特許第6482671号(P6482671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482671
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】鋼板表面の溝形成方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/364 20140101AFI20190304BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20190304BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20190304BHJP
   C21D 8/12 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B23K26/364
   B23K26/352
   B23K26/082
   C21D8/12 D
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-533450(P2017-533450)
(86)(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公表番号】特表2018-507111(P2018-507111A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】KR2015014019
(87)【国際公開番号】WO2016105048
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年6月20日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0188976
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】クォン、 オ−ヨル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ヒョン−チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェ−ギョム
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ウォン−ゴル
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/161863(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0128214(KR,A)
【文献】 国際公開第2007/052406(WO,A1)
【文献】 特開平5−228669(JP,A)
【文献】 特開平9−288243(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/100353(WO,A1)
【文献】 特開2004−124226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
C21D 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ照射で鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板表面に形成するために、複数のレーザ発振器からレーザビームが走査ミラーに照射され、前記走査ミラーを通過した後、前記鋼板表面に照射される場合に、1個の走査ミラーを2個以上のレーザビームと共有して前記2個以上のレーザビームのうちの2個のレーザビームによって形成される溝が互いに重ねられるか交差するようにすることによって、20mpm以上の高速のラインスピード(line speed)で溝部の熱影響を最小化させて熱処理前(後)の鉄損改善特性を有する鋼板表面の溝形成方法。
【請求項2】
前記走査ミラーは、2個以上のレーザビームと共有可能な4個以上のレーザビーム入射面を有する、請求項1に記載の鋼板表面の溝形成方法。
【請求項3】
前記走査ミラーに照射されたレーザビームは、集光ミラーに集光された後、前記鋼板表面に照射される、請求項2に記載の鋼板表面の溝形成方法。
【請求項4】
前記走査ミラーに照射されたレーザビームは、2個以下の形状ミラーに入射した後、前記形状ミラーを通して集光ミラーに集光されて、前記鋼板表面に照射される、請求項3に記載の鋼板表面の溝形成方法。
【請求項5】
前記走査ミラーを通したレーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、1個の走査ミラーを2個以上4個以下のレーザビームが共有する、請求項3または4に記載の鋼板表面の溝形成方法。
【請求項6】
前記走査ミラーを通した前記レーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、2個以下の形状ミラーおよび1個の集光ミラーから構成される、請求項4に記載の鋼板表面の溝形成方法。
【請求項7】
レーザ照射で鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板表面に形成時、20mpm以上の高速のラインスピード(line speed)で溝部の熱影響を最小化させて熱処理前(後)の鉄損改善特性を持たせるために、
複数のレーザ発振器からレーザビームが照射され、2個以上のレーザビームと共有して前記2個以上のレーザビームのうちの2個のレーザビームによって形成される溝が互いに重ねられるか交差するようにする回転走査ミラー(scan mirror)を含む鋼板表面の溝形成装置。
【請求項8】
前記走査ミラーから反射されるレーザビームを集光して、鋼板表面に照射するための集光ミラー(focusing mirror)を含む、請求項7に記載の鋼板表面の溝形成装置。
【請求項9】
前記走査ミラーから反射されるレーザビームが入射し、前記入射したレーザビームを前記集光ミラーに反射する形状ミラー(shaping mirror)を含む、請求項8に記載の鋼板表面の溝形成装置。
【請求項10】
前記走査ミラーは、2個以上のレーザビームと共有可能な4個以上のレーザビーム入射面を有する多面体形態に形成される、請求項8または9に記載の鋼板表面の溝形成装置。
【請求項11】
前記走査ミラーを通したレーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、1個の走査ミラーを2個以上4個以下のレーザビームが共有する、請求項10に記載の鋼板表面の溝形成装置。
【請求項12】
前記走査ミラーを通した前記レーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、2個以下の形状ミラーおよび1個の集光ミラーから構成される、請求項9に記載の鋼板表面の溝形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板表面の溝形成方法およびその装置に関し、より詳細には、発振方式およびビームモードに関係なくレーザ照射で鋼板表面に溝を形成させることによって、熱処理に関係なく鉄損改善効果を改善できるため、一次再結晶前後の方向性電磁鋼板工程に適用可能な鉄損改善率を極大化できる鋼板表面の溝形成方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、方向性電磁鋼板は、圧延方向に<001>磁化容易軸を有する集合組織を発達させることによって、圧延方向に磁場を選択的に誘起しようとする変圧器などの電気機器のエネルギー変換用鉄心材料として幅広く使用されている。
【0003】
一般に、方向性電磁鋼板は、熱延、冷延と焼鈍工程により、圧延方向に{110}<001>方向に配向された集合組織(別名「Goss Texture」ともいう)を有する材料をいう。このような方向性電磁鋼板において、{110}<001>方向は、鉄の磁化容易軸方向に配向された程度が高いほど、磁気的特性に優れている。
【0004】
磁区微細化方法は、方向性電磁鋼板の磁気的特性を向上させるために使用される技術であり、磁区微細化方法としては、応力除去焼鈍後にも磁区微細化改善効果の維持の有/無により一時磁区微細化と永久磁区微細化とに分けられる。
【0005】
熱処理後にも鉄損改善効果を維持可能な永久磁区微細化法は、エッチング法、ロール法、およびレーザ法に分けられる。エッチング法は、溶液中における酸容液で電気化学的な腐食反応によって鋼板表面に溝を形成させるため、溝形状の制御が難しく、鋼板を生産する中間工程(脱炭焼鈍、高温焼鈍前)で溝を形成させるため、最終製品の鉄損特性の保証が難しく、酸容液を使用するために環境にもやさしくなく、鋼板表面の適正な溝の深さを形成するためには高速に溝を形成させにくいという欠点がある。
【0006】
ロールによる永久磁区微細化方法は、ロールに突起形状を加工して加圧法によって鋼板の表面に一定の幅と深さを有する溝を形成する磁区微細化技術で、機械加工に対する安定性、厚さに応じた安定した鉄損を確保しにくく、溝形成プロセスが複雑であるという欠点がある。
【0007】
レーザ照射による溝形成の永久磁区微細化方法は、熱処理前に磁区微細化効果を確保できないだけでなく、磁区微細化後に磁束密度が劣化するという欠点がある。
【0008】
しかし、エッチングおよびロール法に比べて単色光のレーザビームを用いるレーザ法は、比較的遅い鋼板のラインスピード(Line Speed)で相対的に安定した溝を形成させることができるという利点を有している。しかし、高速のラインスピード(Line Speed)で移動する鋼板表面に溝を形成するために高出力のレーザを必要とする場合、ミラーの熱的安定性を考慮した光学系の設計およびミラー構成の単純化による光学系の構成方法に対する解決策は提示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、発振方式およびビームモードに関係なくレーザ照射で鋼板表面に溝を形成させることによって、熱処理に関係なく鉄損改善効果を改善できるため、一次再結晶前後の方向性電磁鋼板工程に適用可能な鉄損改善率を極大化できる鋼板表面の溝形成方法およびその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、レーザ照射で鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板表面に形成するために、複数のレーザ発振器からレーザビームが走査ミラーに照射され、前記走査ミラーを通過した後、前記鋼板表面に照射される場合に、1個の走査ミラーを2個以上のレーザビームと共有することによって、20mpm以上の高速のラインスピード(line speed)で溝部の熱影響を最小化させて熱処理前(後)の鉄損改善特性を有する鋼板表面の溝形成方法が提供される。
【0011】
前記走査ミラーは、レーザビームが入射可能な4個以上の入射面を有することができる。
【0012】
前記走査ミラーに照射されたレーザビームは、集光ミラーに集光された後、前記鋼板表面に照射される。
【0013】
前記走査ミラーに照射されたレーザビームは、2個以下の形状ミラーに入射した後、前記形状ミラーを通して集光ミラーに集光されて、前記鋼板表面に照射される。
【0014】
前記走査ミラーを通したレーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、1個の走査ミラーを2個以上4個以下のレーザビームが共有することができる。
【0015】
前記走査ミラーを通した前記レーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、2個以下の形状ミラーおよび1個の集光ミラーから構成される。
【0016】
また、本発明の一実施形態によれば、レーザ照射で鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板表面に形成時、20mpm以上の高速のラインスピード(line speed)で溝部の熱影響を最小化させて熱処理前(後)の鉄損改善特性を持たせるために、複数のレーザ発振器からレーザビームが照射され、2個以上のレーザビームと共有する回転走査ミラー(scan mirror)を含む鋼板表面の溝形成装置が提供される。
【0017】
前記走査ミラーから反射されるレーザビームを集光して、鋼板表面に照射するための集光ミラー(focusing mirror)を含むことができる。
【0018】
前記走査ミラーから反射されるレーザビームが入射し、前記入射したレーザビームを前記集光ミラーに反射する2個以下の形状ミラー(shaping mirror)を含むことができる。
【0019】
前記走査ミラーは、レーザビームが入射可能な4個以上の入射面を有する多面体形態に形成される。
【0020】
前記走査ミラーを通したレーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、1個の走査ミラーを2個以上4個以下のレーザビームが共有することができる。
【0021】
前記走査ミラーを通した前記レーザビームの照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、2個以下の形状ミラーおよび1個の集光ミラーから構成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、0.33m/s以上で移動する電磁鋼板表面に鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板の圧延方向に対して±82〜±98°に3〜8の部分に分けられた線状の溝を形成させながら、溝によって一次、二次再結晶の形成に影響を与えず、熱処理前/後に10%以上の鉄損改善効果特性を有する低鉄損高磁束密度の方向性電磁鋼板の磁区微細化製品を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置の概略的な構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置の光学系の概略的な構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置により鋼板表面に形成された線状溝を示す図である。
図4図3の鋼板表面に形成された線状溝の連続的な溝の形状を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態を説明する。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に理解できるように、後述する実施形態は本発明の概念と範囲を逸脱しない限度内で多様な形態に変形可能である。できるだけ同一であるか類似の部分は、図面において同一の図面符号を用いて表す。
【0025】
以下で使用される専門用語は、単に特定の実施形態に言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0026】
以下で使用される技術用語および科学用語を含む全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。事前に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味で解釈されない。
【0027】
本発明は、レーザ照射で鋼板表面に溝を形成することによって鉄損改善率を極大化しようとする磁区微細化方法において、20mpm以上の高速Line Speedで高出力レーザに照射時、板幅方向に安定した溝を形成させ、光学系に関連する維持/補修費用を最小化するためには、第一、高速のラインスピード(line speed)で熱的安定性に優れた走査ミラーを適用することが好ましい。鋼板の進行速度に関係なく板表面に同一のエネルギー密度でレーザを照射する場合、走査ミラーの熱的安定性を確保することが何より重要である。
【0028】
第二に、走査ミラーの個数を最小化しながら高速のラインスピードに対応することが必要である。一般に、高速のラインスピードに対応するためには、走査ミラーの個数を増加させて走査幅を減少させることに幅広く使用される接近法であるが、走査ミラーを含む光学系の加工費用および運営費用を最小化するためには、走査ミラーの個数を最小化させることが必要である。走査ミラーに照射する鋼板の幅が増加すると、幅の増加に応じて走査する走査ミラーの個数も増大するしかない。
【0029】
したがって、レーザ発振器から鋼板に達するレーザビームの伝送経路を最小化させながら高速化走査をすることによって、高速のラインスピードで移動する板に溝を形成させることが可能になる。
【0030】
第三に、走査ミラーを数個の発振器が共有することによって、板表面に形成される溝の深さを極大化することができる。20mpm以上の速度で移動する鋼板表面に形成される溝は、板厚さの約10%以内の深さに形成されることが好ましく、鋼板の移動速度に関係なく同一の溝深さを板表面に形成させるためには、板速度の増加に応じてレーザ出力を増加させることが合理的である。
【0031】
しかし、レーザ出力の増加時、表面に形成される溝周囲の熱の影響が増加するため、溝形成後、再結晶に熱の影響が及ぼされることから、二次再結晶が不完全に形成されることによって、鉄損および磁束密度特性が劣化し得るので、好ましくない。板表面の溝形成が低い出力のレーザにより一次溝を形成させ、二次溝を形成させることによって、溝を形成させるためのレーザの出力制限を緩和させることによって、溝周囲の熱の影響を最小化することができる。
【0032】
本発明は、20mpm以上の高速に移動する幅900mm以上の電磁鋼板表面に鋼板厚さの10%以下の深さの溝を鋼板の圧延(長手)方向に対して±82〜±98°に溝を形成させることによって、電磁鋼板の鉄損を改善させることである。
【0033】
もちろん、溝を形成するにあたり、対象材を電磁鋼板に限る必要はない。溝形成対象材としては、電磁鋼板のほか、鋼材、木材、プラスチック(Plastic)、ウエハ(ウエハ)、ガラス(Glass)、およびセラミック材料などを全て含むことができる。以下、溝を形成する対象材として電磁鋼板を例に挙げて説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置の概略的な構成図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置の光学系の概略的な構成図であり、図3は、本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置により鋼板表面に形成された線状溝を示す図であり、図4は、図3の鋼板表面に形成された線状溝の連続的な溝の形状を拡大した図である。
【0035】
本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成方法は、レーザ照射で鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板表面に形成するために、複数のレーザ発振器からレーザビーム1が走査ミラー2に照射され、前記走査ミラー2を通過した後、前記鋼板表面に照射される場合に、1個の走査ミラー2を2個以上のレーザビーム1と共有することによって、20mpm以上の高速のラインスピード(line speed)で溝部の熱影響を最小化させて熱処理前(後)の鉄損改善特性を有することができる。
【0036】
1個の走査ミラー2を2個以上のレーザビーム1と共有し、好ましくは、2個〜6個のレーザビームと共有することができる。
【0037】
前記走査ミラー2は、2個以上のレーザビーム1と共有できるように2個以上のレーザビームが入射可能な4個以上のレーザビーム入射面を有する多面体形態に形成される。
【0038】
前記走査ミラー2に照射されたレーザビーム1は、集光ミラー4に集光された後、前記鋼板表面に照射される。
【0039】
また、前記走査ミラー2に照射されたレーザビーム1は、2個以下の形状ミラー3に入射され、前記形状ミラー3を通過した後、集光ミラー4に集光されて、前記鋼板表面に照射される。
【0040】
前記走査ミラー2を介したレーザビーム1の照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、1個の走査ミラー2を2個以上4個以下のレーザビームが共有することができる。
【0041】
また、前記走査ミラー2を介した前記レーザビーム1の照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、2個以下の形状ミラー3および1個の集光ミラー4から構成される。
【0042】
本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成装置は、レーザ照射で鋼板厚さの10%以下の溝深さを鋼板表面に形成時、20mpm以上の高速のラインスピード(line speed)で溝部の熱影響を最小化させて熱処理前(後)の鉄損改善特性を持たせるために、複数のレーザ発振器からレーザビーム1が照射され、2個以上のレーザビームと共有する回転走査ミラー(scan mirror)2を含むことができる。
【0043】
また、前記走査ミラー2から反射されるレーザビーム1を集光して、鋼板表面に照射するための集光ミラー(focusing mirror)4を含むことができる。
【0044】
さらに、前記走査ミラー2から反射されるレーザビーム1が入射し、前記入射したレーザビーム1を前記集光ミラー4に反射する2個以下の形状ミラー(shaping mirror)3を含むことができる。
【0045】
しかし、つまり、最終レーザビーム1の形状変更時、図2の形状ミラー3を省略可能である。
【0046】
1個の回転走査ミラー2を2個以上のレーザビーム1と共有し、好ましくは、2個〜6個のレーザビームと共有することができる。
【0047】
前記走査ミラー2は、2個以上のレーザビーム1と共有できるように2個以上のレーザビームが入射可能な4個以上のレーザビーム入射面を有する多面体形態に形成される。
【0048】
前記走査ミラー2を介したレーザビーム1の照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、1個の走査ミラー2を2個以上4個以下のレーザビームが共有することができる。
【0049】
また、前記走査ミラー2を介した前記レーザビーム1の照射によって鋼板表面に1個の照射線で線状溝を形成させるにあたり、2個以下の形状ミラー3および1個の集光ミラー4から構成される。
【0050】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る鋼板表面の溝形成方法およびその装置の作動について説明する。
【0051】
図1のように、走査ミラー2の入射面にレーザ発振器から照射されるレーザビーム1が入射するため、1個の走査ミラー2で、例えば、走査ミラー4個を適用した効果を得ることができる。
【0052】
図2は、図1に示すレーザ発振器から照射されるレーザビーム1個に対する光学系の構成(図1の10)を概略的に示すものである。レーザ発振器から照射されるレーザビーム1は、走査ミラー2、形状ミラー3、および集光ミラー4を経てレーザビーム1の形状を変形させることによって、図3の鋼板表面に4周期以上の連続的な線状溝(図3の5)を形成させる。
【0053】
図3のように、1個の走査ミラー2から照射された線状溝はほぼ一直線上に現れることによって、まるで2個の走査ミラー2から照射されたかのような線状溝を鋼板に形成させる。
【0054】
したがって、鋼板表面に現れる区分された線状溝は、図3のように、大きくて2個にのみ分離されているように現れる。また、必要によっては、走査ミラー2に入射するレーザビームの位置と個数を選別的に選択してもよい。
【0055】
図4は、図3の鋼板表面に形成された線状溝の連続的な溝の形状を拡大して表現したものである。図4で、線状溝と線状溝との間の距離で名付けられる照射間隔(Ds)は、2つの方法で溝を形成させることができる。
【0056】
第一は、図1の走査ミラー2を中心に左上端と右上端の照射ビームによる線状溝が互いに同一線上に現れるようにするものである。したがって、低出力のレーザを用いて線状溝の深さをより深く形成させることができ、溝部で発生する熱影響を最小化することができる。つまり、20mpmの速度で移動する、例えば、0.23mmの厚さの方向性電磁鋼板表面に約15μmの深さの溝を形成するために必要なレーザエネルギー密度が1.2J/mmの場合、必要なレーザの出力は900Wであるが、一次線状溝が形成された面に再び線状溝を形成して、最終溝深さ15μmを形成させるために必要なそれぞれのレーザ出力は450Wで、溝部の熱影響を最小化することができる。鋼板表面に形成される溝部の熱影響はレーザ出力に比例するので、レーザ出力が減少すると、溝部周辺の熱影響は減少する。
【0057】
第二は、図1の走査ミラー2を中心の左上端と右上端の照射ビームによる線状溝を互いに交差させるものである。線状溝が互いに交差するように照射することによって、より高速に鋼板表面に線状溝を形成させることができるという利点を有している。
【0058】
表1は、0.83m/sで移動する0.23mmの厚さの鋼板に走査ミラーを共有した場合の、溝の深さと鉄損改善率の結果を示したものである。
【表1】
*走査ミラーの左右対称の面のレーザビームを走査した場合の磁性値
**走査ミラーに1つのレーザビームのみを伝送して走査した場合の磁性値
ここで、B(Telsa)は、磁場の強度が800amp(アンペア)/mの時の磁束密度値をTelsa単位で表したものであり、W17/50(W/kg)は、磁束密度の値が1.7Telsaの時の周波数が50Hzの場合の鉄損値を表したものである。
【符号の説明】
【0059】
1:レーザビーム
2:走査ミラー
3:形状ミラー
4:集光ミラー
5:連続的な線状溝
図1
図2
図3
図4