(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482761
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】クッキー
(51)【国際特許分類】
A21D 13/80 20170101AFI20190304BHJP
A21D 2/26 20060101ALI20190304BHJP
A21D 2/18 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A21D13/80
A21D2/26
A21D2/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-28911(P2014-28911)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-149966(P2015-149966A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年2月10日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年8月23日 一般社団法人日本調理科学会ホームページにおいて要旨公開http://www.jscs.ne.jp/schedule.htm
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年8月23日 一般社団法人日本調理科学会平成25年度大会研究発表要旨集2B−a6にて要旨公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年8月24日 奈良女子大学において開催された一般社団法人日本調理科学会平成25年度大会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000165000
【氏名又は名称】群栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】平尾 和子
(72)【発明者】
【氏名】米山 陽子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 直
(72)【発明者】
【氏名】木村 真也
(72)【発明者】
【氏名】田邊 陽一
【審査官】
千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/080931(WO,A1)
【文献】
特開2012−130278(JP,A)
【文献】
特開平11−009176(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/063025(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00 〜 17/00
A23G 1/00 〜 9/52
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA(STN)
インターネット
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆タンパク質並びにマルトトリオース及び卵を原料として用いるクッキーであって、前記マルトトリオースを前記大豆タンパク質の15〜100質量%用いることを特徴とし、但し該クッキーは、糖類及び/又は水に分散させた油脂及び乳化剤を含有する起泡性乳化油脂を含まない、前記クッキー。
【請求項2】
大豆タンパク質が分離大豆タンパク質であることを特徴とする請求項1に記載のクッキー。
【請求項3】
クッキー中央部の破断応力が400,000Pa以下、かつ、もろさ応力が100,000Pa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクッキー。
【請求項4】
前記クッキーが、クッキーの外縁から2mm内側の厚みが、中央部の最も厚い箇所の厚みの3分の2以下の形状を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクッキー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラング・ド・シャー様のサクサク感を付与された大豆タンパク質を用いたクッキーに関する。
【背景技術】
【0002】
クッキーとは、バター・ショートニング等の油脂、砂糖等の糖類、卵等に小麦粉等を加えて焼いた菓子である。その食感は、好みに応じて様々であるが、サクサクとした軽い食感が求められる場合が多い。
【0003】
従来より、クッキーにサクサク感を付与するために様々な工夫がなされている。例えば、3種類の油脂を配合した可塑性油脂組成物を使用することにより、サクサクしたクッキー、ビスケット等焼成菓子を作ることができる(特許文献1)。しかし、この方法では使用する油脂の組成が限定されてしまう。本来、クッキーはバター等風味豊かな油脂を使用することにより美味しくすることができるが、この方法では油脂としてバターを使用することができず、風味が悪いクッキーになってしまう。
【0004】
また、ステアリン酸カルシウム、ジグリセリン酸モノ脂肪酸エステル、食用油脂からなる油脂組成物を配合することにより、フレーキーなサクサクした食感の小麦粉食品を与えることができる(特許文献2)。しかしながら、ステアリン酸カルシウム、ジグリセリン酸モノ脂肪酸エステルは、食品添加物であり、近年の天然志向から食品添加物の使用には一般に抵抗感が根強い。
【0005】
クッキーのサクサク感にも様々あるが、特にラング・ド・シャーのサクサク感は広く好まれている。ラング・ド・シャーとは、もともとフランスで生まれたクッキーであり、室温で柔らかくして練ったバターと同量の砂糖を合わせ、それに小麦粉、卵白等を加えた生地を焼き上げたものであるが、形状は薄く、中心部よりも外縁部が薄く焼色が濃くなり、もろく軽いサクサク感が特徴である。
【0006】
近年、機能性素材として大豆タンパク質が着目されている。大豆には多くの機能成分が含まれるが、大豆タンパク質は大豆にもっとも多く含まれる機能成分であり、多くの食品への応用が期待されている。アミノ酸バランスの指標としてタンパク質消化吸収率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)がよく利用されるが、大豆タンパク質は、本スコアが卵や牛乳と同じく1.00で、必須アミノ酸バランスに優れている。また、本タンパク質には血中コレステロールの正常化、心臓病のリスク低減、骨粗しょう症予防、更年期障害の軽減、 肥満予防効果等の生理機能が見出されている。
【0007】
このように大豆タンパク質は優れた機能成分であり、乳化性、保水性、結着性などに優れているため、主にハム、ソーセージなどの畜肉加工品や蒲鉾などの水産練り製品に多く利用されてきた。その高い栄養性から菓子に利用することにより、栄養性の高い菓子とすることが期待されるため利用が検討されてきた。
【0008】
菓子の代表例として、クッキーへの利用も検討されている。このとき、小麦粉の代わりに大豆タンパク質を使用することになるが、大豆タンパク質を使用した場合、食感が硬く、ザクザクした感じになり、ラング・ド・シャーのような形状やもろく軽いサクサク感を得ることができない。
【0009】
食品添加物を添加することなく、また、特定の風味を付与することなく、ラング・ド・シャー様のサクサク感を付与された大豆タンパク質を原料とするクッキーの開発が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-148471号公報
【特許文献2】特開2006-129755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、食品添加物を添加することなく、また、特定の風味を付与することなく、ラング・ド・シャー様のサクサク感を付与された大豆タンパク質を原料とするクッキーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、クッキーに所定量のマルトトリオースを使用することにより、ラング・ド・シャー様の形状やサクサク感を付与できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
上記課題を解決する本発明は以下の態様を有する。
[1] マルトトリオースと大豆タンパク質とを原料として用いるクッキーであって、前記マルトトリオースを前記大豆タンパク質の15〜100質量%用いることを特徴とするクッキー。
[2] 大豆タンパク質が分離大豆タンパク質であることを特徴とする上記[1]に記載のクッキー。
[3] クッキー中央部の破断応力が400,000Pa以下、かつ、もろさ応力が100,000Pa以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のクッキー。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラング・ド・シャー様のサクサク感を付与されたクッキーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】「角がない」クッキーの形状の説明図である。
【
図3】実施例又は比較例で調製したクッキーである。
【
図4】実施例又は比較例で調製したクッキーである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<クッキー>
クッキーは、バター・ショートニング等の油脂、砂糖等の糖類、卵等に小麦粉を加えてよく混ぜた後に、型で成形し、オーブン等で焼成して製品とするのが一般的である。
クッキーはその製造方法に応じて分類されるが、例えば、ドロップクッキーは、比較的軟質の生地をスプーンでベーキングシートに落として作られる。ロールクッキーは、生地をロールで押しのばし、抜き型で成形して作られる。絞り出しクッキーは、焼き工程の前に軟質な生地を絞り袋等から装飾的な形に絞り出して作られる。バークッキーは、生地や他の材料を鍋や天板に(場合により複数の層に)押し込み、焼き工程の後でクッキーサイズに切って作られる。このように、クッキーには様々な製造方法があり、本発明の対象となるクッキーは、特にその製造方法にこだわらない。
また、日本ではクッキー、ビスケット、クラッカーは区別されるが本明細書ではこれら全てを総称し、クッキーとする。実際、日本においてはビスケットとクッキーの違いを「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」の中で表示基準において明確に定めており、ビスケットは「小麦粉、糖類、食用油脂及び食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、又は、添加したものを混合機、成型機及びビスケットオーブンを使用し製造した食品」をいい、クッキーは、「手作り風の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以上のもので、嗜好に応じ、卵、乳製品、ナッツ、乾果、蜂蜜などにより製品の特徴づけをおこなって風味よく焼き上げたもの」とあるが、本明細書では全てクッキーとする。また、クラッカーは塩味の強いビスケットの総称であり、ペイストリーはケーキ、タルト等の甘い菓子類を包む生地であるが、これらも本明細書ではクッキーとする。
【0017】
<ラング・ド・シャー様のサクサク感>
本発明におけるラング・ド・シャー様のサクサク感とは、適度な歯ごたえが心地よく、口の中で簡単に崩れて溶けるような軽快な心地よい食感をいう。一般に歯ごたえがありすぎて簡単に崩れない場合にはザクザクとした食感となり、脆すぎる場合にはボロボロとした食感となる。これらは、いずれもラング・ド・シャー様のサクサク感とはいえない。
【0018】
<大豆タンパク質>
大豆タンパク質は、大豆(学名 Glycine max)に含まれるタンパク質をさす。本発明においては、大豆タンパク質の中でも、脂質を取り除いた分離大豆タンパク質を用いることが好ましい。分離大豆タンパク質は、油製造に利用された搾りかすから精製して製造された分離大豆タンパク質製品を用いることが好ましいが、特に製造方法にはこだわらない。含まれるタンパク質量は製品のグレードにより様々であり、例えば不二製油株式会社のプロリーナ(登録商標)700はタンパク質濃度90質量%以上、光洋商会のSUPRO(登録商標) 710は、タンパク質濃度90質量%以上、ALPHA(登録商標)5800-IPは、タンパク質濃度78質量%以上である。
【0019】
<穀物原料>
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない限度において大豆タンパク質に加え、小麦粉、大麦粉、米粉等の穀物原料を任意に用いてもよい。穀物原料を加えることで、クッキーの風味が良くなる場合がある。
【0020】
<マルトトリオース>
マルトトリオースはぶどう糖のみを構成成分とするα-1,4結合のみからなる三糖類である。マルトトリオースを含む糖類には多くの製品があるが、調理作業上、マルトトリオースを40%以上含む糖類が好ましい。例えば、サンエイ糖化株式会社製ピュアトースPがあげられる。ピュアトースPの組成は、マルトトリオース55%以上、マルトース25%以下、グルコース7%以下である。
【0021】
<マルトトリオースの使用量>
本発明においては、マルトトリオースは、クッキーにラング・ド・シャー様のサクサク感が与えられる程度に用いられていればよいが、大豆タンパク質に対するマルトトリオースの使用量は、当該大豆タンパク質の15〜100質量%が好ましく、25〜100質量%がより好ましく、45〜100質量%がさらに好ましく、90〜100質量%が特に好ましい。マルトトリオースの使用量が大豆タンパク質の15質量%以上、かつ100質量%以下であれば、クッキーの物性が、ラング・ド・シャー様のサクサク感を与えるのに適している。
大豆タンパク質のみでなく、穀物原料も用いる場合には、大豆タンパク質に代えて、大豆タンパク質と穀物原料の合計量に対し、上述のマルトトリオースの使用量を用いればよい。
【0022】
<クッキーの物性>
クッキーにラング・ド・シャー様のサクサク感を与えるためには、その物性として破断特性が重要であり、その中でも破断応力及びもろさ応力が特に重要である。クリープメーターで測定した破断応力は、400,000Pa以下が好ましく、300,000Pa以下がより好ましく、270,000Pa以下がさらに好ましい。同様に、測定したもろさ応力は、100,000Pa以下が好ましく、80,000Pa以下がより好ましく、65,000Pa以下がさらに好ましい。破断応力の値が400,000Pa以上だとクッキーを口の中で噛み割るまでに大きなエネルギーを必要としてしまい、硬い食感となる。さらに、もろさ応力の値が100,000Pa以上だとクッキーが割れた瞬間後の抵抗が少なく噛み切れてしまい、程よい歯ごたえがなく、ラング・ド・シャー様のサクサク感とならない。
【0023】
<クッキーの形状>
クッキーにラング・ド・シャー様のサクサク感を与えるためには、その形状も重要であり、クッキーの外縁部の厚さが中央部よりも薄い形状、いわゆる「角がない」形状であることが好ましい。より具体的には、例えば、「角がない」とは、クッキーの外縁から2mm内側の厚みが、中央部の最も厚い箇所の厚みの3分の2以下の形状をいう。角がない形状の説明図を
図1に示す。クッキーを焼成した際に、角がない状態であればサクサク感が感じられやすい。よって、本発明のクッキーは角がない状態であることが好ましい。
大豆タンパク質を用いたクッキーを焼成した場合に角が形成されるかどうかは、使用する糖の種類、使用量等により異なる。
なお、いかなる理論に拘泥するものでもないが、角がない状態であると、クッキー中央部から外縁部にかけて厚みが異なるために、クッキーを噛み割るために必要な破断応力と噛み割った際のもろさ応力について差ができ、サクサク感につながるものと考えられる。
【0024】
<混ざりやすさ>
一般にクッキーの調理を行う際には、調理作業性の向上及び原料分散性の向上の観点から、 混ざりやすい原料を用いることが好ましい。大豆タンパク質と脂質に混ざりやすい原料として、例えば、サンエイ糖化株式会社製ピュアトースPがあげられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
試験には、市販の糖類として、ピュアト−スP(サンエイ糖化株式会社製)、ショ糖(グラニュー糖、三井製糖株式会社製)、トレハロース(株式会社林原製)、マルトース(和光純薬特級)を用いた。
【0026】
実施例及び比較例で使用した糖類の固形分当たりの糖組成(質量%)について表1に示す。糖組成はHPLCにより測定した。単糖類、二糖類、三糖類、四糖類以上の比率は、HPLC条件をポンプがウォーターズ社製600コントローラー、カラムが島津製作所製SCR−101N、溶媒が純水、流量が0.8ml/分、検出器がウォーターズ社製示差式屈折率計RI2414で測定した。糖は重合度が大きい順に溶出される。結果を表1に示す。本実施例で用いたピュアトースPの三糖類は、スタンダードのマルトトリオース(和光純薬特級)と同じ保持時間を示した。
【0027】
【表1】
【0028】
破断特性は、クリープメーター(株式会社山電社製)を用い測定した。実施例1〜4及び比較例1については、試料(クッキー)の中央部をプランジャーV字型1×30mm、測定速度1mm/sec、測定圧縮率80%で測定した。比較例2〜4については、プランジャーV字型1×10mmを用いた以外は同様に測定した。
具体的には、試料を試料皿にのせ、上述のプランジャーで80%圧縮変形するまでの時間と荷重の関係を示す曲線をチャート紙に記録測定した。曲線の最初の極大値である破断荷重F(N)をプランジャーの断面積S(mm
2)で除した値に10
−6を乗じた値を破断応力(Pa)とし、破断荷重F(N)と、その次の極小値との差であるもろさ荷重(N)をプランジャーの断面積S(mm
2)で除した値10
−6を乗じた値をもろさ応力(Pa)とした。
図2にて簡単に説明する。
【0029】
(実施例1)
大豆タンパク質クッキーは次の1)〜6)の手順で調製した。1)フードプロセッサー(ナショナル製スピードカッターMK-K50)にショートニング75.0g、ショ糖100.8g、ピュアトースP25.2gを配合した。2)20回プッシングして、混ぜた。3)15秒間連続回転しながら、卵と水を1/1で混ぜ合わせた卵水45gを配合した。4)10回プッシングして、混ぜた。5)分離大豆タンパク質プロリーナ700(不二製油株式会社、大豆タンパク質濃度91.0質量%)を84.0g添加した後、10回プッシングして、混ぜた。これを3mm厚の板状にして5℃の冷蔵庫にて30分間静置した。6)取り出して、直径38mmに型抜きし、160℃に予熱したガスコンベックオーブン(リンナイ株式会社製RCK−10M)で、同温度で15分間焼成した。取り出して30分間室温静置し、吸湿を防ぐためにラップを巻いてジッパー付き冷凍・解凍用袋(旭化成ホームプロダクツ株式会社製ジップロック(登録商標))に入れて保存し、製造の翌日に、破断特性を測定した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成と、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。なお、大豆タンパク質量は添加した分離大豆タンパク質量×濃度(91.0質量%)より計算した。マルトトリオース量は添加したピュアトースP量×三糖類濃度(56.9質量%)より計算した。
【0030】
(実施例2)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、ショ糖88.2g、ピュアトースP37.8gとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。
【0031】
(実施例3)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、ショ糖63.0g、ピュアトースP63.0gとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。
【0032】
(実施例4)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、ピュアトースP126.0gのみとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。結果と配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成とマルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。調製したクッキーを
図3及び
図4に示す。
【0033】
(比較例1)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、ショ糖113.4g、ピュアトースP12.6gとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。
【0034】
(比較例2)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、ショ糖126.0gのみとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成とマルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。調製したクッキーを
図3及び
図4に示す。
【0035】
(比較例3)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、トレハロース126.0gのみとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。調製したクッキーを
図3及び
図4に示す。
【0036】
(比較例4)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、ショ糖63.0g、トレハロース63.0gとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。
【0037】
(比較例5)
実施例1の1)において、配合をショートニング75.0g、マルトース126.0gのみとし、それ以外は同条件にして大豆タンパク質クッキーを調製した。配合比を表2に、クッキー中の単糖類〜四糖類以上の組成、マルトトリオースと大豆タンパク質の比率、及び破断特性測定結果を表3に示す。調製したクッキーを
図3及び
図4に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
実施例1〜4のクッキーは破断応力400,000Pa以下、もろさ応力100,000Pa以下であるのに対し、比較例1のクッキーは破断応力が400,000Pa以下であるが、もろさ応力が100,000Pa以上であり、比較例3〜5のクッキーは破断応力が400,000Pa以上、かつもろさ応力が100,000Pa以上であり、比較例2のクッキーはもろさ応力が100,000Pa以下であるが破断応力が400,000Pa以上である。実施例3及び4のクッキーは、角がない形状となった。
【0041】
以上より、ショ糖、トレハロース、マルトース、及びそれらを混合しても効果がなかった。一方、マルトトリオースを原料として所定量をクッキーに使用することにより、ラング・ド・シャー様のサクサク感を付与することができた。