特許第6482766号(P6482766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482766
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A61M25/09 550
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-55799(P2014-55799)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-177847(P2015-177847A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年4月7日
【審判番号】不服2018-2950(P2018-2950/J1)
【審判請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】中川 由美子
【合議体】
【審判長】 林 茂樹
【審判官】 内藤 真徳
【審判官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−52831(JP,A)
【文献】 特表2007−515259(JP,A)
【文献】 国際公開第98/18516(WO,A1)
【文献】 特開2005−185386(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0043118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシャフトと、
そのコアシャフトの先端部に巻回された第1コイル体と、
その第1コイル体の先端を前記コアシャフトの先端に接合した先端側接合部と、
前記第1のコイル体の内部において前記コアシャフトの基端に接合部を介して接合され、前記第1のコイル体の基端から基端側に延びる、複数の素線を撚り合わせた撚線からなる第2コイル体と、
前記第1コイル体の基端を前記第2のコイル体に接合した基端側接合部と、
を備えたことを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のガイドワイヤであって、
前記第2コイル体は、複数の素線を撚り合わせた撚線が螺旋状に複数本巻回されてなることを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガイドワイヤであって、
前記第2コイル体は、中空体であることを特徴とするガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療や検査を目的として体腔内に挿入される医療器具として用いられるガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療や検査のために、血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入して使用されるカテーテル等を案内するガイドワイヤとして、様々なものが提案されている。
例えば、先行文献1には、基端側に向かうにつれて径が徐々に大きくなるシャフトと、同シャフトの先端部に巻回されているコイルとを備え、コイルの中間部分が固定材料によりシャフトに固定されてなるガイドワイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えばCross Over法により、右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の経路に沿って先行文献1に記載のガイドワイヤ、すなわち基端側に向かうにつれて径が徐々に大きくなるシャフトを備えるガイドワイヤを挿入する際には、そうした極度に曲がりくねった下肢血管に追従させ難く操作性が低下するうえ、シャフトが血管壁への接触等に際して受ける負荷によって過剰に折れ曲がる可能性がある。その結果、例えばシャフトの基端側(太径部分)に永久変形が生じ、その後の操作に支障を来すおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、極度に曲がりくねった血管に挿入した場合でも高い追従性を確保することができ、且つ、永久変形を抑制することが可能なガイドワイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るガイドワイヤは、以下のような特徴を有する。
【0007】
本発明の態様1は、コアシャフトと、そのコアシャフトの先端部に巻回された第1コイル体と、その第1コイル体の先端を前記コアシャフトの先端に接合した先端側接合部と、前記第1のコイル体の内部において前記コアシャフトの基端に接合部を介して接合され、前記第1のコイル体の基端から基端側に延びる、複数の素線を撚り合わせた撚線からなる第2コイル体と、前記第1コイル体の基端を前記第2のコイル体に接合した基端側接合部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の態様2は、態様1に記載のガイドワイヤであって、第2コイル体は、複数の素線を撚り合わせた撚線が螺旋状に複数本巻回されてなることを特徴とする。
【0009】
本発明の態様3は、態様1または態様2に記載のガイドワイヤであって、第2コイル体は、中空体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
態様1のガイドワイヤは、コアシャフトと、そのコアシャフトの先端部に巻回された第1コイル体と、その第1コイル体の先端を前記コアシャフトの先端に接合した先端側接合部と、前記第1のコイル体の内部において前記コアシャフトの基端に接合部を介して接合され、前記第1のコイル体の基端から基端側に延びる、複数の素線を撚り合わせた撚線からなる第2コイル体と、前記第1コイル体の基端を前記第2のコイル体に接合した基端側接合部と、を備えているので、仮に、接合部がコアシャフトの表面及び第2コイル体の表面に対して凸状に設けられる場合であっても、接合部は第1コイル体に被覆された状態でその内側に配置され、接合部が血管壁に接触して、血管壁が損傷するおそれがない。また、第2コイル体は、撚線を構成する素線間で相対的に微小な移動が可能であるため、自由度があって柔軟性が高いうえ、充分な復元性も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤの第2コイル体を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図5図5は、本発明の第4実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図6図6は、本発明の第5実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図7図7は、本発明の第5実施形態に係るガイドワイヤの第2コイル体を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の第6実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図9図9は、図8における第2コイル体のA−A断面図である。
図10図10は、本発明の第7実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図11図11は、図10における第2コイル体のB−B断面図である。
図12図12は、本発明の第8実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図13図13は、本発明の第8実施形態に係るガイドワイヤの第2コイル体を示す斜視図である。
図14図14は、本発明の第9実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図15図15は、本発明の第9実施形態に係るガイドワイヤの第2コイル体を示す斜視図である。
図16図16は、本発明の第10実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図17図17は、図16における第2コイル体のC−C断面図である。
図18図18は、本発明の第11実施形態に係るガイドワイヤを示す部分断面拡大図である。
図19図19は、図18における第2コイル体のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤについて、図1を参照しながら説明する。図1において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、各図は、ガイドワイヤを模式的に図示したものであり、実際の寸法比とは異なる。
【0013】
図1に示すガイドワイヤ10は、例えば、Cross Over法による下肢血管の治療に使用されるものである。ガイドワイヤ10は、コアシャフト20と、そのコアシャフト20の先端部に巻回されている第1コイル体30と、コアシャフト20の基端部に接合されている第2コイル体40とを備えている。
【0014】
まず、コアシャフト20について説明する。コアシャフト20は、先端から基端側に向かって順に、第1直線部21a、テーパ部21b及び第2直線部21cを有している。第1直線部21aは、コアシャフト20の最も先端側の部分であり、シャフト20の中で最も柔軟な部分である。この第1直線部21aは、プレス加工により平板状に形成されている。テーパ部21bは、断面が円形のテーパ形状をなしており、先端側に向けて縮径している。第2直線部21cは、第1直線部21aよりも大きな径を有している。
【0015】
シャフト20を形成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼(SUS304)、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、コバルト系合金等を使用することができる。
【0016】
次に、第1コイル体30について説明する。本実施形態における第1コイル体30は、素線が螺旋状に巻回されてなる単条コイルである。しかしながら、この第1コイル体30の形態はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の素線を撚り合わせた撚線からなる多条コイルであってもよい。
【0017】
第1コイル体30を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、例えばマルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、オーステナイト、フェライト二相ステンレス又は析出硬化ステンレス等のステンレス、Ni−Ti合金等の超弾性合金、X線不透過性金属である白金、金、タングステン、タンタル、イリジウム又はこれらの合金等が挙げられる。
【0018】
図1に示すように、第1コイル体30の先端は、先端側接合部51によってコアシャフト20の先端に固着されている。一方、第1コイル体30の基端は、基端側接合部53によってコアシャフト20に固着されている。先端側接合部51及び基端側接合部53を形成する材料としては特に限定されないが、例えば、Sn−Pb合金、Pb−Ag合金、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属ロウが挙げられる。
【0019】
本実施形態においては、コアシャフト20の基端部(第2直線部21c)が第1コイル体30から露出されている。そして、そのコアシャフト20の基端には、第2コイル体40が接合部60を介して接合されている。
【0020】
この第2コイル体40は、図2に示すように、複数の素線41が撚り合わされた撚線から形成されている。より詳しくは、第2コイル体40は、芯線41aと芯線41aの外周を覆うように巻回されてなる6本の側線41bとから構成されている。
【0021】
第2コイル体40を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、例えばマルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、オーステナイト、フェライト二相ステンレス又は析出硬化ステンレス等のステンレス、Ni−Ti合金等の超弾性合金、X線不透過性金属である白金、金、タングステン、タンタル、イリジウム又はこれらの合金等が挙げられる。
【0022】
この第2コイル体40をコアシャフト20の基端に接合する接合部60としては、Sn−Pb合金、Pb−Ag合金、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属ロウからなるものが挙げられる。しかしながら、コアシャフト20の基端に対する第2コイル体40の接合手段としては、特に限定されず、例えば、レーザを用いたスポット溶接、バットシーム溶接等の突き合わせ抵抗溶接なども挙げられる。
【0023】
このように、本実施形態においては、コアシャフト20の基端部に、複数の素線41を撚り合わせた撚線からなる第2コイル体40が接合部60を介して接合されている。こうした撚線(第2コイル体40)においては、素線41間で相対的に微小な移動が可能であるため、自由度があって柔軟性が高いうえ、充分な復元性も確保される。
【0024】
このため、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ10を進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管の形状に追従させることが容易となり、仮に、同ガイドワイヤ10の基端部分が血管壁への接触等に際して受ける負荷によって過剰に折れ曲がったとしても永久変形が生じにくい。ゆえに、その後の操作に支障を来すおそれがなく、ガイドワイヤ10の継続的な使用が可能となる。
【0025】
[第2実施形態]
図3は、本発明のガイドワイヤの第2実施形態を示す部分断面拡大図である。図3において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0026】
上述した第1実施形態においては、コアシャフト20の基端部が第1コイル体30から露出されており、コアシャフト20に対する第2コイル体40の接合箇所(接合部60)もコイル体30の基端側に露出していた。これに対し、第3実施形態のガイドワイヤ200は、コアシャフト220の基端K1が第1コイル体30の内側(第1コイル体30の基端K2よりも先端側)に位置しており、コアシャフト220に対する第2コイル体240の接合箇所(接合部260)がその第1コイル体30の内側に設けられている。
【0027】
これによれば、図3に示すように、仮に、接合部260がコアシャフト220の表面及び第2コイル体240の表面に対して凸状に設けられる場合であっても、接合部260は第1コイル体30に被覆された状態でその内側に配置される。従って、そうした接合部260が血管壁に接触して、血管壁が損傷するおそれがない。
【0028】
また、コアシャフト220に対する第2コイル体240の接合箇所(接合部260)が第1コイル体30に被覆されることから、そうした接合部260が血管内における硬い病変部に接触することがなく、双方の良好な接合状態を維持することができる。
【0029】
[第3実施形態]
図4は、本発明のガイドワイヤの第3実施形態を示す部分断面拡大図である。図4において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第2実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0030】
上述した第2実施形態においては、図3に示すように、コアシャフト220の基端が第1コイル体30の内側(第1コイル体30の基端よりも先端側)に位置しており、コアシャフト220に対する第2コイル体240の接合箇所(接合部260)をその第1コイル体30の内側に設けていた。これに対し、第4実施形態のガイドワイヤ300においては、第1コイル体30の基端とコアシャフト320の基端とが、長手方向Nにおいて同一の箇所に位置し、コアシャフト320に対する第2コイル体340の接合箇所Sを覆うように基端接合部353が設けられている。
【0031】
すなわち、この基端接合部353は、コアシャフト320に対する第2コイル体340の接合箇所Sの全周を覆うように設けられている。これにより、本実施形態においては、第1コイル体30の基端をコアシャフト320に接合する基端接合部353を介して、コアシャフト320と第2コイル体340との接合箇所Sが補強されている。
【0032】
その結果、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ300を進入させる際において、そうした血管に追従してガイドワイヤ300が大きく折り曲げられた状態であっても、コアシャフト320から第2コイル体340が離脱することがなく、同コアシャフト320に対する第2コイル体340の良好な接合状態が維持される。
【0033】
[第4実施形態]
図5は、本発明のガイドワイヤの第4実施形態を示す部分断面拡大図である。図5において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0034】
本実施形態におけるガイドワイヤ400においては、第2コイル体440を形成する素線441の材料は、コアシャフト420を形成する材料と同一である。なお、本実施形態では、充分な柔軟性と曲げに対する復元性を確保するといった観点から、第2コイル体440を形成する素線441の材料、及びコアシャフト420を形成する材料の双方をステンレス鋼で形成することが好ましい。
【0035】
このように、第2コイル体440を形成する素線441を、コアシャフト420を形成する材料と同一材料から形成することで、コアシャフト420に対する第2コイル体440の接合が強固なものとなり、術中に双方が離脱するおそれがなく、安全性が確保される。
【0036】
なお、本実施形態においては、第1実施形態のガイドワイヤを用いた例を記載したが、第2実施形態及び第3実施形態の各々に本構成を採用してもよい。このような場合においても、本実施形態の作用効果に何ら影響を及ぼすものではなく、同様に、コアシャフトに対する第2コイル体の良好な接合状態を維持することが可能となる。
【0037】
[第5実施形態]
図6は、本発明のガイドワイヤの第5実施形態を示す部分断面拡大図である。図6において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上記第1実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0038】
本実施形態のガイドワイヤ500は、第2コイル体520と、その第2コイル体520の先端部に巻回されている第1コイル体30とから形成されている。
【0039】
第2コイル体520は、その長手方向Nの全体にわたって、複数の素線521を撚り合わせてなる撚線から形成されている。より詳しくは、この第2コイル体520は、図7に示すように、上述した第1実施形態における第2コイル体と同様に、芯線521aと芯線521aの外周を覆うように巻回されてなる6本の側線521bとから構成されている。
【0040】
また、コイル体30の先端は、先端側接合部551によって芯材520の先端に接合されており、コイル体30の基端は、基端側接合部553によって芯材520の略中間部に接合されている。
【0041】
このように、長手方向N全体にわたって、複数の素線521を撚り合わせた撚線からなる第2コイル体520を備えたガイドワイヤ500によれば、第2コイル体520の長手方向全体にわたって素線521間における相対的な微小移動が可能となるため、充分な自由度が確保されて柔軟性が高められ、復元性も充分に確保され得る。
【0042】
このため、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ500を進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管の形状に同ガイドワイヤ全体を追従させることが可能となり、また、仮に同ガイドワイヤ500が血管壁への接触等に際して受ける負荷によって過剰に折れ曲がったとしても、その長手方向Nの全体にわたって永久変形を抑制することができるようになる。ゆえに、その後の操作に支障を来すおそれがなく、ガイドワイヤ500の継続的な使用が可能となる。
【0043】
[第6実施形態]
図8は、本発明のガイドワイヤの第6実施形態を示す部分断面拡大図である。図8において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0044】
また、図9は、図8における第2コイル体のA−A断面図である。この図9は、第2コイル体を模式的に図示したものであり、その第2コイル体を形成する撚線の断面形状は、実際の寸法比とは異なるものとする。
【0045】
上述した第1実施形態においては、複数(本実施形態では6本)の素線を撚り合わせた1本の撚線からなる第2コイル体を採用した。これに対し、第6実施形態のガイドワイヤ100は、複数の素線141を撚り合わせた撚線143が螺旋状に複数本巻回されてなる第2コイル体140を用いている。
【0046】
より詳しくは、第2コイル体140は、図9に示すように、芯材となる撚線143aと、その撚線143aの外周を覆うように螺旋状に巻回されてなる6本の撚線143bとから形成されている。なお、これらの撚線143a,143bは全て同一の構成を有している。
【0047】
この第2コイル体140を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、例えばマルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、オーステナイト、フェライト二相ステンレス又は析出硬化ステンレス等のステンレス、Ni−Ti合金等の超弾性合金、X線不透過性金属である白金、金、タングステン、タンタル、イリジウム又はこれらの合金等が挙げられる。
【0048】
このように、複数の素線141を撚り合わせた撚線143を螺旋状に複数本巻回してなる第2コイル体140がコアシャフト20基端に接合されているガイドワイヤ100においては、隣り合う撚線143間での相対的な微小移動に加えて、そうした撚線143を形成する素線141間での相対的な微小移動も可能となる。これにより、上述した第1実施形態と比較して、より一層自由度が付与されて充分な柔軟性が確保されるようになる。
【0049】
従って、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ100を進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管に同ガイドワイヤ100を追従させることが極めて容易となり、操作性が高められる。
【0050】
さらに、ガイドワイヤ100の基端側(第2コイル140)においては、回転力が加えられた際には素線141同士が締め付けられると同時に撚線143同士も互いに締め付けられて接触圧が増加し、密着性が高められる。その結果、充分なトルクが先端側へと確実に伝達され、過度に湾曲する下肢血管内においてもガイドワイヤ100の良好な押込み性が確保される。
【0051】
なお、本実施形態においては、第1実施形態のガイドワイヤを用いた例を記載したが、第2実施形態〜第4実施形態の各々に本構成を採用してもよい。このような場合においても、本実施形態の作用効果に何ら影響を及ぼすものではなく、同様に、ガイドワイヤの高い操作性が確保され得る。
【0052】
[第7実施形態]
図10は、本発明のガイドワイヤの第7実施形態を示す部分断面拡大図である。図10において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第5実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0053】
なお、図11は、図10における第2コイル体のB−B断面図である。この図11は、第2コイル体を模式的に図示したものであり、その第2コイル体を形成する撚線の断面形状は、実際の寸法比とは異なるものとする。
【0054】
上述した第5実施形態においては、複数の素線521を撚り合わせた1本の撚線からなる第2コイル体520を採用した(図6参照)。これに対し、本実施形態のガイドワイヤ600は、複数の素線621を撚り合わせた撚線623が螺旋状に複数本巻回されてなる第2コイル体620を用いている。
【0055】
より詳しくは、第2コイル体620は、図11に示すように、芯材となる撚線623aと、その撚線623aの外周を覆うように螺旋状に巻回されてなる6本の撚線623bとから形成されている。なお、これらの撚線623a,623bは全て同一の構成を有している。
【0056】
このように、長手方向N全体にわたって複数の素線621を撚り合わせた撚線623が螺旋状に複数本巻回されてなる第2コイル体620を備えているガイドワイヤ600によれば、隣り合う撚線623間での相対的な微小移動に加えて、そうした撚線623を形成する素線621間での相対的な微小移動も可能となる。これにより、上述した第5実施形態と比較して、より一層自由度が付与されて充分な柔軟性が確保されるようになる。
【0057】
このため、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ600を進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管の形状に同ガイドワイヤ全体を追従させることがより一層容易となり、また、仮に同ガイドワイヤ600が血管壁への接触等に際して受ける負荷によって過剰に折れ曲がったとしても、その長手方向Nの全体にわたって永久変形を確実に抑制することができるようになる。ゆえに、その後の操作に支障を来すおそれがなく、ガイドワイヤ600の継続的な使用が可能となる。
【0058】
[第8実施形態]
図12は、本発明のガイドワイヤの第8実施形態を示す部分断面拡大図である。図12において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0059】
上述した第1実施形態においては、芯線41aと芯線41aの外周を覆うように巻回されてなる6本の側線41bとから構成されている第2コイル体40を用いた(図2参照)。これに対し、本実施形態のガイドワイヤ700においては、図13に示すように、芯線が省略された中空状をなす第2コイル体740が用いられている。すなわち、本実施形態の第2コイル体740は、6本の素線741を撚り合わせた中空状の撚線からなる。
【0060】
これによれば、第2コイル体740の中心に隙間が設けられるため、上述した第1実施形態と比較して、本実施形態においては第2コイル体740の柔軟性がより一層高められる。その結果、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ700を進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管に確実に追従させることが可能となり、同ガイドワイヤ700の操作性が一層高められる。
【0061】
なお、本実施形態においては、第1実施形態のガイドワイヤを用いた例を記載したが、第2実施形態〜第4実施形態の各々に本構成を採用してもよい。このような場合においても、本実施形態の作用効果に何ら影響を及ぼすものではなく、同様に、ガイドワイヤの高い操作性が確保され得る。
【0062】
[第9実施形態]
図14は、本発明のガイドワイヤの第9実施形態を示す部分断面拡大図である。図14において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第5実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0063】
上述した第5実施形態においては、芯線521aと芯線521aの外周を覆うように巻回されてなる6本の側線521bとから構成されている第2コイル体520を用いた(図7参照)。これに対し、本実施形態のガイドワイヤ800においては、図15に示すように、芯線が省略された中空状をなす第2コイル体820が用いられている。すなわち、本実施形態の第2コイル体820は、6本の素線841が撚り合わされた中空状の撚線からなる。
【0064】
これによれば、第2コイル体820の中心に隙間が設けられるため、上述した第5実施形態と比較して、本実施形態においては第2コイル体820の柔軟性がより一層高められる。すなわち、本実施形態のガイドワイヤ800においては、その長手方向Nの全体にわたって充分な柔軟性が付与される。その結果、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤを進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管に同ガイドワイヤ全体を確実に追従させることが可能となり、同ガイドワイヤの操作性が一層高められる。
【0065】
[第10実施形態]
図16は、本発明のガイドワイヤの第10実施形態を示す部分断面拡大図である。図16において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第6実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0066】
なお、図17は、図16における第2コイル体のC−C断面図である。この図17は、第2コイル体を模式的に図示したものであり、その第2コイル体を形成する撚線の断面形状は、実際の寸法比とは異なるものとする。
【0067】
上述した第6実施形態においては、芯材となる撚線143aと、その撚線143aの外周を覆うように螺旋状に巻回されてなる6本の撚線143bとからなる第2コイル体140を用いた(図9参照)。これに対し、本実施形態のガイドワイヤ900においては、図17に示すように、中心の芯材が省略された中空状をなす第2コイル体940が用いられている。すなわち、本実施形態においては、6本の撚線943が撚り合わされた中空状の第2コイル体940が用いられている。
【0068】
これによれば、第2コイル体940の中心に隙間が設けられているため、上述した第6実施形態と比較して、本実施形態においては第2コイル体940の柔軟性がより一層高められる。その結果、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤを進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管に対してより確実に追従させることが可能となり、同ガイドワイヤの操作性がより一層高められるようになる。
【0069】
[第11実施形態]
図18は、本発明のガイドワイヤの第11実施形態を示す部分断面拡大図である。図18において、左側が体内に挿入される先端側であり、右側が医師等の手技者によって操作される基端側である。なお、上述した第7実施形態と同一の構成部品については、同符号を付して説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0070】
なお、図19は、図18における第2コイル体のD−D断面図である。この図19は、第2コイル体を模式的に図示したものであり、その第2コイル体を形成する撚線の断面形状は、実際の寸法比とは異なるものとする。
【0071】
上述した第7実施形態においては、芯材となる撚線623aと、その撚線623aの外周を覆うように螺旋状に巻回されてなる6本の撚線623bとからなる第2コイル体620を用いた(図11参照)。これに対し、本実施形態のガイドワイヤ1000においては、図19に示すように、芯材が省略された中空状をなす第2コイル体1020が用いられている。すなわち、本実施形態においては、6本の撚線1023が撚り合わされた中空状の第2コイル体1020が用いられている。
【0072】
これによれば、第2コイル体1020の中心に隙間が設けられているため、上述した第7実施形態と比較して、本実施形態においては第2コイル体1020の柔軟性がより一層高められる。すなわち、本実施形態のガイドワイヤ1000においては、その長手方向Nの全体にわたって充分な柔軟性が付与される。その結果、例えばCross Over法により右脚にある下肢血管から左脚にある下肢血管へと逆U字状の曲がりくねった経路に沿ってガイドワイヤ1000を進入させる際において、そうした過度に湾曲する血管に確実に同ガイドワイヤ全体を柔軟に追従させることが可能となり、その操作性がより一層高められる。
【符号の説明】
【0073】
10,100,200,300,400,500,600,700,800,900、1000・・・ガイドワイヤ
20,220,320,420・・・コアシャフト
30・・・第1コイル体
40,140,240,340,440,520,620,740,820,940,1020・・・第2コイル体
41,141,441,521,621,741,841,621・・・第2コイル体を形成する素線
143,623,943,1023・・・第2コイル体を形成する撚線
60,260・・・接合部
図1
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