特許第6482641号(P6482641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6482641熱交換セルのセットを製造する方法及びそのようにして得られる熱交換セルのセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482641
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】熱交換セルのセットを製造する方法及びそのようにして得られる熱交換セルのセット
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20190304BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20190304BHJP
   B21D 53/06 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F28D7/10 Z
   F28F9/26
   B21D53/06 Z
【請求項の数】20
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-500461(P2017-500461)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公表番号】特表2017-515089(P2017-515089A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】IB2015051951
(87)【国際公開番号】WO2015140713
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2018年3月2日
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2014/059898
(32)【優先日】2014年3月17日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】516280691
【氏名又は名称】コンデヴォ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャンノーニ、ロッコ
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−321171(JP,A)
【文献】 特開2013−010500(JP,A)
【文献】 特開2014−59136(JP,A)
【文献】 特開2012−137226(JP,A)
【文献】 特表2007−524799(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/028966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/02
F28D 7/04
F28D 7/10
B21D 53/06
F28F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの収容ケーシング(5)内に設置される少なくとも1つの熱交換器(2)を各々の熱交換セル(1a〜1d)が備える、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セル(1a〜1d)のセットを製造する方法であって、前記方法が、
a)前記セットの複数の熱交換セル(1a〜1d)の同一の収容ケーシング(5)を提供するステップであって、前記ケーシング(5)が、前記セル(1a〜1d)の前記熱出力が熱出力値の前記範囲内で変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の前記範囲内の最小の熱出力を有する前記セルの軸方向の延在範囲に等しい、一定の軸方向の延在範囲を有する、ステップと、
b)複数の螺旋形状の熱交換器(2)を提供するステップであって、前記複数の螺旋形状の熱交換器(2)の各々が、最小値及び最大値の前記範囲にある熱出力を有し、また各々が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸(X−X)を中心としてコイル状である、第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクト(3)を備える、ステップと、
c)前記セットの前記複数の熱交換器(2)の少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器(2)を、前記同一の収容ケーシング(5)内に設置するステップと、
を含み、
前記セットの前記複数の熱交換器(2)が、前記熱交換器の前記熱出力が熱出力値の前記範囲内で変化する一方で、実質的に一定である内径を有し、
前記少なくとも1つの熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)が、前記熱交換器(2)の前記熱出力に比例する前記コイルの径方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で前記熱交換器(2)の前記軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、前記セットの熱出力値の前記範囲内の最小の熱出力を有する前記熱交換器(2)の軸方向の延在範囲に等しい、
方法。
【請求項2】
熱交換セル(1a〜1d)の前記セットが、最小値及び最大値の前記所定の範囲内で増大する熱出力を有する2個から8個の熱交換セル(1a〜1d)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セットの前記複数の熱交換セル(1a〜1d)の同一の収容ケーシング(5)を提供するステップa)が、前記セル(1a〜1d)の前記熱出力が熱出力の最小値及び最大値の前記範囲で変化する一方で、所定の一定のサイズを有する収容ケーシング(5)を提供することによって実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
熱交換セル(1a〜1d)の前記セットの前記同一の収容ケーシング(5)の横方向の延在範囲が、セル(1a〜1d)の前記セット内に最大の径方向サイズの前記熱交換器(2)を含むように構成されるハウジング・シートを前記ケーシング(5)内に画定することを目的とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)が、前記熱交換器(2)の前記熱出力に比例する前記コイルの断面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の螺旋形状の熱交換器(2)を提供するステップb)が、
i)所定の値の流体流れであり且つ送達されることになる熱出力に比例する断面を有する管状ダクト(3)を提供するステップ、
ii)複数のコイルを得るように前記管状ダクト(3)を螺旋形状とするように成形するステップ
を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の熱交換器の前記熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)の前記複数のコイルの前記コイルが、前記螺旋の前記長手方向軸(X−X)に対して実質的に垂直であるか又は前記軸(X−X)に対して鋭角(α)を形成する主軸を有する扁平断面を有する、請求項1又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の螺旋形状の熱交換器(2)を提供するステップb)が径方向又は軸方向/径方向に沿って前記コイルを塑性変形させるステップをさらに含み、それにより、前記螺旋の前記長手方向軸(X−X)に対して実質的に垂直であるか又は前記軸(X−X)に対して鋭角(α)を形成する前記主軸を有する扁平断面を有するような前記複数のコイルが得られ、
前記塑性変形ステップが、前記管状ダクト(3)の流体流れの前記断面及び前記複数の熱交換器の前記熱交換器(2)の前記軸方向の延在範囲の両方を実質的に一定に維持するように、実行される、
請求項6及び7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の螺旋形状の熱交換器(2)を提供するステップb)が、
iii)所定の値の流体流れであり且つ前記熱出力に比例する扁平断面を有する管状ダクト(3)を提供するステップ、
iv)前記螺旋の前記長手方向軸(X−X)に対して実質的に垂直であるか又は前記軸(X−X)に対して鋭角(α)を形成する前記主軸を有する扁平断面を有するような複数のコイルを得ることを目的として、前記管状ダクト(3)を螺旋形状とするように成形するステップ
を含み、
前記螺旋成形ステップが、前記熱出力が変化する一方で前記複数の熱交換器の前記熱交換器(2)の前記軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持するように、実行される、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記管状ダクト(3)の前記断面のそれぞれ主軸及び単軸に平行に測定される、前記複数の熱交換器の前記螺旋形状の熱交換器(2)の各コイルの内側の幅(W)と内側の高さ(H)との比が、前記熱交換器の前記熱出力に比例する値を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記セットの前記複数の熱交換セル(1a〜1d)の同一の収容ケーシング(5)を提供するステップa)が、前記セル(1a〜1d)の前記熱出力が熱出力値の前記範囲内で変化する一方で一定である軸間距離を有する、前記同一の収容ケーシング(5)の周囲側壁(5c)から延在する少なくとも一対のスリーブ(18、19)を提供するステップを含み、前記セットの前記複数の熱交換器(2)の前記少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器(2)を前記同一の収容ケーシング(5)内に設置するステップc)が、前記一対のスリーブ(18、19)のそれぞれのスリーブ(18、19)内に前記少なくとも1つの管状ダクト(3)の両端を配置するステップを含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セル(1a〜1d)のセットであって、各熱交換セル(1a〜1d)が、前記セットの複数の熱交換器(2)の少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器(2)を備え、最小値及び最大値の前記範囲内にある熱出力を有し、
前記セットが前記セットの複数の熱交換セル(1a〜1d)の同一の収容ケーシング(5)を備え、前記同一の収容ケーシング(5)の中に前記セットの前記複数の熱交換器(2)の前記少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器(2)が設置され、
前記セットの前記複数の熱交換器(2)の各螺旋形状の熱交換器(2)が、複数のコイルによる、前記螺旋の長手方向軸(X−X)を中心としてコイル状である第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクト(3)を備え、
前記セットの前記複数の熱交換器(2)が、前記熱交換器(2)の前記熱出力が熱出力値の前記範囲内で変化する一方で、実質的に一定である内径を有し、
前記セットの前記複数の熱交換器(2)の前記熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)が、前記熱交換器(2)の前記熱出力に比例する前記コイルの径方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で前記熱交換器(2)の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、前記セットの熱出力値の前記範囲内の最小の熱出力を有する前記熱交換器(2)の軸方向の延在範囲に等しく、
前記セットの前記同一の収容ケーシング(5)が、前記セル(1a〜1d)の前記熱出力が変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の前記範囲内の前記最小の熱出力を有する前記セルの軸方向の延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する、
熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項13】
最小値及び最大値の前記所定の範囲内で増大する熱出力を有する2個から8個の熱交換セル(1a〜1d)を備える、請求項12に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項14】
前記セットの前記複数の熱交換セル(1a〜1d)の前記同一の収容ケーシング(5)が、前記セル(1a〜1d)の前記熱出力が熱出力の最小値及び最大値の前記範囲で変化する一方で、所定の一定のサイズを有する、請求項12又は13のいずれか一項に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項15】
前記セットの前記同一の収容ケーシング(5)の横方向の延在範囲が、セル(1a〜1d)の前記セット内に最大の径方向サイズの前記熱交換器(2)を含むように構成されるハウジング・シートを前記ケーシング(5)内に画定することを目的とする、請求項14に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項16】
前記複数の熱交換器の前記熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)が、前記熱交換器(2)の前記熱出力に比例する前記コイルの断面を有する、請求項12に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項17】
前記複数の熱交換器の前記熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)の前記複数のコイルの前記コイルが、前記螺旋の前記長手方向軸(X−X)に対して実質的に垂直であるか又は前記軸に対して鋭角(α)を形成する主軸を有する扁平断面を有する、請求項12に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項18】
前記管状ダクト(3)の前記断面のそれぞれ主軸及び単軸に平行に測定される、前記複数の熱交換器の前記螺旋形状の熱交換器(2)の各コイルの内側の幅(W)と内側の高さ(H)との比が、前記熱交換器(2)の前記熱出力に比例する値を有する、請求項17に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項19】
前記複数の熱交換器の前記熱交換器(2)の各コイルの前記内側の幅(W)と前記内側の高さ(H)との前記比が、前記熱交換器(2)の前記熱出力の関数として、2.5を越える値を有する、請求項18に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【請求項20】
前記セットの前記同一の収容ケーシング(5)が、前記セル(1a〜1d)の前記熱出力が熱出力値の前記範囲内で変化する一方で一定である軸間距離を有する、前記同一の収容ケーシング(5)の周囲側壁(5c)から延在する少なくとも一対のスリーブ(18、19)を備え、前記複数の熱交換器の前記少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器(2)の前記少なくとも1つの管状ダクト(3)の両端が、前記一対のスリーブ(18、19)のそれぞれのスリーブ(18、19)内に設置される、請求項12〜19までのいずれか一項に記載の熱交換セル(1a〜1d)のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力(thermal power)を有する熱交換セルのセットを製造する方法に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、それぞれの収容ケーシング(containment casing)内に設置される少なくとも1つの熱交換器を各セルが備えるような熱交換セルのセットを製造する方法に関し、セルのセットが、排他的ではないが好適には、水加熱装置、家庭用及び住宅の複合体(complex of dwelling−houses)用の両方のための加熱システム又は空気調節システム、工業地域、或は、ショッピング街で使用される。
【0003】
本発明はまた、上記方法によって実現可能である上で示したタイプの熱交換セルのセットに関する。
【0004】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、「熱交換セル」という用語は、熱交換器内を循環する第1の熱伝達流体と、熱交換器自体の外部で収容ケーシング内を流れる第2の熱伝達流体との間で熱交換を実行するように構成される、それぞれの収容ケーシング内に設置される少なくとも1つの熱交換器を備える好適にはモジュール・タイプのユニットを示すのに使用される。
【背景技術】
【0005】
一般には、また、特には水加熱装置のための或は加熱システム又は空気調節システムのための、熱交換セルの分野では、現在最も必要であると思われているものの1つは、一方で使用者の多様な要求を満たしながら他方で大幅に縮小される寸法を有するような、可能な限り広範囲の熱出力のセットを有する装置又はシステムの製造業者を提供することである。
【0006】
現在、コンパクトさ、有利な重量、及び、コスト、のそれらの性質に関して特に評価される熱交換セルは、それぞれの収容ケーシング内に収容される螺旋形状の熱交換器を装備するような熱交換セルである。
【0007】
具体的には、このような螺旋形状の熱交換器は、所望される熱出力に従って決定される値の断面を有する複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を中心としてコイル状である少なくとも1つの管状ダクトを備える。
【0008】
このような管状ダクトのコイルは、Le Mer名義の国際特許出願WO94/16272又はViessmann Werke名義の欧州特許出願、欧州特許出願公開第0745813号明細書に例えば記載されるような扁平断面、或は、Cosmogas名義の国際特許出願、国際公開第2005/080900号及び国際公開第2012/156954号に例えば記載されるような円形断面のいずれかを有することができる。
【0009】
いずれの場合も、本セットの最小値及び最大値の範囲内にある所望される熱出力に比例する所定の数のコイルを有する1つ又は複数の螺旋形状の熱交換器をそれぞれの専用の収容ケーシング内に設置することにより、本セットの各熱交換セルを製造することが、このような熱交換セルの製造業者にとって一般的なやり方となっている。
【0010】
螺旋形状の熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有するような熱交換セルの構成の枠組みでは、例えば米国特許出願第2007/0209606号で説明されるように、内部仕切り要素を用いて、第2の熱伝達流体の流れ方向を基準として仕切り要素の上流側及び下流側にそれぞれくるような前方部分及び後方部分へと熱交換器を分割することも知られている。
【0011】
米国特許出願、米国特許出願公開第2007/0209606号明細書の図9に示される実施例では、熱交換効率を向上させることを目的として、低い温度を有するガス流れ(第2の熱伝達流体)に関与する熱交換器の後方部分のコイルの径方向の延在範囲が、前方部分のコイルの径方向の延在範囲より大きい。
【0012】
出願人は、上で言及した従来技術の文献によって提案されるように動作させることにより、最大値及び最小値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セルのセットの製造が十分な解決策がいまだに提供されていないようないくつかの欠点を有する、ことに気が付いた。
【0013】
1つ目の欠点は、セルの熱出力が増大する一方で熱交換器のコイルの数も増加し、それに伴い、螺旋の長手方向軸に平行な熱交換器の少なくとも軸方向に沿う延在範囲も増大する、ということに関連する。
【0014】
しかし、国際特許出願WO94/16272又は欧州特許出願、欧州特許出願公開第0745813号明細書に記載されるセルの場合、熱交換器の軸方向に沿う延在範囲がこのように増大することには、セルのセットの熱出力の最小値及び最大値の範囲内でセルの熱出力が変化する一方で、熱交換器を中に収容しているセルのケーシングの軸方向の延在範囲が増大することが伴われる。
【0015】
このように動作させることにより、つまり、同様の専用の収容ケーシング内に収容され且つ熱交換器の必要な数のコイルを受け入れるような寸法を有する、適切な軸方向の延在範囲を有する専用の熱交換器に対して、各々に選択される値の熱出力を提供するような、熱交換セルのセットを作ることにより、このようにして得られる熱交換セルのセットが、特に軸方向に沿って、多様な全体サイズを有する比較的多数のセルを必然的に有することになり、それにより以下のようなマイナスの結果が生じる。
【0016】
1つ目は、このような熱交換セルのセットが、多様なサイズの多数の専用の収容ケーシングを製造してそれらをストックしておくことを必要とすることであり、これらの専用の収容ケーシングの各々が所望の熱出力を有する熱交換器を収容することができるが、これにはコストに関する及び倉庫内でのスペースの使用に関する明確にマイナスの結果が伴われる。
【0017】
2つ目は、熱出力の増大に伴い熱交換セルの軸方向の寸法が増大することが、熱交換デバイスの寸法を最小にする及び統一するという両方の傾向がある市場の要求と対立することである。
【0018】
3つ目は、出力の増大に伴い熱交換セルの軸方向の寸法が増大することで多くの場合に装置又はシステムの流体回路が複雑になることであり、ここでは、セルの熱交換器内を循環する第1の熱伝達流体の入口接続部と出口接続部との間の多様な軸間距離(interaxial distance)を考慮に入れて、熱交換セルが設置されることになる。
【0019】
セルの熱出力が増大する一方で、同一の収容ケーシング(single containment casing)を想定することが可能である国際特許出願、国際公開第2012/156954号に記載されるセルの場合、その熱出力の増大する一方で熱交換器の軸方向に沿う延在範囲を増大させることには、他方で、セルの、上で言及した同一の収容ケーシングが、本セットの熱出力値の範囲内で最大の熱出力を有するセルのケーシングの軸方向の延在範囲に等しい軸方向の延在範囲を必ず有さなければならない、ということが伴われる。
【0020】
これにより不可避的に、所望されるよりも多くのスペースを占有し、且つ、最大の熱出力より低い熱出力を有するような本セットのすべてのセルで使用されないような、ケーシングが使用されることになることと、ケーシングを製造するのに使用される材料の量が増えることを理由としてセルのセットの製造コストが増大することと、の両方が結果として起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際公開第94/16272号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0745813号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/080900号
【特許文献4】国際公開第2012/156954号
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0209606号明細書
【特許文献6】国際公開第2004/036121号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明の根底にある技術的課題は、上記の欠点の少なくとも一部を有さないような、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セルのセットを提供することであり、この熱交換セルのセットは具体的には、本セット内で熱出力が変化する一方で、
−本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングの軸方向寸法を一定とすること、
−本セットの複数のセルの同一の収容ケーシングの軸方向の寸法を最小にすること、
−第2の熱伝達流体の供給ゾーンを閉じるつまりこのようなゾーン内に配置されるセルの構成要素を標準化すること、
−本セットの1つのセルを中に据え付けている装置又はシステムに属する、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングの外部支持要素を標準化すること、並びに、
−本セットの複数のセルの同一の収容ケーシングの外部支持要素の軸方向の寸法を最小にすること
を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の態様によると、本発明が、添付の請求項1で定義される方法に関連し、この方法の好適な特徴が従属請求項2〜11に記載される。
【0024】
より具体的には、本発明が、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セルのセットを製造する方法に関連し、各熱交換セルがそれぞれの収容ケーシング内に設置される少なくとも1つの熱交換器を備え、ここでは、本方法が:
a)本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを提供するステップであって、上記ケーシングが、セルの熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向の延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する、ステップと、
b)複数の螺旋形状の熱交換器を提供するステップであって、複数の螺旋形状の熱交換器の各々が、最小値及び最大値の上記範囲内にある熱出力を有し、また各々が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を中心としてコイル状である、第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを備える、ステップと、
c)本セットの上記複数の熱交換器のうちの少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器を、上記同一の収容ケーシング内に設置するステップと
を含み、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器が、熱交換器の熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で、実質的に一定である内径を有し、
またここでは、少なくとも1つの熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトが、熱交換器の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、本セットの熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の軸方向の延在範囲に等しい。
【0025】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、「熱出力」という用語は、熱交換器内を循環する第1の熱伝達流体と熱交換器の外部を循環する第2の熱伝達流体との間の熱に関する、単位時間当たりの伝達されるエネルギーの量を示すのに使用される。
【0026】
それ自体は既知である形で、本セットの螺旋形状の熱交換器の螺旋形状の管状ダクトは、熱交換器を基準として同軸に且つ内部に、第2の熱伝達流体の供給ゾーンを画定する。
【0027】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、熱伝達流体という用語は、外部熱源から熱を受け取る/外部熱源へ熱を伝達することができ、また、中で流体を循環させる装置又はシステムの多様なポイントへ熱を伝達することができる、任意の流体を示すのに使用される。
【0028】
したがって、例えば、ガス−液体熱交換セルの場合、第1の熱伝達流体が加熱される(家庭用ではボイラ内などで)ことになる水から構成されてよく、第2の熱伝達流体がバーナからくる高温の燃焼ガスから構成されてよく、或は、第1の熱伝達流体が圧縮ガス又は比較的高温の他の流体から構成されてもよく、第2の熱伝達流体が、適切な循環装置(空気調節システム内など)からくる低温空気から構成されてもよい。
【0029】
別法として、液体−液体熱交換セルの場合、高温の清浄水を作るための家庭用の水加熱装置などにおいては、第1の熱伝達流体は、加熱しなければならない低温の液体から構成されてよく、第2の熱伝達流体は、より暖かい加熱液体から構成されてよい。したがって、この場合、熱交換セルは液体−液体熱交換装置として実質的に機能する。
【0030】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、互いに関連する2つ以上の実在物を参照する場合の「比例する」という用語は、これらの実在物のうちの1つの実在物が変化するときに残りの実在物もそれに対応して変化するというような関係がこれらの実在物の間に存在する、ことを示すのに使用される。
【0031】
したがって、例えば、ある実在物が熱出力に「比例して変化する」又は熱出力に「比例する」と言われる場合、これは、この実在物(熱交換器のコイルの径方向の延在範囲又は断面など)と熱出力との間に、熱出力が変化するときに考察の実在物がそれに対応して変化するというような関係が存在する、ことを意味する。
【0032】
好適には、本発明の枠組みでは、2つ以上の実在物の間の関係は正比例である。
【0033】
本発明では、上記少なくとも1つの熱交換器(及び、ひいてはセル)の熱出力と例えばコイルの径方向の延在範囲又は断面との間の比例関係は正比例関係でなくてもよく、セルの製造及び/又は適用の特定の要求条件に従って当業者によって個別的に決定され得る比例法則に従う。
【0034】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、セル又はセルの要素の、種々の、「軸」方向、「長手」方向、「横」方向、又は、「径」方向など又はその向きは、特に明記しない限り、熱交換器の螺旋の長手方向軸を基準とすることを意図される。
【0035】
熱交換セルの動作構成では、この長手方向軸は水平又は垂直であってよく、したがって、セル又はセルの要素の種々の方向又は向きは熱交換器の螺旋の長手方向軸の向きに関連させて考察されなければならない。
【0036】
以下の説明では、説明の簡潔さのために、限定する意図はないが、従来通りに、熱交換器の長手方向軸が水平であるような、熱交換セルの、セットのセルの動作位置を参照する。
【0037】
最後に、本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、量(amount)、量(quantity)及びパーセンテージなどを表すすべての数値は、特に明記しない限り、いずれの例においても「約」という語が前に付くものとして理解される。また、実際の数字の全範囲には、本明細書において後で具体的に示される数値に加えて、最大及び最小の数値と、その間の考えられるすべての中間範囲と、の考えられるすべての組み合わせが含まれる。
【0038】
本発明では、熱交換セルの収容ケーシングはこの種の使用に適する任意の構造材料で作られてよく、これは例えば、アルミニウム、鋼、又は、例としてポリフェニレンサルファイド(PPS)などの、化学物質、炎及び水蒸気に対しての耐性特性を有する高性能プラスチック、などである。
【0039】
本発明では、上で言及した熱交換器は、熱交換のために一般に使用される高い熱伝導率を有する、アルミニウム又は鋼などの、任意の材料で作られてよく、これは好適には金属である。
【0040】
本発明によると、出願人は以下のことを認識している:本セットの複数のセルの同一の収容ケーシングの軸方向の寸法に関する、このようなケーシングの支持要素の軸方向の寸法に関する、並びに、熱出力が変化する一方での本セットの複数のセルの同一の収容ケーシングの構成要素及び支持要素の標準化に関する、特徴の上で言及した所望される組み合わせが、本セットに属するセルの一連の特徴を適切に組み合わせて、等しい熱出力において多様な軸方向の延在範囲を有する既知のタイプの熱交換セルと比較してそれ以上である熱交換効率を得ることにより、達成され得る。
【0041】
より具体的には出願人は以下のことに気が付いた:
a)本セットの熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向に延在範囲に等しく且つ一定である軸方向の延在範囲を有する同一の収容ケーシングを提供することにより、
b)熱交換器の熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で実質的に一定である内径を有する複数の螺旋形状の熱交換器を提供することにより、
c)本セットの上で言及した複数の熱交換器のうちの少なくとも1つの熱交換器を、上で言及した同一の収容ケーシング内に設置することにより、及び、
d)その熱出力が変化する一方で、本セットの熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の軸方向の延在範囲に等しくして熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的としながら、熱交換器の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を熱交換器の管状ダクトに対して与えることにより、
セルの熱出力が本セットの熱出力値の範囲内で変化する一方で、熱交換器及びこの熱交換器を収容する同一の収容ケーシングの両方の軸方向の延在範囲を可能な限り最小の値で一定に維持することが可能となり、また同時に、熱交換器とは異なるセルの構成要素と、セルの同一の収容ケーシングの外部支持要素との両方を良好に標準化するのを実現することが可能となる。
【0042】
実際には、本セットの熱交換セルの螺旋形状の熱交換器の所望される熱出力を増大させることは、本セット内で、熱出力が変化する一方で熱交換器及びこの熱交換器を含む同一の収容ケーシングの両方の軸方向の延在範囲を可能な限り最小の値に等しくして一定に維持することと、第1の熱伝達流体を適切な流量で循環させるのに十分な断面を有するようなダクトを選択することと、熱出力が増大又は低下する一方で熱交換器の横方向に沿って膨張又は縮小させるのを実現するようにコイルの径方向の延在範囲を変化させることと、によって達成される。
【0043】
言い換えると、出願人は以下のことに気が付いた:このような形で動作させることにより、螺旋形状の熱交換器の軸方向の延在範囲を変化させることなくしたがって可能な限り最小を維持する熱交換セルのケーシングの軸方向の延在範囲を変化させるのを必要とすることなく、本セットの熱出力の最大値及び最小値の範囲内で、螺旋形状の熱交換器の熱出力を増大又は低下させることが可能となる。
【0044】
出願人はまた、以下のことに気が付いた:このような形で動作させることにより、熱出力が変化する一方で同一の収容ケーシングの軸方向の寸法を可能な限り最小の寸法に等しくして一定で維持することを理由として、装置に属するか又は本セットの個別のセルを中に据え付けているシステムに属する、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングの外部支持要素を良好に標準化するのを達成することも可能となる。
【0045】
最後に、熱交換器とは異なるセルの構成要素を所望される通りに良好に標準化することが、本セット内で、その熱出力が本セットの熱出力値の範囲内で変化する一方で本セットの熱交換器の軸方向の延在範囲及び内径の両方を実質的に一定に維持することにより、達成される。
【0046】
このようにして、本セットの複数のセルの同一の収容ケーシング内で、熱交換器を基準として同軸に且つ内部に、第2の熱伝達流体の供給ゾーンが画定され、これが、熱出力が変化する一方で、軸方向及び径方向の両方に沿って実質的に一定の寸法を有する。
【0047】
この特徴により、有利には、熱交換器とは異なる本セットの複数のセルの構成要素を標準化することが可能となり、これは例えば、収容ケーシングの前方ゾーン又は後方ゾーンにおいて熱交換器の内部に概して配置される、第2の熱伝達流体の供給ゾーンに面する断熱要素、ケーシングの前方密閉壁、バーナ、並びに、存在する場合の、高温の流体の対応する付属物又は供給ダクト、などである。
【0048】
したがって、このような請求される特徴の組み合わせにより以下の利点を得ることが可能となる:
−本セットの複数のセルのすべての熱交換器の同一の収容ケーシング内に収容されるように、それらの熱出力が変化する一方で実質的に一定である最小の軸方向の寸法を有する複数の熱交換器を有することであって、したがってこの同一の収容ケーシングが最小の軸方向の寸法を有するようになる、こと;
−熱交換セルの熱交換器内を循環する流体の入口接続部と出口接続部との間の軸間距離を実質的に一定に維持することの実現性を有すること;
−製品の供給及び製品の倉庫管理を単純化することの実現性を有すること;
−本セットの各セルを中に挿入する加熱装置又は加熱システムのサイズを結果として統一するように、及び、上で言及した加熱装置又は加熱システムの構成要素の配置を単純化するように、統一されたサイズを有する熱交換セルのセットを有すること;
−熱出力が変化する一方で熱交換セルのセットの構成要素を非常に良好に標準化するのを可能にするために、軸方向及び横方向の両方に沿って実質的に一定の寸法を有するような同一のケーシングの内部に第2の熱伝達流体の供給ゾーンを有すること。
【0049】
本発明の第2の態様によると、本発明が、添付の請求項12で定義される熱交換セルのセットに関連し、セルのセットの好適な特徴が独立請求項13〜20に記載される。
【0050】
より具体的には、本発明は、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セルのセットに関連し、各熱交換セルが本セットの複数の熱交換器の少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器を備え且つ最小値及び最大値の上記範囲内にある熱出力を有し、
ここでは、本セットが本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを備え、その中に本セットの上記複数の熱交換器の上記少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器が設置され、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器の各螺旋形状の熱交換器が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を基準としてコイル状である、第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを備え、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器が、熱交換器の熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で、実質的に一定である内径を有し、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器の熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトが、熱交換器の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の軸方向の延在範囲に等しく、
ここでは、本セットの上記同一の収容ケーシングが、セルの熱出力が変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向の延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する。
【0051】
有利には、本発明の熱交換セルのセットが、その製造方法に関連する上述の技術的効果を達成する。
【0052】
本発明は、上記態様のうちの少なくとも1つの態様において以下の好適な特徴のうちの少なくとも1つを有することができ、これらの特徴は、特には、適用の特定の要求条件に適合するように所望される場合に互いに組み合され得る。
【0053】
好適には、本セットの上で言及した複数の熱交換器の各熱交換器のコイルの数が、本セットの熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器のコイルの数に等しい。
【0054】
これにより、有利には、熱出力が変化する一方で、本セットの熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に変化させずに維持しながら所望される一定の大きさにすることを達成することが可能となり、ここではセルの要素のこの構成は熱交換器の両方の軸方向端部と当接関係で液密的に協働する。
【0055】
例えば、このような要素は、セルの収容ケーシングの、又は、収容ケーシングの内部に配置される他の当接要素の、前方壁又は後方壁であってよい。
【0056】
好適には、セルのセットの同一の収容ケーシング内の熱交換器の設置構成が、供給ゾーンから概略径方向又は概略軸方向−径方向に沿って螺旋形状の熱交換器を通って外側に向かうような第2の熱伝達流体の流れを熱交換セル内に有することを有利には可能にするような第2の熱伝達流体の供給ゾーンをケーシング内に画定することを目的とする。
【0057】
有利には、セルのセットの同一の収容ケーシング内の熱交換器のこの好適な設置構成は、螺旋形状の熱交換器を装備するガス−液体熱交換セルの実質的に全体によって想定されるような構成であり、これは特には、第2の熱伝達流体がバーナからくる高温燃焼ガス又は適切な循環装置からくる低温ガスであり且つ第1の熱伝達流体が加熱又は冷却されることになる液体である場合である。
【0058】
好適には、熱交換セルのセットが、最小値及び最大値の上記所定の範囲内で増大する熱出力を有する、2個から8個の、好適には2個から6個の、またより好適には2個から4個の熱交換セルを備える。
【0059】
これにより、有利には、本セットの多様な熱出力を有するすべての熱交換器のために同一の収容ケーシングが使用される場合に必要となるケーシングの数を最大限に低減することとの組み合わせで、エンド・ユーザへの熱出力の供給において高い柔軟性を得ることが可能となる。
【0060】
好適には、熱交換セルのセットが最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲から選択される熱出力を有する:1kWから12kW、好適には2kWから10kWである第1の範囲、15kWから35kW、好適には16kWから32kWである第2の範囲、35kWから65kW、好適には40kWから62kWである第3の範囲、及び、65kWを超える、好適には70kWから115kWである第4の範囲。
【0061】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、最小及び最大の熱出力値の上記第1及び第2の範囲が「低」熱出力を示すものとして総称され、値の上記第3の範囲が「中間」熱出力を示すものとして総称され、値の上記第4の範囲が「高」熱出力を示すものとして総称される。
【0062】
好適な実施例では、本セットの上記複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを提供するステップa)が、セルの熱出力が熱出力の最小値及び最大値の上記範囲内で変化する一方で、所定の一定のサイズを有する収容ケーシングを提供することによって実行される。
【0063】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、収容ケーシングの「サイズ」又はセルの熱交換器の「サイズ」という用語は、特に明記しない限り、軸方向(すなわち、長手方向)及び軸方向に対するすなわち熱交換器の長手方向軸に対する横方向において、それらによって占有されるスペースを示すのに使用され、これは例えば、収容ケーシングの形状が実質的に角柱である場合には高さ及び幅であり、又は、収容ケーシングの形状が実質的に円筒である場合には径方向に沿うものである。
【0064】
好適な実施例では、本セットが、本セットのすべての熱交換セルの同一の収容ケーシングを有する。
【0065】
これにより、したがって、熱交換セルの収容ケーシングの軸方向の延在範囲が有利には本セットの熱出力のすべての値において統一される。したがって、有利には、製造され、保管され、エンド・ユーザの装置又はシステム内に設置されることになる要素の数を顕著に単純化するのを達成することが可能となる。
【0066】
この好適な実施例の枠組みでは、熱交換セルのセットの上記同一の収容ケーシングの横方向の延在範囲は、さらにより好適には、セルのセット内に最大の径方向サイズの熱交換器を含むように構成されるハウジング・シートをケーシング内に画定することを目的とする。
【0067】
これにより、有利には、本セットのすべての熱交換器のための、統一された全体サイズを有する同一の収容ケーシングを使用することが可能となり、これにより、本セットの各セルを中に挿入する熱装置又は熱システムのサイズを統一するのを可能にすること及び上で言及した熱装置又は熱システムの構成要素の配置を単純化するのを可能にすることとの組み合わせで、エンド・ユーザへの熱出力の供給において高い柔軟性が得られるという追加の利点が得られる。
【0068】
好適な実施例では、本セットの上記同一の収容ケーシングの軸方向の延在範囲が最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲から選択される:セルの熱出力が上記第1及び第2の範囲である(低出力)場合の、80mmから190mm、好適には120mmから180mmである第1の範囲、セルの熱出力が上記第3の範囲である(中間出力)場合の、200mmから360mm、好適には320mmから350mmである第2の範囲、並びに、セルの熱出力が上記第4の範囲である(高出力)である場合の、360mmから660mm、好適には400mmから660mmである第3の範囲。
【0069】
これにより、有利には、所望の熱出力に適合する最小の軸方向の延在範囲を有する本セットの収容ケーシングを用いて、家庭用の分野、住宅の複合体、並びに、工業地域及びショッピング街の分野で一般に予期される使用において最も必要とされるような3つのセットの熱出力をエンド・ユーザに供給することにおいて高い柔軟性を有することができるという利点を得ることが可能となる。このすべてが、上記の出力のセットの各々に対して統一される軸方向の延在範囲を有する収容ケーシングを使用することと組み合わされ、このケーシングは、したがって、上記セットの各セルを挿入する熱装置又は熱システムの全体サイズを標準化することと、上で言及した加熱装置又は加熱システムの構成要素の配置を単純化することとを可能にする。
【0070】
好適な実施例では、熱交換器の上記同一の収容ケーシングが、第2の熱伝達流体の考えられる排出キャップのサイズを除いて、最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲内に含まれる横方向のサイズ(つまり、熱交換器の長手方向軸に対して横方向においてケーシングによって占有されるスペース)を有する:セルの熱出力が上記第1の範囲である場合の、100mmから220mm、好適には140mmから200mmである第1の範囲、セルの熱出力が上記第2の範囲である場合の、220から300mm、好適には240mmから290mmである第2の範囲、セルの熱出力が上記第3の範囲である場合の、300mmから400mm、好適には約310mmから350mmである第3の範囲、セルの熱出力が上記第4の範囲である場合の、400mmから660mm、好適には430mmから600mmである第4の範囲。
【0071】
これにより、有利には、所望の熱出力に適合する最小の全体サイズを有する本セットの収容ケーシングを用いて、上記の出力のセットの各々のための統一されたサイズを有する非常にコンパクトな同一の収容ケーシングを使用することにより、一般に予期される使用において最も必要とされるような3つの範囲の熱出力をエンド・ユーザに供給することにおいて高い柔軟性を有することができるという上で言及した利点を拡大することが可能となる。本セットの収容ケーシングのこのような統一されたサイズにより、さらに、上で言及したセットの各セルを挿入する加熱装置又は加熱システムのサイズを標準化すること及び上で言及した加熱装置又は加熱システムの構成要素の配置を単純化することが可能となる。
【0072】
好適には、本セットの複数の螺旋形状の熱交換器の内径は、熱出力が変化する一方で、実質的に一定であり、本セットの熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の内径に等しい。
【0073】
これにより、有利には、径方向に沿って最小の寸法を有する第2の熱伝達流体の供給ゾーンを有することが可能となり、そこから、本セットの複数の熱交換器と、それらを含むセルのセットの同一の収容ケーシングとの両方がコンパクトになるという利点が得られる。
【0074】
好適には、本セットの複数の螺旋形状の熱交換器の内径は一定であり、熱交換器の及びひいては熱交換器を含む熱交換セルの熱出力の関数として60mmから540mmの間に含まれる値の範囲内で変化する。
【0075】
好適には、螺旋形状の熱交換器は最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲に含まれる螺旋の内径を有する:セルの熱出力が上記第1の範囲の場合の、60mmから120mm、好適には70mmから110mmである第1の範囲、セルの熱出力が上記第2の範囲である場合の、120mmから190mm、好適には150mmから180mmである第2の範囲、セルの熱出力が上記第3の範囲である場合の、190mmから260mm、好適には200mmから250mmである第3の範囲、セルの熱出力が上記第4の範囲である場合の、260mmから540mm、好適には290mmから480mmである第4の範囲。
【0076】
好適には、熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトが、熱交換器自体の熱出力に比例するコイルの断面を有する。
【0077】
これにより、有利には、熱交換器の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と熱交換器自体の熱出力との間に比例関係を得ることが可能となる。
【0078】
この比例関係により、有利には、以下の技術的効果を達成することが可能となる。
【0079】
1つ目の有利な技術的効果は、熱交換器の熱出力が変化する一方で圧力低下が実質的に一定であり、それにより、第1の熱伝達流体の循環デバイス(例えば、ポンプ)の選択に関しての及びそれに関連する運転コストに関しての利益が得られる、ことである。
【0080】
2つ目の有利な技術的効果は、第1の熱伝達流体の速度が実質的に一定となり、それにより、使用に関しての、及び、本セットの熱交換セルを据え付ける種々のタイプの加熱システム又は空気調節システムへの適合に関しての、柔軟性が向上する、ことである。
【0081】
好適な実施例では、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器を提供する上記ステップb)が、
i)所定の値の流体流れであり且つ送達されることになる熱出力に比例する断面を有する管状ダクトを提供するステップ、
ii)複数のコイルを得るように上記管状ダクトを螺旋形状とするように成形するステップ
を含む。
【0082】
これにより、有利には、上で強調した利益を得るために、熱交換器の熱出力が変化する一方で第1の熱伝達流体の圧力低下及び流れ速度を実質的に一定にすることを目的として、熱交換器の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と熱交換器の熱出力との間の上で言及した好適な比例関係に適合するような、上記複数の熱交換器のうちのそれぞれの熱交換器を、本セットの各セルに対して提供することが可能となる。
【0083】
好適な実施例では、上記複数の熱交換器の熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトの上記複数のコイルのコイルが扁平断面を有し、その主軸が螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直であるか又は上記軸に対して鋭角を形成する。
【0084】
これにより、有利には、熱交換器の軸方向(すなわち、長手方向)の延在範囲を制限しながら同時に第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での熱交換を最適にするのを達成することが可能となる。
【0085】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトの断面の形状に関係なく、セルがそれ自体は既知である適切なスペーサ要素を備え、例えばこれは、円形断面の場合は例えば国際特許出願、国際公開第2005/080900号に記載されるような又は扁平断面の場合はWO94/16272に記載されるような、ダクトの扁平面から延在するリブ、或は、例えば米国特許出願、米国特許出願公開第2007/0209606号明細書に記載されるような上記扁平面の間に挿置される櫛形状のスペーサ要素、などである。
【0086】
有利には、上記スペーサ要素は、ダクトの扁平面の間に、好適には一定である所定の幅を有する隙間を画定するように構成され、それにより、概して径方向又は軸方向−径方向において第2の熱伝達流体の流れのための流体経路が形成される。
【0087】
本記述及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、熱交換器のダクトの扁平面の間に画定される隙間の「幅」という用語は、上記面に対して垂直な方向に沿って測定される上記面の間の距離を示すのに使用される。
【0088】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有する場合、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器を提供するステップb)が径方向又は軸方向/径方向に沿ってコイルを塑性変形させるステップをさらに含み、それにより、螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直であるか又は上記軸に対して鋭角を形成する主軸を有する扁平断面を有するような上記複数のコイルが得られる。
【0089】
好適には、上記塑性変形ステップは、管状ダクトの流体流れの上記断面及び上で言及した複数の熱交換器の軸方向の延在範囲の両方を実質的に一定に維持するように、実行される。
【0090】
これにより、有利には、複数の熱交換器の軸方向(すなわち、長手方向)の延在範囲を制限しながら同時に第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での熱交換を最適にするのを達成することと、熱交換器の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と熱交換器の熱出力との間に上で言及した比例関係を得ることと、の両方が可能となる。
【0091】
代替の好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有する場合、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器を提供するステップb)が、好適には、
iii)所定の値の流体流れであり且つ熱出力に比例する扁平断面を有する管状ダクトを提供するステップ、
iv)螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直であるか又は上記軸に対して鋭角を形成する主軸を有する扁平断面を有するような複数のコイルを得ることを目的として、上記管状ダクトを螺旋形状とするように成形するステップ
を含み、
ここでは、上記螺旋成形ステップが、その熱出力が変化する一方で上記複数の熱交換器の熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持するように、実行される。
【0092】
上で言及したステップiii)を実行するための好適な手法は以下のステップを実行することを想定する:
−所定の値の流体流れであり且つ熱出力に比例する円形断面を有する管状ダクトを提供するステップ、及び、
−扁平断面を得ることを目的として上記管状ダクトを螺旋形状となるように塑性変形させるステップ。
【0093】
これらのステップは、例えば国際特許出願WO94/16272に記載される技術及びシステムによって実行され得る。
【0094】
別法として、一片の適切な金属材料から始めて、長手方向においてレーザ溶接などの溶接を行って扁平断面を有する管状ダクトを形成することにより、上で言及したステップiii)を実行することも可能である。
【0095】
この場合も、有利には、上で言及した複数の熱交換器の熱交換器の軸方向(すなわち、長手方向)の延在範囲を制限しながら同時に第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での熱交換を最適にするのを達成することと、交換機の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と上で言及した複数の熱交換器の熱交換器の熱出力との間に上で言及した比例関係を得ることと、の両方が可能となる。
【0096】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有する場合、上で言及した複数の熱交換器の螺旋形状の熱交換器のダクトの各コイルの内側の幅と内側の高さとの比が(これらは、上記管状ダクトの断面のそれぞれ主軸及び短軸に平行に測定される)、熱交換器の熱出力に比例する値を有する。
【0097】
これにより、有利には、熱交換器の熱出力に比例するような、第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での最適な熱交換を達成することが可能となり、その理由は、熱出力が増大する一方で、螺旋形状の熱交換器の管状ダクトによって形成されるコイルの扁平面の間の隙間内に画定される第2の熱伝達流体の流れのための流体経路の径方向に沿う延在範囲も増大するからである。
【0098】
好適には、この比は、熱交換器の熱出力の関数として、2.5を超える値を有し、より好適には、これは2.5から5の間に含まれる。
【0099】
具体的には、出願人は以下のことに実験的に気が付いた:本セットのセルがバーナから離れる燃焼ガス(第2の熱伝達流体)と加熱されることになる水(第1の熱伝達流体)との間での熱交換セルであるような好適な実施例の枠組みにおいて、熱交換器のダクトの各コイルの内側の幅と内側の高さとの比が2.5を超える場合、有利には、熱交換器から径方向に離れる燃焼ガスの温度を、セルから離れる加熱された水(一般に、40°から80°の間)の温度未満の値まで低下させることが可能となる。
【0100】
燃焼ガスの温度の値がこのように低いことにより、有利には、セルの収容ケーシングを構成する材料が受けることになる熱応力を低減することが可能となり、それによりその動作寿命が延び、また、Giannoni France名義の国際特許出願、国際公開第2004/036121号に例えば記載されるように熱交換器の周りに金属の保護フェルール(metal protection ferrule)を準備することを必要とすることなく、例えばプラスチックなどの非金属材料を使用することが可能となる。
【0101】
好適な実施例では、上で言及した複数の熱交換器の螺旋形状の熱交換器が、同一のコイルを形成する同一の管状ダクトを備える。
【0102】
代替の好適な実施例では、上で言及した複数の熱交換器の螺旋形状の熱交換器が複数の管状ダクトを備え、これらは任意選択で軸方向において互いに隣接し及び/又は結合される。
【0103】
好適にはこの複数の管状ダクトが同一のコイルを形成する。
【0104】
好適には上で言及した1つのコイルの巻線ピッチが一定である。
【0105】
これにより、有利には、製造作業を容易にして、本セットの熱交換器の製造コストを低減することが可能となる。
【0106】
好適な実施例では、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを提供するステップa)が、セルの熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で一定である軸間距離を有する、同一の収容ケーシングの周囲側壁から延在する少なくとも一対のスリーブを提供することを含む。
【0107】
この好適な実施例では、本セットの複数の熱交換セルの上で言及した複数の熱交換器の上で言及した少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器を同一の収容ケーシング内に設置するステップc)が、熱交換器の上で言及した少なくとも1つの管状ダクトの両端を、上で言及した一対のスリーブのそれぞれのスリーブ内に配置することを含む。
【0108】
好適には、このようにして得られる熱交換セルのセットが、したがって、上で言及した好適な特徴を有するような、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシング、及び、熱交換器を備える。
【0109】
これにより、有利には、多数の熱交換セル内で使用される構成に従って、熱交換器の管状ダクトの端部が、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングの周囲側壁から突出する場合においても、熱交換セルの熱交換器内を循環する流体の入口接続部と出口接続部との間の軸間距離を実質的に一定に維持することが可能となる。
【0110】
本発明による、熱交換セルのセットの好適な実施例及びその製造方法の好適な実施例の以下の説明から、本発明の追加の特徴及び利点がより良好に明らかとなり、以下の説明は、添付図面を参照しながら、例示の非限定的な実例によって本明細書において後で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1】本発明の好適な実施例による熱交換セルのセットの、熱交換セルの好適な実施例を示す斜視図である。
図2図1のセルを示す正面図である。
図3図1のセルを示す背面図である。
図4a】本セットの最小値及び最大値の所定の範囲内で徐々に増大する熱出力を有する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図2の線IV−IVに沿う概略断面図である。
図4b】本セットの最小値及び最大値の所定の範囲内で徐々に増大する熱出力を有する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図2の線IV−IVに沿う概略断面図である。
図4c】本セットの最小値及び最大値の所定の範囲内で徐々に増大する熱出力を有する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図2の線IV−IVに沿う概略断面図である。
図4d】本セットの最小値及び最大値の所定の範囲内で徐々に増大する熱出力を有する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図2の線IV−IVに沿う概略断面図である。
図5図4cの頂部分を示す拡大図である。
図6a】代替的実施例の熱交換器を装備する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図4a〜4dと同様の概略断面図である。
図6b】代替的実施例の熱交換器を装備する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図4a〜4dと同様の概略断面図である。
図6c】代替的実施例の熱交換器を装備する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図4a〜4dと同様の概略断面図である。
図6d】代替的実施例の熱交換器を装備する本セットのそれぞれの熱交換セルを示す、図4a〜4dと同様の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
以下の説明では、図の説明において、同じ機能を有する構造要素を示すのに同一の参照符号が使用される。例示を明瞭にするために、いくつかの参照符号は、すべての図において繰り返されるわけではない。
【0113】
図1図3では、本発明によるセットの好適な実施例に属する熱交換セルが全体として1aで示される。
【0114】
セル1aが、例えば上述した範囲のうちの1つの範囲である、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セル1a〜1dのセットに属する。熱交換セル1a〜1dの上記セットは、例えば、本明細書において後で再び考察される図4a〜図4dに概略的に示される。
【0115】
示される好適な実施例では、本セットの熱交換セル1a〜1dは凝縮タイプのガス−液体熱交換セルであり、ここでは、例えば水から構成される加熱されることになる第1の熱伝達流体と、添付図ではその流れが概して文字Gで示される、添付図では概して4のところに示されるバーナからくる高温燃焼ガスから構成される第2の熱伝達流体との間で熱交換が行われる。
【0116】
本セットの各熱交換セル1a〜1dが、最小値及び最大値の上記範囲内にある熱出力を有する螺旋形状の熱交換器2を有する。
【0117】
熱交換器2が、熱交換セル1a〜1dのセットの熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器2の軸方向の延在範囲に等しい所定の軸方向の延在範囲を有する。
【0118】
好適には、熱交換器2が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸X−Xを中心としてコイル状である第1の熱伝達流体の流れのための1つの管状ダクト3を備え、これが、それ自体は従来通りに、第1の熱伝達流体の入口接続部3a及びこの流体の出口接続部3bのところでそれぞれ始まって終端する。
【0119】
好適には、管状ダクト3によって形成される1つのコイルの巻線ピッチが一定である。
【0120】
好適には、熱交換器2のコイルの数が、本セットの熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器のコイルの数に等しい。
【0121】
これにより、上で概説したように、有利には、熱出力が変化する一方で本セットの熱交換器2の軸方向の延在範囲を実質的に変化させずに維持しながら所望される一定の大きさにすることを達成することが可能となり、ここではセル1a〜1dの要素のこの構成は熱交換器2の両方の軸方向端部と当接関係で液密的に協働する。
【0122】
例えば、このような要素は、本明細書において後でさらに考察するセル1a〜1dの収容ケーシング5の、又は、収容ケーシングの内部に配置される他の当接要素(図示せず)の、前方壁及び後方壁であってよい。
【0123】
好適には、螺旋形状の熱交換器2が、本セットの熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の内径に好適には等しい実質的に一定の内径を有する。
【0124】
図1図5に示される第1の好適な実施例を特に参照すると、熱交換セル1a〜1dのセットが本セットのすべての熱交換器のための同一の収容ケーシング5を備え、その中に、予め選択される出力を有する螺旋形状の熱交換器2が設置される。
【0125】
収容ケーシング5が、セル1aの熱出力が熱出力値の範囲内で変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有するセル1a〜1dの軸方向の延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する。
【0126】
この好適な実施例の収容ケーシング5が、バーナ4の示されない支持プレートにより前方端部のところで密閉的に閉じられる。
【0127】
示される好適な実施例では、管状ダクト3が扁平楕円形状の断面を有し(図4a〜図4d及び図5に示される)、具体的には、熱交換器2の管状ダクト3の上記複数のコイルのコイルが、螺旋の長手方向軸X−Xに対して実質的に垂直である主軸を有する扁平断面を有する。
【0128】
好適には幅が実質的に一定である隙間6が、管状ダクト3の2つの連続するコイルの扁平表面の間に位置する。
【0129】
この目的のため、既に上で言及したように、セル1a〜1dの各々1つが、好適には、図には良好には示されない適切なスペーサ要素を装備し、これは、管状ダクト3の扁平面から延在するリブ、又は、上記扁平面の間に挿置される櫛形状のスペーサ要素、などである。
【0130】
好適には、螺旋形状の熱交換器2は、この場合ではバーナ4によって生じる高温燃焼ガスから構成される第2の熱伝達流体の供給ゾーン7を上記ケーシング内に画定するように本セットの同一の収容ケーシング5内に設置される。
【0131】
好適には、第2の熱伝達流体の供給ゾーン7が、具体的には、収容ケーシング5内で、熱交換器2を基準として同軸に且つ内部に画定される。
【0132】
これにより、有利には、供給ゾーン7から径方向に進み、螺旋形状の熱交換器2のコイルの間に画定される隙間6を通って外側に進むような、第2の熱伝達流体の流れを得るような構成を本セットの熱交換セル1a〜1dの各々の中に有することが可能となる。
【0133】
好適には、第2の熱伝達流体の供給ゾーン7が、熱交換セル1a〜1dのセット内で、熱交換器2の熱出力が変化する一方で、可能な限り最小のサイズに等しい実質的に一定のサイズを有する。
【0134】
第2の熱伝達流体の供給ゾーン7のこの好適な構成は熱交換器2の好適な構成に由来するものであり、この熱交換器2の好適な構成によると、熱交換器2が、最小の熱出力を有する熱交換器2の軸方向の延在範囲に等しい実質的に一定の軸方向の延在範囲と、本セットの最大及び最小の熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器2の内径に等しい実質的に一定の内径とを有する。
【0135】
有利には、上で概説したように、熱交換器2の及び第2の熱伝達流体の供給ゾーン7のこの好適な構成により、熱交換器2とは異なる本セットの複数のセル1a〜1dの構成要素を標準化すること、及び、セル1a〜1dのセットの熱出力値の範囲内で熱出力が変化する一方で収容ケーシング5の横方向のサイズを可能な限り小さく維持することが可能となる。
【0136】
示される好適な実施例では、収容ケーシング5は概略カップ形状であり、周囲側壁5c及び後方壁5dを有する。
【0137】
好適には、収容ケーシング5は、周囲側壁5cに固定され且つそれ自体は従来通りのものであることからさらに詳細に良好には示されないセルの前方壁に属する環状要素8をその前方のところに装備し、この環状要素8に対して、ケーシング5を実質的に密閉的に閉じるためにバーナ4の支持プレートが付随する。
【0138】
示される好適な実施例では、収容ケーシング5が特には概略円筒形状を有し、2つの適切な形状のハーフ・シェル5a、5bを備える。
【0139】
動作構成では、本セットの熱交換セル1a〜1dの収容ケーシング5が、ケーシング5自体の側壁5c上に好適には形成される複数の開口部9〜12により、セルを中に設置している装置又はシステムの一部を形成する外部構成要素(図示せず)に流体連通される。
【0140】
第1の開口部9はケーシング5からの第2の熱伝達流体の出口となるように構成され、好適には、この流体の排出キャップ14内に形成される。
【0141】
本セットの示される好適な実施例による、熱交換セル1a〜1dの動作構成では、出口開口部9が、好適には、垂直軸を有するように及び上方を向くように配置される。
【0142】
第2の開口部10及び第3の開口部11は、好適には、収容ケーシング5の周囲側壁5cから延在するそれぞれのスリーブ18、19の自由端のところに形成され、好適には、ケーシング5の下側ハーフ・シェル5bと一体に形成される。
【0143】
好適には、スリーブ18、19は、セル1a〜1dのセットの最大及び最小の熱出力値の範囲内でセル1a〜1dの熱出力が変化する一方で、一定の軸間距離を有する。
【0144】
好適には、熱交換器2の管状ダクト3の両端が上記対のスリーブのそれぞれのスリーブ18、19内に配置される。
【0145】
好適には、熱交換器2の管状ダクト3への又はそこからの第1の熱伝達流体の入口接続部3a及び出口接続部3bがスリーブ18、19と当接関係となるように設置され、したがって、図1図3に良好に示されるように、本セットの個別の熱交換セル1a〜1dを中に設置している示されない装置又はシステムの外部構成要素に接続されるように開口部10及び11からわずかに突出する。
【0146】
したがって、開口部10及び11は、好適には、熱交換器2の管状ダクト3への及びそこから出る第1の熱伝達流体(加熱されることになる水)の入口接続部3a及び出口接続部3bを受け入れるように構成される。
【0147】
本セットの熱交換セル1a〜1dの動作構成では、収容ケーシング5の開口部10、11が、螺旋形状の熱交換器2の長手方向軸X−Xに沿う熱交換セル1a〜1dの軸方向の展開部分を基準として互いのそれぞれ後方及び前方のところに位置し、中に本セットの個別の熱交換セル1a〜1dを据え付けている装置又はシステムの外部構成要素(図示せず)との接続を容易にするために下流側を向く。
【0148】
熱交換セル1a〜1dのセットの示される好適な実施例では、これらのセルが凝縮タイプであることを理由として、収容ケーシング5が、好適には、収容ケーシング5の周囲側壁5cから延在するそれぞれのスリーブ20の自由端のところに形成されて好適にはケーシング5の下側ハーフ・シェル5bと一体に形成される第4の開口部12をさらに装備する。
【0149】
開口部12が、2つの熱伝達流体の間での熱交換プロセス中に生じて収容ケーシング5の下側部分内に収集される凝縮物を排出するように構成される。
【0150】
図4a〜図4dに良好に示されるように、セルのセットの熱交換セル1a〜1dが、熱交換器2の径方向外側壁2aと収容ケーシング5の側壁5cとの間において、熱交換器2を基準として外部に画定される第2の熱伝達流体の収集チャンバ13を備える。
【0151】
分かり易いように、図4a〜図4dでは、熱交換器2の径方向外側壁2aに接する線が点線で示される。この場合、管状ダクト3によって形成される熱交換器2が螺旋形状であることを理由として、外側壁2aが不連続的であり、つまり、熱交換器の連続するコイルの間に画定される隙間により軸方向において中断され、管状ダクト3のコイルの径方向外側面によって形成される。
【0152】
図4a〜図4dに示されるように、収集チャンバ13は、セルの前方壁の一部分を形成する環状カバー8によって前面側が閉じられ、後方では収容ケーシング6の後方壁5dによって閉じられ、第2の熱伝達流体(高温燃焼ガス)の排出キャップ14に流体連通される。
【0153】
好適には、収集チャンバ13から排出キャップ14に直接に向かうように第2の熱伝達流体が望ましくない形で迂回するのを制限することを目的として、収容ケーシング5が、形状結合(shape coupling)により、収容ケーシング5の周囲側壁5cの厚み部分の少なくとも一部において形成されるキャップ14の内側開口部内に収容される実質的にプレート形状の密閉要素15を内部に備える。
【0154】
外部環境への熱損失及び収容ケーシング5の後方壁5dの過度の熱応力を制限することを目的として、それ自体は既知である手法で、本セットの熱交換セル1a〜1dが、好適には、第2の熱伝達流体の供給領域7を閉じるように構成される、断熱材料で作られるディスク16を装備する。
【0155】
好適には、本セットの熱交換セル1a〜1dが、それ自体は従来通りのものであることから図示されない断熱材料で作られる概略環状要素をさらに装備し、これがそれ自体は既知である手法でセルの前方壁によって支持される。
【0156】
好適には、ディスク16はねじ17などのそれ自体は従来通りのものである固定要素により後方壁5dの中心に設置される。
【0157】
本発明によると、図4a〜図4dに示されるように、本セットの熱交換セル1a〜1dの熱交換器2の管状ダクト3が、熱交換器の熱出力に比例するコイルの軸方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、本セットの熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器2の軸方向の延在範囲に等しい。
【0158】
この特徴により、及び、熱交換セル1a〜1dのセットの同一の収容ケーシング5の軸方向の延在範囲が、セルの熱出力が変化する一方で、同様に一定であり、且つ、熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向の延在範囲に等しい、という事実により、有利には、可能な限り小さい寸法を有し、またさらには、同時に、本セットの1つのセルを中に設置する装置又はシステムに属する、本セットの熱交換セル1a〜1dの同一の収容ケーシング5の外部支持要素を良好に標準化するのを実現するのを可能にする、セル1a〜1dのセットを有することが可能となる。
【0159】
具体的には、上で概説したように、セルの熱出力が変化する一方で、スリーブ18、19の間の軸間距離が、好適には、統一され且つ一定であり、セル1a〜1dの同一の収容ケーシング5の外部支持要素の寸法が統一され且つ一定である。
【0160】
上で概説したように、熱交換器2が実質的に一定の内径を有するという事実により、熱出力が本セットの最大及び最小の熱出力値の範囲内で変化する一方で、第2の熱伝達流体の供給ゾーン7がそれに応じて実質的に一定の寸法を有するようになり、この特徴により、有利には、熱交換器とは異なる本セットの複数のセル1a〜1dの構成要素を良好に標準化するのを実現することも可能となる。
【0161】
例えば、有利には、以下のものを標準化することが可能となる:
−断熱材料で作られるディスク16の寸法、及び、セル1a〜1dの前方壁によって支持される断熱材料で作られる概略環状要素の寸法、
−本セットの同一のケーシング5の前方密閉壁の寸法、
−バーナの寸法及び対応する付属物の寸法(添付図で示される好適な事例の場合のように、本セットのセル1a〜1dが水加熱装置のための熱交換セルである場合)、又は、高温流体の供給ダクトの寸法(本セットのセル1a〜1dが熱回収装置である場合)。
【0162】
図に示される好適な実施例では、熱交換セル1a〜1dのセットが、単に例示の非限定的な実例では、いわゆる低出力熱交換セルの場合では例えば15kWから35kWの間である、最小値及び最大値の上記所定の範囲内で増大する熱出力を有する4個の熱交換セル1a〜1dを備える。
【0163】
好適には、図1図4に示されるように、本セットのすべての熱交換セル1a〜1dの同一の収容ケーシング5が、有利には、熱出力の最小値及び最大値の上記範囲内でセルの熱出力が変化する一方で、一定であり、且つ、本セットの熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有するセルの収容ケーシング5のサイズに等しい、サイズを有する。
【0164】
収容ケーシング5のサイズは、有利には、上で示した好適な値の範囲内でのセルの熱出力の関数として選択され得る。
【0165】
好適には、さらに、熱交換セル1a〜1dのセットの同一の収容ケーシング5の横方向の延在範囲が、図4dに良好に示されるように、セルのセット内に最大の径方向サイズの熱交換器2を含むように構成されるハウジング・シートをケーシング5内に画定することを目的とする。
【0166】
示される好適な実施例では、熱交換器2の管状ダクト3が、熱交換器2の熱出力に比例するコイルの断面を有する。
【0167】
好適には、このような断面が、本記述で示されるような適切な断面の管状ダクトを提供することにより得られる。
【0168】
したがって、本発明による熱交換セル1a〜1dのセットの枠組みでは、以下の実在物の間に好適な比例関係が存在する:
i)熱交換器2の管状ダクト3のコイルの断面、コイルの径方向の延在範囲、及び、上記ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量、並びに
ii)熱交換器2の熱出力。
【0169】
有利には、この好適な比例関係により、熱出力が変化する一方で、第1の熱伝達流体の圧力低下及び熱交換器2内でのその流れ速度を実質的に一定に維持することが可能となり、この技術的効果は、加熱装置及び加熱システム並びに空気調節装置及び空気調節システムの製造業者から特に評価される。
【0170】
好適には、図5に良好に示されるように、管状ダクト3の断面の主軸及び単軸にそれぞれに平行に測定される、熱交換器2の各コイルの内側の幅Wと内側の高さHとの比も、熱交換器2の熱出力に比例する。
【0171】
既に上で言及したように、この比W/Hは、熱交換器2の熱出力の関数として、好適には2.5を超え、より好適には2.5から5の間に含まれる。
【0172】
出願人は特に以下のことに実験的に気が付いた:熱交換器2の管状ダクト3の各コイルの内側の幅と内側の高さとの比W/Hが2.5を超える場合、有利には、バーナ4によって生じて径方向において熱交換器2から離れる燃焼ガスの温度を、本セットのセル1a〜1dから離れる加熱されることになる水(一般に、40°から80°の間)の温度未満の値まで低下させることが可能となる。
【0173】
燃焼ガスのこのような温度の値により、有利には、金属の保護フェルールを有することを必要とせずに、所望される場合にプラスチック材料で作られ得る収容ケーシング5の材料の熱応力を低減することができる。
【0174】
次に、以下で、図1図5を特に参照して、本発明による熱交換セルのセットを製造する方法の、具体的には上述のセル1a〜1dの製造方法の、好適な実施例を説明する。
【0175】
本方法の最初のステップで、本セットの複数の熱交換セル1a〜1dの同一の収容ケーシング5が提供され、このケーシング5が、例えば1kWから35kWの間である(低出力)、熱出力の値の所定の範囲内でセルの熱出力が変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向に延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する。
【0176】
好適な実施例では、同一の収容ケーシング5を提供するステップが周囲側壁5cから延在するスリーブ18、19を提供することを含み、ここでは、これらのスリーブが、本セットのセル1a〜1dの熱出力が熱出力値の上で言及した範囲内で変化する一方で、一定である軸間距離を有する。
【0177】
次のステップで、各々が最小値及び最大値の上記範囲内にある熱出力を有するような、また各々が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸X−Xを中心としてコイル状である、第1の熱伝達流体の流れのための管状ダクト3を備えるような、複数の螺旋形状の熱交換器2が提供される。
【0178】
好適な実施例では、上で考察したように、管状ダクト3のコイル数が、本セットの熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器2のコイルの数に等しい。
【0179】
好適な実施例では、上で言及した複数の熱交換器2を提供するステップが、
i)所定の値の流体流れであり且つ送達されることになる熱出力に比例する断面を有する管状ダクト3を提供するステップと、
ii)複数のコイルを得るように上記ダクト3を螺旋状となるように成形するステップと
を含む。
【0180】
好適には、管状ダクト3が実質的に円筒形状であり、螺旋形状となるように成形された後で熱交換器2に与えられることになる最終的な長さに等しい所定の長さを得るように、従来の押し出し作業によりステップi)で提供される。
【0181】
図1図5に示される熱交換セル1a〜1dのセットの好適な実施例の製造方法では、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器2を提供するステップが、好適には、熱交換器2の管状ダクト3のコイルを径方向に沿って塑性変形させるステップを含み、それにより、螺旋の長手方向軸X−Xに対して実質的に垂直である主軸を有する扁平断面を有するコイルが得られる。
【0182】
このような塑性変形ステップは、例えば、Le Mer名義の上で言及した国際特許出願WO94/16272に記載される技術及び装置によって実行され得る。
【0183】
本発明によると、上記塑性変形ステップが以下のものを実質的に一定に維持するように実行される:
−管状ダクト3の流体流れの断面、
−本セットの熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器2の軸方向の延在範囲に等しい熱交換器2の軸方向の延在範囲、及び、
−熱交換器2の内径。
【0184】
好適な代替的実施例では、上で説明したように、上で言及した複数の熱交換器2を提供するステップが、
iii)所定の値の流体流れであり且つ熱出力に比例する扁平断面を有する管状ダクト3を提供するステップ、
iv)螺旋の長手方向軸X−Xに対して実質的に垂直である主軸を有する扁平断面を有するような複数のコイルを得ることを目的として、管状ダクト3を螺旋形状とするように成形するステップ
を含む。
【0185】
管状ダクト3を螺旋形状とするように成形するステップがそれ自体は既知である技術及び装置によって実行され得る。
【0186】
この場合でも、管状ダクト3を螺旋形状とするように成形する上で言及したステップが、管状ダクト3の流体流れの断面及び上で言及した複数の熱交換器2の軸方向の延在範囲の両方を実質的に一定に維持するように、実行される。
【0187】
本方法の別のステップで、所望の熱出力を有し且つ上で言及した複数の熱交換器の中で選択される熱交換器2を同一の収容ケーシング5内に設置することが想定され、ここでは、バーナ4によって生じる燃焼ガスの供給ゾーン7が、収容ケーシング5の中の、熱交換器2を基準として同軸且つ内部の位置に画定される。
【0188】
上で言及した複数の熱交換器2が熱出力が変化する一方で実質的に一定である内径を有することを理由として、供給ゾーン7も、同一の収容ケーシング5内に設置される個別の熱交換器2の熱出力が変化する一方で、実質的に一定である径方向の寸法を有し、この径方向の寸法は好適には可能な限り最小の寸法に等しい。
【0189】
セル1a〜1dのセットを製造する本方法によると、熱交換器2の管状ダクト3が、その熱出力が変化する一方で、本セットの熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器2の軸方向の延在範囲に等しくして熱交換器2の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的としながら、熱交換器2の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を有するように構成される。
【0190】
したがって、供給ゾーン7も、同一の収容ケーシング5内に設置される個別の熱交換器2の熱出力が変化する一方で、実質的に一定である軸方向の延在範囲を有し、この径方向の延在範囲は好適には可能な限り最小の延在範囲に等しい。
【0191】
好適な実施例では、同一の収容ケーシング5内に螺旋形状の熱交換器2を設置するステップが、同一の収容ケーシング5の周囲側壁5cから延在するそれぞれのスリーブ18、19内に管状ダクト3の両端を配置することを含む。
【0192】
これらの好適な実施例により、有利には、多様な熱出力を有するが、図4a〜図4dに示されるように、可能な限り最小の軸方向の延在範囲に等しい一定の軸方向の延在範囲を有し且つ良好に標準化される構成要素を備える同一の収容ケーシング5を有する、熱交換セル1a〜1dのセットを得ることが可能となる。
【0193】
本発明による本セットの熱交換セル1a〜1dの動作は既知のタイプの熱交換セルの動作と違わず、実質的に以下の通りである。
【0194】
実際では、供給ゾーン7内に第2の熱伝達流体を供給することにより第2の熱伝達流体と第1の熱伝達流体との間で熱交換が実行され、これはこの例示の非限定的な事例では、熱交換器2を基準として同軸に且つ内部に設置されるバーナ4によって燃焼ガスGを発生させることによって行われる。
【0195】
第2の熱伝達流体(燃焼ガスG)が熱交換器2を通って径方向に流れて、管状ダクト3の2つの連続するコイルの間に形成される隙間6内を通過し、それにより、第2の熱伝達流体の流れを基準として実質的に逆流で管状ダクト3内部を流れる第1の熱伝達流体(加熱されることになる水)に熱を伝達する。
【0196】
熱交換器2を径方向に横断した後、第2の熱伝達流体(燃焼ガスG)が、熱交換器2を基準として外部に画定される収集チャンバ13内に収集され、次いで排出キャップ14内へと流れて開口部9を通って熱交換セル1a〜1dから離れる。
【0197】
有利には、図4a〜図4dに概略的に示されるように、第2の熱伝達流体の流れが密閉要素15により排出キャップ14の方に向かうように誘導され、それにより、直接的に迂回することが制限される。
【0198】
次に、図6a〜図6dを参照して、本発明による熱交換セル1a〜1dのセットの別の好適な実施例を説明する。
【0199】
以下の説明及びこれらの図では、図1図5を参照して上で示したセルの要素と構造的に又は機能的に等価であるセルの要素を同一の参照符号で示し、さらには説明しない。
【0200】
図6a〜図6dに示される好適な実施例では、熱交換器2は、管状ダクト3が螺旋の長手方向軸X−Xに対して鋭角αを形成する主軸を有する扁平断面を有する、という点が異なる。
【0201】
好適には、角度αが60°から87°の間に含まれる値を有する。
【0202】
管状ダクト3のコイルのこのような傾斜構成は、上述した方法により、螺旋の長手方向軸X−Xに対して上記鋭角αを形成する方向に沿ってダクトを塑性変形させることによって得ることが可能となる。
【0203】
このような塑性変形は、例えば、Le Mer名義の上で言及した国際特許出願WO94/16272に記載される技術及び装置によって実行され得る。
【0204】
有利には、この好適な実施例の管状ダクト3のコイルがこのような傾斜構成であることにより、熱交換器2に伝達される及びひいては第1の熱伝達流体に伝達される放射エネルギーを増大させるように、バーナに対して露出される管状ダクト3の表面を増大させることが可能となり、また、ケーシング5の後方部分5dに向かわせるように及びひいては排出キャップ14に向かわせるように第2の熱伝達流体を効率的に運搬することが可能となる。
【0205】
すべてが添付の特許請求の範囲で定義される保護範囲内にある、特定の不確定の、適用の要求条件、変形形態及び修正形態に適合させることを目的として、明らかに、当業者であれば、本明細書において上で説明した本発明に対して修正形態及び変形形態を導入することが可能である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6a
図6b
図6c
図6d