【実施例】
【0015】
図2に、本発明の実施例に係るフラッシュメモリデバイスの概略構成を示す。フラッシュメモリデバイス100は、スタックされた複数のメモリチップを含んで構成される。ここでは、便宜上、選択されたメモリチップをマスタ側のメモリチップ200(以下、マスタチップ)、非選択のメモリチップをスレーブ側のメモリチップ300(以下、スレーブチップ)と称する。本例では、1つのスレーブチップ300を例示しているが、フラッシュメモリデバイス100は、2つ以上のスレーブチップを含むものであってもよい。
【0016】
フラッシュメモリデバイス100は、例えば、BGAまたはCSPパッケージから構成され、例えば、BGAパッケージは、スタックされたマスタチップとスレーブチップがフレキシブル回路基板上にフリップチップ実装され、あるいはワイヤボンディングにより回路基板に接続される。
【0017】
マスタチップ200は、複数のNANDストリングユニットを含むメモリセルアレイ210、メモリセルアレイの行や列の選択を行うデコーダやページバッファ/センス回路等を含む周辺回路220、マスタチップ200の全体の動作を制御するコントローラ230、複数の内部パッドを含む内部インターフェース部240を含む。スレーブチップ300は、マスタチップ200と同一の構成を有し、すなわち、複数のNANDストリングユニットを含むメモリセルアレイアレイ310、メモリセルアレイの行や列の選択を行うデコーダやページバッファ/センス回路等を含む周辺回路320、スレーブチップ300の全体の動作を制御するコントローラ330、複数の内部パッドを含む内部インターフェース部340を含む。
【0018】
フラッシュメモリデバイス100の外部端子は、マスタチップ200とスレーブチップ300とに共通であることができ、すなわち、複数の外部端子の各々は、内部インターフェース部240、340の対応する内部パッドにそれぞれ接続される。フラッシュメモリデバイス100は、例えば、Vcc電源用の外部端子、GND用の外部端子、データ入出力用の外部端子、制御信号(アドレスラッチイネーブル、コマンドラッチイネーブル等)を入力するための外部端子、ビジー信号/レディ信号を出力する外部端子、クロック信号を入力するための端子などを含むことができる。但し、SPI機能を搭載したフラッシュメモリデバイスは、NOR型フラッシュメモリとの互換性で動作するため、データを入力する入力端子、データを出力する出力端子、クロックを入力するクロック端子、チップセレクト端子、ライトプロテクト端子等を含むものであってもよく、必ずしも、ビジー信号やレディ信号を出力する端子は備えていない点に留意すべきである。
【0019】
マスタチップ200およびスレーブチップ300は、内部インターフェース部240/340および外部端子を介してホストコンピュータ50に接続され、ホストコンピュータ50は、フラッシュメモリデバイス100に対して読出し、プログラム、消去等のコマンドやアドレス等を与える。1つの実施態様では、コントローラ230/330は、ホストコンピュータ50から内部インターフェース部240/340を介して入力されるアドレスを監視し、自身が選択されたか否かを判定する。マスタチップ200またはスレーブチップ300は、自身が選択されたとき、ホストコンピュータ50から与えられた指示を実行する。他の実施態様では、ホストコンピュータ50は、チップを選択するためのチップ選択信号CSを出力し、コントローラ230/330は、チップセレクト信号CSに基づき自身が選択されたか否かを判定し、選択されたチップがホストコンピュータ50から与えられた指示を実行する。
【0020】
図3に、本実施例によるマスタチップ200とスレーブチップ300間のチャージポンプ回路に関する接続関係を示す。フラッシュメモリデバイス100のVcc電源用の外部端子12は、従来と同様に、マスタチップ200の内部パッド24とスレーブチップ300の内部パッド34とに配線14を介して共通に接続され、内部パッド24/34は、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sの電圧入力部Vinに接続される。さらに、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpが配線を介して内部パッド26に接続され、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpが配線を介して内部パッド36に接続され、内部パッド26と内部パッド36とが配線16により電気的に接続されている。
【0021】
図4は、本実施例のマスタチップの内部構成を示す図である。マスタチップ200は、複数のメモリセルアレイが行列状に配列されたメモリセルアレイ210と、周辺回路220と、コントローラ230と、内部インターフェース部240とを含む。なお、スレーブチップ300は、マスタチップ200と同一の構成を有するため、ここでは、マスタチップ200の内部構成のみを説明する。
【0022】
メモリセルアレイ210は、例えば、ワード線選択回路223の両側に2つのメモリプレーンまたはメモリバンクを有し、各メモリプレーンの列方向にm個のメモリブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのメモリブロックには、複数のメモリセルアレイを直列に接続したNANDストリングユニットが複数形成される。
【0023】
周辺回路220は、内部インターフェース部240を介してデータ等の送受を行う入出力バッファ221と、入出力バッファ221を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ222と、アドレスレジスタ222からの行アドレス情報Axに基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路223と、ワード線選択回路223によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページにプログラムすべき入力データを保持するページバッファ/センス回路224と、アドレスレジスタ222からの列アドレス情報Ayに基づきページバッファ/センス回路224内の列アドレスのデータを選択する列選択回路225と、読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路226とを含んで構成される。内部電圧発生回路226は、
図3に示すチャージポンプ回路CPを含み、内部パッド24に供給される電圧Vccに基づき所望な電圧を生成する。
【0024】
コントローラ230は、内部インターフェース部240および入出力バッファ221を介してコマンド等を受け取り、マスタチップ200の動作を制御する。また、コントローラ230は、上記したように、ホストコンピュータ50からのアドレスまたはチップ選択信号CSに基づき自身が選択されたか否かを判定する。
【0025】
メモリセルアレイ210の読出し動作では、ビット線に正の電圧を印加し、選択ワード線に例えば0Vを印加し、非選択ワード線にパス電圧を印加し、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgmを印加し、非選択のワード線に中間電位を印加し、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線GBLに供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0026】
SPI機能を搭載したフラッシュメモリでは、メモリセルアレイ210の選択ページの読出しを行う期間中に、既に読み出したページデータを入出力バッファ221から連続的に出力することが可能である。メモリセルアレイ210が2つのメモリプレーンに分割されているとき、一方のメモリプレーンからページデータを読み出している期間中に、他方のメモリプレーンから既に読み出したページデータを、外部端子に供給されるシリアルクロック信号SCLKに同期してシリアル出力することが可能である。メモリセルアレイの読出し速度は、例えば、20MHzであり、シリアルクロック信号SCLKによる読出し速度は、例えば、166MHzである。また、入出力データ用の外部端子は、例えば、×1、×4、または×8である。
【0027】
電圧発生回路226は、チャージポンプ回路CPを含み、
図3に示したように、フラッシュメモリデバイス100のVcc電源用の外部端子12に供給された電圧を内部パッド24を介して受け取り、所望の電圧を生成する。チャージポンプ回路CP_M/CP_Sによって生成された電圧は、マスタチップ200の周辺回路220またはスレーブチップ300の周辺回路320に供給される。
【0028】
図5(A)に、チャージポンプ回路の構成例を示す。チャージポンプ回路は、複数のダイオード接続されたMOSトランジスタを含み、各MOSトランジスタは直列に接続されている。また、MOSトランジスタのゲートにはキャパシタが接続され、奇数番目のMOSトランジスタの各キャパシタにはクロック信号CLK1が印加され、偶数番目のMOSトランジスタの各キャパシタにはクロック信号CLK2が印加される。クロック信号CLK1とクロック信号CLK2とは、
図5(B)に示すように位相が180度異なる関係にある。チャージポンプ回路CP_M/CP_Sの電圧入力部Vinには、内部パッド24/34を介してVcc電圧が供給され、電圧出力部Vcpからは昇圧された電圧が出力される。
【0029】
1つの実施態様では、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sは、複数のポンプ回路部分を含み、複数のポンプ回路部分の選択されたポンプ回路部分を動作させることが可能である。
図6に、本実施例によるチャージポンプ回路CP_M/CP_Sの一例を示す。同図に示すように、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sは、n組のポンプ回路部分CP−1、CP−2、・・・、CP−nを含んで構成される(nは、2以上の整数)。1つのポンプ回路部分は、
図5に示す回路を有し、ポンプ回路部分CP−1、CP−2、・・・、CP−nの電圧入力部Vinと電圧出力部Vcpとがそれぞれ並列に接続される。1つのポンプ回路部分が動作されたときの消費電流がIpであるならば、全てのポンプ回路部分が動作されたときの消費電流は、Ip×nである。
【0030】
n組のポンプ回路部分の電圧出力部Vcpは、マスタチップ200およびスレーブチップ300の周辺回路220/320に接続され、周辺回路220/320に所望の電圧を供給する。また、チャージポンプ回路CP_Mの電圧生成部Vcpが内部パッド26に接続され、スレーブチップ300においても同様に、電圧生成部Vcpが内部パッド36に接続され、チャージポンプ回路CP_Mで生成された電圧をスレーブチップ300へ提供し、またはチャージポンプ回路CP_Sで生成された電圧をマスタチップ200へ提供することを可能にする。
【0031】
チャージポンプ回路CP_M/CP_Sは、選択されたポンプ回路部分を動作させることが可能であり、例えば、メモリチップが選択されているときに、一部のポンプ回路部分をオンしたり、あるいは全てのポンプ回路部分をオフすることが可能である。
図7に、ポンプ回路部分CP−1を選択的に動作させるための回路例を示す。コンパレータ400は、ポンプ回路部分CP−1がターゲットとする電圧Vrefと、電圧生成部Vcpから出力される電圧Voutとを比較し、Vout<Vrefであれば、比較結果CMP_outとしてHレベルをANDゲート410に出力し、Vout≧Vrefであれば、LレベルをANDゲート410に出力する。
【0032】
ANDゲート410にはさらに、コントローラ230からチップ選択信号/CLと、ポンプ回路部分CP−1を選択するための選択信号SEL_1が入力される。マスタチップ200が非選択であるとき、/CSがHレベルであり、ポンプ回路部分CP−1を動作させるとき、SEL_1がHレベルであり、出力電圧Voutがターゲットの電圧未満であるとき、比較結果がHレベルであり、ANDゲート410のイネーブル信号ENがHレベルである。ANDゲート420は、ANDゲート410から出力されるイネーブル信号ENとクロック信号CLKとを入力し、クロック信号CLK1を生成する。インバータ430は、クロック信号CLK1を反転したクロック信号CLK2を生成する。
【0033】
次に、本発明の第1の実施例によるチャージポンプ回路の動作制御方法について説明する。第1の実施例では、
図8(A)に示すように、選択されたメモリチップ(マスタチップ200)のチャージポンプ回路をオフにし、非選択のメモリチップ(スレーブチップ300)のチャージポンプ回路をオンにする。そして、非選択のメモリチップ(スレーブチップ300)のチャージポンプ回路で生成された電圧を、選択されたメモリチップ(マスタチップ200)へ提供する。
【0034】
図8(B)は、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sがオンされ、マスタチップ200のチャージポンプCP_Mがオフされた様子を示している。チャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpから出力された電圧Vsは、内部パッド36、配線16、内部パッド26を介して、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpに供給される。
【0035】
上記の動作を行う場合、マスタチップ200では、チップ選択信号/CLがLレベルになり、あるいは、選択信号SEL_1〜SEL_nをLレベルにすることで、チャージポンプ回路CP内のn組のポンプ回路部分CP−1〜CP〜nの全てがオフにされる。他方、スレーブチップ300では、チップ選択信号/CLがHレベルになり、選択信号SEL_1〜SEL_nがHレベルにされ、チャージポンプ回路CP_Sのn組のポンプ回路部分CP−1〜CP〜nの全てがオンされる。
【0036】
スレーブチップ300では、チャージポンプ回路CP_Sを動作させるため、その電力消費によりVccノイズまたはVcc電圧降下が発生するが、スレーブチップ300は非選択であるため、このようなVccノイズがスレーブチップ300の回路に悪影響を及ぼすことはない。他方、マスタチップ200では、チャージポンプ回路CP_Mがオフであるため、チャージポンプ回路CPによる電力消費が生じない。このため、マスタチップ200において大きなVccノイズやVcc電圧降下は生じず、Vcc電圧の挙動が安定化される。1つのパッケージの観点からは、消費電流Iccは、従来の場合と同じであるが、1つのメモリチップの観点からすると、選択されたメモリチップにおいては、チャージポンプ回路CPが非動作にされるため、消費電流Iccが非常に減少され、ピーク電流も大幅に減少される。
【0037】
次に、本発明の第2の実施例について
図9を参照して説明する。第1の実施例では、選択されたメモリチップのチャージポンプ回路を完全にオフにしたが、第2の実施例では、選択されたメモリチップのチャージポンプ回路の一部をオンにし、非選択のメモリチップのチャージポンプ回路の一部をオンにする。1つの好ましい例では、
図9(A)に示すように、チャージポンプ回路の1/2をそれぞれオンさせる。
【0038】
マスタチップ200では、コントローラ230は、チップ選択信号/CSをLレベルからHレベルに反転させ、かつ、n組のポンプ回路部分のうちの半分のポンプ回路部分の選択信号SEL_1、SEL_2、…SEL_n/2がHレベルにされ、半分のポンプ回路部分がオンされる。スレーブチップ300でも同様に、チャージポンプ回路CP_Sの半分のポンプ回路部分がオンされる。
【0039】
ここで、チャージポンプ回路CP_Mの電圧出力部Vcpの電圧Vmと、チャージポンプ回路CP_Sの電圧出力部Vcpの電圧Vsとが等しいと、マスタチップ200とスレーブチップ300との間に存在する内部パッド26、36、配線16等の抵抗により、電圧Vsがマスタチップ200に供給され難くなる。このため、チャージポンプ回路CP_Sにより生成される電圧VsがチャージポンプCP_Mにより生成される電圧Vmよりも幾分高くなるようにチャージポンプ回路CP_SまたはCP_Mを制御するようにしてもよい。
【0040】
本実施例では、マスタチップ200においてチャージポンプ回路CP_Mの1/2が動作されるため、第1の実施例の場合と比較して、幾分Vccノイズが生じるが、従来の場合よりはVccノイズを抑制することができる。また、上記の例では、チャージポンプ回路CP_M/CP_Sの1/2をそれぞれ動作させたが、例えば、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mのm個を動作させ、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sのn−m個を動作させるようにしてもよい。この場合、マスタチップで動作されるポンプ回路部分の数は、スレーブチップで動作されるポンプ回路部分の数よりも少なくすることで、マスタチップのVccノイズを抑制することが望ましい。
【0041】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例では、マスタチップ200において、メモリセルアレイからのページ読出しを行う期間中、マスタチップ200のチャージポンプ回路CPの一部または全部をオンさせ、その後に行われるページデータの連続読出しの期間中、チャージポンプ回路CPをオフさせるようにしてもよい。この場合、コントローラ230/330は、ホストコンピュータ50からの連続読出しのコマンドを受け取ることに応答して、マスタチップ200のチャージポンプ回路CP_Mをオフさせ、スレーブチップ300のチャージポンプ回路CP_Sをオンさせるような制御を行う。これにより、マスタチップ200においてページデータを連続出力されるときに、Vccノイズが出力回路に誘発されるのを抑制することができる。
【0042】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第1ないし第3の実施例では、マスタチップ200とスレーブチップ300の専用の内部パッド26、36を利用したが、そうすると、追加の内部パッドが必要になる。そこで、第4の実施例では、通常の動作時には使用しない内部パッドを、チャージポンプ回路用にシェアする。例えば、内部パッドには、テスト用端子が含まれており、テスト用端子は、メモリチップをパッケージする前のテスト時に使用され、その後は、使用されない。そこで、テスト終了後、パッケージする前に、各メモリチップのテスト用端子をチャージポンプ回路CP_M/CP_Sの電圧出力部Vcpに接続し、かつテスト用端子を配線16により接続する。これにより、内部パッド数の増加を抑制し、メモリチップの小型化を図ることができる。
【0043】
上記実施例では、マスタチップおよびスレーブチップがともにNAND型フラッシュメモリを例示したが、本発明は、NOR型のマスタチップおよびスレーブチップにも適用可能である。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。