に配置することを特徴とする凹型ふかし壁の施工方法。
【請求項5】
凹型ふかし壁に用いられるふかしパネルの設置幅に合わせて該設置部位の両端の新設壁の柱の室内側露出面間に架設されるようにふかしパネルを張り、
前記柱の室内側露出面に上下方向にてふかしパネルに沿い、複数のパネル取付材の内、設置される照明器具の配線に合わせて選択されたパネル取付材をそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材の空隙部分を配線用空隙とし、
前記ふかしパネルの両側に於いて、パネル取付材の前面に、新設の壁面材を取り付け、
前記壁面材の背面側にてパネル取付材の内側面に沿って照明器具を設置し、
前記配線用空隙を通して照明器具の配線6を新設壁内に配置することを特徴とする凹型ふかし壁の施工方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の施工方法において、パネル取付材に代えて、複数本個に分割された補強材と、ふかし壁の高さに合致した長さの下地板と、所定間隔で配線孔が穿設された縦片とこれから延出された横片とを有し、下地板と同じ長さの表面材とが備えられ、
下地板は、前記柱の室内側露出面に設置され、
前記複数の補強材は、その内で、設置される照明器具の配線に合わせて選択された補強材をそれぞれ下地板に上下方向に取り付けて、排除された補強材の空隙部分を配線用空隙とし、
上下方向に並んだ補強材の外側面に表面材の縦片を取り付けると共に横片にて補強材の表面を覆い、
左右の表面材の横片間に架設されるようにふかしパネルを取り付け、
前記ふかしパネルの背面側にて表面材の縦片の外側面に照明器具を設置し、
照明器具の配線を前記縦片の配線孔及び前記配線用空隙を通して既設壁、又は新設壁内に配置することを特徴とする凸型ふかし壁の施工方法。
【請求項7】
請求項4又は5の施工方法において、パネル取付材に代えて、複数本個に分割された補強材と、ふかし壁の高さに合致した長さの下地板と、所定間隔で配線孔が穿設された縦片とこれから延出された横片とを有し、下地板と同じ長さの表面材とが備えられ、
下地板は、前記柱の室内側露出面に設置され、
前記複数の補強材は、その内で、設置される照明器具の配線に合わせて選択された補強材をそれぞれ下地板に上下方向に取り付けて、排除された補強材の空隙部分を配線用空隙とし、
上下方向に並んだ補強材の内側面に表面材の縦片を取り付けると共に横片にて補強材の表面を覆い、
ふかしパネルの両側にて左右の表面材の横片に新設の壁面材を取り付け、
前記新設の壁面材の背面側にて表面材の縦片の内側面に沿って照明器具を設置し、
照明器具の配線を前記縦片の配線孔及び前記配線用空隙を通して既設壁、又は新設壁内に配置することを特徴とする凹型ふかし壁の施工方法。
【請求項8】
照明器具と、
前記照明器具に合わせて選択的に使用され、ふかし壁施工部位にて既設壁、又は新設壁の柱に固定されるパネル取付材と、
柱に固定されたパネル取付材間、又は柱間に架設されるふかしパネルとで構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の施工方法において使用されるふかし壁ユニット。
【請求項9】
照明器具と、
ふかし壁施工部位にて既設壁、又は新設壁の柱に固定され、ふかし壁の高さに合致した長さの下地板と、
設置される照明器具の配線に合わせて選択され、前記下地板に上下方向に取り付けられる複数の補強材と、
所定間隔で配線孔が穿設された縦片とこれから延出された横片とを有し、下地板と同じ長さの表面材と、
前記表面材の横片間、又は柱間に架設されるふかしパネルとで構成されることを特徴とする請求項6又は7に記載の施工方法において使用されるふかし壁ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふかし壁を新築住宅は勿論、既存の壁面に簡便に設置できるふかし壁の施工方法及びふかし壁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面から天井面に至るふかし壁を既存の壁面に設けるためには、現場造作としてふかし壁に合わせた長さや太さを持つ柱材やパネル材を準備し、現場に合わせて施工していた。その際には、照明器具を取り付ける配線加工なども現場で行うため、照明器具に合わせて柱材その他必要部分に配線孔を現場加工で開ける必要があり手間のかかる作業であった。
【0003】
その対策として簡易に配線可能な貫通孔を多数穿設した柱体を事前に作成し、現場に納入し、これを現場で必要長さに切断加工することも考えられるが、前述のようにふかし壁に合わせた長さや太さを持つ重くて太い柱材を現場で取り扱うのは容易ではない。加えて、ふかし壁を組み上げた状態で納入していたが、この場合には全体の重量が重く且つ大きいため、複数人での作業が必須となるだけでなく、現場での微調整等にかなりの労力を要するという問題があった。なお、この点は新築家屋でも基本的には同様である。
【0004】
ふかし壁とは若干異なるが、同様の問題を抱える内装壁を先行技術文献として以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−146651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、配線のための加工が不要であり、しかも造作材に大型材がなく少人数で施工が可能なふかし壁の施工方法とそのふかし壁ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ふかし壁には凸型(Aで示す)と凹型(Bで示す)とがあり、これを既設壁、又は新設壁に施工する場合がある。
凸型ふかし壁Aで既設壁に施工する場合、施工部位の既設の壁面材7を切除し、その部分に凸型ふかし壁Aを設ける場合(図1図3図7図10)と、既設壁は切除せずそのままにして既設コンセント4のある部分を施工部位とし、その前面に凸型ふかし壁Aを設ける場合(図4)の2パターンがある。
凸型ふかし壁Aで新設壁に施工する場合、施工時点では壁面材は張られておらず、柱11や間柱12が剥き出しの状態であり、左右一対の柱11の間を施工部位とし、該施工部位の前面に凸型ふかし壁Aを施工し、施工部位の両側には新設の壁面材9を張ることになる(図1図3)。
凹型ふかし壁Bで既設壁に施工する場合には、前記同様、施工部位の壁面材7を切除し、その部分に凹型ふかし壁Bを設ける(図6図11図13)ことになる。凹型ふかし壁Bで新設壁に施工する場合には、前記同様、左右一対の柱11の間を施工部位とし、該施工部位に新設の壁面材9を施工し、施工部位の両側に新設の壁面材9を「ふかし」て張ることになる(図6図11図13)。
なお、図1図6までは、図7図13に示す補強材31a〜31nと下地板32及びT形の表面材33をまとめたパネル取付材3a〜3nによる組み立て例を示す。
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記のように凸型ふかし壁Aの既設壁に対する第1の施工方法で(図1図3図7図10)、
凸型ふかし壁Aに用いられるふかしパネル1の設置幅に合わせて既設壁の壁面材7を切除し、切除部分の両側にて既設壁内の柱11を露出させ、
前記柱11の室内側露出面11aに上下方向にて複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nをそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材3bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
前記左右のパネル取付材3a・3c〜3n間に架設されるようにふかしパネル1を取り付け、
前記ふかしパネル1の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの外側面に照明器具5を設置し、
照明器具5の配線6を前記配線用空隙Kを通して既設壁内に配置することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、凸型ふかし壁Aの既設壁に対する第2の施工方法で(図4)、
既設壁の既設コンセント4が設置されている部位を含む部分をふかし壁Aの設置部位とし、
新設の壁面材9を介して該設置部位の既設壁内の左右一対の柱11に、その上下方向にて複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nをそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材3bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
前記左右のパネル取付材3a・3c〜3n間に架設されるようにふかしパネル1を取り付け、
前記ふかしパネル1の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの外側面に照明器具5を設置し、
照明器具5の配線6を前記配線用空隙Kを通して既設コンセント4に接続するように施工することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、凸型ふかし壁Aの新設壁に対する施工方法で(新設壁は既設の壁面材7がなく、柱11や間柱12が露出しているだけなので、図1図3を用いて説明する。)、
凸型ふかし壁Aに用いられるふかしパネル1の設置幅を残し、且つ該設置部位の両側に新設壁の柱11が室内に露出するように新設の壁面材9を張り、
前記柱11の室内側露出面11aに上下方向にて前記新設の壁面材9に沿い、複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nをそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材3bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
前記左右のパネル取付材3a・3c〜3n間に架設されるようにふかしパネル1を取り付け、
前記ふかしパネル1の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの外側面に照明器具5を設置し、
照明器具5の配線6を前記配線用空隙Kを通して新設壁内に配置することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、凹型ふかし壁Bの既設壁に対する施工方法で(図6図11図13)、
ふかし壁Bに用いられるふかしパネル1の設置幅に合わせて既設壁の壁面材7を切除し、切除部分の両側にて既設壁内の柱11を露出させ、
ふかし壁Bの設置部位の左右の柱11の室内側露出面11a間に架設されるようにふかしパネル1を張り、
前記柱11の室内側露出面11aに上下方向にてふかしパネル1に沿い、複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nをそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材3bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
前記ふかしパネル1の両側に於いて、パネル取付材3a・3c〜3nの前面に、新設の壁面材9を取り付け、
前記新設の壁面材9の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの内側面に沿って照明器具5を設置し、
前記配線用空隙Kを通して照明器具5の配線6を新設壁内に配置することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、凹型ふかし壁Bの新設壁に対する施工方法で(図6図11図13)、
ふかし壁Bに用いられるふかしパネル1の設置幅に合わせて該設置部位の両端の新設壁の柱11の室内側露出面11a間に架設されるようにふかしパネル1を張り、
前記柱11の室内側露出面11aに上下方向にてふかしパネル1に沿い、複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nをそれぞれ取り付けて、排除されたパネル取付材3bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
前記ふかしパネル1の両側に於いて、パネル取付材3a・3c〜3nの前面に、新設の壁面材9を取り付け、
前記壁面材9の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの内側面に沿って照明器具5を設置し、
前記配線用空隙Kを通して照明器具5の配線6を新設壁内に配置することを特徴とする。
【0013】
請求項6は、請求項1〜3の施工方法(凸型ふかし壁A)において、パネル取付材3a〜3nに代えて、複数本個に分割された補強材31a〜31nと、ふかし壁Aの高さに合致した長さの下地板32と、所定間隔で配線孔33aが穿設された縦片33bとこれから延出された横片33cとを有し、下地板32と同じ長さの表面材33とが備えられ、
下地板32は、前記柱11の室内側露出面11aに設置され、
前記複数の補強材31a〜31nは、その内で、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択された補強材31a・31c〜31nをそれぞれ下地板32に上下方向に取り付けて、排除された補強材31bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
上下方向に並んだ補強材31a・31c〜31nの外側面に表面材33の縦片33bを取り付けると共に横片33cにて補強材31a・31c〜31nの表面を覆い、
左右の表面材33の横片33c間に架設されるようにふかしパネル1を取り付け、
前記ふかしパネル1の背面側にて表面材33の縦片33bの外側面に照明器具5を設置し、
照明器具5の配線6を前記縦片33bの配線孔33a及び前記配線用空隙Kを通して既設壁、又は新設壁内に配置することを特徴とする。
【0014】
請求項7は、請求項4又は5の施工方法(凹型ふかし壁B)において、パネル取付材3a〜3nに代えて、複数本個に分割された補強材31a〜31nと、ふかし壁Bの高さに合致した長さの下地板32と、所定間隔で配線孔33aが穿設された縦片33bとこれから延出された横片33cとを有し、下地板32と同じ長さの表面材33とが備えられ、
下地板32は、前記柱11の室内側露出面11aに設置され、
前記複数の補強材31a〜31nは、その内で、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択された補強材31a・31c〜31nをそれぞれ下地板32に上下方向に取り付けて、排除された補強材31bの空隙部分を配線用空隙Kとし、
上下方向に並んだ補強材31a・31c〜31nの内側面に表面材33の縦片33bを取り付けると共に横片33cにて補強材31a・31c〜31nの表面を覆い、
ふかしパネル1の両側にて左右の表面材33の横片33cに新設の壁面材9を取り付け、
前記新設の壁面材9の背面側にて表面材33の縦片33bの内側面に沿って照明器具5を設置し、
照明器具5の配線6を前記縦片33bの配線孔33a及び前記配線用空隙Kを通して既設壁、又は新設壁内に配置することを特徴とする。
【0015】
請求項8は、請求項1〜5のいずれかに記載の施工方法において使用されるふかし壁ユニットで、
照明器具5と、
前記照明器具5に合わせて選択的に使用され、ふかし壁施工部位にて既設壁、又は新設壁の柱11に固定されるパネル取付材3a〜3nと、
柱11に固定されたパネル取付材3a〜3n間、又は柱11間に架設されるふかしパネル1とで構成されることを特徴とする。
【0016】
請求項9は、請求項6又は7に記載の施工方法において使用されるふかし壁ユニットで、
照明器具5と、
ふかし壁施工部位にて既設壁、又は新設壁の柱11に固定され、ふかし壁Aの高さに合致した長さの下地板32と、
設置される照明器具5の配線6に合わせて選択され、前記下地板32に上下方向に取り付けられる複数の補強材31a〜31nと、
所定間隔で配線孔33aが穿設された縦片33bとこれから延出された横片33cとを有し、下地板32と同じ長さの表面材33と、
前記表面材33の横片33c間、又は柱11間に架設されるふかしパネル1とで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、複数に分割された短いパネル取付材3a〜3n或いは補強材31a〜31nを使用するので、照明器具5に合わせてそのいずれかを取捨選択でき、現場での配線用空隙Kを設けるための加工が不要となる。加えて、分割された短いパネル取付材3a〜3n或いは補強材31a〜31nを使用するので、軽量であり現場での取り扱いが簡単であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の凸型ふかし壁の斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1で、既設壁の一部を切除した場合、又は新設壁に施工した場合の平断面図である。
図4】既設壁を残したまま施工した場合の平断面図である。
図5】本発明のふかしパネルの一部分解斜視図である。
図6】本発明の凹型ふかし壁の斜視図である。
図7】本発明の凸型ふかし壁の他の例の斜視図である。
図8図7の要部拡大断面斜視図である。
図9図7の平断面図である。
図10図7の分解斜視図である。
図11】本発明の凹型ふかし壁の他の例の斜視図である。
図12図11の要部拡大断面斜視図である。
図13図11の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。既に述べたようにふかし壁には凸型Aと凹型Bとがあり、これを既設壁、又は新設壁に施工する場合がある。ふかし壁施工には、複数の部材を組み合わせたふかし壁ユニットが用いられ、従来例で述べたように事前に組み立てた大重量のふかし壁の施工困難性を排除するために現場組み立て方式が採用されている。
【0020】
施工対象となる既設壁の壁面材7は、施工部位を含む壁面全体に表面にクロスなどの装飾シートが張られている。既設壁でも既設の壁面材7を全部取り外す場合も考えられるが、この場合の施工は新設壁に準じることになる。
既設壁の壁内部には、所定間隔で太い柱11が設置されており、柱11間に細い間柱12が設置されている。既設壁の施工部位には、図4に示すように、既設コンセント4が設置されている場合があり、配線を考慮するに当たってはこの既設コンセント4を利用する場合もある。既設壁を施工する場合、配線の関係から既設コンセント4がない場合、又はこれを利用できない場合には施工幅に合わせて施工部位が切除される。
施工対象が新設壁の場合は、施工部位には新設の壁面材9が張られていないので、直ちに施工に掛れる。新設の壁面材9の基材としては、例えば石膏ボードや厚手の合板、パーティクルボードなどが用いられ、後述するようにその上にクロスや化粧材が取り付けられる。
【0021】
以下、図1図3及び図5に従って、本発明の第1実施例を説明する。第1実施例に使用されるふかし壁ユニットは、凸型ふかし壁A用で、主として照明器具5と、パネル取付材3a〜3n、及びふかしパネル1とで構成される。
ふかしパネル1は1枚ものでも良いが、複数枚に分割された分割パネル1aを用いてもよい。ふかしパネル1や分割パネル1aには見切材20、ジョイント部材22、更にはパネル側端納め部材24などが用いられる。ここでは分割パネル1aを用いる場合を例に取って説明する。パネル取付材3a〜3n以外の部材は本発明において共通である。第1実施例で対象となる壁は既設壁である。
【0022】
凸凹型ふかし壁A・Bにおける照明は、通常、間接照明で、使用される照明器具5は、長尺の蛍光灯やLEDを一列に並べたライン照明装置で、いずれかの部分(通常は両端或いは一端)から配線6が引き出されている。
【0023】
パネル取付材3a〜3nはn本で構成され、長短がある。基本的には100mmと300mm、或いは 1,100mmのもので構成されている。材質的には単板積層材(平行合板/LVL)、集成材、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード(PB)などの角棒状の木質材料にて構成されている。図1では、長いものと短いものを一列に並べて使用するようにしている。勿論、短いものだけを並べてもよい。長いものと短いものを使用する場合は、配線6が来ることが多い上端部分及び/又は下端部分に短いものを使用し、中央部分に長いものを使用するのが普通である。なお、パネル取付材を上位概念で示す場合は、単なる「3」で示す。
【0024】
ふかしパネル1は、1枚ものでも良いが、取り扱いの点から複数に分割されている。分割されているものを分割パネル1aとし、組み立ててふかしパネル1とする。本実施例では複数に分割されている場合を採用する。
分割パネル1aは図5に示すように、長方形の板材で、背面材は上記同様、MDF、LVL、PBなど木質材が使用され、その表面側にダイヤ形、波形、サーフ(なだらかな波形の筋目模様)など幾何学的模様、木目模様、その他の模様が表されたオレフィンシートやポリサンドシート他の樹脂シートが貼着されている。勿論、仕上げにクロス張りという選択も可能なので、その場合は、化粧用の樹脂シートなしのもの基板が用意される。
図示していないが、分割パネル1の長辺は実加工なしの場合や、長辺側が実加工されているものがある。
組み立てた時に予定されたふかしパネル1より大である場合、両側に位置する分割パネル1aに余分な分は現場で切除される。組み立ては現地で行われる。
【0025】
見切材20はアルミ押出成形品で、断面L形である。組み立てられたふかしパネル1の周囲と前面を覆う。図5の場合は、分割パネル1aは横長に用いられ、見切材20は縦勝ちに施工されている。(勿論、縦長で横勝ちも可能である。)
【0026】
ジョイント部材22は断面T形のアルミ押出成形品で、実加工がない分割パネル1aの接合に用いられる。縁被覆片22aと、縁被覆片22aの中央から直角に突出している脚片22bとで構成されている。
【0027】
パネル側端納め部材24もアルミ押出成形品で、コ字状部24aと、コ字状部24aの1つの角辺からコ字状部24aの中央片に沿って延出されている遮光片24bとで構成されている(図2参照)。コ字状部24aの開口内寸や遮光片24cの幅については後述する。
【0028】
次に、第1実施例の施工手順について説明する。凸型ふかし壁Aのふかしパネル1の設置幅に合わせて既設の壁面材7を切除し、切除部分の両側にて既設壁内の柱11の内側部分を露出させる。前記柱11の外側部分には既設の壁面材7の切断端が被っている(図2参照)。左右の柱11の間には1乃至数本の間柱12が立設されており、切除面から室内側に露出している。
【0029】
複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて使用するパネル取付材3a・3c〜3nを選択し、既設の壁面材7の切断端に沿って柱11の室内側露出面11aに上下方向1列にビス止めする。ビズ止め作業はパネル取付材3a・3c〜3nが短く、取り扱いやすいので現場施工が楽である。使用しないパネル取付材3bの位置が明くので、この部分が配線用空隙Kとなる。パネル取付材3a・3c〜3nの厚みは、最小で既設の壁面材7の厚みと照明装置5の収納幅を加えた大きさである。
【0030】
次に(或いはこれに先んじて)、ふかしパネル1を用意する。ここでは、分割パネル1aを組み立ててふかしパネル1を形成する場合を説明する。分割パネル1aは上記のように実ありのものと、実なしの2種類がある。
実ありの分割パネル1aは実結合を行う。パネル状に実結合された、両端の実ありの分割パネル1aの端部の実は不要なので、ふかしパネル1の高さ(又は幅)に合わせて事前に切除される。分割パネル1aが実結合されたパネルの周囲には見切材20が縦勝ち(又は横勝ち)で接着される。
実なしの分割パネル1aは、T形のジョイント部材22の脚片22bを挟むようにして接着結合し、パネル状とする。そして、分割パネル1aを接着結合したパネルの周囲には上記同様見切材20が縦勝ち(又は横勝ち)接着される。なお、分割パネル1aの余分な部分は事前に切除される。
【0031】
次に、左右の柱11に取り付けた前記パネル取付材3a・3c〜3n間に架設されるようにふかしパネル1を取り付ける。この時、必要に応じて、間柱12の室内側露出面12aに予め補強間柱14を取り付けておき、ふかしパネル1の背面に補強間柱14を取り付け、ふかしパネル1の背面からの補強を行う。
【0032】
次に、ふかしパネル1の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの外側面に照明器具5を設置し、前記配線用空隙Kを通して照明器具5の配線6を既設壁内に引き込む。(或いは、既設壁内の配線に照明器具5の配線6を接続する。)即ち、照明器具5の配線6を既設壁内に配置する。
【0033】
最後に、ふかしパネル1の両側端にパネル側端納め部材24のコ字状部24aを嵌める。コ字状部24aの一稜線から本体片と平行に伸びる遮光片24bは既設の壁面材7方向に伸びる。ただし、遮光片24bは既設の壁面材7に届かない長さで、既設の壁面材7との間に露光間隙Rを形成する。
なお、照明器具5が収納された、ふかしパネル1の端部、パネル取付材3a・3c〜3n、既設の壁面材7及び遮光片24bで囲まれた空間を照明器具収納空間Hとする。前記露光間隙Rは照明器具収納空間Hの全長に亘ってスリット状に設けられる。
【0034】
以上のようにして凸型ふかし壁Aは組み立てられるが、既設の壁面材7には従来のクロスなどが貼られたままになる。ふかしパネル1のデザインと既設壁のデザインとの統合性を取る必要がある場合は、ふかしパネル1のデザインとマッチする分割パネルを組み立て、既設壁の表面に貼り付けるようにしてもよいし、別途、必要な養生を行い、クロスを張り変えてもよい。
これに対して、ふかしパネル1が基材だけで、ふかしパネル1の表面にクロスを張るような場合は、ふかしパネル1にクロスを張ると共に、必要な養生を行い、既設壁の表面にもふかしパネル1のクロスにマッチするクロスを張ることになる。
【0035】
以上のように全部材が、扱いが簡単な小型の部材で構成されているため、図1に示すような凸型ふかし壁Aが、少人数で既設壁に現場施工で設けることができた。
このふかし壁Aの照明器具5を点灯すると、ふかしパネル1の両側に存在する前記スリット状の露光間隙Rから光が漏れてその近傍を間接的に照明する。
【0036】
次に、第2実施例を図4に従って説明する。この場合は、既設コンセント4が既設壁に設置されていて、既設壁の壁内に照明器具5の配線6を引き込む必要がない場合である。既設コンセント4の設置位置がふかし壁Aの設置位置である場合、既設壁の切除作業は不要となる。従って、パネル取付材3a〜3nの取り付けは、既設壁の壁面材7を介して柱11に取り付けられる。同様に補強間柱14も既設の壁面材7を介して間柱12に取り付けられる。それ以外の手順は第1実施例と同じである。なお、設置された照明器具5の配線6は既設コンセント4に接続される。
【0037】
第3実施例は、凸型ふかし壁Aを新設壁に設置する場合である(図1、3)。この場合は、壁面材が設置されておらず、柱11や間柱12が室内側に露出しているので、凸型ふかし壁Aのふかしパネル1の両側に新設の壁面材9が施工される。なお、既設壁であっても既設の壁面材7の全体が撤去される場合は、新設壁の手順に従って施工される。
この凸型ふかし壁Aの施工手順は、既設の壁面材7の切除作業がない点と、ふかしパネル1の両側に新設の壁面材9を施工する点以外は第1実施例を同じである。即ち、ふかしパネル1の施工の施工後、又は施工前に、ふかしパネル1の両側に新設の壁面材9を張ることになる。新設の壁面材9はふかしパネル1とマッチするデザインのものが選ばれる。
【0038】
第4実施例は、凹型ふかし壁Bを既設壁に施工する場合である。ふかしパネル1の設置位置と、照明器具5の露光方向が異なるだけで、組み立て手順は基本的には第1実施例と同じである(図6)。
この場合は、ふかしパネル1とパネル取付材3a〜3nとを並べて柱11に直接取り付けるので、既設壁の壁面材7の切除幅はパネル取付材3a〜3nの取り付け幅の分だけふかしパネル1の設置幅より大きくなる。なお、凹型ふかし壁Bの場合は、切除されなかった既設の壁面材7そのまま残され(或いは、撤去され)、その上に後述するように新設の壁面材9が設置される
【0039】
以下、簡単に説明する。まず、ふかし壁Bの設置幅に合わせて既設の壁面材7を切除し、切除部分の両側にて既設壁内の柱11を露出させる。切除幅は上述のようにふかしパネル1の設置幅より大きくなる。そして、第1実施例のように組み立てたふかしパネル1を凹型ふかし壁Bの設置部位の左右の柱11の室内側露出面11aの内側縁辺間に架設されるように張る。この場合は、間柱12が存在する場合、ふかしパネル1を背面から支えるように両者を固定する。
【0040】
ふかしパネル1の側縁と、その両側に残った既設の壁面材7切断端との間の隙間に柱11の室内側露出面11aが顔をのぞかせている。この部分にパネル取付材3a〜3nの内の選択されたものを取り付ける。その後、凹型に取り付けたふかしパネル1の両側にて、前記柱11の室内側露出面11aに上下方向にふかしパネル1に沿い、複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nをビス止めにてそれぞれ取り付ける。排除されたパネル取付材3bの空隙部分が配線用空隙Kである。
【0041】
続いて、パネル取付材3a〜3nに新設の壁面材9を「ふかし」て取り付ける。この時補強間柱14が必要に応じて設けられ、対応する間柱12にビス止めされる。然る後、新設の壁面材9の内側の突出端部の背面側にてパネル取付材3a・3c〜3nの内側面に照明器具5を設置し、同様に配線用空隙Kを通して照明器具5の配線6を新設壁内に配置する。
【0042】
最後に新設の壁面材9の内側の突出端部にパネル側端納め部材24を取り付け、その遮光片24aにて露光隙間Rを形成する。
点灯すると、上記同様、露光隙間Rからふかしパネル1側に光が漏れて間接照明となる。
【0043】
次に、第5実施例に付いて説明する。この場合は凹型ふかし壁Bの新設壁に対する施工方法である(なお、説明は図6に沿って簡単に行うが、新設壁の場合は、既設の壁面材7が存在しない。)。この場合は上記のように、柱11や間柱12が剥き出しとなっている。従って、凹型ふかし壁Bのふかしパネル1の設置幅に合わせて、剥き出しの柱11の室内側露出面11aの内側縁辺の間に架設されるように第1実施例のふかしパネル1を張る。
【0044】
そして、張ったふかしパネル1の側面に沿い、複数のパネル取付材3a〜3nの内、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択されたパネル取付材3a・3c〜3nを柱11にビス止めする。そして、第4実施例と同様、新設の壁面材9、補強間柱14、照明器具5の設置、配線6などが行われる。
【0045】
第6実施例は、凸型ふかし壁Aにおいて、パネル取付材3a〜3nに代えて、複数本個に分割された補強材31a〜31nと、ふかし壁Aの高さに合致した長さの下地板32と、所定間隔で配線孔33aが穿設された縦片33bとこれから断面T形に延出された横片33cとを有し、下地板32と同じ長さの表面材33とを用いる場合である。複数本個に分割された補強材31a〜31nがパネル取付材3a〜3nと同等の働きをなす。なお、補強材31a〜31n及び下地板32は、パネル取付材3a〜3nと同じ材質のものが用いられている。
【0046】
表面材33は、設置時、その縦片33bが配線用間隙Kを覆ってしまうので、いずれかの配線孔33aが配線用間隙Kに一致するように所定間隔で縦片33bに穿設されている。表面材33の材質はパネル取付材3a〜3nと同じ材質、或いはアルミニウム押出成形品などが使用される。
【0047】
上記下地板32は、柱11の室内側露出面11aにビス止めにて設置される。複数の補強材31a〜31nは、その内で、設置される照明器具5の配線6に合わせて選択され、選択された補強材31a・31c〜31nがそれぞれ下地板32に上下方向に一列にビス止めされる。排除された補強材31bの空隙部分は配線用空隙Kとなる。
【0048】
上下方向に並んだ補強材31a・31c〜31nの外側面に表面材33の縦片33bが取り付けられ、横片33cにて補強材31a・31c〜31nの表面が覆われ、横片33cが補強材31a・31c〜31nビス止めされる。前記縦片33bには多数の配線孔33aが設けられており、いずれかの配線孔33aが配線用空隙Kに一致してこれを閉塞しないようになっている。
【0049】
そして、左右の表面材33の横片33c間に架設されるようにふかしパネル1が取り付けられ、更に前記ふかしパネル1の背面側にて表面材33の縦片33bの外側面に照明器具5を設置される。照明器具5の配線6は前記縦片33bの配線孔33a及び前記配線用空隙Kを通して既設壁、又は新設壁内に配置される。
最後にパネル側端納め部材24のコ字状部24aがふかしパネル1と表面材33の横片33cに嵌め込まれて固定され、上記同様、遮光片24bにて露光間隙Rが形成される。
【0050】
第7実施例(凹型ふかし壁B)は、表面材33の取り付けが第6実施例と逆(露光間隙Rが内側に来る。)で、使用する部材は同じである。下地板32や、複数の補強材31a〜31n、照明器具5、配線6の取り付け手順も上記のように凸型と凹型との違いだけで、基本的には同じである。
【0051】
即ち、選択された補強材31a・31c〜31nはそれぞれ下地板32に上下方向にビス止めされ、排除された補強材31bの空隙部分は配線用空隙Kとなる。そして、上下方向に並んだ補強材31a・31c〜31nの内側面に表面材33の縦片33bが取り付けると共に横片33cにて補強材31a・31c〜31nの表面を覆い、ビス止めされる。
【0052】
ふかしパネル1の両側にて左右の表面材33の横片33cに新設の壁面材9が取り付けられる。必要に応じて補強間柱14が対応する間柱12にビス止めされる。
新設の壁面材9の背面側にて表面材33の縦片33bの内側面に沿って照明器具5を設置され、その配線6が縦片33bの配線孔33a及び前記配線用空隙Kを通して既設壁、又は新設壁内に配置される。
【0053】
以上のように、本発明は、ふかし壁A・Bの部材、特にパネル取付材3a〜3nや、補強材31a〜31nを細かく分割しているので、単純に組み立てやすいというだけでなく、持ち上げる作業などが少なく、少人数での施工が可能である。しかも、これらの内、照明器具5に合わせて使用しない部材を選択することで簡単に配線用間隙Kを設けることが出来、現場施工が非常に簡便となる。
【符号の説明】
【0054】
A:凸型ふかし壁、B:凹型ふかし壁、H:照明器具収納空間、K:配線用空隙、R:露光間隙、1:ふかしパネル、1a:分割パネル、3(3a〜3n):パネル取付材、3b:排除されたパネル取付材、4:既設コンセント、5:照明器具、6:配線、7:既設(壁)の壁面材、9:新設の壁面材、11:柱、11a:室内側露出面、12:間柱、12a:室内側露出面、14:補強間柱、20:見切材、22:ジョイント部材、22a:縁被覆片、22b:脚片、24:パネル側端納め部材、24a:コ字状部、24b:遮光片、31(31a〜31n):補強材、31b:排除された補強材、32:下地板、33:表面材、33a:配線孔、33b:縦片、33c:横片。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13