【実施例】
【0015】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
オーニング装置1は、可撓性を有するシート状のキャンバス10と、該キャンバス10を後方側で巻き取ったり繰り出したりする第一の巻取装置20と、同キャンバス10を前方側で巻き取ったり繰り出したりする第二の巻取装置30と、第一の巻取装置20を支持する支持基体40と、前端部と後端部の間を伸縮可能に構成した伸縮アーム50とを備え、伸縮アーム50の後端部を第一の巻取装置20側の不動部位(図示例によれば、支持部材22及び支持基体40)に支持するとともに伸縮アーム50の前端部により第二の巻取装置30を支持している。
このオーニング装置1は、第一の巻取装置20と第二の巻取装置30を同期させて同方向へ回転することで、第一の巻取装置20と第二の巻取装置30のうちの一方からキャンバス10を繰出しながら、その他方によりキャンバス10を巻き取る。
【0017】
キャンバス10は、第一の巻取装置20側に位置する第一のシート11と、第一のシート11よりも第二の巻取装置30側に位置し且つ第一のシートとは異なる種類の第二のシート12と、これらを接続する接続部材13とを具備する。
【0018】
第一のシート11と第二のシート12は、互いに異なる種類のシート材である。
これら第一のシート11と第二のシート12の具体例としては、色が異なる2つのシート材や、透明と不透明の2つのシート材、柄が異なる2つのシート材等とすることができる。
第一のシート11の後端側は、第一の巻取装置20の巻取体21に巻かれ、同様に、第二のシート12の前端側は、第二の巻取装置30の巻取体31に巻かれている。
【0019】
第一のシート11の前端側は、キャンバス幅方向へわたって断面袋状(
図3参照)に形成され、その内部には、棒状部材11aが挿入されている。
同様に第二のシート12の後端側も、キャンバス幅方向へわたって断面袋状に形成され、その内部には、棒状部材12aが挿入されている。
棒状部材11a,12aの各々は、剛性材料(例えば、金属や硬質合成樹脂材料等)からなる長尺部材であり、キャンバス10の幅方向の全長にわたり連続している。
第一のシート11と第二のシート12は、それぞれの棒状部材11a(又は12a)を接続部材13に嵌め合せることで、一体化されている。
【0020】
接続部材13は、軸方向の一端側(本実施例によれば両端側)に棒状部材11a,12aを挿入可能な開口端部を有する中空筒状に形成され、その周壁における径方向の両側に、第一のシート11及び第二のシート12を挿入可能且つ棒状部材11a,12aを挿入不能であって前記開口端部に連続する開口部13a,13aを有する。すなわち、各開口部13aは、接続部材13の横幅方向の一端から他端にわたって連続する開口である。
この接続部材13は、
図2に示すように、その内部に、第一のシート11側の棒状部材11aと、第二のシート12側の棒状部材12aを挿入することで、これら二つのシート11,12を接続している。
【0021】
キャンバス10における第一のシート11が第一の巻取装置20に殆ど巻き取られた場合、接続部材13は、第一の巻取装置20側の支持ブラケット61(規制部)に当接する。
支持ブラケット61は、その先端側に雨よけカバー62(
図2参照)を支持した状態で、基端側が支持基体40に接続されている。この支持ブラケット61は、キャンバス幅方向に間隔を置いて複数設けられる。
雨よけカバー62は、第一の巻取装置20の上方側をキャンバス幅方向へわたって覆う庇状の部材であり、雨等が第一の巻取装置20側の機構内へ侵入するのを防ぐ。
なお、
図1中において、内部構造を明瞭に示すために、支持ブラケット61及び雨よけカバー62の図示を省略している。
【0022】
また、キャンバス10における第二のシート12が第二の巻取装置30に殆ど巻き取られた場合、接続部材13は、第二の巻取装置30側の先端カバー35(規制部)に当接する。
先端カバー35は、第二の巻取装置30の前半部側を構成しており、円筒状に巻き取られる第二のシート12の外周面を前側から覆って保護する(
図2参照)。
【0023】
第一の巻取装置20は、第一のシート11を巻き取る巻取体21と、該巻取体21を両端側で回転自在に支持する支持部材22,22と、巻取体21を双方向へ回転させる第一の電動駆動源23とを具備している。
【0024】
巻取体21は、キャンバス10の横幅方向の全長と略同等の長さの円筒体状に形成され、その両端側に支持部材22等を介することで、支持基体40の前方側で回転するように支持される。
この巻取体21の外周面には、キャンバス幅方向へ貫通する切欠部21aが設けられる(
図3参照)。この切欠部21aは、第一のシート11の基端止着部材11bを内在し保持している。基端止着部材11bは、キャンバス幅方向へ連続する棒状部材であり、第一のシート11の後端部に止着され、切欠部21aに対し巻取体軸方向の一端側から挿入されている。
【0025】
第一の電動駆動源23は、基部と該基部に対し双方向へ駆動回転する出力軸とを備えた電動式チューブラモータであり、前記基部を巻取体21内面に接続するとともに、前記出力軸を支持部材22に接続している。したがって、この第一の電動駆動源23の供給電源を制御すれば、巻取体21を双方向へ回転させることができる。
【0026】
支持部材22は、支持基体40のキャンバス幅方向の端部側に嵌合接続され、前方へ突出して、巻取体21の端部側を支持している。この支持部材22は、金属材料等の剛性材料によって形成される。
支持部材22と巻取体21との間には、図示しない軸受部材が設けられ、該軸受部材は、巻取体21を回転自在に支持している。
この支持部材22の前端側には、後述する伸縮アーム50の基端側が接続される。
【0027】
第二の巻取装置30は、第二のシート12を巻き取る巻取体31と、該巻取体31を両端側で回転自在に支持する支持部材32と、巻取体31を双方向へ回転させる第二の電動駆動源33とを具備しており、左右の伸縮アーム50の前端側に支持されている。
この第二の巻取装置30は、第一の巻取装置20と同期して同方向へ回転するように制御されている。すなわち、例えば、第二の巻取装置30の巻取体31が時計方向へ回転した場合に、この回転に同期して、第一の巻取装置20の巻取体21も時計方向へ回転する。また、第二の巻取装置30の巻取体31が反時計方向へ回転した場合に、この回転に同期して、第一の巻取装置20の巻取体21も反時計方向へ回転する。
【0028】
巻取体31は、キャンバス10の横幅方向の全長と略同等の長さの円筒体状に形成され、その両端側に支持部材32等を介することで、伸縮アーム50の前方側で回転するように支持される。
この巻取体31の外周面には、キャンバス幅方向へ貫通する切欠部31aが設けられる。この切欠部31aは、第二のシート12の基端止着部材12bを内在し保持している。基端止着部材12bは、キャンバス幅方向へ連続する棒状部材であり、第二のシート12の前端部に止着され、切欠部31aに対し巻取体軸方向の一端側から挿入されている。
【0029】
また、支持部材32は、伸縮アーム50,50の前端側に接続された支持バー32aと、該支持バー32aの両端側に固定された軸受ブラケット32b,32bとから構成される。
支持バー32aは、キャンバス幅方向の略全長にわたる部材である。この支持バー32aの長手方向の途中位置には、回転軸を上下方向へ向けるようにして、伸縮アーム50,50の各先端部分が軸支されている。
また、左右の軸受ブラケット32b,32bは、支持バー32aのキャンバス幅方向の両端側に一体に設けられる。各軸受ブラケット32bは、軸受部材等を介して巻取体31を回転自在に支持している。
【0030】
また、第二の電動駆動源33は、第一の電動駆動源23同様に、基部と該基部に対し双方向へ駆動回転する出力軸とを備えた電動式チューブラモータであり、前記基部を巻取体31内面に接続するとともに、前記出力軸を支持部材32の軸受ブラケット32bに接続している。したがって、この第二の電動駆動源33の供給電源を制御すれば、巻取体31を双方向へ回転させることができる。
【0031】
支持基体40は、キャンバス幅方向の全長よりも若干長い略板状の部材であり、剛性を有する金属材料等によって形成される。
この支持基体40の正面側には、左右の支持部材22,22が嵌合接続される。また、同支持基体40の背面部は、建物壁面等に止着固定される。
【0032】
また、伸縮アーム50は、キャンバス10の下方側において、キャンバス幅方向の両側に位置するように、二つ設けられる。各伸縮アーム50は、折れ曲がるようにして収縮し、展開するようにして伸長する複数(図示例によれば二つ)の関節アーム51,52を具備し、図示しない付勢部材によって伸長方向へ付勢されている。
【0033】
前側及び後側の関節アーム51,52は、それぞれ、剛性材料により長尺杆状に形成される。
前側の関節アーム51は、後部側をキャンバス幅方向へ回動するように、その前端部が支持バー32aに対し軸支されている。後側の関節アーム52は、後部側をキャンバス幅方向へ回動するように、その前端部が前側の関節アーム51の後端部に対し軸支されている。この軸支部分には、二つの関節アーム51,52間を展開する方向へ付勢するように付勢部材(例えば、コイルスプリングや板バネ等)が設けられる。
後側の関節アーム52は、前部側をキャンバス幅方向へ回動するように、その後端部が傾斜角度調整装置70に軸支されている。
【0034】
傾斜角度調整装置70は、リング状の被操作部71に対する回転操作によって伸縮アーム50の上下方向の角度を変化させるようにした機構であり、例えば、被操作部71と一体的に回転するウォームギヤによってウォームホイールを回転させ、該ウォームホイールに支持される伸縮アーム50の上下角度を変化させるようにした機構や、特開2010-24762に開示された周知の機構等とすればよい。
被操作部71は、先端部にフック状部分を有する図示しないクランク棒が掛けられ、該クランク棒によって回転操作されるようになっている。
【0035】
次に、上記構成のオーニング装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、伸縮アーム50を収縮させた収納状態(
図2参照)において、第一の電動駆動源23又は第二の電動駆動源33に電力供給すると、電力供給された該巻取装置20(又は30)からキャンバス10が繰出される。すると、左右の伸縮アーム50が付勢部材(図示せず)の付勢力により伸長してゆく。すなわち、キャンバス10の繰出し動作と、伸縮アーム50の伸長動作とが同時に進行する。
【0036】
前記動作において、第一の巻取装置20からキャンバス10を繰出した場合には、第一のシート11の露出部分が多くなる。
また、前記動作において、第二の巻取装置30からキャンバス10を繰出した場合には、第二のシート12の露出部分が多くなる。
【0037】
そして、キャンバス10が所望量繰り出されたら、手動スイッチ操作等により、第一の電動駆動源23又は第二の電動駆動源33が停止される。そして、この展開停止状態にて、当該オーニング装置1は、日除けや雨除け等として使用される。
【0038】
また、キャンバス10の種類を変更したい場合には、前記展開停止状態において、第一の電動駆動源23及び第二の電動駆動源33を同期して同方向へ回転させて、先に露出された一方のシート11(又は12)を、他方のシート12(又は11)に変更することができる。
【0039】
よって、上記オーニング装置1によれば、使用状況や好み等に応じてキャンバス10の種類を変更したり、キャンバス10の一方側が損傷した場合にその損傷部分を巻き取って他方の部分を露出させたり等、キャンバス10の使用面を容易に変更することができる。
【0040】
また、キャンバス10が第一の巻取装置20側又は第二の巻取装置30側に巻取られてゆくと、シート変更が略完了した時点で、接続部材13が第一の巻取装置20側又は第二の巻取装置30側の不動部位に当接する。このため、使用者等は、シート変更が完了したことを容易に認知することができる。
なお、前記当接時の負荷によって第一の巻取装置20又は第二の巻取装置30を自動停止する構造とすることも可能である。
【0041】
また、展開状態のキャンバス10を収納する場合には、何れか一方の巻取装置20(又は30)を拘束した状態で、他方の巻取装置30(20)を巻取り動作すれば、第一の巻取装置20と第二の巻取装置30の間が狭まり、これに伴って、左右の伸縮アーム50が付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して折れ曲がるように収縮し、
図2に示す収納状態に戻る。
この収納状態は、両方の巻取装置20,30を拘束状態にしている間は維持される。巻取装置20,30を拘束する手段は、例えば、図示しないブレーキ装置を用いた態様や、第一の電動駆動源23及び第二の電動駆動源33の回転力を、それぞれ、駆動源側のウォームギヤを介して巻取装置20,30に伝達するようにした態様等とすればよい。すなわち、後者態様では、第一及び第二の電動駆動源23,33の各出力軸にウォームギヤを設けるとともに、巻取体21,31には、それぞれ前記ウォームギヤに噛み合うウォームホイールを設ける。この構成によれば、巻取体側の回転力が駆動源側に伝達しないので、巻取装置20,30を拘束することができる。
【0042】
なお、上記実施例によれば、伸縮アーム50を前方斜め下方へ伸長するようにしているため、その前半部側の重量や、伸縮アーム50内の付勢部材(図示せず)の作用により、伸縮アーム50の伸長状態が保持されるが、必要に応じて、伸縮アーム50を伸長状態で収縮不能に係止する係止手段を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施例によれば、第一の巻取装置20及び第二の巻取装置30を電動で巻取り動作及び繰出し動作を行う構成としたが、他例としては、第一の巻取装置20と第二の巻取装置30のうち、その一方又は双方を手動で巻取り動作及び繰出し動作を行う構成とすることも可能である。この場合の巻取り繰出し機構は、例えば、特開2000-179628号公報に開示される機構を用いればよい。
【0044】
また、上記実施例によれば、伸縮アーム50は二つの関節アーム51,52を折り畳んだり展開したりして伸縮する構造としたが、伸縮アーム50の他例としては、内外に重ね合わせられた複数の筒状部材を互いにスライドさせて全体が伸縮するようにした態様や、重ね合わせられた二本の長尺部材をその一方に対し他方をスライドさせて全体が伸縮するようにした態様等とすることが可能である。
【0045】
また、上記実施例によれば、特に好ましい態様として、第一のシート11と第二のシート12を異なる種類のシートとしたが、他例としては、これら第一のシート11及び第二のシート12を同種類のシートとすることも可能である。
【0046】
また、上記実施例によれば、接続部材13の両側の開口部13a,13aにそれぞれ第一のシート11及び第二のシート12を挿通するようにしたが、他例としては、接続部材13の単一の開口部を設け、該開口部に第一のシート11及び第二のシート12の双方を挿通し接続する態様や、接続部材13を省くとともに第一のシート11と第二のシート12を他の接続手段(例えば、縫い付け等)により直接的に接続した態様等とすることも可能である。