特許第6482760号(P6482760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6482760静電容量センサ及びステアリング並びにステアリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482760
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】静電容量センサ及びステアリング並びにステアリングシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20190304BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20190304BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B62D1/04
   B60R16/027 T
   H01H36/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-22272(P2014-22272)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-147531(P2015-147531A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井口 雄介
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 武
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−087566(JP,A)
【文献】 特開2003−050282(JP,A)
【文献】 実開昭64−051564(JP,U)
【文献】 再公表特許第2010/050607(JP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0274055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
B60R 16/027
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコアに装着される静電容量センサであって、
絶縁性を有する可撓性基板と、
前記可撓性基板の上に設けられ、前記ステアリングコアに装着された状態で、ステアリングのホイールが延びる方向を軸心とした前記ステアリングコアの周方向に並設され、それぞれが前記ホイールの延びる方向に延在するように形成された複数の静電容量検出電極と
を有し、
前記複数の静電容量検出電極は、前記ステアリングコアに装着された状態で、前記ステアリングコアの周方向に隣り合う電極同士がそれぞれ異なる組に属するように複数の組に分割され
前記複数の静電容量検出電極のうち、同一の組に属する複数の静電容量検出電極は共通接続されている静電容量センサと、
前記静電容量センサの検知結果に基づいて、ステアリングのホイールを乗員が把持したか否かを判定する判定部と
を備え
前記判定部は、一の静電容量検出電極と、それと異なる組に属する静電容量検出電極とで、それぞれ静電容量が検出された場合、前記ホイールを乗員が把持したと判定することを特徴とするステアリングシステム
【請求項2】
前記複数の静電容量検出電極は、共通の前記可撓性基板上に形成されていることを特徴とする請求項1記載のステアリングシステム
【請求項3】
前記可撓性基板は複数の可撓性基板片に分割され、
前記共通接続された複数の静電容量検出電極が同一の前記可撓性基板片上に形成され、共通接続されていない複数の前記静電容量検出電極は、それぞれ異なる前記可撓性基板片上に形成されている
ことを特徴とする請求項記載のステアリングシステム
【請求項4】
前記複数の静電容量検出電極は少なくとも3つのグループに分割されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のステアリングシステム。
【請求項5】
前記判定部は、異なるグループのそれぞれの少なくとも1つの静電容量検出電極によって人体の近接が検出されたときに、前記ホイールを乗員が把持したと判定する
請求項1〜4のいずれか1項記載のステアリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のステアリングに用いられる静電容量センサ及びステアリング並びにステアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングコアに静電容量式センサを装着し、運転手の手がステアリングのホイールに接触しているのか、把持しているのかを識別できるようにしたステアリングが知られている(特許文献1)。このステアリングは、ステアリングコアに静電容量タッチパネルを装着し、静電容量タッチパネルに対する手の接触面積やステアリングコアの周方向の接触角度に基づいて、運転者の手がステアリングのホイールに単に接触しているのか、把持しているのかを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−75653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたステアリングでは、二次元的に配置された多数の検出電極を有する静電容量タッチパネルを使用しているので、センサICへの配線数も多くなり、構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、この様な課題に鑑みなされたもので、配線数を減らして構造の簡易化を図った静電容量センサ及びステアリング並びにステアリングシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る静電容量センサは、ステアリングコアに装着される静電容量センサであって、絶縁性を有する可撓性基板と、前記可撓性基板の上に設けられ、前記ステアリングコアに装着された状態で、ステアリングのホイールが延びる方向を軸心とした前記ステアリングコアの周方向に並設され、それぞれが前記ホイールの延びる方向に延在するように形成された複数の静電容量検出電極とを有する。前記複数の静電容量検出電極は、前記ステアリングコアに装着された状態で、前記ステアリングコアの周方向に隣り合う電極同士がそれぞれ異なる組に属するように複数の組に分割されている。
【0007】
また、本発明に係るステアリングは、ステアリングコアと、このステアリングコアに装着される静電容量センサとを備えたステアリングにおいて、前記静電容量センサが、ステアリングのホイールが延びる方向を軸心とした前記ステアリングコアの周方向に並設され、それぞれが前記ホイールの延びる方向に延在する複数の静電容量検出電極を有する。前記複数の静電容量検出電極は、前記ステアリングコアの周方向に隣り合う電極同士がそれぞれ異なる組に属するように複数の組に分割されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るステアリングシステムは、ステアリングコアと、このステアリングコアに装着された静電容量センサと、前記静電容量センサの検知結果に基づいて、ステアリングのホイールを乗員が把持したか否かを判定する判定部とを備えたステアリングシステムにおいて、前記静電容量センサが、前記ホイールが延びる方向を軸心とした前記ステアリングコアの周方向に並設され、それぞれが前記ホイールの延びる方向に延在するとともに、少なくとも2つの組に分割された複数の静電容量検出電極を有し、前記判定部が、一の静電容量検出電極と、それと異なる組に属する静電容量検出電極とで、それぞれ静電容量が検知された場合、前記ホイールを乗員が把持したと判定することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ステアリングコアに装着した状態で、ステアリングのホイールの延びる方向に延びるように形成された複数の静電容量検出電極が、ステアリングコアの周方向に並設され、且つそれら静電容量検出電極が複数の組に分割されている。これにより、乗員の手がステアリングコアの周方向に異なる組に属する複数の静電容量検出電極が配置されている角度範囲を覆った場合には、複数の静電容量検出電極の組が検出対象の接触を検出することになるので、乗員の手がホイールを把持している状態であると判断することができる。一方、乗員の手がホイールに触っただけの場合には、一つの組に属する静電容量検出電極のみが検出対象の接触を検出することになるので、乗員の手がステアリングホイールに触れていると判断することができる。そして、本発明によれば、ステアリングコアの周方向に複数の静電容量検出電極が並設された一次元的な構成なので、判定部への配線数も少なくすることができる。この結果、構造の簡単化を図ることができる。
【0010】
なお、複数の静電容量電極のうち、同一の組に属する複数の静電容量検出電極が共通接続されていると、更に判定部への配線数を削減することができ、更なる構造の簡単化を図ることができる。また、複数の静電容量検出電極は、共通の可撓性基板上に形成されていても良いし、可撓性基板を複数の可撓性基板片に分割し、共通接続された複数の静電容量検出電極が同一の可撓性基板片上に形成され、共通接続されていない複数の静電容量検出電極が、それぞれ異なる可撓性基板片上に形成されるようにしても良い。前者の場合、複数の静電容量検出電極が一つの可撓性基板上に形成されるので、静電容量センサのステアリングコアへの装着が容易になる。また、後者の場合、一つの可撓性基板片上に形成された複数の静電容量検出電極が共通接続されるので、各可撓性基板片上に形成される配線パターンは一層のみで形成することができ、配線間を繋ぐビア又はスルーホールなどの貫通配線が不要であるというメリットがある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配線数を減らして構造の簡易化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る静電容量センサを装着したステアリングホイールを示す平面図である。
図2図2におけるA−A′断面図である。
図3】同静電容量センサを用いたステアリングシステムのブロック図である。
図4】同静電容量センサの平面図である。
図5】同静電容量センサの断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る静電容量センサの平面図である。
図7】同静電容量センサの断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るステアリングシステムのブロック図である。
図9】本発明の更に他の実施形態に係るステアリングシステムのブロック図である。
図10】本発明の更に他の実施形態に係るステアリングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係るステアリング及びステアリングシステム並びに静電容量センサについて説明する。図1は、本実施形態に係るステアリングの概略図である。本実施形態のステアリングは、ステアリング本体1と、このステアリング本体1に装着された静電容量センサ2と、この静電容量センサ2で検知した静電容量から乗員がステアリングに触れたか、把持したかを判定する判定部3とを備えて構成されている。ステアリング本体1は、ホイール11とステアリングコラム12から構成されている。
静電容量センサ2は、ホイール11に配置される。本実施形態において、静電容量センサ2は、ホイール11の延びる方向に沿っていくつかに分割されている。この例では、3つに分割され、ホイール11の下側の部分には、静電容量センサ2が設けられていない。但し、このように分割せずに、一つの静電容量センサ2として構成しても良いし、下側の部分に静電容量センサ2を設けても良い。
また、静電容量センサ2は、それぞれコンタクト配線2gを介してステアリングコラム12内に配置された判定部3に接続されている。但し、判定部3はステアリング本体1とは別の場所に配置されていても良い。
【0014】
静電容量センサ2は、ホイール11の延びる方向に沿って延びる複数の電極部2a,2b,2c,2d,2e,2fを備えている(但し、図1では、電極部2d,2eのみ図示している。)。図2は、図1のA−A´方向に見たホイール11の断面図である。ホイール11の中心部分は、ステアリングコア111である。静電容量センサ2を構成する複数の電極部2a〜2fは、ステアリングコア111の周囲に所定間隔(この例では60°間隔)で配置されている。また、静電容量センサ2をステアリングコア111に配置することにより生じるホイール11表面の凹凸を軽減するため、静電容量センサ2の上に緩衝材112が覆われている。更に、緩衝材112は、乗員の手と触れる革等から形成されるステアリングスキン113によって覆われる。なお、各層の接着は、例えば両面粘着テープや接着剤によって行う事ができる。
【0015】
図3は、ステアリングシステムのブロック図であり、静電容量センサ2及び判定部3の電気的構成を示す。本実施形態では、6つの電極部2a〜2fは、それぞれ対向位置に配置されたもの同士で1つの組を構成し、同一の組の電極部[2a、2d]、[2b、2e]、[2c、2f]同士が共通接続されている。互いに隣り合う電極部同士(例えば2a,2b)は同一の組には属していない。判定部3は、C−V変換回路31a,31b,31c、検知回路32a,32b,32c及び演算回路33を備えて構成されている。C−V変換回路31a〜31cは、電極部[2a、2d]、[2b、2e]、[2c、2f]を積分回路の一部として接続し、電極部2a〜2fの静電容量値によってデューティ比が変化する電圧パルスを生成することにより、静電容量値を電圧パルスに変換する。検知回路32a〜32cは、C−V変換回路31a〜31cから出力される電圧パルスを直流化して所定のしきい値と比較することにより、静電容量値を検出する。
演算回路33は、検知回路32a〜32cのいずれか1つのみがアクティブになったら、乗員の手が接触したと判断し、検知回路32a〜32cの2つ又は全ての出力がアクティブになったら、乗員の手がホイール11を把持したと判断する。そして、この判断結果に基づいて、エアバック装置やヒータ等の各種機器を制御する。
なお、演算回路33は、検知回路32a〜32cの1つ又は2つの出力がアクティブになったら、乗員の手が接触したと判断し、検知回路32a〜32cの全ての出力がアクティブになったら、乗員の手がホイール11を把持したと判断するように構成しても良い。この場合、把持を識別する角度範囲が大きく、例えば、軟らかい腕等が複数の電極部(例えば、電極部2a,2b)にまたがって接触した場合の誤検知を防止し、指を折り曲げてホイール11を把持して複数の電極部(例えば、電極部2a,2b,2c)に接触した場合を把持したと判断することができる。
【0016】
図4は、ホイール11に装着する前の本実施形態の静電容量センサ2の平面図である。静電容量センサ2は、絶縁性を有する可撓性基板21と、この可撓性基板21の上に形成された静電容量検出電極22とを有する。可撓性基板21は、例えばポリイミドやPETの様な薄くて可撓性のあるフィルムを用いることができる。また静電容量検出電極22は、銀(Ag)、銅(Cu)のベタ状配線、メッシュ状配線又はこれらの導電材料による縁取り配線の上にカーボン材料をベタ塗り、又はメッシュ状に形成する等により形成され、可撓性基板21の外形形状に沿って形成される。ホイール11に沿って延びる電極部2a〜2fのうち、ホイール11の外周部分及び内周部分に装着される電極部2c,2fはほぼ直線上に延びる形状を有し、それらの間に配置される電極部2a,2b,2d,2eは、ホイール11の曲率に合わせた円弧状に形成されている。円弧状の部分の曲率半径は、可撓性基板21を含めた電極部2a〜2fの可撓性、伸縮性などを考慮して決定すれば良い。
【0017】
図5(a),(b),(c)は、それぞれ図4のコンタクト配線2gの部分をB−B′線、C−C′線及びD−D′線に沿って切断し、矢印方向に見た静電容量センサ2の断面図である。図示のように、可撓性基板21のコンタクト配線2gの部分の上には、配線層23a,23b,23cが、静電容量検出電極22の下側で、静電容量検出電極22と交差する方向に延びるように形成されている。配線層23aは電極部2a、2dの静電容量検出電極22と、配線層23bは電極部2b、2eの静電容量検出電極22と、配線層23cは電極部2c、2fの静電容量検出電極22と、それぞれ上下に延びる貫通配線24を介して接続されている。これら静電容量検出電極22と配線層23a〜23cは、レジスト等の絶縁層25によって覆われ保護されている。
【0018】
以上のように、本実施形態に係る静電容量センサ2によれば、ステアリング本体1のホイール11の延びる方向に延びるように形成された6つの電極部2a〜2fが、ステアリングコア111の周方向に所定間隔で配置され、且つ周方向に隣接する電極部同士(例えば、2a,2b)が異なる組に属するように、複数の組に分割され、同一の組に属する複数の静電容量検出電極22が共通接続されるようになっている。これにより、乗員の手がステアリングコア111の周方向に並設された複数の静電容量検出電極22のうち、異なる組に属する静電容量検知電極22を覆った場合(隣り合う2つの静電容量検知電極22を覆った場合)には、乗員の手がホイール11を把持している状態であると判断することができる。一方、乗員の手がホイール11に触っただけの場合には、一つの組に属する静電容量検出電極22のみが検出対象を検出することになるので、乗員の手がホイールに単に接触したと判別することができる。そして、本実施形態によれば、静電容量センサ2が、電極部2a〜2fをステアリングコア111の周方向に所定間隔で一次元的に配置した構成であると共に、静電容量検出電極22を2つずつ共通接続することにより、配線数を削減し、1つの可撓性基板21に全ての静電容量検出電極22を形成するようにしているので、構造の簡単化を図ることができる。
【0019】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る静電容量センサ2のホイール11への装着前の平面図である。本実施形態では、可撓性基板21を3つの可撓性基板片21a,21b,21cに分割し、可撓性基板片21a〜21c毎に、共通接続する同一組の静電容量検出基板22を形成するようにしたものである。この例では、可撓性基板片21aに電極部2a,2dの静電容量検出電極22が形成され、可撓性基板片21bに電極部2b,2eの静電容量検出電極22が形成され、可撓性基板片21cに電極部2c,2fの静電容量検出電極22が形成されている。また、配線層23aは、可撓性基板片21a上に静電容量検出電極22と同一層の配線パターンとして形成され、配線層23bは、可撓性基板片21b上に静電容量検出電極22と同一層の配線パターンとして形成され、配線層23cは、可撓性基板片21c上に静電容量検出電極22と同一層の配線パターンとして形成されている。これらの配線パターンが形成された可撓性基板片21a〜21cを、それぞれの電極部2a〜2fが図4に示すような一定の間隔でずれるように下層から順に重ね合わせることにより、本実施形態の静電容量センサ2を形成することができる。
【0020】
図7は、このように重ね合わされた3つの配線パターン形成済みの可撓性基板片21a〜21cを、図6(b)のE−E′線に沿って切断し、矢印方向から見た断面図である。この図から分かるように、本実施形態の場合、静電容量検出電極22とこれを接続する配線層23a〜23cとが同一層の配線パターンとして形成されているので、第1の実施形態のように、両者を接続するための貫通配線24を必要としない。このため、配線パターンの形成工程を簡略化することができる。
【0021】
[その他の実施形態]
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、静電容量センサ2の6つの静電容量検出電極22を2つずつ共通接続したが、静電容量検出電極22の数や共通接続する静電容量検出電極22の数は、把持を識別する角度範囲をどの範囲に設定するかに応じて、適宜変更可能である。例えば、図8に示すステアリングシステムのように、静電容量センサ2として、9つの電極部2a〜2f,2h〜2jの各静電容量検出電極22をステアリングコア111の周方向に40°間隔で形成し、120°間隔で配置された3つの電極部[2a,2d,2h],[2b,2e,2i],[2c,2f,2j]の静電容量検出電極22を同一の組として共通接続することにより、3つの共通接続された静電容量検出電極22の組を形成するようにしても良い。
この場合、図3に示す実施形態と同様に、検知回路32a〜32cのいずれか1つのみがアクティブになったら、乗員の手が接触したと判断し、検知回路32a〜32cの2つ又は全ての出力がアクティブになったら、乗員の手がホイール11を把持したと判断することができるが、図3に示す実施形態と比べて把持を識別する角度範囲が小さい。
【0022】
また、図9に示すステアリングシステムのように、静電容量センサ2として、4つの電極部2a〜2dの各静電容量検出電極22をステアリングコア111の周方向に90°間隔で形成し、180°間隔で配置された2つの電極部[2a,2c],[2b,2d]の静電容量検出電極22を同一の組として共通接続することにより、2つの共通接続された静電容量検出電極22の組を形成するようにしても良い。
この場合、図3に示す実施形態と同様に、検知回路32a,32bのいずれかがアクティブになったら、乗員の手が接触したと判断し、検知回路32a,32cの2つがアクティブになったら、乗員の手がホイール11を把持したと判断することができる。
【0023】
さらに、図10に示すステアリングシステムのように、静電容量センサ2として、4つの電極部2a〜2dの各静電容量検出電極22をステアリングコア111の周方向に不均等な間隔で形成し、互いに近接した位置に配置された2つの電極部2a,2bの静電容量検出電極22のみを同一の組として共通接続し、3つの静電容量検出電極22の組を形成するようにしても良い。
この場合、互いに近接した位置に配置された2つの電極部2a,2bの静電容量検出電極22に接触しても検知回路32aのみしかアクティブにならず、互いに遠隔した位置に配置された複数の静電容量検出電極22に接触することにより、検出回路32a〜32cの2つ又は全ての出力がアクティブとなる。
これによって、検出回路32a〜32cのいずれか1つのみがアクティブになったら、乗員の手が接触したと判断し、検出回路32a〜32cの2つ又は全ての出力がアクティブになったら、乗員の手がホイール11を把持したと判断することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…ステアリング本体、 2…静電容量センサ、 2a〜2f,2h〜2j…電極部、2g…コンタクト配線、 3…判定部、11…ホイール、 12…ステアリングコラム、 21…可撓性基板、 21a〜21c…可撓性基板片、22…静電容量検出電極、 23a〜23c…配線層、24…貫通配線、25…絶縁層、31a〜31c…C−V変換回路、32a〜32c…検知回路、33…演算回路、111…ステアリングコア、 112…緩衝材、 113…ステアリングスキン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10