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特許6482617金融機関システム、金融機関システムの制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482617
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】金融機関システム、金融機関システムの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20190304BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-158517(P2017-158517)
(22)【出願日】2017年8月21日
(65)【公開番号】特開2019-36229(P2019-36229A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】510247995
【氏名又は名称】楽天銀行株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 健一郎
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−065495(JP,A)
【文献】 特開2002−007725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関において法人専用の支店が設立された場合に、金融サービスに係る複数の機能のうち、前記法人により選択された任意の機能を前記支店に設定する設定手段と、
前記支店に設定された機能を利用するための利用画面を、前記支店に口座を有するユーザの端末に表示させる利用画面表示制御手段と、
前記利用画面における前記ユーザの操作に基づいて、前記支店に設定された機能を前記ユーザに提供するための処理を実行する提供手段と、
を含み、
前記金融機関では、複数の前記法人にそれぞれ対応する複数の前記支店が設立され、
各法人に対し、他の法人による各機能の選択状況に関する選択状況情報を通知する選択状況情報通知手段を更に含む、
ことを特徴とする金融機関システム。
【請求項2】
前記設定手段は、前記選択状況情報が通知された後に、各法人が選択した任意の機能を当該法人専用の支店に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の金融機関システム。
【請求項3】
前記金融機関では、複数の前記法人にそれぞれ対応する複数の前記支店が設立され、
前記設定手段は、各法人が選択した任意の機能を当該法人専用の支店に設定し、他の法人専用の前記支店に設定された機能とは異なる機能を設定可能である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の金融機関システム。
【請求項4】
前記金融機関システムは、前記法人又は前記金融機関の端末に、前記複数の機能のうち、前記支店に設定する機能を選択するための機能選択画面を表示させる機能選択画面表示制御手段を更に含み、
前記設定手段は、前記機能選択画面において選択された機能を前記支店に設定する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金融機関システム。
【請求項5】
前記複数の機能には、所定条件を満たす法人に対して許可される特定の機能が含まれており、
前記金融機関システムは、前記所定条件を満たさない法人の前記支店に前記特定の機能が設定されることを制限する制限手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の金融機関システム。
【請求項6】
記金融機関システムは、各法人に対し、ユーザによる各機能の利用状況に関する利用状況情報を通知する利用状況情報通知手段を更に含み、
前記設定手段は、前記利用状況情報が通知された後に、各法人が選択した機能を当該法人専用の支店に設定する、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の金融機関システム。
【請求項7】
前記金融機関では、前記法人専用の支店と、前記法人専用ではない支店と、が設立され、
前記金融機関システムは、前記金融機関において、同一ユーザに対し、複数の口座が開設されることを制限する制限手段を更に含み、
前記制限手段は、同一ユーザに対し、前記法人専用の支店の口座と、前記法人専用ではない支店の口座と、が開設されることは許可する、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の金融機関システム。
【請求項8】
記設定手段は、各法人が選択した機能を当該法人専用の支店に設定し、
前記制限手段は、同一ユーザに対し、法人専用の同一支店に複数の口座が開設されることを制限し、互いに異なる支店に複数の口座が開設されることは許可する、
ことを特徴とする請求項7に記載の金融機関システム。
【請求項9】
前記金融機関システムは、
同一ユーザに対して複数の口座が開設された場合は、口座ごとにログインIDを発行する発行手段と、
前記複数の口座が開設されたユーザが入力したログインIDに基づいて、当該ログインIDに対応する口座に係るログイン処理を実行するログイン処理実行手段と、
を更に含み、
前記利用画面表示制御手段は、前記ログイン処理実行手段の処理結果に基づいて、前記利用画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の金融機関システム。
【請求項10】
前記金融機関システムは、同一ユーザに対して複数の口座が開設された場合は、当該複数の口座をグループ化して管理する管理手段、
を更に含むことを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の金融機関システム。
【請求項11】
金融機関において法人専用の支店が設立された場合に、金融サービスに係る複数の機能のうち、前記法人により選択された任意の機能を前記支店に設定する設定ステップと、
前記支店に設定された機能を利用するための利用画面を、前記支店に口座を有するユーザの端末に表示させる利用画面表示制御ステップと、
前記利用画面における前記ユーザの操作に基づいて、前記支店に設定された機能を前記ユーザに提供するための処理を実行する提供ステップと、
を含み、
前記金融機関では、複数の前記法人にそれぞれ対応する複数の前記支店が設立され、
各法人に対し、他の法人による各機能の選択状況に関する選択状況情報を通知する選択状況情報通知ステップを更に含む、
ことを特徴とする金融機関システムの制御方法。
【請求項12】
金融機関において法人専用の支店が設立された場合に、金融サービスに係る複数の機能のうち、前記法人により選択された任意の機能を前記支店に設定する設定手段、
前記支店に設定された機能を利用するための利用画面を、前記支店に口座を有するユーザの端末に表示させる利用画面表示制御手段、
前記利用画面における前記ユーザの操作に基づいて、前記支店に設定された機能を前記ユーザに提供するための処理を実行する提供手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記金融機関では、複数の前記法人にそれぞれ対応する複数の前記支店が設立され、
各法人に対し、他の法人による各機能の選択状況に関する選択状況情報を通知する選択状況情報通知手段として更に機能させる、
プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関システム、金融機関システムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット技術を利用した金融サービスが提供されている。文献1には、金融機関がインターネット上で提供するサービス画面と、金融機関ではない法人がインターネット上で提供するサービス画面と、の間をユーザによる個人情報の確認をすることなく行き来させ、金融機関の金融サービスと法人のサービスとを提供するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−000775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金融機関が有する金融サービスの中には、提携先の法人が利用を希望するものがあり、例えば、普通預金に係るサービスをユーザに提供し、預金額が一定以上となったユーザに提携先の法人のポイントやクーポンを付与したり、ローンに係るサービスをユーザに提供し、自社製品購入時の金利を優遇したりすることができれば、法人とユーザの両者の利便性を高めることができる。しかしながら、特許文献1の技術では、単に、金融機関の金融サービスと法人のサービスとがそれぞれ別個にユーザに提供されるだけなので、利便性を十分に高めることができない。
【0005】
本発明の目的は、法人とユーザの両者の利便性を高めることができる金融機関システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る金融機関システムは、金融機関において法人専用の支店が設立された場合に、金融サービスに係る複数の機能のうち、前記法人により選択された任意の機能を前記支店に設定する設定手段と、前記支店に設定された機能を利用するための利用画面を、前記支店に口座を有するユーザの端末に表示させる利用画面表示制御手段と、前記利用画面における前記ユーザの操作に基づいて、前記支店に設定された機能を前記ユーザに提供するための処理を実行する提供手段と、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る金融機関システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】ユーザ端末に利用画面を表示させる際の画面遷移図である。
図3】金融機関システムにおいて実現される機能を示す機能ブロック図である。
図4】機能設定データのデータ格納例を示す図である。
図5】ユーザデータのデータ格納例を示す図である。
図6】機能選択画面の一例を示す図である。
図7】設定処理のフロー図である。
図8】提供処理のフロー図である。
図9】変形例の機能ブロック図である。
図10】選択状況情報が通知される様子を示す図である。
図11】利用状況情報が通知される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.金融機関システムの全体構成]
以下、本発明の実施形態の例について図面に基づき詳細に説明する。図1は、実施形態に係る金融機関システムSの全体構成の一例を示す図である。金融機関システムSは、銀行や信用金庫などの金融機関が管理するシステムであり、少なくとも1つのコンピュータを含む。図1に示すように、例えば、金融機関システムSは、金融機関サーバと設定端末を含み、ユーザ端末とインターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続される。なお、図1では、金融機関サーバ10、設定端末20、及びユーザ端末30を1台ずつ示しているが、これらは複数台ずつあってもよい。
【0009】
金融機関サーバ10は、金融機関が管理するサーバコンピュータである。例えば、金融機関サーバ10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を含む。制御部11は、例えば、一又は複数のマイクロプロセッサを含む。記憶部12は、例えば、RAM等の主記憶部やハードディスク等の補助記憶部を含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。通信部13は、例えば、ネットワークカードを含む。通信部13は、インターネットやLANなどのネットワークを介して外部機器とのデータ送受信が可能である。
【0010】
設定端末20は、金融機関が管理するコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ又は携帯端末(例えば、スマートフォンやタブレット型端末)である。なお、本実施形態では、金融機関が設定端末20を管理する場合を説明するが、設定端末20は、金融機関の提携先の法人(後述する法人専用口座を設立する法人)が管理してもよい。例えば、設定端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部24は、入力デバイスであり、例えば、タッチパネルやマウスなどのポインティングデバイス又はキーボードである。表示部25は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0011】
ユーザ端末30は、ユーザが操作するコンピュータであり、例えば、パーソナルコンピュータ又は携帯端末(例えば、スマートフォンやタブレット型端末)である。なお、本実施形態では、ユーザとは、エンドユーザを意味し、口座の開設者を意味する。即ち、ユーザは、金融サービスの利用者であり、個人であってもよいし、法人であってもよい。ユーザ端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35を含む。制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、通信部13、操作部24、及び表示部25と同様であってよい。
【0012】
なお、記憶部12,22,32に記憶されるものとして説明するプログラムやデータは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体(例えば、USBメモリ又はSDカード)に記憶されたものが各コンピュータに供給されるようにしてもよいし、ネットワークを介して各コンピュータに供給されるようにしてもよい。また、上記説明した各コンピュータのハードウェア構成は、上記の例に限られず、例えば、情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、SDカードスロット)、又は、外部機器と直接的に通信するための入出力部(例えば、USB端子)が備えられていてもよい。
【0013】
[2.金融機関システムが実行する処理の概要]
次に、金融機関システムSが実行する処理の概要を説明する。本実施形態では、金融機関において、法人専用の支店(以降、法人専用支店という。)が設立される。
【0014】
法人は、例えば、金融機関システムSを管理する金融機関とは異なる法人であり、金融機関の提携先の法人である。法人は、商品や役務を提供し、例えば、飲食業界・小売業界・物流業界などの任意の法人であってよい。また例えば、法人は、金融機関システムSを管理する金融機関とは異なる他の金融機関(例えば、地方銀行など)であってもよい。
【0015】
例えば、法人専用支店は、通常の支店と同様の手続きによって設置される。法人専用支店は、実店舗が存在してもよいし、実店舗が存在しなくてもよい。また、法人専用支店名は、対応する法人の名称を含むようにしてもよい。例えば、ABC株式会社という法人の法人専用支店は、「ABC支店」という名称にしてもよい。
【0016】
例えば、法人専用支店を設立した法人は、自社の実店舗やウェブサイトにおいて、口座の開設の勧誘を行う。ユーザは、法人専用支店に口座を開設することによって、法人に係る金融サービスを利用することができる。このため、法人専用支店は、法人に係る金融サービス(金融商品)を提供するための支店ということができる。
【0017】
法人に係る金融サービスは、金融機関と法人とが連携することで提供可能な金融サービスであり、法人特有の利益をユーザに提供可能な金融サービスである。例えば、預金残高・送金額・送金回数が閾値を超えたユーザに対し、法人に係るポイントやクーポンを付与するといったサービスが提供されてもよい。また例えば、法人専用支店に開設した口座を利用して宝くじを購入したユーザに対し、法人に係るポイントやクーポンを付与するといったサービスが提供されてもよい。また例えば、法人の製品購入時のローン金利を優遇するといったサービスがユーザに提供されてもよい。法人に係る金融サービスは、金融機関が有する複数の機能のうち、法人が所望する任意の機能に基づいて提供される。
【0018】
機能とは、例えば、金融機関が有する金融サービス(金融業務)のうち、法人に提供可能な金融サービスである。機能は、法人の業務に係るものであってもよいし、法人が取り扱うことのできないものであってもよい。例えば、普通預金などの各種預金、国内送金、海外送金、宝くじや競技くじ(公営競技に関するくじ)の販売、ローンなどが機能の一例である。法人は、複数の機能の中から、自身の法人専用支店に設定する機能を選択することができる。
【0019】
本実施形態では、法人専用支店ごとに、法人が選択した機能を利用するための利用画面が用意されている。利用画面は、ユーザが法人専用支店にログインするとユーザ端末30に表示される。
【0020】
図2は、ユーザ端末30に利用画面を表示させる際の画面遷移図である。図2では、総合ディスカウントストアである法人Aの法人専用支店に口座を開設したユーザが、法人Aに係る金融サービスを利用する場合を例に挙げて説明する。図2に示すように、例えば、法人AのポータルサイトG1などにおいて、法人Aの法人専用支店へのログイン画面G2のリンクLが含まれている。ユーザがリンクLを選択すると、法人Aの法人専用支店へのログイン画面G2に遷移する。
【0021】
ログイン画面G2は、全ての法人専用支店で共通のレイアウトであってもよいが、本実施形態では、法人ごとに特有のレイアウトとなっている。レイアウトとは、例えば、ウェブサイトの表示態様(見た目上の体裁)のことであり、ウェブサイトの背景・ヘッダ・フッタ、文字列の内容・配置、文字列のフォント・サイズ・色、画像の内容・配置、画像のサイズ、入力フォームの種類や位置などである。ログイン画面G2は、法人Aの法人専用支店にログインするための画面であることが分かるようになっており、例えば、法人専用支店の名称や法人Aのロゴが含まれていたり、法人Aの企業カラーでページが作成されていたりする。
【0022】
ユーザがログイン画面G2からユーザIDとパスワードを入力し、法人Aの法人専用支店にログインすると利用画面G3が表示される。ログイン画面G2と同様、利用画面G3は、全ての法人専用支店で共通のレイアウトであってもよいが、本実施形態では、法人ごとに特有のレイアウトとなっている。このため、利用画面G3は、法人Aの法人専用支店であることが分かるようになっている。
【0023】
図2に示すように、利用画面G3では、金融機関が有する複数の機能のうち、法人Aが選択した任意の機能を利用可能となっている。このため、利用画面G3には、法人Aが選択した各機能に対応する金融サービスの一覧が選択可能な状態で表示される。ユーザは、所望の金融サービスを選択することによって、法人A特有の金融サービスを利用することができる。図2の例では、法人Aは、普通預金、国内送金、海外送金、及びくじの販売といった機能を選択しているが、ローン機能については選択しておらず、法人Aの法人専用支店については、ローンに係る金融サービスは提供されないようになっている。
【0024】
なお、図2では、法人Aの法人専用支店の利用画面G3を説明したが、ユーザが他の法人の法人専用支店に口座を開設した場合には、当該他の法人に係る金融サービスを利用することができる。例えば、ユーザが法人Bの法人専用支店に口座を開設した場合、法人Bの法人専用支店にログインすると、ユーザ端末30には、法人Bが選択した機能に対応する金融サービスの一覧を示す利用画面G3が表示される。
【0025】
法人Bは、法人Aが選択した機能とは異なる機能を選択可能であり、例えば、法人Aが選択しなかったローン機能を選択することができる。この場合、法人Bの法人専用支店は、法人Aの法人専用支店では提供できない金融サービスを提供することができるようになる。一方、法人Bは、法人Aが選択した機能を選択しないこともでき、例えば、法人Aが選択した競技くじの販売機能を選択しないこともできる。この場合、法人Bの法人専用支店は、法人Aの法人専用支店が提供する金融サービスを提供しないことになる。
【0026】
以上のように、本実施形態の金融機関システムSでは、金融機関が有する複数の機能のうち、法人が選択した任意の機能を法人専用支店に設定し、金融サービスの独自性や自由度を高めることにより、法人とユーザの両者の利便性を高めるようになっている。以降、金融機関システムSの構成の詳細について説明する。
【0027】
[3.金融機関システムにおいて実現される機能]
図3は、金融機関システムSにおいて実現される機能を示す機能ブロック図である。図4に示すように、金融機関システムSでは、データ記憶部100、機能選択画面表示制御部101、制限部102、管理部103、設定部104、発行部105、ログイン処理実行部106、利用画面表示制御部107、及び提供部108が実現される。本実施形態では、金融機関システムSにおける主要な機能が金融機関サーバ10で実現される場合を説明する。
【0028】
[3−1.データ記憶部]
データ記憶部100は、記憶部12を主として実現される。データ記憶部100は、ユーザに金融サービスを提供するために必要なデータを記憶する。本実施形態では、データ記憶部100が記憶するデータの一例として、機能設定データとユーザデータを説明する。
【0029】
図4は、機能設定データのデータ格納例を示す図である。図4に示すように、機能設定データは、複数の機能のうち、各法人専用支店に設定された機能を示す。例えば、機能設定データには、法人専用支店を一意に識別する支店ID、法人名、支店名、及び選択状況情報等が関連付けられて格納される。選択状況情報は、複数の機能の中で法人が選択した任意の機能を示し、図4のデータ格納例では、機能ごとに、法人が選択したか否かを示す情報(機能のオン/オフを示す情報)が格納されている。
【0030】
なお、後述するように、本実施形態では、所定条件を満たす法人しか選択できない特定の機能(専用の機能)が含まれており、所定条件を満たさない場合は、法人が選択したか否かを示す情報が格納されないようになっている。図4では、「実店舗専用ローン」機能と「交通系専用サービス」機能の設定が許可されない法人については、特に情報が格納されない(図4では網点で示す)ようになっている。
【0031】
図5は、ユーザデータのデータ格納例を示す図である。図5に示すように、ユーザデータは、ユーザに関する各種情報を示す。例えば、ユーザデータには、ログインID、パスワード、口座の名義人、電話番号や住所などの個人情報、支店の支店ID、及び口座番号等が関連付けられて格納される。ログインIDは、ユーザごとに発行されてもよいが、本実施形態では、口座ごとに発行されるようになっている。このため、図5のデータ格納例の「ユーザZ」のように、同一ユーザであったとしても、複数の口座を開設した場合には、口座ごとに異なるログインIDが発行されるようになっている。
【0032】
なお、ユーザデータには、ユーザが口座を開設した支店が法人専用支店であるか後述する一般支店であるかを識別可能な情報が含まれていてもよい。また、ユーザデータには、ユーザの口座に関する他の情報が格納されていてもよく、例えば、口座残高や口座の利用状況(例えば、入出金の記録)が格納されていてもよい。例えば、法人専用支店に口座を有するユーザについては、当該法人専用支店に設定された各機能の利用状況が格納されていてもよい。当該利用状況としては、普通預金などの入出金の記録、国内送金・海外送金の送金記録、宝くじ・競技くじなどの購入記録・配当金の記録、ローンの利用状況などが格納されていてもよい。また例えば、法人専用支店に口座を有するユーザについては、ユーザに付与されたポイントやクーポンの履歴に関する情報が格納されていてもよい。
【0033】
また、データ記憶部100に記憶されるデータは、上記の例に限られない。例えば、データ記憶部100は、法人専用支店ごとに(法人ごとに)、利用画面G3の表示データを記憶してもよい。表示データは、ユーザ端末30に利用画面G3を表示させるためのデータであればよく、例えば、HTML形式のデータである。
【0034】
また例えば、データ記憶部100は、法人専用支店ごとに(法人ごとに)、法人に係る金融サービスを提供するためのプログラムを記憶してもよい。当該プログラムは、金融機関が有する複数の機能のうち、法人が選択した機能を利用するためのプログラムであり、法人特有の利益をユーザに提供するためのプログラムである。例えば、法人が普通預金などの預金機能を選択した場合には、預金残高を変化させるためのプログラムである。また例えば、法人が国内送金・海外送金などの送金機能を選択した場合には、送金処理を実行するためのプログラムである。また例えば、法人が宝くじ・競技くじなどのくじ販売機能を選択した場合には、くじの購入処理や配当金の振込処理を実行するためのプログラムである。また例えば、法人がローン機能を選択した場合には、ローン金利を決定する処理やローンの引き落とし処理を実行するためのプログラムである。また例えば、法人が自社のポイントやクーポンをユーザに付与する場合には、ポイントを増加させたりクーポンを付与したりするためのプログラムである。また例えば、ローン金利を優遇する場合には、優遇後のローン金利を決定するためのプログラムである。
【0035】
[3−2.機能選択画面表示制御部]
機能選択画面表示制御部101は、制御部11を主として実現される。機能選択画面表示制御部101は、法人又は金融機関の端末(例えば、設定端末20)に、複数の機能のうち、法人支店に設定する機能を選択するための機能選択画面を表示させる。本実施形態では、機能選択画面表示制御部101は、設定端末20の表示部25に機能選択画面を表示させる場合を説明するが、他のコンピュータに機能選択画面を表示させてもよい。
【0036】
図6は、機能選択画面の一例を示す図である。図6に示すように、機能選択画面G4には、法人専用支店に設定可能な機能の一覧が表示される。例えば、機能選択画面G4では、チェックボックスやラジオボタン等の入力フォームを利用して、法人専用支店に設定する機能を選択可能となっている。法人又は金融機関の担当者は、機能選択画面G4に表示された機能の中から、法人専用支店に設定する機能を選択する。
【0037】
なお、本実施形態では、所定条件を満たした法人しか選択できない特定の機能が含まれているため、機能の設定対象となる法人が当該所定条件を満たさない場合には、後述する制限部102の処理により、当該特定の機能については選択できないようになっている。図6の例では、機能の設定対象である「法人H」は、所定条件を満たしておらず、「実店舗専用ローン」の機能と「交通系専用サービス」の機能については、入力フォームが表示されず、選択することができないようになっている。
【0038】
また、機能選択画面G4は、図6の例に限られず、法人が選択した機能の利用条件などを指定できるようにしてもよい。例えば、ユーザに自社のポイントやクーポンを付与する場合には、ポイントやクーポンを付与する条件などを機能選択画面G4から指定できるようにしてもよい。また例えば、ローン金利を優遇する場合には、優遇後の金利やその条件などを機能選択画面G4から指定できるようにしてもよい。その他、法人専用支店から提供する金融サービスの名称(金融商品名)などを機能選択画面G4から指定できるようにしてもよい。
【0039】
[3−3.制限部]
制限部102は、制御部11を主として実現される。本実施形態では、金融機関が有する複数の機能には、所定条件を満たす法人に対して許可される特定の機能が含まれているので、制限部102は、所定条件を満たさない法人の法人専用支店に特定の機能が設定されることを制限する。
【0040】
所定条件とは、例えば、特定の機能の提供を許可するための条件であり、法人が所定の法人であるかといった条件である。例えば、法人の業種や実店舗の有無などといった条件が所定条件に相当し、所定の業種であるか否か、又は、実店舗を有するか否かといった条件が設定される。特定の機能は、例えば、特定のサービス内容に関わる機能であり、所定条件を満たす場合にのみ提供可能な機能である。例えば、実店舗がなければ提供することのできない実店舗専用のローン機能、交通系サービスのインフラを所有していなければ提供することのできない交通系専用サービス機能といったものが特定の機能に相当する。また例えば、所定条件としては、特定の法人に依頼に基づいた「法人A限定」といった条件であってもよい。
【0041】
所定条件と特定の機能との関係を示すデータは、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。制限部102は、機能の設定対象となる法人に関する法人情報を取得し、法人情報に基づいて所定条件が満たされるかを判定する。法人情報は、設定端末20から入力されてもよいし、法人情報が格納されたデータベースをデータ記憶部100に記憶させておき、当該データベースから取得されてもよい。法人情報には、例えば、所定条件の判定項目となる情報が含まれており、法人の業種や実店舗の有無などといった情報が含まれているものとする。
【0042】
例えば、制限部102は、所定条件を満たさない法人については、機能選択画面G4において、特定の機能を選択できないように制限する。例えば、制限部102は、特定の機能を選択するための入力フォーム自体を機能選択画面G4に表示させないようにしてもよいし、特定の機能を選択するための入力フォームを無効化する等してもよい。
【0043】
本実施形態では、金融機関では、法人専用支店と、法人専用ではない支店と、が設立される。法人専用ではない支店とは、例えば、法人特有の金融サービスをユーザに提供するための支店ではなく、特に法人からの要望をうけることなく、金融機関が設立した支店である。以降、法人専用ではない支店を一般支店という。
【0044】
例えば、制限部102は、金融機関において、同一ユーザに対し、複数の口座が開設されることを制限するようにしてもよい。本実施形態では、制限部102は、同一ユーザに対し、一般支店において、複数の口座が開設されることを制限する。例えば、制限部102は、所定の口座開設要求を受信した場合に、ユーザデータを参照し、口座の開設を要求したユーザが一般支店に口座を開設済みであるかを判定し、当該判定結果に基づいて、口座開設要求が示す口座の開設を許可するか否かを決定する。
【0045】
なお、口座開設要求は、金融機関に口座を開設するために金融機関サーバ10が受け付ける要求であり、所定形式の情報が送信されることで行われるようにすればよい。例えば、口座開設要求は、金融機関システムS内のコンピュータ(例えば、銀行の窓口に設置した端末)から送信される。口座開設要求には、口座を開設するために必要な情報が含まれており、例えば、ユーザの氏名・住所・電話番号などの個人情報、ユーザが開設を希望する口座の支店や種類(法人専用支店であるか一般支店であるか)といった情報が含まれているものとする。
【0046】
例えば、口座開設要求が一般口座の開設を要求するものであったとすると、制限部102は、口座の開設を要求したユーザが一般支店に口座を開設済みであると判定しない場合は、口座開設要求が示す口座の開設を許可し、口座の開設を要求したユーザが一般支店に口座を開設済みであると判定した場合は、口座開設要求が示す口座の開設を禁止する。口座の開設が許可された場合は、口座開設要求が示す口座が開設され、ユーザデータが更新されることになる。口座の開設が禁止された場合は、口座開設要求が示す口座が開設されず、ユーザデータは更新されない。
【0047】
ただし、本実施形態では、制限部102は、同一ユーザに対し、法人専用支店の口座と、一般支店の口座と、が開設されることは許可するものとする。即ち、制限部102は、同一ユーザに対し、法人専用支店の口座と、一般支店の口座と、が共存することは許可する。例えば、制限部102は、法人専用支店に口座を開設する旨の口座開設要求を受信した場合に、口座の開設を要求したユーザが一般支店に口座を開設済みであったとしても、当該口座開設要求に基づいて口座の開設を許可する。また例えば、制限部102は、一般支店に口座を開設する旨の口座開設要求を受信した場合に、口座の開設を要求したユーザが法人専用支店に口座を開設済みであったとしても、当該口座開設要求に基づいて口座の開設を許可する。
【0048】
また例えば、制限部102は、同一ユーザに対し、法人専用の同一支店に複数の口座が開設されることを制限し、互いに異なる法人専用支店に複数の口座が開設されることは許可する。即ち、制限部102は、ある法人Aの法人専用支店に、同一ユーザが複数の口座を開設することは制限するが、法人Aの法人専用支店と法人Bの法人専用支店とのそれぞれに、同一ユーザが口座を開設することは許可する。例えば、制限部102は、法人専用支店に口座を開設する旨の口座開設要求を受信した場合に、口座の開設を要求したユーザが同じ法人専用支店に口座を開設済みであると判定されない場合は、口座開設要求が示す口座の開設を許可し、口座の開設を要求したユーザが同じ法人専用支店に口座を開設済みであると判定した場合は、口座開設要求が示す口座の開設を禁止する。
【0049】
[3−4.管理部]
管理部103は、制御部11を主として実現される。管理部103は、同一ユーザに対して複数の口座が開設された場合は、当該複数の口座をグループ化して管理する。例えば、管理部103は、ユーザデータに対して名寄せをすることによって、複数の口座が同一ユーザのものであることを識別可能とする。また例えば、管理部103は、ログインIDとは別に、ユーザを一意に識別するユーザIDを発行し、同一ユーザの複数の口座に対してユーザIDを関連付けることによって、同一ユーザの複数の口座を管理してもよい。
【0050】
[3−5.設定部]
設定部104は、制御部11を主として実現される。設定部104は、金融機関において法人専用支店が設立された場合に、金融サービスに係る複数の機能のうち、法人により選択された任意の機能を当該法人専用支店に設定する。任意の機能とは、複数の機能のうち法人が選択した一部又は全部の機能である。例えば、設定部104は、設定端末20において所定の操作が行われた場合に、法人専用支店の設定処理を実行する。
【0051】
設定部104が実行する設定処理としては、法人が選択した機能を提供可能にするための処理であればよく、例えば、各法人が選択した機能に基づいて機能設定データを更新する処理であってもよいし、法人専用支店の利用画面G3の表示データを生成してデータ記憶部100に記憶させる処理であってもよいし、先述した法人に係る金融サービスを提供するためのプログラムをデータ記憶部100に記憶させる処理であってもよい。
【0052】
本実施形態では、金融機関において、複数の法人にそれぞれ対応する複数の支店が設立されるので、設定部104は、各法人が選択した任意の機能を法人専用支店に設定する。更に、設定部104は、各法人が選択した任意の機能を法人専用支店に設定し、他の法人専用支店に設定された機能とは異なる機能を設定可能である。例えば、設定部104は、法人Aの法人専用支店に設定された機能と、他の法人Bの法人専用支店に設定された機能と、を異ならせることが可能である。なお、設定部104は、各法人が選択した任意の機能を、当該法人の法人専用支店に設定すればよく、必ずしも、法人専用支店ごとに、設定する機能を異ならせなければならないわけではない。
【0053】
また、本実施形態では、機能選択画面G4において機能が選択されるので、設定部104は、機能選択画面G4において選択された機能を法人専用支店に設定する。例えば、設定部104は、機能選択画面G4に表示された複数の機能のうち、金融機関又は法人の担当者が選択しなかった機能は法人専用支店に設定せず、金融機関又は法人の担当者が選択した機能を法人専用支店に設定する。
【0054】
[3−6.発行部]
発行部105は、制御部11を主として実現される。発行部105は、同一ユーザに対して複数の口座が開設された場合は、口座ごとにログインIDを発行する。このため、本実施形態では、口座とログインIDは1対1の関係となる。同一ユーザが複数の口座を開設したとしても、1つのログインIDが当該複数の口座に紐づくのではなく、発行部105は、あくまで、口座1つにつき1つのログインIDを発行することになる。即ち、発行部105は、ユーザが口座を開設するたびに、新たなログインIDを発行する。ログインIDは、所定の採番ルールに基づいて発行し、他のログインIDと重複しないように発行すればよい。
【0055】
[3−7.ログイン処理実行部]
ログイン処理実行部106は、制御部11を主として実現される。ログイン処理実行部106は、複数の口座が開設されたユーザが入力したログインIDに基づいて、当該ログインIDに対応する口座に係るログイン処理を実行する。ログイン処理実行部106は、ユーザデータを参照し、ユーザが入力したログインIDに関連付けられたパスワードと、ユーザが入力したパスワードと、が一致するかを判定し、これらが一致する場合には、ユーザによるログインを許可する。ログインが許可されると、ユーザは、自身の口座を利用して、法人に係る金融サービスを利用可能な状態となる。
【0056】
[3−8.利用画面表示制御部]
利用画面表示制御部107は、制御部11を主として実現される。利用画面表示制御部107は、法人専用支店に設定された機能を利用するための利用画面G3を、支店に口座を有するユーザのユーザ端末30に表示させる。利用画面表示制御部107は、機能設定データに基づいて利用画面G3の表示データを生成してもよいが、本実施形態では、利用画面G3の表示データは、予めデータ記憶部100に記憶されているものとする。
【0057】
本実施形態では、法人専用支店ごとに利用画面G3のレイアウトが異なるので、利用画面表示制御部107は、ユーザ端末30から、ユーザが指定した法人専用支店を識別可能な情報を受信し、当該情報に基づいて、利用画面G3の表示データをユーザ端末30に送信する。例えば、法人専用支店ごとに利用画面G3の表示データがデータ記憶部100に記憶されている場合、利用画面表示制御部107は、ユーザが指定した法人専用支店に関連付けられた表示データをユーザ端末30に送信することによって、ユーザ端末30に利用画面G3を表示させる。なお、一般支店については、全支店で共通のレイアウトの利用画面であってもよい。
【0058】
例えば、利用画面表示制御部107は、ログイン処理実行部106の処理結果に基づいて、利用画面G3を表示させる。利用画面表示制御部107は、ログイン処理実行部106によりログイン処理が正常に行われた場合に、利用画面G3をユーザ端末30に表示させる。本実施形態では、複数の法人専用支店の何れかに対してユーザがログインするので、利用画面表示制御部107は、ユーザがログインした法人専用支店に対応する利用画面G3をユーザ端末30に表示させることになる。
【0059】
[3−9.提供部]
提供部108は、制御部11を主として実現される。提供部108は、利用画面G3におけるユーザの操作に基づいて、法人専用支店に設定された機能をユーザに提供するための処理を実行する。例えば、各法人が選択した機能ごとに、法人に係る金融サービスを提供するためのプログラムがデータ記憶部100に記憶されている場合には、提供部108は、当該プログラムを実行し、法人専用支店におけるユーザの口座の残高を変化させる。
【0060】
例えば、提供部108は、法人専用支店に口座を開設したユーザの当該口座の利用状況に基づいて処理を実行する。例えば、提供部108は、普通預金などの預金機能が設定された法人専用支店については、利用画面G3に対するユーザの指示に基づいて、ユーザの口座の残高を変化させる。また例えば、提供部108は、国内送金や海外送金といった送金機能が設定された法人専用支店については、利用画面G3に対するユーザの指示に基づいて、送金処理を実行する。また例えば、提供部108は、くじの購入機能が設定された法人専用支店については、利用画面G3に対するユーザの指示に基づいて、くじの購入処理を実行したり、配当金の振込処理を実行したりする。また例えば、提供部108は、ローン機能が設定された法人専用支店については、利用画面G3に対するユーザの指示に基づいて、ローン金利を決定する処理を実行したり、ローンの引き落とし処理を実行したりする。また例えば、ユーザから入力された情報に基づいて、ローンの審査がされたうえでローン金利が決定されてもよい。なお、ローンの審査とローン金利の決定は、金融機関の担当者によって行われてもよいし、金融機関システムSにおいて自動化されていてもよい。
【0061】
また例えば、所定条件を満たしたユーザに対してポイントやクーポンを付与する場合には、提供部108は、ユーザの利用状況に基づいて所定条件が満たされたかを判定し、所定条件が満たされた場合に、ポイントやクーポンを付与する処理を実行する。例えば、提供部108は、ユーザの預金残高・振込金額・振込回数が閾値を超えたかを判定し、閾値を超えた場合には、ポイントやクーポンを管理する外部システム(例えば、法人専用口座に対応する法人が管理するシステム)に対して、ユーザのポイントを増加させる指示を送信したり、ユーザにクーポンを付与する指示を送信したりするようにしてもよい。
【0062】
[4.金融機関システムにおいて実行される処理]
次に、金融機関システムSで実行される処理を説明する。ここでは、法人専用支店に機能を設定するための設定処理と、法人に係る金融サービスをユーザに提供するための提供処理と、を説明する。これらの処理は、各機能ブロックが実行する処理の一例である。
【0063】
[4−1.設定処理]
図7は、設定処理のフロー図である。設定処理は、制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作し、制御部21が、記憶部22に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。
【0064】
図7に示すように、まず、設定端末20においては、制御部21は、金融機関サーバ10に対し、法人専用支店に機能を設定するための機能設定要求を送信する(S101)。機能設定要求は、所定形式の情報が送信されることによって行われるようにすればよく、例えば、機能を設定する法人専用支店の支店IDが含まれるようにしてもよい。これにより、金融機関サーバ10は、機能の設定対象となる法人専用支店を特定可能となる。
【0065】
金融機関サーバ10においては、機能設定要求を受信すると、制御部11は、金融機関が有する複数の機能のうち、法人専用支店に対して設定可能な機能を特定する(S102)。S102においては、制御部11は、機能設定要求を参照し、機能の設定対象となる法人専用支店を特定する。そして、制御部11は、当該法人専用支店に対応する法人の法人情報に基づいて、所定条件を満たすか否かを判定する。制御部11は、判定処理の結果に基づいて、法人専用支店に対して設定可能な機能を特定する。
【0066】
制御部11は、S102において特定した機能に基づいて、設定端末20に対し、機能選択画面G4の表示データを送信する(S103)。S103においては、制御部11は、法人専用支店に対して設定可能な機能を選択するための機能選択画面G4の表示データを生成する。例えば、制御部11は、法人専用支店に対して設定可能な機能については、当該機能を選択するための入力フォームを有効にし、法人専用支店に対して設定できない機能については、当該機能を選択するための入力フォームを非表示又は無効にする。
【0067】
設定端末20においては、表示データを受信すると、制御部21は、機能選択画面G4を表示部25に表示させる(S104)。操作部24に対する操作は、法人自身が行ってもよいし、法人から依頼を受けた金融機関が行ってもよい。設定端末20を操作する金融機関又は法人の担当者は、操作部24を操作して任意の機能を選択することになる。
【0068】
制御部21は、金融機関サーバ10に対し、機能選択画面G4において選択された機能を識別する情報を送信する(S105)。S105においては、制御部21は、操作部24の検出信号に基づいて、機能選択画面G4から法人が選択した機能を特定する。制御部21は、選択された機能を識別する情報とともに、法人専用支店に当該機能を設定する旨の要求を送信することになる。
【0069】
金融機関サーバ10においては、法人専用支店に設定する機能を識別する情報を受信すると、制御部11は、機能設定テーブルを更新し(S106)、本処理は終了する。S106においては、制御部11は、受信した機能設定要求に含まれる支店IDに対応するレコードの機能選択情報を更新することになる。なお、機能設定テーブルが更新された後に、金融機関サーバ10には、法人が選択した機能を利用するための利用画面の表示データやプログラムが生成されて記憶部12に記録される。
【0070】
[4−2.提供処理]
図8は、提供処理のフロー図である。提供処理は、制御部11が、記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作し、制御部31が、記憶部32に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。なお、提供処理が実行されるにあたり、ユーザは法人専用支店に口座を開設済みであり、ログインIDが発行されているものとする。
【0071】
図8に示すように、ユーザ端末30においては、制御部31は、ユーザの操作に基づいて、ログイン画面G2の表示要求を送信する(S201)。ログイン画面G2の表示要求は、ユーザが所定操作をした場合に送信されるようにすればよく、例えば、ポータルサイトG1のリンクLが選択されることであってもよいし、ユーザがブラウザにブックマークしたログイン画面G2のURLが選択されることであってもよいし、金融機関のウェブサイトから所定のリンクが選択されることであってもよい。なお、ログイン画面G2の表示要求には、法人専用支店の支店IDが含まれるようにしてもよい。これにより、金融機関サーバ10は、どのログイン画面G2を表示させればよいかを特定可能となる。
【0072】
金融機関サーバ10においては、ログイン画面G2の表示要求を受信すると、制御部11は、ユーザ端末30に対し、ログイン画面G2の表示データを送信する(S202)。本実施形態では、複数の法人専用支店にそれぞれ対応する複数のログイン画面G2が用意されているので、制御部11は、これら複数のログイン画面G2のうち、表示要求の対象となる法人専用支店のログイン画面G2の表示データを送信することになる。
【0073】
ユーザ端末30においては、表示データを受信すると、制御部31は、ログイン画面G2を表示部35に表示させる(S203)。制御部31は、金融機関サーバ10に対し、ユーザが入力したログインIDとパスワードを送信する(S204)。
【0074】
金融機関サーバ10においては、ログインIDとパスワードを受信すると、制御部11は、ログイン処理を実行する(S205)。S205においては、制御部11は、ユーザデータを参照し、ユーザが入力したログインIDとパスワードの組み合わせが正しいかを判定する。組み合わせが正しい場合はログイン処理が成功となり、組み合わせが正しくない場合はログイン処理が失敗となる。
【0075】
ログイン処理が失敗した場合(S205;失敗)、所定のエラーメッセージがユーザ端末30に送信され、本処理は終了する。一方、ログイン処理が成功した場合(S205;成功)、制御部11は、ユーザ端末30に対し、利用画面G3の表示データを送信する(S206)。本実施形態では、複数の法人専用支店にそれぞれ対応する複数の利用画面G3が用意されているので、制御部11は、これら複数の利用画面G3のうち、表示要求の対象となる法人専用支店の利用画面G3の表示データを送信することになる。
【0076】
ユーザ端末30においては、表示データを受信すると、制御部31は、利用画面G3を表示部35に表示させる(S207)。以降、ユーザは、操作部24を操作して、法人に係る任意の金融サービスを選択することになる。制御部31は、金融機関サーバ10に対し、ユーザが選択した金融サービスを識別する情報を送信する(S208)。S208においては、制御部21は、操作部24の検出信号に基づいて、利用画面G3から法人が選択した金融サービスを特定する。制御部21は、選択された金融サービスを識別する情報とともに、当該金融サービスに係る処理の実行要求を送信することになる。
【0077】
金融機関サーバ10においては、情報を受信すると、制御部11は、ユーザが選択した金融サービスに係る処理を実行し(S209)、本処理は終了する。S209においては、例えば、制御部11は、預金残高を変化させる処理を実行したり、送金処理を実行したりする。また例えば、制御部11は、くじの購入処理を実行したり、ローン金利の決定処理やローンに係る引き落としの設定処理を実行したりする。また例えば、預金残高・送金額・送金回数が閾値を超えたユーザに対し、法人に係るポイントやクーポンを付与する処理を実行する。また例えば、制御部11は、法人専用支店に開設した口座を利用して宝くじを購入したユーザに対し、法人に係るポイントやクーポンを付与する処理を実行する。
【0078】
以上説明した金融機関システムSによれば、法人が選択した任意の機能が法人専用口座に設定され、法人に応じた金融サービスをユーザに提供することができるので、法人とユーザの両者の利便性を高めることができる。また例えば、ある法人にとっては必要のない機能を選択しないようにすることもでき、当該機能については対応するプログラムや利用画面G3を登録する必要がないので、システムのリソースを有効活用することもできる。また例えば、法人からしてみれば、金融業務に関するノウハウやATMなどの専用端末を有していなかったとしても、法人専用支店の金融サービスにより、他社との差別化を図ることができ、自社サービスの囲い込みをすることができる。また例えば、金融機関からしてみれば、法人の実店舗やウェブサイトを訪れるユーザが口座を開設することにより、ユーザの囲い込みをすることもできる。また例えば、金融機関がネットバンクであり法人が地方銀行である場合には、地方銀行がネットバンクの強みを気軽に利用することもできる。更に、金融機関と法人との間で、法人専用支店に係る取引手数料を分け合う場合には、金融機関と法人の両方にとってメリットを生じさせることもできる。
【0079】
また、各法人が選択した任意の機能を法人専用支店に設定し、他の法人専用支店に設定された機能とは異なる機能が設定されることで、法人専用支店ごとに、金融サービスの独自性や自由度を効果的に高めることができ、法人とユーザの両者の利便性をより効果的に高めることができる。
【0080】
また、法人専用支店に機能を設定するための機能選択画面G4が設定端末20に表示されるので、法人専用支店に機能を設定する作業を効率化することができる。
【0081】
また、所定条件を満たす法人に対して許可される特定の機能が存在するので、特殊な金融サービスをユーザに提供することができる。また、特殊業務を提供できない法人の法人支店口座に特定の機能が設定されてしまうことを防止することもできる。
【0082】
また、同一ユーザに対して、法人専用支店と一般支店とのそれぞれに口座が共存することを許可することで、より多くのユーザに法人専用支店を利用させることができる。
【0083】
また、同一ユーザに対して、複数の法人専用支店の各々に対して口座が共存することを許可することで、より多くのユーザに法人専用支店を利用させることができる。
【0084】
また、同一ユーザが複数の口座を開設した場合に、口座ごとにログインIDを発行することで、口座の管理を容易にすることができる。また、複数の口座に1つのログインIDが紐づくのではなく、口座とログインIDとが1対1の関係にあるので、セキュリティ性を高めることもできる。
【0085】
また、同一ユーザに対して複数の口座が開設された場合に、当該複数の口座をグループ化して管理することで、口座の管理を容易にすることができる。また、同一ユーザが開設した複数の口座をまとめて管理することで、預金保険制度に容易に対応することもできる。
【0086】
[5.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0087】
図9は、変形例の機能ブロック図である。図9に示すように、以降説明する変形例では、実施形態で説明した機能の他に、選択状況情報通知部109と利用状況情報通知部110が実現される。選択状況情報通知部109と利用状況情報通知部110は、それぞれ金融機関サーバ10の制御部11を主として実現される。
【0088】
(1)例えば、機能選択画面G4で法人専用支店に設定する機能が選択される前に、他の法人がどの機能を選択したかを示す情報が提示され、法人が当該情報を確認したうえで、自身の法人専用支店に設定する機能を選択できるようにしてもよい。
【0089】
変形例(1)の金融機関システムSは、選択状況情報通知部109を含む。選択状況情報通知部109は、各法人に対し、他の法人による各機能の選択状況に関する選択状況情報を通知する。選択状況情報は、文字又は画像で表示されるようにすればよく、例えば、どの法人がどの機能を選択しているかを示す情報である。例えば、選択状況情報通知部109は、機能設定データに基づいて選択状況情報を通知する。
【0090】
図10は、選択状況情報が通知される様子を示す図である。図10に示すように、設定端末20又は法人が管理するコンピュータに、選択状況情報を含む選択状況画面G5が表示される。選択状況画面G5には、全ての法人の選択状況情報が表示されてもよいし、一部の法人の選択状況情報が表示されてもよい。一部の法人の選択状況情報が表示される場合には、同業種の法人の選択状況情報が表示されてもよいし、ランダムに選択された法人の選択状況情報が表示されてもよい。
【0091】
例えば、選択状況画面G5には、機能ごとに、選択した法人の数又は割合が選択状況情報として示される。また例えば、選択状況画面G5には、法人の業種ごとに、選択状況情報が表示されてもよい。また例えば、選択状況画面G5には、機能の設定対象となる法人と類似する法人の選択状況情報が表示されてもよい。類似とは、業種が同じこと、資本金・売上高・利益の差が閾値未満であること、店舗や営業所の立地が近いことなどを意味する。類似法人であるか否かは、法人同士の法人情報を比較することで判定されるようにすればよい。
【0092】
設定部104は、選択状況情報が通知された後に、各法人が選択した任意の機能を当該法人専用の支店に設定することになる。例えば、選択状況情報が表示され後に、設定端末20は、機能を選択するための操作を受け付ける。
【0093】
変形例(1)によれば、法人が自身の法人専用支店に必要な機能を選択しやすくなる。
【0094】
(2)また例えば、機能選択画面G4で法人専用支店に設定する機能が選択される前に、ユーザによる各機能の利用状況を示す情報が提示され、法人が当該情報を確認したうえで、自身の法人専用支店に設定する機能を選択できるようにしてもよい。
【0095】
変形例(2)の金融機関システムSは、利用状況情報通知部110を含む。利用状況情報通知部110は、各法人に対し、ユーザによる各機能の利用状況に関する利用状況情報を通知する。利用状況情報は、文字又は画像で表示されるようにすればよく、ユーザがどの機能をどの程度利用しているかを示す情報である。例えば、利用状況情報通知部110は、ユーザデータに基づいて利用状況情報を通知する。なお、本変形例では、利用状況情報が機能選択画面G4で表示される場合を説明するが、他の画面で表示されてもよい。
【0096】
図11は、利用状況情報が通知される様子を示す図である。図11に示すように、設定端末20又は法人が管理するコンピュータに、利用状況情報を含む機能選択画面G4
が表示される。ここでは、利用状況情報通知部110は、ユーザの利用状況に応じて各機能に点数を付与する。点数は、ユーザが利用した件数や金額が多いほど高くなるものとする。利用状況情報通知部110は、機能選択画面G4で選択された機能に対応する点数の合計値が閾値以上であるかを示す情報を利用状況情報として表示させる。
【0097】
なお、全ての法人に係る利用状況情報が表示されてもよいし、一部の法人に係る利用状況情報が表示されてもよい。即ち、全ての法人専用支店における利用状況を考慮して点数が決定されてもよいし、一部の法人専用支店における利用状況を考慮して点数が決定されてもよい。一部の法人の利用状況情報が表示される場合には、同業種の法人の利用状況情報が表示されてもよいし、ランダムに選択された法人の利用状況情報が表示されてもよい。また、選択状況情報としては、点数の表示に限られず、例えば、機能ごとに、ユーザが利用した件数や金額が示されてもよい。また例えば、選択状況情報としては、ユーザの属性(年齢・性別・住所・職業など)ごとに、利用した件数や金額が示されてもよい。
【0098】
設定部104は、利用状況情報が通知された後に、各法人が選択した機能を当該法人専用の支店に設定することになる。例えば、利用状況情報が表示され後に、設定端末20は、機能を選択するための操作を受け付ける。
【0099】
変形例(2)によれば、法人が自身の法人専用支店に必要な機能を選択しやすくなる。
【0100】
(3)また例えば、上記説明した変形例の2つ以上を組み合わせてもよい。
【0101】
また例えば、各法人が選択する機能としては、金融機関が有する機能であればよく、実施形態で説明した機能以外にも、定期預金などの各種預金であってもよいし、デビットカード又はクレジットカードに関する機能であってもよい。
【0102】
また例えば、金融機関システムSに含まれるコンピュータは、図1の例に限られず、金融機関システムSは、それぞれ複数台のサーバコンピュータが含まれていてもよい。また例えば、上記説明した機能のうち、設定部104、利用画面表示制御部107、及び提供部108以外の機能は省略し、他の機能は外部のシステムで実現されてもよい。
【0103】
なお、本実施形態では、各機能が金融機関サーバ10によって実現される場合を説明するが、金融機関システムSに含まれる他のコンピュータによって実現されてもよい。例えば、データ記憶部100は、金融機関サーバ10とは異なるデータベースサーバにより実現されてもよい。また例えば、金融機関システムS内の複数のコンピュータによって、各機能が分担されてもよい。この場合、各コンピュータ間で、処理の実行結果が送受信されることにより、各機能が分担されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0104】
S 金融機関システム、10 金融機関サーバ、20 設定端末、30 ユーザ端末、11,21,31 制御部、12,22,32 記憶部、13,23,33 通信部、24,34 操作部、25,35 表示部、G1 ポータルサイト、G2 ログイン画面、G3 利用画面、G4 機能選択画面、G5 選択状況画面、100 データ記憶部、101 機能選択画面表示制御部、102 制限部、103 管理部、104 設定部、105 発行部、106 ログイン処理実行部、107 利用画面表示制御部、108 提供部、109 選択状況情報通知部、110 利用状況情報通知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11