特許第6482734号(P6482734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6482734
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】エレベーターの遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-526817(P2018-526817)
(86)(22)【出願日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】JP2017044914
【審査請求日】2018年5月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松枝 豊
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−162934(JP,A)
【文献】 特開2012−218886(JP,A)
【文献】 特開2017−202890(JP,A)
【文献】 特開2017−171465(JP,A)
【文献】 特開2003−212447(JP,A)
【文献】 特許第6100319(JP,B2)
【文献】 特開2010−095360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの遠隔監視システムであって、
エレベーターの運転制御を行うとともに、前記エレベーターに故障が発生した場合に故障信号を出力する制御装置と、
記憶部を含み、前記制御装置に接続されて前記制御装置との間でデータの授受を行うとともに、前記故障信号が入力される監視装置と、
前記監視装置と通信ネットワークを介して接続されて前記監視装置との間でデータの授受を行う管理サーバと、監視盤と、エレベーター管理者の携帯端末と、を備え、
前記通信ネットワークは、前記管理サーバと接続される第1回線と、前記第1回線と異なる回線で前記監視盤又は前記携帯端末と接続される第2回線と、を有し、
前記監視装置は、
前記管理サーバから前記エレベーターの診断運転指令を受信した際に、前記制御装置に診断運転指令を出力して前記制御装置に診断運転を実行させ、前記制御装置から診断運転結果データを受け付けて前記記憶部に格納し、
前記制御装置から受け付けた診断運転結果データ又は前記制御装置から入力された前記故障信号に基づいて、前記エレベーターの設置ビルの名称と、前記エレベーターの管理番号と、診断結果が異常となっている項目、或いは、故障信号に含まれるエレベーターの故障状態を示すエレベーター状態コードと、を組み合わせて前記エレベーターの状態を示すエレベーター状態情報を生成し、
前記制御装置から受け付けた診断運転結果データに異常項目が含まれている場合又は前記制御装置から前記故障信号が入力された場合には、前記第2回線により前記監視盤又は前記携帯端末に前記エレベーター状態情報を発信し、
前記制御装置から受け付けた診断運転結果データが全て正常である場合には、前記管理サーバから診断運転結果データの送信要求のあった際に、送信要求のあった診断運転結果データを前記第1回線により前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記通信ネットワークを介して複数の前記監視装置と接続され、前記監視装置から送信される診断運転結果データを、複数の前記監視装置の内の2つ以上から同時に受信しないように、それぞれの前記監視装置に診断運転結果データの送信要求を行うこと、
を特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの遠隔監視システムであって、
前記エレベーターと、前記制御装置と、前記監視装置とが第1国に設置され、
前記携帯端末が前記第1国に存在し、
前記管理サーバと、前記監視盤とが第2国に設置され、
前記監視装置は、前記第1国の通信規格に従って前記携帯端末又は前記監視盤又は前記管理サーバとの間の通信を行うこと、
を特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベーターの遠隔監視システムであって
記監視装置は、前記第1国の通信規格に従って前記第1回線により前記管理サーバとの間の通信を行い、前記第1国の通信規格に従って前記第2回線により前記監視盤又は前記携帯端末との間の通信を行うこと、
を特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベーターの遠隔監視システムであって、
前記監視装置に接続されて前記監視装置との間でデータの授受を行う保守端末を含み、
前記監視装置は、
前記制御装置から受け付けた診断運転結果データに異常項目が含まれている場合には、前記監視盤又は前記携帯端末又は前記保守端末に前記エレベーター状態情報を発信すること、
を特徴とするエレベーターの遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターを遠隔から監視する遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの監視装置と監視センタとを通信ネットワークを介して接続し、エレベーターの制御装置から所定の監視項目に関する監視情報を読み出して、監視情報を監視装置から監視センタに送信するエレベーターの監視システムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エレベーターに診断運転を行わせて機器の状態を自動的に点検するエレベーター診断方法が用いられている。例えば、管理サーバから通信ネットワークを介してエレベーターに診断運転指令を送信してエレベーターに診断運転を実行させ、通信装置を介して診断結果を管理センタに送信するエレベーターの診断システムが用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6100319号明細書
【特許文献2】特許第5389229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、エレベーターの普及により、管理サーバは多数のエレベーターの診断、監視を行うことが求められている。また、近年、エレベーターに故障、変調が発生した場合、管理サーバからの指令でエレベーターの制御を変更する遠隔制御や遠隔復旧等が行われるようになってきている。このため、管理サーバから発信される指令は多岐にわたる上、その数が非常に多くなってきている。このような多岐、多数の指令に対するエレベーターの応答結果をすべて監視センタに送信すると監視センタの受信端末の大型化や監視員の増員が必要となる。
【0006】
一方、管理サーバからの指令で診断運転を実行した場合、診断結果に異常がない場合がほとんどである。このような異常なしの診断結果は、エレベーターの保守のために管理サーバに格納されていれば十分で、監視センタで受信、確認する必要性が低い。その反面、エレベーターの故障、異常ありの診断結果は、すぐに監視センタで受信、確認してエレベーターの管理会社等に連絡したり、技術者の派遣等が必要となったりするものである。この場合、監視センタを介してエレベーターの管理会社に連絡していると故障、異常の連絡が遅くなってしまう場合がある。このように、エレベーターからのデータの送信先が監視センタのみの場合、監視センタには不要な情報が送信される場合がある反面、必要な情報が必要な所に送信されない場合があると、情報の送受信が非効率となってエレベーターの保守管理サービスの品質を低下させてしまう場合がある。
【0007】
また、管理サーバが多数のエレベーターの診断、監視を行う場合、各エレベーターから管理サーバへの診断結果の送信が重なって来る場合がある。この場合、送信データの量が管理サーバの通信容量を超えてしまうと診断結果のデータを受信できず、エレベーターの保守管理サービスの品質を低下させてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、エレベーターの保守管理サービスの品質を向上させること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレベーターの遠隔監視システムは、エレベーターの運転制御を行うとともに、前記エレベーターに故障が発生した場合に故障信号を出力する制御装置と、記憶部を含み、前記制御装置に接続されて前記制御装置との間でデータの授受を行うとともに、前記故障信号が入力される監視装置と、前記監視装置と通信ネットワークを介して接続されて前記監視装置との間でデータの授受を行う管理サーバと、監視盤と、エレベーター管理者の携帯端末と、を備え、前記通信ネットワークは、前記管理サーバと接続される第1回線と、前記第1回線と異なる回線で前記監視盤又は前記携帯端末と接続される第2回線と、を有し、前記監視装置は、前記管理サーバから前記エレベーターの診断運転指令を受信した際に、前記制御装置に診断運転指令を出力して前記制御装置に診断運転を実行させ、前記制御装置から診断運転結果データを受け付けて前記記憶部に格納し、前記制御装置から受け付けた診断運転結果データ又は前記制御装置から入力された前記故障信号に基づいて、前記エレベーターの設置ビルの名称と、前記エレベーターの管理番号と、診断結果が異常となっている項目、或いは、故障信号に含まれるエレベーターの故障状態を示すエレベーター状態コードと、を組み合わせて前記エレベーターの状態を示すエレベーター状態情報を生成し、前記制御装置から受け付けた診断運転結果データに異常項目が含まれている場合又は前記制御装置から前記故障信号が入力された場合には、前記第2回線により前記監視盤又は前記携帯端末に前記エレベーター状態情報を発信し、前記制御装置から受け付けた診断運転結果データが全て正常である場合には、前記管理サーバから診断運転結果データの送信要求のあった際に、送信要求のあった診断運転結果データを前記第1回線により前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、前記通信ネットワークを介して複数の前記監視装置と接続され、前記監視装置から送信される診断運転結果データを、複数の前記監視装置の内の2つ以上から同時に受信しないように、それぞれの前記監視装置に診断運転結果データの送信要求を行うこと、を特徴とする。
【0010】
このように、制御装置から受け付けた診断運転結果データ又は制御装置から入力された故障信号に応じて管理サーバ、監視盤、携帯端末の中から特定した情報処理装置にエレベーター状態情報を発信するので、管理サーバ、監視盤、携帯端末において、不要な情報の受信を抑制すると共に、必要な情報の情報連絡の高速化を図ることができる。より詳しくは、診断運転結果データに異常項目が含まれている場合又は故障信号が入力された場合には、エレベーター状態情報が必要となる監視センタの監視盤又はエレベーター管理者の携帯端末にエレベーター状態情報を発信して情報連絡の高速化を図り、診断運転結果データが全て正常である場合には、監視センタの監視盤、エレベーター管理者の携帯端末にはエレベーター状態情報の発信を行わず、管理サーバのみにエレベーター状態情報を発信するので、監視盤、携帯端末に不要な情報が発信されることを抑制できる。さらに、エレベーターの診断運転を実行した際に診断運転結果データをエレベーターの制御装置に接続された監視装置の記憶部に格納しておき、管理サーバからの送信要求に応じて診断運転結果データを管理サーバに送信するので、多数のエレベーターから診断運転結果データが同時に管理サーバに送信されてしまい、管理サーバが診断運転結果データを受信できなくなることを抑制できる。また、管理サーバからの診断運転指令によりエレベーターに診断運転を実行させることにより、必要に応じた診断運転を行うようにすることができる。これによって、エレベーターの情報の送受信を効率化してエレベーターの保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【0013】
本発明のエレベーターの遠隔監視システムにおいて、エレベーターと、制御装置と、監視装置とが第1国に設置され、携帯端末が第1国に存在し、管理サーバと、監視盤とが第2国に設置され、監視装置は、第1国の通信規格に従って携帯端末又は監視盤又は管理サーバとの間の通信を行うこと、としてもよい。
【0014】
これにより、エレベーターと、管理サーバ、監視盤とが別の国に設置されている場合でも、通信ネットワークを介して容易にデータの授受を行うことができる。
【0015】
本発明のエレベーターの遠隔監視システムにおいて、通信ネットワークは、管理サーバと接続される第1回線と、監視盤又は携帯端末と接続される第2回線とを有し、監視装置は、第1国の通信規格に従って第1回線により管理サーバとの間の通信を行い、第1国の通信規格に従って第2回線により監視盤又は携帯端末との間の通信を行うこと、としてもよい。
【0016】
このように、監視装置と管理サーバとの通信回線と、監視装置と監視盤又は携帯端末との通信回線と、を別回線とすることにより、管理サーバへの診断運転結果データの送信により通信回線が占有されて、異常、あるいは故障発生の際にエレベーター状態情報を監視盤や携帯端末に通信できなくなることを抑制できる。
【0019】
本発明のエレベーターの遠隔監視システムにおいて、前記監視装置に接続されて前記監視装置との間でデータの授受を行う保守端末を含み、前記監視装置は、前記制御装置から受け付けた診断運転結果データに異常項目が含まれている場合には、前記監視盤又は前記携帯端末又は前記保守端末に前記エレベーター状態情報を発信すること、としてもよい。
【0020】
このように、診断運転結果データに異常項目が含まれている場合には、エレベーター状態情報が必要となる監視センタの監視盤又はエレベーター管理者の携帯端末又は保守端末にエレベーター状態情報を発信して情報連絡の高速化を図り、エレベーターの情報の送受信を効率化してエレベーターの保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、エレベーターの保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態のエレベーターの遠隔監視システムの構成を示す系統図である。
図2図1に示すエレベーターの遠隔監視システムの管理サーバに格納されている保守データベースの構成図である。
図3図1に示すエレベーターの遠隔監視システムの監視装置に格納されている発信先テーブルの構成図である。
図4図1に示すエレベーターの遠隔監視システムの監視装置が生成するエレベーター状態情報の例を示すリストである。
図5図1に示すエレベーターの遠隔監視システムの動作を示す動作シーケンス図である。
図6図5に示す動作シーケンス中の制御装置の動作を示すフローチャートである。
図7図5に示す動作シーケンス中の監視装置の動作を示すフローチャートである。
図8図5に示す動作シーケンス中の監視装置の他の動作を示すフローチャートである。
図9図5に示す動作シーケンス中の監視装置の他の動作を示すフローチャートである。
図10】診断運転結果データのデータ構造を示す図である。
図11図1に示すエレベーターの遠隔監視システムの他の動作を示す動作シーケンス図である。
図12図11に示す動作シーケンス中の制御装置の動作を示すフローチャートである。
図13図11に示す動作シーケンス中の監視装置の動作を示すフローチャートである。
図14】他の実施形態のエレベーターの遠隔監視システムの構成を示す系統図である。
図15図14に示すエレベーターの遠隔監視システムの動作を示す動作シーケンス図である。
図16図15に示す動作シーケンス中の監視装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、実施形態のエレベーター20の遠隔監視システム100について説明する。図1に示すように、遠隔監視システム100は、制御装置200と、監視装置250と、複数の情報処理装置である、監視センタ310の監視盤330と、管理サーバ360と、エレベーター管理者410の携帯端末411とを備えている。制御装置200は、エレベーター20の運転制御を行うとともに、エレベーター20に故障が発生した場合に故障信号を出力する。監視装置250は、記憶部260を含み、制御装置200に接続されて制御装置200との間でデータの授受を行うとともに、制御装置200から故障信号が入力される。監視盤330と、管理サーバ360と、携帯端末411とは、通信ネットワーク30を介して監視装置250と接続されて、監視装置250との間でデータの授受を行う。図1では、監視盤330、管理サーバ360に接続されているエレベーター20は1台であるが、多数のエレベーター20が接続されていてもよい。
【0026】
以下の説明では、多数のエレベーター20は第1国に設置されており、携帯端末411は第1国に存在しており、監視センタ310の監視盤330、管理サーバ360は第1国と異なる第2国に設置されているとして説明する。なお、複数のエレベーター20は、同一のビル10に設置されていてもよいし、異なるビル10に設置されていてもよい。
【0027】
エレベーター20の運転制御を行う制御装置200は、内部にCPUとメモリとを含むコンピュータである。同様に、監視装置250は、内部にCPUと記憶部260を含むコンピュータである。また、監視装置250は、内部に通信ネットワーク30とデータの授受を行う通信部270を有している。通信部270は、エレベーター20の設置されている第1国の通信規格に従って通信ネットワーク30との間でデータの授受を行うことにより、第1国の通信規格に従って管理サーバ360、監視センタ310の監視盤330、携帯端末411とデータの授受を行うことができる。
【0028】
監視センタ310は、通信装置320と、エレベーター20の診断状況、運行状況、故障状況を監視する監視盤330とを含んでいる。監視盤330は、内部にCPUとメモリとを備えるコンピュータで、通信装置320に接続されて通信ネットワーク30を介して監視装置250とデータの授受を行う。また、監視盤330は、管理サーバ360と接続されている。監視盤330には、エレベーター20の診断状況、運行状況、故障状況、管理サーバ360からの通知等が表示されるディスプレイ331と、ディスプレイ331の表示を操作するスイッチ332とが設けられている。また、監視盤330には通信ネットワーク35を介して監視員334が第1国に設置されたサービスセンター340との通信を行う電話333が備えられている。
【0029】
管理サーバ360は、内部にCPUと記憶部365とを含むコンピュータであり、通信装置325、通信ネットワーク30を介してエレベーター20の監視装置250とデータの授受を行う。記憶部365には、保守データベース370が格納されている。
【0030】
図2に示すように、保守データベース370は、エレベーター仕様データ371と、診断履歴データ372と、故障履歴データ373とを含んでいる。
【0031】
エレベーター仕様データ371は、エレベーター20の管理番号、機種、製造日、製造番号、設置ビルの名称を格納するデータ構造を有している。
【0032】
診断履歴データ372は、エレベーター20の管理番号、診断実行日時、診断モード、診断項目、診断結果を格納するデータ構造を有している。エレベーター20の診断は、例えば、一か月に1回等の予め設定されたスケジュールに従って、エレベーター20の制御装置200によって実施される。エレベーター20の制御装置200は、図1に示すエレベーター20のカゴ22を所定の階に移動させる。この移動の際にエレベーター20に取り付けられた各種のセンサによって運転性能(加速度、異常音の有無)、ブレーキ性能、戸開閉、非常用動力バッテリ等の各項目の診断を行う。診断モードの欄には、診断が設定されたスケジュールにより定期的に実行されたものであるか、管理サーバ360からの診断指示指令によって実行されたものであるかの区別が入力される。診断結果の欄には、運転性能(加速度、異常音の有無)、ブレーキ性能、戸開閉、非常用動力バッテリの各診断結果が入力されている。各診断が正常に終了し、異常、変調がない場合にはOKが格納される。また、変調が有った場合にはA1、異常が発生した場合にはNGが入力される。
【0033】
故障履歴データ373は、エレベーター20の管理番号、故障発生日時、故障コード、エレベーター状態コード、復旧方法、復旧判定結果を格納するデータ構造を有している。故障コードとは、エレベーター20に故障が発生した際に制御装置200から出力される数字あるいは数字と英文字とを組み合わせたコードである。故障コードの種類は、例えば、1000種類程度である。エレベーター状態コードは、エレベーター20に故障が発生した際に制御装置200から故障コードと共に出力されるエレベーター20の状態を示す用語で構成されたコードである。エレベーター状態コードには、例えば、「ドア開不能」、「ドア閉不能」のようなものがある。1つの故障コードと共に1つのエレベーター状態コードが出力される場合もあるし、1つの故障コードと共に複数のエレベーター状態コードが出力される場合もある。復旧方法の項目には、例えば、技術者350が出動して検査、点検、復旧を行った場合には「技術者出動」のように入力される。また、復旧方法の項目には、例えば、遠隔復旧システムによって復旧した場合には「遠隔復旧」のように入力される。復旧判定結果の項目には、エレベーター20が復旧して運行再開した場合には、「復旧」のように入力される。また、復旧判定結果の項目には、エレベーター20が復旧に失敗した場合には、「失敗」のように入力される。
【0034】
監視装置250の記憶部260には、図3に示すような発信先テーブル375が格納されている。図3に示すように、発信先テーブル375は、制御装置200から入力された故障信号あるいは診断運転結果データの内容に応じて、エレベーター状態情報(図4参照)の発信先となる特定情報処理装置を規定したものである。
【0035】
図3に示す発信先テーブル375によると、エレベーター20が故障状態で制御装置200が故障信号を発信し、監視装置250が故障信号を受信した場合、特定情報処理装置は、符号AとBで示す監視盤330、エレベーター管理者410の携帯端末411となる。また、監視装置250が受け付けた診断運転結果データの中に異常項目がある場合には、特定情報処理装置は、符号A、B、Dで示す監視盤330、エレベーター管理者410の携帯端末411、図14に示す保守端末500となる。また、監視装置250が受け付けた診断運転結果データの中に変調項目がある場合には、特定情報処理装置は、符号A、Dで示す監視盤330、図14に示す保守端末500となる。更に、監視装置250が受け付けた診断運転結果データが全て正常で異常項目がない場合には、特定情報処理装置は、符号C、Dで示す監視盤330、図14に示す保守端末500となる。詳細については、遠隔監視システム100,110の動作の説明の中で説明する。
【0036】
図4は、エレベーター20の状態に応じて監視装置250が発信するエレベーター状態情報の例を示すエレベーター状態情報リスト376である。図4に示すように、エレベーター状態情報は、「AAAビル1号機 ドア開不能」、「AAAビル1号機 戸開閉診断異常」、「AAAビル1号機 戸開閉診断変調」、「AAAビル1号機 診断正常終了」等の短いメッセージである。詳細については、遠隔監視システム100,110の動作の説明の中で説明する。
【0037】
次に図5から図10を参照しながら、図1に示すエレベーター20の遠隔監視システム100の動作について説明する。図5から図10では、制御装置200が予め定められたスケジュールに従って診断動作を実行するものとして説明する。
【0038】
図5図6のステップS101に示すように、エレベーター20の制御装置200は、予め定められたスケジュールに基づく診断運転開始時間帯であるかどうか判断している。そして、例えば、一か月に1回等の所定の診断運転時間帯になったら、図6のステップS102に進んで、エレベーター20が診断運転可能かどうか判断する。この判断は、例えば、カゴ22のドアが閉じているかどうか、カゴ22が停止しているかどうか、カゴ22の重量センサ、カゴ22内のカメラ、カゴ22内の人感センサ等の出力からエレベーター20のカゴ22の内部に乗客がいるかどうかを確認する。カゴ22のドアが開いている、カゴ22が動いている、カゴ22の中に乗客がいる場合、制御装置200は、図6のステップS102でNOと判断する。もし、診断運転開始時間帯の間に診断運転可能との判断がされない場合には、例えば、診断運転時間帯を翌日に再設定するようにしてもよい。制御装置200は、カゴ22のドアが閉じていること、カゴ22が停止していること、カゴ22の中に乗客がいないことを確認したら図6のステップS102でYESと判断して図6のステップS103に進み、診断運転を実行する。
【0039】
診断運転は、通常の運転状態と異なる運転を行うことにより、エレベーター20の各機器の診断を行うものである。本実施形態のエレベーター20の遠隔監視システム100では、診断運転により、運転性能、ブレーキ性能、戸開閉、非常用動力バッテリ等の各項目の診断を行い、図10に示すような診断運転結果データ381〜383を出力する。診断運転結果データ381〜383は、図2に示す診断履歴データ372と同様のデータ形式で、エレベーター管理番号、診断実行日時、診断モード、診断項目、診断結果の各項目を含んでいる。図10は、3回の診断運転の結果出力された3つの診断運転結果データ381〜383を示している。図7において、各診断結果のOK、NG、A1は、それぞれ診断運転の結果、診断項目が正常の場合、異常の場合、変調の場合を示す。
【0040】
運転性能の診断では、制御装置200は、図1に示すエレベーター20のカゴ22を所定の階に移動させ、エレベーター20に取り付けられた各種のセンサによって加速度、異常音の有無等の検出を行う。そして、加速度が所定の範囲に入っており、異常音が認められない場合には、運転性能についてはOKとの診断結果が入力される。加速度が所定の範囲を超えたり、異常音が認められたりした場合には、運転性能の診断結果にはNGが入力される。
【0041】
また、ブレーキ性能については、制御装置200は、エレベーター20のカゴ22が満員と同等の状態を作り出し、2つあるブレーキの片側のブレーキを解放し、片側のブレーキでカゴ22を静止保持可能か診断する。そして、両方のブレーキともカゴ22が満員の状態でも片側のブレーキのみでカゴ22を静止保持可能であれば、ブレーキ性能の診断結果にはOKと入力される。一方、片側のブレーキのみではカゴ22の静止保持ができない場合には、ブレーキ性能の診断結果にはNGが入力される。また、戸開閉については、ドア26の開閉駆動力を通常より落とした状態で、各階にて戸開閉を行い、その際の戸開閉時間よりカゴ22の敷居への異物混入等の異常有無を診断する。開閉に通常より時間がかかる場合には、異物混入有で戸開閉の診断結果にはNGが入力され、通常と同様の開閉時間であれば、異物混入なしで戸開閉の診断結果にはOKが入力される。また、非常用動力バッテリについては、電圧をチェックし、電圧の低下がなければ非常用動力バッテリの診断結果にはOKが入力され、電圧が低下していれば診断結果にはNGが入力される。
【0042】
また、各診断項目において、通常の数値よりも変動が有るものの、異常判断の閾値に達していない場合には、各診断項目の診断結果には、変調ありとしてA1が入力される。
【0043】
制御装置200は、図6のステップS103における診断運転の実行が終了したら、図6のステップS104に進み、診断運転結果データを監視装置250に出力する(図5参照)。
【0044】
図7のステップS110に示すように、監視装置250は、制御装置200から診断運転結果データが入力されたかどうか判断している。そして、制御装置200から診断運転結果データが入力されたら、図7のステップS111に進んで診断運転結果データを受け付けて図7のステップS112に進み、(1)診断運転結果データの診断結果の欄にNGが入力されている異常項目があるかどうか、(2)診断運転結果データの診断結果の欄にNGが入力されている項目はないがA1が入力されている変調項目があるかどうか、(3)診断運転結果データの診断結果の欄に全てOKが入力されており、全ての項目が正常であるかどうかを確認する。
【0045】
そして、監視装置250は、図7のステップS113に進み、上記の確認結果とそのエレベーター20の設置場所、名称と、診断結果が異常となっている診断項目とをあわせて、図4に示すようなエレベーター状態情報を生成する。例えば、図10に示す診断運転結果データ382のように、戸開閉の診断項目にNGが入力されている場合には、図4のエレベーター状態情報リスト376に示すように、「AAAビル1号機 戸開閉診断異常」のようなエレベーター状態情報を生成する。また、図10に示す診断運転結果データ383のように、戸開閉の診断項目にA1が入力されている場合には、図4のエレベーター状態情報リスト376に示すように、「AAAビル1号機 戸開閉診断変調」のようなエレベーター状態情報を生成する。また、図10に示す診断運転結果データ381のように、全ての診断項目にOKが入力されている場合には、図4のエレベーター状態情報リスト376に示すように、「AAAビル1号機 診断正常終了」のようなエレベーター状態情報を生成する。
【0046】
そして、監視装置250は、図7のステップS114に進み、図3に示す発信先テーブル375を参照して特定情報処理装置を特定し、図7のステップS113で生成したエレベーター状態情報を特定情報処理装置に発信する。
【0047】
図7のステップS114において、監視装置250は、(1)診断運転結果データの診断結果の欄にNGが入力されている異常項目がある場合には、図3に示す発信先テーブル375を参照して、監視盤330と、エレベーター管理者410の携帯端末411を特定情報処理装置として特定し、監視盤330と携帯端末411とにエレベーター状態情報を発信する。また、(2)診断運転結果データの診断結果の欄にNGが入力されている項目はないがA1が入力されている変調項目がある場合には、図3に示す発信先テーブル375を参照して、監視盤330を特定情報処理装置として特定し、監視盤330にエレベーター状態情報を発信する。また、(3)診断運転結果データの診断結果の欄に全てOKが入力されており、全ての項目が正常である場合には、図3に示す発信先テーブル375を参照して、管理サーバ360を特定情報処理装置として特定し、管理サーバ360にエレベーター状態情報を発信する。この際、監視装置250の通信部270は、第1国の通信規格に従って通信ネットワーク30とデータの授受を行う。
【0048】
上記(1)、(2)の場合の様に、「AAAビル1号機 戸開閉診断異常」、「AAAビル1号機 戸開閉診断変調」のようなエレベーター状態情報が監視センタ310の監視盤330に入力されると、その情報はディスプレイ331に表示される。監視員334は、この信号が表示されたら、エレベーター状態情報が携帯端末411に送信されているエレベーター管理者410と連絡をとり、第1国に設置されているサービスセンター340から技術者350を第1国に設置されているエレベーター20に派遣する。また、上記(3)の場合には、監視センタ310の監視盤330には、何ら表示はされず、管理サーバ360の保守データベース370の診断履歴データ372が更新される。
【0049】
監視装置250は、エレベーター状態情報の発信が終了したら、図7に示すステップS115に進み、診断運転結果データを記憶部260に格納する。
【0050】
監視装置250は、記憶部260に診断運転結果データを格納したら、図8のステップS120に示すように、管理サーバ360から診断運転結果データの送信要求が有ったかどうか判断する。そして、図5に示すように、管理サーバ360から診断運転結果データの送信要求が有った場合には、図8のステップS121に進んで診断運転結果データを管理サーバ360に送信する。この際、監視装置250の通信部270は、第1国の通信規格に従って通信ネットワーク30とデータの授受を行う。
【0051】
図5に示すように、管理サーバ360は、監視装置250から診断運転結果データを受信したら、そのデータを保守データベース370の診断履歴データ372に格納する。
【0052】
また、監視装置250は、図5図9のステップS150に示すように、制御装置200から故障信号が入力されたかどうか判断している。そして、制御装置200から故障信号が入力されたら図9のステップS151に示すように、制御装置200からの故障信号を受け付け、ステップS152で故障信号の内容を確認する。
【0053】
故障信号は、例えば、図2を参照して説明した故障コード、エレベーター状態コードを組み合わせたものである。監視装置250は、制御装置200からドア13、26の開閉の故障を示す故障コード0001と、「ドア開不能」というエレベーター状態コードとを含む故障信号を受け付けた場合には、図9のステップS153において、エレベーター20の設置場所、名称とを組み合わせて、図4に示すような「AAAビル1号機 ドア開不能」のようなエレベーター状態情報を生成する。そして、監視装置250は、図9に示すステップS154に進んで、図3に示す発信先テーブル375を参照して特定情報処理装置を監視盤330、エレベーター管理者410の携帯端末411と特定し、監視盤330、携帯端末411にエレベーター状態情報を発信する。
【0054】
故障発生によるエレベーター状態情報が監視センタ310の監視盤330に入力されると、その情報はディスプレイ331に表示される。監視員334は、この信号が表示されたら、エレベーター状態情報が携帯端末411に送信されているエレベーター管理者410と連絡をとり、第1国に設置されているサービスセンター340から技術者350を第1国に設置されているエレベーター20に派遣する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のエレベーター20の遠隔監視システム100は、診断運転結果データに異常項目、変調項目が含まれている場合又は故障信号が入力された場合には、エレベーター状態情報が必要となる監視センタ310の監視盤330又はエレベーター管理者410の携帯端末411にエレベーター状態情報を発信して情報連絡の高速化を図ることができる。また、診断運転結果データが全て正常である場合には、監視センタ310の監視盤330、エレベーター管理者410の携帯端末411にはエレベーター状態情報の発信を行わず、管理サーバ360のみにエレベーター状態情報を発信するので、監視盤330、携帯端末411に不要な情報が発信されることを抑制できる。
【0056】
つまり、本実施形態のエレベーター20の遠隔監視システム100は、制御装置200から受け付けた診断運転結果データ又は制御装置200から入力された故障信号に応じて情報処理装置の中から特定した特定情報処理装置にエレベーター状態情報を発信するので、各情報処理装置において、不要な情報の受信を抑制すると共に、必要な情報を特定情報処理装置に送信して情報連絡の高速化を図ることができる。これによって、エレベーター20の情報の送受信を効率化してエレベーター20の保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【0057】
また、エレベーター20の診断運転を実行した際に診断運転結果データをエレベーター20の制御装置200に接続された監視装置250の記憶部260に格納しておき、管理サーバ360からの送信要求に応じて診断運転結果データを管理サーバ360に送信するので、多数のエレベーター20から診断運転結果データが同時に管理サーバ360に送信されてしまい、管理サーバ360が診断運転結果データを受信できなくなることを抑制できる。また、管理サーバ360からの診断運転指令によりエレベーター20に診断運転を実行させることにより、必要に応じた診断運転を行うようにすることができる。これにより、エレベーター20の保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【0058】
さらに、図1に示す実施形態の遠隔監視システム100において、監視装置250の通信部270と通信ネットワーク30、通信装置325を介して管理サーバ360とを接続する通信回線を第1回線とし、監視装置250の通信部270と通信ネットワーク30、通信装置320を介して監視センタ310、携帯端末411とを接続する通信回線を第1回線と異なる第2回線として構成してもよい。
【0059】
このように、管理サーバ360との間の第1回線と、監視センタ310、携帯端末411との間の第2回線を別回線とすることにより、管理サーバ360への診断運転結果データの送信中でも、第1回線と異なる第2回線により異常発生、故障等の情報を監視センタ310の監視盤330、携帯端末411に送信できる。これにより、管理サーバ360への診断運転結果データの送信により通信回線が占有されて監視盤330、携帯端末411に異常発生、故障等の情報を送信できなくなることを抑制できる。
【0060】
次に、図11から図13を参照しながら、本実施形態の遠隔監視システム100の他の動作について説明する。先に図1から図10を参照して説明した動作では、診断運転はエレベーター20の制御装置200が所定のスケジュールに従って実行するとしたが、本動作では、診断運転は、管理サーバ360からの診断運転指令によって制御装置200が実行する。先に図1から図10を参照して説明した動作と同様の動作については、簡単に説明する。
【0061】
図11に示すように、管理サーバ360は、エレベーター20の監視装置250に診断運転指令を送信する。監視装置250は、図13のステップS210に示すように管理サーバ360からの診断運転指令を受信したかどうか判断しており、管理サーバ360から診断運転指令を受信したら、図13のステップS211に進んでエレベーター20の制御装置200に診断運転指令を出力する。
【0062】
図12のステップS201に示すように、制御装置200は、監視装置250から診断運転指令が入力されたかどうか判断しており、監視装置250から診断運転指令が入力されると、図12のステップS202に進み、診断運転可能かどうかを判断する。この判断は、先に図6を参照して説明したのと同様、カゴ22のドアが閉じてカゴ22が停止しており、カゴ22の中に乗員がいない場合に診断運転可能と判断する。この判断において、所定時間経過しても診断運転可能と判断できない場合には、診断失敗と判断して監視装置250は、管理サーバ360に「診断失敗」を通報してもよい。そして、制御装置200は、診断運転可能と判断したら図12のステップS203に進んで診断運転を実行し、図12のステップS204において、図10に一例を示すような診断運転結果データを監視装置250に出力する。
【0063】
監視装置250は、図13のステップS212に示すように、制御装置200から診断運転結果データの入力が有るまで待機し、診断運転結果データの入力があったら図13のステップS213に進んで診断運転結果データを受け付け、先に図7を参照して説明したと同様、図13のステップS214で診断運転結果データを確認し、ステップS215でエレベーター状態情を生成する。そして、図13のステップS216において、図3に示す発信先テーブル375を参照して特定情報処理装置を特定し、ステップS217で特定した特定情報処理装置にエレベーター状態情報を発信する。そして、監視装置250は、図13のステップS217で診断運転結果データを記憶部260に格納する。
【0064】
また、エレベーター20で故障が発生した場合には、監視装置250は、先に、図9を参照して説明したと同様、受け付けた故障信号を確認し、故障信号に基づいてエレベーター状態情報を生成し、図3に示す発信先テーブル375を参照して特定情報処理装置を特定し、特定した特定情報処理装置にエレベーター状態情報を発信する(図11参照)。
【0065】
本動作では、管理サーバ360から診断運転指令を出力してエレベーター20に診断運転を実行させた場合でも、先に図5から図10を参照して説明した動作と同様の効果を奏する。
【0066】
次に図14から図16を参照しながら他の実施形態の遠隔監視システム110について説明する。本実施形態の遠隔監視システム110は、図1を参照して説明した遠隔監視システム100に保守端末500を接続したものである。以下の説明では、図1から図10を参照して説明した実施形態の遠隔監視システム100と同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。
【0067】
図14に示す保守端末500は、監視装置250に接続されてエレベーター20の保守点検を行うコンピュータである。
【0068】
次に、図15図16を参照しながら図14に示す遠隔監視システム110の動作について説明する。先に図5から図10図11から図13を参照して説明した動作と同様の動作については簡単に説明する。
【0069】
図15図16のステップS301に示すように、本動作では、監視装置250は、保守端末500からの診断運転指令により制御装置200に診断運転を実行させ、診断運転結果データに基づいてエレベーター状態情報を生成し、発信先テーブル375を参照して特定情報処理装置を特定して特定情報処理装置にエレベーター状態情報を発信する。そして、監視装置250は、診断運転結果データを記憶部260に格納し、保守端末500から診断運転結果データの出力要求があった際に、保守端末500に診断運転結果データを出力する。また、監視装置250は、エレベーター20で故障が発生した場合には、受け付けた故障信号を確認し、故障信号に基づいてエレベーター状態情報を生成し、特定情報処理装置にエレベーター状態情報を発信する。
【0070】
本実施形態の遠隔監視システム110では、監視装置250は、図16のステップS216において、(1)診断運転結果データの診断結果の欄にNGが入力されている異常項目がある場合には、図3に示す発信先テーブル375を参照して、監視盤330と、エレベーター管理者410の携帯端末411に加え、保守端末500を特定情報処理装置として特定し、監視盤330と携帯端末411と保守端末500とにエレベーター状態情報を発信する。また、(2)診断運転結果データの診断結果の欄にNGが入力されている項目はないがA1が入力されている変調項目がある場合には、図3に示す発信先テーブル375を参照して、監視盤330に加えて保守端末500を特定情報処理装置として特定し、監視盤330と保守端末500とにエレベーター状態情報を発信する。また、(3)診断運転結果データの診断結果の欄に全てOKが入力されており、全ての項目が正常である場合には、図3に示す発信先テーブル375を参照して、管理サーバ360に加えて保守端末500を特定情報処理装置として特定し、管理サーバ360と保守端末500とにエレベーター状態情報を発信する。なお、監視装置250は、故障信号が入力された場合には、保守端末500にはエレベーター状態情報を発信しない。
【0071】
本実施形態の遠隔監視システム110は、先に説明した遠隔監視システム100と同様の効果に加え、診断運転結果データに異常項目が含まれている場合には、保守端末500にもエレベーター状態情報を発信して情報連絡の高速化を図り、診断運転結果データが全て正常である場合には、管理サーバ360、保守端末500のみにエレベーター状態情報を発信するので、監視盤330、携帯端末411に不要な情報が発信されることを抑制できる。これによって、エレベーター20の情報の送受信を効率化してエレベーター20の保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【0072】
また、保守端末500から診断運転を実行させた場合も、エレベーター20の診断運転を実行した際に診断運転結果データをエレベーター20の制御装置200に接続された監視装置250の記憶部260に格納しておき、保守端末500からの出力要求に応じて診断運転結果データを保守端末500に出力するので、診断運転結果データが管理サーバ360と保守端末500とに同時に出力されることがなく、監視装置250の情報処理量を抑制することができる。これにより、通信を確実にし、エレベーター20の保守管理サービスの品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 ビル、13 ドア、20 エレベーター、22 カゴ、26 ドア、30,35 通信ネットワーク、100,110 遠隔監視システム、200 制御装置、250 監視装置、260,365 記憶部、270 通信部、310 監視センタ、320,325 通信装置、330 監視盤、331 ディスプレイ、332 スイッチ、333 電話、334 監視員、340 サービスセンター、350 技術者、360 管理サーバ、370 保守データベース、371 エレベーター仕様データ、372 診断履歴データ、373 故障履歴データ、375 発信先テーブル、376 エレベーター状態情報リスト、381〜383 診断運転結果データ、410 エレベーター管理者、411 携帯端末、500 保守端末。
【要約】
エレベーター20の運転制御と故障障信号を出力する制御装置200と、記憶部260を含み、制御装置200に接続されて制御装置200からデータと故障信号とが入力される監視装置250と、監視装置250と通信ネットワーク30を介して接続されて監視装置250との間でデータの授受を行う監視盤330、管理サーバ360、携帯端末411と、を備え、監視装置250は、制御装置200からエレベーター20の診断運転結果データを受け付けて記憶部260に格納し、診断運転結果データ又は故障信号に基づいてエレベーターの状態を示すエレベーター状態情報を生成し、診断運転結果データ又は故障信号に応じて監視盤330、管理サーバ360、携帯端末411の中から特定した特定情報処理装置にエレベーター状態情報を発信する。これにより、エレベーター20の保守管理サービスの品質を向上させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16