(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック操作部は、前記ロック状態に切り替える前記切り替え操作に連動して前記第1検出信号および前記第2検出信号のいずれか一方のみを当該クランプセンサの外部に出力可能に構成されている請求項2記載のクランプセンサ。
前記ロック操作部は、前記ロック状態に切り替えると共に前記第1検出信号のみを当該クランプセンサの外部に出力させる第1ロック位置と、前記ロック状態に切り替えると共に前記第2検出信号のみを当該クランプセンサの外部に出力させる第2ロック位置と、前記ロック状態の解除に切り替えるロック解除位置との間で操作片を移動させる操作を前記切り替え操作として実行可能に構成されている請求項3記載のクランプセンサ。
請求項1から5のいずれかに記載のクランプセンサと、当該クランプセンサによって検出された前記被検出量に基づいて前記検出対象についての被測定量を測定する測定部とを備えている測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のクランプセンサには、改善すべき以下の課題がある。すなわち、上記した特許文献1に開示のクランプセンサでは、固定側センサおよび可動側センサで検出対象を取り囲んでクランプする。この場合、例えば、複数の電線が入り組んでいるときには、検出対象の電線だけをクランプすることが困難なことがある。このため、特許文献1に開示のクランプセンサでは、検出対象がこのような配置状態のときには、検出対象についての被検出量の検出が困難なことがある。一方、上記した特許文献2に開示のクランプセンサでは、U字状の磁束捕捉用コアが用いられて、検出対象を取り囲むことなく検出対象を測定導体誘導部の基端部に位置させるだけで検出対象についての被検出量を検出することが可能なため、複数の電線が入り組んでいる場合においても、検出対象の電線についての被検出量を検出することができる。しかしながら、検出対象を取り囲んでいない状態では、被検出量の検出精度がやや低下することがあるため、電線が入り組んでいないときには、被検出量の正確な検出を優先して、検出対象を取り囲んでクランプする上記した特許文献1に開示のクランプセンサを用いるのが好ましい。このように、検出対象の様々な配置形態に対応するためには、従来の1つの種類のクランプセンサだけでは、好ましい形態での作業を行うことができないため、上記した2種類のクランプセンサを用意して、検出対象の配置状態に応じて各クランプセンサを使い分ける必要がある結果、作業が煩雑となっており、この点を改善し得るクランプセンサの開発が望まれている。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検出対象の様々な配置状態に応じて好ましい形態での検出作業を行い得るクランプセンサおよび測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のクランプセンサは、検出対象をクランプした状態で被検出量を検出可能に構成されたクランプセンサであって、弧状にそれぞれ形成されると共に、各々の基端部側を中心として少なくとも一方が回動可能に構成されて、各々の前記基端部同士および各々の先端部同士がそれぞれ接
触する閉状態において前記検出対象を取り囲んでクランプした状態で前記被検出量を検出して第1検出信号を出力する一対の第1センサ部と、前記各第1センサ部の前記先端部にそれぞれ配設されると共に、直線状に形成された直線部をそれぞれ有して当該各直線部が前記閉状態において互いに離間して平行またはほぼ平行となるように構成されて、当該閉状態において前記検出対象を挟み込んでクランプした状態で前記被検出量を検出して第2検出信号を出力する一対の第2センサ部とを備えている。
【0008】
また、請求項2記載のクランプセンサは、請求項1記載のクランプセンサにおいて、前記閉状態を維持するロック状態と当該ロック状態の解除とを切り替える切り替え操作が可能なロック操作部が設けられている。
【0009】
また、請求項3記載のクランプセンサは、請求項2記載のクランプセンサにおいて、前記ロック操作部は、前記ロック状態に切り替える前記切り替え操作に連動して前記第1検出信号および前記第2検出信号のいずれか一方のみを当該クランプセンサの外部に出力可能に構成されている。
【0010】
また、請求項4記載のクランプセンサは、請求項3記載のクランプセンサにおいて、前記ロック操作部は、前記ロック状態に切り替えると共に前記第1検出信号のみを当該クランプセンサの外部に出力させる第1ロック位置と、前記ロック状態に切り替えると共に前記第2検出信号のみを当該クランプセンサの外部に出力させる第2ロック位置と、前記ロック状態の解除に切り替えるロック解除位置との間で操作片を移動させる操作を前記切り替え操作として実行可能に構成されている。
【0011】
また、請求項5記載のクランプセンサは、請求項4記載のクランプセンサにおいて、前記ロック操作部は、前記第1ロック位置、前記第2ロック位置、および前記ロック解除位置が直線に沿って並ぶように前記第1センサ部の前記基端部側に配設され、前記第2ロック位置が前記第2センサ部に最も近い位置に規定されると共に、前記ロック解除位置が前記第2センサ部から最も離間する位置に規定され、かつ前記第1ロック位置が第2ロック位置と前記ロック解除位置との間の位置に規定されている。
【0012】
また、請求項6記載の測定装置は、請求項1から5のいずれかに記載のクランプセンサと、当該クランプセンサによって検出された前記被検出量に基づいて前記検出対象についての被測定量を測定する測定部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のクランプセンサ、および請求項6記載の測定装置では、各々の基端部同士および各々の先端部同士がそれぞれ接
触する閉状態において検出対象を取り囲んでクランプした状態で被検出量を検出して第1検出信号を出力する一対の第1センサ部と、各第1センサ部の先端部にそれぞれ配設されて、閉状態において互いに離間して平行またはほぼ平行となる直線部で検出対象を挟み込んでクランプした状態で被検出量を検出して第2検出信号を出力する一対の第2センサ部とを備えている。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、各第1センサ部を用いる被検出量の検出と第2センサ部を用いる被検出量の検出とを1台のクランプセンサおよび測定装置を用いて行うことができる。この場合、各第1センサ部を用いる検出では、検出対象を各第1センサ部で取り囲むため、被検出量を正確に検出することができる。また、第2センサ部を用いる検出では、検出対象を取り囲むことなく各第2センサ部の各直線部で挟み込むだけで被検出量を検出することができる。このため、このクランプセンサおよび測定装置では、検出対象が入り組んでいないときには、被検出量を正確に検出することを優先して、第1センサ部を用いて被検出量を検出し、検出対象が入り組んでいるときには、検出対象を確実かつ容易にクランプすることを優先して、第2センサ部を用いて被検出量を検出することができる。したがって、このクランプセンサおよび測定装置によれば、検出対象の様々な配置状態に応じて好ましい形態での検出作業を行うことができる結果、利便性を十分に向上させることができる。
【0014】
また、請求項2記載のクランプセンサ、および請求項6記載の測定装置によれば、閉状態を維持するロック状態とロック状態の解除とを切り替える切り替え操作が可能なロック操作部を設けたことにより、検出対象をクランプしたクランプ状態においてロック状態に切り替えることで、クランプ状態を確実に維持することができるため、被検出量を検出する検出処理の途中でロック状態が解除されてクランプ状態が解除され、これによって検出処理が中断される事態を確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項3記載のクランプセンサ、および請求項6記載の測定装置によれば、ロック状態に切り替える操作に連動して第1検出信号および第2検出信号のいずれか一方のみをクランプセンサの外部に出力可能にロック操作部を構成したことにより、各第1センサ部および第2センサ部のロック状態とロック状態の解除との切り替え、およびクランプセンサの外部に出力させる信号(第1検出信号および第2検出信号)の切替えを1回の操作で行うことができるため、操作性を十分に向上させることができる。
【0016】
また、請求項4記載のクランプセンサ、および請求項6記載の測定装置では、ロック状態に切り替えると共に第1検出信号のみをクランプセンサの外部に出力させる第1ロック位置と、ロック状態に切り替えると共に第2検出信号のみをクランプセンサの外部に出力させる第2ロック位置と、ロック状態を解除するロック解除位置との間で操作片を移動させる操作を切り替え操作として実行可能にロック操作部が構成されている。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、各第1センサ部および第2センサ部のロック状態とロック状態の解除との切り替え、およびクランプセンサの外部に出力させる信号の切替えを簡易な操作で行うことができる結果、操作性をさらに向上させることができる。
【0017】
また、請求項5記載のクランプセンサ、および請求項6記載の測定装置では、第2ロック位置が第2センサ部に最も近い位置に規定されると共に、ロック解除位置が第2センサ部から最も離間する位置に規定され、かつ第1ロック位置が第2ロック位置とロック解除位置との間の位置に規定されている。つまり、このクランプセンサおよび測定装置では、第1センサ部および第2センサ部の位置関係と、第1ロック位置および第2ロック位置の位置関係とが一致している。このため、このクランプセンサおよび測定装置によれば、第1ロック位置および第2ロック位置のうちのどの位置に操作片を移動させれば、第1センサ部および第2センサ部のうちのどちらを使用状態とすることができるかを使用者に対して直感的に認識させることができる結果、操作性を一層向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、クランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、測定装置の一例としての測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す測定装置1は、例えば
図2〜
図6に示す電線200a〜200d(検出対象の一例であって、以下、区別しないときには「電線200」ともいう)に流れる電流(被測定量の一例)を測定可能に構成されている。具体的には、測定装置1は、クランプセンサ2および本体部3を備えて構成されている。
【0021】
クランプセンサ2は、クランプセンサの一例であって、
図1に示すように、一対の第1センサ部11と、一対の第2センサ部12とを備えて構成されている。
【0022】
各第1センサ部11は、
図1に示すように、第1ケース21と、第1ケース21内に収容された第1コイル31とを備えてそれぞれ構成されて、平面視弧状(一例として、円弧状)に形成されている。また、各第1センサ部11は、各々の基端部11a同士および各々の先端部11b同士が離間する開状態(
図2に示す状態)と、各基端部11a同士および各先端部11b同士が接
触する閉状態(
図1に示す状態)とが、開閉ボタン64に対する操作に応じて切り替わるように、各基端部11a側を中心としてそれぞれ回動可能に構成されている。また、各第1センサ部11は、図外のばねの付勢力によって各先端部11b同士が閉じる(接触する)向きに付勢されている。
【0023】
第1コイル31は、一例として、磁気コアの周囲に被覆導線を巻回して構成されると共に、
図1に示すように、平面視弧状(一例として、円弧状)に形成されて、第1ケース21内に収容されている。また、各第1コイル31は、各第1センサ部11が開状態(
図2に示す状態)のときに、各々の基端部31a同士および各々の先端部31b同士が互いに離間し、各第1センサ部11が閉状態(
図1に示す状態)のときに、各基端部31a同士および各先端部31b同士が互いに近接して略環状体を構成する。また、各第1コイル31は、各第1センサ部11が閉状態で電線200(検出対象)を取り囲んでクランプしているとき(
図4に示す状態のとき)に、電線200についての被検出量(例えば、電線200を流れる電流によって生じる磁界)を検出して第1検出信号S1を出力する。
【0024】
各第2センサ部12は、
図1に示すように、第2ケース22と、第2ケース22内に収容された第2コイル32とを備えてそれぞれ構成されている。また、第2センサ部12は、先端部12b側が直線状(例えば、柱状)にそれぞれ形成されている(直線状の部分が直線部に相当する)。また、各第2センサ部12は、各第1センサ部11の先端部11bにそれぞれ配設されて、各第1センサ部11が開状態(
図2に示す状態)のときに、各々の基端部12a同士および各々の先端部12b同士が互いに離間し、各第1センサ部11が閉状態(
図1に示す状態)のときに、各基端部12a同士が接
触すると共に各先端部12b側(直線部に相当する部分)同士が互いに離間して平行またはほぼ平行となるように構成されている。
【0025】
第2コイル32は、一例として、磁気コアの周囲に被覆導線を巻回して構成されている。また、第2コイル32は、
図1に示すように、基端部32a側が弧状に形成されると共に、先端部32b側が直線状に形成されて、第2ケース22内に収容されている。また、各第2コイル32は、各第1センサ部11が開状態のときに、互いに離間し、各第1センサ部11が閉状態のときに、各先端部32b側(直線状の部分)同士が互いに離間して平行(ほぼ平行)となるように構成されている。また、各第2コイル32は、互いに離間して平行な状態で電線200を挟み込んで(取り囲むことなく挟み込んで)クランプしているとき(
図6に示す状態のとき)に、電線200についての被検出量(電線200を流れる電流によって生じる磁界)を検出して第2検出信号S2を出力する。
【0026】
また、このクランプセンサ2では、各第1センサ部11の閉状態(
図1に示す状態)を維持するロック状態と、アンロック状態(ロックを解除している状態)とを、本体部3に設けられているロック操作部70(同図参照)の操作(切り替え操作)によって切り替えることが可能となっている。
【0027】
ロック操作部70は、
図1に示すように、各第1センサ部11の基端部11a側に配設されている。また、ロック操作部70は、同図に示すように、本体部3に形成された長孔71内で(同図における上下方向に沿って)スライド可能な操作片72を備え、長孔71の長さ方向に沿って(直線に沿って)規定された第1ロック位置P1、第2ロック位置P2、およびロック解除位置P3に操作片72が位置させられたときに、各第1センサ部11を各位置P1〜P3にそれぞれ対応する状態(ロック状態、またはアンロック状態)に切り替える。具体的には、ロック操作部70は、操作片72が第1ロック位置P1に位置させられたとき、および操作片72が第2ロック位置P2に位置させられたときに、各第1センサ部11をロック状態に切り替える(ロック状態を維持する)。また、操作片72がロック解除位置P3に位置させられたときに、各第1センサ部11をアンロック状態に切り替える(アンロック状態を維持する)。この場合、このクランプセンサ2では、同図に示すように、長孔71の長さ方向の上端部(第2センサ部12に最も近い位置)に第2ロック位置P2が規定され、長孔71の長さ方向の下端部(第2センサ部12から最も離間する位置)にロック解除位置P3が規定され、第2ロック位置P2とロック解除位置P3との間の位置に第1ロック位置P1が規定されている。
【0028】
また、ロック操作部70は、各第1センサ部11をロック状態に切り替える操作に連動してスイッチ73(
図1参照)を切り替えることにより、第1コイル31から出力される第1検出信号S1、および第2コイル32から出力される第2検出信号S2のいずれか一方のみを測定部61(クランプセンサ2の外部)に出力させる。具体的には、ロック操作部70は、第1ロック位置P1に操作片72が位置させられたときに、第1コイル31からの第1検出信号S1を測定部61に出力させ、第2ロック位置P2に操作片72が位置させられたときに、第2コイル32からの第2検出信号S2を測定部61に出力させる。
【0029】
本体部3は、
図1に示すように、測定部61、表示部62、測定操作部63および一対の開閉ボタン64を備えて構成されている。測定部61は、クランプセンサ2によって検出された被検出量(第1コイル31から出力された第1検出信号S1または第2コイル32から出力された第2検出信号S2)に基づいて検出対象としての電線200についての被測定量(例えば、電線200に流れる電流)を測定する。
【0030】
表示部62は、測定部61の制御に従い、測定部61によって測定された電流の測定値等を表示する。測定操作部63は、操作ボタン(操作キー)を備えて構成され、操作ボタンに対する操作に応じて操作信号を測定部61に出力する。開閉ボタン64は、本体部3の側部に配設されて、操作に応じてクランプセンサ2の各第1センサ部11を回動させる。この場合、開閉ボタン64を押し込む操作をしたときには、各第1センサ部11の各先端部11bが互いに開く(離間する)向きに各第1センサ部11が回動し、押し込みを解除したときには、図外のばねの付勢力によって各先端部11b同士が閉じる(接触する)向きに各第1センサ部11が回動する。
【0031】
次に、測定装置1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0032】
最初に、
図2に示すように、近隣に他の電線が配置されていない電線200aを検出対象として、その電線200aをクランプして、電線200aに流れる電流を測定する際の測定装置1の使用方法について説明する。
【0033】
まず、
図2に示すように、ロック操作部70の操作片72を長孔71内でスライドさせて、ロック解除位置P3に位置させる。この際に、ロック操作部70が、各第1センサ部11をアンロック状態(回動可能な状態)に切り替える。
【0034】
次いで、本体部3の開閉ボタン64を
図2に示す矢印Aの向きに押し込む。この際に、図外のばねの付勢力に抗して、クランプセンサ2における各第1センサ部11の各先端部11b側同士が開く向きに各第1センサ部11が回動する。
【0035】
続いて、
図2に示すように、各第2センサ部12の間に電線200aを通し、次いで、
図3に示すように、各第1センサ部11が対向する領域に電線200aが位置するように測定装置1を移動させる。続いて、
図4に示すように、開閉ボタン64に対する押し込み操作を解除する。この際に、図外のばねの付勢力によって各先端部11b同士が接触する向きに各第1センサ部11が回動する。これにより、同図に示すように、各第1センサ部11が、閉状態でかつ電線200aを取り囲んでクランプしている状態となる。次いで、電線200aを取り囲んでいる各第1コイル31が、電線200aを流れる電流によって生じる磁界(被検出量)を検出して第1検出信号S1を出力する。
【0036】
続いて、
図4に示すように、ロック操作部70の操作片72をスライドさせて、第1ロック位置P1に位置させる。この際に、ロック操作部70が、各第1センサ部11をロック状態(各第1センサ部11が閉状態に維持される状態)に切り替える。また、ロック操作部70は、操作片72のスライド操作に連動してスイッチ73を切り替えることにより、第1コイル31から出力されている第1検出信号S1を測定部61に出力させる。
【0037】
次いで、本体部3の測定操作部63を操作して、電流の測定を指示する。この際に、本体部3の測定部61が、第1コイル31から出力された第1検出信号S1に基づいて電線200aに流れる電流を測定する。続いて、測定部61は、電流の測定値を表示部62に表示させる。
【0038】
この場合、上記したように、電線200aを各第1センサ部11(各第1コイル31)で取り囲むことで、被検出量としての磁界が各第1コイル31によって正確に検出される。このため、この測定装置1では、第1コイル31から出力される第1検出信号S1に基づいて、被測定量としての電線200a流れる電流を正確に測定することができる。
【0039】
次いで、測定を終了したときには、ロック操作部70の操作片72をスライドさせて、ロック解除位置P3に位置させる。続いて、開閉ボタン64を押し込んで、各先端部11b側同士が開く(離間する)向きに各第1センサ部11を回動させ、次いで、電線200aからクランプセンサ2を引き離す。
【0040】
次に、
図5に示すように、複数の電線(例えば、同図に示す3本の電線200b〜200d)が近接して入り組んで配置されている場合において、その中の1つの電線200cを検出対象としてクランプして、電線200cに流れる電流を測定する際の測定装置1の使用方法について説明する。
【0041】
まず、
図5に示すように、各第1センサ部11が閉状態のときに、ロック操作部70の操作片72をスライドさせて、第2ロック位置P2に位置させる。この際に、ロック操作部70が、各第1センサ部11をロック状態に切り替える。また、ロック操作部70は、第2コイル32からの第2検出信号S2が測定部61に出力されるようにスイッチ73を切り替える。
【0042】
続いて、
図6に示すように、互いに近接して配置されている電線200b〜200dのうちの検出対象の電線200cが各第2センサ部12の間の隙間に位置するように、測定装置1を移動させる。これにより、第2センサ部12が、電線200cを取り囲むことなく挟み込んでクランプしている状態となる。次いで、電線200cを挟み込んでいる各第2コイル32が、電線200cを流れる電流によって生じる磁界(被検出量)を検出して第2検出信号S2を出力する。
【0043】
続いて、本体部3の測定操作部63を操作して、電流の測定を指示し、これに応じて、本体部3の測定部61が、第2コイル32から出力された第2検出信号S2に基づいて電線200cに流れる電流を測定する。次いで、測定部61は、電流の測定値を表示部62に表示させる。続いて、測定を終了したときには、電線200cからクランプセンサ2を引き離す。
【0044】
この場合、上記したように、各第2センサ部12で電線200cを取り囲むことなく挟み込むだけで被検出量としての磁界が各第2コイル32によって検出される。このため、このクランプセンサ2および測定装置1では、電線200b〜200dが近接して入り組んで配置されている場合においても、その中の1つの電線200cを確実かつ容易にクランプして、被測定量を確実かつ容易に検出することが可能となっている。
【0045】
このように、このクランプセンサ2および測定装置1では、各々の基端部11a同士および各々の先端部11b同士がそれぞれ接触する閉状態において電線200(検出対象)を取り囲んでクランプした状態で被検出量を検出して第1検出信号S1を出力する一対の第1センサ部11と、各第1センサ部11の先端部11bにそれぞれ配設されて、閉状態において互いに離間して平行(またはほぼ平行)となる先端部12b側(直線部)で電線200を挟み込んでクランプした状態で被検出量を検出して第2検出信号S2を出力する一対の第2センサ部12とを備えている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、各第1センサ部11を用いる被検出量の検出と第2センサ部12を用いる被検出量の検出とを1台のクランプセンサ2および測定装置1を用いて行うことができる。この場合、各第1センサ部11を用いる検出では、電線200を各第1センサ部11で取り囲むため、被検出量を正確に検出することができる。また、第2センサ部12を用いる検出では、電線200を取り囲むことなく各第2センサ部12の各先端部12b側で挟み込むだけで被検出量を検出することができる。このため、このクランプセンサ2および測定装置1では、電線200が入り組んでいないときには、被検出量を正確に検出することを優先して、第1センサ部11を用いて被検出量を検出し、電線200が入り組んでいるときには、電線200を確実かつ容易にクランプすることを優先して、第2センサ部12を用いて被検出量を検出することができる。したがって、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、電線200の様々な配置状態に応じて好ましい形態での検出作業を行うことができる結果、利便性を十分に向上させることができる。
【0046】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、各第1センサ部11を閉状態に維持するロック状態とロック状態の解除とを切り替える切り替え操作が可能なロック操作部70を設けたことにより、電線200をクランプしたクランプ状態において、ロック状態に切り替えることで、クランプ状態を確実に維持することができるため、被検出量を検出する検出処理の途中でロック状態が解除されてクランプ状態が解除され、これによって検出処理が中断される事態を確実に防止することができる。
【0047】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、各第1センサ部11をロック状態に切り替える操作に連動して第1検出信号S1および第2検出信号S2のいずれか一方のみをクランプセンサ2の外部に出力可能にロック操作部70を構成したことにより、各第1センサ部11および第2センサ部12のロック状態とロック状態の解除との切り替え、およびクランプセンサ2の外部に出力させる信号(第1検出信号S1および第2検出信号S2)の切替えを1回の操作で行うことができるため、操作性を十分に向上させることができる。
【0048】
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、各第1センサ部11をロック状態に切り替えると共に第1検出信号S1のみをクランプセンサ2の外部に出力させる第1ロック位置P1と、各第1センサ部11をロック状態に切り替えると共に第2検出信号S2のみをクランプセンサ2の外部に出力させる第2ロック位置P2と、各第1センサ部11のロック状態を解除するロック解除位置P3との間で操作片72を移動させる操作を切り替え操作として実行可能にロック操作部70が構成されている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、各第1センサ部11および第2センサ部12のロック状態とロック状態の解除との切り替え、およびクランプセンサ2の外部に出力させる信号の切替えを簡易な操作で行うことができる結果、操作性をさらに向上させることができる。
【0049】
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、第2ロック位置P2が第2センサ部12に最も近い位置に規定されると共に、ロック解除位置P3が第2センサ部12から最も離間する位置に規定され、かつ第1ロック位置P1が第2ロック位置P2とロック解除位置P3との間の位置に規定されている。つまり、このクランプセンサ2および測定装置1では、各センサ部11,12の位置関係と、各ロック位置P1,P2の位置関係とが一致している。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、各ロック位置P1,P2のうちのどの位置に操作片72を移動させれば、各センサ部11,12のうちのどちらを使用状態とすることができるかを使用者に対して直感的に認識させることができる結果、操作性を一層向上させることができる。
【0050】
なお、クランプセンサおよび測定装置の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、磁気コアの周囲に被覆導線を巻回したコイル(有芯コイル)を備えて第1コイル31および第2コイル32を構成した例について上記したが、有芯コイルに代えて、磁気コアを有していないコイル(空芯コイル)を備えて第1コイル31および第2コイル32を構成することもできる。また、第1コイル31および第2コイル32のいずれか一方だけに有芯コイルを用い、第1コイル31および第2コイル32の他方に空芯コイルを用いる構成を採用することもできる。
【0051】
また、ロック操作部70の配設位置は任意に変更することができる。また、第1ロック位置P1、第2ロック位置P2およびロック解除位置P3も任意に変更することができる。
【0052】
また、一対の第1センサ部11の双方が基端部11a側を中心として回動可能な構成例について上記したが、各第1センサ部11のいずれか一方のみが基端部11a側を中心として回動可能で、他方が固定されている(回動しない)構成を採用することもできる。
【0053】
また、閉状態において各第1センサ部11の各先端部11b同士、および各第2センサ部12の各基端部12a同士が接触する構成例について上記したが、閉状態において各先端部11b同士および各基端部12a同士が接触せずに近接する構成を採用することもできる。
【0054】
また、クランプセンサ2が被検出量としての磁界を検出し、測定部61が被測定量としての電流を測定する例について上記したが、被検出量や被測定量は、磁界や電流に限定されず、電圧、電力および抵抗などの各種の物理量が含まれる。