(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
測量器2(
図1)は、Bluetoothによる無線回線3によって端末装置1と接続可能なデバイスとしての機能を有している。
端末装置1は、Bluetoothデバイスを探索し、測量器2を検出すると、予め無線回線3の設定条件を記録したマスタファイルを用いて、測量器2との無線回線3を自動的に設定する。
マスタファイルには、デバイスごとの優先度が規定してあり、複数のデバイスが探索された場合、端末装置1は、マスタファイルの優先度を参照し、最も優先度の高いデバイスとの無線回線3を設定する。
このようにして、測量システム5では、複雑で手間のかかる無線回線3の設定を自動化できるため、測量作業員の作業効率を高め、コストを低減することができる。
【0011】
(2)実施形態の詳細
図1(a)は、測量システムの構成を説明するための図である。
測量システム5は、端末装置1と測量器2を用いて構成されている。
端末装置1と測量器2は、何れも測量現場において測量作業員達によって使用される。
測量器2は、測量用装置として機能し、端末装置1は、測量用装置が無線送信した測量情報(測量値を含む測量データ)を受信する測量端末装置として機能している。
【0012】
測量器2は、例えば、光学測量器、レーザ測量器、特殊測量器などの各種の測量機器であって、バッテリで駆動し、地形や構造物の3次元情報を計測する。測量器2は、通常は現場で三脚上に据えられて使用される。
測量器2が光学測量器の場合は、作業員が測量器2を介して目標地点に設置した標識を観測し、測量器2がレーザ測量器の場合は、レーザを測量対象に照射してその反射光を受信することにより測量対象をスキャンする。
そして、測量器2は、無線回線3を介して測量データを端末装置1に送信する。
【0013】
端末装置1は、バッテリで駆動する携帯型のコンピュータであって、例えば、土木現場等での使用に耐えられるように強靱に作られたタブレット端末によって構成されている。
端末装置1には、測量に必要な各種のコンピュータプログラムがインストールされており、これによって、無線回線3を介して測量器2と通信し、測量器2から測量データを取得することができる。
【0014】
無線回線3としては、Bluetoothが使用され、測量現場にて、数メートルから数百メートルの距離の無線通信を媒介する。
なお、本実施の形態では、無線方式としてBluetoothを用いるが、これは一例であって、他の無線方式を用いてもよい。
【0015】
このように、測量システム5では、端末装置1と測量器2が無線回線3を介して協働して作業者の測量支援を行う。
なお、無線回線3の設定は、端末装置1と測量器2をペアで使用する初回に行い、その設定を端末装置1に記憶しておく。2回目以降は、記憶した設定を用いて無線回線3を接続するため、設定操作は必要ない。
【0016】
図1(b)は、端末装置1のハードウェア的な構成を説明するための図である。
端末装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入力部14、出力部15、通信制御部16、記憶部17などがバスラインで接続されて構成されている。
【0017】
CPU11は、各種記憶媒体に保存されたコンピュータプログラムに従って所定の情報処理を行う中央処理装置であって、バスラインを介してROM12〜記憶部17と協働して動作する。
より具体的には、CPU11は、測量器2と通信して、測量器2から送信されてきた測量データを記録したり、記録した測量データを可視化したりなどの各種の演算を行う。
【0018】
ROM12は、読み取り専用のメモリであって、CPU11が動作する上での基本的なプログラムやパラメータが記憶されている。
RAM13は、読み書きが可能なメモリであって、CPU11が情報処理をする際のワーキングメモリを提供する。
【0019】
入力部14は、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイスを備えており、作業者からの入力を受け付ける。
タッチパネルは、表示画面の上に形成されており、表示画面に表示されたメニューボタンや文字ボタンなどを作業者が触れるなどして選択すると、当該選択した表示に対応する入力がCPU11に対してなされるようになっている。
【0020】
出力部15は、例えば、液晶パネルなどの表示デバイスを用いた表示画面を備えており、メニュー画面、測量データの一覧、測量データによる地形の3次元画像などの各種表示を提示する。また、案内音声や警告音などの音声を出力することもできる。
通信制御部16は、無線回線3の電波を送受信するアンテナを備えており、これを駆動して測量器2と無線通信を行う。
通信制御部16には、Bluetoothに加えて、無線LAN(Local Area Network)や携帯電話網などの他の無線回線を利用する機能を備えることも可能である。
【0021】
記憶部17は、例えば、ハードディスクや半導体記憶装置によって構成された大容量の記憶装置(記憶媒体)を備えており、測量器2との無線回線設定支援プログラム、無線回線の自動設定に使用するマスタファイル(後述)、測量器2と通信して測量データを記録する測量支援プログラム、測量器2から受信した測量データなど、各種のコンピュータプログラムやデータが記憶されている。
記憶部17は、マスタファイルを記憶することにより、測量用装置との無線回線を設定するための設定条件を複数記憶した設定条件記憶手段として機能している。
【0022】
図1(c)は、測量器2のハードウェア的な構成を説明するための図である。
測量器2は、CPU21、ROM22、RAM23、入力部24、出力部25、通信制御部26、記憶部27、測量部28などがバスラインで接続されて構成されている。
CPU21〜記憶部27の構成は、CPU11〜記憶部17と同様である。
【0023】
記憶部27には、測量部28を駆動して測量を行い、端末装置1に測量データを送信する測量プログラムなどが記憶されている。
測量部28は、例えば、レンズなどの光学装置やレーザ装置、これらを駆動する駆動装置、測量値の検出機構などを備え、測量対象を測量して測量値を検出する。
測量部28は、測量プログラムにより、例えば、通常の観測モード、作業者が一人で測量を行うワンマンモード、目標を自動追尾する自動視準モード、作業者がリモートコントローラで遠隔操作する遠隔操作モードなどの各モードで動作することができる。
【0024】
図2は、マスタファイルの構成の一例を示した図である。
マスタファイル31は、一例としてXMLファイルで構成されており、無線回線3を自動設定する際に使用される。
マスタファイル31では、<TSITEMTBL>タグから</TSITEMTBL>タグまでの要素において、<TSITEM 〜 />に設定対象となるBluetoothデバイス(測量器2や測量器2のリモートコントローラなどBluetooth機器)ごとのデバイス情報が登録されており、これらデバイス情報には、それぞれのデバイスの無線回線の設定条件が記載されている。
【0025】
各設定条件は、デバイス名、メーカー、動作設定、オプション設定、優先度などの項目から構成されている。
デバイス名は、NAME=”(デバイス名)”によって表され、設定対象となるデバイスに付与されている名称、例えば、機種名を規定している。
【0026】
メーカーは、MAKER=”(メーカー)”によって表され、測量器2を製造した事業者を規定している。
動作設定は、TYPE=”(動作設定)”によって表され、測量器2の動作モードを規定しており、例えば、ワンマンモード、自動視準モードなどがある。
【0027】
オプション設定は、OPT_ACK=”(オプション値)、”OPT_REV=”(オプション値)”、PIN=”(暗証番号)”などによって表され、各測量器2に固有のオプションを規定している。
優先度は、優先度の記載なしか、LEVEL=”(優先度)”によって表され、LEVEL=”(優先度)”の規定のないものを優先度10とし、数値が小さい方を優先する。
【0028】
優先度は、複数のデバイスが無線回線設定の候補として検出された場合に設定を優先する優先度を設定する項目である。これにより、後述するように、測量器2と測量器2のリモートコントローラが設定対象となるデバイスとして探索(検索)された場合に、リモートコントローラの優先度を測量器2より高く設定しておき、端末装置1とリモートコントローラを接続するといったことが可能となる。
このように、優先度が規定されたマスタファイル31を記憶する記憶部17は、測量用装置の優先度を記憶した優先度記憶手段として機能している。
【0029】
例えば、デバイス情報35では、デバイス名が「GPT3000」、メーカーが「KOPCON」、処理のタイプが「測定」、オプションの1である「OPT_ACK」が「ON」に設定され、他のオプションである「OPT_REV」が「OFF」に設定され、「PIN」(暗証番号)が「1111」に設定されている。
このように、マスタファイル31では、作業者が手作業で入力していたデバイスごとの設定条件が予め登録されている。そして、端末装置1は、マスタファイル31を用いて自動的にこれらの条件を設定する。
例えば、端末装置1は、予備的な無線通信により接続可能なデバイスとして「GPT3000」を検出した場合、デバイス情報35で規定されている内容にて無線回線3を設定し、測量器2との無線通信を行う。
【0030】
なお、端末装置1は、検出したデバイスのデバイス名と、マスタファイル31のデバイス名を検索語としてマッチングすることによりデバイス情報を特定するが、検出したデバイス名とマスタファイル31のデバイス名が必ずしも完全一致するとは限らないため、端末装置1は、次のようにしてこれらをマッチングする。
【0031】
即ち、端末装置1は、検出したデバイス名とマスタファイル31のデバイス名が完全一致する場合は、これによりデバイス情報を特定し、部分一致する場合は、一致する部分の文字数が多い方のデバイス情報を特定する。
例えば、検出されたデバイス名が「PSD1000」であり、マスタファイル31にデバイス名として「PS」と「PSD」があったとする。
この場合、端末装置1は、一致する部分の文字数が多い「PSD」のデバイス情報を設定条件として選択する。
【0032】
このように、設定条件には検索語(ここでは、デバイス名)が設定してあり、探索手段は、接続可能な測量用装置から当該測量用装置の検索語を受信し、設定条件取得手段は、前記受信した検索語に適合する検索語が設定された設定条件を取得している。
そして、設定条件取得手段は、デバイスから受信した検索語と設定条件に設定された検索語が完全適合しない場合に、最も適合度の高い設定条件を取得している。
【0033】
また、探索により複数のデバイスが設定可能なデバイスとして検出された場合、端末装置1は、デバイス情報に規定されている優先度に従ってデバイス情報を選択する。
即ち、優先度の最も高いものが単数である場合は、それを選択し、優先度が最も高いものが複数ある場合は、作業者にリスト(優先度の最も高いもののみ、あるいは、検索された全てのデバイス名の何れのリストでもよい)を提示して選択してもらう。
【0034】
ここで、優先度に基づくデバイス情報の選択の具体例をいくつか示す。
(例1)記述なしのデバイスが1個と優先度「1」のデバイスが1個検索された場合は優先度「1」の方のデバイス情報を採用する。
(例2)記述なしのデバイスが複数個検索された場合は全てを候補に採用し、作業者に何れかを選択してもらう。
(例3)記述なしのデバイスが複数個、優先度「5」のデバイスが1個検索された場合は優先度「5」の方のデバイス情報を採用する。
(例4)記述なしのデバイスが1個と優先度「2」のデバイスが複数個検索された場合は優先度「2」のデバイスを全て候補に採用し、作業者に何れかを選択してもらう。
【0035】
図3(a)は、端末装置1の表示画面に提示される観測アイコン41の一例を示した図である。
端末装置1で測量支援プログラムを動作させるとメニューの一覧に観測アイコン41が表示される。
作業者が、観測アイコン41を選択すると、既に無線回線3が設定してある場合はこれを用いて対象デバイスと無線接続し、無線回線3が未設定の場合は、無線回線設定支援プログラムが起動し、無線接続可能なデバイスの探索を開始する。
【0036】
図3(b)は、端末装置1の表示画面に提示されるデバイス検索画面42を説明するための図である。
デバイス検索画面42は、無線接続可能なデバイスの探索中に表示され、検索の進捗度が視覚的に表示される。
【0037】
図3(c)は、端末装置1の表示画面に提示される確認画面51を説明するための図である。
確認画面51は、マスタファイル31のデバイス情報から無線回線3の条件設定を読み出して作業者に提示し、これを確認するための画面である。
【0038】
メーカー欄52には、マスタファイル31に登録されているメーカーが表示される。
動作設定欄53には、マスタファイル31に登録されている動作設定が表示される。
Bluetoothデバイス欄54には、マスタファイル31に登録されているデバイス名が表示される。
PIN欄55には、マスタファイル31に登録されているPINが表示される。
【0039】
メーカー欄52、動作設定欄53は、「設定変更」ボタンを選択することにより変更可能である。
Bluetoothデバイス欄54は、「Bluetooth設定」ボタンを選択することにより変更可能である。
上記変更は何れもマスタファイル31に登録されている他のデバイス情報から選択できるようになっている。
【0040】
「再検索」ボタンは、無線通信可能な測量器2を再検索するボタンであり、「通信確認を実行」ボタンは、表示の設定条件にて通信対象である測量器2との通信を確認するボタンである。
「OK」ボタンを選択すると、表示の設定条件にて無線回線3が確立され、「キャンセル」ボタンを選択すると設定がキャンセルされる。
【0041】
このように、端末装置1は、デバイス情報を選択することにより無線回線3の設定条件を自動的に仮設定し、これを確認画面51にて作業者に確認する。そして、作業者が「OK」ボタンを選択すると、端末装置1は、当該設定条件を確定して無線回線3を設定する。
このため、作業者は、確認画面51を確認して「OK」ボタンを選択するだけで無線回線3を設定することができ、従来に比べて無線回線3の設定作業が格段に容易になる。
【0042】
図3(d)は、端末装置1の表示画面に表示されるBluetooth設定画面61を説明するための図である。
Bluetooth設定画面61は、接続可能なデバイスが複数検索された場合に、作業者に選択を促す画面である。
「デバイス再検索」ボタンは、デバイスを再検索するためのボタンである。
デバイス選択欄63は、検索された接続可能なデバイスの一覧を表示する欄である。作業者がデバイス選択欄63でデバイスを選択して「OK」ボタンを選択すると、当該デバイスが接続対象として選択される。
「Bluetoothを使用しない」ボタンは、従来の有線による接続を行う場合に選択するボタンである。
「キャンセル」ボタンを選択すると、設定条件の自動設定処理がキャンセルされる。
【0043】
図4は、端末装置1が測量観測を行う手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理は、端末装置1のCPU11と測量器2のCPU21が所定のプログラムに従って従って行うものである。
【0044】
まず、端末装置1は、表示画面にて作業者から観測アイコン41が選択されると観測機能を開始する。
そして、端末装置1は、無線回線3の接続設定が既に設定済みになっているか否かを、当該接続の設定条件が記憶部17に記憶されているか否かにより確認する(ステップ5)。
設定済みの場合、即ち、当該設定条件が記憶部17に記憶されている場合(ステップ5;Y)、端末装置1は、ステップ45に移行してBluetoothの接続動作を行う。
【0045】
設定済みでない場合、即ち、当該設定条件が記憶部17に記憶されていない場合(ステップ5;N)、端末装置1は、通信制御部16が駆動するか否かを確認することによりBluetoothが利用可能な環境か否かを判断する(ステップ10)。
通信制御部16が駆動しない場合、即ち、Bluetoothが利用可能でない場合(ステップ10;N)、端末装置1が測量器2に有線回線によって接続するタイプなので端末装置1は、無線回線3の自動接続処理を終了する。
【0046】
通信制御部16が駆動し、Bluetoothが利用可能である場合(ステップ10;Y)、端末装置1は、通信制御部16を駆動してBluetoothデバイスが発している電波を探索することにより接続可能なデバイスを抽出してリスト化し、RAM13に記憶する(ステップ15)。
なお、Bluetoothデバイスは、無線回線3を確立する前でも、ペアリングのための予備的な無線通信により端末装置1と通信し、端末装置1にデバイス名などを送信することができる。
このように、端末装置1は、予備的な無線通信により接続可能な測量用装置を探索する探索手段を備えている。
【0047】
次に、端末装置1は、デバイス名を検索語として、RAM13に記憶した抽出済みデバイスのリストとマスタファイル31をマッチングする。
そして、端末装置1は、マッチングによりデバイス名が完全一致、あるいは部分一致するデバイスを抽出する。
更に、端末装置1は、当該デバイスを一覧するリスト(マスタファイル31により無線回線3の自動設定による利用が可能なデバイスのリスト)を作成してRAM13に記憶する(ステップ20)。
【0048】
次に、端末装置1は、当該利用可能なデバイスのリストを確認し、リストアップされたデバイスがない場合は(ステップ25;なし)、処理を終了する。
一方、デバイスがリストに存在する場合、端末装置1は、マスタファイル31から当該デバイスの優先度を取得する。
リストアップされたデバイスのうち、最も優先度が高いものが複数個存在する場合(ステップ25;複数存在)、端末装置1は、Bluetooth設定画面61を表示して、作業者から無線回線3を自動設定するデバイスの選択を受け付けて(ステップ30)、ステップ35に移行する。
【0049】
利用可能なデバイスが1個だけ存在する場合、又は、優先度が最も高いデバイスが1個だけ存在する場合(ステップ25;単数存在)、端末装置1は、当該デバイスを無線回線3の自動設定対象デバイスとして選択してステップ35に移行する。
次に、端末装置1は、ステップ35にて、ステップ25、又はステップ30で選択されたデバイスのデバイス情報をマスタファイル31から取得し、当該デバイス情報に記載されている設定条件を確認画面51に反映させて表示する。
確認画面51にて作業者から「OK」ボタンが選択されると、端末装置1は、当該設定条件にて無線回線3の設定を作成して記憶部17に記憶して保持する(ステップ40)。
【0050】
このように、端末装置1は、探索された測量用装置に適用する設定条件を設定条件記憶手段から取得する設定条件取得手段と、当該取得した設定条件を用いて当該測量用装置との無線回線を設定する無線回線設定手段とを備えている。
更に、端末装置1は、探索手段で複数の測量用装置が探索された場合に、設定条件取得手段で優先度の高い測量用装置の設定条件を取得し、無線回線設定手段で当該優先度の高い測量用装置との無線回線を設定している。
【0051】
次に、端末装置1は、記憶部17に保持した無線回線3の設定に従ってBluetooth接続をするための設定を作成する(ステップ45)。
次に、端末装置1は、無線回線3を端末装置1に接続するための仮想シリアルポートを作成し、無線回線3を当該仮想シリアルポートに接続するように自動的に設定を変更する(ステップ50)。
そして、端末装置1は、記憶部17に保持した無線回線3の設定に従って接続対象のデバイス(測量器2など)に特有な設定を作成し、これに基づいて当該デバイスとの無線回線3による接続を開始する(ステップ55)。
【0052】
以降、端末装置1の観測機能は、無線回線3を介してデバイスと無線通信し、デバイスと協働して観測処理を行う(ステップ60)。
このように、端末装置1は、設定した無線回線を介して測量用装置から測量情報を受信する測量情報受信手段を備えている。
そして、端末装置1は、観測終了ボタンの選択などにより観測の終了が作業者によって指示されると観測処理を終了する。
【0053】
以上のようにして、端末装置1は、測量器2などの接続対象デバイスを探索して探索結果を作業者に確認した後、マスタファイル31に従って自動的に無線回線3を設定・確立する。
この設定は、当該デバイスに接続する初回に行い、次回からは、前回の設定を記憶部17から読み出して使用することができる。
【0054】
図5は、優先順位を用いてデバイスを接続する具体例を説明するための図である。
この例では、端末装置1に設定可能なデバイスとして測量器2とリモートコントローラ7がある。
端末装置1とリモートコントローラ7は、Bluetoothによる無線回線3aで通信し、リモートコントローラ7と測量器2は、Bluetoothによる無線回線3bで通信する。
リモートコントローラ7は、作業者が操作して測量器2を遠隔操作するほか、測量器2から測量データを受信して端末装置1に送信する中継器としての機能も有している。
【0055】
無線回線3a、3bが未確立の場合、端末装置1は、接続可能なデバイスを探索すると、リモートコントローラ7と測量器2が検索される。
ここで、
図2に示したように、測量器2は、デバイス情報37に登録してあり、リモートコントローラ7は、デバイス情報36に登録してあるとする。
デバイス情報37とデバイス情報36では、デバイス情報37の優先度の記載がなく、デバイス情報36の優先度が「0」なため、デバイス情報36の方が優先度が高い。
そのため、端末装置1は、測量器2との無線回線は設定せずにリモートコントローラ7との無線回線3aを設定する。
【0056】
このように優先度によってリモートコントローラ7と測量器2が混在する場合に端末装置1と測量器2が接続するのを防ぐことができる。
即ち、端末装置1は、マスタファイル31から優先度を取得し、これを用いて、検索された機器の組み合わせに最適な設定を自動的に選択することができる。
無線回線3bに関しては、作業者がリモートコントローラ7と測量器2を操作して無線回線3aとは別に接続する。
【0057】
この例では、測量器2と、測量器2にオプションとして付属するリモートコントローラ7について優先度が定義されているが、その他に、メーカーごとに優先度を定義したり、同じ機種でも動作モードごとに優先度を定義するなど各種の運用が考えられる。
【0058】
また、測量器2に接続するシリアルケーブルの先端にBluetooth変換アダプタを取り付けて測量器2をBluetoothで端末装置1に接続する場合がある。
この場合は、測量器2、リモートコントローラ7、変換アダプタの優先度をそれぞれ低、高、中に定義しておくと測量現場での運用に適合している場合が多い。
【0059】
以上に説明したように、本実施の形態の測量システム5によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)端末装置1と、独自の設定条件が各種混在する測量器2との無線回線3を自動的に設定することができる。
(2)Bluetoothデバイスが複数探索された場合、マスタファイル31で規定された優先度を用いることにより、最適なデバイスを自動的に選択して無線回線3を設定することができる。
(3)元来コンピュータの技術者でない土木測量作業員が、通信や交通の不便な測量現場で複雑な無線回線3の設定作業を行う必要がないため、これら作業員は測量作業に集中して作業効率を高め、測量業務にかかるコストを低減することができる。