(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
包装機メーカーは、一度に大量の製品の包装に対応するための包装機を開発してきた。その一例として包装機に包装袋を供給するために多数枚の包装袋をストックすることができる包装機の給袋装置が開発されている(特許文献1を参照)。しかし、特許文献1のような包装機の給袋装置でも大量の連続包装を行う場合には、包装袋を詰め込んだ袋供給カセットを絶えず新しいものと交換しなければならず、特許文献1の包装機の給袋装置は大量の連続包装には向かないという課題がある。
【0003】
さらに、従来の一般的な包装袋の流通は、包材ディーラー(加工業者)で製造された包装袋が段ボール箱内に収納されてユーザ(製品包装するメーカー)に引き渡され、そのユーザ内で、従業員によって段ボール箱から包装袋を前記の包装機の給袋装置に移し替えなければならなかった。しかも、このような段ボール箱を流通に使用するデメリットとして包装の自動化に不向きであることや、段ボール箱を産業廃棄物として処理しなければならない点、袋束を結束する結束材料を必要とする点、その他、段ボール箱を使用することによる紙粉塵の発生や衛生上の問題、再利用に不向きで、長期保存性に劣る等の課題があった。
【0004】
前記のような問題点を解決するために、大量包装システムが開発されている。
図22は特許文献2の袋自動取出供給システムを現した模式図である。この袋自動取出供給システムは、製袋工場で製袋された袋を所定枚数ずつ袋搬送マガジン3に収納し、該袋搬送マガジン3を所定個数ずつパレット積みして充填工場に搬送し、充填工場ではパレットからデパレタイジングされた袋搬送マガジン3を主搬送コンベヤ2で複数の充填ライン(
図22では3レーン)のマガジン搬送コンベヤ2Aに供給する。
【0005】
各マガジン搬送コンベヤ2Aの先端部には、特許文献2に係る袋自動取出供給装置4が配置され、該袋自動取出供給装置4により、先端部に到達した袋搬送マガジン3から袋を1袋ずつ取出して、充填包装機5への袋供給コンベヤ6によって搬送されるトレー7に供給して、該トレー7を袋供給コンベヤ6で充填包装機5の供給位置まで搬送して充填包装機5に供給する。袋供給コンベヤ6は、充填包装機5と袋自動取出供給装置4との間を循環するように構成され、空になったトレー7は再び袋自動取出供給装置4からの取出位置に搬送されるようになっている。
【0006】
なお、前記特許文献2の袋自動取出供給システムの袋搬送マガジン3は、
図23に示すように、縦壁3A、横壁3B及び底壁3Cからなる上部が開口した矩形状の箱型に形成され、縦壁3A及びそれに続く底壁3Cにカム部材及びプッシャーが侵入できる侵入穴3Dが形成され、かつ横壁3B端に袋通過穴3Eが形成されている。
【0007】
前記特許文献2は、大量の包装袋を充填包装機に連続的に供給できるシステムであり、この袋自動取出供給システムは包装の自動化が可能となる。しかも、前記特許文献2は、段ボールの代わりに袋搬送マガジン3を用いているので、産業廃棄物を排出しないというメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1の包装袋用コンテナの平面図、正面断面図、側面断面図
【
図2】実施例1の包装袋用コンテナの袋束を充填する状態を示す正面断面図、側面断面図
【
図3】実施例1の包装袋用コンテナを二段に段積した状態を示す正面断面図、側面断面図
【
図4】実施例2の包装袋用コンテナの平面図、正面断面図、側面断面図
【
図5】実施例2の包装袋用コンテナの袋束を充填する状態を示す正面断面図、側面断面図
【
図6】実施例2の包装袋用コンテナを二段に段積した状態を示す正面断面図、側面断面図
【
図7】実施例2の包装袋用コンテナの中仕切の斜視図
【
図9】実施例3の包装袋用コンテナの平面図、正面断面図、側面断面図
【
図10】実施例3の包装袋用コンテナの袋束を充填する状態を示す正面断面図、側面断面図
【
図11】実施例3の包装袋用コンテナを二段に段積した状態を示す正面断面図、側面断面図
【
図12】実施例3の包装袋用コンテナの中仕切の斜視図
【
図14】実施例4の包装袋用コンテナの中仕切の斜視図
【
図16】実施例5の包装袋用コンテナの平面図、正面断面図、側面断面図
【
図17】実施例5の包装袋用コンテナの袋束を充填する状態を示す正面断面図
【
図18】実施例5の包装袋用コンテナの袋束を充填する状態を示す側面断面図
【
図19】実施例5の包装袋用コンテナを二段に段積した状態を示す側面断面図
【
図23】従来の袋自動取出供給システムの袋搬送マガジンの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
次に、大量包装システムに用いられる包装袋用コンテナについて図面を用いて説明する。
図1の(A)は、包装袋の袋束を収納した包装袋用コンテナの平面図、
図1の(B)は同コンテナの正面断面図、
図1の(C)は同コンテナの側面断面図、
図2の(D)は袋束を充填する状態を示す正面断面図、
図2の(E)は袋束を充填する状態を示す側面断面図である。包装袋用コンテナ1は、通常、合成樹脂でできており、コンテナ本体1aと、このコンテナ本体1a内に、袋束bを起立して収納する仕切体1b2とから構成されている。前記コンテナ本体1aは、上部が開口した箱体であって、底板1a1の外周部に4枚の周壁1a2が立設し、中央の長手方向に仕切壁1a3が立設して2室に仕切られている。周壁1a2と仕切壁1a3に囲まれた直方体の空間が袋束bの収納部となっている。なお、直方体の空間は長手方向に2室配置しているが、1室であってもよく、また、3室以上であってもよい。
【0015】
前記包装袋用コンテナ1を段積した際、前記周壁1a2の上部開口は、上段のコンテナ本体1aの嵌合底部1a4が嵌り込むよう形成されている。周壁1a2の上部の外周には、補強部1a5が形成されている。この補強部1a5の構成は、周壁1a2の開口の横方向に二重の鍔1a6が周設し、この二重の鍔1a6の間に補強用のリブ1a7が所定間隔で縦方向に形成されている。この補強部1a5は、段積しても包装袋用コンテナ1の上部が破損しないようにするためのものである。
【0016】
前記のようにコンテナ本体1aの底部は、段積した下段のコンテナ本体1aの上部開口に嵌り込む嵌合底部1a4が形成されると共に、底板1a1の外周に一重の鍔1a8が周設し、三角形のリブ1a9で補強されている。前記嵌合底部1a4は、底板1a1の底面外周部にリブ状の凸縁が下方に周設されたものである。なお、底板1a1裏面に、底板1a1を補強する補強用の前後、左右方向のリブ1a10が直角にクロスして形成されている。前記嵌合底部1a4はコンテナ本体1aの上部開口より一回り小さく、コンテナ本体1aの上部開口に嵌り込むが、鍔1a8によって上部開口端に係止して深く嵌まり込まないように止めている。
【0017】
前記底板1a1上に、袋束bを起立して保持する複数の仕切体1b2が前後方向に二列並行に立設している。この実施例の仕切体1b2は直方形で先端部が楔状に形成された棒体であって、底板1a1上に二列に複数本(図では9本)、間隔を開けて立設している。前記仕切体1b2の間には、袋束bを取り出す際に、例えば、ロボットアームのような取出装置のフィンガー部が干渉しないように空間部sが設けられている。なお、仕切体1b2は底板1b1に対して垂直に立設しているが、後述する実施例3の仕切体のように傾斜させてもよい。なお、仕切体1b2は、二列である必要はなく、一列であってもよい、本数は問わない。また、仕切体1b2は空間部sが設けられれは板状のものであってもよい。 この点は以下に述べる実施例でも同様である。
【0018】
なお、前記コンテナ本体1aの上部開口は、
図3に示すような蓋体1cで、閉蓋されており、コンテナ本体1a内にホコリが入って、袋束bが汚染しないようにしている。蓋体1cは、天板1c1の周縁に嵌合部1c2が垂下し、コンテナ本体1aの上部に外嵌できるように形成されている。なお、嵌合部1c2には、補強用のリブ1c3が縦方向に形成されている。蓋体1cをコンテナ本体1aから取り外す際は、図示しないロボットアームの吸盤が天板1c1を吸着して取り外す。
【0019】
図3は包装袋用コンテナ1を二段に段積した状態を示している。包装作業を実施する際は、袋束bを充填した包装袋用コンテナ1を段積して後述するコンテナ搬入・搬出装置12のベルトコンベア上に載置する。包装袋用コンテナ1を複数段、段積することにより、コンテナ搬入・搬出装置12の全体の面積を小さくできると共に、袋束bを大量に蓄積することが可能となる。なお、
図3は包装袋用コンテナ1を二段段積しているが、二段に限定されるものではなく、一段であってもよいし、三段以上であってもよい。
【0020】
包装袋用コンテナ1の周壁1a2には、トレサビリティ用の個体情報タグ8が埋め込まれている。この個体情報タグ8は、一例としてICチップをあげることができる。このICチップは、包装袋用コンテナ1の周壁1a2に埋め込むか取り付けられるよう構成されており、包装袋用コンテナ1内の袋束bの情報を格納している。即ち、このICチップの個体識別タグ8には、包装袋用コンテナ1の識別番号、袋束bの製造者、製造年月日、袋の種類(平袋、ガセット袋、スタンドパック等)、サイズ、材質、枚数、搬送経路、等の情報が格納されている。なお、この個体情報タグ8はICチップに限定されず、その他、ICタグやバーコード等であってもよい。なお、この個体情報タグ2の使用状態は後述する。
【0021】
(実施例2)
次に、実施例2の大量包装システムに用いられる包装袋用コンテナについて説明する。
図4の(A)は包装袋の袋束が収納された包装袋用コンテナの平面図、
図4の(B)は同コンテナの正面断面図、
図4の(C)は同コンテナの側面断面図である。
図5の(D)は、袋束を充填する状態を示す正面断面図、
図5の(E)は同側面断面図である。
図7は中仕切の一例の斜視図、
図8はコンテナ本体に中仕切を嵌め込んだ包装袋用コンテナの一例の全体斜視図である。これらの図を使って実施例2を説明する。
【0022】
この実施例2は、前記の実施例1とは仕切体1b2が相違するが、コンテナ本体1aは略同じである。従って、実施例2のコンテナ本体1aについては相違する点を除き図面の符号を同じくして詳細な説明を省略する。そこで、先ず中仕切2bについて説明する。
【0023】
前記中仕切2bは、前記実施例1の仕切体1b2とは次のような点で異なっている。実施例1の直方形の仕切体1b2は、底板1a1と一体であったが、実施例2の中仕切2bはコンテナ本体1aから取り外すことができる。このため、包装袋用コンテナ1の清掃作業が容易にできるメリットがある。中仕切2bは長方形状の基板2b1上に、袋束bを起立させる複数の仕切体2b2が、基板2b1と一体に、長手方向に二列並行に立設している。
基板2b1はコンテナ本体1a内に対応する長方形の板であるが、両端に底板1a1を位置決めするための凹部2b3が形成され、コンテナ本体1aには前記凹部2b3が嵌まり込む凸部1a11が形成されている。
【0024】
図7に示すように、この実施例2の仕切体2b2は、直方形状の棒体の先端部が楔状に形成され、基板2b1上に二列に複数本(図では9本)中央に空間部sを設けて立設している。前記仕切体2b2間の空間部sは、袋束bを取り出す際に、例えばロボットアームのフィンガー部が干渉しないようにスペースを設けている。
図5に示すように、前記中仕切2bをコンテナ本体1a内の収納部内に嵌め込んで、作業者やロボットが仕切体2b2間に袋束bを縦方向に充填する。なお、仕切体2b2は、底板1a1と一体とせず、基板2b1から取り外せるように、仕切体2b2の下部が基板2b1に嵌め込めるようにしてもよい。
【0025】
図6は二段の包装袋用コンテナ1を段積した状態を示している。このように袋束bを収納した包装袋用コンテナ1を段積して後述するコンテナ搬入・搬出装置12上に載置する。このように段積することにより、コンテナ搬入・搬出装置の全体の面積を小さくして袋束bを大量に蓄積することが可能となる。この実施例2の包装袋用コンテナ1の周壁1a2にも、トレサビリティ用の個体情報タグ8が埋め込まれている点は前記実施例1と同じである。
【0026】
(実施例3)
図9の(A)は、実施例3の大量包装システムに用いられる包装袋用コンテナの平面図、
図9の(B)は、同コンテナの正面断面図、
図9(C)は同コンテナの側面断面図である。
図10(D)は袋束を充填する状態を示す正面断面図、
図10の(E)は袋束を充填する状態を示す側面断面図である。
図12は中仕切の一例の斜視図、
図13は包装用コンテナの一例の全体斜視図である。この実施例3も、コンテナ本体1aは前記実施例1及び2と同じであるが、中仕切3bが実施例1及び2と相違する。従って、この実施例3もコンテナ本体1aについては図面の符号を同じくして詳細な説明を省略し、中仕切3bについて説明する。
【0027】
この実施例3の中仕切3bは、長方形状の基板3b1上に、袋束bを起立する複数の仕切体3b2が基板3b1の長手方向に二列並行に立設している。3b3は、基板3b1の両端に形成された凹部である。この実施例3の仕切体3b2は、前記実施例2と異なり板状の直方体であって、先端部が楔状に形成され、側部が基板3b1からはみ出して、二列に複数枚(図では9枚)、中央に空間部sを設けて立設している。この空間部sも、袋束bを取り出すロボットアームのフィンガー部が干渉しないように設けている。さらに、前記実施例2と異なるこの仕切体3b2の特徴は、基板3b1の長手方向に傾斜している点である。この仕切体3b2により袋束bが傾斜して起立するため、ロボットアームのフィンガー部が袋束bの上部を把持しやすくなる。
【0028】
図10に示すように、前記中仕切3bがコンテナ本体1a内の収納部内に嵌め込まれ、中仕切3b間に袋束bを縦方向に充填し、包装袋用コンテナ1内に収納している。
図11は2段の包装袋用コンテナ1を段積した状態を示している。この実施例3も包装袋用コンテナ1を段積することができ、後述するコンテナ搬入・搬出装置12上に載置する。なお、この実施例3も、包装袋用コンテナ1の周壁1a2に、トレサビリティ用の個体情報タグ8が埋め込まれている点は前記実施例1、2と同じである。
【0029】
(実施例4)
図14は、実施例4の大量包装システムに用いられる包装袋用コンテナの中仕切の一例を示す斜視図、
図15は中仕切をコンテナ本体に嵌め込んだ包装袋用コンテナを示す全体斜視図である。この実施例4も中仕切4bの構成が相違するが、コンテナ本体の構成は前記実施例1と同じであるので図面の符号を同じくして詳細な説明は省略する。この実施例4の中仕切4bは、基板4b1と仕切体4b2とで構成されており、仕切体4b2は長方形状の2枚の板体に縦方向にスリット4b4が等間隔に形成されて仕切体4b2となしている。なお、この仕切体4b2は、上端の角部が削られてテーパ状に形成され、仕切体4b2間のスリット4b4に袋束bが充填される。
【0030】
前記仕切体4b2は、立設する板状の基板4b1に嵌め込まれている。即ち、基板4b1に縦方向に前記仕切体4b2を嵌め込む嵌合凹部4b5が形成され、この嵌合凹部4b5に仕切体4b2の端部が縦方向に嵌め込まれている。基板4b1の両端には、支持片4b6が立設し、仕切体4b2を支えている。このような構成の中仕切4bをコンテナ本体1a内に嵌め込んでいる。なお、仕切体4b2は垂直に立設しているが、実施例3のように斜めに傾斜するようスリット4b4が形成されたものであってもよい。なお、この包装袋用コンテナ1の周壁1a2にも、トレサビリティ用の個体情報タグ8が設けられている点は前記実施例1、2、3と同じである。
【0031】
(実施例5)
図16の(A)は、実施例5の大量包装システムに用いられる包装袋用コンテナの平面図、
図16の(B)は、同コンテナの正面断面図、
図16(C)は同コンテナの側面断面図である。
図17は袋束を充填する状態を示す正面断面図、
図18は袋束を充填する状態を示す側面断面図である。この実施例5は、中仕切は前記の実施例3と同じ中仕切3bを用いているが、コンテナ本体が相違する。コンテナ本体5aは深さが2倍あり、中仕切3bが上段にも架設できるように構成されている。前記コンテナ本体5aの周壁5bの内部中央あたりに係止突起5cが形成され、上段の中仕切3bはこの係止突起5cに係止されて架設されている。下段の中仕切3bは、コンテナ本体5aの底部に嵌め込まれている。
【0032】
なお、実施例5の中仕切は実施例3の中仕切3bを用いたが、実施例2の中仕切2bであってもよく、実施例4の中仕切4bであってもよい。なお、この実施例5も、コンテナ本体5aの周壁5bの外測に、トレサビリティ用の個体情報タグ8が埋め込まれている点は前記実施例と同じである。
【0033】
次に、前記実施例1〜5に共通する包装袋用コンテナ1への袋束bの充填について説明する。一般的に包装袋のメーカーでは、原反ロールから包装袋を製造して包材ディーラー(加工業者)にまわす。包材ディーラーでは、包装袋を加工して結束材料で結束して袋束bにして段ボールに詰めて搬出する。しかし、本発明では、包装袋を結束材料で結束することなく、包装袋用コンテナ1に直接充填して包装袋用コンテナ1を搬出する。
【0034】
包装袋用コンテナ1は、袋束(包装袋)bを規制しないでラフな状態で充填する構造のものと、袋束(包装袋)bを規制して充填する構造のものがある。袋束bを規制しない構造とは、包装袋を揃えずにラフな状態でコンテナ本体1a,5aに充填する構造をいい、袋束bを規制して充填する構造とは包装袋の充填によって包装袋が揃えられる構造をいう。前者のコンテナ本体1a,5aに規制しないルーズな状態で包装袋を充填する構成では、コンテナ本体1a,5aが大き目に形成されており、仕切体1b2、中仕切2b、3b、4bで囲まれた収納空間が広くなっている。後者の袋束bを規制して充填する構造とは、コンテナ本体1a,5a及び仕切体1b2、中仕切2b、3b、4bを包装袋の寸法に合わせた構造になっている。
【0035】
前者の袋束bを規制しないで充填する構造の包装袋用コンテナ1では、この包装袋用コンテナ1から、揃っていない袋束bを取り出した後に、袋束bの高さや横幅がズレないように、包装袋整列装置(図示せず)で揃えて、袋箱やコンベア式の包装袋供給装置に受け渡す。包装袋の表裏が異なる場合も同様に包装袋整列装置で揃えて袋箱や包装袋供給装置に受け渡す。
【0036】
後者の袋束bを規制する構造の包装袋用コンテナ1では、コンテナ本体1a,5aの内部に一対の仕切体1b2、中仕切2b、3b、4bが適当な間隔を開けて前後方向に立設し、周壁1a2,5bと仕切壁1a3及び前後一対の仕切体1b2、中仕切2b、3b、4bに袋束bが規制されて収納されるので、包装袋用コンテナ1へ包装袋を充填した時点で、綺麗に揃えられて包束bとなる。
【0037】
なお、後者のように袋束bを規制する構造により、包装袋の製造時及び包装袋用コンテナ1内への充填時に発生する静電気を逃がすことができる。前記のように、包装袋用コンテナ1の材料は、通常、合成樹脂であるが、この合成樹脂に伝導性材料を使用したり、導電物質を練り込んだりすることにより、静電気の発生をよりいっそう防止することができる。このようにして包装袋用コンテナ1に袋束bを充填して流通経路に乗せて、ユーザである食品メーカー等に配送する。
【0038】
次に、前記の包装袋用コンテナ1の使用状態について、
図20を用いて説明する。
図20は大量包装システムの一例を示した平面図である。包装袋用コンテナ1は、もちろんこのような構成の大量包装システム用だけに限定されるものではない。この
図20の大量包装システム10は、作業スペース内に充填包装機11を配置したシステムを示している。大量包装システム10は、例えは、食品や食品の原材料等を包装するシステムであって、作業スペース内に、コンテナ搬入・搬出装置12と、袋束受け渡し装置13と、袋箱やコンベア式の包装袋供給装置14と、充填包装機11と、搬出コンベア15と、が設置されている。
【0039】
前記コンテナ搬入・搬出装置12は、上部にベルトコンベア12aが配置されており、このベルトコンベア12aの上流に包装袋用コンテナ1を載置して蓄積しておいて搬送しながら袋束bが袋束受け渡し装置13を介して包装袋供給装置14に供給される。前記コンテナ搬入・搬出装置12のベルトコンベア12a上には、多数の包装袋用コンテナ1が並べられているが、この包装袋用コンテナ1は段積の状態であってもよい。このコンテナ搬入・搬出装置12上には例えば一晩で消費される包装袋を収納した包装袋用コンテナ1を多数載置しておいてもよいし、図示しない自動倉庫に包装袋用コンテナ1を格納しておいて、不足分を搬送ロボット(図示せず。)によりコンテナ搬入・搬出装置12に供給するようにしてもよい。
【0040】
袋束受け渡し装置13は、コンテナ搬入・搬出装置12と包装袋供給装置14との間に配置され、包装袋用コンテナ1内の袋束bを包装袋供給装置14に供給する。袋束受け渡し装置13は多関節ロボット等を用い、包装袋用コンテナ1に収納された袋束bを挟んで袋箱やコンベア式の包装袋供給装置14に供給する。包装袋供給装置14は、袋束bをストックすると共に、1枚ずつ包装袋を取り出して、充填包装機11側へ供給する。なお、
図20はロータリー式充填包装機11を図示している。
【0041】
ロータリー式充填包装機11は、円形ロータの周縁に2本を一対とするクランプアームを備え各クランプアームの先端のクランプに包装袋の両側縁部を挟持する。充填包装機11は、包装袋の袋口を開口し、被包装物を包装袋内に充填し、シーラで袋口をシールする。袋口がシールされた包装袋は、搬出セクションから搬出コンベア15により搬出される。さらに前記搬出コンベア15の後端部に、整列コンベア16が配置されて、さらに下流の梱包スペースで梱包作業が行われる。
【0042】
次に、前記構成の包装袋用コンテナ1のトレサビリティについて説明する。トレサビリティは、食の安全を脅かす事件が多発したことを契機に、食品がいつ、どこで作られ、どのような経路で食卓に届いたかという生産履歴を明らかにするシステムである。
図21は、包装過程におけるトレサビリティを説明するための説明図である。左端に示したコンテナ搬入・搬出装置12には包装袋用コンテナ1が載置される。この包装袋用コンテナ1には、前記のように個体識別タグ8のICチップが埋め込まれている。ベルトコンベア12aの側部には中継用の送受信装置17が立設し、この送受信装置17から信号が送られ、個体識別タグ8内の情報を送受信装置17側に送り出すよう指令を送る。個体識別タグ8から送られた信号は送受信装置17で受信して包装機用制御装置18に送信される。
【0043】
包装機用制御装置18では、包装機用サーバ19に前記個体識別タグ8内の情報が格納される。この情報はネットワーク20を通じて本部サーバ21にも送信されてトレサビリティ用の情報として格納される。この本部サーバ21には包装袋の前記情報以外に、被包装物のデータ、例えば、被包装物の製造者、製造年月日、被包装物の種類、原材料、流通業者、流通経路等あらゆる情報が格納されている。これらの情報はネットワーク20を通じて共有することができる。
【0044】
包装機用サーバ19の情報は、前記のように本部サーバ21に送られて格納される他に、充填包装機11においても利用される。即ち、情報の中の個体識別タグ8は前記のように、包装袋のサイズや種類が含まれているので、包装袋の種類が誤っていないか判断したり、包装袋を吊り下げて保持する充填包装機の一対のクランプアームの間隔を前記の包装袋の寸法の情報に基づいた自動調整する。なお、前記のようなトレサビリティに関しては単なる一例を示したものにすぎない。
【0045】
以上のような包装袋用コンテナ1を用いることにより、包装作業を自動化することができる。しかも、従来のように段ボール箱が必要ではなくなり、産業廃棄物の低減、包材の無菌化、高衛生化が容易となり紙粉塵の発生を防止できるというメリットがある。しかも、従来のように束ねて結束する袋結束材料を必要としないので、経費の削減とゴミの発生を防ぐことができる。しかも、前記実施例の包装用コンテナは、洗浄が可能であり、繰り返し使用しても高衛生化を維持することができる。さらに、遮光性と、気密性が保たれることで、袋束bの劣化と吸水性を押え包装袋の長期保存を可能とする。さらに、静電気の発生を押えて粉塵の包装袋への吸着を少なくすることができる。また、トレサビリティ用の個体情報タグ8を設けることにより、包装袋の適正な情報管理が可能となる。