特許第6482690号(P6482690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6482690
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 5/14 20060101AFI20190304BHJP
   G11C 5/04 20060101ALI20190304BHJP
   H02M 3/07 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G11C5/14 400
   G11C5/04 210
   H02M3/07
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-2281(P2018-2281)
(22)【出願日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】荒川 賢一
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−526239(JP,A)
【文献】 特開2006−286048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 5/14
G11C 5/04
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリチップを含む半導体記憶装置であって、
各メモリチップは、
メモリセルアレイと、
外部から供給された電圧に基づき昇圧した電圧を生成可能な昇圧回路と、
前記昇圧回路により生成された電圧を使用して動作する回路と、
前記昇圧回路を制御する制御手段と、
前記昇圧回路と他のメモリチップ間の電気的接続を提供する内部インターフェースとを有し、
前記制御手段は、非選択のメモリチップの昇圧回路を動作させ、非選択のメモリチップの昇圧回路によって生成された電圧を内部インターフェースを介して選択されたメモリチップへ供給し、
前記昇圧回路がn組の昇圧回路部分を並列に接続して構成されるとき、前記制御手段は、選択されたメモリチップの一部の昇圧回路部分を動作させ、非選択のメモリチップの一部の昇圧回路部分を動作させる、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御手段は、選択されたメモリチップの昇圧回路が非動作にする、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御手段は、選択されたメモリチップのp組の昇圧回路部分を動作させ、非選択のメモリチップのn−p組の昇圧回路部分を動作させる、請求項に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御手段は、選択されたメモリチップの1/2の昇圧回路部分を動作させ、非選択のメモリチップの1/2の昇圧回路部分を動作させる、請求項1または3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
複数のメモリチップを含む半導体記憶装置であって、
各メモリチップは、
メモリセルアレイと、
外部から供給された電圧に基づき昇圧した電圧を生成可能な昇圧回路と、
前記昇圧回路により生成された電圧を使用して動作する回路と、
前記昇圧回路を制御する制御手段と、
前記昇圧回路と他のメモリチップ間の電気的接続を提供する内部インターフェースとを有し、
前記制御手段は、非選択のメモリチップの昇圧回路を動作させ、非選択のメモリチップの昇圧回路によって生成された電圧を内部インターフェースを介して選択されたメモリチップへ供給し、
前記制御手段は、選択されたメモリチップの昇圧回路が動作する期間を、非選択のメモリチップの昇圧回路が動作する期間よりも短くする、半導体記憶装置。
【請求項6】
複数のメモリチップを含む半導体記憶装置であって、
各メモリチップは、
メモリセルアレイと、
外部から供給された電圧に基づき昇圧した電圧を生成可能な昇圧回路と、
前記昇圧回路により生成された電圧を使用して動作する回路と、
前記昇圧回路を制御する制御手段と、
前記昇圧回路と他のメモリチップ間の電気的接続を提供する内部インターフェースとを有し、
前記制御手段は、非選択のメモリチップの昇圧回路を動作させ、非選択のメモリチップの昇圧回路によって生成された電圧を内部インターフェースを介して選択されたメモリチップへ供給し、
前記内部インターフェースは、複数のメモリチップの昇圧回路を相互に電気的に接続するためのテスト用の内部パッドを含む、半導体記憶装置。
【請求項7】
メモリチップは、SPI機能を搭載したNAND型のフラッシュメモリを含む、請求項1ないしいずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
NAND型のフラッシュメモリは、前記昇圧回路によって生成された電圧を使用してメモリセルアレイからのページ読出しを行っている間に、読み出したページデータを出力回路を介して外部に出力する機能を有する、請求項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記出力回路からページデータを連続読出しするためのコマンドを受け取ったことに応答して、選択されたメモリチップの昇圧回路を非動作にする、請求項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のダイまたはチップをスタックした半導体記憶装置に関し、特に、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)機能を搭載したフラッシュメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチチップパッケージは、1つのパッケージ内に同種または異種のダイまたはチップを複数スタックするものであり、例えば、同種のメモリチップをスタックすることでメモリ容量を拡大したり、異種のメモリチップをスタックすることで異なるストレージ機能を提供することができる。例えば、特許文献1の不揮発性半導体記憶装置は、複数のメモリアレイチップと、メモリアレイチップの制御を行う制御チップとを積層し、メモリアレイチップの貫通電極と制御チップの貫通電極とを位置合わせし、両貫通電極の電気的な接続を行っている。また、特許文献2の半導体デバイスは、マスタフラッシュメモリチップと、スレーブフラッシュメモリチップとを積層し、スレーブフラッシュメモリチップの非コア回路を欠如させ、マスタフラッシュメモリチップからスレーブフラッシュメモリチップにデバイス動作のための必要な信号および電圧を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−300469号公報
【特許文献2】特開2014−57077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のメモリチップをスタックしたメモリデバイスには、個々のメモリチップがホストコンピュータから出力されるアドレスをモニタし、自身が選択されたメモリチップであるか否かを検出するものがある。ホストコンピュータは、メモリチップを選択するための特定のコマンドを必要とせず、あたかもモノリシックなメモリチップを扱うようにメモリデバイスにコマンドやアドレスを出力すればよい。あるいは、ホストコンピュータがメモリチップを選択するためのチップ選択信号をメモリデバイスに出力し、メモリチップがチップ選択信号に基づき自身が選択されたか否かを検出するものもある。
【0005】
また、スタックされたメモリチップの一方をマスタに、他方をスレーブに設定し、マスタチップまたはスレーブチップの識別を行うことも可能である。マスタ/スレーブの設定は、例えば、フューズやメタルオプションによって行うことができる。例えば、マスタ側のメモリチップのIDを「00」、スレーブ側のメモリチップのIDを「01」に設定し、マスタ側のメモリチップは、BA10=L(ブロックアドレス「10」がLのとき選択され)、スレーブ側のメモリチップは、BA10=Hのときに選択されるようにすることができる。
【0006】
フラッシュメモリデバイスは、読出し、プログラム、消去等の動作のために、比較的高電圧を必要とする。このため、外部端子から供給される電源電圧Vccを昇圧するためのチャージポンプ回路を備えている。図1は、従来の複数のメモリチップがスタックされたフラッシュメモリデバイスの内部構成を示す図である。同図に示すように、フラッシュメモリデバイス10は、例えば、同一の構成を有するマスタチップ20およびスレーブチップ30を含む。マスタチップ20およびスレーブチップ30は、内部にチャージポンプ回路22、32を含み、チャージポンプ回路22、32は、配線等を介してVcc電源用用の内部パッド24、34に接続されている。また、内部パッド24、34は、フラッシュメモリデバイス10のVcc電源用の外部端子12に配線14を介して共通に接続されている。
【0007】
外部端子12に供給された電圧Vccは、配線14および内部パッド24、34を介してチャージポンプ回路22、32に供給され、チャージポンプ回路22、32は、供給されたVcc電圧を所望のターゲット電圧に昇圧することができる。ここで、チャージポンプ回路22、32は、選択されたメモリチップにおいて動作(オン)され、非選択のメモリチップにおいて非動作(オフ)にされる。例えば、マスタチップ20が選択された場合には、チャージポンプ回路22が動作され、チャージポンプ回路32が非動作され、反対に、スレーブチップ30が選択された場合には、チャージポンプ回路32が動作され、チャージポンプ回路22が非動作にされる。
【0008】
ここで、例えば、SPI機能を搭載したNAND型のメモリチップは、メモリセルアレイからのページ読み出しと並行して、読み出したデータを連続的に出力する、連続リードモードを備えている。ホストコンピュータからページ読出し動作中に、データアウトコマンドが発せられると、フラッシュメモリは、メモリセルアレイから読み出したページデータをシリアルクロック信号に同期して出力回路からシリアル出力する。メモリセルアレイからのページ読出しは、読出し時にVcc電圧にノイズ(主に、チャージポンプ回路22/32の動作が原因)が生じるため、その読出し動作は、比較的低速の内部クロック信号に同期して行われる。しかし、出力回路からの連続的なデータ出力は、高速のシリアルクロック信号に同期して行われるため、チャージポンプの動作によるVcc電圧のノイズまたは変動が出力回路にまで誘発されてしまうと、出力回路の性能を保証できなくなり、データを正確に出力できなくなるおそれがある。特に、低電圧で動作するメモリチップの場合には、出力回路への供給電圧が降下すると、このような問題が生じやすい。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、選択されたメモリチップの動作電圧の安定化を図る半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体記憶装置は、複数のメモリチップを含むものであって、各メモリチップは、メモリセルアレイと、外部から供給された電圧に基づき昇圧した電圧を生成可能な昇圧回路と、前記昇圧回路により生成された電圧を使用して動作する回路と、前記昇圧回路を制御する制御手段と、前記昇圧回路と他のメモリチップ間の電気的接続を提供する内部インターフェースとを有し、前記制御手段は、非選択のメモリチップの昇圧回路を動作させ、非選択のメモリチップの昇圧回路によって生成された電圧を内部インターフェースを介して選択されたメモリチップへ供給する。
【0011】
ある実施態様では、前記制御手段は、選択されたメモリチップの昇圧回路が非動作にする。ある実施態様では、前記昇圧回路がn組の昇圧回路部分を並列に接続して構成されるとき、前記制御手段は、選択されたメモリチップの一部の昇圧回路部分を動作させ、非選択のメモリチップの一部の昇圧回路部分を動作させる。ある実施態様では、前記制御手段は、選択されたメモリチップのp組の昇圧回路部分を動作させ、非選択のメモリチップのn−p組の昇圧回路部分を動作させる。ある実施態様では、前記制御手段は、選択されたメモリチップの1/2の昇圧回路部分を動作させ、非選択のメモリチップの1/2の昇圧回路部分を動作させる。ある実施態様では、前記制御手段は、選択されたメモリチップの昇圧回路が動作する期間を、非選択のメモリチップの昇圧回路が動作する期間よりも短くする。ある実施態様では、前記内部インターフェースは、複数のメモリチップの昇圧回路を相互に電気的に接続するための内部パッドを含む。ある実施態様では、前記内部パッドは、テスト用の内部パッドである。ある実施態様では、メモリチップは、SPI機能を搭載したNAND型のフラッシュメモリを含む。ある実施態様では、NAND型のフラッシュメモリは、前記昇圧回路によって生成された電圧を使用してメモリセルアレイからのページ読出しを行っている間に、読み出したページデータを出力回路を介して外部に出力する機能を有する。ある実施態様では、前記制御手段は、前記出力回路からページデータを連続読出しするためのコマンドを受け取ったことに応答して、選択されたメモリチップの昇圧回路を非動作にする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非選択のメモリチップの昇圧回路を動作させ、非選択のメモリチップの昇圧回路によって昇圧された電圧を選択されたメモリチップへ供給するようにしたので、選択されたメモリチップの動作電圧の安定化を図ることができる。さらに、選択されたメモリチップおよび非選択のメモリチップの昇圧回路を部分的に動作させることで、個々のメモリチップの消費電流のピークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の複数のメモリチップがスタックされたフラッシュメモリデバイスの内部構成を示す図である。
図2】本発明の実施例に係るフラッシュメモリデバイスの全体構成を示す図である。
図3】本発明の実施例に係るフラッシュメモリデバイスの外部電源端子とメモリチップの内部パッドとの接続関係を示す図である。
図4】本発明の実施例に係るマスタチップの概略構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係るチャージポンプ回路の一例を示す図である。
図6】本発明の実施例に係るチャージポンプ回路と内部パッドとの接続関係を示す図である。
図7】本発明の実施例に係るポンプ回路部分を選択するための構成を示す図である。
図8】本発明の第1の実施例によるチャージポンプ回路の動作を説明する図である。
図9】本発明の第2の実施例によるチャージポンプ回路の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体記憶装置は、複数のメモリチップを搭載するものであり、例えば、マスタ側のメモリチップと、1つまたは複数のスレーブ側のメモリチップとをスタックしたNAND型やNOR型のフラッシュメモリである。但し、本発明に係る半導体記憶装置は、フラッシュメモリと異種のDRAM等のメモリチップやその他のメモリチップやロジックチップのスタックを包含するものであってもよい。さらに、フラッシュメモリは、クロック信号に同期してデータの入出力が可能なシリアルインターフェース(SPI)機能を搭載することも可能である。
【実施例】
【0015】
図2に、本発明の実施例に係るフラッシュメモリデバイスの概略構成を示す。フラッシュメモリデバイス100は、スタックされた複数のメモリチップを含んで構成される。ここでは、便宜上、選択されたメモリチップをマスタ側のメモリチップ200(以下、マスタチップ)、非選択のメモリチップをスレーブ側のメモリチップ300(以下、スレーブチップ)と称する。本例では、1つのスレーブチップ300を例示しているが、フラッシュメモリデバイス100は、2つ以上のスレーブチップを含むものであってもよい。
【0016】
フラッシュメモリデバイス100は、例えば、BGAまたはCSPパッケージから構成され、例えば、BGAパッケージは、スタックされたマスタチップとスレーブチップがフレキシブル回路基板上にフリップチップ実装され、あるいはワイヤボンディングにより回路基板に接続される。
【0017】
マスタチップ200は、複数のNANDストリングユニットを含むメモリセルアレイ210、メモリセルアレイの行や列の選択を行うデコーダやページバッファ/センス回路等を含む周辺回路220、マスタチップ200の全体の動作を制御するコントローラ230、複数の内部パッドを含む内部インターフェース部240を含む。スレーブチップ300は、マスタチップ200と同一の構成を有し、すなわち、複数のNANDストリングユニットを含むメモリセルアレイアレイ310、メモリセルアレイの行や列の選択を行うデコーダやページバッファ/センス回路等を含む周辺回路320、スレーブチップ300の全体の動作を制御するコントローラ330、複数の内部パッドを含む内部インターフェース部340を含む。
【0018】
フラッシュメモリデバイス100の外部端子は、マスタチップ200とスレーブチップ300とに共通であることができ、すなわち、複数の外部端子の各々は、内部インターフェース部240、340の対応する内部パッドにそれぞれ接続される。フラッシュメモリデバイス100は、例えば、Vcc電源用の外部端子、GND用の外部端子、データ入出力用の外部端子、制御信号(アドレスラッチイネーブル、コマンドラッチイネーブル等)を入力するための外部端子、ビジー信号/レディ信号を出力する外部端子、クロック信号を入力するための端子などを含むことができる。但し、SPI機能を搭載したフラッシュメモリデバイスは、NOR型フラッシュメモリとの互換性で動作するため、データを入力する入力端子、データを出力する出力端子、クロックを入力するクロック端子、チップセレクト端子、ライトプロテクト端子等を含むものであってもよく、必ずしも、ビジー信号やレディ信号を出力する端子は備えていない点に留意すべきである。
【0019】
マスタチップ200およびスレーブチップ300は、内部インターフェース部240/340および外部端子を介してホストコンピュータ50に接続され、ホストコンピュータ50は、フラッシュメモリデバイス100に対して読出し、プログラム、消去等のコマンドやアドレス等を与える。1つの実施態様では、コントローラ230/330は、ホストコンピュータ50から内部インターフェース部240/340を介して入力されるアドレスを監視し、自身が選択されたか否かを判定する。マスタチップ200またはスレーブチップ300は、自身が選択されたとき、ホストコンピュータ50から与えられた指示を実行する。他の実施態様では、ホストコンピュータ50は、チップを選択するためのチップ選択信号CSを出力し、コントローラ230/330は、チップセレクト信号CSに基づき自身が選択されたか否かを判定し、選択されたチップがホストコンピュータ50から与えられた指示を実行する。
【0020】
図3に、本実施例によるマスタチップ200とスレーブチップ300間のチャージポンプ回路に関する接続関係を示す。フラッシュメモリデバイス100のVcc電源用の外部端子12は、従来と同様に、マスタチップ200の内部パッド24とスレーブチップ300の内部パッド34とに配線14を介して共通に接続され、内部パッド24/34は、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sの電圧入力部Vinに接続される。さらに、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpが配線を介して内部パッド26に接続され、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpが配線を介して内部パッド36に接続され、内部パッド26と内部パッド36とが配線16により電気的に接続されている。
【0021】
図4は、本実施例のマスタチップの内部構成を示す図である。マスタチップ200は、複数のメモリセルアレイが行列状に配列されたメモリセルアレイ210と、周辺回路220と、コントローラ230と、内部インターフェース部240とを含む。なお、スレーブチップ300は、マスタチップ200と同一の構成を有するため、ここでは、マスタチップ200の内部構成のみを説明する。
【0022】
メモリセルアレイ210は、例えば、ワード線選択回路223の両側に2つのメモリプレーンまたはメモリバンクを有し、各メモリプレーンの列方向にm個のメモリブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのメモリブロックには、複数のメモリセルアレイを直列に接続したNANDストリングユニットが複数形成される。
【0023】
周辺回路220は、内部インターフェース部240を介してデータ等の送受を行う入出力バッファ221と、入出力バッファ221を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ222と、アドレスレジスタ222からの行アドレス情報Axに基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路223と、ワード線選択回路223によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページにプログラムすべき入力データを保持するページバッファ/センス回路224と、アドレスレジスタ222からの列アドレス情報Ayに基づきページバッファ/センス回路224内の列アドレスのデータを選択する列選択回路225と、読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路226とを含んで構成される。内部電圧発生回路226は、図3に示すチャージポンプ回路CPを含み、内部パッド24に供給される電圧Vccに基づき所望な電圧を生成する。
【0024】
コントローラ230は、内部インターフェース部240および入出力バッファ221を介してコマンド等を受け取り、マスタチップ200の動作を制御する。また、コントローラ230は、上記したように、ホストコンピュータ50からのアドレスまたはチップ選択信号CSに基づき自身が選択されたか否かを判定する。
【0025】
メモリセルアレイ210の読出し動作では、ビット線に正の電圧を印加し、選択ワード線に例えば0Vを印加し、非選択ワード線にパス電圧を印加し、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgmを印加し、非選択のワード線に中間電位を印加し、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線GBLに供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0026】
SPI機能を搭載したフラッシュメモリでは、メモリセルアレイ210の選択ページの読出しを行う期間中に、既に読み出したページデータを入出力バッファ221から連続的に出力することが可能である。メモリセルアレイ210が2つのメモリプレーンに分割されているとき、一方のメモリプレーンからページデータを読み出している期間中に、他方のメモリプレーンから既に読み出したページデータを、外部端子に供給されるシリアルクロック信号SCLKに同期してシリアル出力することが可能である。メモリセルアレイの読出し速度は、例えば、20MHzであり、シリアルクロック信号SCLKによる読出し速度は、例えば、166MHzである。また、入出力データ用の外部端子は、例えば、×1、×4、または×8である。
【0027】
電圧発生回路226は、チャージポンプ回路CPを含み、図3に示したように、フラッシュメモリデバイス100のVcc電源用の外部端子12に供給された電圧を内部パッド24を介して受け取り、所望の電圧を生成する。チャージポンプ回路CP_M/CP_Sによって生成された電圧は、マスタチップ200の周辺回路220またはスレーブチップ300の周辺回路320に供給される。
【0028】
図5(A)に、チャージポンプ回路の構成例を示す。チャージポンプ回路は、複数のダイオード接続されたMOSトランジスタを含み、各MOSトランジスタは直列に接続されている。また、MOSトランジスタのゲートにはキャパシタが接続され、奇数番目のMOSトランジスタの各キャパシタにはクロック信号CLK1が印加され、偶数番目のMOSトランジスタの各キャパシタにはクロック信号CLK2が印加される。クロック信号CLK1とクロック信号CLK2とは、図5(B)に示すように位相が180度異なる関係にある。チャージポンプ回路CP_M/CP_Sの電圧入力部Vinには、内部パッド24/34を介してVcc電圧が供給され、電圧出力部Vcpからは昇圧された電圧が出力される。
【0029】
1つの実施態様では、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sは、複数のポンプ回路部分を含み、複数のポンプ回路部分の選択されたポンプ回路部分を動作させることが可能である。図6に、本実施例によるチャージポンプ回路CP_M/CP_Sの一例を示す。同図に示すように、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sは、n組のポンプ回路部分CP−1、CP−2、・・・、CP−nを含んで構成される(nは、2以上の整数)。1つのポンプ回路部分は、図5に示す回路を有し、ポンプ回路部分CP−1、CP−2、・・・、CP−nの電圧入力部Vinと電圧出力部Vcpとがそれぞれ並列に接続される。1つのポンプ回路部分が動作されたときの消費電流がIpであるならば、全てのポンプ回路部分が動作されたときの消費電流は、Ip×nである。
【0030】
n組のポンプ回路部分の電圧出力部Vcpは、マスタチップ200およびスレーブチップ300の周辺回路220/320に接続され、周辺回路220/320に所望の電圧を供給する。また、チャージポンプ回路CP_Mの電圧生成部Vcpが内部パッド26に接続され、スレーブチップ300においても同様に、電圧生成部Vcpが内部パッド36に接続され、チャージポンプ回路CP_Mで生成された電圧をスレーブチップ300へ提供し、またはチャージポンプ回路CP_Sで生成された電圧をマスタチップ200へ提供することを可能にする。
【0031】
チャージポンプ回路CP_M/CP_Sは、選択されたポンプ回路部分を動作させることが可能であり、例えば、メモリチップが選択されているときに、一部のポンプ回路部分をオンしたり、あるいは全てのポンプ回路部分をオフすることが可能である。図7に、ポンプ回路部分CP−1を選択的に動作させるための回路例を示す。コンパレータ400は、ポンプ回路部分CP−1がターゲットとする電圧Vrefと、電圧生成部Vcpから出力される電圧Voutとを比較し、Vout<Vrefであれば、比較結果CMP_outとしてHレベルをANDゲート410に出力し、Vout≧Vrefであれば、LレベルをANDゲート410に出力する。
【0032】
ANDゲート410にはさらに、コントローラ230からチップ選択信号/CLと、ポンプ回路部分CP−1を選択するための選択信号SEL_1が入力される。マスタチップ200が非選択であるとき、/CSがHレベルであり、ポンプ回路部分CP−1を動作させるとき、SEL_1がHレベルであり、出力電圧Voutがターゲットの電圧未満であるとき、比較結果がHレベルであり、ANDゲート410のイネーブル信号ENがHレベルである。ANDゲート420は、ANDゲート410から出力されるイネーブル信号ENとクロック信号CLKとを入力し、クロック信号CLK1を生成する。インバータ430は、クロック信号CLK1を反転したクロック信号CLK2を生成する。
【0033】
次に、本発明の第1の実施例によるチャージポンプ回路の動作制御方法について説明する。第1の実施例では、図8(A)に示すように、選択されたメモリチップ(マスタチップ200)のチャージポンプ回路をオフにし、非選択のメモリチップ(スレーブチップ300)のチャージポンプ回路をオンにする。そして、非選択のメモリチップ(スレーブチップ300)のチャージポンプ回路で生成された電圧を、選択されたメモリチップ(マスタチップ200)へ提供する。
【0034】
図8(B)は、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sがオンされ、マスタチップ200のチャージポンプCP_Mがオフされた様子を示している。チャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpから出力された電圧Vsは、内部パッド36、配線16、内部パッド26を介して、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpに供給される。
【0035】
上記の動作を行う場合、マスタチップ200では、チップ選択信号/CLがLレベルになり、あるいは、選択信号SEL_1〜SEL_nをLレベルにすることで、チャージポンプ回路CP内のn組のポンプ回路部分CP−1〜CP〜nの全てがオフにされる。他方、スレーブチップ300では、チップ選択信号/CLがHレベルになり、選択信号SEL_1〜SEL_nがHレベルにされ、チャージポンプ回路CP_Sのn組のポンプ回路部分CP−1〜CP〜nの全てがオンされる。
【0036】
スレーブチップ300では、チャージポンプ回路CP_Sを動作させるため、その電力消費によりVccノイズまたはVcc電圧降下が発生するが、スレーブチップ300は非選択であるため、このようなVccノイズがスレーブチップ300の回路に悪影響を及ぼすことはない。他方、マスタチップ200では、チャージポンプ回路CP_Mがオフであるため、チャージポンプ回路CPによる電力消費が生じない。このため、マスタチップ200において大きなVccノイズやVcc電圧降下は生じず、Vcc電圧の挙動が安定化される。1つのパッケージの観点からは、消費電流Iccは、従来の場合と同じであるが、1つのメモリチップの観点からすると、選択されたメモリチップにおいては、チャージポンプ回路CPが非動作にされるため、消費電流Iccが非常に減少され、ピーク電流も大幅に減少される。
【0037】
次に、本発明の第2の実施例について図9を参照して説明する。第1の実施例では、選択されたメモリチップのチャージポンプ回路を完全にオフにしたが、第2の実施例では、選択されたメモリチップのチャージポンプ回路の一部をオンにし、非選択のメモリチップのチャージポンプ回路の一部をオンにする。1つの好ましい例では、図9(A)に示すように、チャージポンプ回路の1/2をそれぞれオンさせる。
【0038】
マスタチップ200では、コントローラ230は、チップ選択信号/CSをLレベルからHレベルに反転させ、かつ、n組のポンプ回路部分のうちの半分のポンプ回路部分の選択信号SEL_1、SEL_2、…SEL_n/2がHレベルにされ、半分のポンプ回路部分がオンされる。スレーブチップ300でも同様に、チャージポンプ回路CP_Sの半分のポンプ回路部分がオンされる。
【0039】
ここで、チャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpの電圧Vmと、チャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpの電圧Vsとが等しいと、マスタチップ200とスレーブチップ300との間に存在する内部パッド26、36、配線16等の抵抗により、電圧Vsがマスタチップ200に供給され難くなる。このため、チャージポンプ回路CP_Sにより生成される電圧VsがチャージポンプCP_Mにより生成される電圧Vmよりも幾分高くなるようにチャージポンプ回路CP_SまたはCP_Mを制御するようにしてもよい。
【0040】
本実施例では、マスタチップ200においてチャージポンプ回路CP_Mの1/2が動作されるため、第1の実施例の場合と比較して、幾分Vccノイズが生じるが、従来の場合よりはVccノイズを抑制することができる。また、上記の例では、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sの1/2をそれぞれ動作させたが、例えば、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mのm個を動作させ、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sのn−m個を動作させるようにしてもよい。この場合、マスタチップで動作されるポンプ回路部分の数は、スレーブチップで動作されるポンプ回路部分の数よりも少なくすることで、マスタチップのVccノイズを抑制することが望ましい。
【0041】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例では、マスタチップ200において、メモリセルアレイからのページ読出しを行う期間中、マスタチップ200のチャージポンプ回路CPの一部または全部をオンさせ、その後に行われるページデータの連続読出しの期間中、チャージポンプ回路CPをオフさせるようにしてもよい。この場合、コントローラ230/330は、ホストコンピュータ50からの連続読出しのコマンドを受け取ることに応答して、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mをオフさせ、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sをオンさせるような制御を行う。これにより、マスタチップ200においてページデータを連続出力されるときに、Vccノイズが出力回路に誘発されるのを抑制することができる。
【0042】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第1ないし第3の実施例では、マスタチップ200とスレーブチップ300の専用の内部パッド26、36を利用したが、そうすると、追加の内部パッドが必要になる。そこで、第4の実施例では、通常の動作時には使用しない内部パッドを、チャージポンプ回路用にシェアする。例えば、内部パッドには、テスト用端子が含まれており、テスト用端子は、メモリチップをパッケージする前のテスト時に使用され、その後は、使用されない。そこで、テスト終了後、パッケージする前に、各メモリチップのテスト用端子をチャージポンプ回路CP_M/CP_Sの電圧出力部Vcpに接続し、かつテスト用端子を配線16により接続する。これにより、内部パッド数の増加を抑制し、メモリチップの小型化を図ることができる。
【0043】
上記実施例では、マスタチップおよびスレーブチップがともにNAND型フラッシュメモリを例示したが、本発明は、NOR型のマスタチップおよびスレーブチップにも適用可能である。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10:ホストコンピュータ 100:フラッシュメモリデバイス
200:マスタチップ 210:メモリセルアレイ
220:周辺回路 230:コントローラ
240:内部インターフェース 300:スレーブチップ
310:メモリセルアレイ 320:周辺回路
330:内部インターフェース
【要約】
【課題】 選択されたメモリチップの動作電圧の安定化を図る半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 本発明のフラッシュメモリデバイス100は、マスタチップ200と、少なくとも1つのスレーブチップ300とを含む。マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpは、内部パッド26に接続され、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpは、内部パッド36に接続され、内部パッド26と内部パッド36とが配線16により接続される。マスタチップ200が動作されるとき、チャージポンプ回路CP_Mがオフされ、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sがオンされ、チャージポンプ回路CP_Sによって生成された電圧がマスタチップ200に供給される。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9