(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一例において、本発明の目的は、ツルマメオイルを含む、多様な用途を有する組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一観点はツルマメオイルを有効成分として含有する組成物を提供する。
【0009】
具体例1.ツルマメオイルを有効成分として含む抗酸化用組成物。
具体例2.ツルマメオイルを有効成分として含む抗老化用組成物。
具体例3.前記具体例1〜3のいずれかにおいて、前記組成物は老化を遅延または老化を改善する、組成物。
具体例4.前記具体例1〜3のいずれかにおいて、前記組成物はコラゲナーゼの生成を抑制または阻害し、またはコラゲナーゼの発現を抑制する、組成物。
具体例5.前記具体例1〜3のいずれかにおいて、前記組成物はシワを改善またはシワを緩和させる、組成物。
具体例6.ツルマメオイルを有効成分として含む美白用組成物。
具体例7.前記具体例6において、前記組成物はメラニンの生成を抑制または阻害し、またはメラニンの発現を抑制する、組成物。
具体例8.ツルマメオイルを有効成分として含む抗炎症用組成物。
具体例9.前記具体例8において、前記炎症はニキビである、組成物。
具体例10.前記具体例8または9において、前記組成物はMCP(Monocyte Chemoattractant Protein)の生成、またはその発現を抑制しまたは阻害する、組成物。
具体例11.ツルマメオイルを有効成分として含む保湿用組成物。
具体例12.前記具体例11において、前記組成物はアトピーまたは乾癬を治療、予防、または改善する、組成物。
具体例13.前記具体例11または12において、前記組成物は皮膚バリア機能を強化する、組成物。
具体例14. 前記具体例1〜13のいずれかにおいて、前記組成物はツルマメオイルを0.001〜10質量%の範囲で含む、組成物。
具体例15.前記具体例1〜14のいずれかにおいて、前記組成物は化粧料組成物である、組成物。
具体例16.前記具体例1〜15のいずれかにおいて、前記組成物は皮膚外用剤組成物である、組成物。
具体例17.前記具体例1〜16のいずれかにおいて、前記組成物は薬学的組成物である、組成物。
具体例18.前記具体例1〜17のいずれかにおいて、前記組成物は健康食品組成物である、組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施例に係る組成物は、ツルマメオイルを有効成分として含み、抗老化、抗シワ、美白、抗炎、抗ニキビ、保湿、アトピーの改善、皮膚バリア機能の改善などの効果を奏する。このような効果は、それぞれの効果を奏すると認められて市中で販売される物質よりも優れた水準で、且つ、ツルマメではない他種の豆オイルよりも優れたものであった。さらに、本発明の一実施例に係る組成物は、天然の植物から得られたオイルを有効成分として含み、副作用が殆どなく、長期間使用した場合でも耐性ができる可能性が極めて低いことから、化粧品または医薬の分野において多様に活用可能であるという長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において「ツルマメ(ナプテギマメ)(Glycine gracilis)」は、形が平たいという語源から付けられた名称であって、ナプチョレギマメ(青松)、ナプトゥレマメ(迎日)、ナプチャクマメ(京畿道)などと多様に呼ばれる。本明細書のツルマメは、最もよく見られる豆である大豆とは異なり、楕円形であり平たくて細長い形を有する。ツルマメを初伏前に植えるとツルがたくさん伸びるが、初伏が過ぎて植えると背が低くて株の下に一度に足が入る隙もなく豆がたくさん生る。ツルマメの葉は多少狭くて小さい方であり、青色の花を咲かせる。ツルマメをもやしに育てる場合、成長がはやくて頭の部分が細長くて小さく、軟らかくて美味しいという特徴がある。
【0013】
本明細書において「ツルマメオイル」は、当業界において天然物のオイルを得ると知られた方法にて得られたものであれば制限なく用いることができる。具体的に、ツルマメを油圧式搾油機に入れて搾油して得られたオイル、または該オイルをろ過紙に通過させて得られるオイルの双方を意味するものであってよいが、これに制限されるものではない。
【0014】
本発明は、一観点において、ツルマメオイルを有効成分として含む抗酸化用組成物に関する。本明細書において「抗酸化」とは、当業界において知られた酸化過程を遅延または防止、または予防できる効能をいうものであって、制限がない。
【0015】
本発明は、他の観点において、ツルマメオイルを有効成分として含む抗老化用組成物に関する。本明細書において「抗老化」とは、当業界において知られた老化過程を遅延または防止、または予防できる効能をいうものであり、具体的に、皮膚内コラゲナーゼの発現を効果的に抑制することによって皮膚内のコラーゲン分解を減少させ、皮膚弾力を増進させるとともにシワを改善させる効能を意味するものであってよいが、これに制限されるものではない。
【0016】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は老化を遅延または老化を改善することができる。
【0017】
本発明の一観点である組成物は、さらに、コラゲナーゼの生成を抑制または阻害し、またはコラゲナーゼの発現を抑制することができる。
【0018】
本発明の一観点である組成物は、さらに、シワを改善またはシワを緩和させることができる。
【0019】
本発明は、また他の観点において、ツルマメオイルを有効成分として含む美白用組成物に関する。前記組成物は、メラニンの生成を抑制しまたはメラニン生成関連遺伝子の発現自体を抑制することによって優れた美白効果を提供することができる。
【0020】
本発明は、さらなる観点において、ツルマメオイルを有効成分として含む抗炎症用組成物に関する。本明細書において「抗炎症」とは、炎症を抑制しまたは阻止するあらゆる種類の活性を意味するものである。本発明の一観点である前記組成物において、前記炎症は、皮膚炎症だけでなく体内のあらゆる種類の炎症を含むものであり、具体的にニキビであってよいが、これに制限されるものではない。
【0021】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は、MCP(Monocyte Chemoattractant Protein)の生成を抑制し、またはその生成関連遺伝子の発現自体を抑制しまたは阻害することができる。
【0022】
本発明は、さらに他の観点において、ツルマメオイルを有効成分として含む保湿用組成物に関する。本発明の組成物は、皮膚バリア機能を強化させ且つ皮膚角質形成細胞の分化を誘導させることができる。したがって、表皮分化の不完全により生じる皮膚乾燥症または乾癬などを予防または改善する上で有効に用いることができる。
【0023】
このような観点において、前記組成物は、アトピーまたは乾癬を治療、予防、または改善することができる。本発明の一観点である組成物において、前記組成物は、さらに、皮膚バリア機能を強化させることができる。
【0024】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は、ツルマメオイルを0.001質量%以上、0.002質量%以上、0.003質量%以上、0.004質量%以上、0.005質量%以上、0.006質量%以上、0.007質量%以上、0.008質量%以上、0.009質量%以上、0.01質量%以上、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.04質量%以上、0.05質量%以上、0.06質量%以上、0.07質量%以上、0.08質量%以上、0.09質量%以上、または0.1質量%以上、6質量%以下、7質量%以下、8質量%以下、9質量%以下、10質量%以下
、例えば0.001〜10質量%、0.001〜10質量%、0.005〜9質量%、0.01〜8質量%、0.05〜7質量%、または0.1〜6質量%の範囲で含んでいてよい。前記ツルマメオイルが前記範囲未満で含まれると、前記言及した各種の効果が微小に現れ、前記範囲を超過して含まれると、含有量の増加に伴う明らかな効果の増加が現れず、他の成分の含量比に影響を及ぼし得る。
【0025】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は化粧料組成物であってよい。
【0026】
本発明に係る皮膚外用剤組成物を化粧料の形態で剤形化する場合、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォータ、パウダー、エッセンス、またはパックなどの形態で剤形化されてよく、その剤形が特に限定されるものではない。また、本発明に係る組成物は、脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤、ゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性もしくは親油性活性剤、脂質小嚢または化粧品に通常用いられる任意の他の成分などの化粧品学もしくは皮膚科学分野において通常用いられる補助剤を含有してもよい。前記補助剤は、化粧品学または皮膚科学分野において一般に用いられる量で取り込まれる。また、本発明の組成物は、皮膚改善効果を増加させるために皮膚吸収促進物質を含有していてよい。
【0027】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は皮膚外用剤組成物であってよい。
【0028】
本発明の組成物は、皮膚外用剤組成物であってよく、より具体的には、抗酸化用皮膚外用剤組成物として用いられていてよく、これは有機ラジカルであるDPPHの酸化を抑制させることで優れた抗酸化効果を提供することができる。また、本発明の組成物は、抗老化用皮膚外用剤組成物として用いられていてよく、これは皮膚内コラゲナーゼの発現を効果的に抑制することによって皮膚内のコラーゲン分解を減少させて皮膚弾力を増進させ且つシワを改善させる抗老化効果に優れる。また、本発明の組成物は、美白用皮膚外用剤組成物として用いられていてよく、これはメラニンの生成を抑制することによって優れた美白効果を提供することができる。さらには、本発明の組成物は、保湿用皮膚外用剤組成物として用いられていてよく、これは皮膚バリア機能を強化させ且つ皮膚角質形成細胞の分化を誘導させることができる。したがって、表皮分化の不完全で生じる皮膚乾燥症または乾癬などを予防または改善する皮膚外用剤組成物として有効に用いることができる。
【0029】
本発明に係る皮膚外用剤組成物を化粧料の形態で剤形化する場合、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォータ、パウダー、エッセンス、またはパックなどの形態で剤形化されてよく、その剤形が特に限定されるものではない。また、本発明に係る組成物は、脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤、ゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性もしくは親油性活性剤、脂質小嚢または化粧品に通常用いられる任意の他の成分などの化粧品学もしくは皮膚科学分野において通常用いられる補助剤を含有してもよい。前記補助剤は、化粧品学または皮膚科学分野において一般に用いられる量で取り込まれる。また、本発明の組成物は、皮膚改善効果を増加させるために皮膚吸収促進物質を含有していてよい。
【0030】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は薬学的組成物であってよい。
【0031】
本発明に係る組成物を医薬品に適用する場合には、前記組成物を有効成分として商用される無機または有機の担体を加えて固体、半固体、または液状の形態で経口投与剤あるいは非経口投与剤として製剤化することができる。
【0032】
前記経口投与のための製剤としては、錠剤、丸剤、顆粒剤、軟・硬カプセル剤、散剤、細粒剤、粉剤、乳濁剤、シロップ剤、ペレット剤などが挙げられる。また、前記非経口投与のための製剤としては、注射剤、点滴剤、軟膏、ローション、スプレー、懸濁剤、乳剤、坐剤などが挙げられる。本発明の有効成分を製剤化するためには、常法によって実施すれば容易に製剤化することができ、界面活性剤、賦形剤、着色料、香辛料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、その他、商用する補助剤を好適に用いていてよい。
【0033】
本発明に係る前記薬学組成物は、経口、非経口、直腸、局所、経皮、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下などに投与されていてよい。
【0034】
また、前記活性成分の投与量は、治療を受ける対象の年齢、性別、体重と、治療する特定の疾患または病理状態、疾患または病理状態の深刻度、投与経路及び処方者の判断によって変わり得る。このような因子に基づく投与量の決定は、当業者の水準内にある。一般的な投与量は、0.001mg/kg/日〜2000mg/kg/日、より具体的には、0.5mg/kg/日〜1500mg/kg/日である。
【0035】
本発明の一観点である組成物において、前記組成物は健康食品組成物であってよい。本発明に係る組成物は含む多様な形態の食品添加剤または機能性食品を提供する。前記組成物を含む発酵乳、チーズ、ヨーグルト、ジュース、生菌製剤、及び健康補助食品などに加工されてよく、その他、各種の食品添加剤の形態で使用されてよい。
【0036】
一実施例において前記組成物は、本発明の目的とする主な効果を損なわない範囲内で主な効果に相乗効果を与え得る他の成分などを含有していてよい。例えば、物性改善のために香料、色素、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、粘増剤、無機塩類、乳化剤、及び合成高分子物質などの添加剤をさらに含んでいてよい。その他にも、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、及び海草エキスなどの補助成分をさらに含んでいてよい。前記成分は、剤形または使用目的に応じて当業者が困難なく適宜選定して配合することができ、その添加量は、本発明の目的及び効果を損なわない範囲内で選択されてよい。例えば、前記成分の添加量は、組成物の全重量を基準にし、0.01質量%〜5質量%、より具体的には、0.01質量%〜3質量%の範囲であってよい。
【0037】
本発明に係る組成物の剤形は、溶液、乳化物、粘性混合物、タブレット、粉末などの各種の形態であってもよく、これは、単純飲用、注射投与、スプレー方式またはスクイズ方式などの様々な方法で投与すればよい。
【0038】
本発明の一観点において、対象に有効量の前記ツルマメオイルを含む組成物を適用することを含む抗酸化方法を提供することができる。例えば、前記方法は、前記組成物を対象の皮膚に適用することを含んでいてよい。
【0039】
本発明の他の観点において、対象に有効量の前記ツルマメオイルを含む組成物を適用することを含む抗老化方法を提供することができる。例えば、前記方法は、前記組成物を対象の皮膚に適用することを含んでいてよい。
【0040】
前記抗老化方法は、老化を遅延または改善することができ、例えば、皮膚の老化を遅延または改善することができる。前記方法は、コラゲナーゼの生成を抑制または阻害し、またはコラゲナーゼの発現を抑制することができる。前記方法は、シワの改善またはシワを緩和することができる。
【0041】
本発明の他の観点において、対象に有効量の前記ツルマメオイルを含む組成物を適用することを含む美白方法を提供することができる。例えば、前記方法は、前記組成物を対象の皮膚に適用することを含んでいてよい。
【0042】
前記美白方法は、皮膚美白効果を奏し、メラニンの生成を抑制または阻害し、またはメラニンの発現を抑制することができる。
【0043】
本発明の他の観点において、対象に有効量の前記ツルマメオイルを含む組成物を適用することを含む抗炎症方法を提供することができる。例えば、前記方法は、前記組成物を対象の皮膚に適用することを含んでいてよい。
【0044】
前記抗炎症方法は、MCP(Monocyte Chemoattractant Protein)の生成または発現を抑制し、または阻害することができる。前記炎症はニキビを含んでいてよい。
【0045】
本発明の他の観点において、対象に有効量の前記ツルマメオイルを含む組成物を適用することを含む皮膚保湿方法を提供することができる。例えば、前記方法は、前記組成物を対象の皮膚に適用することを含んでいてよい。前記方法は、皮膚バリアを強化することができ、アトピーまたは乾癬を治療、予防、または改善することができる。
【0046】
本発明の一観点において、対象の抗酸化のためのツルマメオイルを提供することができる。例えば、前記ツルマメオイルは対象の皮膚に適用することができる。
【0047】
本発明の他の観点において、対象の皮膚抗老化のためのツルマメオイルを提供することができる。例えば、前記ツルマメオイルは対象の皮膚に適用することができる。
【0048】
前記ツルマメオイルは、老化を遅延または改善することができ、例えば、皮膚の老化を遅延または改善することができる。前記ツルマメオイルは、コラゲナーゼの生成を抑制または阻害し、またはコラゲナーゼの発現を抑制することができる。前記方法は、シワの改善またはシワを緩和することができる。
【0049】
本発明の他の観点において、対象の皮膚美白のためのツルマメオイルを提供することができる。例えば、前記ツルマメオイルは対象の皮膚に適用することができる。
【0050】
前記ツルマメオイルは、皮膚美白効果を奏し、メラニンの生成を抑制または阻害し、またはメラニンの発現を抑制することができる。
【0051】
本発明の他の観点において、対象の炎症を防止、抑制または改善のためのツルマメオイルを提供することができる。例えば、前記ツルマメオイルは対象の皮膚に適用することができる。
【0052】
前記ツルマメオイルは、MCP(Monocyte Chemoattractant Protein)の生成または発現を抑制し、または阻害することができる。前記炎症はニキビを含んでいてよい。
【0053】
本発明の他の観点において、対象の皮膚保湿のためのツルマメオイルを提供することができる。例えば、前記ツルマメオイルは対象の皮膚に適用することができる。
【0054】
前記ツルマメオイルは、皮膚バリア機能を強化することができ、アトピーまたは乾癬を治療、予防、または改善することができる。
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものではないと解釈されるのは当業界において通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0056】
[実施例]ツルマメオイルの製造
ツルマメ(Glycine gracilis)を精製水で洗浄し乾燥してから細末化して得られたツルマメ粉1kgを油圧式搾油機に入れて搾油した後、ろ過紙でろ過して、ツルマメオイル155gを収得した。
【0057】
[比較例1]大豆オイルの製造
大豆(Glycine max)を精製水で洗浄し乾燥してから細末化して得られた大豆粉1kgを油圧式搾油機に入れて搾油した後、ろ過紙でろ過して、大豆オイル185gを収得した。
【0058】
[比較例2]ツルマメ抽出物の製造
ツルマメ(Glycine gracilis)を精製水で洗浄し乾燥してから細末化して得られたツルマメ粉100gを70%エタノール水溶液1リットルに入れ、冷却コンデンサ付き抽出機で12時間沸かして抽出した後、300メッシュのろ過布でろ過した。前記ろ過液を4〜15℃で7日間放置して熟成させた後、ワットマンろ過紙第2番でろ過した。最終ろ過液を冷却コンデンサ付き蒸留装置を利用して50℃で減圧濃縮し乾燥して、ツルマメ抽出物(乾燥重量15.18g)を得た。
【0059】
[試験例1]成分の比較分析
前記実施例1で製造したツルマメオイル、比較例1で製造した大豆オイル、及び比較例2で製造したツルマメ抽出物のそれぞれの成分を分析した。前記オイル及び抽出物のそれぞれを20%メチルクロリド、70%エタノールに溶かして10,000ppm溶液にした後、HPLC(Waters社製、2695モデル)を利用して成分分析(Waters社製、2996PDA検出器)を行った。固定相は関東化学株式会社製のMightysil RP−18 GP 250−4.6(5μm)コラムを利用し、また、実施例1で製造したツルマメオイル、比較例1で製造した大豆オイルに対しては次の表1に表すような組成の移動相を、比較例2で製造したツルマメ抽出物に対しては次の表2に表すような組成の移動相を用いた。
【0062】
その結果、
図1〜
図3(
図1:実施例1で製造したツルマメオイル、
図2:比較例1で製造した大豆オイル;
図3:比較例2で製造したツルマメ抽出物)から確認できるように、本願発明の有効成分であるツルマメオイルは、他種の豆オイルである大豆オイルとはそのピークの形態や強さが全く異なり、特にツルマメ抽出物とは全く異なるピークを示すことを観察することができた。
【0063】
[試験例2]抗酸化能の評価
前記実施例1で製造したツルマメオイルの抗酸化効果を調べてみるために、DPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル;1,1-diphenyl-2-picryl hydrazyl)法を用いた。DPPH法は、DPPHの還元によって発生する吸光度の変化によってDPPH酸化抑制効能を比較測定することによって抗酸化能を評価する方法である。すなわち、前記実施例1で収得したツルマメオイルによってDPPHの酸化が抑制されて対照群に比べて吸光度が減少する程度を測定し、その結果、対照群の吸光度に比べて50%以下の吸光度を示す濃度を有効抗酸化濃度と評価した。
【0064】
陽性対照群としては、合成抗酸化剤であるトロロックス(Trolox)と比較例1で製造した大豆オイル、及び比較例2で製造したツルマメ抽出物のそれぞれを用いた。100μM(inエタノール)DPPH溶液190μlと前記で収得した実施例1のツルマメオイル、及び陽性対照群のそれぞれを10μlずつ入れて反応液を調製し、37℃で30分間反応させた後、540nmで吸光度を測定した。
【0065】
各物質のDPPH分析結果は下記の表3に表したとおりであり、IC
50は、添加した試料によって吸光度が50%減少したときの試料濃度を意味する。
【0067】
前記表3から確認できるように、本発明のツルマメオイルは、市中で販売中の抗酸化剤のトロロックスと類似した抗酸化能を示した。また、このような効果から、大豆オイルよりも遥かに優れた活性を示すことを確認することができた。
【0068】
[試験例3]コラゲナーゼ発現抑制効能の比較
陽性対照群としてトコフェロール、EGCG、比較例1で製造した大豆オイル、及び比較例2で製造したツルマメ抽出物のそれぞれを用いて、前記実施例1で得られたツルマメオイルとのコラゲナーゼ生成抑制能を比較してみた。トコフェロール及びEGCGは皮膚の表皮細胞を再生させて皮膚の老化を防止すると知られている。
【0069】
2.5%のウシ胎児血清が含有されたDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Media)培地が入っている96ウェルマイクロタイタープレート(96−well microtiter plate)にヒトの線維芽細胞を5,000細胞/ウェル(well)となるように入れ、90%程度育つまで培養した後、無血清DMEM培地で24時間培養した。しかる後、前記無血清DMEM培地に、ツルマメオイル100μl/ml濃度、トコフェロール10
−4モル濃度、EGCGを10
−4モル濃度、及び大豆オイル100μl/ml濃度とツルマメ抽出物100μl/ml濃度でそれぞれ24時間処理した後に得られた細胞培養液を採取した。
【0070】
コラゲナーゼ測定器具(米国のアマシャムパマシャ社製)を利用して、採取した細胞培養液におけるコラゲナーゼ生成程度を測定した。先ず、1次コラゲナーゼ抗体が均一に塗布された96ウェルプレート(96−well plate)に採取された細胞培養液を入れ、3時間にかけて恒温槽で抗原−抗体反応を実施した。3時間後、発色団が結合された2次コラーゲン抗体を96−ウェルプレート(96−well plate)に入れ、再び15分間反応させた。15分後、発色誘発物質を入れ、室温で15分間発色を誘発させ、再び1M硫酸を入れ、反応(発色)を中止させると、反応液の色は黄色を帯びるようになり、反応の進行程度によって黄色の程度が異なって見えることを観察することができた。
【0071】
黄色を帯びる96−ウェルプレート(96−well plate)の吸光度を吸光計を利用して405nmで測定した後、下記の式1によってコラゲナーゼの合成程度を求めた。このとき、組成物を処理しなかった群の採取された細胞培養液の反応吸光度を対照群とした。すなわち、非処理群におけるコラゲナーゼの発現程度を100とし、これに対して、試験物質を処理した群におけるコラゲナーゼの発現程度を求め、その結果を下記の表4に表した。
【0074】
コラゲナーゼの発現程度が低いほどコラゲナーゼの発現抑制能が高く、皮膚内のコラーゲンの分解が少なく起きるため、生成されるシワの量が少なくなる。
【0075】
前記表4を見ると、本発明の有効成分であるツルマメオイルは、試験管内(in vitro)でコラゲナーゼの発現を効果的に抑制し、抗酸化物質と知られているトコフェロールよりもコラゲナーゼの発現抑制能に優れていることを確認することができた。特に本発明の有効成分であるツルマメオイルは、大豆オイルと比較したとき、高いコラゲナーゼ発現抑制能を示した。したがって、本発明に係るツルマメオイルは、コラゲナーゼの発現を効果的に抑制することによって皮膚内のコラーゲン分解を減少させることができ、これにより、優れた抗老化、抗シワ効果を有することを確認することができた。
【0076】
[試験例4]美白能の評価
陽性対照群としてハイドロキノン、比較例1で製造した大豆オイル、及び比較例2で製造したツルマメ抽出物のそれぞれを用いて、前記実施例1で得られたツルマメオイルとのメラニン生成抑制能を調べてみた。
【0077】
C57BL/6マウス由来のネズミの色素細胞(Mel−Ab cell)(Dooley,T.P. et al,Skin pharmacol、7,pp 188−200)をDMEMに10%ウシ胎盤血清、100nM 12−O−テトラデカノイルホルボール(tetradecanoylphorbol)−13−アセテート、1nMコレラトキシン(cholera toxin)を添加した培地で37℃、5%CO
2の条件で培養した。培養されたMel−Ab細胞を0.25%トリプシン−EDTAで剥がし取り、24−ウェルプレートに10
5細胞/ウェル(cells/well)の濃度に細胞を培養した後、二日目から3日連続で各試験物質を加えて培養した。ハイドロキノンと前記で得られた大豆オイル、ツルマメ抽出物、及び前記実施例1のツルマメオイルのそれぞれを10ppmの濃度にして用いた。次いで、培養液を除去し、PBS(phosphate buffered saline)で洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで細胞を溶かし、400nmで吸光度を測定してから、下記の式2によりメラニン生成抑制率を求め、その結果を下記の表5に表した(Dooleyの方法)。
【0080】
前記表5に表したように、本発明の有効成分であるツルマメオイルは、公知の美白物質であるハイドロキノンよりも優れたメラニン生成抑制率を示すことが確認でき、特に、大豆オイル及びツルマメ抽出物よりも優れたメラニン生成抑制率を示した。これにより、本発明に係るツルマメオイルは、皮膚内メラニン生成を効果的に抑制することによって美白効果に優れていることが分かった。
【0081】
[試験例5]抗炎効果の評価
実験一日前の皮膚角化上皮細胞(Normal human skin keratinocyte、NHEK、入手先:Lonza)を96ウェル(well)プレートに5×10
4細胞/ウェルになるように分注した後、37℃、5%CO
2インキュベーター(incubator)で24時間培養した。24時間後、PBSで細胞を2回洗浄し、無血清KBM(serum free keratinocyte basement media)に取り替えた。
【0082】
その後、陽性対照群としてヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、比較例1で製造した大豆オイル、及び比較例2で製造したツルマメ抽出物と実施例1で得られたツルマメオイルのそれぞれを表4で提示した濃度で前記細胞に処理し、30分間反応させた後、レチノイン酸(Retinoic acid)10μMをそれぞれのウェルに処理した。前記レチノイン酸は、皮膚刺激源で炎症性サイトカインであるMCP(Monocyte Chemoattractant Protein−1)の分泌を促進すると知られている。それぞれのウェルを37℃、5%CO
2インキュベーターで24時間培養した後、培養液を取ってMCP−1 ELISAを行い、その結果を下記の表6に表した。ELISAは、製造会社であるBD scienceから提供された方法を用いて行った。
【0084】
前記表6から分かるように、本発明の有効成分であるツルマメオイルは、レチノイン酸によって増加したMCP−1の分泌を顕著に減少させることを確認した。このような結果は、市中で抗炎症物質として販売中のヒドロコルチゾンと類似した水準でMCP−1の分泌を減少させるものであった。さらに、このような結果は、ツルマメ抽出物や大豆オイルに比べても顕著に高いMCP−1発現抑制率を示すものであるため、本発明の有効成分であるツルマメオイルは優れた抗炎症効果を有するものであることが分かった。
【0085】
[試験例6]保湿能の評価
前記実施例1に従って得られたツルマメオイルの皮膚バリア機能及び皮膚保湿能を確認するために吸光度を利用した試験を行った。
【0086】
一次培養したヒトの角質形成細胞を培養用フラスコに入れて底に付着させた後、比較例1で製造した大豆オイル50mg/ml、100mg/ml、及び比較例2で製造したツルマメ抽出物50mg/ml、100mg/mlと実施例1で得られたツルマメオイル50mg/ml、100mg/mlのそれぞれを培養液に添加し、細胞が底面積の80〜90%程度育つまで5日間培養した。この細胞を収穫(cell harvest)してPBS(phosphate buffered saline)で洗浄した後、2% SDS(Sodium Dodecyl Sulfate)と20mM濃度のDTT(Dithiothreitol)を含有した10mM濃度のトリス−塩酸緩衝液(Tris−HCl、pH7.4)1mlを加えて3分間超音波処理(sonication)を行った後、10分間沸かした。これを1200rpmで30分間遠心分離をし、分離した沈殿物を再びPBS 1mlに懸濁させ、340nmにおける吸光度を測定した。
【0087】
一方、これとは別に、前記超音波処理後の溶液の一部を取って蛋白質含有量を測定し、細胞分化程度の評価時の基準とした。低カルシウム(0.03mM)処理群と高カルシウム(1.2mM)処理群をそれぞれ陰性/陽性対照群とし、低カルシウム濃度に試験物質を添加して実施した試験結果を下記の表7に表した。
【0089】
前記表7に表すように角質形成細胞の分化時に生成されるCE(Cornified Envelop)の量を測定して細胞分化促進効果を比較した結果、本発明に係るツルマメオイルは角質形成細胞で分化を促進することが分かり、ツルマメ抽出物または大豆オイルに比べて顕著に高い角質形成細胞分化促進効能を示すことと確認された。これにより、本発明に係るツルマメオイルは、皮膚のバリア機能を強化して皮膚保湿能を増進させることが分かった。
【0090】
[試験例7]刺激感の評価
公知の美白物質であるコウジ酸と本発明において有効成分として用いられるツルマメオイルの使用性を比較するために、ヒリヒリ感、ひりつき感などの刺激感に敏感なパネル15人を対象にヒリヒリ感、ひりつき感などの刺激感の程度を実験した。
【0091】
被験者にコウジ酸(kojic acid、YM chemicalから購入)と前記実施例1で得たツルマメオイルをそれぞれ0.5mlずつ左右を無作為に変えながら適用して擦り、0.1点単位にして0〜3.0の間の点数を付けるようにした。その結果を下記の表8に表した。
【0093】
<評価基準>
0〜0.4:刺激なし
0.5〜1.0:若干刺激あり
1.1〜2.0:普通程度の刺激あり
2.1〜3.0:刺激が激しい
【0094】
前記表8から分かるように、コウジ酸の場合は、ヒリヒリ感、ひりつき感が相当であるため刺激感があるのに対し、本発明の有効成分であるツルマメオイルは、各種の効能をそのまま含みながらも皮膚に対する刺激を急激に減少させることを確認することができた。
【0095】
本発明において組成物は下記のように種々の剤形に応用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
[製剤例1]錠剤
ツルマメオイル100mg、ブドウ糖100mg、紅参抽出物50mg、澱粉96mg、及びステアリン酸マグネシウム4mgを混合し、30%エタノールを40mg添加して顆粒を形成した後、60℃で乾燥し、打錠機で錠剤として打錠した。
【0097】
[製剤例2]顆粒剤
ツルマメオイル100mg、ブドウ糖100mg、紅参抽出物50mg、及び澱粉600mgを混合し、30%エタノールを100mg添加して顆粒を形成した後、60℃で乾燥して顆粒を形成した後、分包充填した。内容物の最終重量は1gとした
【0098】
[製剤例4]ドリンク剤
ツルマメオイル100mg、ブドウ糖10g、紅参抽出物50mg、クエン酸2g、及び精製水187.8gを混合し、ビンに充填した。内容物の最終容量は200mlとした。
【0101】
前記ビタミン及び無機質混合物の組成比は、比較的に健康食品に適合した成分を混合組成したが、その配合比を任意に変形実施してもよく、通常の健康食品の製造方法により前記成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法により健康食品組成物の製造に用いることができる。
【0104】
前記表10のように総体積900mlになるように残量の精製水を添加し、通常の健康飲料の製造方法により前記成分を混合した後、85℃で約1時間攪拌加熱し、これにより調製された溶液をろ過し、滅菌された2リットル容器に取得して密封滅菌してから冷蔵保管し、後で本発明の健康飲料組成物の製造に用いることができる。
【0115】
以上、本発明内容の特定の部分について詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的記述は、単に好ましい実施態様であるに過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものでない点は明白なことであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義されると言える。