【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の態様によると、本発明が、添付の請求項1で定義される方法に関連し、この方法の好適な特徴が従属請求項2〜11に記載される。
【0024】
より具体的には、本発明が、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セルのセットを製造する方法に関連し、各熱交換セルがそれぞれの収容ケーシング内に設置される少なくとも1つの熱交換器を備え、ここでは、本方法が:
a)本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを提供するステップであって、上記ケーシングが、セルの熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向の延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する、ステップと、
b)複数の螺旋形状の熱交換器を提供するステップであって、複数の螺旋形状の熱交換器の各々が、最小値及び最大値の上記範囲内にある熱出力を有し、また各々が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を中心としてコイル状である、第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを備える、ステップと、
c)本セットの上記複数の熱交換器のうちの少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器を、上記同一の収容ケーシング内に設置するステップと
を含み、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器が、熱交換器の熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で、実質的に一定である内径を有し、
またここでは、少なくとも1つの熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトが、熱交換器の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、本セットの熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の軸方向の延在範囲に等しい。
【0025】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、「熱出力」という用語は、熱交換器内を循環する第1の熱伝達流体と熱交換器の外部を循環する第2の熱伝達流体との間の熱に関する、単位時間当たりの伝達されるエネルギーの量を示すのに使用される。
【0026】
それ自体は既知である形で、本セットの螺旋形状の熱交換器の螺旋形状の管状ダクトは、熱交換器を基準として同軸に且つ内部に、第2の熱伝達流体の供給ゾーンを画定する。
【0027】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、熱伝達流体という用語は、外部熱源から熱を受け取る/外部熱源へ熱を伝達することができ、また、中で流体を循環させる装置又はシステムの多様なポイントへ熱を伝達することができる、任意の流体を示すのに使用される。
【0028】
したがって、例えば、ガス−液体熱交換セルの場合、第1の熱伝達流体が加熱される(家庭用ではボイラ内などで)ことになる水から構成されてよく、第2の熱伝達流体がバーナからくる高温の燃焼ガスから構成されてよく、或は、第1の熱伝達流体が圧縮ガス又は比較的高温の他の流体から構成されてもよく、第2の熱伝達流体が、適切な循環装置(空気調節システム内など)からくる低温空気から構成されてもよい。
【0029】
別法として、液体−液体熱交換セルの場合、高温の清浄水を作るための家庭用の水加熱装置などにおいては、第1の熱伝達流体は、加熱しなければならない低温の液体から構成されてよく、第2の熱伝達流体は、より暖かい加熱液体から構成されてよい。したがって、この場合、熱交換セルは液体−液体熱交換装置として実質的に機能する。
【0030】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、互いに関連する2つ以上の実在物を参照する場合の「比例する」という用語は、これらの実在物のうちの1つの実在物が変化するときに残りの実在物もそれに対応して変化するというような関係がこれらの実在物の間に存在する、ことを示すのに使用される。
【0031】
したがって、例えば、ある実在物が熱出力に「比例して変化する」又は熱出力に「比例する」と言われる場合、これは、この実在物(熱交換器のコイルの径方向の延在範囲又は断面など)と熱出力との間に、熱出力が変化するときに考察の実在物がそれに対応して変化するというような関係が存在する、ことを意味する。
【0032】
好適には、本発明の枠組みでは、2つ以上の実在物の間の関係は正比例である。
【0033】
本発明では、上記少なくとも1つの熱交換器(及び、ひいてはセル)の熱出力と例えばコイルの径方向の延在範囲又は断面との間の比例関係は正比例関係でなくてもよく、セルの製造及び/又は適用の特定の要求条件に従って当業者によって個別的に決定され得る比例法則に従う。
【0034】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、セル又はセルの要素の、種々の、「軸」方向、「長手」方向、「横」方向、又は、「径」方向など又はその向きは、特に明記しない限り、熱交換器の螺旋の長手方向軸を基準とすることを意図される。
【0035】
熱交換セルの動作構成では、この長手方向軸は水平又は垂直であってよく、したがって、セル又はセルの要素の種々の方向又は向きは熱交換器の螺旋の長手方向軸の向きに関連させて考察されなければならない。
【0036】
以下の説明では、説明の簡潔さのために、限定する意図はないが、従来通りに、熱交換器の長手方向軸が水平であるような、熱交換セルの、セットのセルの動作位置を参照する。
【0037】
最後に、本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、量(amount)、量(quantity)及びパーセンテージなどを表すすべての数値は、特に明記しない限り、いずれの例においても「約」という語が前に付くものとして理解される。また、実際の数字の全範囲には、本明細書において後で具体的に示される数値に加えて、最大及び最小の数値と、その間の考えられるすべての中間範囲と、の考えられるすべての組み合わせが含まれる。
【0038】
本発明では、熱交換セルの収容ケーシングはこの種の使用に適する任意の構造材料で作られてよく、これは例えば、アルミニウム、鋼、又は、例としてポリフェニレンサルファイド(PPS)などの、化学物質、炎及び水蒸気に対しての耐性特性を有する高性能プラスチック、などである。
【0039】
本発明では、上で言及した熱交換器は、熱交換のために一般に使用される高い熱伝導率を有する、アルミニウム又は鋼などの、任意の材料で作られてよく、これは好適には金属である。
【0040】
本発明によると、出願人は以下のことを認識している:本セットの複数のセルの同一の収容ケーシングの軸方向の寸法に関する、このようなケーシングの支持要素の軸方向の寸法に関する、並びに、熱出力が変化する一方での本セットの複数のセルの同一の収容ケーシングの構成要素及び支持要素の標準化に関する、特徴の上で言及した所望される組み合わせが、本セットに属するセルの一連の特徴を適切に組み合わせて、等しい熱出力において多様な軸方向の延在範囲を有する既知のタイプの熱交換セルと比較してそれ以上である熱交換効率を得ることにより、達成され得る。
【0041】
より具体的には出願人は以下のことに気が付いた:
a)本セットの熱出力値の範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向に延在範囲に等しく且つ一定である軸方向の延在範囲を有する同一の収容ケーシングを提供することにより、
b)熱交換器の熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で実質的に一定である内径を有する複数の螺旋形状の熱交換器を提供することにより、
c)本セットの上で言及した複数の熱交換器のうちの少なくとも1つの熱交換器を、上で言及した同一の収容ケーシング内に設置することにより、及び、
d)その熱出力が変化する一方で、本セットの熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の軸方向の延在範囲に等しくして熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的としながら、熱交換器の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を熱交換器の管状ダクトに対して与えることにより、
セルの熱出力が本セットの熱出力値の範囲内で変化する一方で、熱交換器及びこの熱交換器を収容する同一の収容ケーシングの両方の軸方向の延在範囲を可能な限り最小の値で一定に維持することが可能となり、また同時に、熱交換器とは異なるセルの構成要素と、セルの同一の収容ケーシングの外部支持要素との両方を良好に標準化するのを実現することが可能となる。
【0042】
実際には、本セットの熱交換セルの螺旋形状の熱交換器の所望される熱出力を増大させることは、本セット内で、熱出力が変化する一方で熱交換器及びこの熱交換器を含む同一の収容ケーシングの両方の軸方向の延在範囲を可能な限り最小の値に等しくして一定に維持することと、第1の熱伝達流体を適切な流量で循環させるのに十分な断面を有するようなダクトを選択することと、熱出力が増大又は低下する一方で熱交換器の横方向に沿って膨張又は縮小させるのを実現するようにコイルの径方向の延在範囲を変化させることと、によって達成される。
【0043】
言い換えると、出願人は以下のことに気が付いた:このような形で動作させることにより、螺旋形状の熱交換器の軸方向の延在範囲を変化させることなくしたがって可能な限り最小を維持する熱交換セルのケーシングの軸方向の延在範囲を変化させるのを必要とすることなく、本セットの熱出力の最大値及び最小値の範囲内で、螺旋形状の熱交換器の熱出力を増大又は低下させることが可能となる。
【0044】
出願人はまた、以下のことに気が付いた:このような形で動作させることにより、熱出力が変化する一方で同一の収容ケーシングの軸方向の寸法を可能な限り最小の寸法に等しくして一定で維持することを理由として、装置に属するか又は本セットの個別のセルを中に据え付けているシステムに属する、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングの外部支持要素を良好に標準化するのを達成することも可能となる。
【0045】
最後に、熱交換器とは異なるセルの構成要素を所望される通りに良好に標準化することが、本セット内で、その熱出力が本セットの熱出力値の範囲内で変化する一方で本セットの熱交換器の軸方向の延在範囲及び内径の両方を実質的に一定に維持することにより、達成される。
【0046】
このようにして、本セットの複数のセルの同一の収容ケーシング内で、熱交換器を基準として同軸に且つ内部に、第2の熱伝達流体の供給ゾーンが画定され、これが、熱出力が変化する一方で、軸方向及び径方向の両方に沿って実質的に一定の寸法を有する。
【0047】
この特徴により、有利には、熱交換器とは異なる本セットの複数のセルの構成要素を標準化することが可能となり、これは例えば、収容ケーシングの前方ゾーン又は後方ゾーンにおいて熱交換器の内部に概して配置される、第2の熱伝達流体の供給ゾーンに面する断熱要素、ケーシングの前方密閉壁、バーナ、並びに、存在する場合の、高温の流体の対応する付属物又は供給ダクト、などである。
【0048】
したがって、このような請求される特徴の組み合わせにより以下の利点を得ることが可能となる:
−本セットの複数のセルのすべての熱交換器の同一の収容ケーシング内に収容されるように、それらの熱出力が変化する一方で実質的に一定である最小の軸方向の寸法を有する複数の熱交換器を有することであって、したがってこの同一の収容ケーシングが最小の軸方向の寸法を有するようになる、こと;
−熱交換セルの熱交換器内を循環する流体の入口接続部と出口接続部との間の軸間距離を実質的に一定に維持することの実現性を有すること;
−製品の供給及び製品の倉庫管理を単純化することの実現性を有すること;
−本セットの各セルを中に挿入する加熱装置又は加熱システムのサイズを結果として統一するように、及び、上で言及した加熱装置又は加熱システムの構成要素の配置を単純化するように、統一されたサイズを有する熱交換セルのセットを有すること;
−熱出力が変化する一方で熱交換セルのセットの構成要素を非常に良好に標準化するのを可能にするために、軸方向及び横方向の両方に沿って実質的に一定の寸法を有するような同一のケーシングの内部に第2の熱伝達流体の供給ゾーンを有すること。
【0049】
本発明の第2の態様によると、本発明が、添付の請求項12で定義される熱交換セルのセットに関連し、セルのセットの好適な特徴が独立請求項13〜20に記載される。
【0050】
より具体的には、本発明は、最小値及び最大値の所定の範囲内にある熱出力を有する熱交換セルのセットに関連し、各熱交換セルが本セットの複数の熱交換器の少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器を備え且つ最小値及び最大値の上記範囲内にある熱出力を有し、
ここでは、本セットが本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを備え、その中に本セットの上記複数の熱交換器の上記少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器が設置され、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器の各螺旋形状の熱交換器が、複数のコイルによる、螺旋の長手方向軸を基準としてコイル状である、第1の熱伝達流体の流れのための少なくとも1つの管状ダクトを備え、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器が、熱交換器の熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で、実質的に一定である内径を有し、
ここでは、本セットの上記複数の熱交換器の熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトが、熱交換器の熱出力に比例するコイルの径方向の延在範囲を有し、且つ、その熱出力が変化する一方で熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持することを目的とし、これが、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の軸方向の延在範囲に等しく、
ここでは、本セットの上記同一の収容ケーシングが、セルの熱出力が変化する一方で、一定であり、且つ、熱出力値の上記範囲内の最小の熱出力を有するセルの軸方向の延在範囲に等しい、軸方向の延在範囲を有する。
【0051】
有利には、本発明の熱交換セルのセットが、その製造方法に関連する上述の技術的効果を達成する。
【0052】
本発明は、上記態様のうちの少なくとも1つの態様において以下の好適な特徴のうちの少なくとも1つを有することができ、これらの特徴は、特には、適用の特定の要求条件に適合するように所望される場合に互いに組み合され得る。
【0053】
好適には、本セットの上で言及した複数の熱交換器の各熱交換器のコイルの数が、本セットの熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器のコイルの数に等しい。
【0054】
これにより、有利には、熱出力が変化する一方で、本セットの熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に変化させずに維持しながら所望される一定の大きさにすることを達成することが可能となり、ここではセルの要素のこの構成は熱交換器の両方の軸方向端部と当接関係で液密的に協働する。
【0055】
例えば、このような要素は、セルの収容ケーシングの、又は、収容ケーシングの内部に配置される他の当接要素の、前方壁又は後方壁であってよい。
【0056】
好適には、セルのセットの同一の収容ケーシング内の熱交換器の設置構成が、供給ゾーンから概略径方向又は概略軸方向−径方向に沿って螺旋形状の熱交換器を通って外側に向かうような第2の熱伝達流体の流れを熱交換セル内に有することを有利には可能にするような第2の熱伝達流体の供給ゾーンをケーシング内に画定することを目的とする。
【0057】
有利には、セルのセットの同一の収容ケーシング内の熱交換器のこの好適な設置構成は、螺旋形状の熱交換器を装備するガス−液体熱交換セルの実質的に全体によって想定されるような構成であり、これは特には、第2の熱伝達流体がバーナからくる高温燃焼ガス又は適切な循環装置からくる低温ガスであり且つ第1の熱伝達流体が加熱又は冷却されることになる液体である場合である。
【0058】
好適には、熱交換セルのセットが、最小値及び最大値の上記所定の範囲内で増大する熱出力を有する、2個から8個の、好適には2個から6個の、またより好適には2個から4個の熱交換セルを備える。
【0059】
これにより、有利には、本セットの多様な熱出力を有するすべての熱交換器のために同一の収容ケーシングが使用される場合に必要となるケーシングの数を最大限に低減することとの組み合わせで、エンド・ユーザへの熱出力の供給において高い柔軟性を得ることが可能となる。
【0060】
好適には、熱交換セルのセットが最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲から選択される熱出力を有する:1kWから12kW、好適には2kWから10kWである第1の範囲、15kWから35kW、好適には16kWから32kWである第2の範囲、35kWから65kW、好適には40kWから62kWである第3の範囲、及び、65kWを超える、好適には70kWから115kWである第4の範囲。
【0061】
本記述の枠組み及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、最小及び最大の熱出力値の上記第1及び第2の範囲が「低」熱出力を示すものとして総称され、値の上記第3の範囲が「中間」熱出力を示すものとして総称され、値の上記第4の範囲が「高」熱出力を示すものとして総称される。
【0062】
好適な実施例では、本セットの上記複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを提供するステップa)が、セルの熱出力が熱出力の最小値及び最大値の上記範囲内で変化する一方で、所定の一定のサイズを有する収容ケーシングを提供することによって実行される。
【0063】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲では、収容ケーシングの「サイズ」又はセルの熱交換器の「サイズ」という用語は、特に明記しない限り、軸方向(すなわち、長手方向)及び軸方向に対するすなわち熱交換器の長手方向軸に対する横方向において、それらによって占有されるスペースを示すのに使用され、これは例えば、収容ケーシングの形状が実質的に角柱である場合には高さ及び幅であり、又は、収容ケーシングの形状が実質的に円筒である場合には径方向に沿うものである。
【0064】
好適な実施例では、本セットが、本セットのすべての熱交換セルの同一の収容ケーシングを有する。
【0065】
これにより、したがって、熱交換セルの収容ケーシングの軸方向の延在範囲が有利には本セットの熱出力のすべての値において統一される。したがって、有利には、製造され、保管され、エンド・ユーザの装置又はシステム内に設置されることになる要素の数を顕著に単純化するのを達成することが可能となる。
【0066】
この好適な実施例の枠組みでは、熱交換セルのセットの上記同一の収容ケーシングの横方向の延在範囲は、さらにより好適には、セルのセット内に最大の径方向サイズの熱交換器を含むように構成されるハウジング・シートをケーシング内に画定することを目的とする。
【0067】
これにより、有利には、本セットのすべての熱交換器のための、統一された全体サイズを有する同一の収容ケーシングを使用することが可能となり、これにより、本セットの各セルを中に挿入する熱装置又は熱システムのサイズを統一するのを可能にすること及び上で言及した熱装置又は熱システムの構成要素の配置を単純化するのを可能にすることとの組み合わせで、エンド・ユーザへの熱出力の供給において高い柔軟性が得られるという追加の利点が得られる。
【0068】
好適な実施例では、本セットの上記同一の収容ケーシングの軸方向の延在範囲が最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲から選択される:セルの熱出力が上記第1及び第2の範囲である(低出力)場合の、80mmから190mm、好適には120mmから180mmである第1の範囲、セルの熱出力が上記第3の範囲である(中間出力)場合の、200mmから360mm、好適には320mmから350mmである第2の範囲、並びに、セルの熱出力が上記第4の範囲である(高出力)である場合の、360mmから660mm、好適には400mmから660mmである第3の範囲。
【0069】
これにより、有利には、所望の熱出力に適合する最小の軸方向の延在範囲を有する本セットの収容ケーシングを用いて、家庭用の分野、住宅の複合体、並びに、工業地域及びショッピング街の分野で一般に予期される使用において最も必要とされるような3つのセットの熱出力をエンド・ユーザに供給することにおいて高い柔軟性を有することができるという利点を得ることが可能となる。このすべてが、上記の出力のセットの各々に対して統一される軸方向の延在範囲を有する収容ケーシングを使用することと組み合わされ、このケーシングは、したがって、上記セットの各セルを挿入する熱装置又は熱システムの全体サイズを標準化することと、上で言及した加熱装置又は加熱システムの構成要素の配置を単純化することとを可能にする。
【0070】
好適な実施例では、熱交換器の上記同一の収容ケーシングが、第2の熱伝達流体の考えられる排出キャップのサイズを除いて、最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲内に含まれる横方向のサイズ(つまり、熱交換器の長手方向軸に対して横方向においてケーシングによって占有されるスペース)を有する:セルの熱出力が上記第1の範囲である場合の、100mmから220mm、好適には140mmから200mmである第1の範囲、セルの熱出力が上記第2の範囲である場合の、220から300mm、好適には240mmから290mmである第2の範囲、セルの熱出力が上記第3の範囲である場合の、300mmから400mm、好適には約310mmから350mmである第3の範囲、セルの熱出力が上記第4の範囲である場合の、400mmから660mm、好適には430mmから600mmである第4の範囲。
【0071】
これにより、有利には、所望の熱出力に適合する最小の全体サイズを有する本セットの収容ケーシングを用いて、上記の出力のセットの各々のための統一されたサイズを有する非常にコンパクトな同一の収容ケーシングを使用することにより、一般に予期される使用において最も必要とされるような3つの範囲の熱出力をエンド・ユーザに供給することにおいて高い柔軟性を有することができるという上で言及した利点を拡大することが可能となる。本セットの収容ケーシングのこのような統一されたサイズにより、さらに、上で言及したセットの各セルを挿入する加熱装置又は加熱システムのサイズを標準化すること及び上で言及した加熱装置又は加熱システムの構成要素の配置を単純化することが可能となる。
【0072】
好適には、本セットの複数の螺旋形状の熱交換器の内径は、熱出力が変化する一方で、実質的に一定であり、本セットの熱出力値の上で言及した範囲内の最小の熱出力を有する熱交換器の内径に等しい。
【0073】
これにより、有利には、径方向に沿って最小の寸法を有する第2の熱伝達流体の供給ゾーンを有することが可能となり、そこから、本セットの複数の熱交換器と、それらを含むセルのセットの同一の収容ケーシングとの両方がコンパクトになるという利点が得られる。
【0074】
好適には、本セットの複数の螺旋形状の熱交換器の内径は一定であり、熱交換器の及びひいては熱交換器を含む熱交換セルの熱出力の関数として60mmから540mmの間に含まれる値の範囲内で変化する。
【0075】
好適には、螺旋形状の熱交換器は最小値及び最大値の以下の範囲のうちの1つの範囲に含まれる螺旋の内径を有する:セルの熱出力が上記第1の範囲の場合の、60mmから120mm、好適には70mmから110mmである第1の範囲、セルの熱出力が上記第2の範囲である場合の、120mmから190mm、好適には150mmから180mmである第2の範囲、セルの熱出力が上記第3の範囲である場合の、190mmから260mm、好適には200mmから250mmである第3の範囲、セルの熱出力が上記第4の範囲である場合の、260mmから540mm、好適には290mmから480mmである第4の範囲。
【0076】
好適には、熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトが、熱交換器自体の熱出力に比例するコイルの断面を有する。
【0077】
これにより、有利には、熱交換器の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と熱交換器自体の熱出力との間に比例関係を得ることが可能となる。
【0078】
この比例関係により、有利には、以下の技術的効果を達成することが可能となる。
【0079】
1つ目の有利な技術的効果は、熱交換器の熱出力が変化する一方で圧力低下が実質的に一定であり、それにより、第1の熱伝達流体の循環デバイス(例えば、ポンプ)の選択に関しての及びそれに関連する運転コストに関しての利益が得られる、ことである。
【0080】
2つ目の有利な技術的効果は、第1の熱伝達流体の速度が実質的に一定となり、それにより、使用に関しての、及び、本セットの熱交換セルを据え付ける種々のタイプの加熱システム又は空気調節システムへの適合に関しての、柔軟性が向上する、ことである。
【0081】
好適な実施例では、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器を提供する上記ステップb)が、
i)所定の値の流体流れであり且つ送達されることになる熱出力に比例する断面を有する管状ダクトを提供するステップ、
ii)複数のコイルを得るように上記管状ダクトを螺旋形状とするように成形するステップ
を含む。
【0082】
これにより、有利には、上で強調した利益を得るために、熱交換器の熱出力が変化する一方で第1の熱伝達流体の圧力低下及び流れ速度を実質的に一定にすることを目的として、熱交換器の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と熱交換器の熱出力との間の上で言及した好適な比例関係に適合するような、上記複数の熱交換器のうちのそれぞれの熱交換器を、本セットの各セルに対して提供することが可能となる。
【0083】
好適な実施例では、上記複数の熱交換器の熱交換器の上記少なくとも1つの管状ダクトの上記複数のコイルのコイルが扁平断面を有し、その主軸が螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直であるか又は上記軸に対して鋭角を形成する。
【0084】
これにより、有利には、熱交換器の軸方向(すなわち、長手方向)の延在範囲を制限しながら同時に第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での熱交換を最適にするのを達成することが可能となる。
【0085】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトの断面の形状に関係なく、セルがそれ自体は既知である適切なスペーサ要素を備え、例えばこれは、円形断面の場合は例えば国際特許出願、国際公開第2005/080900号に記載されるような又は扁平断面の場合はWO94/16272に記載されるような、ダクトの扁平面から延在するリブ、或は、例えば米国特許出願、米国特許出願公開第2007/0209606号明細書に記載されるような上記扁平面の間に挿置される櫛形状のスペーサ要素、などである。
【0086】
有利には、上記スペーサ要素は、ダクトの扁平面の間に、好適には一定である所定の幅を有する隙間を画定するように構成され、それにより、概して径方向又は軸方向−径方向において第2の熱伝達流体の流れのための流体経路が形成される。
【0087】
本記述及びその後の特許請求の範囲の枠組みでは、熱交換器のダクトの扁平面の間に画定される隙間の「幅」という用語は、上記面に対して垂直な方向に沿って測定される上記面の間の距離を示すのに使用される。
【0088】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有する場合、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器を提供するステップb)が径方向又は軸方向/径方向に沿ってコイルを塑性変形させるステップをさらに含み、それにより、螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直であるか又は上記軸に対して鋭角を形成する主軸を有する扁平断面を有するような上記複数のコイルが得られる。
【0089】
好適には、上記塑性変形ステップは、管状ダクトの流体流れの上記断面及び上で言及した複数の熱交換器の軸方向の延在範囲の両方を実質的に一定に維持するように、実行される。
【0090】
これにより、有利には、複数の熱交換器の軸方向(すなわち、長手方向)の延在範囲を制限しながら同時に第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での熱交換を最適にするのを達成することと、熱交換器の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と熱交換器の熱出力との間に上で言及した比例関係を得ることと、の両方が可能となる。
【0091】
代替の好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有する場合、上で言及した複数の螺旋形状の熱交換器を提供するステップb)が、好適には、
iii)所定の値の流体流れであり且つ熱出力に比例する扁平断面を有する管状ダクトを提供するステップ、
iv)螺旋の長手方向軸に対して実質的に垂直であるか又は上記軸に対して鋭角を形成する主軸を有する扁平断面を有するような複数のコイルを得ることを目的として、上記管状ダクトを螺旋形状とするように成形するステップ
を含み、
ここでは、上記螺旋成形ステップが、その熱出力が変化する一方で上記複数の熱交換器の熱交換器の軸方向の延在範囲を実質的に一定に維持するように、実行される。
【0092】
上で言及したステップiii)を実行するための好適な手法は以下のステップを実行することを想定する:
−所定の値の流体流れであり且つ熱出力に比例する円形断面を有する管状ダクトを提供するステップ、及び、
−扁平断面を得ることを目的として上記管状ダクトを螺旋形状となるように塑性変形させるステップ。
【0093】
これらのステップは、例えば国際特許出願WO94/16272に記載される技術及びシステムによって実行され得る。
【0094】
別法として、一片の適切な金属材料から始めて、長手方向においてレーザ溶接などの溶接を行って扁平断面を有する管状ダクトを形成することにより、上で言及したステップiii)を実行することも可能である。
【0095】
この場合も、有利には、上で言及した複数の熱交換器の熱交換器の軸方向(すなわち、長手方向)の延在範囲を制限しながら同時に第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での熱交換を最適にするのを達成することと、交換機の少なくとも1つの管状ダクト内を流れる第1の熱伝達流体の流量と上で言及した複数の熱交換器の熱交換器の熱出力との間に上で言及した比例関係を得ることと、の両方が可能となる。
【0096】
好適な実施例では、熱交換器の管状ダクトのコイルが扁平断面を有する場合、上で言及した複数の熱交換器の螺旋形状の熱交換器のダクトの各コイルの内側の幅と内側の高さとの比が(これらは、上記管状ダクトの断面のそれぞれ主軸及び短軸に平行に測定される)、熱交換器の熱出力に比例する値を有する。
【0097】
これにより、有利には、熱交換器の熱出力に比例するような、第1の熱伝達流体と第2の熱伝達流体との間での最適な熱交換を達成することが可能となり、その理由は、熱出力が増大する一方で、螺旋形状の熱交換器の管状ダクトによって形成されるコイルの扁平面の間の隙間内に画定される第2の熱伝達流体の流れのための流体経路の径方向に沿う延在範囲も増大するからである。
【0098】
好適には、この比は、熱交換器の熱出力の関数として、2.5を超える値を有し、より好適には、これは2.5から5の間に含まれる。
【0099】
具体的には、出願人は以下のことに実験的に気が付いた:本セットのセルがバーナから離れる燃焼ガス(第2の熱伝達流体)と加熱されることになる水(第1の熱伝達流体)との間での熱交換セルであるような好適な実施例の枠組みにおいて、熱交換器のダクトの各コイルの内側の幅と内側の高さとの比が2.5を超える場合、有利には、熱交換器から径方向に離れる燃焼ガスの温度を、セルから離れる加熱された水(一般に、40°から80°の間)の温度未満の値まで低下させることが可能となる。
【0100】
燃焼ガスの温度の値がこのように低いことにより、有利には、セルの収容ケーシングを構成する材料が受けることになる熱応力を低減することが可能となり、それによりその動作寿命が延び、また、Giannoni France名義の国際特許出願、国際公開第2004/036121号に例えば記載されるように熱交換器の周りに金属の保護フェルール(metal protection ferrule)を準備することを必要とすることなく、例えばプラスチックなどの非金属材料を使用することが可能となる。
【0101】
好適な実施例では、上で言及した複数の熱交換器の螺旋形状の熱交換器が、同一のコイルを形成する同一の管状ダクトを備える。
【0102】
代替の好適な実施例では、上で言及した複数の熱交換器の螺旋形状の熱交換器が複数の管状ダクトを備え、これらは任意選択で軸方向において互いに隣接し及び/又は結合される。
【0103】
好適にはこの複数の管状ダクトが同一のコイルを形成する。
【0104】
好適には上で言及した1つのコイルの巻線ピッチが一定である。
【0105】
これにより、有利には、製造作業を容易にして、本セットの熱交換器の製造コストを低減することが可能となる。
【0106】
好適な実施例では、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングを提供するステップa)が、セルの熱出力が熱出力値の上記範囲内で変化する一方で一定である軸間距離を有する、同一の収容ケーシングの周囲側壁から延在する少なくとも一対のスリーブを提供することを含む。
【0107】
この好適な実施例では、本セットの複数の熱交換セルの上で言及した複数の熱交換器の上で言及した少なくとも1つの螺旋形状の熱交換器を同一の収容ケーシング内に設置するステップc)が、熱交換器の上で言及した少なくとも1つの管状ダクトの両端を、上で言及した一対のスリーブのそれぞれのスリーブ内に配置することを含む。
【0108】
好適には、このようにして得られる熱交換セルのセットが、したがって、上で言及した好適な特徴を有するような、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシング、及び、熱交換器を備える。
【0109】
これにより、有利には、多数の熱交換セル内で使用される構成に従って、熱交換器の管状ダクトの端部が、本セットの複数の熱交換セルの同一の収容ケーシングの周囲側壁から突出する場合においても、熱交換セルの熱交換器内を循環する流体の入口接続部と出口接続部との間の軸間距離を実質的に一定に維持することが可能となる。
【0110】
本発明による、熱交換セルのセットの好適な実施例及びその製造方法の好適な実施例の以下の説明から、本発明の追加の特徴及び利点がより良好に明らかとなり、以下の説明は、添付図面を参照しながら、例示の非限定的な実例によって本明細書において後で行われる。