特許第6482634号(P6482634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6482634エンジン排気ガスから微粒子物質の煤、灰及び重金属を除去するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482634
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】エンジン排気ガスから微粒子物質の煤、灰及び重金属を除去するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/033 20060101AFI20190304BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20190304BHJP
   F01N 3/05 20060101ALI20190304BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190304BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F01N3/033 Z
   F01N3/023 Z
   F01N3/05
   B01D53/94 250
   B01D53/94 241
   B01D46/42 C
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-216266(P2017-216266)
(22)【出願日】2017年11月9日
(62)【分割の表示】特願2017-194889(P2017-194889)の分割
【原出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2018-48642(P2018-48642A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】PA201300224
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(73)【特許権者】
【識別番号】515285224
【氏名又は名称】エコスプレー・テクノロジーズ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン・ケルド
(72)【発明者】
【氏名】アルケッティ・マウリツィオ
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−119445(JP,A)
【文献】 特開平09−184417(JP,A)
【文献】 特開平04−339119(JP,A)
【文献】 特開2005−046836(JP,A)
【文献】 特開2011−214428(JP,A)
【文献】 特開平05−163931(JP,A)
【文献】 特開2001−227332(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 46/42、53/92−53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重油で運転されるエンジンからの排気ガス中に存在する煤及び灰を除去するためのシステムであって、
エンジンを一つ又は二つ以上のろ過ユニットのそれぞれのインレットとそれぞれ接続している、一つ又は二つ以上の排気ガスインレット管;
前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットのそれぞれのアウトレットに接続されている、一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管;
付着した炭化水素と共に煤の焼尽を生じさせる触媒で触媒化された、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニット内部で並列して接続されている一つ又は二つ以上の微粒子捕集フィルターであって、該一つ又は二つ以上の微粒子捕集フィルターのそれぞれのアウトレットがロック可能な、該フィルター;及び、
前記一つ又は二つ以上の微粒子捕集フィルターから灰を吹き払うための前記一つ又は二つ以上の微粒子捕集フィルターのアウトレットに取り付けられた空気パルスジェットバルブ装置であって、該空気パルスジェットバルブ装置は、遮断弁、空気供給部に接続された一つ又は二つ以上の空気ブロー管、該ブロー管中のノズル、及び該ブロー管中の該ノズルを通して、該一つ又は二つ以上の微粒子捕集フィルター中に空気をパルス噴射するための排出装置を含む、該空気パルスジェットバルブ装置、
を含み、
その際、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットが、エンジンのターボチャージャーの上流の圧力容器中に配置されており、かつ、前記システムが、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットの少なくとも一つにおいて前記排気ガスを迂回させるバイパス管をさらに含み、
その際、前記排気ガスを、0〜3バールgの圧力にある少なくとも一つのろ過ユニットに通過させる、上記のシステム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターが、ウォールフローフィルターの形態にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターがその壁の上又は壁の内側を、該フィルターに捕集された煤を触媒的に燃焼させる触媒で被覆されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記触媒が、二酸化チタン、バナジウムの酸化物及びタングステンの酸化物、及び金属パラジウムからなる、請求項1〜3のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターの本体が、炭化ケイ素、コージライト、又はムライト又はチタン酸アルミニウム又は焼結金属から製造されたものである、請求項1〜4のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項6】
前記一つ又は二つ以上の空気ブロー管が、圧縮空気を有するアキュムレータータンクに接続されている、請求項1〜のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項7】
前記一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管が、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットを、下流の、脱窒触媒を含む選択的触媒還元ユニットに接続している、請求項1〜6のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項8】
前記一つ又は二つ以上の排気ガスインレット管が、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットを、脱窒触媒を含む選択的触媒還元ユニットの上流に接続している、請求項1〜7のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項9】
前記一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管が、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットをスクラバーユニットに接続している、請求項1〜8のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項10】
脱窒触媒ユニットを含む選択的触媒還元ユニットが、上流の前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットに、そして下流のスクラビングユニットに接続されている、請求項1〜9のいずれか一つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンからの排気ガス中に存在する、煤の形態にある炭化水素及び微粒子物質、灰及び重金属を除去するための方法及びシステムに関する。より詳細には、本発明は、0.1%〜4.0重量%の硫黄含有量及び5mg/kg〜1000mg/kgの重金属元素含有量を有する重油で運転されるエンジンの排気ガスからのこれらの成分を除去するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
典型的に、排気システム中に配置された一つ又は二つ以上のフィルターに排気を通過させることによって煤及び灰は捕集されそして除去される。流れの一定時間後、捕集された量の煤及び灰は、フィルターにわたる圧力の降下を増大させ、そして、そのフィルターは、該煤を焼尽させること及び該灰を圧縮空気で吹き払うことによって又は手動での工程によって再生させることが必要となる。
【0003】
公知の微粒子捕集フィルターシステムは、比較的硫黄含有量及び灰含有量の低いディーゼルエンジンの排気のために開発されている。これらのシステムは、例えば、重油、いわゆるバンカー油を燃料とする海事のエンジンのために採用することはできない。
【0004】
バンカー油は、非常に重い炭化水素及びポリ芳香族化合物を含有する。該油は、燃焼せずに、灰として排気中に残る化合物で極度に汚染される。バンカー油中に含有される更なる汚染物質には、水溶性の金属塩である、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、硫酸塩(MeSO)及びその他のいくつかだけでなく、油溶性の金属であるバナジウム(V)、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)及びその他が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1493484 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本発明の一般的な目的は、重油を燃料とするエンジンから結果として生じる排気ガスを浄化するための方法及びシステムを提供することであり、該方法及びシステムにより、たとえ、該方法及びシステム中に採用された微粒子捕集フィルターが再生を必要とする場合であっても、エンジンの効率的な浄化及び連続運転が確実なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の本質的な特徴は、煤燃焼触媒及び炭化水素酸化触媒で該フィルターを触媒化することによって微粒子捕集フィルターが受動的に連続再生され、それによって、該微粒子捕集フィルターにわたる圧力降下を低く保つことによって、そして、フィルターのアウトレット中へ空気をパルス噴射することによって灰を効率的に吹き払うことによって、燃料の消費を改善することができるである。
【0008】
上述したように、エンジンからの排気ガス中の煤は、燃焼することができないために、経時的にフィルター中に蓄積して圧力降下を増大させる無機の灰をさらに含む。その結果、フィルターを通る排気ガスの流れの方向を周期的に逆転させるか、又は空気をパルス噴射することにより灰を吹き払うことによって灰を除去しなければならない。
【0009】
要約すると、本発明は、0.1%〜4.0重量%の硫黄含有量及び5mg/kg〜1000mg/kgの重金属元素含有量を有する重油で運転されるエンジンからの排気ガス中に存在する煤、炭化水素、灰及び重金属を除去する方法を提供し、該方法は、
少なくとも325℃の排気ガスの排気温度が得られるような負荷で、エンジンを運転する工程;
325℃〜550℃の排気ガス温度にある該排気ガスを、それぞれが少なくとも一つの微粒子捕集フィルターを含む少なくとも一つのフィルターユニットに通過させ、そして、該排気ガス中に含有される煤、灰及び重金属を捕集する工程;
前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターから、そのフィルター上に配置された触媒と接触させることによって、捕集された煤、及び付着した炭化水素を連続的に焼尽させる工程;
周期的に、前記少なくとも一つのフィルターユニットを、排気ガスユニットの流れから切り離し、そして前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターのアウトレットを閉じる工程;
引き続き、前記少なくとも一つの微粒子フィルターの閉じたアウトレット中に、前記排気ガスの既流に対して逆向きで空気をパルス噴射し、そして、前記捕集された灰及び残存する量の煤を、前記重金属と一緒に前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターから吹き払う工程、
を含む。
【0010】
本発明で使用するための微粒子捕集フィルターは、好ましくは炭化ケイ素、コージライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、又は焼結金属から製造される。
【0011】
典型的には、該フィルターはウォールフローフィルターとして形成され、これは、最大限の浄化効率を確実にするが、その他の種類のフィルターも採用できる。
【0012】
煤燃焼触媒は、そのフィルターの壁上又は内側に被覆される。
【0013】
煤の燃焼において活性な触媒は従来技術において公知であり、とりわけ特許文献において説明されている。
【0014】
好ましい触媒は、欧州特許第1493484 B1号明細書(特許文献1)中にさらに記載されているように、二酸化チタン、バナジウムの酸化物、タングステンの酸化物及び金属パラジウムを含む。
【0015】
該触媒は、捕捉された煤の発火点を350℃に低下させ、そして、さらに、最適なプロセス条件である325℃にまで低下させる。
【0016】
補助的なエンジンは部分的な負荷で運転することができ、それにより、その排気ガスの温度は325℃超である。フィルターのインレットにおける排気ガスの温度は325℃超であるため、連続的な煤の燃焼によって確実に受動的に再生される。
【0017】
重油は、燃料含有の添加剤(fuel born additives)として作用する多量のバナジウム及び鉄を含有していて、325℃超の該煤を追加的に焼尽させるのを促進するため、その燃料に添加剤を追加することを不要にする。
【0018】
上述したように、本発明の本質的な特徴は、重油の燃焼の間に形成された、捕捉された灰を除去することである。微粒子捕集フィルターは、そのフィルターを排気ガスの流れから遮断することによって周期的に浄化しなければならない。
【0019】
吹き払われた灰は、当技術分野で知られている、適切な補助的な灰搬出弁か、又は適切な灰輸送法によって該フィルターユニットから取り除くことができる。
【0020】
フィルターユニットの全てを、本発明による上記の方法による周期的な浄化ループにおいて浄化することができる。少なくとも一つのフィルターユニットがろ過モードのままであるため、エンジンは連続運転を維持できる。
【0021】
微粒子捕集フィルターを浄化する間、該排気ガスの既流とは逆向きに、10〜600ミリ秒、好ましくは300ミリ秒の継続時間の噴射パルスで空気が噴射される。
【0022】
その浄化サイクルにおいて、実際の微粒子捕集フィルターはそのアウトレットにおいて閉じられており、そして、弁によって、又はノズル、例えば、その閉じ弁に、又は近くに取り付けられたノズルによって空気はその閉じられたアウトレット中へ噴射される。したがって、フィルターのアウトレットが開放されている場合のやり方に比較して、より小さい体積の空気のパルスが噴射されるため、そのフィルター中に捕捉された灰を吹き払うのはより効率的である。後者の場合、微粒子捕集フィルターを囲むフィルターユニット全体を通って空気のパルスが進行するため、灰の浄化効率は制限される。
【0023】
本発明のさらなる実施形態において、パルス噴射のための空気は、4〜10バールg、好ましくは6.5バールgの圧力の圧縮空気を有するアキュムレータータンクから抜き出される。
【0024】
さらなる実施形態において、該ユニットは、エンジンのターボチャージャーの上流の圧力容器中に配置される。排気ガスは、その後、該フィルターユニットに0〜3バールgの圧力で通過させることができる。
【0025】
この実施形態における煤の燃焼温度は、追加的に排気ガスを加熱することなく、約400℃というより最適なレベルに維持することができる。さらなる利点として、排気ガスの圧力及び温度が増大した場合に微粒子捕集フィルターにわたる圧力降下が、低減される。この結果、効率的なろ過に必要なフィルターの体積が小さくなり、そして、例えば、排気ガス処理のための空間が制限された船舶への組み込み搭載を容易になる。
【0026】
ろ過のプロセスもまた一つの実施態様であり、排気ガスがフィルターユニットを通過する前か、又は該ガスがフィルターユニットを通過した後の、該排気ガス中の窒素酸化物(NOX)の選択的触媒還元(SCR)と追加的に組み合わされる。
【0027】
エンジンが、少なくとも325℃の排気ガス温度を生じる最小限の負荷より大きい負荷で運転されると、SCRユニットの熱質量が、下流のフィルターユニットの受動的な再生に無視できる程度の影響をおよぼす。
【0028】
上述したような本発明の重要な特徴とは、エンジン中の重油が燃焼した際に形成される硫黄酸化物を除去する可能性にある。上流の煤燃焼触媒は硫黄化合物に耐性であるため、SOをSOに酸化する潜在能に限界がある。
【0029】
そのため、本発明の方法のさらなる実施形態では、該方法は、少なくとも一つのフィルターユニットの下流で、開放ループ又は閉じたループで排気ガスをアルカリ溶液又は海水でスクラビングすることによって該排気ガス中に含有される硫黄酸化物の量を低減する追加の工程を含む。この方法の工程で採用されるそのスクラバーの、向流のアルカリ循環溶液は、硫黄酸化物を無害なアルカリ金属の硫酸塩又は亜硫酸塩に転化する。それにより、該硫黄酸化物はほぼ完全に除去され、そして、透明で低濁の使用済み溶液が海に排出されるか、又は陸上での輸送のために蓄積される。
【0030】
さらなる利点として、スクラビング液と混合するのに海水を使用することができる。重金属及び煤はフィルターで除去されるため、その際の該スクラビング液中の捕集された硫黄酸化物含有分は、pH制御のために適切に希釈して海に排出することができる。
【0031】
本発明はさらに、重油で運転されるエンジンからの排気ガス中に存在する煤及び灰を除去するためのシステムを提供し、該システムは、
エンジンを一つ又は二つ以上のろ過ユニットのそれぞれのインレットとそれぞれ接続している、一つ又は二つ以上の排気ガスインレット管;
前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットのそれぞれのアウトレットに接続している、一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管;
付着した炭化水素と共に煤の焼尽を生じさせる触媒で触媒化された、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニット内部で並列して接続されている少なくとも一つの微粒子捕集フィルターであって、該少なくとも一つの微粒子捕集フィルターのそれぞれのアウトレットがロック可能な、該フィルター;及び、
前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターから灰を吹き払うための前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターのアウトレットに取り付けられている空気パルスジェットバルブ装置であって、該空気パルスジェットバルブ装置は、遮断弁、空気供給部に接続されている一つ又は二つ以上の空気ブロー管、該ブロー管中のノズル、及び該ブロー管中の該ノズルを通して、該少なくとも一つの微粒子捕集フィルター中に空気をパルス噴射するための排出装置を含む、該空気パルスジェットバルブ装置、
を含む。
【0032】
図面を参照して以下に説明するように、上記のフィルターを通る逆流は、該ジェット弁をフィルターのアウトレットにおいて自動で管理することによって制御される。図1は、本発明の実施形態に従うシステムの作動を概略的に示している。
【0033】
好ましい実施形態を以下に説明する。これらの実施形態は個別にも、あるいは組み合わせて使用することもできる。
【0034】
少なくとも一つの微粒子捕集フィルターはウォールフローフィルターの形態にある。
【0035】
少なくとも一つに微粒子捕集フィルターは、その壁上又はその内側が、捕集された煤を、該フィルターに付着した炭化水素とともに触媒作用により燃焼する触媒で被覆されている。
【0036】
該触媒は、二酸化チタン、バナジウムの酸化物及びタングステンの酸化物及び金属のパラジウムからなる。
【0037】
該少なくとも一つの微粒子捕集フィルターの本体は、炭化ケイ素、コージライト、ムライト、チタン酸アルミニウム又は焼結金属から製造されている。
【0038】
一つ又は二つ以上のブロー管は、圧縮空気を有するアキュムレータータンクに接続されている。
【0039】
一つ又は二つ以上のろ過ユニットは、エンジンのターボチャージャーの上流の圧力容器中に配置されている。
【0040】
一つ又は二つ以上のろ過ユニットは、エンジンのターボチャージャーの下流に配置されている。
【0041】
一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管は、少なくとも一つのろ過ユニットを、下流の脱窒触媒を含む選択的触媒還元(SCR)ユニットに接続している。
【0042】
一つ又は二つ以上の排気ガスインレット管は、一つ又は二つ以上のろ過ユニットを、脱窒触媒を含む上流の選択的触媒還元(SCR)ユニットに接続している。
【0043】
一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管は、一つ又は二つ以上のろ過ユニットをスクラバーユニットに接続している。
【0044】
脱窒(SCR)触媒ユニットを有する選択的触媒還元(SCR)ユニットは、上流の一つ又は二つ以上のろ過ユニット、及び下流のスクラビングユニットに接続されている。
【0045】
選択的触媒還元ユニットは、エンジンのターボチャージャーの上流に配置される。
【0046】
システムは、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットの少なくとも一つにおいて前記排気ガスを迂回させるバイパス管をさらに含む。
【0047】
本発明のシステムの異なる実施形態の様々な利点は、本発明の方法についての説明と組み合わせて上記ですでに説明した。
本発明の特徴は次のとおりである。
1. 0.1%〜4.0重量%の硫黄含有量、及び5mg/kg〜1000mg/kgの重金属元素含有量を有する重油で運転されるエンジンからの排気ガス中に存在する煤、炭化水素、灰及び重金属を除去する方法であって、
少なくとも325℃の排気ガスの排気温度が得られるような負荷で、エンジンを運転する工程;
325℃〜550℃の排気ガス温度にある該排気ガスを、それぞれが少なくとも一つの微粒子捕集フィルターを含む少なくとも一つのフィルターユニットに通過させ、そして、排気ガス中に含有される煤、灰及び重金属を捕集する工程;
該フィルター上に配置された触媒と接触させることによって、前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターから、捕集された煤、及び付着した炭化水素を連続的に焼尽させる工程;
周期的に、前記少なくとも一つのフィルターユニットを、排気ガスユニットの流れから切り離し、そして前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターのアウトレットを閉じる工程;
引き続き、前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターの閉じたアウトレット中に、前記排気ガスの既流に対して逆向きで空気をパルス噴射し、そして、前記捕集された灰を、前記重金属と一緒に前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターから吹き払う工程、
を含む、上記の方法。
2. 前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターが、ウォールフローフィルターの形態にある、上記の特徴1に記載の方法。
3. 前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターの壁上又はその内側に前記触媒が被覆されている、上記の特徴2に記載方法。
4. 前記触媒が、二酸化チタン、バナジウムの酸化物及びタングステンの酸化物、及び金属パラジウムを含む、上記の特徴1〜3のいずれか一つに記載の方法。
5. 前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターの本体が、炭化ケイ素、コージライト、ムライト、チタン酸アルミニウム又は焼結金属から製造される、上記の特徴1〜4のいずれか一つに記載の方法。
6. 前記空気が、10〜600ミリ秒、好ましくは300ミリ秒の噴射パルス継続時間でパルス噴射される、上記の特徴1〜5のいずれか一つに記載の方法。
7. パルス噴射のための空気が、4〜10バールg、好ましくは6.5バールgの圧力の圧縮空気を有するアキュムレータータンクから抜き出される、上記の特徴1又は6に記載の方法。
8. 前記少なくとも一つのフィルターユニットが、エンジンのターボチャージャーの上流の圧力容器中に配置される、上記の特徴1〜7のいずれか一つに記載の方法。
9. 前記排気ガスを、0〜3バールgの圧力にある少なくとも一つのフィルターユニットに通過させる、上記の特徴8に記載の方法。
10. 前記ガスを、該少なくとも一つのフィルターユニットに通過させる前か又は該少なくとも一つのフィルターユニットに通過させた後に、前記排気ガス中の窒素酸化物を選択的触媒還元する工程をさらに含む、上記の特徴1〜9のいずれか一つに記載の方法。
11. 前記排気ガス中に含有される硫黄酸化物の量を、前記少なくとも一つのフィルターユニットの下流の、開放又は閉鎖ループ中で、該ガスをアルカリ溶液又は海水でスクラビングすることによって低減する工程をさらに含む、上記の特徴1〜10のいずれか一つに記載の方法。
12. 重油で運転されるエンジンからの排気ガス中に存在する煤及び灰を除去するためのシステムであって、
エンジンを一つ又は二つ以上のろ過ユニットのそれぞれのインレットとそれぞれ接続している、一つ又は二つ以上の排気ガスインレット管;
前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットのそれぞれのアウトレットに接続されている、一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管;
付着した炭化水素と共に煤の焼尽を生じさせる触媒で触媒化された、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニット内部で並列して接続されている少なくとも一つの微粒子捕集フィルターであって、該少なくとも一つの微粒子捕集フィルターのそれぞれのアウトレットがロック可能な、該フィルター;及び、
前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターから灰を吹き払うための前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターのアウトレットに取り付けられた空気パルスジェットバルブ装置であって、該空気パルスジェットバルブ装置は、遮断弁、空気供給部に接続された一つ又は二つ以上の空気ブロー管、該ブロー管中のノズル、及び該ブロー管中の該ノズルを通して、該少なくとも一つの微粒子捕集フィルター中に空気をパルス噴射するための排出装置を含む、該空気パルスジェットバルブ装置、
を含む、上記のシステム。
13. 前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターが、ウォールフローフィルターの形態にある、上記の特徴12に記載のシステム。
14. 前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターがその壁の上又は壁の内側を、該フィルターに捕集された煤を触媒的に燃焼させる触媒で被覆されていて、それにより、上記の13に記載のシステム。
15. 前記触媒が、二酸化チタン、バナジウムの酸化物及びタングステンの酸化物、及び金属パラジウムからなる、上記の特徴12〜14のいずれか一つに記載のシステム。
16. 前記少なくとも一つの微粒子捕集フィルターの本体が、炭化ケイ素、コージライト、又はムライト又はチタン酸アルミニウム又は焼結金属から製造されたものである、上記の特徴12〜15のいずれか一つに記載のシステム。
17. 前記一つ又は二つ以上の空気ブロー管が、圧縮空気を有するアキュムレータータンクに接続されている、上記の特徴12〜16のいずれか一つに記載のシステム。
18. 前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットが、エンジンのターボチャージャーの上流の圧力容器中に配置されている、上記の特徴12〜17のいずれか一つに記載のシステム。
19. 前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットが、エンジンのターボチャージャーの下流に配置される、上記の特徴12〜18のいずれか一つに記載のシステム。
20. 前記一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管が、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットを、下流の、脱窒触媒を含む選択的触媒還元ユニットに接続している、上記の特徴12〜19のいずれか一つに記載のシステム。
21. 前記一つ又は二つ以上の排気ガスインレット管が、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットを、上流の脱窒触媒を含む選択的触媒還元ユニットに接続している、上記の特徴12〜19のいずれか一つに記載のシステム。
22. 前記一つ又は二つ以上の排気ガスアウトレット管が、前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットをスクラバーユニットに接続している、上記の特徴12〜19のいずれか一つに記載のシステム。
23. 脱窒触媒ユニットを含む選択的触媒還元ユニットが、上流の前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットに、そして下流のスクラビングユニットに接続されている、上記の特徴12〜19のいずれか一つに記載のシステム。
24. 前記選択的触媒還元ユニットが、エンジンのターボチャージャーの上流又は下流に配置されている、上記の特徴20〜23のいずれか一つに記載のシステム。
25. 前記一つ又は二つ以上のろ過ユニットの少なくとも一つにおいて前記排気ガスを迂回させるバイパス管をさらに含んでいる、上記の特徴12〜24のいずれか一つに記載のシステム。
【0048】
本発明の方法及びシステムのより詳細な説明は、図面を参照する特定の実施形態の下記の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、本発明の方法及びシステムの概略的なフローシートを示す。
図2図2は、微粒子捕集フィルターのアウトレットに配置される浄化装置、及び弁とノズルの構成の拡大図である。
【0050】
図1を参照すると、本発明の実施形態による方法で使用するためのシステムは、ろ過ユニット4を含み、該ユニット4はそのアウトレットにおいて、ターボチャージャー10の排気タービン12を介して、SCRユニット6に接続されている。そのSCRユニット6は、SO−スクラバー8に接続されている。
【0051】
ろ過ユニット4は、壁部14によって、排気ガスインレットセクション4aと、ろ過された排気ガスのアウトレットセクション4bとに分割されている。ユニット4は、三つの微粒子捕集フィルター16a、b、cを含む。
【0052】
該微粒子捕集フィルターはモジュール式組み立て品(modular)であり、それぞれ離間してユニット4内に配置されており、それにより、以下に説明するように、使用済みのフィルターを個別に再生又は置換することができる。
【0053】
該微粒子捕集フィルターのアウトレット18a、b、cはロック可能であり、パルスジェット浄化弁20a、b、cに接続される。該浄化弁は、所定の流れの時間後か、あるいは、例えば、該フィルターにわたって生じた圧力降下を別途測定した後に、該フィルターのアウトレットを順次、又は一度に全部をロックすることができる。該ジェット浄化弁は、圧力空気を有するアキュムレータータンク(図示せず)に接続して、加圧され、そしてパルス化された空気流を上述したような間隔で、フィルター16a、b、cを通る排気ガスの既流に対して逆向きの流れで供給することができる。これらの手段により、灰及び残存する量の煤は、フィルター中に蓄積した重金属と一緒に、煤及び灰の排出路22へ吹き払われる。フィルター4a、b、cの再生の間、図1における実際のろ過ユニット4への排気ガス流は、弁30の手段によって中断され、そしてそのガスは、別のフィルターユニット(図示せず)へ迂回される。
【0054】
ろ過ユニット4は、排気ガス管26によりエンジン2を介して、下流の、ターボチャージャー10の空気圧縮装置24に接続される。
【0055】
ターボチャージャー上流の空気圧縮装置に接続する場合、ろ過ユニットが、加圧されたエンジン排気ガスによって得られる同じ煤負荷でもって、より良好に圧力降下の増加を利用でき、そして、補助的な加熱を排除できる、ターボチャージャーの上流に常に存在するより高い温度での煤の燃焼が増大するように、ろ過ユニット4を圧縮容器28中に配置するのが好ましい。
【0056】
ろ過された排気ガスは、ライン32中をターボチャージャー10の排気タービン12を介してろ過ユニット4からSCR触媒ユニット6へ送られる。ユニット6中へ導入される前に、窒素酸化物の触媒SCRのための還元剤として該ガス中に尿素が噴射される。その反応中で使用される該SCR反応及び触媒は、当技術分野において広く開示されていて公知であるため、さらに説明する必要はない。
【0057】
最後に、該SCR処理された管34中の排気ガスは、SOを除去するためのスクラバーユニット8へ送られる。ユニット8において、排気ガスは、希釈されたアルカリ溶液、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液でスクラブされ、その際、該SOは、該スクラバー溶液中に溶解した亜硫酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムに転化される。使用済みのスクラバー溶液のpH値は、約7の値に簡単に調節することができ、そして、スクラビング前に重金属及び灰は既に排気ガスから除去されているため、無視できる危険性でもって使用済みのスクラバー溶液を環境中に分散させることができるため、予測されるIMO規制を満たすことができる。
【0058】
そのようにして浄化された排気ガスは、スクラバーユニット8から抜き出され、そして管36中で排気スタック(図示せず)へ送られる。
【0059】
図2は、図1に示した微粒子捕集フィルター18のアウトレットに接続される空気パルスジェットバルブ装置20の拡大図である。
【0060】
本発明の実施形態による空気パルスジェットバルブ装置20は、空気ブロー管21a及び21bを含み、該管はそのアウトレットに空気ノズル(図示せず)を有する。空気ブロー管は、圧縮空気タンク(図示せず)からの加圧された空気供給部に管23で接続されている。弁装置20は、ろ過ユニット4のアウトレット18に遮断弁25をさらに含む。ろ過ユニット4には、それぞれがアウトレット管19a及び19bを有する二つのフィルター16a及び16bが設けられている。該アウトレット管は、排出装置の形態にある。
【0061】
図2aに示すろ過操作の間、アウトレット18は開放されていて、アウトレット管19a及び19bからフィルター16a及び16bを出るろ過された排気ガスは、アウトレット18を通って抜き出される。
【0062】
図2b及び図2cに示すように、ユニット4中のフィルターの再生を必要とする場合、アウトレット18は遮断弁25によってロックされ、そして管23から加圧された空気が、順次、空気ブロー管21a及び21bに送られ、そして排出装置19a及び19bのそれぞれにパルス噴射される。フィルター16a及び16b中に、排気ガスの既流と逆向きにパルス噴射された空気パルスによって、フィルター中に蓄積した灰及び残存量の煤は、フィルターの表面から離れ、そしてフィルターユニット4のアウトレットにおけるダスト搬送システム22へ吹き払われる。
【0063】
再生後、フィルターユニット4は、図2aに示すようにろ過作動モードに切り替えられる。
図1
図2